夜見「……ひっく」
真希「吃逆か」
寿々花「夜見さんでもしゃっくりをするんですのね」
夜見「はい。……ひっく」
寿々花「しゃっくりと言えば100回続くと死んでしまう、なんて噂もありますわよね」
真希「迷信だ」
寿々花「そんなことはわかっていますわ」
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寿々花「それでも幼い頃は信じて怯えていたものです」
真希「確かに僕にもそんな覚えがある」
夜見「ひっく」
真希「夜見、僕たちは西方に出現した荒魂の処理に向かう」
真希「こちらの事は任せたよ」
夜見「わかりました」
◆
結芽「おねーさんたち~!」
結芽「ってあれ? 真希おねーさんと寿々花おねーさんはまたお仕事?」
夜見「荒魂の退治です」
結芽「そっかぁ、お仕事ばっかりでつまんないなー」
夜見「ひっく」
結芽「!」
結芽「夜見おねーさん、しゃっくりしてるの!?」
夜見「はい、先ほどよりずっと」
結芽「大変!」
結芽「しゃっくりって100回続くと死んじゃうんだよ!」
夜見「先ほど此花さんも同じ話をしていました」
結芽「ど、どうしよう……」
夜見「ひっく」
結芽「えっ! 今の何回目!?」
夜見「84回目です」
結芽「あと16回しかない……どうしよう……」
夜見「……ひっく」
結芽「えっと、えっと……そうだ! 驚いたら止まるって聞いたことある!」
結芽「バァ! 驚いた?」
夜見「ひっく」
結芽「夜見おねーさん驚かせるなんて私には無理だよお!」
夜見「そんなに必死になる必要はないと思いますが……」
結芽「だめ!」
結芽「夜見おねーさんが死んじゃうなんて絶対にいやだもん!」
夜見「……」
結芽「夜見おねーさんが結芽より先に死んじゃうなんて絶対にヤだ!」
結芽「真希おねーさんも寿々花おねーさんも紫様も、誰も居なくなっちゃ嫌だよ!」
夜見「……そうですね」
夜見「私も、そう思います」
夜見「ひっく」
結芽「うう……これで87回……あれ? 88回だっけ」
夜見「87回です」
夜見「ひっく」
結芽「……ぐすっ」
夜見「? 泣いているのですか?」
結芽「だって……だって夜見おねーさんが……」
結芽「夜見おねーさんが居なくなるなんて……嫌だよぉ……」
夜見「……」
夜見「燕さん、落ち着いてください」ギュッ
結芽「夜見おねーさん……?」
夜見「私はまだ死ねません」
夜見「だから、心配する必要はありません」
結芽「……ほんと?」
夜見「はい」
夜見「それにそもそもしゃっくりが100回続くと死ぬという話は迷信です」
結芽「えっ!?」
結芽「じゃあつまり100回しゃっくりしても死なないってこと!?」
夜見「はい」
結芽「……」
結芽「なーんだ、よかったぁ」
結芽「夜見おねーさんも先に言ってくれればよかったのに」
夜見「燕さんが焦っていたので、少しだけ様子を見ようかと思いました」
夜見「それと、なんだか嬉しかったので」
結芽「嬉しかった?」
夜見「私のために涙を流して心配してもらえるのが、嬉しかったので」
結芽「だって夜見おねーさんは結芽にとって家族みたいなものだもん! 当たり前!」
夜見「家族……」
結芽「もし、さ」
結芽「もし結芽が死んじゃったらさ、夜見おねーさんは泣いてくれる?」
夜見「それは……どうでしょう」
結芽「えーひどーい!」
夜見「そもそも私は涙を流せるのか」
夜見「私に、感情はあるのでしょうか」
結芽「だって夜見おねーさん、結芽にちょっぴりイジワルしたり嬉しいって思ったりしたよね」
結芽「それって結芽と一緒! 夜見おねーさんもちゃんと感情あるんだよ!」
夜見「感情……」
結芽「うん、だから夜見おねーさんもちゃんと笑えるしちゃんと笑える」
結芽「私はそう思う!」
夜見「そう……ですね」
夜見「ちゃんと笑ってちゃんと泣ける」
夜見「そんないつかもあるかもしれません」
結芽「見てみたいな、夜見おねーさんの笑った顔」
夜見「はい、きっといつか」
◆
紫「吃逆?」
結芽「確実に止める方法って何かないのかな?」
紫「そうだな……」
紫「まず大きく空気を吸い、炭田を圧迫するような意識で呼吸を止める」
紫「私は普段それで吃逆を止めている」
結芽「よくわかんないけど流石紫様!」
完
結芽はしゃっくり100回続いたら~を迷信だと知らなそうだなと思った衝動で
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