―――自宅・夜
男「――んー……。宿題やるのも少し疲れてきたなぁ」ググッ…
男「とはいえ、やらないとどうしようもないし……」
男「よしっ、少し気合を入れて――」
プルルルル…
男「電話? なんだ、友かな……」スッ
着信:幼馴染
男「………………」
プルルルル…
男「………………」
プルルルル…
男「………………」
プルル… ゲンザイ、デンワニデルコトガ…
男「――おぉっと! しまったなぁ、ちょうど電話に出れなかったなぁ……」
男「しょうがない……。これはしょうがない。出ようと思った時に切れちゃうんだもんなぁ」
男「かけなおすにしても、こんな時間じゃあなぁ……」
男「幼馴染には、明日謝ればいいよね――」
ピコンッ
男「………………」
ピコンッ
ピコンッ
男「………………」チラッ
『なんで電話に出ないの?』
『おーい(*^▽^*)』
『男ー?』
男「――そうだ、寝てたってことにしよう」
男「電気消して……」パチッ
ピコンッ
『電気消えたね。携帯見てないのかなー?』
男「」ショワァ…
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男「――おぉっと……。危うく漏らすところだったぜ」
男「……まだ、まだ大丈夫だろ。まだこれは尿漏れだと自分に言い訳できるレベルだ」
男「しかし幼馴染も、俺がオムツを履いていない時間帯を狙ってくるとは……」
ピコンッ
ピコンッ
男「……とりあえず、アレだな。携帯に気付かなかったってことにして、このまま寝てしまおう」
プルルル…
男「あーあー、聞こえない聞こえない……」
男「――……しかし、部屋の明かりがわかるって……どっから見てるんだ」
男「………………」
男「少しだけ、少しだけ窓を開けて外見てみるかな……」
ガラッ…
幼馴染「――あっ、窓開いたじゃん」
男「あっ、ふーん……」ショワァアアアア…
ピシャン‼
男「ふぅ………………」
ガンガンッ‼
オトコー?
男「いやー、まさか目の前に居るとは思わなかったなぁ……」
男「つい不意打ち食らって、尿漏れとは言い訳できないレベルで漏らしちまったぜ」
ガンガンッ‼
ナンデシメルノー?
オーイ‼
男「……さて、少し風呂に入ってさっぱりしてから寝ようかな」
ガンッ‼
アレー?
ガンッ‼
カタイナ…
男「まったく、窓が超強化ガラスで助かったぜ……――」
――――――
――――
――
―――翌朝
チュンチュン…
男「――んぅ……。朝か……」
男「……さすがの幼馴染も、窓の破壊は諦めたみたいだな」
オキテルー?
男「――はーい、起きてるー!」
男「まぁ、母さんに嫌われるのだけは避けたいのか、玄関から来ないのだけは助かったな……」
男「――それじゃ、行ってきまーす」ガチャ
バタン…
男「……まったく、憎いぐらいに晴天だぜ。今日が何事もなく過ぎればいいけど……」
キキーッ‼
男「………………あー……」
ガチャ…
お嬢様「――あら、奇遇ね……男」
男「すごい奇遇ですね。ほぼ毎日欠かしてないんじゃないかと思いますけど」
お嬢様「奇遇なものは奇遇なのよ。……ここで会ったのも何かの縁だわ。学校まで送って上げる」
男「家の前ですけどね。――でも、今日はいいですよ。雨でもないですし、たまには歩いていきたいなー……とか」
お嬢様「…………黒服」
黒服「はい。……失礼」
男「ふふふ……! 今日はいつもの様には行きませんよ黒服さん! さぁ、この俺の俊足に着いて――」
黒服「――乗れ」ガチャリ…
男「乗りまーす!」ショワァ…
お嬢様「……最初から素直にそう言えばいいじゃない」
男「いやいや、素直とは正反対の感情ですよ」
お嬢様「何を言ってるのかわからないわ。早く乗りなさい」
男「失礼します……」
バタン…
ブロロロ…
男(……ふぅ、しかし黒服さんを舐めてたな……。まさかあんなもの持ってるだなんて……)
男(だがまぁ、まだオムツの許容量には余裕がある。これぐらいで済んだことを幸運だと思おうか……)
お嬢様「――しかし、やはり面倒な気がするわ」
男「はぁ、面倒とは?」
お嬢様「こうやって男の家まで迎えに来ることよ」
男「…………奇遇じゃないじゃないですか」
お嬢様「……へぇ、言うようになったわね。――ねぇ、黒服。あの部屋の掃除はできてるかしら?」
黒服「もちろんでございます」
男「――あぁーっ! そ、そうそう、お嬢様さんにこの前窓を強化してもらって、すごい助かっちゃいました!」アタフタッ
男「改めて、ありがとうございます!」
お嬢様「……ってことはなに? 昨日はあの窓じゃなかったら危なかったって、そういうこと?」
男「あ、えっと……」
お嬢様「やっぱり……、目を離しておけないわ……。だから嫌だったのよ……、早くあの部屋に……」ブツブツ…
男「あ、あの、お嬢様さん? えぇっと……」
お嬢様「――はぁ、私の学校が女子高じゃなかったら、すぐに男を編入させるところなんだけど……」
男「い、いやいや……。あのレベルの勉強なんかできないですし……」
お嬢様「そんなのどうとでもなるものよ。ふふ、待っていなさい……。いずれあの学校を共学にして見せるわ」
男「い、いや、そんなことに情熱を向けなくても……」アハハ…
お嬢様「……それか、今日にでも私の屋敷に来るか。……どうする?」
男「どっちも嫌です」
お嬢様「……ふぅ、男も強情なものね。……まぁたしかに、焦ることもないのかしら」
キキーッ…
男「――あっ、それじゃあ降りますね。送ってくれてありがとうございます」
お嬢様「……男、覚えておきなさい」
お嬢様「――私から逃げられるとは、思わないことよ?」
男「おいーっす」ショワァアアアア…
バタン
ブロロロ…
―――学校 外のトイレ
男「――ふぅ、登校だけで1オムツか……。…………まぁまぁかな」
男「さて、教室に向かうとしよう」
先輩「――おっ、そこにいるのは男ではないか?」
男「おぉっと、先輩じゃないですかぁ……」ショワァ…
男(しまった……。つい条件反射で漏らしちまったぜ……。それにしても、厄介な人物に見つかってしまった……)
先輩「いやぁ……、まさか朝から男に会えるだなんて、私は幸せ者だなぁ」ニコッ
男「はははっ、おはようございますー。……それじゃ、教室行くんで」
ガシッ
先輩「――まぁまぁ、男よ。まだ始業のチャイムまでは時間があるし、少し私に付き合ってはくれないか?」
男「い、いや先輩……。しょ、正直、いつもアレに付き合うのは体が持たないと言いますか、えぇっと……」
先輩「そう言わずに……だ。私と男の仲じゃないか……なぁ?」
男「い、いや………………」
先輩「……問答無用だ」ボソッ
ギュッ‼
男「――――っ」ウグッ…
先輩「……そう、それだよ……! やっぱり男は最高だ……!」グググ…‼
男「――――ッ!」パンパン‼
先輩「苦しいかな? ……でも、もうちょっと……。私は、男のその苦悶に満ちた表情が大好きなんだ……!」ゾクゾクッ‼
男(息が……ッ! 本当にマズい……!)
先輩「……男、やめてほしい?」
男「――――っ!」コクコクッ‼
先輩「それじゃあ、私の目を見て『もう辞めてください』って言ってみせてくれ」
先輩「ほら……、早くしないと……」ググッ‼
男(そ、そんなこと言われても……! 声が……っ)
先輩「……喋れないかぁ。……じゃあ少し緩めてあげよう」
スッ…
男「――も、もう……っ、や……めて……くだざい……っ!!」
先輩「――――っ」ゾクゾク‼
スッ…
男「――ゲホッ、ゲホッ……! うぐっ……」
先輩「あぁ……すまないな男。どうしても、男を見ると苦しめたくなってしょうがないんだ……!」
男「い、いや本当に……。俺にそういう趣味は無いんですよ……!」
先輩「でも、その苦悶の表情のなかで懇願する男の表情はやっぱり格別だよ」
男「ごほっごほっ……。ま、まぁ……先輩がそれで喜んでくれたなら良かったです……」
先輩「………………っ」ゾクッ…
先輩「――男のその表情は私のものだ。誰にも見せたくない。誰にも見せるわけにはいかない……」
男「心配しなくても、他の誰かに見せる機会は滅多にないと思います……」
先輩「な、なぁ、男?」モジモジ…
男「な、なんですか急に……」
先輩「男は、乗馬ムチとばらムチだったらどっちが好きだ?」
男「どっちも嫌いでーす!」
先輩「そ、そういわずにだな……! 今度持ってくるから……!」
男「絶対嫌です! 何度も言うように、俺にそんな趣味は無いんですって! というか何で持ってるんですか!」
先輩「大丈夫だ。最初は体に痕を残さないようにだな……」
男「そういう問題じゃないんですよ!」
男「――あぁもう俺は行きますから! さようなら!」フンッ
先輩「あ、待ってくれ男」
男「なんですかっ!?」
先輩「――もう一回、やってもいいか?」ニコッ
男「うぇーい!」ショワァアアアア…
――――――
――――
――
―――学校 保健室
男「――んはぁっ!!?」ガバッ
男「あ、あれ……ここは保健室……?」キョロキョロ…
保健「あぁ、男くん。目が覚めた?」
男「ほ、保健先輩……。なんで俺はここに……?」
保健「先輩さんが連れてきたの。もう、また技の練習台になってあげたの? もう、たまには断らないとダメだよ?」
男「あ、あはは……」
男「――って! お、俺どのくらい寝てたんですか!?」
保健「あぁ、寝てたって言っても少しだけだよ。始業までは時間あるから、落ち着くまでゆっくりしてて」
男「そうですか……。それはよかったです」
保健「うん。私もここに居るから」
男「あー…………」ハッ‼
男「――……も、もう全然大丈夫なので行きますよ。保健先輩もやることあるでしょうし……」
保健「私の事は気にしなくていいよ? ……だっていつもの事だもん……ね」ニコッ
男「い、いや、本当に大丈夫ですから! えぇっと、それじゃ……」
保健「………………」スタスタ…
ガチャリ
男「……あ、えっと……なんで鍵を閉めるんですか……」
保健「いつもの事だから。……だから、男くんもわかってるよね?」ニコッ
男「え、えぇっと……」
保健「ほら、そこに横になって?」
男「………………」オズオズ…
保健「うふふっ。いい子いい子……」
――――――
保健「――はぁーい。それじゃ膝枕してあげますねー?」ナデナデ
男「…………わ、わーい……」
保健「男くーん、うれしいですかー?」ウフフッ…
男「う、うん………………」
保健「はいはい、男くんはかわいいですねー」ナデナデ
男「………………」
保健「…………男くん?」ゴゴゴ…
男「――わ、わーい! ほ、保健先輩大好きー……」カァアアア…
保健「………………」
男「あっ……。――お、お母さんダイスキー……」
保健「きゃー! なんて可愛い子なんでしょう!」ナデナデ
男「………………」
保健「でも、いつも私に甘えてばかりじゃダメですよー? お母さん離れしないと……」
男「……あー、そうです――」
ツネッ‼
男「――っ! い、イヤだなー。お母さんとイッショニイタイナー」
保健「もう、甘えん坊さんですねぇ」ナデナデ
男(軽く死にたい……)
キーンコーンカーンコーン…
保健「――あぁ、予鈴が……。この時間が永遠に続けばいいのに……」
男「……あ、あの保健先輩……。そろそろ……――」
ムギュッ‼
保健「――はぁー、可愛い男くん……! 本当に可愛い……」
男「あ、あの……っ!?」
保健「――もう、食べちゃいたいぐらい」
男「フッフゥー!」ショワァアアアア…
――――――
保健「――それじゃ、またね」ニッコリ
男「あっ、はい……」
スタスタ…
男「――なんてこった、また漏らしちまったぜ……。……というか、先輩の時のオムツから変わってるんだけど……」
男「……いや、考えないことにしよう」
―――学校内 男子トイレ
ヌギヌギ…
男「――始業までで3オムツかぁ……。最高記録は6オムツだが、油断はできないな……」
ガチャ…
友「ふっふーん……。――うおっ!」
男「ん? ……あぁ、友か」
友「お、おう……。流石に学校のトイレでオムツ姿の野郎を見るとビックリするもんだな」
男「あぁ、まぁ気にすんなよ」
友「まさか俺の方がその言葉をかけられるとは……」
友「――しかし、男も大変だな。たしか膀胱の病気なんだっけ?」
男「まぁな。もう慣れたもんだぜ」
男(もちろん嘘だけど、そういうことにでもしとかないとな……)
友「一日でオムツどのくらい消費するんだ?」
男「うーん……。まぁ25ぐらいかな」
友「新生児なんて目じゃねぇな」
男「へへっ、やめろよ」テレッ
友「一ミリも褒めてなんかねぇぞ」
男「……ところで、そういう友は何しにトイレに来たんだよ?」
友「いや、なんで俺のほうがおかしいみたいな目で……」
友「――まぁいいや。ワックスつけてるからさ、髪を整えたりだよ」
男「ほーん。どうでもいいわ」
友「しばき倒すぞ」
男「――さて、オムツも履き替えたし、先に教室行くわ。んじゃな」
友「おーう……」
気晴らしに、ゆっくり適当にやっていきます。
書き溜めなんかないですが、長くもならない予定です。
―――学校 トイレを出た廊下
男「――ふぅ、やっぱり新しいオムツは快適だぜ」
男「……ん? あれってもしかして……」
後輩「………………」スタスタ…
男「後輩か……。まぁ、出会わないに越したことはないよな」
男「隠れよう……」コソコソ…
スタスタスタ…
男「………………」
男「………………」
後輩「………………」
男「…………行ったか?」
後輩「誰がですか?」
男「………………」ショワァ…
後輩「……誰から隠れてたんですか?」ガシッ
男「――アレだよ。……そう、それは幼き日の追憶。その眩しさに思わず隠れてしまったんだよ」
後輩「ちょっと何言ってるかわかんないです」
男「だろうな。大人になればわかるさ」
後輩「はぁ……」
男「それじゃ、俺は教室行くから――」
グイッ
後輩「まぁまぁ。せっかくこうして会えたのですし、少しお話ししましょうよ」
男「えぇ……」
男「……というか、なんで俺に気付けたんだ?」
後輩「え? そりゃ、匂いでわかりますよ」
男「あ、ふーん……」
後輩「男先輩の匂いだったら、一キロ先でもわかります」
男「怖いよ」
ムギュッ
後輩「――はぁー、男先輩っていい匂いですー」
男「まぁ、臭いよりはいいけど……」
男(というか、さっき少し漏れちまったし……。その匂いじゃないよな……)
後輩「どうすればこの匂いを出すことができるんでしょう?」
男「知らんよ」
後輩「私、思うんですけど……。この前の授業がですね、人間の体についてだったんですよ」
男「ほーん」
後輩「そしたらなんと、人間の血液は120日で入れ替わっちゃうそうなんです」
男「へぇー」
後輩「――ってことは、120日の間ずっと男先輩の血液を飲めば……。私の血と入れ替わるってことじゃありません?」ニコッ
男「いや、ちょっと何言ってるかわかんない」ショワァアアアア…
後輩「そうすればー、きっと私もこの匂いを出すことができるんじゃないかと……」
男「えぇ…………」
後輩「それか、120日で男先輩を食べれば……」
男「えっ」
後輩「――なーんて、そんなことしたら男先輩居なくなっちゃいますし、現実的じゃないですよね」アハハ…
男「それに限らず、全部現実的ではないよ」
後輩「……ただまぁ、他の誰かに取られるぐらいなら……」ボソッ…
男「………………」ダラダラ…
後輩「まぁ、今日の所は妥協します。……だからワイシャツ下さい」
男「えっ、ヤダよ」
後輩「じゃあ、男先輩に襲われたー。って叫びます」
男「まぁなんだ、落ち着けよ……」ヌギヌギ
後輩「わぁ! ありがとうございますー!」
――――――
――――
――
―――学校 トイレ
ガチャ…
男「おいーっす」
友「ん、なんだ忘れ物――えっ……。お前、ワイシャツどうしたんだよ……」
男「まぁ、色々あってな」
友「ワイシャツ取られるって、某マンガの世紀末でもそうそうないぞ」
男「ついでにまた漏らしちまったよ」ヌギヌギ
友「この数分で何があったんだよ……」
男「――まぁ、オムツもワイシャツも替えはあるから大丈夫だ」スッ…
友「準備いいな」
男「まぁ、備えあれば憂いなしっていうしな」
友「それにしても備え過ぎだとは思うけどな」
男「……よし、着替え終わった」ガサゴソ…
友「ちゃんとビニールに入れてるのな」
男「まぁな。持って帰らないと、さすがにここの掃除当番がかわいそうだろ」
友「誰のだかモロバレだしな」
男「てか、お前はいつまで髪を整えてんだよ」
友「いやいや、そのぐらいお前が戻ってくる時間早かったんだよ。まだそんな時間経ってねぇよ」
男「見た目変わってねぇぞ」
友「ほざいてろ。……あぁ、そうそう。今日担任休みだってな」
男「えっ」
友「だから、代わりに先生が来るって」
男「…………あ、ちょっと用事を思い出したわ」
友「は?」
男「先生には『男は宇宙との交信に行った』とか適当に言っといてくれ」グッ
友「適当にもほどがあるな」
男「とにかく、頼んだぜっ!」
ガチャ‼
――学校 屋上
男「――ふぅ、先生が来るとなると何言われるかわからないし……」
男「まぁ、一時間目までは屋上でのんびり――」
「あれ~? 男じゃーん」
男「――っ」ビクッ
男「……って、ヤンキーさんか」
ヤンキー「おいーっす! なになに、男もサボってんの~?」
男「いや俺は……。……まあ、そうなるのかな」
ヤンキー「いいね~。じゃああたし達おそろいだ~」
男「ははっ、そうだね」
男「ヤンキーさんは、いつも屋上に居るの?」
ヤンキー「いや~? 気分よ、気分。なんか高い所に行きたくてさ~」
男「ふーん、そうなんだ」
ヤンキー「……男はさ~。えぇっと……そのさ~」モジモジ
男「ん、どうしたの?」
ヤンキー「い、いや~、男はいつも屋上に居るのかな~……ってさ~」
男「いやいや、いつもは居ないよ。なんていうか、危機回避だよね」
ヤンキー「なんだ、そうなんだ~……。なにかあったの~?」
男「まぁ、大したことじゃないよ」
ヤンキー「ふぅーん……。――まぁ何かあったらさ、あたしに言いなよ~。悪いやつやっつけてあげる~」ニコッ
男「ふっふっふ……。これでも男だぜ? 逆にヤンキーさんを助けてあげるぜ」
ヤンキー「あはは~、じゃあ危なくなったら呼ぶね~」
男「えっ、あ、あぁ……うん……。……まぁ、本当に危なかったら逃げようね」グッ‼
ヤンキー「そ、そうだ……。じゃ、じゃあさ、あの……連絡先とか~――」
バコォンッ‼
「――ヤンキー! こんなとこに居たのかよっ!」
ヤンキー「…………ちっ」
男(あれ、なんかガラの悪い人が……)
「この前カラオケ行こうって誘ったじゃねぇかっ!」
ヤンキー「あたしは行かないって言ったじゃ~ん?」
「お前がこなかったら……――」
男「お、俺は邪魔かな……?」
ヤンキー「いや、すぐ終わるから~――」
「誰だテメェ?」
男「えっ」
「……そうか、お前がヤンキーの彼氏なんだな……」
ヤンキー「……あ…………っ」カァアア…
男「いやいやいやいや……!」ブンブンッ
「――っ! テメェなんかぶっ飛ばして――」
男「ひっ……!」ショワァ…
ドゴォッ‼
「ごふぅっ!!?」
ヤンキー「……男に手ぇ出すんじゃねぇよ」
「ご、ごめ――」
ヤンキー「ってか、間の悪い時に入ってきやがって――ッ!!」
バキッ‼
ドゴッ‼
男「わぁ、ヤンキーさんつよーい!!」ショワァアアアア…
ヤンキー「――あ~、疲れた~」
男「お、お疲れ~っす」ビクビク…
ヤンキー「……あっ、ワイシャツにアイツの血が付いてる~っ! うわぁ……、気持ちわる~」
男「あっ……。そういえば、俺のでよければワイシャツあるよ」ゴソゴソ…
ヤンキー「えっ、本当に~? やったぁ~!」ヌギヌギ
男「い、いや、ちょっ――!」フイッ‼
男「――……も、もう着た?」
ヤンキー「うん~。……ちょっと胸がきついけど、まぁいいや~」
男「そ、そっか……。まぁ、よかったよ……」
男「――っと、もういい時間だな。……それじゃ、俺は行くよ」
ヤンキー「うん~! またね~」
男「ははっ、またね~」ガチャ…
ヤンキー「……って、あ、連絡――」
バタン
―――学校 トイレ
ガチャ
男「――ふぃー!」
友「……おぉ、戻ってきたか。お前先生になにしたんだよ? すごいオーラ放ってたぞ」
男「俺からは何もしたことはないんだよなぁ……」
友「ふ~ん?」
男「……さて、オムツ替えるか」ヌギヌギ
友「またかよ」
男「しかも、またワイシャツのストックが減ってしまった。……まぁ、さっきのはしょうがないか」
友「い、いやだから、お前は学校で何に巻き込まれてんだよ……」
男「あーほら、さっき言ったろ。宇宙と交信するのにワイシャツ一枚使うんだよ」
友「どんな設定だ」
男「そんな設定だ。……さて、今日の一時間目は――」
――――――
――――
――
―――学校 職員室
男「――失礼しましたー」
男「ふぅ……、ちょうど先生がいないみたいでよかった」
男「さて、教室に戻ってお弁当食べよーっと……」
スタスタ…
男「――っと、この道は茶道部の部室が……」
男「どうする、引き返すか? でも、お弁当食べる時間が……」
男「……まぁ、大丈夫か」
男「………………」ソロー…
茶道「あぁ、男くん。ちょうどいい所に」
男「あー……」ショワ…
男「……こんにちは、茶道先輩」
茶道「……気のせいかなぁ? 嫌な顔してないですか?」
男「いやいやー! そんなわけないじゃないですか」
茶道「ですよね? よかったぁ、かわいい後輩くんにそんな顔されたら……私……」
茶道「――ところで、少しお時間を頂いてもよろしいですか?」
男「あ、あぁいや……。お、お腹減っちゃって、お弁当食べたいなーって……」
茶道「ふふっ、なら大丈夫ですよ。良い茶葉を譲っていただいたので、一服だけ……。いいですよね?」
男「いや、あの……」
男(茶道先輩のことだから、何もないとはとても思えないんだけど……)
茶道「いいですよねぇ?」ニコッ
男「……はい」ショワ…
茶道「そう言ってくれると思ってました! さぁ、部室へどうぞ」
男「おじゃまします……」
――
――――
――――――
茶道「――では、どうぞ」スッ
男「あ、ありがとうございます……」
茶道「………………」ニコニコ
男「………………」
茶道「………………」ニコニコ
男「………………」
茶道「…………飲まないんですか?」
男「ちょ、ちょっと心の準備がですね……」
茶道「心の準備? どうしてそんなものが必要なんでしょう?」
男「えぇ……、前のこと忘れたんですか?」
茶道「さぁ? ほらほら、遠慮せずグイっと」
男「せ、先輩は飲まないんですか?」
茶道「はぁ……、後輩くんにこんなに疑われるなんて……。悲しいです……」オヨヨ…
茶道「――わかりました。じゃあ私が先に……」スッ
男「ちょっと待ったぁ!」
茶道「……っ!」ビクッ
男「先輩のそのお茶と、俺のこのお茶……。交換しましょう」
茶道「は、はい? な、なんでそんなことする必要が?」
男「ふふふ……、この俺がいつまでも茶道先輩の思い通りに動くとは思わないことですねぇ」
男「この、俺のもとにあるお茶とそのお茶。中身は同じ筈でしょう? じゃあ交換しても何の問題もないはずですっ!」
茶道「い、いや、でも……」オロオロ…
男「へぇ、なにか交換できない訳でも?」フフン
茶道「…………わ、わかりました……。どうぞ……」クッ…
男「……じゃ、お先にどうぞ先輩」
茶道「えっ?」ビクッ
男「まさか、飲めないなんてことはないですよね?」フフフ…
茶道「い、いや待って。これはもともと男くんをもてなすためのお茶であって……」
男「そうですか。それじゃ、先輩が飲んだら俺も飲みます」
茶道「うっ…………」
男「さぁ……! さぁさぁさぁ!」ズズイッ‼
茶道「お、おかしいですね……。どうしてこんなことに……」
男(これはいいぞ……っ! 俺が茶道先輩に対して優位に立ててる!)
茶道「――はぁ……わかりました。なら一緒に飲みましょうか」アハハ…
男「ふふ……ついに諦めましたね」
茶道「まったく……。今日の後輩くんは手強かったよ……」
男「えぇそうでしょう、そうでしょう!」
ズズ…
男「…………あれ?」
茶道「――まぁ、関係ないですけどね……」ニコッ
男「………………」ショワァアアアア…
茶道「うふふ。本当、かわいい後輩くん。一緒に飲んでくれるなんて」ニコニコ
男「や、やっぱりお茶に何かを……!? ――で、でも……」
茶道「……そう、もともと男くんが飲むほうには眠くなるお薬が入ってました」ウトウト…
男「……えっ?」
茶道「――そして、私が飲む予定のほうには興奮するお薬を」
男「えっ」ドキドキ
茶道「……まぁ、襲われるのもいいかなぁ」ボソッ…
男「えっ」ショワァアアアア…
―――学校 トイレ
男「――ってなことがあってな。いやー、危なかったぜ」ハッハッハ
友「お前はいったい何に巻き込まれてるんだよ……」
友「――しかし、結局その後どうしたんだ?」
男「まぁ正直、かなり危なかったんだけどさ。……自分の小便で重くなったオムツを見てたらさ。……なんかさ」
友「あー……。なんかわからなくもないわ」
男「とりあえず、先輩はそのまま部室に寝かしてきたわ。まぁ、しょうがないよね」
男「……というか、なんで友はいつもトイレにいるんだ」
友「まるで俺だけがおかしいかのようにお前は言うけど、男のトイレに来る頻度も大概だからな」
男「しょうがないだろ。オムツが俺を待ってるんだから」
友「笑っていいのか迷うところだな」
男「――ってか、俺は早くお弁当食べねぇと……。じゃあな」
友「あぁ、弁当か……。って、そういえばお前の弁当が――」
バタンッ‼
―――教室
ガララッ
男「BEBEBEお弁当~……♪」フンフーン
「――やっと来たわねっ、男!!」バァンッ‼
男「おおぉうっ!?」ショワッ…
男「……って、なんだ家庭さんか。どうしたのさ、急に」
男(――ちくしょう、こんな些細なことでショワってしまうとは……。俺もまだまだだな)ハハッ
家庭「なに笑ってるのよ?」
男「いや……、ショワラーとしての未熟さにちょっとね……」
家庭「はぁ? ――って、そんなことはどうでもいいの! なんなのよアレはっ!!」
男「なんなのって言われても……。いったい何のことさ? というか、俺は早くお弁当を――」
家庭「そ・の・お・弁・当・の・こ・と・を・言っ・て・る・のっ!!」グワッ‼
男「べ、弁当……!?」タジタジ
家庭「なんで中身が焼きそば一色なのよっ!!」
男「いや、なんで家庭さんが俺の弁当の中身を知ってるのさ……」
家庭「見たからに決まってるじゃない。そんなこともわからないの?」
男「それでわかったのは家庭さんに常識が通じないってことだけだよ」
男「――なんでって言われても、今日は母さんが作ってくれないから自分で作ったんだよ。ほら、時間なかったからさ」
家庭「まったく、ふざけてるわね」フンスッ
男「えぇ……」
家庭「しょうがないから、今日は私のお弁当を食べなさい」スッ…
男「いやいや、焼きそば食べるからいいよ。悪いし」
家庭「焼きそばなら私が食べたわ」
男「えぇ……」
家庭「ほら、時間もないし……。ちゃっちゃと食べちゃいなさいよ」
男「わ、わかったよ、いただくよ……」スッ…
家庭「――し、しかしまぁ、アレね。男の焼きそばを勝手に食べてしまったのは悪いと思ってるわ」ヒョイッ
男「もっと手前の段階で悪いと思ってほしかったなぁ」
家庭「と、いうことで……。特別に私が食べさせてあげるわ」ニコッ
男「いや、自分で食べるよ」
家庭「…………――と、いうことで! 特別にっ、私が食べさせてあげるわ!」
男「い、いやだから……」
クスクス…
ワァー…
ナニナニ?
男「は、恥ずかしいし、自分で食べるよ……」
家庭「男の羞恥心の問題なんて、私には関係ないの」
男「えぇ……」
家庭「これは男のお弁当を食べてしまった私による、一種の贖罪なわけ」
家庭「――あっ! べ、別に食材と贖罪を掛けてるわけじゃ……」カァアアッ
男「いやいや、まったく掛かってないというか、すげぇどうでもいいよ」
男「というか、家庭さんの贖罪だっていうなら大人しく俺に食べさせてよ……」
家庭「いやよ。だってそんなの建前で、私が食べさせたいだけだから」
男「なんでよ、もうメチャクチャだよ!」
家庭「ほら、早くその口を開きなさい」
男「だ、だから……俺は……――」
家庭「いいから……。早くその口開けって言ってんのよ」ゴゴゴゴ…
男「へいへいへーーいっ!!」ショワァアア…
家庭「――はい、あーん。……おいしい?」ニコニコ
男「う、うん……。け、けど、自分で食べたほうがおいしいカナーって……」
家庭「……私ね、人が食べてるところ見るの好きなのよね」ニコニコ
男「俺の話まったく聞いてないね」
家庭「あっほら。この卵焼きなんてお義母さんの味じゃない?」
男「えっ、いまニュアンスが変じゃなかった? えっ?」ショワ…
このSSまとめへのコメント
悪くない。