【モバマス】 安部菜々P 【菜々さん誕生日記念】 (16)

 ※注意※
発案から投稿まで5時間以下のクッソ適当な文章
ネタ被りがあっても不思議じゃない気がする題材
スレ主の曖昧なナナさん知識
ナナさんはすでにアイドル引退済み
以上のことに注意した上でご覧ください。なお、菜々さんが“私”という一人称を使っているのは、引退後をイメージしてのものです。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1526391334

「菜々~、ちょっといいか?」
 
私はPさんの呼び声に気づき、作業を中断して彼のもとへ向かいました。

「何ですか、Pさん」

「××にっていうことでうちの事務所に来た仕事があるんだけど、この日××は別の仕事入ってるからいけないんだよね。そこで、菜々が担当してる○○にこの仕事どうかなっていう相談。」

「どれどれ~。……確かにこういうアクティブな仕事は彼女向きですね。日程も……うん、大丈夫です!」

「そうか、じゃあ相手先に○○の宣材とプロフ送ってみるわ。」

「はい!よろしくお願いします!」

 彼は、パソコンに向き直り作業を始めました。私はせっかく立ち上がったのだし、と思い給湯室に行きコーヒーを淹れることにしました。最近は立ち座りの動作だけでも面倒に……。っといけません、いけません!“歳のことを考えるから年寄りになるんだ”って誰かも言ってましたし、明るくいきましょう!
 


用意するコーヒーカップは2つ、片方には砂糖一つとミルクを少し、もう片方には砂糖を3つとミルクをたっぷり。10年ちょっと前から染みついたいつもの2杯。私はそれらを持ってPさんのいるところまで戻ります。私の持つコーヒーのにおいに気づいたのか、彼がこちらを向きます。

「おお、いつもありがとな。」

「いえいえ、こちらこそうちの○○のことまでどうもありがとうございます。」

「まあ、今の俺は所属アイドルみんなのことを考えるのが仕事なんだがな。」

彼は“ハハハ”と笑いながら、砂糖ミルクマシマシの方のカップを私から受け取り、おいしそうに飲み始めました。“甘いものをとることが、集中力アップにつながる”というのが彼の言い分ですが、それ以外のところでも、たとえ夜寝る前であろうと甘いものを食べたがるのを、私はよく知っています。…べっ、別にやましいことしてるわけではなく、ただ寝る前の翌日に向けてのミーティングの時も、甘いお菓子とジュースを飲んでいるのを、1度や2度じゃなく見ているだけです!まあ、そんな甘党の彼との同僚生活も合計11年目です。

私がPさんに拾われてアイドルになったのが、11年前の春のある日のこと。メイドカフェの呼び込みをしていた私を、スカウトしてもらったのが始まりでした。それからの日々は、目まぐるしく、駆け抜けるようで、それなのに鮮明に思い出せます。アイドルになるという、どうしようもなく大きな夢を追いかけ続けていたナナにとって、忘れられない大切な思い出ばかりです。……アイドルデビューから10年目の秋に、私は引退しました。体のことやなんかもありますし、アイドルとして叶えたいことも叶えられました。ありていに言えば、満足してしまったのでした。そして今、私はアイドルの次のお仕事として……

「おっはよ~ございま~~す。ナナPさん」

アイドルをプロデュースすることを、選びました。

「あっ、○○ちゃんちょうどよかった。今新しくお仕事が決まったんだよ~」

「えっ、マジっすか!どんなのどんなの!!」

 この娘は、○○ちゃん。CGプロダクションの新人アイドルにして、私にとっての初めての担当です。Pさんやほかのプロデューサーさんのもとで半年ほど修業したのち、この春から一人前として担当アイドルを持つようになりました!○○ちゃんは天真爛漫なとってもいい子で、最近仕事も増え始めています。

「ほーい、これが資料だ。わからないことは、とりあえず菜々に聞くように」

Pさんが資料を○○ちゃんに手渡しました

「はーい!ありがとうございますPさん!!」

 こうやって、しっかりと返事をしなきゃいけない時には、敬語を使ったりもできるのが、この子のいいところです。
 Pさんはというと、私の引退を最後に担当アイドルを持つのをやめ、チーフプロデューサーとして、私を含むほかのプロデューサーのサポートをしてくれています。今回もほかのプロデューサーの担当アイドルに来た仕事を私のところに回してくれましたし、複数のプロデューサーの担当アイドルによるユニットを組むことを仲介してくれました。昔はPさん一人で無理やり回していたものでしたが、今はだいぶ落ち着いたものです。

「そういえば、菜々。今日の夕方、空いてるか?」

「あっ、はい。大丈夫ですよ。」

「それじゃあ、少し寄り道していってもいいか?」

「はい、いいですよ。」

Pさんからのお誘いを受けることにしました。……今日の日付を考えれば、どうして誘われたのかは見当が付きます。

「ああっ、デートだデート!!いいなぁ!」

「こっこっっこれはっっ、そんなんじゃなくってっ、そのぅ……!」

「はっはっは、あんまり菜々をからかうな。別にそんなんじゃないぞー。」

 混乱して答えに窮する私に、Pさんが助け舟を出してくれました。まったく、最近の子はマセてるというか、なんというか。とにもかくにも、大事な予定もできましたし、お仕事がんばるぞ~~!

――――――

「やっぱり、ここの並木は若葉が似合うよな。」

「そうですね。ここの並木は時々見てますけど、この時期が一番わくわくする色だと思います。」

「「……………」」

 沈黙が、しかし二人の心のつながりが感じられる心地よい静寂が流れます。この道を連れ添って歩くのも久しぶりですが、毎年この日だけはつづけてきました。

「この木の下だったな。」

「はい。呼び込みにつかれて、木陰で少し休んでいたナナにPさんが声をかけてくれて。そこから、私のアイドル生活がはじまったんです。」

 冗談みたいな話ですが、これは私の誕生日の日のことで、当時はまるで夢を見ているみたいでした。

「まさか、アイドルをやめてからも同僚やり続けるくらいに長い付き合いになるとはな。」

「ほんとですね。」



「「……………」」


 日が暮れて、涼しくなった風が心地よく頬を撫でていきました。

私の隣にいるのは二度も私の夢をかなえてくれた人。小さいころに抱いた、アイドルになりたいというあまりも大きな夢を。そして、アイドルを引退したら、今度は私が、誰かをアイドルにしたい、私にとってのPさんみたいに、夢を追いかける人を応援してあげたい、そんな夢を。私が願った夢をかなえてくれた恩人。………時折不安になります。私はこの人に何かしてあげられるだろうか。私は、恩返しできるだろうか。そんな不安を……。

「なあ、菜々」

「あっ、はい。なんですか?」

「今までありがとうな。」

「………ふぇっ?!」

「そんな驚かなくても……、ああ、別に仕事をやめるとか、そんなんじゃないからな。」

「…なんだ、驚かせないでくださいよ、もう。」

「いや、こんなタイミングじゃなきゃ言えないし。本当に菜々には感謝してるんだ俺。」

「……………?」

「…俺は、菜々をデビューさせたときまだ新米で、菜々をプロデュースするときもいろいろやらかしたよな。でも、菜々はそんな俺を励ましてくれて。……俺ホントに何回菜々のおかげで頑張れたか、わかんないくらいなんだ。菜々の淹れてくれるコーヒーがあったから、頑張ってこれたんんだ。だから、……その…。」

「…………?」

「………これからも、よろしく…。」

「…………!!」

 嬉しい。まるで狙ったように私の欲しかった言葉をくれた。この人は私をスカウトした、その時の言葉から、いつも私の欲しい言葉をくれる。

 私は胸が熱くなり、涙がこぼれそうになるのをこらえながら、


「はい!これからも、ナナのことをよろしくお願いします! ご主人様!!」

 そう言った。

以上になります。お目汚し失礼しました。
七代目シンデレラガール受賞の翌日が誕生日ということに今朝気づきまして、それからアイディアを練って、着地点を考え付く前に書き始めるなどの暴挙の末、どうにか当日中に投稿できる運びとなりました。
多々至らぬ点のあったであろう拙作にお付き合いいただきありがとうございました。
そして、安部菜々さんとその担当プロデューサーの皆さん、この度はおめでとうございました。

今回のSS作成にあたってニコニコ動画の、こちらの動画に影響を受けました。
もしよかったら、ご覧ください。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm28658702

個人的に、今回思いついた菜々さんとPが同僚として働いているというシナリオ、結構気に入っています。
もしかしたら、またこの菜々さんとPのSSを書くことがあるかもしれません。
もしまたお目にかかる機会がありましたら、温かい目で見守ってやってください。

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