大槻唯「ハイハイ、ハロー!"女子"はどう?」 (36)

モバマスSS
ガチレズ唯ちゃんがアイドルを食べまくっていくSS
わいだん事務所←超重要
唯ちゃんが複数人食っていきます

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はろー☆アタシは大槻唯!ゆいって呼んでね!
ゆいはキャンディが大好き!いつもペロペロしてるよ!
それと女の子が大好き!いつもペロペロしたいな!
アイドル事務所ってすごいよね!見渡す限り女の子、女の子、女の子!
女の子天国なんだもーん!

事務所にスカウトされた時はワクワクしちゃった!だって、アイドル事務所って言ったら、可愛いとびっきりの女の子がわんさかいるってことだもんね!
もちろんゆいはホイホイついてきちゃった☆

でもゆいってちょっとオクテだから……可愛い女の子を目の前にしちゃうとついつい淑女になっちゃって。
結局今まで誰にもアタックかけられてないんだよね。はぁ。

……でも変わらなきゃって思って。今日から気になった娘にアタックかけていくことにしたんだ!

ムラムラも限界だったしね!

とゆーわけで……最初は誰にしようかなぁ?

……そーだ!あの娘にしよっと!

綺麗な黒髪ストレート、翠眼のあの娘!

渋谷凛ちゃん!

凛ちゃんっていいよね。ツンって澄ました表情と、歌を歌っている時のシャキッとキリッとした表情のギャップ。最初見た時からずっと好きだったなぁ。
ゆいもね、凛ちゃんみたいにカッコよくなれるところがあったらいいなぁ、なんて思う時もあったんだ。
元気マークがウリのゆいだけど、ああいう風にカッコよくなれたらって思うんだ。
ちなったんもかっこいいから、かっこよさ、っていうのに憧れちゃうんだぁ。
そんなわけで。憧れの凛ちゃんに、突撃しちゃおーっと☆

~~~~~~~~
唯「ちゃーっす!凛ちゃーん!」

凛「唯、おはよう」

唯「凛ちゃん、今日もかっこいいねっ」

凛「ありがとう。唯、どうしたの?」

唯「凛ちゃんに用事があってさ」

凛「へえ、珍しい。どんな用事?」

唯「ここじゃちょっと恥ずかしいから、上来てくれる?」

凛「……いいけど」

ちょっと強引すぎたかな。凛ちゃん不審がっちゃってる。
でも上の会議室は誰もこないから、これから好き放題できちゃう!
"ふくりこーせー"ってゆーの?はこうやって活用しなきゃね!

唯「ついたよっ。会議室だけど」

凛「……ソファしかないけど、ここ本当に会議室?」

唯「細かいことは気にしないの☆」

凛「……で、用事って何。こんなところに呼び出して一対一だなんて、相当大事みたいだけど」

唯「それはね……えーいっ☆」

凛ちゃんをソファに押し倒して組み敷くゆい。
凛ちゃんはジトッとした目でこっちを見つめてる。

凛「……唯、なんの冗談?」

唯「冗談じゃないよ、本気」

凛「本気って、どういうこt……んむっ!?」

すかさず凛ちゃんの唇を奪う。直前まで心臓ばくばくだったけど、いざこうなっちゃうとどうにでもなれって感じで。意外といけちゃうもんだね。

唇を奪われた凛ちゃんは顔を真っ赤にして目を白黒させてる。可愛いっ。

凛「ゆ、唯……どういうことなの……!?」

追撃のキス。今度は舌を入れて、ディープなちゅー。直前まで飲んでたのかな、ちょっと苦いコーヒーの味がする。
硬口蓋から歯茎の裏にかけて、ゆっくり、でも着実に口の中を愛撫する。
凛ちゃんの腰がガクガクいってるのがわかる。かわいーなぁもう。
口を離すと、凛ちゃんと唯の間に銀色の橋がかかる。それがふつっと切れても、凛ちゃんは何が起こってるかわかってない様子だった。

凛「あっ……んっ……」

唯「凛ちゃん、気持ちよかったでしょ?」

凛「そ、そんなこと……」

唯「でも腰浮いてたよ」

凛「ッ……なんのつもりなの!」

キッ、と睨む凛ちゃん。あーぁ、怒らせちゃったかも。そりゃそうか。いきなりキスはだめかぁ。

唯「ごめんね、怒らせるつもりじゃなかったんだ。ゆいね、凛ちゃんが好きなの」

凛「……!?」

あからさまに驚く凛ちゃん。キスされてもわからないなんて、ゆいちょっと傷つくなぁ。
でも、言葉にして伝えないと、きちんと伝わらないもんね!

唯「ねえ、凛ちゃんて、彼氏いる?」

凛「……いないけど」

唯「じゃあさ、じゃあさ!凛ちゃんゆいと付き合っちゃおうよ!ねっ!」

凛「ねっ、じゃなくて……」

唯「ゆいじゃ、嫌?」

凛「嫌じゃ……ないけど……」

凛「私たち、女なんだよ?」

唯「カンケーないっしょそんなこと!ゆいは凛ちゃんが好き。凛ちゃんは?唯のことが?」

嫌い。なんて言われたらゆい倒れちゃうけど。でもそうなったらそうなったで、諦めるしかない。

凛「……嫌いじゃない、けど」

唯「嫌いじゃない、けど?もっとはっきりー!」

凛「………………すき」

やったー!凛ちゃんと恋人になっちゃったー!
嬉しいなー!あんなかっこいい凛ちゃんと唯がカップルなんて、夢みたい!
ふふふ、嬉しいな。よかった。無理やりだったから、嫌われちゃうって思ってたけど。
……でも、いきなりオッケーなんて、凛ちゃんもしかして前から唯のことが好きだったり……したのかな?どうなんだろ?

凛「……私もね、本当は唯のこと気になってたんだ」

うっそー、マジでー!?

凛「でも、もうこれで堂々とできるね。これからよろしく、唯」

そう言って、凛ちゃんはアタシに優しくキスをしてくれた。

~~~~~~~~~
ゆいはどうしようもなく浮気性なのかもしれない。
凛ちゃんと付き合って1週間だけど、お互い結構忙しいから、会えない時もあったり、2人きりになれないことがあって。
で、そのうちに凛ちゃんから気持ちが離れて行っちゃう気がして、怖くなった。
ゆいは凛ちゃんが好き。それは間違いない。

……でも、他の子も気になっちゃって。それで、ここ三日くらい、ちょー悩んでた。

アタシって、裏切り者なの?浮気者?だめな女?

そうやって悩んでるうちにも、他の子がどんどんどんどん気になっちゃって。

悩みに付き合って、っていう体で、加蓮ちゃんを食事に誘っちゃった。

といっても、近くのファストフード店だけど。

加蓮「へー、唯に恋人ねー」

加蓮ちゃんには凛ちゃんのことは伏せてある。その上で、恋人とうまくいかない、みたいなことを相談する体で加蓮ちゃんと2人きりになった。

……実は加蓮ちゃんも、ゆいの好きな子だ。
凛ちゃんみたいにガチッとした雰囲気じゃなくて、どこか儚げで。でも物事を言うときはズバリと本音で核心を突いてくる、心の強さが素敵で。
ゆいにはそんなことできないから、加蓮ちゃんは凛ちゃんとは違ったベクトルで、すごく魅力的なんだ。

それに、たまにニコッとすると、それがすごい可愛くて。
さっきも冗談を言ったり、話の返しとかで、たまにクスッと笑ってくれるんだけど、それがすごい可愛いんだ。
だからついゆいも冗談が多くなっちゃう。
それで「唯って、そんなに面白かったっけ」なんて言われちゃった。面白いって言ってくれるのは嬉しいけど、そうじゃないんだよなぁー……

加蓮「その恋人って、どんな人?」

……こーやって、ズバッと切り込んでくる。
ゆいはうまく隠して凛ちゃんのことを伝える。

加蓮「ふーん……その人、多分唯のことをちゃんと気にかけてると思うけどなぁ」

唯「それはわかってるんだけど……でも、なんとなくすれ違ってる、ような気がして」

加蓮「それって唯がフラフラしちゃってるんじゃない?」

またズバッと射抜かれる。そうなんだよね。唯が浮気性なせいで、凛ちゃんに迷惑かけちゃってる。
凛ちゃんといるときは、そりゃちゃんとしてるけど……
でも、今こうやって加蓮ちゃんに正面で話してると、加蓮ちゃんとも一緒になりたいなんて、思っちゃう。

……逃げちゃってる、気がする。

唯「そう……かも」

加蓮「ダメだよ。恋人に対して失礼だよ、それ」

唯「そうだよね……」

加蓮「……ごめんね、ちょっと言いすぎたかも」

唯「あはは、大丈夫大丈夫」

気まずい空気。これを打破するには……

……ええい、ままよ!

唯「そだ!加蓮ちゃん、ポッキーゲームって知ってる?」

加蓮「何藪から棒に。知ってるけど?」

唯「それをさ、ポテトでやらない?」

加蓮「なにそれ。どうしちゃったの唯」

唯「勝った人はこれオゴりねー☆」

加蓮「なに言ってるの、バカじゃないの」

唯「はい加蓮ちゃん、んー☆」

長いポテトを咥えて、加蓮ちゃんの方に突き出す。

加蓮「はぁ……もう」

渋々ながらも付き合ってくれる加蓮ちゃん。
さくさく。さくさく。

……口を離さない加蓮ちゃんを追い詰めるように、ゆいは一気に距離を詰めた。
さくさくさくさくさくっ。

面食らった加蓮ちゃんはポテトから口を離そうとしたけど、そうする前に、ポテトが無くなった。

ゆいの唇と加蓮ちゃんの唇が重なる。

ここはファストフード店の、角席。誰にも見られない死角になっている場所で、ゆいは加蓮ちゃんと初めてのキスをした。

加蓮「……これが目的だったんだね」

唯「ごめんね、ずるくて」

加蓮「いいよ、別に」

加蓮「……恋人さんにバレても、知らないよ?」

唯「あはは、それはちゃんと、隠すから……」

加蓮「……まったく」

じゃあ、改めて。

唯「加蓮ちゃん。私と付き合ってください」

加蓮「……いいよ。ただし、誰にもバレないようにね」

こうして、私は2人目の恋人を得てしまった。

~~~~~~~~
ゆいは自分のしたことを後悔している。2人の恋人とうまくやっていくことも含めて、
2人の恋人がある自分に対する自罰感情が日に日に増大してきて、どうにかなりそうだった。
加蓮ちゃんと凛ちゃんが歩いてるのを見たときなんか気が気じゃなかったし、
もしバレたら2人に幻滅される、嫌われる、って思ったらもっと気が気でなくなった。
ゆいの見えないところで本当はバレてるんじゃないかとか、色々気になって眠れない日が続いた。

でも今度こそ本当に自業自得だから誰にも相談できない。ついには仕事にも身が入らなくなり始めてた。
まずいと思った。公私混同なんて、ダメすぎる。そんなのゆいの目指すアイドル像じゃない。

だから今度は2人を遠ざけてみたりしたけど、そうすると今度はムラムラが治らない。どうしようもないよ、ゆい。

二進も三進も行かない状況でゆいは疲れ果てていた。


そんな時に、杏ちゃんに出会った。

杏「あ、唯ちゃんだ。おっつー」

唯「杏ちゃん、おつかれ」

杏「お疲れなのは唯ちゃんでしょ。どうしたの。顔死んでるよ。トレーニング入れすぎなんじゃないの」

唯「そうかも」

杏「おいおい、いつもの唯ちゃんはどこ行ったんだー」

唯「ごめんね、杏ちゃん、ゆいちょっと疲れてるかも」

杏「疲れたときはねー、こうやってぐっでーってするのが一番なのさー」

杏ちゃん。ゆいと同い年でありながら、背がちっちゃくて童顔な娘。きらりちゃんや仁奈ちゃんと仲が良くて、いつも一緒にいる。
万年だらけてるように見えて、やるときは本当にやる娘なんだよね、杏ちゃん。
誰よりも完璧で、誰よりも優秀。天才って言葉が似合うくらい、すごすぎる女の子。
そんな杏ちゃんも、ゆいの好きな娘に数えられる。

唯「ぐでーって、こう?」

杏「そうそう。ぐっでーって。ぐでーって」

唯「ぐでー」

ソファにもたれかかると、杏ちゃんの匂いがした。
飴の匂いと、ほんのり香るシャンプーの香り。

杏「おぉー、あまり見ない唯ちゃんのぐでり顔。こりゃお宝だぞー。写真にしたら一枚いくらで売れるかなー」


シャツ一枚しか着ていない杏ちゃんの、意外とある胸の、浮き出たその先端。


唯「もー、杏ちゃん」

杏「冗談だってー。それにしても本当に疲れてるね。飴いる?」


杏ちゃんは飴玉を口の中で転がしながら。


唯「いるー」


ゆいはまた。



間違いを犯した。

~~~~~~
唯「れろ……あむ……むじゅ……ちゅぷ……」

杏「あう……んむ……ちゅぷ……じゅっぷ……」

ゆいが杏ちゃんの唇に舌を突っ込んで、貪るようにキスをしたのがついさっきのことで。
そこから、飴を交換するように舌を縦横無尽にお互いの口の中で暴れさせて。

どれくらい経ったろう。飴が溶けて消えて無くなる頃には、日が傾いていた。

杏「……唯ちゃん、ちょっとスッキリした顔してるね」

杏ちゃんはちょっと上気した様子で、そんなことを言った。

杏「杏でよければ、また付き合うよ」

唯「……お願いしちゃおうかな」

ゆいの十字架は、3つに増えたのだった。

~~~~~~~~~~~~
ゆいはいっそ吹っ切れていたと思う。
だから気が大きくなっていた。
暇さえあれば凛ちゃんとデートして、加蓮ちゃんとファストフードでちゅっちゅして、杏ちゃんと飴でレロレロして。
背負い込んでるのが馬鹿らしいと思うくらいに、なんだかタガが外れちゃっていた気がする。

でも、余裕はなかった。抱えてるものから目をそらして、空元気でこの2週間やってきてたと思う。
プロデューサーちゃんは「最近元気が有り余ってるな」なんて言ってたけど、実際はただの空元気。
暇だった時以上に時間に余裕はないし、寝ている時とご飯を食べている時以外は常に誰かと何かをしていた。

もうゆいは後には戻れなかった。

そんで、ムラムラもどうしようもなくなっていた。3人も恋人がいるからって、それ以上先に進めた訳でもないし、まだキス止まり。
そんな経験はないけど、でも興味はあって。やりたい、やりたい。
でも、誰かとそうすることが、だれかへの裏切りになっちゃうんじゃないかって思っちゃって。

だから、からかい半分、構って欲しさ半分で、すごくえっちな自撮りを送っちゃった。
顔と乳首だけを隠した、本当にきわどい写真を、ふざけたメッセージを添えて。




ありすちゃんに。

ありす「唯さん。お話があります」

その翌日くらいに、完全に怒ってるありすちゃんに呼び出しを食らった。
それを受け流すようにしてゆいは答える。ほんと、ふざけてるよ。ゆい。

唯「ちゃーっすありすちゃん☆どしたのー?」

ありす「どうしたもこうしたもありません。なんですか、先刻のLINEは」

唯「ちょーっとムラっとしちゃってー?」

ありす「ムラっとして、ではありません。公然猥褻ですよ」

唯「先っぽ隠れてるもーん☆」

ありす「そ、それでもわいせつなものはわいせつです!!」

唯「ワイセツねぇ……」

ありすちゃんはお堅い娘だけど、こういう風にえっちなことに興味がある娘でもある。
クールで、いい意味で年不相応に大人な娘だけど、子供っぽいところもあって。
真面目で大人になろうと一生懸命なところ、ゆい、大好きなんだよね。

それにね、ゆい、知ってるんだー。そのタブレットのブクマに、えっちなサイトがいっぱい入ってるの、こないだ見ちゃったもんねー☆

でも、からかい半分で送ったのがばれて、そっちに怒ってるのかも。

ありす「どういうつもりなんですか」

唯「どういうつもりだろー?」

ありす「はぐらかさないでください」

唯「じゃあありすちゃんはなんで唯に会いに来たの?嫌だったならスルーすればよかったんじゃん?」

ありす「う、ぐ……そ、それは……」

ありす「"パイパイ貼ろう女子はどう?"なんてふざけた文面を送りつけて来たから……!!」

唯「だから?」

ありす「ぐ……」

いじめすぎかな。

ありす「……いじわる……」

唯「あーもー、ごめんってー」

ありす「唯さん、私をからかってるんですか」

唯「ちょっとね」

ありす「……ひどいです」

まずい、このままだと嫌われちゃう。それは防がないと。

唯「ごめん、ほんとごめん。ムラムラ来てたのは本当だよ。で、からかってたのも本当」

ありす「……」

唯「あー、なんて言えばいいのかなー……」

唯「……ごめん、ありすちゃん」

ありす「橘です」

そこは譲らないんだ。

唯「最近恋人とうまくいかなくて……で、それでちょっと八つ当たりみたいになっちゃって」

ありす「なんで私なんですか」

唯「……好きな子には意地悪したくなるってゆーか?」

ありす「……はい?」

唯「……好きなんだよね、ありすちゃんのこと」

ありす「恋人がいるのにですか」

唯「そ。最低だよね、ゆい」

ありす「……私でよければ、話を聞きますが」

今まであったことを、全部名前だけ伏せて、ありすちゃんにぶちまけて。
ゆい、気づいたら泣いてた。ありすちゃん抱いて。

みっともないよね。年下の子の前で。しかも、八つ当たりした相手に。こんな。

ありす「……私も似たようなものですから、気持ちはわかるつもりです」

ありす「でも、唯さんの今の状態は、とても良くありません」

ありす「一度、全部明らかにするべきなのではないですか?」

唯「え……?」

ありす「……どういうことなのか、説明が必要みたいですね」

え?……え?

ありす「みなさんに正直に言うんです。それが一番ですよ」

唯「そんなことしたら……」

ありす「嫌われる、って思ってますか?」

唯「……」

ありす「大丈夫だと思いますよ。受け入れてくれますから」

唯「どういうこと?」

ありす「そういうことです。としか、申し上げられませんが」

唯「わかんないよ、どういうことなの」

ありす「当ててみせましょうか。唯さんの恋人……達を」




……えっ。

ありす「常に一緒にいますからね。わかりますよ」

唯「バレてたの……」

ありす「まず1人は凛さん。最初に付き合った人ですね?」

唯「うん……」


そこから、バシバシと当てられてって、ゆいは何も言えなくなって。


唯「……ありすちゃん、ゆいのこと、みんなにバラしちゃう?」

ありす「何かを勘違いしてらっしゃるようですが、そんなことはしませんよ」

ありす「……バレたところで、どうにもなりませんから」

ありすちゃんは突き放すように言った。

ありす「……本当に勘違いしてらっしゃるみたいですね。呼びましょうか、3人」

唯「それだけはやめて」

ありす「これは呼んだ方が早いですね」

唯「待って!!」

ありす「杏さんはとなりに、凛さんと加蓮さんはすぐに来るそうですよ」

……終わりだ。

これで、全部終わり。

思えば、最初から唯のわがままばかり通してたよね。

凛ちゃんをいきなり押し倒して。

加蓮ちゃんにどさくさに紛れてキスして。

杏ちゃんとありすちゃんに、八つ当たりみたいなことして。

全部、自業自得。

気づいたら、またゆいは涙を流してた。

会議室の扉が開いた。

ゆいは血の気が引いた。

凛「ありす、唯をいじめたら許さないよ」

ありす「いじめてませんってば」

加蓮「そうだよ、凛。唯は何にも知らなかったんだから」

杏「杏って居る必要ある?」

ありす「一応関係者ですから」

……え?どういうこと?

凛「……本当に気づいてなかったんだね」

加蓮「そりゃ無理もないよ。だって唯、そこまで踏み込まないタイプだし」

杏「そりゃ事情を知らなかったら溜め込んじゃうよねー」

えっ?……えっ?

唯「みんな、ゆいを責めに来たんじゃないの……?」

呆れるような、やれやれというような、まあしょうがないよねというような、三者三様の反応。

ありす「まだ状況が飲み込めませんか」

唯「どういうこと……?」

凛「まずね、唯。私たちは私たちと付き合ってるんだ」

唯「へ?」

加蓮「だから唯と凛達が付き合い始めたのも知ってた。
でも、唯から伏せられて恋人って言われて、他の子かなって思っちゃって。ごめんね、気づいてあげられなくて」

杏「杏は知ってたけど、それでもあの時の唯ちゃんにはあれがやってあげられることの精一杯でさー……ほんと、気の毒とは思ってたんだけど」



何……何……?

凛「まず、心配しないで。私たち、唯のこと責めたり非難したりするつもりは無いよ」

加蓮「逆にごめんねって言わなきゃいけないかな」

唯「どういうこと……?」

凛「私たちも『女の子が好き』で、『いろんな娘と付き合ってる』ってこと」

加蓮「あたしもだよ」

杏「あんずも、かなぁー」

ありす「そして、私も、です」

え……え?

つまりゆいは……どういうこと?

凛「私じゃわかりやすい説明できないや。ありす、お願い」

ありす「しょうがないですね……」

ありす「『女の子が女の子と自由に恋愛する。複数人掛け持ちでも誰も何も言わない』事務所なんですよ、ここは」

え……

じゃあ、ゆいが今まで抱えてたものって……

加蓮「全部、唯の取り越し苦労だよ」

凛「嫌いになんてならないよ。むしろ唯が私たちの仲間なんだってわかった時、すごく嬉しかったもん」

杏「取り越し苦労って言い方はないんじゃないかな。唯ちゃん知らなかったんだよ」

加蓮「ちょっとくらい意地悪言わせてよ」

ありす「そういうわけです。わかりましたか、唯さん」

唯「わかったけど……なんだぁ~……」

罪悪感も、焦燥感も、全部唯の独りよがりだったんだ。
それがわかった瞬間肩の力が抜けちゃって、また涙が出て来ちゃって。

凛「もう、唯は泣き虫なんだから」

加蓮「泣きすぎて脱水になっちゃうよ」

杏「まあまあ。よかったじゃないの」

ゆいがホッとしてると、ありすちゃんが横から。

ありす「して、唯さん……私とはお付き合い願えますか?」

唯「堅いよありすちゃん!もっと『付き合って』でいいのに!」

加蓮「ありすちゃんはこういう子だから」

唯「それじゃあ……」

唯「これからよろしくね、ありすちゃん」

唯「それと、みんな!」




私たち5人は、それぞれキスを交わして会議室を後にした。

凛「唯が元に戻ってくれてよかった」

唯「やだなー、そんなに凹んでた?」

加蓮「凹んでたって言うか、すごかったよ。目が据わってたもん」

杏「あんずの時もすごかったなー」

唯「ちょっと、杏ちゃん、言うのはナシ!」

ありす「私にすごい自撮り送って来たんですよ唯さん」

唯「もー!それも恥ずかしいからやめて!」

何だかんだ、ゆいたちはうまくやってけるかも、って思った。
罪悪感の問題も焦燥感の問題もなくなったとはいえ、時間をうまく考えて付き合っていかないといけないのは本当だ。
何よりこの子達が付き合ってるってのがわかった時にふつふつと湧いて来たヤキモチをどうにかしなきゃいけないという問題もある。
今までみたいに1人で抱え込むことはないだろうけど、それでもゆいたちの恋愛は始まったばかりで。きっとこの先、いろんな大変なことが待ってる。

でも、今はこれでいいんだと思う。

凛ちゃんが急に立ち止まって、みんなも立ち止まって。

唯「?どしたの、凛ちゃん」

凛「唯、よろしくね」

杏「それと」

加蓮「ようこそ」

ありす「私たちの世界へ」




「ハイハイ、ハロー"女子"はどう?」って自分の「女子」を売り込んで行ったら逆に事務所の「女子」に飲み込まれたと言うオチの話でした。
葛藤をうまく書けたかどうかわからないけれど、ポリアモリーとその最初の出会いに対する戸惑いと受容が書けていたら幸いです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

今回は参考楽曲ナシです。ごめんなさい。
それではいい夢を。おやすみなさい。

依頼完了。

それと唯ちゃん、一日遅れちゃったけど、お誕生日おめでとう。いつまでも綺麗なみんなの太陽で居てね。
これからもよろしく。

それでは本当におやすみなさいませ。

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