先生「質問がある人」 (21)

先生「源氏物語の光源氏は、マナモトノトオルという人物がモデルであるとされています。次回の授業では側室という、二番目以降のお嫁さんを囲う当時の風習についても触れていきます。本日はここまで。質問がある人」

女「はい。先生は私を正妻にしてくれますか?」

先生「私語は慎むように」

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先生「ひな祭りは平安時代から行われていました。女の子を祝う日の起源はここまで遡れるのです」

女子生徒A「すいません、ちょっと保健室行ってもいいですか」

先生「どうぞ」

女「先生、今のも女の子の日ですか?」

先生「同性を売らないように」

女「先生、男子がおむつを履いて好きな子と話しながらおしっこをするのは変態扱いされるのに、女子が男子と話しながら経血を流すことは変態ではないのですか」

先生「変態ではありません。しかしおむつを履いて排尿をしながら話したら女子でも変態です」

女「なるほど。先生はおむつが強いですね」

先生「それをいうならおつむです」

女「先生、どうして男の人は、男性器ついてないみたいな顔をしているんですか」

先生「ついてるみたいな顔して歩いててもいいんですか」

女「だってついてるじゃないですか」

先生「だとしたら、普段の顔がついてるみたいな顔だと思えばいいんじゃないんですか」

女「先生今ついてるみたいな顔してる」

先生「猫またになりて、人とることはあんなるものを……」

女「先生。どうしてあなるって読まなかったんですか」

先生「あなたが10秒前からニヤニヤしていたからです」

女「あ、なるほど」

先生「あ、は余計です」

先生「以上が来週の校外授業の予定です。何か質問がある人」

女「先生。先生のバナナはあわびにはいりますか?」

先生「バナナはおやつに入ります」

女「七転八倒って、七回目で転んでいるのにどうして八回目で倒れられるんですか?」

先生「人は立ち上がることが前提になっている生き物だからです」

女「私が七ターン目に先生に転んでぶつかってしまったら、先生は八ターン目に何をしますか?」

先生「起こします」

女「先生下ネタぁ?」

先生「解釈を広げるのは小説を読む時だけにしておきなさい」

~テスト返却~

先生「はい、では次の人。女さん」

女「何点ですか?」

先生「96点だ」

女「いつも質問しているからですね」

先生「授業内容に関する質問だけでお願いしたい」

女「難点ですね」

女子生徒A「先生、この過去問の漢字の意味なんですけど……」

女「邂逅(かいこう)ね。出会いを意味するよ」

女子生徒A「じゃあこっちの漢字は」

女「砌(みぎり)。始まりを意味するよ」

女子生徒A「ありがとう女ちゃん」

女「ううん、気にしないで。ところで先生、海綿体ってどういう意味ですか」

先生「知ってることは質問しない」

女「先生、スカートの内側を仰ぐ女の子ってどう思いますか?」

先生「そんなに暑いかなぁ?って思いますね」

女「先生もチャック空けて仰いでみませんか?」

先生「お口にチャックしてください」

女「先生。ここの登場人物の心情なんですけど」

先生「それは風景描写を手がかりにしてですね」

女「……なるほど、ありがとうございました」

先生「…………」

女「先生、普通の質問だけでさびしくなったでしょ」

先生「あっ、チャイムがなりましたね。今日はここまでです」

女「私の心情を読めないチャイムめ」

女「先生トイレ―」

先生「はい、いってらっしゃい」

女「先生はトイレである」

先生「先生はトイレじゃありません。言い直さないでください」

女「先生。人妻の対義語はなんですか」

先生「なんだろうな。人旦那とは言わないし」

女「人狼なんてのはどうでしょう。男は狼ともいいますし」

女「月の日に狼になるなんて皮肉なものですね。残念ながら女性は月の日に限って男性の要求には応えられないんですもの。大人の人狼ゲーム……」

先生「はいはい!今日の授業はここまで!」

生徒「まだチャイム鳴ってませんよ」

先生「ああ、はい……」

女「狼狽してますね。狼だけに」

女「先生、もう卒業だね」

先生「そうですね」

女「先生はどうして先生になったの?」

先生「学校が苦手だったからですよ。学校が苦手な人のために先生になろうと思ったんです」

女「そうなんですか?」

先生「先生、という字と、生徒、という字にはどちらも生きるという字が含まれていますよね。チョーク取ってもらっていい?」

女「はい、どうぞ」

先生「生きてていい。そう伝えるのが先に生まれた人の仕事」

先生「君たちよりも早く生まれて、奇跡的な幸福を経験した。同じ道を辿れるように導く仕事」

先生「君たちよりも早く生まれて、絶望的な不幸を経験した。同じ道を辿らないように導かない仕事」

先生「人生で何があっても、君たちの役に立てる。それが教師のやりがいで、生きがいなんだ」

女「……先生。私、やりたいこともないし、誰かを救いたいとかいう気持ちもないけどさ」

女「私、先生のことが好きだから、これからも勉強するよ」

女「先生、最後に質問いいですか?」

先生「どうぞ」








女「私が大人になったら、正妻にしてくれますか?」

~fin~

読了ありがとうございました。

他作品(いずれも長編)はこちらです。

女「人様のお墓に立ちションですか」

女「また混浴に来たんですか!!」

男「仮面浪人の道」

勇者「遊び人と大罪の勇者達」

GWのおともにぜひ。
それではまたの機会に。

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