【オリジナル】世界樹の中から (5)

オリジナルストーリーです。

描写力等乏しい部分があるかもしれませんが、暖かい目で長く見守ってほしいです。

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「そろそろ起きなさい!」

一階から聴こえてくる母の呼び声と、カーテンからの陽射しで朝だと認識する。

ベットの近くに置いてある青い目覚ましに目をやると、時刻は8時15分を示していた。

「うわあ!もうこんな時間?!」

なんでもっとはやく起こしてくれなかったのかと、思いながら制服に着替えて、一階へと駆け下りる。

「やっと起きたわねこの寝坊助さん」

そう言って笑っている母。

「なんでもっと早く起こしてくれなかったんだよ!」

「起こしたわよ!何回も起こしたけど起きなかったのー!」

…どうやら俺が寝過ごしていただけらしい。

「そんなことより、入学式、遅れるわよ」

「やべっ!お母さんお弁当は?!」

「はいはいどうぞ。」

「ありがとう!そんじゃ行ってきます!」

「気を付けてね、行ってらっしゃい!」

見送る母を背に勢い良く玄関を閉め、外へと走り出す。
今日は学校の入学式なんだ。

走り出して五分。早くも息が上がってきた。

「はぁ…はぁ…こんなに…体力なかったっけ俺…」

膝に手をつき、息を荒げている俺に対して背後から声が掛けられる。

「おはよ、コウくん」

「あっ、おはよう!」

この華奢で黒髪ロングの清楚な女子は俺の隣の家に住んでる、所謂幼馴染って奴だ。

「随分息を荒げてるけど…大丈夫?」

「大丈夫…だよ!ミヤこそこんなゆっくり歩いてて大丈夫なのか?」

「もー、高校生になるんだし、いい加減名前で呼んでよ!」

呆れたようなそうでないような、笑いながらミヤは言う。

「そ、そう?じゃあ…冬未…?」

「何照れてんの!ふふ」

そりゃ照れるだろう、名前で呼ぶのなんて小学校低学年以来なんだから…

「そ、そんなことより、早く行かないと入学式遅れるぞ!」

「あはは、そうだね!急がなきゃだ!」

そう言って冬未は、学校へと走り出した。
…相変わらず掴めない奴。俺も学校へ急ごう。

入学初日から遅刻だなんて、きっとクラスで馴染めなくて、最悪なスタートになってしまう…

とか、色々考えてたら学校が見えてきた。

本当に学校か?ってくらい無駄に広い敷地と、黒い校舎。これが僕が今日から通う【東魔法総合高校】。

今日から此処で魔法を学ぶんだ…期待を胸に俺は校舎をくぐった。

「えーっと、確か俺のクラスは…」

手元にあるクラス名簿の紙を片手に広い廊下を歩く。

「あった!1- B!」

クラスの前に立つと男の声の人が聴こえてきた。

「いいか!今日から君達は晴れて魔法を学ぶ事になる!立派なグリモワールになってくれ!」

…これもしかして担任…?って事はもうみんな揃ってる!?

「やっべえ…どうやって入ろう…」

廊下の前で立ち往生してるといきなりガラガラとドアが開いた。

「おう!入学初日から遅刻かァ!いい度胸だ!早く中入れ!」

「ひぃっ…す、すみません!」

そう言って、ガタイのいい、金髪の男…恐らく担任が俺を引き連れて教室に入った。

「おら、お前名前は?」

…クラス全員の視線が俺に集まる。こういうの苦手なんだけどなぁ。

「こ…たろう…です」

「おいおいー!最初が肝心だぞ!声出してけ!」

あー、苦手なタイプだこの男。

「安心院光太郎です。これから三年間よろしく…」

「おう!光太郎!じゃあ席につけ~」

最悪なスタートを切ってしまった。

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