・シンデレラガールズのSSです
・少し地の文があります
・妄想注意!
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「――でね、その公園で鳩さんに餌をやっている、小さな女の子がいたの」
ラジオのブースの中で少女が二人で笑い合っていた。
一人は緩やかなロングを背後で纏めて流しており、ゆったりとした洋服で身を包んでいる。
「かわいいですねぇ。それでそれで?」
もう一人はボブカットに整えられたその頭には、ちょこんとベレー帽を被っていた。
「餌をえいって遠くに投げたつもりが、足元に叩きつけちゃって」
「勢いが付きすぎたんですかね」
「そうかも。そしたらたくさんの鳩さんがそこに群がっちゃって、女の子が泣き出しちゃったの」
「むふっ、群がれるとちょっと怖いですもん。いつぞやも同じ事務所のナターリアさんが鳩に――」
楽しく続く、ゆったりとした会話。賑やかな少女たちの話は尽きることが無いようだ。
だが終わりの時はくるものである。
ブースの外でディレクターが、そろそろ時間だと合図を出す。
それに気付いたロングの少女は「あ、いけない」という表情を浮かべ、
「名残惜しいですが、そろそろ番組終了のお時間みたいです」
「あら、もう終わりなんですね~。またお話しましょうね、藍子さん」
「はいっ。『高森藍子のゆるふわタイム』。お相手は、今度は猫さんと遊びたいな、高森藍子と」
「ワンちゃんもいいですよねぇ。新人アイドルの喜多日菜子がお送りいたしました」
『ばいばーい』
カフが下され、BGMとクレジットが流れる中、弛緩した空気がブース内を包み、そこにディレクターの声が響いた。
「お疲れー。藍子ちゃん、日菜子ちゃん。今日もバッチしだぜ」
藍子「お疲れさまでした、ディレクターさんっ、日菜子ちゃんもお疲れさま。初めてのラジオどうでした?」
日菜子「お疲れさまです~。初めは緊張しましたが、楽しく出来て。これも藍子さんのお蔭ですねぇ」
藍子「良かったー。また期待があったらラジオに来てくださいね」
日菜子「はい~。そういえばさっき話していた公園って、事務所近くの○×公園ですよね?」
藍子「うん、そうだよ。ちょうどいい場所にあるから、よくお散歩にいっちゃうんですよね」
日菜子「日菜子、行ったことが無いので、今度案内してくれませんか~?」
藍子「良いですよ。私も日菜子ちゃんと一緒に行ってみたいなと思っていたところなんだっ」
日菜子「むふふ♪」
藍子「ふふっ♪」
~数日後の事務所~
日菜子「藍子さん、お待たせしました~。すみません、予定より遅くなって……」
藍子「ううん、お仕事の打ち合わせ時間が伸びちゃったんだもん、仕方ないよ。じゃあ行こうかっ」
・喜多日菜子
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・高森藍子
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日菜子「今日もいいお天気ですね~」
藍子「お散歩日和だねっ」
日菜子「日菜子も散歩は好きで、よく歩いているんですよぉ」
藍子「へぇ、私は公園とかが多いけど、日菜子ちゃんはどういう所を歩くの?」
日菜子「日菜子は、その時の足の向くまま気の向くままですかね」
藍子「行き先が決まっていない、ってことかな?」
日菜子「そうです~。こう妄想しながら歩いているんですが、こないだは気付いたら駅四つ分ほど歩いていました」
藍子「ええっ~、妄想しながらは危ないんじゃ……」
日菜子「はい、プロデューサーさんにも、危ないから止めるようにって言われちゃいました……」
藍子「そうだよね」
日菜子「あの曲がり角の先から、白馬の王子様が……とかの妄想楽しいんですけどねぇ」
藍子「代わりに、白いバイクか車が突っ込んできそうですけど」
――――
――
藍子「○×公園、到着っ」
日菜子「大きな公園ですね~」
藍子「でしょ、真ん中に大きな池があって、それをぐるっと囲っている感じかな」
日菜子「じゃあとりあえず一周してみましょうか?」
藍子「うん、そうしよっか。じゃあ時計周りでぐるっとね」
日菜子「水辺には水鳥、木々も多くて静かで……良い場所ですね~」
藍子「この道もウォーキングコースになっていて、ほら、足元が砂で固めてあって歩いていて気持ちいいんだよ」
日菜子「むふふ、日菜子だったら、何週もしちゃいそうです」
藍子「少し前だと桜の季節だったんですけどね。とても賑わうんですよ」
日菜子「来年はみんなで、”お花見しようよ”」
藍子「”アイドルだっていいじゃない”ですからね」
日菜子「むふふ♪」
藍子「ふふっ。あ、キレイなお花が咲いている、モンキチョウまで飛んでいる」
日菜子「小さなチョウチョかわいいです~」
藍子「一枚撮っておこうかな。日菜子ちゃん、ちょっと待っていてね。えいっ」パシャリ!
日菜子「わぁ、それなんですか?」
藍子「これはトイカメラだよ。普通のみたくすぐに確認は出来ないけど、小さいから重宝しているんだ」
日菜子「アクセサリー代わりにも、ちょうどいいですね~」
藍子「日菜子ちゃんは、何か撮ったりしないの?」
日菜子「日菜子もたまに撮りますよ、スマホでですけど。えっと……こんな感じです」スッスッ
藍子「どれどれ……ほとんどブレたり見切れたりしているね……」
日菜子「なぜかよく撮れないんですよね~……上手くいく自分を妄想しながら撮っているのに」
藍子「それっ、それが原因だよきっと!」
藍子「わぁ~、菜の花の群生地ですね。良い匂いがします」
日菜子「菜の花って、日菜子の名前の由来でもあるんですよ~。ほら、日『菜』子って」
藍子「あ、ほんとだ」
日菜子「日菜子の地元、秋田は寒いじゃないですか。東京だと今の時期には満開ですけど」
藍子「そうだね、ここも盛りを過ぎているくらいだし」
日菜子「例年なら5月位に咲くんですが、ごく稀に4月頭ごろ咲く時があるらしいんです」
藍子「ということは」
日菜子「日菜子が生まれた年が、そうだったみたいなんですよぉ」
藍子「そういえば、日菜子ちゃんの誕生日って、いつでしたっけ?」
日菜子「4月6日でした、先週15歳になりました~」
藍子「ええっ、言ってくれれば良かったのにー」
日菜子「むふ、日菜子は先月事務所入りしたばかり新人ですから、ちょっと言うタイミングが」
藍子「あ、それもそうだよね。……よし日菜子ちゃん、次はあっちに行きましょうっ」
日菜子「わわっ、引っ張らないでください~」
藍子「到着っと、良かった、今日は開いてるっ」
日菜子「ここは……クレープ屋さんですかぁ?」
藍子「そうだよ、車で移動式だから、毎日ここにいるとは限らなかったの」
日菜子「でも美味しそうですね、色とりどりで、妄想も膨らみそうです~♪」
藍子「妄想もいいけど、食べよっ。さ、好きなのを選んで。誕生日祝いにプレゼントだよっ」
日菜子「えっ、良いんですか?」
藍子「いいのいいのっ」
日菜子「じゃあ、お言葉に甘えて……えっと、チョコムースバナナをお願いします~」
藍子「私は、マシュマロプリンア・ラ・モードにしようっと。おじさーんっ」
日菜子「むふふ……とってもあまあまで、ふわふわで……むふ♪ ごちそうさまです、藍子さん」
藍子「ふふっ、私もちょうど食べたかったしね。日菜子ちゃんを出しにしちゃった♪」舌ペロッ
日菜子「じゃあそういうことにしておきますねぇ、むふふっ♪」
藍子「ここは鳩さんがたくさんいるね」
日菜子「あっ、あそこで鳩のエサを売っているみたいですよぉ。一つ買って来ますねぇ」
日菜子「はい、藍子さんの分です~」ハンブンコー
藍子「いいの?」
日菜子「クレープのお返し、です♪」
藍子「そっか、じゃあ遠慮なく貰うね」
日菜子「ふふっ、かわいいですね。こっちですよ~。パラパラ~」
藍子「鳩って、近くで見ると愛嬌がありますよね」
日菜子「わっ、日菜子の腕に乗っかってきましたよ!」
藍子「あっ、シャッターチャンス! ちょっと待っていてね」ゴソゴソ
日菜子「わわっ、どんどん他の鳩も日菜子の上に~」
藍子「ふふふっ♪」パシャパシャ
・集られているイメージ
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日菜子「もうっ、酷いですよ藍子さん~。笑ってみているなんてぇ」
藍子「ごめんごめん、あまりにも面白かったから、つい」
日菜子「むー。あっ、そろそろ暗くなってきましたね、帰りますか~?」
藍子「日菜子ちゃんさえよければ、もうちょっと居ない? もうすぐ桜のライトアップが始まるんだ」
日菜子「ライトアップ、ですか? はい、大丈夫ですけど~……桜、ですか?」
藍子「何か気になる?」
日菜子「いえ、桜はもうほとんど散っちゃっているのに、と思いまして」
藍子「だよね。大丈夫、見てもらえば分かるからっ」
日菜子「また手を……藍子さんって結構強引な所があって、それも……むふっ♪」
藍子「到着っと、ここだよっ」
日菜子「わぁ~……葉桜が光に照らされて、とてもキレイです~」
藍子「でしょ。この公園は葉桜になったあともしばらくの間、ライトアップがあるんだよ」
日菜子「一面真っピンクな桜も良いですけど、これも趣がありますよね」
藍子「うん、私はこの若葉が入り混じった今の方が、どっちかというと好きだったりするんだ」
日菜子「むふっ、藍子さんらしいですね」
藍子「今日はこれを日菜子ちゃんに見せたかったんだよ」
日菜子「そ、そんな……むふっ、そんなセリフ、まるで、妄想が捗る……むふふっ♪」
藍子「あれ? 日菜子ちゃーん?」
日菜子「藍子さんみたいな、王子様も良いかも……むふふふ~♪」
藍子「日菜子ちゃん、おーい、戻ってきてー」
藍子「日菜子ちゃん、今日は付き合ってくれてありがとね」
日菜子「日菜子こそ、ありがとうございましたぁ、藍子さんと一緒だと、色んな発見があって楽しかったです~」
藍子「ここからの帰り道、分かる?」
日菜子「はい、大丈夫です~。途中まで兄さんが迎えに着てくれますから~」
藍子「あ、日菜子ちゃん、お兄さんがいるんだ」
日菜子「はい、お節介が過ぎる兄ですけどね、今日だって迎え要らないよって言ったんですが」
藍子「ふふっ、きっと日菜子ちゃんが心配だからだよ」
日菜子「むふっ、否定はしませんけどね。日菜子はこれでもしっかりしているつもりなんですけど……」
藍子「ふふふっ、そうだねっ」
日菜子「……藍子さん、実はそう思ってないでしょう?」ジトー
藍子「そ、そんなことないよぉ!?」
日菜子「それじゃ、失礼しますね藍子さん~」
藍子「あ、うーん……」
日菜子「藍子さん、どうかしましたかぁ?」
藍子「それだよ、それ。他人行儀な”さん”は止めて欲しいんだけどなぁ~」
日菜子「え、でも藍子さんは年齢も、アイドルとしても先輩ですからぁ」
藍子「じゃあお姉さんとして、先輩アイドルとして言います、さん付けは廃止ですっ、ふふっ」
日菜子「むふっ、分かりました~。それでは……藍子お姉ちゃん♪」ウワメヅカイ
藍子「!?」
日菜子「むふふっ、どうかしましたか?」
藍子「もうっ、日菜子ちゃん!」
日菜子「日菜子、兄さんしかいないから、姉さんもちょっと欲しかったりするんですけどね、むふっ」
藍子「ホントにもう……じゃあ日菜子ちゃん、また事務所でね」
日菜子「はい、さよならです、藍子ちゃん♪」
ここまでご覧頂き、ありがとうございました。
公式ではまだ関わりが無い二人ですが、きっと気が合うと思うのですよ(力説
総選挙で声が貰えたなら、その機会も必ず来るはずです。
来る『第7回シンデレラガール総選挙』では、喜多日菜子をどうぞよろしくお願いします。
▽別の時間軸の過去作
喜多日菜子「今日は何の日かご存知ですかぁ?」 モバP「コンビーフの日だろ」
喜多日菜子「輝子さんはキノコが大好きなんですねぇ♪」 星輝子「う、うん」
では依頼出してきます。
長さ的にはボブだと思ったのですが、他に名称を知らなくて。
ご存知ならお教えいただけると嬉しいです。
色々検討した結果、ミディアムになりました。
ボブだと短すぎでしたね、
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