学生「みんなは筑波研究学園都市を知っているかい」 (26)


学生「筑波研究学園都市とは、茨城県の筑波台地に位置する、国立の研究・教育機関が集合した日本唯一の研究学園都市なんだ!」

学生「人口はおよそ22万人で、もともと住んでいた人を除き、研究目的で居る学者や学生の出身国数は200カ国もあるんだ!」

学生「そして僕は去年、生まれた地の沖縄から離れ、偏差値68の茨城県立竹園高校の普通科に進学することができた!」

学生「今日は、謎の多い筑波研究学園都市で、僕が驚いたことをわかりやすく紹介していくよ」

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学生「まず、学園都市内の高校生全てが周辺開発地区に集められ、国が総力を挙げて開発しているプロジェクトを、実験と称し、集められた高校生たちに実践する」

学生「そう、能力開発だ!」

学生「日本が非核三原則を掲げるようになった頃から、国は日本の未来についておおよその筋をたてた」

学生「その結果、未来に必ず戦争が起こる」

学生「その戦争に対し、核を使えばそれこそ戦争以前にこの地球が持たなくなる」

学生「なら、小規模かつ一人一人に大きな戦力を持たせる少数精鋭で核兵器に対抗できる手段」

学生「それが、若い兵士に超能力を科学的に使わせることだった」

学生「それから国は日本唯一の研究機関と称した能力開発計画を立てた」

学生「僕も能力開発を受けた。費用は国が全額免除してくれたんだ!」

学生「ラッキー♪」

学生「そして一週間後、僕にも能力は現れた」


学生「ベクトル操作、と言う能力がね」キリッ

学生「なんでも、触れたものの加わる力を操作できるらしい」

学生「ま、能力開発のことはどうでも良いからひとまず置いておこう」

学生「次に僕が驚いたことをは」

学生「なんと、ここには非科学を研究しているところがあるんだ!」

学生「僕の通う高校、竹園高校は、学園都市内でも屈指の進学校」

学生「様々なカリキュラムがある」

学生「僕の初登校日に三つのカリキュラムのうち、一つを選択する事が決定していた」


学生「まず一つ目は、能力強化コース」

学生「これが最も人気のあるカリキュラムで、授業時間も一週間に30時間と短く、能力のレベルも上げられるので、人気があった」

学生「おっと、レベルの説明がまだだったね」

学生「さっき能力開発については説明したけど、能力にはレベルがある。レベルは上げるほど強くなり、奨学金も上がる」

学生「僕は確か能力検査でレベル1から一気に学園都市に七人しかいないと言うレベル5の第1位になったんだっけ?」

学生「ま、どうでも良いけど」


学生「そして二つ目のコースが、日本化学向上コース」

学生「これは主に、学園都市の表向き、つまり研究機関としての利益を上げるための人材を育てるコースだね」

学生「これから日本を背負って立つ学者を育てるコースだ。ちなみにこのコースからノーベル賞受賞者を何人も輩出しているよ!」


学生「そして三つ目、僕の選んだコースだ」

学生「そう、未確認生命物体及び非科学解明コース」

学生「このコースが1番人気がなかった」

学生「科学の街だ。非科学を信じるものはいない。しかし、僕は気付いた。僕だけが気付いた」

学生「この国が総力を挙げて推しているプロジェクトに、非科学なんてものを推し進める理由がない、つまり」

「ーーー非科学があるこそのこのコース、とね」キリッ

学生「僕はクラスでただ1人、このコースを受ける事にした」

学生「僕の驚いた事を紹介したところで、僕はある場所へ向かっている」

学生「そう、非科学研究解明所さ」キリッ

学生「非科学解明コースを選んだ人は、研究解明所に住み込みで研究をしなければならないらしい」


学生「なお、非科学研究解明所は学園都市理事長の住む“窓のないビル”の最下層に本部があるらしい」

学生「そこから派生して、各学校に解明所が設置されていると言う」

学生「女先輩、男先輩がこの間捕まえてきた女の吸血鬼ちゃんの様子はどうですか?」

女先輩「ええ、凄まじい生命力よ。あまり残虐な実験はしたくないけど、吸血鬼があなたの為になるのならと、自ら解剖を要求したわ」

学生「そうですか。ありがとうございます」

女先輩「ええ、あの吸血鬼に会ってきてあげなさい。会いたがっていたわ」

学生「わかりました」



学生「そう、非科学はあったんだ!!!」ドヤッ

学生「やあ、女吸血鬼ちゃん」

女吸血鬼「遅いよ!僕がどんだけ待ちくたびれたことか!よってナデナデを君に要求するよ!」

学生「はいはい、ごめんね」ナデナデ

女吸血鬼「ふにぁ」トロ-ン

学生「首を跳ね飛ばされたんだって?」

女吸血鬼「うん、まあ痒かったけど、君の役に立つのなら」

学生「ありがとう」キリッ

女吸血鬼「べっ別に君のために首を跳ね飛ばされたんじゃないんだからねっ/////僕がちょっと首を跳ね飛ばされたいなと思っただけなんだからね/////」カオマッカ

学生「(支離滅裂だなぁ)今日はもう帰るね」

女吸血鬼「えっ・・・」

学生「明日も来るから」

女吸血鬼「うん・・・絶対だよ」



学生「女吸血鬼ちゃんかわええなぁ・・・」ホッコリ

学生「もう正午か・・・ん?あれは」

男先輩「よう学生」

学生「こんにちは。男先輩」

男先輩「解明所行ってたのか?」

学生「はい。まだ研究っぽい研究はしてないですけど」

男先輩「それより飯行かね?」

学生「良いですね。行きましょう」


男先輩「何する?」

学生「そうですね・・・学園都市定食でもいいし・・・最先端研究結果の刺身も単品で頼もうかな」

男先輩「おばちゃん!いつもの」

おばちゃん「はいはい、いつものね。学生は学園都市定食と最先端研究結果の刺身ね」

おばちゃん「2人一緒でい

男先輩「別で」

学生「先輩・・・」

おばちゃん「全く・・・男先輩が2万9千円ちょうどね」

おばちゃん「はいお待ち。非科学てんこ盛り丼」

男先輩「ありがとう」


おばちゃん「で、学生が17万2千円ね」

学生「ありがとうございます」

学生・男先輩「頂きます」

男先輩「これ食ったらどんな高級料理でも物足りねえよな」ガチャグエガシャンウィ-ン

学生「そうですね。もうソーキそばとか食べれないですもん」バゴォォォォン ドガァァァァン

学生「僕この後授業なんで」

男先輩「そうか」



学生「ちなみに、非科学解明コースは単位制である」

学生「しかし、最先端研究結果の刺身、舌がとろけそうだったなぁ・・・」



先生「つまり、お前らの発言が銀河を壊滅させる事を・・・」

学生「つまんないな。早く女吸血鬼ちゃんに会いたい・・・会いたい?もしかして僕・・・女吸血鬼ちゃんに・・・?」

先生「学生、こうなると何が起きる?」

学生「森羅万象が起こります」

先生「正解だ」



男先輩「第142回海外学習を行う」

学生「非科学解明コースには3ヶ月に一度、海外学習がある」

学生「魑魅魍魎の類を筑波研究学園都市に招待、知能を持たない非科学的存在は捕獲し、研究を行う為の海外学習だ」

男先輩「今回は学園都市と契りを交わしたメキシコに行く」



学生「今回は何も得られませんでしたね」

女先輩「そうねえ、学園都市の科学力をもってしても何もなかったなんて」

男先輩「だが、非科学の存在はいつでも明るみに出せる段階まであるんだ。あの吸血鬼は大きな収穫だな」

学生「・・・」

学生「そう・・・ですね・・・」

女先輩「・・・」



女吸血鬼「・・・うぅ」ウルウル

学生「ごめんね」

女吸血鬼「もう!ばかぁ!」プンスカ

学生「飛行機が延期になったんだ」

女吸血鬼「じゃあぎゅっとしてくれたら許してあげ

学生「・・・」ギュ

女吸血鬼「ふぇ!/////」



女先輩「・・・」

学生「女先輩、話って何ですか?」


女先輩「ねぇ学生・・・私と、付き合って欲しい」

学生「・・・ありがとうございます。すごく嬉しい、でも、ごめんなさい。俺今好きな人がいます。だから

女先輩「あの吸血鬼でしょ」

学生「・・・」

女先輩「だめよ。あれは実験体なの。親しくしていたようだけど、あれは

学生「女吸血鬼は!」

女吸血鬼「」ビクッ

学生「あれ、ではありません・・・女吸血鬼という名前があります」

女先輩「・・・実験体に感情移入するなんて、研究者失格よ」テクテク

学生「・・・わかってますよ。そんなこと」



学生「今日は疲れたな。しかも今日の研究所の鍵閉めるの僕だし・・・ん?女先輩の机に見慣れない資料が・・・!?」

学生「何だこれ・・・吸血鬼の血液を摂取すると吸血鬼と同等の身体能力が得られる!?」

学生「僕は神を降誕させる実験につきっきりだったから、こんな資料と研究結果、知らなかった」

学生「タイトル、吸血鬼の解剖・摂取及び人間吸血鬼化計画!?こんな事をしたら確実に女吸血鬼ちゃんが死ぬ・・・」



学生「・・・」ガチャ

女吸血鬼「・・・ん?学生?どうしたのこんな時間に?」

学生「逃げよう」


女吸血鬼「学生?こんなことして良いの?僕は

学生「僕は、君が好きだ」

女吸血鬼「にゃ!?ええええ/////」

学生「君を死なせたくない」

女吸血鬼「・・・それって」

女先輩「やっぱりね」

学生「女先輩!?」

女先輩「悪いけど、それは返してもらうわよ。あなたの心もね」ギロ

女吸血鬼「・・・」

学生「・・・僕は、この筑波研究学園都市の住人でいられたことを心から誇りに思います。でも、僕は研究者失格だ。ここにいる資格はない・・・でも」パツゥゥン!!

学生「・・・へ?」

女吸血鬼「学生!?」



学生「う、腕が・・・右腕が・・・痛い痛い痛いがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ痛い!?ま、まさか先輩!?」

女吸血鬼「ええ、そこの女狐の血を摂取したのよ」

女吸血鬼「!?」

女先輩「この身体・・・凄いわね。夜の空に舞う花粉までしっかり見えるもの。腕を切り落とすなんて、造作もない」

学生「やはり・・・そうきますか・・・なら、やるしかないようですね」ギロ

女先輩「」ゾクゾク 

女先輩「いいわぁ・・・そのモルモットを見るような目・・・もっと見せて!」ズシャァァァン

学生「・・・へ?」


女吸血鬼「・・・ごめ・・・んね?」ポタポタ

学生「お・・・なんで?俺を庇って・・・ぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

学生「てめぇぇぇ!やるしか、やるしかないのか!」

学生「我らを生みし主よ!どうか二つだけ、私にその力の恩恵の溢れを、我が命と引き換えに与え給え!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

女先輩「な、何?」



神『・・・聞き入れた。そなたの願い、聞き入れたぞ』

神『我が生みし女の者よ、去れ。我が子にして恥と罪を持ち帰れ』

女先輩「あ・・・身体が・・・いや、死にたくない・・・いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」パァァァァ

学生「僕の研究は成功していたのか」

女吸血鬼「・・・あれ?僕の傷が・・・」シュゥゥゥ

学生「ごめん・・・強く生きるんだ」

女吸血鬼「へ・・・?やだよ・・・いや、死なないで・・・?」

学生「僕の願いは、女先輩を葬り去ること、それと、君を生き返らせることだ」


学生「吸血鬼でも再生が追いつかないほどの力で君は死んだ。僕は、命に代えてでも、君に生きて欲しかった」

学生「神様、お願いします」

神『・・・』

学生「神様?」

神『そなたに一つ、試練を与えよう』

学生「試練、ですか?」

神『そなたが命にまで変えて守ろうとした者、そなたがいなくては意味が無かろう』

神『よって、そなたがそのものと一生添い遂げるのであれば、そなたの対価、1日一回、我とのお茶で免除する』

学生「お、お茶ですか?」

神『我のいる天界は暇でな。良いか?』

学生「・・・ありがとう・・・ございます」ポロポロ

女吸血鬼「学生・・・」

神『ではまた明日、迎えをやるからな。楽しみにしておる』シュゥゥゥ

学生「・・・女吸血鬼、好きだ。愛してる」

女吸血鬼「僕もだよ・・・」






学生「というわけで今、僕たちは女吸血鬼の故郷、イギリスにいる」

学生「今回で少しは筑波研究学園都市を知ってもらえたかな」

学生「どうだい?君達も筑波研究学園都市にこないかい?僕の先輩や後輩が歓迎するよ!」

女吸血鬼「もぅ、誰と喋ってるの?」

学生「ごめんよ・・・では、また会える時まで」



終わり

筑波研究学園都市で能力開発は行われません

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