(事務所)
P「~」ペラペラ
愛海「~」ペラペラ
テクテクテク...
慶「(あ、プロデューサーさんと愛海ちゃんだ。レッスン終わったのに…帰らないで何の話をしてるんだろう?)」
慶「(…ちょっと気になるな)」
コソリ
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愛海「…だからね、プロデューサー。お山の価値は大きさで左右されるようなものじゃないんだよ」
P「でも、雫山には普段よりテンションあがってるじゃん」
愛海「ちっちっち甘いね。そりゃ大きいとあたしだって燃えるけどさ、小さくても同じくらい愛おしさを感じるんだよ」
P「ほう」
愛海「例えば、プロデューサーは松坂牛のステーキを目の前に出されたら嬉しいでしょ?」
P「嬉しいなぁ」
愛海「そう嬉しい。でもさ、寝る前の質素な梅茶漬けとか緑のたぬきも最高でしょ?」
P「確かにどちらも違った美味しさがある」
愛海「あたしにとってのお山はそれと同じなんだよ。優劣はつけられないのさ☆」ジュルリ
P「的確な例えでスッと頭に入ってくるよ。なんか腹立つけど」
愛海「うひひひ。プロデューサーさんだって同類のくせに♪」ワキワキ
P「そうだけどさ」
愛海「うん?」
P「俺はやっぱり大きい方が好き」
慶「…!」ガ-ン!
愛海「まだまだお子ちゃまだねー」フゥ
P「やかましい変態」
愛海「あたしは純粋なる求道者だよ!」カッ!
慶「(小さい人は範囲外…大きい人が好き…)」フラフラ
(後日)
慶「…」ムス-
柚「ねえプロデューサーサン。どうして慶サンは部屋の隅っこでいじけてるの?」
P「わからない。俺も困ってるんだ。朝から機嫌悪くて、柚のレッスン終わった後はずっとあのままだし」
柚「プロデューサーサンが何か変なこと言ったとか?」
P「まさか」
柚「『ささみが不味い!』とか」
P「慶のささみは不味くはないんだよ。不味くは。毎日食わされて飽きてるけども」
柚「ふむ…謎は深まるばかりだね」
P「やっぱり直接話すしかないな。慶、さっきからいじけてどうしたんだ?」
慶「ふーん!」プイ-
P「取りつく島もない」
柚「慶サンどうしたの? 何かプロデューサーサンが悪いことしたの?」
慶「…」ジ-
柚「?」ポヨ-ン
慶「柚ちゃんは15歳でしたよね?」
柚「うん? そだよ?」
慶「バストは80…さらに成長の可能性がある、と」ボソリ
柚「???」
慶「ふーん! 柚ちゃんも敵です!」プイ-!
柚「ええええ!?」ガ-ン!
慶「ふんふーん!」プンスカ
柚「け、慶サンに敵認定されちゃった…!」ワナワナ
P「いや今のは柚は悪くないぞ。よしよし」
柚「ひーん! プロデューサーサーン!」ガシ-
慶「…!」
慶「ふ、ふんっ! ふーん! やっぱり小さくない子しか相手しないんだ! ふーん!」プンスカ
P「今のは慶が悪いだろ。柚に謝りなさい」
慶「…」
慶「フン」
慶「ごめんなさい。柚ちゃん」ペコリ
P「素直だよなぁ」
柚「い、いいよ。それよりどうしたの? 事情もわからず怒ってたら柚もプロデューサーサンも心配しちゃうよ」
慶「…」
柚「よかったら話してもらえるカナ?」
慶「…」
慶「プロデューサーさん」
P「何?」
慶「昨日! あなたはとんでもない爆弾発言をしたんです!」カッ!
P「俺!?」ガ-ン!
柚「ほら! やっぱりプロデューサーサンのせいじゃん! プロデューサーサンの発言じゃん!」
P「いうてもまるで記憶にないんだけど」
慶「ふーん!」プンスカ
柚「どんな小さなことでもいいから思い出してよ」
P「小さい…ねぇ」
慶「!」ピクリ
P「駄目だ。まるで思い出せない」
慶「プロデューサーサンは小さいものなんて目に入らないということですね!」プンスカ!
P「えぇ…」
慶「ふーん! どうせ大きくなんかないですよ!」プンスカ!
柚「大きくない?」
P「ん…?」
P「…」
P「あ」ピ-ン!
柚「いま何か思い出したね。プロデューサーサン」
P「も、もしかしてBの話?」
柚「B?」
P「B・U・S・TのB」
柚「びーゆーえすてぃーって…バスト!? 誰とそんな話ししてたの!?」
P「愛海」
柚「うっわ。サイテー」ジト-
P「だ、だって誰もいなかったし! つーか、慶聞いてたのかよ!?」
慶「ふーん! たまたま聞こえちゃったんだよ! ふーん! ふんふーん! ふーん…ふん…っ…うぅ…」グズッ
柚「な、泣いてる…?」
慶「ひーん! なんで大きいのが好きなんて言うのー!」シクシク
P「えぇ…」
柚「これはプロデューサーサンに全面的に非があるね」
P「待って!? 俺が悪いの!?」
柚「悪い! 慶サンに謝るべきだよ!」
慶「謝るべきだよ!」カッ!
柚「あ、泣き止んだ」
P「慶は別に小さいってわけではないじゃん。ただ若干サイズが物足りないだけで」
慶「物足りないと思われていることが問題なんでしょうがァ!」バ-ン!
P「ヒェ」
柚「柚は? 柚はどうかな?」
P「ちょうどいい」
柚「ふふん♪」
慶「ふーん! プロデューサーさんなんてもう大っ嫌いです! 小さい人差別をする人なんて最低です!」プ-イ!
P「いやいや。差別なんかしないって」
慶「嘘です! 私を見る時の視線は『スケベ視線』じゃありませんから!」
P「そんな目線、誰にも向けたことねえよ!」
慶「美波さんや夕美さんにはしょっちゅう向けています! とりわけ水着の時には!」
柚「そうなの?」
P「ソンナコトナイヨ」
柚「うっわ」
慶「ほら目をそらしています! 嘘ついてます! 獣の本性を現して人の身体を舐め尽くすように見たらどうですか!」
P「な、舐めるようには見てないから!」
慶「でもスケベ視線を向けることがあることは認めるんですよね?」
P「…まあ」
慶「卑劣! 極まりない!」カッ!
P「散々な言われようだ」
柚「やーいスケベー」ヤンヤヤンヤ
P「うるさい。スケベな身体をしている方が悪いんだ。美波とか見ずにはいられないに決まってるだろ。見ない方が失礼だ」
柚「柚の水着姿は?」
P「柚のもまあスケベだと思う」
柚「ふふん♪ 最低だね~♪」
慶「ちくしょうです! 柚ちゃんは私の味方をしているようでストライクゾーンを探っているだけの策士です! まんざらでもない表情です!」
P「ていうかさ」
慶「なんですか!」
P「慶は水着姿を見せたことがないよね」
慶「!」ギクリ
柚「そういえばトレーナーサンだもんね」
P「見たいなー。でもトレーナーだしなー。アイドルになれば見れるのになー」スッ
【契約書】テ-ン!
慶「こ、この機会にスカウトしようとするのはずるいですよ! 私は三足のわらじなんて履きませんから! 履けませんから!」カッ!
柚「YOU。アイドルになっちゃいなよ」
慶「ええい! なりません! 水着姿が見たいなら今度海に連れて行ってください! 他の人に見られるのは恥ずかしいので2人きりでです!」カッ!
柚「え?」
P「ほう」
柚「駄目だよプロデューサーサン。騙されちゃ駄目だよ。これは巧妙なわなだよ。うまくデートに連れて行ったもらおうとしているよ」
P「夏に行こう!」グッ!
柚「このスケベ!」
P「スケベで結構。柚も一緒に行こう」
柚「なら許す♪」コロリ
慶「…」チィ
カチャ
藍子「おはようございます♪ あら、柚ちゃん。レッスンは午前中で終わりですよね?」
柚「あ、おはよう。藍子チャン。レッスンは終わったけどプロデューサーサンたちとお話ししてたんだ」
藍子「ふふふ、いいですね♪」
慶「よくありませんよ! 藍子さん!」カッ!
藍子「ど、どうしたんですか。すごい剣幕で」
P「や、やめなさい。慶」
慶「ここだけの話…プロデューサーさんは小さいものは範囲外なんだそうです」
P「ちょ!?」
藍子「…」
藍子「オパイノハナシデスカ?」
慶「オパイノハナシデス」
藍子「…」ハイライトオフ
P「あの…藍子さん?」
藍子「ふーん! ふんふーん!」プンスカ!
P「うわァァァ! 感染しやがったァ!」
藍子「プロデューサーさんなんかふんです! こんちくしょう! ふんふんふん!」ペシペシ!
P「痛い痛い。二の腕をペシペシ叩くのはやめてください」
藍子「ふーん! やめてほしかったら頭を撫でてください!」カッ!
P「よしよし」サスサス
藍子「ふーん! ふんふんふーん♪」スリスリ
柚「あ、攻撃するふりをしながら全力で甘えにいってる!」
藍子「まだ私は怒り心頭ですよ♪ ついでにハグしてください♪」スリスリ
P「致し方ない」ギュ-
藍子「♪」ギュ-
慶「…!?」ガ-ン!
慶「あ、藍子さん…裏切ったの…!?」ワナワナ
藍子「何のことでしょう♪」ギュ-
慶「ひ、卑怯です! スポーツマンシップに反していますよ! こんな企みは!」カッ!
藍子「ふふふ、慶さん。何を甘っちょろいことを言っているのですか? ここは知恵と愛嬌が物をいう弱肉強食の現代社会。ないものばかりを悔やんでも淘汰されるだけなのですよ」キリッ
藍子「いま自分にあるものをきちんと見つめる。そして自分の武器を自覚する。それが持たざる者の生き残り方なんですよ」クワ-
慶「!!!」
柚「プロデューサーサン。柚も柚も」
P「ほい」ギュ-
柚「ほほう。悪くありませんな♪」ギュ-
慶「!!!」
慶「わ、私も…」ヨロリ
藍子「そろそろレッスンの時間ですね。慶さん。よろしくお願いします♪」パッ
慶「」
P「あ、いつの間かそんな時間か」
柚「プロデューサーサン。一緒に帰ろう」
P「よしきた。帰りにゲーセンでも行こうか」
柚「もっと大人っぽいとこがいい」
P「ホームセンターとか?」
柚「どういうチョイスなの!?」ガ-ン!
P「DIYを共にしよう」
柚「やーだー! つまんないっ!」
P「じゃあ美味しいご飯食べに行くか」
柚「よろしい。エスコートしたまえ♪」コロリ
P「じゃ、2人ともお疲れ様。後は頑張って」
柚「早く~♪」
キャッキャ♪
ワイワイ♪
テクテク...パタン
慶「」
藍子「慶さん。レッスンしますよ」
(レッスンルーム)
慶「私の! 私の何が駄目だというんですか!」バ-ン!
藍子「…」
慶「ひーん! 毎日ささみも食べてるし! マッサージしてるし! 頑張ってるのに~!」ヒ-ン!
藍子「駄々をこねるのはやめてください」クワッ!
慶「!」
藍子「先ほど。私が何を言ったのか覚えていますか?」
慶「…も、持たざる者であることを自覚する、ですか?」
藍子「そうですよ。私たちにはBがありません。残念ながらこれから先、成長する見込みも薄いでしょう」
慶「…クスン」
藍子「ですが…生き残る術は必ずあります。私が先ほど見せたように。プロデューサーさんを籠絡するチャンスをものにするのです」
慶「…!」
藍子「さあ、今日のレッスンの時間は後回しにして慶さんの話をしましょう。それこそが有意義な時間の使い道だと思います」クワッ!
慶「ゆ、ゆるふわ先生…! どうして私にそこまで優しくしてくれるのですか…!」
藍子「ふふふ…昔の私に似ていたからですよ…♪」
慶「せ、先生…!」ジ-ン!
藍子「まずは自己啓発からですよ。私は甘くありませんから。付いてきてください!」
慶「はい!」
【こうしてゆるふわ先生による地獄のレッスンが始まった】
藍子「では、鏡に映っている自分に向かって『私は小さいです』と大声で叫んでください」
慶「い、言えません…!」ガクガク
藍子「…私はお願いしているのではありませんよ? 命令をしているのです!」カッ!
慶「ヒィィィッ!」ガタガタガタ!
藍子「さあ! 昨日までの自分にはグッバイです! 大声で叫んでください!」
慶「わ、私は小さいです!」カッ!
藍子「もいっちょ!」
慶「私は小さいです!!!」
藍子「次はシャツを脱いでください! 私にはわかります。慶さんは運動用のスポーツブラを着けているにも関わらず、パッドでサイズを盛っていることを!」
慶「何故それを!」ガ-ン!
藍子「私の鍛え抜いた観察眼を舐めないでください。さあ! パッドを取り、真の自分を見つめるのです!」
慶「あ、ちょ! 無理矢理取らないでー!」
ガシッ!
ポ-イ! ポ-イ!
藍子「だいぶスッキリしましたね」
慶「うわァァァ! 嫌だァ! こんなの私じゃないッ!」ブンブンブン
藍子「そんなことをしていると『シャドウ』が出てきますよ!」カッ!
慶「ペルソナ4の世界じゃないですか!」
藍子「ほら! 『我は影真なる我』って来ちゃう前に努力です! ふぁいとです!」
慶「認め…たくない! やっぱり認めたくないよー!」ヒ-ン!
【ゆるふわ先生のレッスンは厳しく】
慶「…」ムシャムシャムシャムシャ
藍子「ささみを食べるのは禁止です!」カッ!
慶「な、何故ですか! これは筋肉を付けて、よりよい身体を作るために…!」
藍子「嘘をついてますね。マストレさんに聞いたので知ってますよ。そのささみはサイズを大きくするためのものであると」
慶「!」ドキッ!
藍子「ささみが悪いわけではありません。しかし、今の慶さんはささみに『大きくなれたらいいな』という願望を抱いているのです。それはいけません。小さくてもいい。ありのままの自分を愛せるようになるために、ささみを捨てましょう」カッ!
慶「い、嫌です! これは私のライフワークなのです!」カッ!
藍子「甘えるな!」ガシ-
慶「あ…あああ…嫌ッ…! ささみを…ささみを持っていかないで~!!!」
藍子「これはフライにしてプロデューサーさんの晩ご飯にします。ささみも本望でしょう」テクテクテク
慶「うぅ…グスッ…いつか…いつか復讐してやるぅ~…覚えといてくださいよ~…!」シクシクシク
【時代錯誤とも言える熱血な指導は続いた】
藍子「復唱! 私は大きくありません!」
慶「はい! 私は大きくありません!」
藍子「小さくても素晴らしい!」
慶「小さくても素晴らしい!」
藍子「もしも大きくなれる薬があると言ったら?」
慶「え…!」パァァァァァ!
藍子「嘘です! そんなものありません! 夢を見てはいけません! 現実を受け入れるのです!」
慶「ちくしょう! 私は小さいです! 小さくてもいいです!」カッ!
藍子「そうです!」
【そして…】
慶「先生…ありがとうございましたッ!」ビシッ!
藍子「よく…乗り越えましたね…」ガシッ!
慶「ゆるふわ先生…!」
藍子「慶さんはもう小さくなんかありません。Bは物足りないと言われるかもしれませんが…人間性の大きさは誰にも負けませんから」ニコリ
慶「うぅ…ありがとうございます…!」
藍子「さあ! 行ってきてください! 生まれ変わった自分を信じて!」
慶「はい!」
タッタッタッ...!
(事務所)
P「~」ペラペラ
愛海「~」ペラペラ
慶「(あ、プロデューサーさんだ。ようし…もう私は自分の小ささなんかにとらわれないから!)」
慶「(…あれ? また愛海ちゃんと話してる)」コソリ
P「だからな。大きいに越したことはないんだって」
愛海「わかってないなー。プロデューサーさん。チョコベビーは小さいからこそ美味しいんだよ」
P「チョコベビーには数があるだろう。山は平等に2つだけだ」
愛海「それは違うよ!」ロンパァ!
P「…なんだと」
愛海「あの透明な容器からチョコベビーを2粒取り出して食べることを考えてみてよ…ガバッと食べるのはもちろん美味しい…でもね、あのちんまりとした粒を味わって食べる…それもまた別の美味しさがあるんだよ…!」
P「くっ…!」
愛海「だから! サイズじゃないの!」バ-ン!
P「それでも…それでも…」ワナワナ
愛海「?」
P「俺は大きいのが好きだ!」バ-ン!
愛海「!」
P「これだけは譲らん!」
愛海「…ふっ。負けたよプロデューサー」
P「愛海…」
愛海「でも、あたしの信条は変わらない。考え方は違うけど。あたしたちは同士だよ」スッ
P「…ああ!」スッ
ガシッ!
2人「「はっはっはっ!」」
慶「…」ハイライトオフ
(次の日)
P「…あの」
慶「ふーん! ふんふーん!」プンスカ
P「慶さんや。俺の机やらカバンやらロッカーやらに超スレンダーボディの女性が載った雑誌が大量に詰め込まれているんだけど。何かしらない?」
慶「ふーん! 知りません! ふんふん! それを見て好みのタイプを変えるまでふーんです!」ブンスカ
P「小さいのも嫌いじゃないんだけどなぁ」ペラリ
慶「ふんっ!」プ-イ
終わり
以上です。
お読みいただきありがとうございました。
いうても慶ちゃんのサイズは小さいうちに入らないと思います。
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