キョン「男か女か」 (30)

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こちらの続き?です
キョンがハルヒに男色家の疑いをかけられた事だけ知っておいて頂ければ
特に前作を読まなくても大丈夫なはずです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1519916008

~キョンの寝室~
長門「大規模な情報改変が行われた」

キョン「ッ!長門か…」

長門「そう」

キョン「急に出てきたから驚いたぞ」

長門「出てきたのでは無い。貴女が気付かなかっただけ」

キョン「まぁいい、それで?なんか開口一番トンデモな事を言っていた気がするが」

長門「正確には昨晩23時57分過ぎ、涼宮ハルヒの能力が行使された」

キョン「何でそんな微妙な時間に…」

長門「元はと言えば貴方の軽率な行いが原因」

キョン「…」

長門「昨日の部室での会話を聴いていた人間が3人居た」

キョン「俺と古泉と長門だろ?」

長門「…情報の伝達に齟齬があった。正しくは、『聞き耳を立てていた部外者が3人居た』」

キョン「そのうち1人がハルヒだって?」

長門「そう。彼女は昨日の部室での会話を聞いた結果、明日、つまり今日になる事を恐れた」

キョン「…?」

長門「もしも貴女が同性愛者だったらどうしよう、と不安を抱える事になった」

キョン「…ちょっと待ってくれ長門よ。そしてその結果がこれか?」

長門「見ての通り。今、貴女以外の性別が反転している」

長門「加えて、同性愛と異性愛の認識も入れ替わっている。つまり、異性愛者だった人々は同性愛者に、同性愛者だった人々は異性愛者になっている」

キョン「そんなの間違いなく滅亡の未来しか残ってねぇ!」

長門「それだけではない。この改変は大きな矛盾を抱えている。例えば、貴方の家族構成を考えてみて」

キョン「ん?俺と、妹と両親、それからシャミセンだな」

長門「両親は同性愛者だった?」

キョン「まさか。それなら俺はこの世に生まれていないさ」

長門「正にそこが問題。彼女は現在の家族を崩壊させる所までは望まなかった。しかし、どうしても同性愛を普及させる必要もあった」

長門「その為、殆どの家庭で『何故か愛し合っていない男女が子供を持ち一緒に生活している』という歪みを有している」

キョン「…まぁそれ以前の問題である気もしないでもないが」

長門「貴方は軽視しているかもしれないが、これは重大な問題。この矛盾に疑問を抱き、社会が不安定になれば、涼宮ハルヒにどの様な影響が及ぶか予測がつかない」

キョン「さっさと解決しないと不味いって事だけは理解できた」

長門「迅速かつ慎重な対処が求められる」

キョン「やれやれ、毎度の事ながら難しい事を平然と言ってくれる。で、俺はどうしたらいいんだ?」

長門「貴方には、古泉一樹と懇意にして貰う」

キョン「…は?」

~通学路~
キョン「よぉ、古泉」

古泉「おや、今日はまた一段と変わったお姿ですね」

キョン「お前にゃ言われたくねぇ。特に今のお前には」

古泉「これは手厳しい。これでも今は心まで乙女なんですよ?」

キョン「また無駄に女装が似合っているのも腹が立つ」

古泉「そうは言われましても、今の私にはこれが標準なのですよ」

キョン「長門から話は聞いているのか?」

古泉「凡そは。私と貴女のイチャラブ振りを涼宮さんに見せ付ければ良いんですよね」

キョン「…中身女になって頭悪くなったんじゃねぇか」

古泉「そうですか?認識としては間違っていないつもりでしたが」

キョン「いや、間違ってはいなかったけどよ」

古泉「多少の失言はお許しください。何せ、本来の恋愛対象となる性別とは逆の相手をお相手しなければいけないので、少しばかり苛立ちと言うか嫌悪の様なものも感じています」

キョン「俺だって、反転しているとは言えお前の相手なんざまっぴらだ」

古泉「ただまぁ、世界の命運が掛かっていると言われてしまえば、全力でラブコメディを展開しますよ」

キョン「はぁ…何だって古泉なんだ。朝比奈さんとなら寧ろお願いしたいくらいなのに」

古泉「今の朝比奈さんは男性ですけどね」

キョン「でもお前を見る限り、元と見た目は変わらないんだろ?なら中身が男でも…」

古泉「ほう、中身が男でも…なんですか?」

キョン「何でもない、失言だ、忘れてくれ」

古泉「所で、どうします?涼宮さんに見せ付けるという件。貴女さえ良ければ部室でイチャイチャしても良いのですが」

キョン「まぁそうだな…。態々デートにとか行くのもなぁ」

古泉「えぇ、それに、その場合ですと涼宮さんに目撃させる為の策も必要になります」

キョン「…なぁ、そもそもイチャイチャって具体的に何をすれば良いんだ?」

長門「その点については問題ない」

古泉「おや、長門さん、いらっしゃったんですか」

キョン「1日の内にそう何度も驚かさないでくれ。ただでさえ異常事態でテンパってるんだ」

長門「…今朝のファーストコンタクトからここまで、ずっと一緒だった」

キョン「…なんか、すまん」

長門「いい、気にしていない。私の存在感が薄いのは解っていたこと」

キョン「滅茶苦茶気にしてるだろ…」

古泉「まぁ、長門さんの場合、恐らく女性の頃の記憶も残って居ますから、いきなり男になって少し思うところもあるでしょうし」

長門「…気にしていない」

長門「話を続ける。貴方達にはこれをプレイして貰う」

古泉「これは…ツイスターゲーム、ですね」

キョン「長門よ、お前まで改変の悪影響が出ていないか?」

古泉「部室でこれをやると言うのは中々…スペースの問題もありますし…」

キョン「そもそも自然な流れでツイスターゲームを始められる気がしない」

長門「それについても対処済み。アレを」

キョン「ん?校庭なんか指差してどうしたんだ?」

古泉「これはこれは…。貴女と涼宮さんの教室の真下に、ツイスターが設置されていますね」

長門「授業中に行えば、確実に涼宮ハルヒの目に入る」

キョン「この長門は間違いなくポンコツだ!」

古泉「いえ、でもこれは中々良い案かも知れませんよ?」

キョン「何処がだ?一体この計画の何処をどう見たらそんな感想になる!?」

長門「これは情報統合思念体の決定事項。実行されない場合は、朝倉涼子の召喚もあり得る」

キョン「それは脅しか?ならこっちだってハルヒに全部打ち明けて…」

古泉「現状ではその手をお勧めは出来ませんね。最悪の場合、二度と世界が元に戻らなくなる可能性もある」

長門「そういう事。大人しく従って」

キョン「そういう事。じゃねぇよ!」

長門「決行は早い方がいい。一時限目が始まったらすぐに教室を抜け出して」

古泉「解りました。んっふ、何だか少し楽しくなってきてしまいましたね」

キョン「え、もう実行する方向で決まりなのか?」

古泉「では後ほど」

長門「大丈夫、私も立ち会う。ルーレット係も必要だから」

キョン「えぇー…」

~ツイスター中~
長門「右足、青」

キョン「なっ!そんなの無理だ!届かない!」

古泉「ふっ…と。確かに、中々辛いものがありますね…」

キョン「まず、これはどうなったら終わるんだ!」

古泉「もう5回ほど貴女が失敗していますけど…目的が勝敗を決する事でない以上、涼宮さんに改変させるだけの理由が与えられたら終わり、という事でしょうか」

長門「そう。だから普通にやっていては終わらない。もっと絡まり合って」

キョン「なぁ、長門、実は楽しんでないか?」

長門「…そんな事はない。世界を救う為に必死」

古泉「そ、そろそろ良いのではっ…?」

長門「まだダメ。早く、右足青」

キョン「クソッ…何だってコイツの股間の下を…」

古泉「も、もう少し姿勢を低く出来ませんか?」

キョン「無理だっ!」

古泉「…っ」

キョン「何か当たってるんだが…」

古泉「仕方がないでしょう。貴女にだって解るはずです」

キョン「…何て惨めなんだ、この状況…」

古泉「と、届きましたね!」

長門「次、左手赤」

キョン「クソ…クソ…」

~繰り返す事更に数回~
古泉「も、もういいですか?」

長門「充分堪能した」

キョン「ぜぇ、はぁ…。堪能って…聞こえた、が…」

長門「気のせい。楽しそうでしたと言った」

古泉「長門さんの敬語は、余り聞きませんが…」

キョン「兎も角、これで元に戻るんだな?」

古泉「結局40分、これをやり続けて何も効果が無かったとは思いたくありませんね」

長門「大丈夫、多分」

キョン「多分…?」

長門「今夜あたり、元に戻ると思われる。取り敢えず今日はこのまま帰っても問題ない」

古泉「あの、授業は…」

長門「上手くやっておく。任せて、情報操作は得意」

キョン「ならもっと別の方法を…」

長門「これ以外なかった。それは断言できる」

キョン「嘘つけ」

長門「私は虚言も失言もない」

古泉「先程失言していた様に思いましたが…」

長門「良いから帰って。あとは万事上手くやっておく」

~翌日~
キョン「…で?何で俺だけこのままなんだ?」

長門「初めに言ったはず。『貴女以外の性別が反転した』と」

キョン「あぁ、なんかおかしいとは思ってたさ。でも、異常事態だから軽い言い間違いかと思ってスルーしてたんだよ」

長門「認識の違いによって情報の伝達に齟齬が生じる事はあっても、私が言い間違える事はない」

キョン「古泉を見てさ、あれ?とは思ったよ。長門はまぁ、どちらでもそんなに変わんないかとも思ったけど、アイツは完全なる女装だった」

長門「言い忘れていたのは謝罪する。正確には、肉体的特徴はそのままに、中身の性別が反転したと言うべきだった」

キョン「まぁ、そこはもう良い。皆元に戻ったし。問題は俺だ」

長門「そう、貴女の身体的特徴に関しては私も誤算だった」

キョン「いや、そもそもだ。何故俺だけ、中身はそのままに、身体的性別が反転している?」

長門「それを説明するにはまず、今回の件で何が起きていたかを1から説明する必要がある」

キョン「…聞かせてくれ」

長門「まず、始めに彼女は世界を作り変えた」

キョン「それは聞いたな」

長門「いや、貴女に話したのはその変化の最終形。ここではまだ途中段階であり、彼女が初めに作ったのは全人類が身も心も反転した世界」

キョン「ちょっと待て。それはおかしい。前後が繋がらない」

長門「最後まで聞いて。彼女は世界を反転させた後、こう思った。『もしキョンが同性愛者なら、自分は相手にされない』」

長門「奇しくもそれは、改変前の彼女が考えた事と同一だった」

長門「そこで彼女が行った改変は、同性愛と異性愛の認識を入れ替えるというものだった」

長門「だが、そこでもまた問題が発生した。貴女が同性愛者だという前提であるならば、全てを入れ替えてしまえば、涼宮ハルヒと貴女の性的嗜好が一致する事はない」

キョン「まぁそもそも俺はホモじゃないんだがな」

長門「最終的に、その矛盾を解消する為に、貴女以外の性別を変更すると言う改変が行われた」

キョン「…だが、何故内面だけを変更したんだ」

長門「その認識は正しくない。あくまで、彼女に改変前の記憶は残っていない。つまり、彼女は『貴女以外の人間の外見的性別を入れ替えた』という事になる」

キョン「あぁー…つまり、なんだ?ハルヒが男になって、同性愛に目覚め、ガワだけ女に戻った、と?」

長門「大雑把に言えばそういう事になる」

キョン「じゃあ、全て解決したはずの今、俺の外見が女のままなのは何故だ」

長門「解決の際の、彼女の思考に問題があった。全部元に戻そうにも、度重なる改変により、彼女の中では正常な判断ができなくなっていた」

長門「その為に、最後の改変で行われたのは、同性愛に関しての認識の修正と、全人類の内面の性別の正常化だった」

長門「彼女はとても聡い。改変前の記憶が無くとも、家族のあり方を見て、同性愛の認識が通常ではありえない事になっている事に深層心理では気が付いていた」

長門「だからその件に関しては正常化され、また性別についても内面と外面との乖離に疑問を感じた為、修正された」

長門「ただ、貴女が元々男性だったのか、ガサツな女性だったのか、直感だけでは判断できなかった」

キョン「だから俺だけ取り残されたって事か?」

長門「それだけではない。彼女の中の打算もあった。もし本当に貴女が同性愛者ならば、この状況では体に引っ張られて女性を性的対象とする可能性もあるのではと考えた」

長門「更に、彼女の方でも、男性同士は無理でも、女性同士ならば受け入れられないでもない、と言う思いがあった」

キョン「それは、何というか、ハルヒが可哀想だから言わないであげてくれ…」

長門「仮に貴女が異性愛者でも、内面が男のままなら、寧ろ喜んで女性を抱くのではないかとも」

キョン「いや、まぁ…ノーコメントで」

長門「そう言う経緯で、世界は正常に戻った」

キョン「俺以外な」

長門「恐らく、そちらももう少しすれば修正される」

キョン「本当だろうな?」

長門「恐らく。貴女が余りにも女性の姿で男子生徒と仲良くしているのを見れば、彼女は再び貴女を男性に戻すだろう」

キョン「あぁ、じゃあアレか。いつも通り谷口や国木田と駄弁っていればいいのか」

古泉「んっふ、それよりも部室で僕と仲睦まじくした方が早いのでは?」

キョン「いつ現れた」

古泉「たった今です」

キョン「それよりも近い、ちょっと離れろ!あと目線がいやらしいぞ」

古泉「これは失礼しました。余りにも今の貴女が魅力的なもので」

キョン「お前が同性愛者でなかったのは喜ばしいが、今この時に限っては気持ち悪い事この上ない」

古泉「そうですか?付き合ってみれば意外にハマってしまうかも知れませんよ?」

キョン「冗談でも止めてくれ!」

キョン「ん?何だ長門。どうかしたのか」

長門「たった今、涼宮ハルヒが部室の前から全速力で走り去った」

キョン「は…?」

ハルヒ「何よキョンの奴!古泉くん相手にデレデレしちゃって!」

ハルヒ「…なんでこんなにムカつくんだろ」


次の日、無事に元に戻っていたが、古泉との間に物理的接触を阻むATフィールドの様なものが形成される様になった
古泉の異様な接近を阻害できるのは有難いが、些か適用範囲が広すぎるのが玉に瑕だ
お陰でしばらくの間、団活中はお互い部室の端に居なければならなかった
fin

何か面白くないですね
さっさと依頼出してきます
設定を凝ろうとして失敗した感じ

あぁ、いえ
単に笑える所が少ないと言う意味での面白くないです
本当はギャグが書きたかったので

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