菊代「それにしても荒れた場所ですね、みほお嬢さまは大丈夫でしょうか…」

しほ「あの子だったら大丈夫よ、なんといっても私の娘なんだし」

菊代「だからこそ心配なんですが」

しほ「ああ？ケンカ売ってんのか？」

菊代「ほら、そういうところが…」

しほ「あら？何かしら？」

菊代「鉄条網でバリ封してありますね」

しほ「こんな物で足止めしようなんて、なめられたものね。しゃぁぁぁぁっ！」

菊代「久しぶりに出ましたね、極星十字拳」

しほ「西住流家元としての嗜みといったところかしら」

菊代「でもそれ、戦車道と全然関係ないですよねえ」

しほ「『ＢＡＲどん底』…、ここね」

菊代「みほお嬢さま、大丈夫でしょうか…」

しほ「失礼するわ」

カトラス「いらっしゃい、何にする？」

しほ「親父！酒だ！」

カトラス「誰が親父だ」

菊代「みほお嬢さま、お迎えに上がりましたよ」

みほ「お母さん！菊代さん！どうしてここに！」

しほ「あなたこそ何やってるのよ…」

みほ「いや、例によって掃除を…」

菊代「みほお嬢さま、掃除なら私が替わりますから奥様とご一緒に…」

お銀「待ちな、そいつを返して欲しけりゃあたしと勝負しな」

フリント「待ってください！その人ヤバい人ですよ！」

ラム「そうっすよ！そのおばはん只者じゃないっすよ！」

しほ「誰がおばはんじゃゴルぁぁぁっ！お姉ちゃんだろうがぁぁぁっ！しぽりん１６歳でも可！」

ラム「ひぃぃぃっ！ごめんなさいっ！ごめんなさいっ！」

お銀「宇宙海賊キャプテンハーロックも言ってるわ、『男には、死ぬとわかっていても、負けるとわかっていても、
戦わなければならない時がある』って。ハーロックに会ったことないけど」

ムラカミ「いや、あたしら全員女っすけど…」

みほ「お母さんに戦いを挑むなんて…」

菊代「『無知は罪』って本当ですねえ」

お銀「勝負は、これだ！」

しほ「あらジェンガ。楽しそうね」

菊代「なんでやねん」

みほ「ま…まあ穏やかでいいんじゃないかな…」

ガシャァァン

お銀「やったぁ、勝ったぞ」

しほ「うがぁぁぁっ！ええい、もう一勝負！」

みほ「お母さん…恥ずかしいからもうやめて…」

菊代「大人げないなあ」

６時間経過…

フリント「何かありそうなあの７人♪何かありそうなワイルド７♪」

ムラカミ「フリント、はい七索」

フリント「お、サンキュー」

しほ「ちょっと待てやゴルぁぁぁっ！なにそのメチャクチャわかりやすい通しは！」

ムラカミ「いや、通しなんて入れてないっすよ？ねえ？」

お銀「そうそう、ああ、明日も晴れるといいなあ」

しほ「ふざけんなゴルぁぁぁっ！」

みほ「お母さん麻雀なんてやるんだ…」

菊代「はい、でもメチャクチャ弱くて、いつも私や島田さんや蝶野さんのカモにされてますけど」

お銀「まあまあ、空条承太郎も言ってるよ？『バレなきゃイカサマじゃない』って。
空条承太郎に会ったことないけど」

しほ「バレバレだろうがぁぁぁぁっ！」

１８時間経過…

菊代「ジェンガから始まり、麻雀、潜水艦ゲーム、水道管ゲーム、ハンカチ落とし、七並べなど数々の勝負を
繰り広げてきましたが、対戦成績はお互い７勝７敗のカド番。次の勝負で雌雄を決します」

みほ「エポック社の野球盤では『消える魔球を使うか否か』で、勝負を始める前に１時間近く言い争ってたね」

菊代「本当に大人げない人ですねえ」

みほ「勝負の選択権はお母さんに…、一体何の勝負を…」

しほ「勝負はこれよ！」

お銀「ま…負けた…」

しほ「おーっほっほっほ！昔からトップレス褌尻相撲では負けたことがないのよ！」

菊代「娘さんの前でなんちゅう格好しとるんですかあんたは」

みほ「もうやだ…、もう二度と家に帰らない…」

しほ「えっ」

菊代「みほお嬢さま、気持ちはよくわかります。まだわだかまりが残ってらっしゃるでしょうし。でも、
本当はみほお嬢さまと和解したいと思ってらっしゃるんです。まほお嬢さまもドイツ留学が決まりましたし、
淋しくて毎晩のように隠れて泣いてらっしゃるんです」

しほ「ちょっと！」

みほ「お母さん…」

菊代「それと、旦那様が忙しくてなかなか帰ってこられないので、性的な意味でも淋しくて毎晩にように寝室から
鈍いモーター音とともに性的な鳴き声が…」

みほ「いや、そういう情報はいりませんから」

しほ「ブチ殺すぞゴルぁぁぁっ！」

お銀「完全に負けた…、よーし、決めた！あたしたちの新しいリーダーになってください！」

しほ「えっ」

みほ「えっ」

菊代「えっ」

お銀「よーし、そうと決まれば固めの杯だ！親父！酒だ！」

カトラス「だから誰が親父だ」