「それは・・・どういうことですか?」
ちひろ「あのスポンサーからですっ!詳しくはこちらの資料を!」プンプンッ
「これは・・・」ペラ・・・
ちひろ「まったく酷いですよねっ! 専務も怒っちゃって今一緒にM&Aの準備してます!」プンフスカッ
(て、敵対的買収・・・!?)
「それは・・・あの、そもそもこのオファーをお断りするというのは・・・?」
ちひろ「確かにそうするべきなんですが、なんか負けたみたいじゃないですか!」プンプンッ
「ええ・・・」
ちひろ「プロデューサーさん! 何とかしてください!」プンフスカッ
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1519808618
シンデレラプロジェクトの誰に、どんな仕事のオファーがきたか
安価下S’
曲線2x^2+2xy+y^2=1によって囲まれた部分の面積Sから小数点以下第一位を四捨五入した値をS’とする。
制限時間30分
続きは2週間後を予定
「分かりました。善処してみます。しかし・・・」
「どうして・・・と言いますか、そもそも鷺沢さんはCPに属していないのですが・・・?」
美城専務「まったくだ」ガチャッ
「! 専務。お疲れ様です」
専務「先方は“シンデレラプロジェクトの鷺沢文香”の大ファンだそうでな」イライラ
「・・・」
専務「まったくなにを勘違いしたんだか」
専務「まあそんなことは置いておこう」
専務「我が社を象徴するユニット、私の”プロジェクトクローネの鷺沢文香“―失礼」
専務「君の“シンデレラプロジェクトの鷺沢文香”のこれまでの活躍は素晴らしいものだったとクライアントに高く評価されている」
「・・・」
専務「そんな鷺沢文香の新たな一面、世界中の珍しい動物たちとの触れ合いや生態観察を通じて既存路線とは一味異なる彼女が驚き慌てる可愛らしい様が是非見たいとのことだ」
専務「本来であればこのようなふざけたオファーは断りたいところだが―」
専務「・・・シンデレラプロジェクトに既に属していながらプロジェクトクローネに加わったアイドルが2人いる以上、私の方で断るのもどうかと、な・・・」
「・・・」
専務「彼女には君から話したまえ。この仕事を受けるかの判断は彼女の自主性に任せる」
専務「君の働きに期待する」ガチャッ
「・・・」
バタンッ
(・・・さ、鷺沢さんにこの仕事を断らせろ、という意味でしょうか・・・?)
・・・
・・・
鷺沢文香「私がシンデレラプロジェクトに・・・?」
「・・・はい」
https://i.imgur.com/jjUnQeg.jpg
鷺沢文香(19)
「コンセプトは笑顔です」
「まずはその企画を。そして、いずれはCPの合同ライブにもご参加していただく予定です」スッ
文香「珍獣ハンター・・・珍獣ハンター?」ペラッ
「・・・世界中の珍しい動物とのふれ合いや生態観測など、現地へ赴きリポートしていただく・・・ような企画です」
「・・・その動物の速さを見せるために(肉食獣と)追いかけっこしたり、力強さの見せるために(肉食獣と)綱引きをしたり、といったところでしょうか・・・」
文香「なるほど・・・」
文香「あの・・・お仕事のお話があるというのは大変ありがたいこととは理解しているつもりなのですが・・・」
文香「こう言ってはなんですが・・・私以上に適任である方がいるのではないでしょうか・・・?」
(ごもっとも)
文香「運動も、得意だなどとはとても言えませんし、そもそも・・・体力が・・・というあり様で・・・」
「・・・鷺沢さんの持つ魅力をこれまでの活動とは違った視点から見たいというオファーがありまして・・・」
「確かに、他の方から探せば先ほど例に挙げたようなことができる方はいるかと思います」
文香「それなら・・・」
「上手くできなくてもいいんです。鷺沢さんらしさが出ていれば」
「鷺沢さんが自分らしく取り組まれ、その結果の笑顔が望まれているんです」
「作られたシナリオの上ではない、貴女本来の、心からの笑顔を見たいという方がいるんです」
文香「私の・・・」
文香「それは・・・その・・・プロデューサーさんも・・・ですか・・・?」
「もちろんです」コクッ
文香「・・・!」
「プロジェクトクローネとも並行して活動していただくことになりますので、ご負担も大きく増えることとなるかと思われます」
「私で出来るサポートはさせていただきますが、それでも単純に2倍とはならないと思います。不慣れなことに挑むのですから」
「一度持ち帰って、よく考えていただけると―」
文香「いえ、その必要はありません」
「・・・?」
文香「きっとまた、新しいページが開かれると信じられますから。プロデューサーさんとなら」
文香「シンデレラプロジェクトへの加入、それから珍獣ハンターのお仕事」
文香「慎んでお受けさせていただきます。末永くよろしくお願いいたします」ペコリ
「えっ」
「あの、私から言うのもですがクローネの方々ともお話された上で決められた方が・・・」
文香「そう・・・ですね。ありすちゃんは特に、同じユニットでもありますから、話しておくべきでした」
文香「ですが、それでも反対されることはないかと思います。クローネはフランクな方ばかりですし」
文香「そもそも、シンデレラプロジェクトとクローネのどちらにもいる方々がいますし」
(やっぱり・・・)
・・・
・・・
文香「笑顔で送り出していただけました」ぶい
「・・・それは・・・なによりです・・・」ガクッ
「では・・・企画の話を進めましょうか。会議室を一つとっているので、そちらで」スッ
文香「はい」トコトコ
ガチャッ バタンッ
文香「取材する動物はもう決まっているのでしょうか?」
「いえ、何も決まっていません。私もお手伝いしますが、そこから鷺沢さんに決めていただきたいと思います」
文香「そうですか、分かりました」
文香「実は、もしかしたらそうではと、いくつか参考になりそうな本を用意してきたんです」ゴトッ
「ありがとうございます。私の方でもご用意してありますので、ではまずは、取材対象から決めていきましょうか」ゴトッ
文香「はい」ペラッ
文香「やはり、日本国内や日本の動物園ですとか、簡単には見にいくことのできない動物が望ましいのでしょうね」ペラッ
「そう、ですね」ペラッ
文香「我々にはなじみ深い動物でも、世界から見れば珍しい進化をとげたという動物は日本にもいます。島国ですから」ペラッ
「そうなのですか?」
文香「はい。例えば、昔話によく出てくるタヌキという生き物も実は、大陸を原産とする種とは大きく異なる固有種であるという話もあります」
文香「あっ、野生の姿と動物園での様子が異なる動物も面白いかもしれませんね」ペラッ
文香「ああ、でも、より野生に近い状態で飼育するという動物園も増えていますし、あまり珍しくはないでしょうか・・・?」ペラッ
「なにか、気になる動物が見つかったのですか?」
文香「はい。この、ラッコなのですが、野生のラッコは寝むる時に海流で流されないように海藻を体に巻き付けるという話は聞いたことがあるかと思うのですが」
文香「水族館のラッコはそれができないので、代わりにこうして手をつないで寝るそうなんです」ギュッ
「! さ、鷺沢さん・・・!」
文香「ふふ、きっと可愛いでしょうね」ギュー
文香「ですが、野生のラッコはもちろん、水族館のラッコも寝むるのは通常閉館後らしいので、どちらも一般的に観られるものではないですし、その映像を撮りに行くというのもいいかと思ったのですが・・・?」ギュー
「こ、候補に入れておきましょう」
文香「はい」ギュー
文香「ふふ、こうして誰かと一緒に本を眺めるなんて、子供のころ、寝る前に本を読んでもらった時のようです」ペラッ
「そ、そうですね。楽しんで頂けているようで、何よりです」
文香「あとは、どんな動物が・・・♪」ペラッ ペラッ ギュー
・・・
・・・
「本番5秒前。4、3、・・・」●REC
文香「皆さんこんにちは。鷺沢文香です」
文香「本日からの新企画『珍獣ハンター文香』はここ、アフリカ大陸に位置する世界最大の砂漠」
文香「サハラ砂漠からお送りいたします」
文香「それでは早速参りましょう」トコトコ
文香「サハラ砂漠といえば、サハラとは現地の言葉で砂漠を意味している、というお話をご存知でしょうか?」
文香「なのでサハラ砂漠と言ってしまうと、『砂漠砂漠』と言っているようではありますが日本では慣用的にサハラ砂漠と呼びますね」
文香「ここ、サハラ砂漠にも深い歴史が存在しますが、今は割愛させて頂きます」
文香「見渡す限り砂と空しかない、美しく過酷な世界」
文香「こんな地にも生きる生物はいます。そして、ここにタイヤ痕がありますね?」
文香「人間もまた、この地に足を踏み入れることのできる数数ない動物のひとつです」
文香「本日生態を追う生物は私たち『人間』です」フゥ
文香「存外、得意とも思わないことが特技だったりするものです」
文香「人間は持久力に優れ、全身から汗をかき体温を下げることができるので、このような炎天下でも長く走ることが可能なのです」
文香「これは他のほとんどの動物にできないことです」
文香「そもそも、今ほど文明が発展するまで、農業が発展するまでは我々人類もまた狩りをしていました」
文香「力の弱く、脆い人間がどのように狩りをしたかというと」ゼーハー
文香「このように、歩いたり走ったりして追いかけていたのです」
文香「持久狩猟と言い、」フゥ
文香「どこまでもどこまでも、数十キロメートルだろうと何時間だろうと、獲物が熱中症で倒れるまで追いかけまわして狩りをしていました」
文香「それに合わせて、正確な投擲も得意で、時代が進めば弓や銃も生み出されるので・・・」
文香「重い筋肉はむしろ無駄となる生き方を昔からしていたのでしょうね」
文香「ありすちゃんのゲームを見させてもらったことがあるのですが」フゥ
文香「弓や魔法で後方から戦う方が戦士のような重い鎧を着ている必要はありませんね・・・」
文香「弱肉強食、というよりも適者生存といった感じでしょうか・・・」ゼーハー
文香「強いから生き残り、弱いから生き残れない・・・ということではなく・・・」ゼーハー
文香「適応できたものが生きることができる・・・適応できる場所で生きるのが良い。そういうものの考え方もあると思います・・・」ゼーハー
文香「それも・・・生き方のひとつ・・・ですね・・・」ゼーハー
文香「・・・挑戦も素晴らしいものですが、生きやすい場所で生きることも幸福だと、今は特に、実感し・・・ま・・・す・・・・・・」ゼーハー
文香「それ・・・で・・・は・・・引き続き・・・サハラ砂漠の横、断・・・を・・・」
バターン
「さ、鷺沢さん!? 鷺沢さーん!」
・・・
・・・
文香「何事もほどほどが、身の丈に合ったことをするのが一番ですね・・・」
文香「良い教訓となりました・・・」
文香「人間の英知は適者生存を超えました」
文香「生きやすい場所で生きやすい生き方をする。それ以上に」
文香「生きやすい空間を作り出すことに成功したのです」
文香「空調、こたつ、ミカン、そして本」
文香「もうここから動きたくないほどです」ヌクヌク
文香「今週の珍獣ハンターはここまで」
文香「来週からは時刻を金曜夜7時に引っ越しし、青いタヌキの生態に迫ります。お楽しみに」バイバーイ
お・わ・り
お読みいただきありがとうございました
悪いことするぞーという安価に限ってそうでもないことが安価に選ばれる
あるあるですね
ご協力もありがとうございました
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