鷺沢文香「事務所にお泊まり」 (26)
モバマスのSSです
短いと思います。
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P「…………」カタカタ
文香「…………」ペラッ
P「……ふぅ、やっと終わった。もう9時回ったな。文香、読書もその辺にして帰りなさい」
文香「……あ、でも、ちひろさんが……書類の事で私に確認を取りたいと」
P「そうか。じゃあ、それ終わったら車で送って行くよ」
文香「……いえ、駅までそんなに遠くないし……終電逃しても歩いて帰れない距離ではないので」
P「女の子の夜の一人歩きは危険だし、ましてや文香はアイドルだからそれは許可できないな。それに、今にも雪が降りそうなほど寒いし」
Prrrrrr
P「ちひろさんからだ。はい、え?そうなんですか?はい、はい、分かりました。気を付けて、はい、はい、大丈夫です。それじゃあ」ピッ
文香「……ちひろさん……どうしたんですか?」
P「雪で電車止まったから直帰するってさ。文香に待たせてごめんだって」
文香「……そうですか……じゃあ、帰ります」
P「送ってく。エンジンかけてくるからちょっと待ってて」
文香「……でも」
P「ちひろさんに、ちゃんと文香を送るようにって言われたんだ。だから、送って行くよ」
文香「……お願いします」
P「じゃあ、ちょっと待ってろな」
文香「……はい」
ガチャ
P「うわぁ、けっこう降ってんなぁ……文香は帰り支度して待ってろな?」
バタンッ
文香「…………」ソワソワ
ガチャ
P「はぁ……」
文香「……プロデューサーさん?」
P「すまん……寒さで車のバッテリーが上がってた……JAFに電話したけど、明日じゃないと無理だそうだ」
文香「……仕方ないですね……歩いて帰ります」
P「いや、それもまずい。この寒さと雪の中を歩いて帰るのは無茶だ。仕方ないから、タクシー呼ぶか……」
文香「……困りましたね……まさか、雪が降るなんて」
P「大分、積もってるだろ?あ、もしもし、CGプロダクションまでお願いします」
文香「……大雪ですね……プロデューサーさんの足跡も消えたみたい」
P「え?この雪でタクシー出せない?一台もですか?はい、はい、分かりました」
文香「……タクシー……駄目でしたか?」
P「ああ……なんでも大寒波で記録的な大雪らしく出せないそうだ……ちょっと別のタクシー会社にもあたってみるわ」
文香「……すいません」シュン
P「謝る必要はないよ。しかし、困ったな」
文香「……そうですね」
P「あ、もしもし、CGプロダクションまでお願いしたいんですが……」
文香「…………」
P「そうですか……分かりました。はい、失礼します」
文香「……ダメ……でしたか」
P「うん……おそらくどこのタクシー会社も出せないだろうってさ。となると……事務所に閉じ込められたな……」
文香「……そ、そうですね」ドキドキ
P「仕方ない。取り敢えず、腹ごしらえするか」
文香「……なにか……食べるものあるんですか?」
P「三日前、残業で事務所に泊まるってなった時にスーパーでいろいろ買っといたんだ。カップラーメンなんて味気ないからさ。ただ、作る手間を考えたら面倒になって結局カップラーメンにしたけどな」
文香「……私……作ります」
P「文香、料理できたっけ?」
文香「……その……えっと」
P「ハハハ……俺が作るよ。っても簡単な物だけどな」
文香「……すいません」シュン
P「気にしなくて良いよ。文香は、更衣室から布団と毛布出しておいで。布団と毛布は更衣室にあるから」
文香「……分かりました」スタスタ
ガチャ バタン
P「さてと……もしものために調理器具を買って事務所においといて助かったな……食材は……かまぼこに卵……あとは……」
ガチャ
文香「……プロデューサーさん」
P「ん?どうした?」
文香「……お布団が……ひとつしかないんですが」
P「ああ、そうだよ。俺が泊まる様にひとつしかおいてないんだ。あ、使ってないから安心して。俺の分の毛布も持ってきてくれる?俺はソファで寝るからさ」
文香「……でも……それじゃ……プロデューサーさんが」
P「大丈夫大丈夫。事務所に泊まる時のためにって買った布団だけど、結局毛布にくるまってソファで寝てるから慣れてるし、文香をソファで寝かせるわけにもいかないしさ」
文香「…………」
ガチャ
P「手頃な器がないな……まぁ、蓋を器代わりにすれば良いか……」
ガチャ
文香「…………」ズルズル
P「あれ?布団こっちに持ってきたの?」
文香「……あの……プロデューサーさんがソファで寝るのは忍びないというか……せめて私もこっちでと」
P「文香が良いならそれで良いんだけど……」
文香「……あの……本当ならプロデューサーさんにお布団で寝て欲しいんですが」
P「女の子をソファで寝かせるほど甲斐性なしじゃないよ」
文香「……プロデューサーさん……頑固ですね」
P「そうかな?よし、出来たよ。そっち持ってくからテーブルの上、片付けてくれるか?」
文香「……はい」ガサガサ
P「よいしょっと」カタッ
文香「……鍋焼うどん?」
P「そう。学生の時、よく夜食で作ったんだ。本当はネギも入れたかったんだけど、無かったから卵とかまぼこを入れた」
文香「……美味しそう」
P「美味しいと思うよ。だって、市販の鍋焼うどんを作り方通りに土鍋で作っただけだからね。味は保証するよ」
文香「……でも、普段食べるものよりずっと美味しそうです」ニコッ
P「ありがとう。さ、食べようか。七味入れて大丈夫?」
文香「……大丈夫です」
P「ちょっと行儀悪いかもしれないけど、手頃な器が無かったから鍋から直接食べてな?」サッサ
文香「……プロデューサーさんは?」
P「俺は蓋によそって食べるよ。じゃあ、いただきまーす」
文香「……いただきます」
>>6画像支援ありがとうございます!
ちょっと中断
また夜に来ます
P「はふっ…はふっ…」ズルズル
文香「…………」フゥフゥ
P「あちっ…はふっ、はふっ…うん、美味い」
文香「…………」フゥフゥ
P「文香、もしかして猫舌?」
文香「……はい」シュン
P「蓋によそったほう食べるか?鍋から直接食べるよりは食べやすいかも」
文香「……良いですか?」
P「もちろん。この卵を絡めて食べると美味しいんだよ。かまぼこと天ぷらも入れてやろう」
文香「……すいません」
P「文香、遠慮しなくて良いんだぞ?文香は大事なアイドルだし、もうちょっと図々しくして良いんだよ。ほら、卵をうどんと絡めて食ってみ」
文香「…………」ズルズル
P「どうだ?」
文香「……美味しい」ニコッ
P「だろう?」
P「はふっ、はふっ……こうやって……人とご飯を食べるのは久しぶりだなぁ」ズルズル
文香「……独り暮らし……でしたよね」
P「そう。家で一人寂しく食うのもなんか味気なくて、もっぱら外食だからこうやって自炊したのも久しぶりだよ。まぁ、自炊ってほどのものでもないけどさ」
文香「……やっぱり……寂しいですか?」
P「田舎から出てきた当時は特に寂しかったなぁ。兄貴が先にこっちに来てたんだけど、既に家庭があったし仕事も忙しそうだったからお邪魔出来なかったし、知り合いもまだまだ少なかったからさ」
文香「…………」ズルズル
P「今は、大分マシになったけどね。寂しくなったら仕事して気を紛らわせてる。独身生活が板についてきたよ。アハハ」
文香「……あの……恋人とかは……その……作らないんですか?」
P「んー……」ズルズル
文香「…………」
P「恋人なんかいらないって言えば嘘になるな……でも、自分に恋人がいるところが想像出来ないなぁ……」
P「文香みたいに可愛い女の子なんてそうそういないだろ?こうやって同じ鍋のうどんを啜れてる事だって望んだって出来ない事で……だから、これ以上幸せな事が想像出来ないって言うか……」
文香「……///」
P「まぁ、出来たら嬉しいな……ってくらいかな」
文香「……あの……もし」
P「もし?」
文香「……いえ……なんでもないです」
P「ん?」
文香「……ごちそうさまでした」
P「あ、おう。じゃあ、片付けるよ」
文香「……あ、私がやります……やらせて下さい」
P「じゃあ、文香に任せるよ。俺は、ジャージに着替えてくる。スーツのままだと堅苦しいし」
文香「……はい」
文香「…………」カチャカチャ
ガチャ
P「文香もそれが終わったら着替えておいで。レッスン様のジャージがあるだろ?」
文香「……はい」ジャー キュッ
P「そろそろ12時か……」
ガラッ
P「けっこう積もったなぁ……まだ、降ってるし雪かきすることになりそうだ」
文香「……着替えてきます」ガチャ
バタンッ
P「おう」
P(文香と二人で事務所に泊まりねぇ……大変だ、困ったな、なんて言いながら喜んでしまった……)
P(妙にテンションが上がって変に文香に気を使ったし、不審に思われたかな……)
P「ふぅ……」
ガチャ
P「ん?そろそろ寝るか。12時回りそうだし、雪がけっこう積もってて朝イチで雪かきをすることになりそうだ」
文香「……は、はい」
P「暖房消したらかなり寒いだろうからしっかり布団被れよ?」
文香「……はい」モゾモゾ
P「電気消すぞー」パチッ
文香「…………」
P「…………」モゾモゾ
文香「…………」モゾモゾ
P「…………」モゾモゾ
文香「……あ、あの」
P「どうした?」
文香「……寒く……ありませんか?」
P「文香こそ大丈夫か?寒くないか?」
文香「……私は……大丈夫です」
P「なら良いんだ。タイマーセットしたからそろそろ暖房消えるぞ」
文香「……はい」モゾモゾ
P「……なぁ、文香」
文香「……はい」
P「アイドルの仕事は楽しいか?」
文香「……楽しいです……不安や葛藤がないわけではないけれど……それでも……何かを表現するという事を……楽しめてきたと……思います」
P「そっか、良かった」
文香「……どうしてそんな事を?」
P「どうして……うーん、不安なのかもしれないな。俺、まだまだ半人前だし」
文香「……そんな……プロデューサーさん……いつも私たちの事を思って働いてくれて……プロデューサーさんがいなかったら私はいつまでもうじうじしてたと思います」
P「ありがとう。そう思ってくれているなら助かるよ」
P「まだまだ半人前の俺には、出来る事なんて限られてて……それでも必死にやって行くしかないから、至らない事もたくさんあるから……」
文香「…………」
P「文香を引っ張るなんて烏滸がましい感じがするけど、共に歩いてく事なら出来るかな……なんて事をふと思ったんだ。だから、変な事を聞いたけど、俺の心配なんて些細な事だったな」
文香「…………」
P「ゴメン、ゴメン。さ、寝ようか」
文香「……プロデューサーさん」
P「ん?」
文香「……さ、寒いです///」
P「寒いか?暖房つけるか?いや、俺の毛布を……」
文香「……あ、あの……わ、私の……布団に……入ってくれませんか///」
P「え?あ、いや、それはマズイというか……えっと……文香はアイドルなわけだし……」ドキッ
文香「……お願い……します///」
P「……あ、でも」
文香「……ダメなら……私が、プロデューサーさんの隣に///」
P「……分かった」
P「…………」モゾモゾ
文香「…………///」
P「あ、暖かいな……正直、毛布一枚じゃ心許なかったんだアハハ」ドキドキ
文香「…………///」ピトッ
P「ふ、文香!?」ドキッ
文香「……わ、私は……暗くて……自己主張が出来なくて……ダメだけど……プロデューサーさんが居れば……なんでも出来る気がするんです」
P「文香……?」
文香「……プロデューサーさんがいなかったら……私は……いつまでも自分の世界に閉じ籠ったままでした……プロデューサーさんが私を引っ張り出してくれた……」ギュッ
文香「……す、好きです……プロデューサーさんが……好きです///」プルプル
P「文香……」モゾモゾ
文香「…………///」
P「文香、顔真っ赤だな」ギュッ
文香「……あんまり……見ないで下さい///」
P「文香は狡くなったなぁ……こんな状況で俺とお前はアイドルとプロデューサーだからなんて台詞言えないじゃん」ナデナデ
文香「……迷惑……でした?」ウルウル
P「俺も文香が好きだよ。本読んでる時の顔とか見惚れてしまうし、レッスンを頑張ってる姿を見ると文香のためになんでもしてやりたいなんて思う。考え方や行動、言葉のチョイスや雰囲気、鷺沢文香を形成する全てが大好きだ。だけど、大好きだからこそ半端な俺の気持ち如きで文香の何かを汚してしまうんだと思って勇気がだせなかった……」
文香「……そんな……プロデューサーさんが思ってるほど私は……」
P「まぁ、共に歩いて行こうなんて宣った手前、そんな事は俺の意気地なしでしかないんたよな。だから、俺も文香が好きだ。ずっと、ずっと一緒に居たい。そう、ハッキリ伝えたい」
文香「……プロデューサーさん」ギュウッ
P「こ、こら!そんな強く抱き付いたら……まぁ、良いか」ギュッ
文香「…………///」スリスリ
P「そろそろ寝ようか。おやすみ、文香」
文香「……Pさん……おやすみなさい」
―――
――
―
ガチャ
ちひろ「……はぁ、昨日は散々だったなぁ。プロデューサーさぁん?」
ちひろ「恐らく泊まったんだろうけど……」
ちひろ「あ、そんなとこに布団を敷いたんですか?布団がよご……れ……」
文香「…………」スゥスゥ
P「……んん、文香」ギュッ
文香「……Pさん」ギュッ
ちひろ「おやおやおやおや?ストックホルム症候群かな?それともプロデューサーさんはこれが目的だったのかなぁ?」
P「……ん?ああ、もう……朝……か」
ちひろ「プロデューサーさん、これから朝チュンでモーニングコーヒーですか?Maroon5のSundaymorningでも掛けますか?」
P「ち、ちひろさん!?こ、こ、これには訳が!!」
寝ぼけ文香「……Pさん……寒いです」ギュッ
P「ああ、もう可愛いなぁ!じゃなくて、文香?起きろ。緊急事態だ!!」
ちひろ「……エナドリとスタドリ10ケースずつで手を打ちましょう」
P「鬼!悪魔!ちひろ!」
ちひろ「あぁん?」
P「……買います」
寝ぼけ文香「……Pさん」スリスリ
以上です。
文香が急にデレたのは吊り橋効果的な感じといつものPとは違う一面を見たからと思って下さいすいません
文香はプラトニックな恋愛が良いと思います!!(迫真)
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