ヴィーネ「ガヴは私で丸くなる」 (20)

ピンポーン


ヴィーネ「ガヴー? いないのー?」

ヴィーネ「もう、せっかく宿題一緒にやろうって約束したのに……」

ヴィーネ「ガヴー? 入るわよー?」アイカギガチャッ

シーン…

ヴィーネ「……あれ、ガヴ? いないの? てっきり寝てるのかと思ったけど」

ヴィーネ「電気はついてるけど……ガヴはいないのかしら」

「ニャー」

ヴィーネ「あら、今の声……ネコ?」キョロキョロ

「ニャーン」コソコソ

ヴィーネ「わ! ……間違いない、ネコだわ。でもどうしてここに?」

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ネコ「ニャオーン」

ヴィーネ「よしよし、可愛いわね~」ナデナデ

ネコ「ニャ…」トローン

ヴィーネ「野良猫かしら? ガヴが拾ってくるとは考えにくいし、どこかから入って来ちゃったのね」

ネコ「ニャ」スリスリ

ヴィーネ「なんて言う種類なのかしら? 綺麗な金色の毛だけど、ちょっとボサボサしてるわね」

ネコ「?」

ヴィーネ「そうだ、ガヴが来るまでブラッシングでもしてあげようかしら」

ネコ「!」

◇ ◇ ◇

~10分前~

ガヴリール「ふぁあ、ヴィーネ早く来ないかな。宿題わかんないじゃん」

ガヴリール「……あれ、制服のポケットに何か入ってる。飴玉?」ゴソゴソ

ガヴリール「全然覚えてないけど、これいつのだ……? ま、いいか」パクッ

ガヴリール「なっ……あれ!? 身体が熱い! あ、な、なんか縮んでいく……!」シュウウウウウ

ボワンッ!!

「……」

「やばい」

ネコリール「私、ネコになってるじゃん……!!」

◆ ◆ ◆

ネコリール(大方魔界通販とやらの仕業だろうけど……これは困ったな)

ネコリール(ヴィーネにバレるのは避けたいところだけど……)

ヴィーネ「さて、ブラッシングしてあげるわね~~」サッ

ネコリール(まあ、自然にしてればやり過ごせるだろ)

ヴィーネ「でも、その前に……その埃まみれの体を綺麗にしないとね?」

ネコリール「にゃっ!?」

ネコリール(きれいにって……まさか)

ヴィーネ「ちょっと、お風呂に入ろっか♪」

ネコリール(にゃにいいぃぃぃ!?)

ネコリール(冗談じゃない! ヴィーネとお、お風呂なんて恥ずかしくて入れるか!)ジタバタ

ヴィーネ「こらこら、暴れないの! やっぱり猫ってお風呂苦手なのかしら」

ネコリール(そういう問題じゃにゃいっ!)ジタバタ

ヴィーネ「もう、おとなしくしなさい!」グイグイ

ネコリール(くっ、この身体じゃなけなしの天使力も使えないし力も負けるっ)

ネコリール(ネコの体とはいえ、ヴィーネとお風呂……///)

………

ネコリール(…………)

ヴィーネ「♪」

ヴィーネ「もうちょっとで洗面器にお湯張れるからね。待っててねー」

ネコリール(……冷静に考えれば、いま私ネコじゃん。一緒にお風呂入れるわけないじゃん)

ネコリール(くそう、無駄に慌ててしまった自分が恥ずかしい……///)

ヴィーネ「よし! じゃあ洗ってあげるね!」

ネコリール「ニャ-……」

ヴィーネ「どう? 痛くない?」ゴシゴシ

ネコリール「にゃあ……」スリスリ

ヴィーネ「ふふっ、気持ちいいみたいね」

ネコリール(あー……最初は少し変な感じだったけど慣れると悪くないな……)

ネコリール(ヴィーネの手が全身の毛を梳いて丁寧に洗い流していく)

ネコリール(こんなに全身洗ってもらえることなんて普通の身体じゃありえないし、もっと堪能して……)

ヴィーネ「はいおしまい! じゃあ体拭くからねー」

ネコリール(ああ……体も小さいからすぐに終わっちゃった……)ガッカリ

ヴィーネ「うん! さっぱりしたわね!」フキフキ

ネコリール「♪」

ヴィーネ「じゃ、ブラッシングしてあげなくちゃね」グシグシ

ネコリール「にゃー……」

ネコリール(ああ、気持ちいい……ここは天国か……)ポカポカ

ヴィーネ「……それにしても、ガヴったらどこに行ったのかしら」

ネコリール(うっ)ギクッ

ネコリール(そうだ、早く戻らないと怪しまれるよな)

ネコリール「!」ブルブルッ

ネコリール(ま、まただ!体が熱くなってきた……もしかして効果が切れるのか!?)

ネコリール「ニャッ!!」ダッ

ヴィーネ「わっ! ちょっとネコちゃん、どこ行くの!?」

ネコリール(隠れる場所……とりあえず、トイレに飛び込むしかない!)バッ

ネコリール「!!」シュゥゥゥゥゥゥ

「も……」

ガヴリール「戻った……」ヘナヘナ

ガヴリール「あー、時間制限のある薬でよかったよかった。どうなることかと……」ガチャ

ヴィーネ「え、ガヴリール?」

ガヴリール「あ、ごめんごめん! 実はトイレで寝ちゃっててさー」

ヴィーネ「いや……まあ、それは別にいいんだけど」

ヴィーネ「なんで、裸なの?」

ガヴリール「」スッポンポン

ヴィーネ「……そういう習慣?」

ガヴリール「……そ、そういうことにしといてくれ……///」

ヴィーネ「そういえば、さっきまでネコが居たんだけど、ガヴ知らない?」

ガヴリール「ね、ネコ? いや、何のことだか」キョロキョロ

ヴィーネ「ガヴが飼ってたんじゃないのね。じゃあやっぱりどこかから入ってきた野良猫かー」

ガヴリール「そんなことよりさ、ほら、早く宿題やろうよヴィーネ様~」

ヴィーネ「あら、珍しくやる気じゃないの。どうしたの?」

ガヴリール「あ、いや、なんというか……ネトゲのイベントがもうすぐで始まるんだよ!」アセアセ

ヴィーネ「まったく、こっちはこっちで手はかかるし……ちゃんと自分でも考えるのよ!」

ガヴリール(……ヴィーネ、気付いてない? とりあえず良かった……)ホッ

◇ ◇ ◇

ヴィーネ「だから、これはこの式を代入して……」クドクド

ガヴリール「うう~~わからん……」

ヴィーネ「ガヴ、ちゃんと聞いてる? 頭ふらふらしてるけど」

ガヴリール「わからにゃい……」スリスリ

ヴィーネ「ちょ、ガヴ!? どうしたの、急にもたれかかってきて」

ガヴリール「あ、ご、ごめん!」バッ

ガヴリール(なんだ!? とっくに効果は切れてるはずなのに……)

~数時間後~

ヴィーネ「よし、宿題終わり! ガヴもよく頑張ったわね!」

ガヴリール「……」ウトウト

ヴィーネ「ガヴ? 眠いの?」

ガヴリール「あー……ちょっとだけ」

ヴィーネ「ガヴにしては頑張ったわね。よしよし」ナデナデ

ガヴリール「わっ……撫でるなっ」ゴロゴロ

ヴィーネ「いい子いい子~」ナデナデ

ガヴリール「~~~っ!」ピョンッ

ヴィーネ「わわっ! どうしたの、膝に飛び乗ってきて」

ガヴリール(あっ、さっきまでの記憶のせいでついネコっぽくなってしまった)

ガヴリール「な、何でもないよ……ネコの物まね、みたいな?」

ヴィーネ「もう……なによそれ」クスッ

◇ ◇ ◇

ガヴリール「今日はありがと、宿題助かったよ」

ヴィーネ「一人で大丈夫? なんか今日は様子がおかしかったけど」

ガヴリール「ああ、多分明日になったら治るよ……」

ヴィーネ「そうだ、元気無さそうだし、ご飯でも作っていってあげようか?」

ガヴリール「え、ほんと? それは助かる!」

ヴィーネ「キャットフードでいいかしら?」

ガヴリール「……え?」

ヴィーネ「ついでにお風呂も一緒に入る? 洗ってあげようか?」

ガヴリール「……いつから気づいて……」

ヴィーネ「んー? 何のこと?」ニヤニヤ

ガヴリール「お前……」

ガヴリール「ポケットに飴玉仕込んだのもヴィーネか! 道理で記憶にないと思った!」

ヴィーネ「不用心に食べるから……」

ガヴリール「あっ、今思えば何で都合よくブラシなんて持ってたんだよ! あれ猫用だろ!」

ヴィーネ「はいはい、あんまり騒がないの。よしよし」ナデナデ

ガヴリール「ふにゃあ……アゴ下撫でるなあ……」ヘナヘナ

ヴィーネ「魔界通販も、たまには使ってみるものね……」

ガヴリール「や、やっぱりお前の仕業かよ……」

ヴィーネ「ふふっ、ごめんね! ちょっとからかってみたかっただけなの!」

ヴィーネ「……でもおかしいわね、この薬、とっくに効果は切れてるはずだけど。なんでまだこんなにネコっぽいのかしら」

ガヴリール「!!」

ヴィーネ「もしかして、ネコっぽくしてると甘えられるからわざとそう振る舞ってるとか」ジロッ

ガヴリール「いや、そ、そんなわけ……」アタフタ

ヴィーネ「そんなわけないわよね! 元々ガヴがネコっぽいだけよね!」

ガヴリール「そうそう、……なんか釈然としないけど、まあ、それでいいよ」ハァ

ヴィーネ「私は、そのままのガヴでもいいけど……良かったら、今日一日ネコガヴモードで過ごしてみる?」

ガヴリール「……それって、撫でられたり膝の上に乗ってもいいのか?」

ヴィーネ「一緒にお風呂入ったり寝るのもいいわよ♪」

ガヴリール「じゃあ……やってあげてもいいけど///」プイッ

ヴィーネ「こら! ネコガヴなんだから語尾ににゃんって付けなきゃでしょ!」

ガヴリール「なんだそれ!そんなことできるか!///」

ヴィーネ「……」ウズウズ

ガヴリール「……にゃん」

ヴィーネ「♪」ナデナデ


完!

ネコの日ということでガヴリールがネコになっちゃうお話でした。

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