【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」いちご「その45じゃ」【咲-Saki-】 (411)


※このスレは咲の二次創作安価スレです

※もはや何個あるんだよ……な、京太郎視点です

※最強(麻雀でとは言ってない)の京太郎を目指して、日本各地の高校で雑用をします

※色々補正あり、エンディングはヒロインの数だけ

※鬱なし、ガチ修羅場なし、闘牌なし

※麻雀は基本、京太郎視点のみの個人戦ですよーぅ

※ギャルゲのみでやっていくもよし、麻雀を極めるもよし、すべては安価神とコンマ神のみぞ知る


パート1
【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」
【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389148459/)

前スレ
パート44
【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」衣「その44だぞ」【咲-Saki-】
【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」衣「その44だぞ」【咲-Saki-】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495551192/)


 安価の連続取得、連続スナイプはおk
 複数選択安価の、同一IDによる複数取得は不可
 踏み台+単独取得は可能
 安価取得からの選択修正は不可、取得内容がミスなら安価↓となります

 書き込みエラーは書き込まれている場合があるので、再書き込みの前に更新推奨
 連続書き込み、下げ忘れなどへ、厳しいツッコミはあったかくな~い
 煽りにならないよう、和やかに行きましょう


◆スタートは9月(二週目以降は10月)
(現在二年目??月、永水→宮守→阿知賀→白糸台→姫松→千里山→清澄→臨海→清澄→有珠山→新道寺→有珠山)

基本ステータスは3つ。
・雀力スキル=咲世界での戦闘力
・執事スキル=炊事・洗濯・掃除・裁縫等の家事全般、教養や成績、さらには容姿に関わるスキル
・雑用スキル=麻雀関連の雑務、気遣い、買い物、データ管理、コミュ力に関わるスキル

※成功判定はコンマが、50+スキル数値÷10以内なら成功、オーバーなら失敗(普通)、ゾロ目で大成功
※麻雀判定は別記載


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1518952845


◆基本的な流れ
・派遣先で一ヶ月過ごす

・一ヶ月の内訳は4週間、週7日、ただし使用するのは二週間分=平日12日+休日2日、+連休3日

・週開始時に、重視行動選択。行動に対応するスキルが毎日1上昇する。経験値の場合は5。
 (例:重視雀力→毎日1上昇×6、週末にさらに6追加)

・各日で選択可能な行動を選び、判定し、イチャイチャしたり鍛えたり

・7日が終わると、6日で成長した分と同じだけさらに成長、スキルポイントと女の子好感度
(技能経験値以外の、コンマ運で上げた分は除く ※例:ボーナス、遭遇判定好感度、おみくじ)
(追加成長は、本来予定していた四週行動の名残。前週と同じ行動をした、という仮定で成長する)

・連休 合宿or旅行or休日×3として使用可能

・そこからまた7日行動、終わると倍成長、日程終了

・オファーをチェックし、別の学校へ(安価多数決)


【※ 学校イベント予定】
テストは基本、5月二週、7月二週、10月四週、12月二週、2月四週。
白糸台と千里山と阿知賀は6月二週、9月二週、12月二週、2月四週。
テスト前週は通常行動の雀力行動不可。

5月一週水曜~金曜:GW(三連休) 土曜:体育祭
10月一週土日:学園祭 二年限定10月三週水木金:修学旅行
3月:卒業式(3月0日に、という扱い。行ったことある場所なら、どこでも行ける)
4月:入学式

【麻雀大会イベ】(土曜は団体戦イベ、関与なければ通常土曜)
11月第一週土日:秋季地方大会予選
11月第三週土日:秋季地方大会本選・ドラフト会議
3月第一週土日:春季大会予選
3月第三・四週:春季大会本選
6月第三週土日:夏の全国予選
8月第一・二・三週:夏の全国大会

【正月の扱い】
・正月期間が存在、実家で過ごす(描写はカット)
・ただし例外として、ときめき以上の相手とは、自由に初詣に行ける。一ヶ所(一人)のみ
・1月の学校は普通に、第一週月曜から

●初詣
・雀力or執事or雑用、いずれか+10
・経験値+60
・一緒に行った女子の好感度+10(すでにときめき、ただしこれを選べばデート回数が1追加)
・別の女子好感度+5
のうちから一つ選択、その後おみくじ安価

●おみくじ
・引くか否か選択後、引く場合はコンマ判定
ゾロ目 大吉 ステ三種+2・経験値+10・全知人好感度+1
01~10 中吉 ステ三種+1・経験値+5・1月派遣先生徒&卒業生好感度+1
キリ番 中吉
11~60 小吉・吉・末吉 一桁123雀力+1、456執事+1、789雑用+1、0好感度+1(※別途人物安価)
60~89 凶 一桁123雀力-1、456執事-1、789雑用-1、0変化なし
90~00 大凶 ステ三種-3
4ゾロ 大凶


【大会情報】
・土曜、前週については団体戦関連のイベントが大部分。以下は京太郎出場の大会のみ

◆秋大会=地方大会 ※公式試合の前にはセーブ可能です(公式戦は2回コンティニューできる)
 ●予選:県代表選抜戦、四回判定戦×3試合、11月第一週休日。ちなみに次の行動は連休。
初戦はトップ、二回戦・三回戦は二位以上で通過。強さは50、100、150。
試合突破ごとに雀力+2、経験値+5。

 ●本選:○○地方最強決定戦、四回判定戦×3試合、11月第三週休日。終了後、移動イベントへ。
三試合の四回判定戦、初戦はトップ、二回戦は二位以上、ラストはトップで地方最強。
全国優勝には含まれない。強さは150、200、250。
試合突破ごとに雀力+3、経験値+10。


◆春大会=全国大会 ※公式試合の前にはセーブ可能です(公式戦は2回コンティニューできる)
 ●予選:四回判定戦×3試合、3月第一週休日。
すべてトップで勝ち抜け。強さは100、150、200。
試合突破ごとに雀力+3、経験値+10。

 ●本選:四回判定戦×5試合、3月第四週。
初戦・二回戦はトップで勝ち抜け。三・四回戦は二位以上で勝ち抜け。ラストはトップで優勝。
強さは200、250、300、350、400。
決勝卓では対戦相手を上から順にコンマ判定、一番高いコンマが出た相手は補正に上乗せ。
(例:コンマ20、40、30になったら、40の人のみ元の補正値に+40上乗せ。上乗せ数値は50を上限とする)
試合突破ごとに雀力+3、経験値+10、四回戦・決勝勝利で雀力+10、経験値+100。


◆夏大会=全国大会(インハイ) ※公式試合の前にはセーブ可能です(公式戦は2回コンティニューできる)
 ●予選:四回判定戦×3試合、6月第三週休日。突破すると6・8月がその学校で固定。
すべてトップで勝ち抜け。強さは150、200、250。
試合突破ごとに雀力+3、経験値+10。

 ●本選:四回判定戦×5試合、8月第第三週。
初戦・二回戦はトップで勝ち抜け。三・四回戦は二位以上で勝ち抜け。ラストはトップで優勝。
強さは250、300、350、400、450。
決勝卓では対戦相手を上から順にコンマ判定、一番高いコンマが出た相手は補正に上乗せ。
(例:コンマ20、40、30になったら、40の人のみ元の補正値に+40上乗せ。上乗せ数値は50を上限とする)
試合突破ごとに雀力+3、経験値+10、四回戦・決勝勝利で雀力+10、経験値+100。


・秋の優勝は、所属校の好感度が+2(OG、卒業プロ含む)
・全国優勝は、二位との点差が20000以上なら全員好感度+1、25000以上なら+2、30000以上なら+5
・また、飛び人数×3が、好感度加算に追加される


※大会ルールは予告して変更する可能性がございます。


●女子好感度
 嫌い < 普通 < 友人 < 好き < 大好き < ときめき<<<<<<<超ときめき状態
(~0、0~5、6~25、26~60、61~99、100~、1000~)
 の6or7段階。嫌いになることは、あまりないはず。

 出会ったときにコンマ判定、1桁数字+2桁数字。ゾロ目で+10、キリ番で+5。
 77なら+20。00で+50。44で-40。聖なる数字は+10。
 執事スキル÷20(切り捨て)に上記を補正。

●例外:清澄について
・帰還時数値+執事÷20
・コンマについては通常ではなく、コンマの高いほうの数のみ追加
・コンマボーナスについては付与

●ルートについて
・基本的に女子からの告白のみでルート確定、ED分岐
 ▽そのまま3年終了までやる、そして強くて最初からor強くて続きから
 ▽カップル成立アフターをちょい書き、そして二人は幸せなキスをして終了、強くて最初からor強くて続きから
 ▽カップルになって終了、強くて最初からor強くて続きから

・告白は月日程終了後、一定条件クリアで
 ▽条件:ときめき状態
     デート3回以上
     等々。

・デートは大好きになってから、平日誘って土曜or休日のみ可能。10~20くらい好感度が上がるはず

・告白イベント直前に、セーブされます。セーブは大会中にも、試合前にされます

・告白イベント発生の有無を多数決、起こるとエンディングです

●その他イベント
・期間延長
 月日程終了後、多数決で同じ高校での活動に決まれば、期間延長として扱われる。

・転校
 ▽条件:ときめき状態の女子がその学校に二名以上
    :雑用で大成功が5回以上(累積)
    :雀力が全国レベル(300↑)
 以上が満たされれば、ときめき女子からお願いされる。告白が起きる場合は、そちらが優先。
 安価多数決で、転校するか否か決める。

●好感度追加設定
・選択安価と雑用ボーナス
 好感度変動の行動・返事選択の安価にて、コンマが雑用÷10以下なら、好感度上昇+1
 これは、雑用の要素にコミュ力が含まれるため。執事としての振舞いでなく、京太郎の素のコミュ力

・好感度判定について
 好感度に50足すとき、足さないときがあるが、ランダム
 基準は、無理がある流れなら厳しめの判定、という感じ。曖昧である

・技能経験値での能力取得
 一年目からのプロ、いわゆる原作プロ組からは能力を取得できるが、相手がときめき状態なら、本来の取得経験値の半分で取得可能となる


◆休日について
●休日の利用(昼行動)
1 メンバーと特打ち(対局ありの先達指導×2、一位=大成功、二位・三位=成功、四位=失敗、という感じで。雀力4~6、経験値10・20・40、好感度1~3、をそれぞれ×2)
2 雀荘(希望するプロ3名と二回対局、順位問わず技能経験値30=60、順位問わずコンマ一桁雀力成長。好感度は1固定、勝利相手にはさらに+1。スキル購入可能)
3 買い物 (土産や誕生日プレゼント購入)
4 デート ※約束ある場合のみ

●デートの仕様
・大好き以上なら誘える
・夜に電話で誘う
・空いている土曜・休日から選択し、予定を立てる。土曜の場合は部活、日曜の場合は午後行動がなくなる
・告白条件のデート回数、に換算される
・プロは西日本にある学校在籍中は西日本プロ、東日本にある学校在籍中は東日本プロ、とする

●デート内容
・デートスポット自由記入安価 → 移動
>>1が必死に書く、好感度判定で好感度を稼ぐ、成功で5くらい?
・デートスポット安価再び → 移動
>>1が必死に書く、上に同じ

●その他・お土産システム
予算は10000 お土産が1000~3000、プレゼントが3000~5000
1000円につき好感度+1、ただしお土産は3つまで、プレゼントは誕生日相手(購入日より二週間以内)のみ
バイトの程度・学年上昇により、予算が15000、20000、25000と増加したりしなかったり

追記 二年時予算15000確定 オリジナルレシピ開発+レシピ本出版で10000追加


◆派遣について
●派遣タイミング
 一ヶ月置きに、多数決安価で派遣先決定
 現在の派遣校でも可能(永水 → 永水、でも大丈夫)

●現在の派遣可能校
 0 清澄高校
 1 宮守女子(※七ヶ月目以降はオファーなし)
 2 白糸台高校
 3 阿知賀女子学院
 4 姫松高校(※二年目3月以降はオファーなし)
 5 永水女子
 6 龍門渕高校(※二年目3月以降はオファーなし)
 7 千里山女子
 8 新道寺女子
 9 有珠山高等学校
10 臨海女子

 ※プロの付き人は未実装 実装後は派遣なし学校での仕事もあり


◆対局ルール
●和了判定
・コンマ+雀力÷10で勝負。持ち点は25000

・全国クラスの相手は300がデフォ。

・能力保持者はその補正あり

・コンマが奇数でツモorテンパイ、偶数でロンorノーテン(対象は補正処理後の最低値)

・判定一位と二位の補正後判定コンマ差が3以内なら流局、コンマ差1以内がどこかにあっても流局

・ゾロ目なら、コンマ差1の流局がない限り、和了確定。競合はプレイヤー優先

・最上級優先スキル>流局>ゾロ目≧スキル


※プロの手加減について
 手抜きで雀力が10分の1に。手加減で5分の1に。やや手加減で2分の1に。
 やや手加減・本気のみ、能力使用。
 本気のプロが京太郎の雀力を上回る場合、京太郎の技能・異能は無効化される。
 八咫鏡については、プロの雀力が京太郎の倍以上の場合に限り、無効とされる。

●打点判定
・コンマ反転で下記通り

01~14 1000=300.500  1500=500all 
15~24 1300=400.700  2000=700all  
25~29 1600=400.800  2400=800all  
30~39 2000=500.1000 3000=1000all  
40~49 2600=700.1300 3900=1300all  
50~54 3200=800.1600 4800=1600all  
55~64 3900=1000.2000 5800=2000all  
65~74 5200=1300.2600 7700=2600all  
75~79 6400=1600.3200 9600=3200all  
80~89 7700=2000.3900 11600=3900all 

91~94・11・44・55・40・50・60 満貫 
95~97・33・66・30・80 跳満
98・22・88・20・90 倍満
00・99・10 三倍
77・70・72 役満

『破竹の火力』での打点表(親は1.5倍)
01~20が5200、21~38が6400、39~53が7700、54~68が満貫
69~80が跳満、81~90が倍満、91~96が三倍満、97~が役満

●打点上昇判定
 最終和了判定で、上がり主が逆転できない場合、コンマ安価
 補正以内コンマで逆転手への手替わり成功
 越えると失敗、流局(京太郎テンパイなら五回目判定へ)

・追加1 自分を上回る雀力の相手が同卓なら、その相手の補正値から自分の補正値を引き、差分を補正から引く
※例
 雀力500、補正+50のときは50以内で上昇判定成功
 同卓に雀力700、補正+70の相手がいれば、50から差分の20を引く。つまり30以内で判定成功となる

・追加2 打点上昇、必要点数までの上昇回数分、判定成功基準から-5される
※例
 子が逆転に5000いるとして、打点判定が2000だった場合、四段階上昇なので補正-20以内が成功となる

・追加3 打点上昇判定の補正値は、雀力超過を無視し、100を上限とする


◆通常行動について
●通常行動選択は数字とアルファベットの組み合わせで選択(一年時:2回 二年時以降、変更予定)

1雀力スキル行動 スキル購入は指導or雀荘修行でプロがいる場合のみ
 A対局 雀力1~4・好感度0~2(トップなら全員2、二位・三位は下位が1、上昇。最下位はなし)
 B指導 雀力2~4・指導者の好感度1・技能経験値5~20
 C雀荘 トップで5+コンマ一桁、二位で2+コンマ一桁、三位で2、四位で1、雀力上昇。
(プロが登場し、勝利すれば好感度+1。やや手加減以上に勝てば+3。やや手加減以上なら四回判定のみ)
 D大学対局

2執事スキル行動
 A差し入れ 執事1~3・好感度1~3
 B掃除 執事2~4・雑用1
 C勉強 執事1~3・好感度1(二人選択可能、テスト期間中は片方2、片方1)
 D大学差し入れ Aに準拠の成長

3雑用スキル行動
 A買い出し 雑用2~4・出会い(学外人物との遭遇判定、好感度+1)
 B牌譜整理 雑用2・雀力2・技能経験値+5・部長&顧問好感度+1
 C大学雑用
 Dプロからの仕事依頼 雑用3・執事1・プロ好感度2~4 夜行動が固定される

●次に、人物選択があれば、記入安価を取る

●最後に、遭遇や成功の判定へ続く

●二年時以降、一年指導を追加。通常行動の片方がこちらに(>>1のリアル仕事が楽になると、指導は選択に)

1 一年雀力指導 雀力+4
2 一年執事指導 執事+4
3 一年雑用指導 雑用+4
4 一年協力指導 雀力+1 メンバー好感度(一人選択)+1

●プロの関与について
・地元プロは可能
・その他プロは、在籍校が西日本か東日本によって、それぞれの側のリーグから呼べる
・ただし、半月ごとに3人を限度とする(デート人数も含む)

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◆その他諸注意
・大まかな成長枠と選択後の展開は決めていますが、その他メインとなる会話は、思いつくままに即興で書いています

・ノリによってゴッと上昇することもございます、あらかじめご了承ください

・その際、○○優遇、不公平、などの指摘がありますと、特性あまのじゃくによって、本格的な補正が加わることもございます

・また、そういった指摘によって不快感を覚える方もいます。展開が気に入らなければ指摘の前に、そっ閉じして、どうぞ

・大学生、プロは一定数デート後に告白、というのがとりあえずの考え。大学生においては、進学先の土地にいることが前提

・プロは基本どこにでもいる、社会人の特権。と思っていたのも束の間、現在は東日本西日本で分かれている

・プロ付き人&マイナー校派遣は二週目以降アナザールート(予定)

・当スレはマッサージスレではありません。マッサージは死んだ! もういない!

・キャラは壊れてるのではなく、成長してるわけです。京太郎の能力然り、女の子の感度然り。夏のインハイ当時なら、こうじゃなかったかもね

・そろそろゴールしましょう(懇願)

・聖なる数字には寄りません。寄せて上がって聖なる数字になるわけないだろ、いい加減にしろ!

・寄せて下がるわけもないんだよなぁ……

・なにかあれば、諸注意は増えていく予定、以上


うお、コテ記憶してたのに消えてるとは、全然気づいてなかった
では明日、月曜夕方の再開です


17~18時くらいから始めます


~ボウリング後


京太郎「えー、では勝利者表彰式を」

照「京ちゃんおめでとう、幸せにしてね」

いちご「なんかおかしゅうないかのう……」

はやり「京太郎くんに、私を幸せにしてあげてってことだよね?」

咏「ノーウェイ」

良子「それ、私のです」

京太郎「……カフェでお茶をご馳走になろう、みたいなことだったんですけど」

はやり「おー、いいねぇ♪」

良子「京太郎のものより劣るそれを購入するのは、はなはだ不本意ですね」

照「激しく同意」

いちご「ま、まぁまぁ、京太郎も勝ったことじゃけえ、賞品としてゆっくり休んでもらう言うんはどうじゃろ」

咏「そんなとこかねぃ。んじゃ行くかい」

晴絵「お供します」キリッ

灼「ダメ」

晴絵「なんで!?」

灼「今日、京太郎から遊びに誘われたのはあの5人でしょ。私たちはあくまでゲスト、ここでお別れするべき」

晴絵「そんなことないわよね、京太郎! 灼も本音では同行したいって!」

京太郎「う……」

灼「言ってないし、思ってたとしてもついていく気はない」

晴絵「なんで!?」

灼「次に誘われたとき、別の誰かがついてくる前例を作るのは嫌だから」

晴絵「う……」

京太郎「ぐうの音も出ないほどにへこまされてしまった感」

灼「茶化さない。そういうことだから、皆さんどうぞごゆっくり」

照「ありがとう。鷺森さんのスポーツマンシップは尊敬に値する」

良子「ええ。春たち若い連中にも見習うよう言っておきましょう」

咏「一番見習うべきは誰なのかねぃ……」

はやり「言われてるよ、ハルちゃん」

晴絵「私じゃないわよね、咏?」

咏「どうなんさ、いちご」

いちご「え」


~カフェ

京太郎「じゃあ俺はカフェモカでお願いします」

はやり「はやりはぁ~、いちごの――あ、やっぱりメロンのパフェにしよっかなぁ~」

咏「うっざ」

良子「声に出てますよ」

照「私は抹茶のフラペチーノ、ダブルで」

いちご「お前も一緒に行くんじゃ」ズルズル

照「きょ、きょうちゃーん!」

京太郎「お帰りをお待ちしています」ペッコリン

照「帰りを待つ→家に待機→主夫→つまり私の夫」

咏「あー、もうそれでいいから、はよこい」

良子「はやりさん、節度を守った振舞いをお願いしますよ」

はやり「はいはい……まったく、私をなんだと思ってるのかな!?」

京太郎「先輩のはやりさんに対しても遠慮ありませんよね、特に良子さん……」

はやり「咏ちゃんもそうだけどね。まぁ長く知り合いやってると、少し年齢が上でも気にならなくなるもんだよ」

京太郎「学生の視線だと、2歳上の先輩でも近づきがたいんですけど、そういうものですか」

はやり「そういうものだよ。現に照ちゃんなんて、ほとんど物怖じしてないし」

京太郎「ほかの新人プロの皆さんは、きっちりしてらっしゃるはずですが……」

はやり「そう、一年目はみんな可愛いんだよ……そこからこなれてきてね、三年も経てば……もう……」

京太郎(大変そうだなぁ)

はやり「京太郎くんはそうはならないでね! いつまでも礼儀正しい、おとなの対応でいてね!」

京太郎「は、はい……」

はやり「でも二人きりの時なら、それなりに砕けてもいいからね! 敬語なしとか、呼び捨てとか!」

京太郎「そ、それはさすがに……」

良子「……節度を守ってと言ったはずですが」

咏「ちょっとの時間でこれとか、必死すぎんじゃね?」

照「幻滅しましたはやりんのファンやめます」

いちご「照ははやりさんのファンじゃったんか?」

照「いや、全然?」

京太郎「………………」

はやり「ほらこれだよ、これ。わかった?」

京太郎「……はい」


照「京ちゃん、大丈夫だった? 変なことされてない?」

京太郎「照さんたちが、いかに先輩に対して礼儀を払っていないかを教わっていたところです」

良子「こ、この期に及んで私たちの悪口を吹き込むなんて……」

咏「汚いなさすがベテランきたない。あもりにも卑怯すぎるでしょう?」

いちご「…………わ、私はそんなこと……ないと思うんですがのう……」

はやり「まぁいちごちゃんは芸能生活もあるし、その辺りわきまえてるよね。きっと大成できるよ」

いちご(できとらんかったら潰すいうことか……)ガクブル

良子「とはいえ、この業界は実力が物を言う世界ですし……」

咏「そーそー。強いやつこそ正義だってね。私なんてチームで最年長でもないのに、先輩たちに言うべきことは言ってるよん?」

京太郎「一理ありますね……」

照「私は先輩たちに無礼を働いたりはしない。ただ、京ちゃんに手をだすなら容赦はしない」キリッ

京太郎「俺になにがあっても、先輩方には敬意を払ってください」

照「……いじめられても黙って耐えろと?」

京太郎「そんな人がいるなら教えてください。容赦はしません」ゴッ

照「京ちゃん!」ヒシッ

はやり「はいはい、離れて」グイグイ

照「京ちゃん助けて!」

京太郎「これはいじめじゃないのセーフです」

良子「なかなかのガバ判定ですね」

咏「まぁけど実際さぁ、年下ってのはこう、生意気なほうが可愛げあると思うんだけど?」

はやり「自分を正当化しようとしないの」

咏「いや、私のことじゃなくてですって。私はほら、後輩にタメ口されても気にしませんし」

京太郎「咏さんにタメ口で話しかける人がいるんですか?」

咏「うーん、いねーなぁ。宮永でさえ、敬語使ってるしねぃ」

はやり「されてみれば、どんな気分になるかわかるよ。はい、いちごちゃん」

いちご「えっ!? い、いや、そんな、さすがに……」

咏「あー、いいっていいって。試しにやってみな~」

いちご「えっと……う、咏はグラビアの仕事とかせんのかのう? 需要はあると思うんじゃが――」

咏「いい度胸してんな、いちごぉ!」

いちご「えぇっ!?」

良子「はは、怖いもの知らずですねぇ、いちごは」

いちご「だってやれって!」

照「親しき仲にも礼儀ありという名セリフを知らないの? さすがにいちごが悪い」

いちご「」

京太郎「……これがいじめですね、よくわかりました」ナデナデ

いちご「うっうっうっ、京太郎ぉ……」グスグス



はやり「じょ、冗談はさておき、公の場ではみんな、先輩に対しては礼儀正しいよ?」

良子「まぁそうですね。協会の偉い人などに対して、無礼があっては大変ですから」

京太郎「ああ……熊倉先生とかに対しては、皆さん恐縮してますもんね」

照「そもそも、なんの話からこうなったの?」

京太郎「はやりさんと良子さん――を含めて、俺がお世話になってるプロの皆さんは、年齢差を気にしないで仲いいなって話です」

照「…………あー、そうなんだ」

咏「まぁ、そうなるのは不思議じゃないと思うけどねぃ」

京太郎「そうなんですか? 学生の場合、一学年離れてても、仲はいいけど気後れしたりとかありますけど」

いちご「そういうこととは違うんじゃ」

良子「趣味が合うんですよ。それに夢中になっている間は、無礼講のような形が許されているのです」

京太郎「趣味……」

はやり「ちょ、ちょっと良子ちゃんっ」

良子「いまさらでしょう」

京太郎「っ! なるほど――」


>会話選択
1 食事の好みが合うのか
2 酒の好みが合うのか
3 麻雀が好きだから
4 異性の趣味が合うのか

安価↓2


京太郎「皆さんそれだけ麻雀が好きってことですね! 対局に熱中するあまり、言葉遣いにも気が回らなくなる……こればかりは仕方ないですね」

はやり「…………はぁ~あ」

京太郎「あれ?」

咏「まぁそうなるかね、京太郎だと」

京太郎「え」

照「大丈夫、そこが京ちゃんのいいところだよ」

京太郎「あ、ありがとうございます……」

良子「――京太郎にしても、そういうところがありますからね」ハァ

京太郎「え!?」

いちご「自覚なしじゃったんか……」

京太郎「そ、そんなことはないと思うんですけど……」

はやり「晴絵ちゃんに対しては、ずいぶんだよね?」

京太郎「う……い、いや、あれは……」

照「時々、一部の学年上の子たちに対しても、横柄な口を叩くことがあるって聞いてるけど」

いちご「覚えがないか? そんなことはないじゃろ?」

京太郎「…………あり、ます……」

咏「京太郎の場合は、麻雀してるとき以外でそうなるほうが多いけどねぃ」

京太郎「」

良子「つまり、京太郎にも私たちを非難する資格はない――そういうことです」

京太郎「う……うわああああああああああああ!」

良子「ですから、私たちの言葉遣いに対しても、あまり気にしないように」

咏「いや、その理屈はおかしい」

照「だから京ちゃん、年上に対しても普通に話すのは私だけにして――あれ、京ちゃん?」

京太郎「お、俺は……先輩方に、なんて失礼な態度を……」

いちご「聞こえとらんのう」

はやり「というか照ちゃん、それさっき私が言ってたのとまったく同じことだよ」

照「!」

良子「あー、これは照の将来が見えましたね」

咏「はやりさんルートか、残念だねぃ」

はやり「二人のそういうとこだからね!」


・五人好感度+1


京太郎「とりあえず晴絵先生、爽さん、揺杏さんにはしっかりお詫びしておこう……」

はやり「年上は大勢いるのに、その3人だけなんだ……」

良子「ある意味、特別扱いではないでしょうか」

咏「よし、改めさせて正解だな」

いちご(ひどいのう)

照「過ぎたことは仕方ないよ、京ちゃん。はい、あーんして。切り替えていこう」

京太郎「はい、そうします……モグモグ」

良子「そっちのあなたも、隙あらば間接キスを狙わない」ヒョイ

照「私のスプーン!」

咏「ほい、新しいの。それより、いつまでもここでまったりしてていいんかねぃ?」

いちご「確かに、人が増えてきてますし……有名人が多いせいで、目立ってしもうとるかもです」

はやり「人目が少ないとこに逃げようか」

良子「いやらしい」

はやり「そ、そういう意味じゃないよ!」

いちご「逃げるというても、どこに……」

照「カラオケとか?」

咏「どっかホテルの一室かねぃ」

照「……カラオケ」

咏「人の口がかてーホテルっしょ」

良子「入るときに目立たないという点においても、ホテルですかね」

いちご「入って不自然ないのは、カラオケかと……思いますけど……」

はやり「どっちもありかな……京太郎くんはどっちがいい?」

京太郎「え?」

照「カラオケだよね?」

咏「ホテルにしとこうぜー、な?」

京太郎「」


>行動選択
1 入り慣れてるカラオケに
2 目立ちにくいホテルか
3 そうか、カラオケができるホテルに行けば――

安価↓2


京太郎(カラオケできるホテル……ホテルにはだいたい、カラオケマシンはあるよな……)

京太郎(いや待て、そういやそういうホテルにはカラオケがあるって聞いたことあるな……うん、この案はまずい、誤解される)

京太郎(なら普通にカラオケにしとくか……けど、カラオケにしたってそういう使い方をするやつが少なからずいるって聞くし……)

京太郎(俺はともかく、この人たちがそういう誤解を受けるのもよくない……なら、ちゃんとしたホテルに入ればいいか)

京太郎(たぶん、皆さんが泊まってるホテルに帰ってゆっくりしようってことだろうし――よし)

京太郎「そうですね。では皆さんのホテルに戻りましょうか。そこで、お茶とお菓子をご用意いたしましょう」

咏「っしゃ!」

良子「大人げないですよ」

照「……マドレーヌ焼いてくれる?」

京太郎「はい、喜んで」

照「ならいいよ」

はやり「ふふふ、私も手伝っちゃうよ」

照「はやりさん、料理できたんですか」

京太郎「はやりさんのお菓子作りの腕はプロ級ですよ」

照「さすが瑞原プロです、よろしくお願いします」キリッ

はやり「こ、この子は……まぁいいか。いちごちゃんも、それでいい?」

いちご「も、もちろんですっ」

咏「なら、そろそろ行こうかねぃ」

良子「ええ。人が増えてきましたし――おや?」

「あ、あの、すいませんっ……」

良子「やれやれ、見つかってしまいましたよ」

はやり「日本代表がいるからー」

咏「新人王候補のせいじゃね?」

照「アイドルが二人もいるからでは」

「あなたは――麻雀インハイチャンピオンで、派遣執事の須賀京太郎さんですよねっ!」

京太郎「………………え」

五人『……………………』

「え、派遣執事!? ほんとだ!」
「しゃ、しゃ、写真! 握手!」
「はいはい、押さないで! 並んでくださーい!」

京太郎「モブ子てめぇ!」

モブ子「げ、バレた……」

「やっぱり本物だ!」
「サインください、サイン!」

京太郎「ちょ、ちょっとすいません、いま忙しくて――」

照「……じゃ、私たちは先に戻ってるから」

京太郎「えっ!? ちょ、照さん!?」

はやり「ごゆっくり、京太郎くん」

良子「まぁプロになったときの練習になりますよ」

咏「仕事の手伝いで慣れてるっしょ、まぁ頑張りな」

いちご「え、えっと……気ぃつけての!」

京太郎「ちょっとおおおおおおおおお!?」


・咏、良子好感度+2
・はやり好感度+1


~ホテル

京太郎「お、お待たせしました……」

はやり「お疲れさま~」

照「おかえり京ちゃん」モグモグ

咏「お前ほんとよく食うな」

いちご「それで太らんのはずるい」

良子「胸も太らないのでイーブンでは」

京太郎「た、ただいまお茶の準備を……」

良子「もういただいてますので、お代わりのときにお願いします」

京太郎「う……はい」

はやり「それより京太郎くん、ちょっといいかな?」

京太郎「は、はい、なんでしょう!」

はやり「風の噂に聞いたんだけど、京太郎くんってマッサージが上手なんだって?」

照良子咏『――――っ!』ビビクンッ

京太郎「上手というほどでは……嗜みがあるだけですが」

照「あ、あ、あの、はやりさん、別の話をしましょう」

咏「そ、そーだよねぃ、うん!」

良子「京太郎、お茶を! 焼き菓子に合うフレーバーを――」

はやり「ど、どうしたの、みんな……」

いちご「それでな、京太郎。軽くでええからやってもらえんかって、さっきはやりさんと二人で話しとったんじゃが――」

はやり「あ、そうそう。ほら、ボウリングで疲れてるだろうから、みんなに順番に――」

照「み、みんな!?」

咏「い、いや、それは、その……」

良子「ぜ、全員の前でというのは、さすがに……いや、ですが……うぅ……」

はやり「???」

いちご「???」

京太郎「マッサージ、ですか……うーん」チラッ

京太郎「時間的に、全員は難しいですね……お一人だけということでしたら、可能かと思うのですが」

はやり「はや~、そっかぁ~」

いちご「残念じゃのう」

照(ホッ)

咏(こ、これなら流れるよな……な?)

良子(夕方近くで助かりましたね……)


はやり「あ、それなら一人だけやってもらおうよ。それをビデオで撮影して、あとの子はそれを見ながら、私たちでするっていう形で――」

いちご「おお、いい考えじゃ!」

照「ぶふぉっ!」

咏「ビ、ビ、ビ、ビデオ!?」

良子「まま、待ってください! さすがにリスクが高すぎます!」

京太郎「なるほど……」

照「落ち着いて! よく考えて、京ちゃん!」

京太郎「ああ、でも……慣れてない人が真似をするのは、される側が少し危ないかもしれませんね」

咏「だ、だよな! ビデオはあぶねーよ、映像に残るのは危なすぎる!」

京太郎「ですから施術風景だけじゃなく、指南ビデオのような形で撮影されれば、あるいは――」

良子「ど、どんなマニアックなものを撮るつもりですか!」

京太郎「え? いや、普通に……俺の手元を撮ってもらいつつ、患者の意見や感想を聞きながら、反応を撮影して――」

三人『絶対ダメッッッ!』

京太郎「えぇ……」


~廊下

京太郎「追いだされてしまった……」


~室内

はやり「どうしちゃったの、三人とも?」

良子「はやりさん、悪いことは言いません。京太郎の施術を受けるなら、第三者の目がないところで受けたほうがいいです」

はやり「んん?」

いちご「どういうことじゃ、照?」

照「私は、自分が受けたあとのことは覚えてないけど……私の前に淡が受けたとき、その声と反応から素直に官能を覚えた」

いちご「かんっ……」///

はやり「」

咏「私は個人用控室だったけど、そのあと足腰立たなくなったし……試合までトロットロになってて、ひどいもんでした」

はやり「と、トトッ、トロッ……な、なにされるの、それ……」

良子「普通のマッサージです……だからこそ、質が悪いというべきか……」

咏「あれを受けてる姿を映像に残されるとなったら、それこそ責任を取ってもらうしかなくなります」

照「淡は私含めて5人に、私も4人に見られてます……誰もその話題を振ってこないから助かりますけど、正直、思いだすだけでも死ぬほど恥ずかしいし気持ちいい」キリッ

咏「お前はやめさせたいのかやってほしいのかどっちなんだよ!」

照「ふ、二人なら大歓迎ってことを言いたいだけです」

良子「まぁ、私も一人で受けていたから言えることですが……人に見られていたとあれば、消え入りたくなるのは間違いありませんね」

いちご「ど、どんなテクニシャンなんじゃ、いったい……」ゴクリ

はやり「い、い、いちごちゃん、はは、はしたないよっ」カァッ

照「とにかく、この状況でマッサージを受けるのはやめておいたほうがいいです」

咏「そうです! 一人だけってのが、そいつの心にどれだけ傷つけるか……」

良子「そんな気持ちをいちごに味わわせるべきではありません!」

いちご「なんでちゃちゃのんに決まってるんじゃ!?」

はやり「いちごちゃんの……でも、いちごちゃんなら……」チラッ

いちご「そこまで聞いて誰がやる気になりますか!」


照「入っていいよ、京ちゃん」

京太郎「あ、はい……では、失礼します」

はやりいちご「………………」ジー

京太郎「え……あ、あの?」

はやりいちご「!」ビビクンッ

良子「まぁ二人のことは気にしないで」

咏「そうそう、お茶でも飲みねぃ」

京太郎「あ、はい。いただきます」ゴクリンコ

照「おいしい?」

京太郎「は、はぁ……」

咏「お菓子も食いねぃ」

京太郎「い、いただきます……」

良子「――で、結論なのですが」

京太郎「なんのですか」

照「京ちゃんはマッサージ禁止」

京太郎「…………はい?」

咏「ただし二人きりのときを除く」

京太郎「…………うん?」

良子「二人きりのときは相手にマッサージして構いません。が、大勢にいるとき、その全員もしくは特定の相手にマッサージすることは禁止です」

京太郎「あの、仰ってる意味がよく――」

良子「わかりましたね?」

京太郎「わ、わかりました……」

良子「よろしい」

京太郎「えーっと……では、はやりさん……先ほどのは……」

はやり「なかったことにしてください」

いちご「ちゃちゃのんも同意見です」

京太郎「あ、はい……えぇー……」


撮影しながらマッサージして、四人に感想とかコメントされながら一人がマッサージされ続ける

という流れも考えたのですが、さすがにやりすぎだと思ったので自重します
いやぁ、理性が残っていてよかった


京太郎「では、お身体のほうは大丈夫なんですね?」

はやり「ま、まぁ試しにって思ってただけだからね? ちゃんとストレッチもしたし、大丈夫だよ~」

いちご「う、うん、そうなんじゃ」

京太郎「ならよかったです。でも、無理そうならちゃんと言ってくださいね?」

咏「おいおい、もう約束忘れたか~?」

京太郎「いえ。ですから――別室に移動して、そこでマッサージさせていただこうかと」

良子「そうか!」

照「その手が!」

はやり「――二人とも?」

良子「……いえ、なんでもありませんよ?」

照「まぁそういうのもありかなとは思いますが、さすがにみんな一緒なときに、二人だけで個室になんてそんな、考えもしていませんでした」

いちご「本音もれすぎじゃ!」

京太郎「え、えっと……結局、マッサージのほうは……」

はやり「大丈夫だから」ズゴゴゴゴゴ

京太郎「は、はい……まぁどっちにしろ、そろそろ暗くなってきましたからね。マッサージの時間もありませんし」

咏「そろそろ夕飯食わないとなぁ……京太郎も、明日は決勝だしな。しっかり食べていきなよ?」

京太郎「そうですね、今日の夕食と明日の朝食は大事で――ん?」

良子「どうかしましたか?」

京太郎「い、いえ……それでは、今日は楽しかったです。お付き合いいただきまして、ありがとうござました」

照「どこ行くの?」ギュッ

京太郎「ホテルに戻らないと、夕食に間に合わないので……そろそろお暇しようかと」

はやり「ふふ、おかしなこと言うねぇ?」

咏「しっかり食べてけって言ったろ~? ここで一緒に食ってくんだよ、当然だろ?」

京太郎「あー、やっぱりですか……」

良子「不服ですか?」

京太郎「いえ、そういうわけでは……」

いちご「そろそろレストランも開くし、行くとするかの!」

京太郎「………………」


>行動選択
1 せっかく遊びに出かけたメンバーだし、ご一緒しよう
2 決勝前くらい、学校のみんなと食べたいな……

安価↓2


京太郎「……そうですね、行きましょう」

照「うん。京ちゃんは私の隣ね」

良子「まったく照は……仕方ありません、反対隣は私に任せなさい」

咏「やれやれ、がっつくねぃ……なら私は左前にするかねぃ」

いちご「確か、一番話しやすいのがそこじゃったような……」

はやり「京太郎くんなら、どこにも満遍なく話しかけられるからね~。よぉし、はやりは正面に陣取っちゃうぞ」

いちご「ちゃちゃのんは、はやりさんのお隣に失礼します」

京太郎(左に照さんがいるなら、右側から右手で食べさせやすい……)

京太郎(そして右手側には良子さん……肘がたまたま当たっちゃったりしても、もはや不可抗力)

京太郎(正面にははやりさん……胸元が隙だらけになったら、見逃さないようにしないと……)

京太郎(目がもたれてきたら、しっとり美人の咏さん、ふんわり美少女のいちごさんを清涼剤に……完璧な布陣だな)

咏「――みてーなこと考えてねーかい?」

京太郎「考えてません!」

良子「肘で触るぐらいはかまいませんよ?」

京太郎「考えてません!!」


・五人好感度+2


~その頃、有珠山勢

顧問「須賀くんからの連絡で、外食して戻るそうです」

揺杏「は?」

成香「決勝前だっていうのに……」

由暉子「特製のすっぽんコースをお願いしておいたのに……仕方ありません、明日の朝から食べてもらいましょう」

(朝からすっぽん!?)
(胸やけしそう……)
(決勝の前夜になにを食べさせるのか……)
(そしてなにをする気だったのやら……)


といったところで、今日はここまでに

もう少し早く始めたかったところですが、マグカップが割れたりなんやかんやで遅れてしまいました、すいません
次回は今月中に、と考えています

それでは、お疲れさまでした
ありがとうございました


明日、日曜の昼からやりたいと思います
13時か14時くらいかな?

よろしくオナシャスセンセンシャル


~レストラン

京太郎「まぁ、そうですよね。ここってプロの方が全員泊まってるわけですもんね……」

咏「ああ、私らも迂闊だったねぃ」

照「京ちゃんと食事できることに夢中で、すっかり失念してた」

はやり「あはは、まぁ食事するだけだし大丈夫だよ、うんうん」

いちご「ほうかのう……」

良子「ということですので、皆さんはあまり、こちらのテーブルに近づかないようにお願いします」


健夜「差別反対!」

理沙「横暴!」

晴絵「不正を許すな!」

京太郎「あんた途中で一緒だっただろ!」

利仙「あらあら、そうだったのですか?」ゴッ

爽「りせちー、顔こええよ」

靖子「食事中に騒ぐなよ……」

絃「写真撮っとこう」パシャパシャ

シロ「デートじゃなかったならどうでもいい」

メグ「でも一緒には遊びたかったのデハ?」

セーラ「やめたれや」

洋榎「決勝前に余裕やなこいつ……」



健夜「――で、なにして遊んでたの?」

照「京ちゃんに脱がせやすい服を選んでもらってました」

京太郎「基準が違う!」

良子「あとは一緒にタマを転がしたり、棒を寝かせたり起こしたり」

京太郎「ボウリングね! ボウリング楽しかったですね!」

爽「こいつ必死だなwwwwwwwwwwwww」

シロ「京太郎、私にも選んで。インナーだけでもいいから」

京太郎「それは誰のも選んでませんよ!」

咏「そうだっけ?」

京太郎「え……いや、あのときのあれは違っ……」

利仙「へぇ……三尋木プロの下着をお選びになったのですか。随分と仲がおよろしいのですね」

京太郎「」

靖子「お前ほんと、なにやってんだよ……」

理沙「色キチ!」

セーラ「……竜華と怜には言えんな、これは」

洋榎「うちも絹恵には黙っとくわ」

京太郎「変な気遣いやめて!」

メグ「では言ってもいいノデ?」

京太郎「やめてくださいお願いします! なんでもしますから!」

はやり「ん?」

いちご「記者がいっぱいおるこの状況で、この会話はまずいんじゃ……いや、やめとこう……ちゃちゃのんの勝手な予想で混乱させたくないのう」

絃「たぶん勝手な予想じゃないと思うからセーフ」

京太郎「もうアウトでしょ、こんなの……(絶望)」


 なお、京太郎周りではよくある会話として、特別視される記事にはならなかったもよう

京太郎「こんなの絶対おかしいよ」

----------------------------------------------------------

ということで、予定通り13時から開始にします
日曜日程、個人決勝のスタートになる予定です


~二年目8月三週日曜、朝


京太郎「うん、いい朝だ。決勝に相応しいな」キリッ

由暉子「おはようございます」

揺杏「ゆうべはおたのしみでしたね」

成香「ぐっすり眠れましたか?」

京太郎「……おはようございます。その、昨日のことなんですが――」

由暉子「まぁまぁ。詳しい話は朝食を取りながらにしましょう」

揺杏「昨日ごちそうしようとした分を、ちゃんと取っておいてもらってるからな」

成香「朝から精をつけて、試合で頑張ってください」

京太郎「あ、はい……」


~朝食

京太郎「……なんでしょうこれは」

由暉子「スッポンです」

揺杏「詳しくは忘れたけど……なんだっけ?」

成香「身をほぐしてどうこう、と」

京太郎「あー……そうですね。すっぽん鍋、まる鍋とも呼ばれますけど、一般には四つ解きをして身を切り分け、臭い消ししながら煮込みます」

京太郎「これは煮込んでダシにしたあと、身をほぐして……葛饅頭ですね、それに包んで具材にしたんでしょう」

京太郎「ほぐした身と、煮込んで取った旨味で、すっぽんそのもののおいしさを味わう料理ですね」

由暉子「なるほど、さすがですね」

揺杏「ということで、たっぷりお食べなさい」

京太郎「朝からまる鍋……しかも夏場ですよ」

成香「今日のために精をつけてもらおうと、昨晩食べてもらう予定だったんだよ?」

京太郎「そうでした! すいません、いただきます!」

 少年食事中……

咲「うわ、朝からなんかすごいの食べてる」

京太郎「すっぽんだよ」

優希「スッポンか……噂ではそれをバーガーにできるみたいだな。それなら、タコスにも合いそうだじぇ」

和「すっぽん……生き血なんかもいいみたいですよ」

京太郎「(なににいいんだよ……)まぁ、あれは酒で割ったりして飲むもんだから、未成年にはきついな」

和「そうですか……でも、その……やっぱり身だけでも、効くんですよねっ?」

京太郎(なにが和の興味をここまで駆り立てるのだろうか……僕にはわからない)

尭深「本当にわからない?」

久「わかってるくせにぃ、このスケベ♪」

京太郎「僕にはわからない!」ムッシャー

憧「……朝から胸やけしそうなもん食べてるし」

宥「でもあったかそう……」

玄「あ! 京太郎くん、写真! 写真撮らせて! 板長さんに送っておくから!」

誠子「吉野ですっぽんってだせるの?」

灼「たぶん無理じゃないかと……」

京太郎「色々な料理を知っておくことは、料理人の引きだしになりますからね。俺もこれは、別のとこで教えてもらったわけですし」

穏乃「京太郎、それ私も食べたい!」

淡「私も!」

由暉子「残念ながら……」

揺杏「京太郎の分しかないんだよなぁ」

成香「ごめんね? また冬になったら、一緒に食べよ?」

二人『そっかー』

京太郎(一人分にしては多くないかな? まぁ一般論でね?)モゴモゴ


京太郎「ごちそうさまでした」ウップ

由暉子「テラテラして、精力が満ち溢れてますね」ドキドキ

揺杏「これは期待できそうだ……」

成香「頑張ろうね!」

京太郎(落ち着け。いかがわしい気持ちはないんだ、今日の試合の話なんだ)

由暉子「昨夜の下着ローテ、ずらして正解でした……」

揺杏「衣装もバッチリだぜ」

成香「アレもちゃんと用意してあるから……」

京太郎(聞こえない聞こえない)

京太郎「それじゃ、会場に向かいましょうか」

由暉子「はい、行きましょう」

揺杏「そんじゃ、みんなもあとでな」

成香「お先に失礼します」

咲「頑張ってね、京ちゃん」

和「落ち着いて、いつも通りなら絶対に大丈夫です」

優希「チャンピオンフラッグは預けたじぇ」

久「連覇、期待してるわよ」

玄「京太郎くんならできますのだ!」

憧「しっかりやんなさいよ」

灼「みんなで見てるから」

穏乃「いっぱい応援するから!」

宥「前向きに、ね」

淡「……わ……私の分も、お願い!」

誠子「私はあんまり、心配してないんだよね」

尭深「私も。京太郎くんのこと、信じてるから」

京太郎「――ありがとうございます、みなさん。行ってきます!」


~会場入り、控室前

京太郎「さて、受付も終わっていよいよなんだけど――」

由暉子「今日は誰でしょう」

揺杏「たぶん京太郎のファン」

成香「あはは、当たり前だよー」

京太郎「……開けますね」ガチャ


>控室メンバー

・宮永咲 ・片岡優希

・宮永照 ・弘世菫 ・亦野誠子 ・大星淡

・松実玄 ・松実宥 ・鷺森灼 ・高鴨穏乃

・エイスリン ・鹿倉胡桃 ・臼沢塞

・神代小蒔 ・狩宿巴 ・薄墨初美 ・石戸明星 ・十曽湧 ・藤原利仙

・上重漫 ・真瀬由子 ・愛宕洋榎 ・愛宕絹恵 ・末原恭子

・園城寺怜 ・二条泉 ・江口セーラ ・船久保浩子 ・清水谷竜華 ・荒川憩

・辻垣内智葉 ・ハオ慧宇 ・雀明華 ・メガン・ダヴァン

・花田煌 ・鶴田姫子 ・友清朱里

・桧森誓子 ・獅子原爽

・小鍛治健夜 ・野依理沙 ・藤田靖子 ・三尋木咏 ・霜崎絃 ・佐々野いちご


上記より一名記入
安価↓3-5


消し忘れですね、控室コピペから控室メンバー削っただけだったので
失礼をば

------------------------------------

~巴、穏乃、淡
それぞれ+1


穏乃「やっほー!」

淡「私だ!」

京太郎「……おかしい、俺たちのほうが先に出たはずなのに」

巴「まぁまぁ、こまかいことは気にしないで」

京太郎「巴さんも来てくださったんですか。ありがとうございます」

巴「準決勝は哩さんに負けちゃったからね、頑張ったよ」

由暉子「穏乃さんと淡さんですか。よろしくお願いします。もうお一方は……」

揺杏「昨年の永水次鋒、狩宿巴。現在は東京の大学に進学し、辻垣内智葉、弘世菫、白水哩、壊れた先輩とともに麻雀部を設立。インカレ制覇を目指している。胸の成長は止まっている」

巴「余計なお世話です!」

成香「どうしてデータ収集が趣味なキャラクターみたいな解説を……」

京太郎「と、とにかく励みになりますよ! きっと勝利をお伝えできるよう、頑張りますから!」

穏乃「うん、頑張って!」

淡「さて――それじゃ、そろそろお茶淹れてよ」

京太郎「おう!」

巴「いや、おうじゃなくて。私たちが淹れる側でしょ、普通……」コポポポポ

由暉子「あ、私やりますよ」

揺杏「もう淹れてるし任せていんじゃね?」

京太郎「申し訳ありません、巴さん……」

巴「あはは、いいよ別に。それより、テレビつけないと」

成香「そうでした。解説はどなたでしょうか……」


>準決勝解説担当

・宮永照 ・愛宕洋榎 ・江口セーラ ・メガン・ダヴァン ・獅子原爽
・藤原利仙 ・霜崎絃 ・佐々野いちご
・小鍛治健夜 ・野依理沙
・藤田靖子

上記より選択
安価↓2


鬼畜の所業

>いちご +1

「本日の解説は、新人プロの佐々野いちご選手にお願いしております。佐々野プロ、よろしくお願いします」

いちご「よ、よろしくお願いします……」カタカタ

「なにやらスマホが震え続けているようですが」

いちご「うわああああああああ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい、違うんじゃあぁ……」


京太郎「……これはひどい」

淡「テルーじゃないじゃん!」

穏乃「小鍛治プロでもないんだ……」

巴「これ、どうやって決めてるんですかね……」

由暉子「広島も、高卒アイドルプロも加入したことですし、ここで一気にファンを増やしたいところでしょうから」

揺杏「捻じ込んできたわけか……必死だな」

成香「捻じ込んだプロの運命やいかに、っていう状態なんだけど……」

京太郎「……いちごさんには強く生きてもらいましょう」

巴「見捨てた!」

京太郎「俺にどうしろって言うんですか!」

由暉子「仕方ありませんよ、切り替えていきましょう」

淡「テルーにラインしとこ。解説しないの? なんで? と……」

京太郎「追い打ちはやめて差し上げろ」

穏乃「あ、そろそろ時間だよ」

揺杏「だな。京太郎、準備はいいか!」

京太郎「俺はいいんですけど、解説(の身の危険)が心配です」

成香「それはいま心配してもどうにもならないし……さ、準備しよう」

京太郎「はい……まぁこれまでの経緯もありますし、時間をかけると余計にいちごさんが被害を受けそうですからね」

巴「じゃ、今回も一局かな?」

京太郎「……なるべく早く終われるよう、頑張ってきます」


~対局場  BGM:エンドール武術大会

京太郎「はぁ……」

白糸台B「おう、暗い顔してんな」

白糸台C「決勝まで来て、なんでこの世の終わりみたいな顔を……」

モブ8「ククク、来たようだな……我が常勝の贄となるものが!」

京太郎「……なんだこいつ」

白糸台C「ああ、こういうやつらしい」

京太郎「どういうやつだよ……」

白糸台B「まぁでも、俺らと同い年で、実力はかなり高いらしいぞ?」

モブ8「クク、当然よ……モブ7に勝ったからと、調子に乗られては困るな。この我こそが、高校麻雀の魔王となるのだ!」

京太郎「いや、魔王は咲だろ……あ、やべ」


咲「」ゴッ

優希「咲ちゃん、オーラは抑えるんだじぇ!」


白糸台B「お前は魔王の婿とか大魔王の旦那とか言われてるけどな」

京太郎「言われてねえよ!(たぶん)」


咲「」ニヘー

和「ちょろすぎませんか……」


照「あっちの子はわかってるみたい。ジュースを奢ってやろう」

シロ「9本でいい」


京太郎「まぁいいや……とにかく、よろしくな。っつか今年は全員2年か……」

白糸台B「俺らの時代が来たな!」

白糸台C「そして……その覇者は俺だ!」

白糸台B「言うじゃん」

白糸台C「言うだけならタダだし」

白糸台B「確かに」

モブ8「ええい、黙れ! 魔王――改め覇王となるのは、この我だ!」


ここでモブ8くんの実力チェック
安価↓1コンマ+45=補正


コンマ8+45=53

「さて、始まりました決勝戦……注目の須賀選手、及び同ブロックのB選手が優勝候補となっているようです」

いちご「えっと……反対ブロックはどうなんでしょう?」

「Cくんは同チームにてBくんのライバル、ダブルエースとも言われており、対抗馬となるでしょう」
「モブ8くんは、今年になって赤丸急上昇といったところですが……このメンバーの中では、一段落ちる形として見られています」

いちご「つまり……やっぱり京太郎がド本命なんですね」

「まぁ、はい……そうですね」


京太郎「ふぅ……とにかく平常心だ。張り切るとロクなことにならないからな、落ち着いていこう」

白糸台B「落ち着こうって考えが、すでに落ち着いてないよな」

白糸台C「言えてるwwwwwww」

京太郎「うるせぇ!」

モブ8「おぼっ、ぼぼっぼ、おちつっ、落ち着け……やれる、俺は……いや、我はやれるっ……」

京太郎(ああ、意外と小心キャラなのね……で、あのキャラクターで平静を保っていたと。メンタルコントロールとしてはありかも)


対局ルールは>>6

>和了判定一回目 ※親は上から順、二回判定なら上と京太郎
白糸台B ↓1+70
白糸台C ↓2+60
モブ8 ↓3+53
京太郎 ↓4+278+25

打点↓5


>和了判定一回目 ※親は上から順、二回判定なら上と京太郎
白糸台B 24+70=94
白糸台C 90+60=150
モブ8 30+53=83
京太郎 77+278+25 ゾロ目ツモ

打点01→10→【破竹】→【無敗劣】 子:1600、3200

白糸台B25000→21800
白糸台C25000→23400
モブ825000→23400
京太郎25000→31400


京太郎(破竹じゃなかったら三倍→役満だったのにいいいいいいいい!)

京太郎「ツ、ツモ……1600、3200です」

B「ガハッ」

C「よし、よし! 俺が2位の可能性!」

モブ8「ぬっ、ふっ、ふふ……やるようだな……」

京太郎「……次もツモったら、モブ8くんが2位になるんじゃね?」

B・C「!?」

モブ8「おお、マジだ! ……い、いや、我はそんなもので満足せんぞ。目指すは優勝なのだ……」

京太郎「……ははっ、そうだな! なら俺も、全力で受けて立つぜ!」

モブ8「あ、嘘です、嘘、待って。ちょっとくらい手加減してもいいんじゃよ?」


対局ルールは>>6

>和了判定二回目 ※親は上から順、二回判定なら上と京太郎
白糸台B ↓1+70
白糸台C ↓2+60
モブ8 ↓3+53
京太郎 ↓4+278+25

打点↓5


>和了判定二回目 ※親は上から順、二回判定なら上と京太郎
白糸台B 91+70=161
白糸台C 32+60=92 放銃
モブ8 92+53=145
京太郎 90+278+25=393 ロン

打点70→07→【カッパー】→10→【破竹】→【無敗劣】 子:6400

白糸台B25000→21800
白糸台C25000→23400→17000
モブ825000→23400
京太郎25000→31400→37800


京太郎「ロン――6400だ」

C「あああああああああ、やらかしたあああああああ!」

B「まだだ、まだ終わらんよ!」

8「あ、あかん、死ぬ……イヤダーシニタクナーイ」

京太郎「ふぅ……やっぱり決勝だな。一筋縄ではいかない……いちごさん、申し訳ないです」


由暉子「京太郎、慎重ですね」

巴「一気に行こうとして、空回っちゃってるかな」

穏乃「でも余裕はありますよね!」

淡「あれだよね、ヨコヅナズモーってやつだ!」

揺杏「ああ……でも……」

成香「解説の方の声が……」


いちご「あ……あ……あぁ……」

「あの……スマホをいじっていないで、解説を……」

いちご「は、はい……例えばリーチ前のここで、一瞬手を止めてこちらを切っていましたが……大物手を狙った結果、進みが遅くなりましたね」

「須賀選手にしては珍しかったでしょうか?」

いちご「そうですね。普段の京太郎なら、早上がり重視で進め、結果として点数が高いという形なのですが――」 ブーッブーッ

いちご「ひっ……ち、違います、そんな……よく知ってますアピールなんかでは、けっして……」

(大丈夫なんだろうか、この人……)


対局ルールは>>6

>和了判定 回目 ※親は上から順、二回判定なら上と京太郎
白糸台B ↓1+70
白糸台C ↓2+60
モブ8 ↓3+53
京太郎 ↓4+278+25

打点↓5


あ、モブ8そういや一年って言ってましたね
まぁミスっちゃったので、同い年ってことにしましょう


>和了判定三回目 ※親は上から順、二回判定なら上と京太郎
白糸台B 12+70=82 放銃
白糸台C 24+60=84
モブ8 79+53=132
京太郎 19+278+25=322 ディメンジョンロン

打点09→90→倍満→【カッパー】【破竹】【無敗劣】→役満

白糸台B25000→21800→-14200 4位 トビ
白糸台C25000→23400→17000 3位
モブ825000→23400 2位
京太郎25000→31400→73800 1位


京太郎「ロン――悪いな、四喜和だ」

B「」

C「ふぅ……おつかれ。しかし8、お前ほんっとすげー豪運だな」

8「こ、これぞ覇王の天命よ(震え声)」


「き、決まったー! まさかの劇的な役満でB選手のトビ、ここで須賀選手の春夏連覇が決定いたしました!」

いちご「ほおおおおおお、セーフ! セーフじゃな!? 三局までなら、時間までここで解説するって聞いとるんじゃ!」

「え? は、はぁ、まぁ……なんでそんなに嬉しそうなんですかね……」


由暉子「やりました」

揺杏「よっしゃあ!」

成香「さすがうちの京太郎くんです!」

巴「京太郎くん、おめでとうっ……」グスッ

穏乃「やったよ淡!」パシッ

淡「ふふん、キョータローなら当然だし!」パァンッ


京太郎「はぁぁ……これで、夏も優勝か……ようやく、去年のあいつらに追いつけたわけだ」

B「なんだお前、そんなこと気にしてたのか?」

京太郎「そんなこととはなんだ!」

C「まぁ確かに、清澄の優勝はすごかったけどさ……それから一年でのお前の活躍も、それどころじゃないくらいすごかったんだぞ?」

8「うむ。言いたくはないが、まさに覇王の所業よ……おそらく清澄の者どもこそ、お前に置いて行かれたと思っていることだろう」

京太郎「……そうなら嬉しいけどな。まだまだだよ、俺なんて……」

B「お前が俺なんてだったら、俺らはどうなるんだよ!」

C「なんかもう、こいつムカつく!」

8「激しく同意だ! っつーことで、胴上げすんぞ! おらぁ!」

京太郎「おい、馬鹿、やめろっ……おいいいいいいい!?」

BC8「わーっしょい! わーっしょい! って、お前デカいんだよ! 重すぎるわ!」

京太郎「だからやめろっつったろおおおおおおおお!」


・全国優勝は、二位との点差が20000以上なら全員好感度+1、25000以上なら+2、30000以上なら+5
・また、飛び人数×3が、好感度加算に追加される

ということで、全員好感度+6


~控室

由暉子「さて――」ガタッ

揺杏「おっと、どこへ行く?」

由暉子「決まっているでしょう……京太郎の祝福に」

成香「全員で、だよね?」

巴「ここで迎えてあげるのがいいんじゃないかな?」

淡「へ? なんで行かないの? 私行ってこよーっと!」ダッ

穏乃「私も!」ダッ

由暉子「あ、だめです、待ってください!」ガシッ

揺杏「そうだぞ小娘ども! ここは年長順だ!」

巴「だったら私が先では……」

成香「現役高校生限定です!」

淡「うぬぬぬぬぬ、放せぇぇっ……」

穏乃「な、なんで止めるの? みんなで行けばいいのに!」


>で、誰が脱出できた?
控室メンバー(由暉子、揺杏、成香、穏乃、淡、巴)から一人

安価↓2


>巴

京太郎「はぁ……毎度、この胴上げはきつい……」フラッ

巴「ふふっ、お疲れ様、京太郎くん」

京太郎「巴さん……」

巴「それと――優勝おめでとう。京太郎くんなら勝てるって、信じてたよ」ニコッ

京太郎「ありがとうございますっ……」

巴「……遠慮しないでいいよ。ほら……ギュッてしてあげる」スッ

京太郎「っっ……やりました、巴さんっ……」

巴「うんっ――おめでとう、京太郎くん……」ギューッ


小蒔「」

春「」

霞「」

初美「あー……巴ちゃん、なんてことを……」

明星「でもこれ、春先輩もやってなかった?」

湧「しーっ!」


智葉「…………」ムスッ

菫「…………」ムスッ

哩(露骨に機嫌ば悪ぅなっとったい……)


由暉子「ああああああ! 先輩方が邪魔するからですよ!」

揺杏「お前が出し抜こうとするからだろ!」

成香「私たちは共同戦線って決めてたじゃないですか!」

淡「ふぅ……争いはなにも生まないってことが、よくわかった」

穏乃「私たちは争いたかったわけじゃないのにぃ……」


巴好感度+3


~控室帰還

京太郎「ただいま戻りました」

由暉子「お帰りなさい、京太郎。それと――おめでとうございます」

揺杏「かっこよかったぞ! よく勝ってくれたな!」

成香「素敵でした……とっても、とってもぉ……」ボロボロッ

京太郎「ありがとうございます……」

穏乃「すごかったよ、京太郎! 来年は私がやるからね、見てて!」

淡「それはこっちのセリフだ! ってことだからキョータロー、私が次に優勝するまで負けないでね!」

京太郎「ああ、待ってるぞ。二人とも、ありがとうな」

由暉子「……ところで、狩宿さんは?」

京太郎「ああ、なんか用事があるとかで帰っちゃったけど……だから先に、俺に挨拶しときたかったらしい」

揺杏「マジかっ……」

成香「逃げたんですか……あとで永水と大学側に抗議しておきましょう」

京太郎「??」

穏乃「あ、あははは……」

淡「とりあえず、インタビューの準備しとく?」

京太郎「そうするか……」


いちご「では東一局から振り返りましょう。ところで、インタビューのほうはどなたが行っとるんじゃ?」

「えっとですね、確か――」

・宮永照 ・愛宕洋榎 ・江口セーラ ・メガン・ダヴァン ・獅子原爽
・藤原利仙 ・霜崎絃
・小鍛治健夜 ・野依理沙
・藤田靖子

上記より選択
安価↓2


照「私だ」

淡「テルー!」ダキッ

照「おっと……よしよし。でも重いから降りて」

淡「ふぁーい」ピョンッ

京太郎「照さん。お疲れさまです」

照「うん……おめでとう、京ちゃん」

京太郎「ありがとうございます」

照「さて、と――では須賀選手。まず率直なご感想をお聞かせください。優勝を決めた気分、いかがでしょうか」

京太郎「そうですね……とにかく嬉しいということと、春のときと違い、自分の実力を自覚できたようで……どこか誇らしい気分です」

照「なるほど。対局では少し慎重な立ち上がりを見せていましたが、その辺りは意識していましたか?」

京太郎「どうでしょうね……振り返ってみると確かに、少し集中しきれていなかったかな、という気もします。ただ、少しずつゲームに入っていって、最後には牌しか見えていませんでした」

照「うん……あ、いえ……そうですね。傍から見ていても、最後の一局はゾーンに入ってたというか、普段通りの須賀選手だったように思います」

京太郎「ありがとうございます。照さんの御墨付ほど心強いことはありません」

照「結婚しよ」

京太郎「え」

淡「なに言ってるの!?」

由暉子「そうです! 私としたあとですから、重婚になってしまいますよ!」

京太郎「してないし、しないから!」

揺杏「いきなりなに言いだしてんだよ、そこのプロは!」

照「失礼、取り乱しました。あんな笑顔であんなこと言われたので、つい」

成香「わかりますけど、自重してください」

京太郎「わかるんですか……」


照「コホンッ……えー。そうですね、では次に……この勝利を、誰かに捧げるとしたら誰に捧げますか?」

京太郎「今日まで応援してくださった、支えてくださった、ご指導くださった皆さんに――」

照「あ、そういうのはいいので」

京太郎「……はい」


>誰に捧げる?
誰でもいいです

安価↓4


>咏

京太郎「んー……では、三尋木プロに」

照「は? なんであの人なの?」

京太郎「て、照さん、仕事!」

照「コホン――なぜ三尋木プロなのでしょうか。ほかにも優れたプレイヤーは多くいらっしゃいますし、魅力的な女性も多いと思われますが。私とか」

京太郎「……今大会の優勝もそうなんですが、自分の麻雀が劇的に変わったな、と思うことがありました。そのきっかけは間違いなく、三尋木プロの指導のおかげだったと思います。だからです」

照「……なるほど。ではあくまで、麻雀の指導者としての感謝、ということですね?」

京太郎「え? えーっと……それは、その……まぁ……」

照「でははっきりとお願いします。麻雀を指導してくださった三尋木プロに、教え子として感謝し、この勝利を捧げます、と。あくまでお礼です、と」

京太郎「なんかしつこくないですか!?」

由暉子「まぁまぁいいじゃないですか」

揺杏「そうそう。表彰式まで時間ないしさ」

成香「ささっと宣言して、インタビュー終わらせましょう」

京太郎「えぇ……」


咏「~~~~~っっっ!」//// ジタバタ

はやり「うわぁ……」

健夜「咏ちゃん、みっともないよ」

靖子(年下にそういうことを言うほうが……いや、やめておこう)

理沙「辛辣」

シロ「でもグッジョブ、照」

セーラ「あいつ大物すぎるやろ」

洋榎「さすがのうちでも、インタビューでこんな圧力はかけられんわ……」


・照+2
・咏+4


~表彰&閉会式

京太郎「おっ」

ネリー「京太郎! おめでとう!」ダキッ

京太郎「おっと……ありがとな、ネリー」

ネリー「フフーフ、これで一緒のお立ち台! 一緒の写真で新聞と表紙!」

京太郎「ああ、よろしくな」

ネリー「それでね、その……一つだけ、お願いがあるんだけど……」モジモジ

京太郎「……難しいことか?」

ネリー「そ、そんなに難しくないよっ、たぶん……それに、迷惑でもないと思うし」

京太郎「んー……まぁ、とりあえず言ってみてくれ」

ネリー「えっとね……表彰式で、写真撮るでしょ?」

京太郎「ああ、そうだな」

ネリー「その写真……撮るときに、その……お、お、おひっ……」

京太郎「おひ?」

ネリー「お姫様だっこ、してもらいたい……なって……」カァッ

京太郎「………………」


>返事
1 いいよ
2 さすがにまずいから、普通に撮ろうな

安価↓2


ネリー「ご、ごめんっ、無理だよね! やっぱりなしで――」

京太郎「いいぞ」

ネリー「えっ」

京太郎「そのくらい、お安い御用だ!」ガバッ ヒョイ

ネリー「わお!」

京太郎「……やっぱ軽いな、ネリー」

ネリー「え、えへへ……あ、ありがと、京太郎」

京太郎「ああ、このくらい気にするなよ。それじゃ、行くぞ?」

ネリー「うん!」


「こちらに目線お願いします!」
「須賀選手、こちらにも!」
「ヴィルサラーゼ選手もお願いします!」


サンディ「ファッ〇」

明華「あのビッ〇……やってくれますね……」

ハオ「これは許されませんね、ええ」


淡「ああああああああ、もおおおおおおおおおおおお! なんで私じゃないの、なんで!」ガシガシガシッ

尭深「お、落ち着いて、淡ちゃん」

誠子「ここまで取り乱した淡なんて初めてだよ……逆に面白い」


ネリー「ね、京太郎?」

京太郎「どうした?」

ネリー「ネリーは、いままで色々なこと経験したけど……今日が一番、幸せな日だよ!」ニコッ

京太郎「そっか……それはよかった」

ネリー「ありがと、京太郎!」チュッ

京太郎「へ?」

ネリー「えへへ、お礼♪ ほっぺだけどね」

「うおおおおおおお!」
「撮れ! 撮りつくせ!」
「フィルムが切れても構わん、ベストショットだぁ!」

大好き以上の全攻略キャラ『ああああああああああああああああああああああ!』


ネリー好感度+3


~撮影後、賞状と優勝旗授与

「えー、こほんっ……色々あったが、男子個人優勝おめでとう。これまでも励むように」

京太郎「はい!」

京太郎(春夏連覇……そして、念願の夏優勝……ついにやったんだな、俺……)

京太郎(う……ん……? なんだ、この感じ……)

「……くんっ……須賀くん? どうかしたかね」

京太郎「あ、いえ……なんでもありません。ありがとうござました」

京太郎(うーむ、なんか……また俺の中で、なにかが変化したっていうか……切り替わった感覚があったような……気のせいかな……)


【神器・八咫鏡】夏大会優勝で習得(八咫鏡から進化)
 特殊ロン和了反転について、放銃者が和了する流れだったのを、京太郎の特殊和了に変化させる=京太郎和了にする、能力の写し取り
 デバフ反転については、自身へのデバフはバフにするが、周囲へのデバフはそのままにする。
 また、自身のバフは反転しない。
 行使する相手を任意複数選択できるようになる(無効にする相手以外を対象とし、発動することができる)


健夜「……うわ、またえっぐいのになったし」

照「京ちゃんの鏡、また綺麗になった……これはもう、やっぱり私が結婚するしかない」キリッ

トシ「あらまぁ……ほとんど完成している子だと思ったのに、まだ先があったのねぇ。本当に面白い子だわ」


優勝成長
・雀力+10
・経験値+100


ここまでのステ成長結果

●現在のステータス 称号:春夏連覇チャンピオン

 雀力:22→2795
 レベル28 指導の大成功補正±2 大成功(トップ)ボーナス+27
 技能経験値:108

 所持スキル
【ディメンジョンシュート】師:戒能良子
 補正後コンマにゾロ目があれば、ロン和了。
 ゾロ目扱いなので、他者ゾロ目と競合は、こちら優先。

【カッパーシュート】師:戒能良子
 出上がり時の打点コンマを1.5倍にする(小数点以下四捨五入)
 1.5倍で満貫以上の数字になる場合は満貫に、元が満貫以上の点数はそれぞれ一段階上昇
 判定コンマが二桁偶数キリ番(20、40、60、80)でも和了可能に

【鼓動のリズム】師:瑞原はやり
 コンマ40台なら打点二段階下降で和了、50台なら打点変わらず和了可能

【一意専心】師:野依理沙
 自分に対するデバフを半減、自身コンマ補正+25
 他家のゾロ目ツモに最低打点でカウンター(任意)
 ※任意カウンター、親かぶりで逆転可能なタイミングなど、選択でカウンターを見逃せる

【沼の淵】師:大沼秋一郎
 自分の和了判定偶数時、放銃しなくなる。一度だけ相手のツモをキャンセル可能

【国内無敗・劣】師:小鍛治健夜
 和了判定二位でも和了可能。自分の和了時、常に打点一段階上昇

【破竹の火力】師:三尋木咏
 和了判定で一位和了、かつ二位と20以上の差があった場合、特殊打点判定(咏のものとは異なる)に
 『特殊打点表』
 子の場合で、01~20が5200、21~38が6400、39~53が7700、54~68が満貫
 69~80が跳満、81~90が倍満、91~96が三倍満、97~が役満
 『補足』
 特殊効果勝利(リズム、カッパーのキリ番など)の場合、この効果は反映されない
 ゾロ目和了(ディメンジョン含む)の場合は、無条件で反映される
 打点コンマがゾロ目、キリ番等でも、この能力が優先される。ただし、聖なる数字は役満のままとする
 打点上昇判定(無敗劣の一段階上昇など)は、そのまま反映される
 カッパーのコンマ数値変動も反映、ロン和了で発動し、打点コンマ65以上なら役満確定

【追いすがる意思】師:藤田靖子
 四回目判定(二回判定の対局なら二回目)で三位以下時に+50の補正、打点一段階上昇効果を得る。和了すれば連荘のたび+40、+30と補正値は減っていく。
(この能力での補正が+0になる、もしくは和了を止められる、あるいは一位になると終了)
 ディメンジョン発動の場合は、ディメンジョンで処理。打点上昇、連荘の補正効果減少は発動。

【伝説の再現】師:赤土晴絵
 親番時(最終局)に発動。自身の雀力を1.5倍にする。同卓に小鍛治健夜がいる場合、任意のスキルを無効化できる。

【八咫鏡】オリジナル
 ??・婚期代償を除く、最上級優先度スキル
 他者のすべての異能・技能を反転(=打点変更は元に戻る)させる。
 (+補正は-補正に、-補正は+補正に。半減は倍に、特殊判定は効果を逆転、勝利は敗北に)
 この異能の効果が関与して和了に至った場合、流局にはならない。
 また、この異能の効果でバフ・デバフが変動し、流局条件を導いた際も、流局にはならない。

【神器・八咫鏡】夏大会優勝で習得(八咫鏡から進化)
 特殊ロン和了反転について、放銃者が和了する流れだったのを、京太郎の特殊和了に変化させる=京太郎和了にする、能力の写し取り
 デバフ反転については、自身へのデバフはバフにするが、周囲へのデバフはそのままにする。
 また、自身のバフは反転しない。
 行使する相手を任意複数選択できるようになる(無効にする相手以外を対象とし、発動することができる)


 執事:237→1938
 レベル20 大成功補正±1 大成功ボーナス+19
 雑用:231→601 レベル7 大成功ボーナス+6

【たこ焼きマイスター】5/5
 大阪二校での差し入れ時、好感度上昇対象に2人選択可能な【黄金たこ焼き】を差し入れできる
 その際、片方には判定結果に加えて、好感度+1のボーナスがつく
 ただし、週に二回まで。また、一度使用後は、二日空けなければ再使用はできない

【マッサージ+1】
 マッサージ時の執事成長、好感度成長に+1ボーナスされる

【北の食材取扱い資格】5/5
 有珠山での差し入れ時、成長ボーナス+1(執事、好感度)


 家宝
・石戸霞の笑顔の写真
・石戸霞のミニスカ巫女メイド姿の写真
・愛宕絹恵の龍門渕メイドコス姿の写真
・狩宿巴の麗しい袴姿(赤面&笑顔)の写真
・石戸従姉妹のツーショットおもち押し合い写真
・高1渋谷尭深のプライベート水着ショット
・割烹着たかみーの写真
・シロのイヤリング装着(髪かき上げ、やや照れ、頬染め)顔写真
・メイド服明華の凛とした佇まい写真
・成香&揺杏&由暉子の制服フリルエプロン写真
・はやりん下ろし髪+銀細工髪留めの振り返り写真
・たかみー自画撮りビキニ写真
・ミカスカーフ装着オシャレ姿写真


●女の子好感度
嫌い < 普通 < 友人 < 好き < 大好き < ときめき<<<<<<<超ときめき状態
(~0、0~5、6~25、26~60、61~99、100~、1000~)

【清澄】新入部員(二年時)男子好感度:敬愛 女子好感度:ときめき
・宮永咲   ??→234(ときめき) デート1回
・片岡優希  15→134(ときめき)
・原村和   10→273(ときめき) デート2回
・染谷まこ  15→125(ときめき)
・竹井久   18→208(ときめき) デート1回
・室橋裕子  53→105(ときめき)
・加藤ミカ  57→143(ときめき)

・福路美穂子 44→61(好き)※エンドなし?
・加治木ゆみ 64→82(大好き)※エンドなし?

【白糸台】※男子好感度:親友、女子好感度:63
・宮永照   20→192(ときめき) マッサージ経験済 マ:1 デート1回
・弘世菫   23→132(ときめき) マッサージ経験済 マ:1 デート1回
・渋谷尭深  23→132(ときめき) マッサージ経験済 マ:1
・亦野誠子  25→95(大好き) マッサージ経験済
・大星淡   26→173(ときめき) マッサージ経験済
・多治比真佑子51→62(好き)※エンドなし? ※原作で出るまで出番消滅

【龍門渕】
・井上純   32→50(好き)
・沢村智紀  21→43(好き)
・国広一   31→49(好き)
・龍門渕透華 14→40(好き)
・天江衣   20→49(好き)
・杉乃歩   25→37(好き)※エンドなし

【阿知賀(雑用大成功1)】
・松実玄   35→138(ときめき) マッサージ経験済
・松実宥   27→133(ときめき) マッサージ経験済
・新子憧   37→147(ときめき)
・鷺森灼   32→119(ときめき) マッサージ経験済
・高鴨穏乃  25→90(大好き) マッサージ経験済
・志崎綾   31→45(好き)

・岡橋初瀬  37→51(好き)※エンドなし?
・巽由華   28→40(好き)※エンドなし?
・小走やえ  30→46(好き)※エンドなし?
・佐々岡よし子28→40(好き)※エンドなし
・桐田凛   21→33(好き)※エンドなし
・辰己春菜  29→41(好き)※エンドなし
・ギバード桜子28→40(好き)※エンドなし
・新子望   24→36(好き)※エンドなし?


【宮守】
・小瀬川白望 28→221(ときめき) デート1回
・エイスリン 31→137(ときめき)
・鹿倉胡桃  20→73(大好き) マッサージ経験済
・臼沢塞   25→103(大好き)
・姉帯豊音  27→139(ときめき)

【永水(雑用大成功1)】
・神代小蒔  17→98(大好き)
・狩宿巴   22→208(ときめき) デート1回
・滝見春   13→271(ときめき)
・薄墨初美  36→90(大好き)
・石戸霞   28→144(ときめき)
・石戸明星  34→76(大好き)※エンドなし?
・十曽湧   13→33(友人)※エンドなし?

【姫松】※男子好感度:親友、女子好感度:77
・上重漫   39→105(ときめき)
・真瀬由子  37→86(大好き)
・愛宕洋榎  32→125(ときめき)
・愛宕絹恵  41→133(ときめき)
・末原恭子  44→102(ときめき)
・赤阪郁乃  39→98(大好き)

【千里山】※女子好感度:112
・園城寺怜  42→146(ときめき)
・二条泉   36→112(ときめき)
・江口セーラ 44→105(ときめき)
・船久保浩子 51→93(大好き)
・清水谷竜華 46→143(ときめき) デート1回
・荒川憩   52→84(大好き)※エンドなし?

【臨海女子】※女子好感度:130
・辻垣内智葉 44→102(ときめき)
・ハオ慧宇  49→107(ときめき)
・雀明華   54→125(ときめき)
・メガン・ダヴァン 51→88(大好き)
・ネリー・ヴィルサラーゼ 47→179(ときめき) デート1回
・アレクサンドラ・ヴィンドハイム 49→169(ときめき)

【新道寺女子】※女子好感度:162(やばい)
・花田煌   71→134(ときめき)
・安河内美子 72→80(大好き)
・江崎仁美  70→104(ときめき)
・白水哩   59→139(ときめき)
・鶴田姫子  70→182(ときめき)
・友清朱里 162→168(ときめき)

【有珠山高校】※女子好感度:155(やばい)
・本内成香  23→170(ときめき)
・桧森誓子  24→90(大好き)
・岩館揺杏  64→183(ときめき)
・真屋由暉子 66→260(ときめき) デート1回
・獅子原爽  50→93(大好き)

【プロ】
・戒能良子  22→123(ときめき) マッサージ経験済
・小鍛治健夜 69→165(ときめき) デート1回
・瑞原はやり 30→209(ときめき) デート1回
・野依理沙  30→169(ときめき)
・藤田靖子  23→61(好き)
・三尋木咏  36→265(ときめき) マッサージ経験済 デート1回
・赤土晴絵  28→88(大好き) 二年目以降、東日本プロ→プロエンド開放

・霜崎絃   53→63(好き) エンドなし? 二年目以降、東日本プロ→プロエンド開放
・藤原利仙  25→65(好き)※エンドなし? 二年目以降、西日本プロ→プロエンド開放
・佐々野いちご89→155(ときめき) 二年目以降、西日本プロ→プロエンド開放

【アナ】
・村吉みさき 40→63(好き)
・針生えり  49→78(大好き)
・福与恒子  64→76(大好き)
・佐藤裕子  95→102(ときめき)

●好感度ランキングBEST10
1 和 273  デ:2
2 春 271 デ:1
3 咏 265  デ:1
4 由暉子 260  デ:1
5 咲 233  デ:1
6 シロ 221  デ:1
7 はやり 209 デ:1
8 久 208  デ:1
9 巴 208  デ:1
10 照 192  デ:1


 夏の大会が終わり、ここまで京ちゃんはだいたい一年間過ごしてきましたことになります
 春夏連覇も達成し、ようやくここから、女子攻略にといったところでしょうか

 そんな流れになろうというところで、大変申し訳ないご連絡がございます
 咲安価スレ「派遣執事見習い高校生」については、今回を以て終了とさせていただきたく思います


 これまでの長きに渡り、大勢の方に応援していただき、参加していただきましたことは、非常に嬉しく思っております
 これも原作咲の人気が凄まじかったということの証明であり、これからも愛されていく作品でしょう
 私自身、これからも咲関連作品を買い支え、楽しませていただきます

 ただ、こちらの安価スレについては、色々な要因もあって継続に時間がかかっていること
 また、私自身のモチベーションをなかなか保てないという事情も鑑みまして、残念ながら打ち切らせていただきます運びとなりました

 本来ならば、最低でも一人のエンディングくらいは迎えて終えるべきでした
 そうならないことへのお叱り、批判はごもっともであります
 そうしたご意見については、しばらく残しておきますこちらにスレにて、浴びせていただければ幸いです


 ここまでを第一部完とし、第二部の再開をいずれ――ということを考えもしました
 しかし、そうした気持ちで宙ぶらりんになっても、いまのモチベーションではなかなか手をつけられないかと思います
 故に、ここで潔く終了を宣言させていただく所存です

 一部キャラクターについては、おぼろげにエンディングの形が見えていたこともあり、それを形にできないことは心残りではあります
 もしかするとどこかで、ひっそりと形にして発表する――なんてこともあるかもしれませんが、それについてもはっきりとはお約束できかねます

 本当に、こうした形での終了を迎えてしまいましたことは申し訳なく、重ねてお詫び申し上げます
 また、ここまでお付き合いいただきましたこと、心よりお礼申し上げます

 そのご支援に対し、打ち切りという結果で返すことは不義の極みです
 ですが、自分で続けていくのが難しいと判断しました上は、けじめとして、失踪ではなくはっきりと打ち切らせていただくことを宣言いたします


 本当に申し訳ありません
 そしてありがとうございました


  【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」スレの>>1  ◆t2KkLw8Fc7QA

まだ生きてるかテスト

やっぱり依頼ださないと残ったままかー

とりあえず春エンド編が8割ほどできたので、ゆっくり投下していこうかと思います
新スレ立てようかと思ったけど、まぁ再利用できるなら使っていこうか

とりあえずテンプレ(仮)でも





京太郎「派遣執事見習い高校生?」春「春エンド」京太郎「春エンド!?」


※このスレは咲の二次創作スレです

※もはや何個あるんだよ……な、京太郎視点です

※少し前に投げだした安価スレのエンディングだけを作った、恥知らずな代物です

※安価スレについては↓参照

パート1
【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」
【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389148459/)

最終スレ(このスレ)
パート45
【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」いちご「その45じゃ」【咲-Saki-】
【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」いちご「その45じゃ」【咲-Saki-】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518952845/)

※少し地の文が入ったりしますが、基本的にいつもの台本形式

※春以外のエンドについては……んにゃぴ

※最後まで頑張ります


~二年目9月一週0日


 二年夏の大会を、優勝という最高の結果で。
 それも春夏連覇という快挙のおまけつきで達成した京太郎だが、派遣執事生活はまだ終わらなかった。

 それは周囲から望まれたことが理由でもあり、久の叶えた願いの期限が切れていないことも理由ではあったが――。
 最大の理由はやはり、京太郎がそれを望んだことになるだろう。

京太郎「――で、今月はここか……久々だな」

 見上げるのは歴史を感じられる大鳥居と大社。
 霧島の歴史と神域を保護する神代大社――ここが、京太郎が本日より世話になる場所だ。
 訪れるのは二度目で(滞在でなければさらに何度か)はあるが、この地域ではまさしく王族のように扱われる一族、組織の敷地内である。
 失礼があっては許されないと、明日より永水女子へ通うことが決まっている京太郎は、挨拶のために足を運んでいた。

霞「いらっしゃい、京太郎くん。迷わなかったかしら?」

京太郎「霞さん……お久しぶりです、ご心配ありがとうございます。わかりやすい道中でしたから、すぐに着けましたよ」

 それはなによりね、と微笑んだ霞に案内され、境内に足を踏み入れる。

京太郎(さすが……神秘的というか、気圧されるというか……外の空気とは全然違うな)

 ともすれば飲み込まれてしまいそうな空気に、キンと耳鳴りがした。
 同時に湧き上がる恐怖にも似た感情を、唾液とともにゴクリと飲み下す――と。
 その音が頭に響き、耳鳴りが掻き消されたとき。
 気がつくと目の前には、大きな社務所が現れていた。

霞「さ、上がってちょうだい。皆も待ち侘びている頃よ」

京太郎「お、お邪魔します……」

 本来ならば、社の事務を取り仕切っている方に挨拶するのが筋だろう。
 大社を取りまとめる宗家の当主、小蒔の父親に目通りすることは、さすがに叶わないはずだ。
 そこには、一高校生に過ぎないという京太郎の立場もあるが――それに加え、家柄という複雑な問題も絡んでいる。

 いまは縁遠くなってしまっているが、京太郎の父方の実家は、神道や神の力というものに深く関わりのある家系だった。
 その家は北九州において権勢を誇り、南九州に根付いている霧島神境、神代家とも密接な仲だったという。
 中でも、京太郎の曽祖父と小蒔の祖父という先代の当主同士は親友とも呼べる間柄であり、それぞれが溺愛する曾孫と孫――つまり京太郎と小蒔は、許嫁のような扱われ方をしていた。

 だが、ある事件をきっかけにそのすべては崩壊し、両家の関係は悪化とまではいかないが、同業他社という程度の関係に落ち着いてしまっている。
 京太郎と小蒔に至っては、その記憶まで封印されており――最近になって思いだすまで、二人は互いのことすら忘れていた。
 もっとも、思いだしたからといって、その頃の関係に戻れたわけではない。
 いまの二人の仲は、友達以上恋人未満やや友達寄り――という程度のもので、他の女子が割り込む隙は十二分以上に存在していた。

 閑話休題。

 ともあれ、そうした家の当主に挨拶することなど叶うはずもない京太郎は、別の方々に挨拶をすることになる。
 それは事務方の責任者でもなければ、観光責任者というわけでもないが、一個人と呼んでいい相手でもない。
 神域において絶大な力を持つとされる、六つの家――その跡取りである六女仙という、この地域ではやんごとない立場と言って差し支えない方々だ。
 もっとも、いまは家を離れている方もいるため、全員にお会いできるというわけではない。

 それでも、久々の再会というのはやはり、心躍るものになる。

京太郎「……まぁ、夏の大会で全員に会ってますけどね」

霞「ふふ、そう言わないで。みんなも気にしているのよ――優勝直後の巴ちゃんとの抱擁とか、ねぇ?」ゴッ

京太郎「」

霞「うふふふ。さ、奥でみんな待っているわ……感動の再会、楽しみねぇ?」

京太郎(帰りたい……)


~応接広間

春「京太郎!」ガバッ

小蒔「京くん!」ガバッ

京太郎「っと……久しぶりだな、春。それに……こまちゃん」

春「本当に久しぶり……キョウタリウム、補給しないと……」スリスリスリスリ クンクンクンクン スーハースーハー

京太郎「犬か!」

小蒔「………………」クンクンスーハー スリスリスリ

京太郎「こまちゃんまで!? ちょっ、お姫様がこんなことしてるの、誰かに見られたらまずいからっ……」

小蒔「お姫様じゃないです……いまはこまちゃんです……」スリィ…

京太郎「いや、あの……でもなぁ……」

初美「まーまー、二人もずっと楽しみにしてたんですから……遠路はるばる、ごくろーですよー」

京太郎「はぁ……今年もお世話になります、初美さん」

明星「遅くなりましたけど、優勝おめでとうございます! 京太郎先輩!」

湧「今年は私たちも、部活に参加していますので……よろしくお願いします」

京太郎「ああ、よろしく。明星ちゃん、湧ちゃん」

霞「はい――それじゃ、挨拶も一通り済んだし、さっそく決めちゃいましょうか」

京太郎「決めるって、なにをですか?」

春「京太郎の居候先」

京太郎「――――――は?」

初美「忘れたんですかー? 京太郎が言ってたんですよー、次にうちに来たときは、こっち方面の修行もしたいって」

小蒔「そのための場所として、誰かの家に居候していただこうということです……うちは、さすがにダメだったんですが……」シュン

京太郎(そういえば、そんなことを言ってたような……)

京太郎「あー、でも、ほら……あれですよ。そんな本格的なのじゃなくて、危ないのが見えちゃってもうまく対処するやり方みたいなのを――」

春「そんな方法はない」

京太郎「えっ」

霞「もう見えてしまった時点で、本格的な対処をしないといけなくなってしまうのよ。以前、永水の校舎で会ったのも、本当は危なかったのよ?」

京太郎「」ゾワッ

初美「なまじ素質があるせいですかねー。京太郎は見えやすいみたいですから、一度本格的な修行をしたほうがいいんですよー」

京太郎「マジすか……」

小蒔「まじです」エヘン

京太郎「……でもそれ、居候しないとダメなんですかね?」

春「だめ」

霞「というよりは――なにかあったとき、近くにいたほうが対処しやすいからなのよ」

京太郎「…………よろしくお願いします」

明星「センパイの完全降伏、いただきましたー♪」


湧「でも、どうやって決めるんですか?」

初美「決まってますよー。私たちが集まってなにか決めるとなれば、方法はもちろん――」

春「麻雀しかない」ゴッ

霞「小蒔ちゃんは残念だけど抜きにして、私とはっちゃん、それに春ちゃんと――」チラッ

明星「あ、私はお従姉様にすべて委ねますので」

小蒔「明星は霞ちゃんと同じ家ですからね……」ズルイデス  ※という設定で

明星「だから、あと一枠は――湧、任せたよ?」

湧「え……えっっ!? わ、私も、やるの……?」

霞「ふぅん……まぁいいわ。それじゃ、準備しましょうか」

湧「ちょ、ちょっと待ってください、そのっ……わ、私は、須賀さんと住むなんて……無理ですっ、無理……」

初美「初々しいですねー」

春「京太郎、どうする?」

京太郎「そこで俺に振るか!? いや、まぁ……本人が言ってるし、三麻でいいんじゃないか?」

霞「京太郎くんが入って、勝てば選べるっていうのもありだけれど?」

京太郎「……嫌がられたときのダメージが大きいので、勘弁してください(よし、ナイス言い訳!)」

霞「……嫌がる?」

初美「京太郎を?」

春「ありえない」キリッ

明星「……いや、つまりですよ。嫌がるかもしれない相手を選ぶってことですよね? ということは、一人拒否った――」

湧「!?」

霞「へぇ……そうなの、京太郎くん?」

京太郎「誤解です、とんでもない誤解です!!」

湧(……そうまで否定されるのも、なんだか少し……って、私はなにを考えてるのっ……)ブンブン

初美「ま、それなら三人で打ちますかねー」

小蒔「あ、あの、私も入っていいですか? 普通に、練習としてですけど……」

春「もちろん」

霞「そうね、コクマのことも考えるなら、そうしておいたほうがいいわ」

小蒔「は、はい! 頑張ります――ので、えっと……京くん、後ろで見ててもらえますか?」

京太郎「え」

春「は?」

霞「あらあらあらあら、練習といえど真剣勝負で助言もらうのはいけないと思うわ」

初美「……まぁ練習ですし、いいんじゃないですかねー」

明星「おっと、2対2ですねー」

湧「ここは須賀さんに決めてもらっていいんじゃないでしょうか」

京太郎「えっ」

春「京太郎、すっぱり断って?」

小蒔「京くん、お願いします……」

霞「……京太郎くん、わかってるわよね?」

京太郎(不幸だ……)

 その後――断るのも申し訳ないという理由で、京太郎は小蒔を見守ることにしたのだが、対局を制したのは春だった。
 霞、初美の能力対策ができていたことも大きいが、それ以上に大きかったのが地力の差だ。
 一年間、ほぼ麻雀詰めで雀力を磨き、ついには全国五位にまで上達した実力――。
 なにより、京太郎への想いが普段以上の力を発揮させたといえる。


~滝見家

京太郎「……でかいな」

春「京太郎好きでしょ? 大きくなってよかった」ポヨン タプン

京太郎「そっちじゃなくて家!」

春「役割とかの関係で、偉い人をお招きすることもあるから。あまり小さいと、失礼にあたってしまう」

京太郎「ああ、なるほど……権力とか影響力とか、そういうのも大変なんだな」

春「お父さんたちは、あまり気にしていないと思うけど」

京太郎「そっか……ところで、俺が来るかもしれないってことは、ご両親には?」

春「もちろん」

京太郎「なら安心だな」

春「言ってない」

京太郎「」

春「大丈夫。京太郎のことは家でもよく話してる。きっと気に入ってもらえる」

京太郎「……なんて説明すればいいんだよ、この状況」

春「これから一ヶ月、うちで寝泊まりする?」

京太郎「俺、春のお父さんに殴り殺されるかもしれん……」

春「大丈夫……さ、入って」カラカラカラ

京太郎「くそうっ、お邪魔します!」


~玄関にて

滝見父「なんだ貴様は! なんの用があって我が家に参った!」ムキムキー

京太郎「(おおう、ものすごいマッソーなおじさんが……)は、はじめまして。自分は須賀京太郎と申します」

滝見父「名前など聞いておらん! なんの目的かは知らんが、早々に立ち去れ!」

京太郎「っ……」

春「お父さん、落ち着いて……」

滝見父「春は黙っていなさい。私はこの男に話しているんだ」

春「でも……京太郎は、私のお客様だから」

春「それと……とっても大事な人」ポッ

滝見父「なん……だと……おい貴様! うちの春になにをしたぁ!」ガシッ

京太郎「ぐっっ……」

春「お父さん、やめてっ……」クイッ

滝見父「黙っていなさいと言っているだろう!」ドンッ

春「あっ……」フラッ

京太郎「っっ……春っ!」バッ ガシッッ

滝見父「ぬぅっ!? 私の組み手を抜けただとっ……」

京太郎「春、大丈夫かっ?」

春「うん、平気……京太郎が支えてくれたから」ニコッ

京太郎「そうか…………滝見さん、失礼を承知で言わせていただきます」

滝見父「ほう、なにかな?」

京太郎「ご自分の娘をあんな形で突き飛ばすのは、さすがに可哀想です……春に謝ってください」

春「京太郎……私は平気」

京太郎「けど……いくら親とはいえ、あれはない。春があんな目に遭わされるなんてことを、俺が許せない」

滝見父「ほほう。許せないか……なら、どうするかね? 私が謝らなければ、無理やりにでも頭を下げさせるか?」

京太郎「荒事は嫌いです。それに、無理やり頭を下げさせても意味はない……形だけでも下げさせたいだけなら、そうしても構いませんが」

滝見父「ふん、自分の腕を相当に過信しているようだ」

京太郎「ご自由に受け取ってください。ただ、荒事は望まないと申し上げました。ですから、もし謝ってくださらないのであれば――」

滝見父「謝らないなら、どうする?」

京太郎「春を連れて、この家を出ます」

滝見父「は!?」

春「えっ!?」

京太郎「端的に言えば誘拐ですね。あるいは駆け落ち……とは違うか?」

春「駆け落ちでいい!」キリッ

京太郎「……まぁとにかく、そんな形です。娘に暴力を振るって平気でいられるような父親の元に、春を置いておけませんから」

滝見父「き、貴様……それは犯罪だぞ! わかっているのか!」

京太郎「必要とあらば、春のためです」

春「京太郎……」ポー

滝見父「そ、そんなことをしても、いずれは捕まる……滝見の、霧島の力を甘く見ているようだな」

京太郎「そんなつもりはありませんが……春一人を守る力はあるつもりです。権力が必要なら、心苦しいですが伝手を使って庇護を求めてもいい」

京太郎「そのくらいの覚悟はできています」

春「きょう……たろぉ……」トローン


滝見父「ぬ、ぬぬぬ……そこまで春のことを……大事な女だと思っているのか!」

京太郎「当然です。俺にとって春は、かけがえのない――」

春「か、かけがえのない……?」ドキドキ

京太郎「かけがえのない――大切な友人です」ドヤ

春「………………」シュン

滝見父「………………くっ、くくっ……ははははははっ! 残念だったなぁ、春よ! ははははは!」

京太郎「――え?」

滝見父「ははははっ……っと、いかんいかん。春、大丈夫だったか? 芝居とはいえ、ついやりすぎてしまった」

春「それは平気。でもいまは、心のほうが若干痛い」

京太郎「えっ、えっ? いや、あの……え?」

滝見父「ははははは、それは心が健康な証よ! まぁあまり落ち込むな、なかなか見どころのある、誠実で真摯な若者のようだからな!」

春「それは当然。京太郎以上の男の子は、たぶん日本にいない」

滝見父「ほほう、春がそこまで入れ込んでいるとは……いやいや、これから一ヶ月が実に楽しみだな」

京太郎「………………あの! どういことですか、これは! 春もだぞ!?」

春「……ごめんなさい。お父さんが京太郎の人となりを知るために、本音を見せられる場を整えると言って」

滝見父「そういうことだ、はははは! いや、笑うのは失礼だな、うむ……この通り、申し訳なかった!」ドゲザッ

京太郎「うおおっ!? いえ、そんな、そこまでされなくとも……きょ、恐縮ですっ……」ドゲザガエシッ

春「私も、ごめんなさい……」ミツユビー

京太郎(なんだこの状況……なぜ俺たちは、玄関で土下座合戦を?)

カラカラカラ
滝見母「ただいま戻りました……あらあら、こんなところでなにをしているの? あなたも春も、京太郎さんも」

春「あ、お母さん……お帰りなさい」

京太郎「えっ!? は、春のお母様ですか? はじめまして、須賀京太郎と申します! あの、これには事情が――」

滝見父「うむ、京太郎くんの人柄を確認しようと思ってな。私もまだ修行不足、一目で判別するのはなかなかに難儀なものゆえに……」

滝見母「はぁ、まったく……そんなことをされずとも、春の普段の口振りからして、いい子に決まってるではありませんか」

滝見父「念には念をというやつだよ。これも性分と言うべきか、石橋を叩いて壊し、川を泳いで渡る性格なのでな、ははは!」

京太郎「橋使って!」

春「ふふ、お父さんったら」

京太郎「え、ここ笑うとこ!?」

滝見母「ともかく――いつまでもお客様を玄関に留めておくのは忍びないわ。京太郎さん、居間のほうに上がってくださいな」

京太郎「は、はい、お邪魔いたします!」

滝見母「ふふ、そんな他人行儀に畏まらなくて大丈夫よ?」

滝見父「その通りだ。これからひと月、同じ釜の飯を食う仲になるのだから――いわば家族のようなもの」

滝見母「私のことはお母さんと思って」

滝見父「私のことは父親と思って」

滝見夫妻『普段通りの態度で接していいの(よ・だぞ)』

京太郎「………………色々言いたいことはありますけど、とりあえず――春?」

春「はい」

京太郎「……俺がここに居候するって話、ご両親には?」

春「先月から話してる」

京太郎「まだ決まってない時期じゃねぇか!」


~居間にて

京太郎「……たとえお父さんに頼まれたんだとしても、嘘はよくないぞ」

春「うん……ごめんなさい。反省してます」

滝見父「本当に、申し訳ない」

京太郎「まぁ――いきなり男が居候してくるとなれば、心配される気持ちもわかります。でもそれなら、断ってくださっても……」

滝見母「あらあら。そんなことしたら、私たち一生、春に恨まれてしまうもの……ねぇ?」

春「末代まで祟る」

京太郎「それ自分の子孫だからな!? なんなら自分も入ってるから!」

滝見父「ははは、まぁまぁ。そんなわけで、居候自体は構わんのだ。息子ができるようなものと思えば、これがなかなか楽しみでな」

京太郎「それは言いすぎかと思いますけど……」

春「お父さんは格闘技か武道をする相手が家にいればって、いつも言ってたから。あと、言いすぎじゃないと思う」

滝見母「それでも、男親としては気になるところがあったんだと思うわ……本当にごめんなさいね」

京太郎「いえ、こちらはもう気にしていませんから。まぁ、その……組手の相手というのも、もちろんお付き合いしますので」

滝見父「おお、それはありがたい! 先ほどの動きといい、なかなかの使い手のようだからな……ふふ、腕がなるわ」ボキボキ

春「京太郎は強い。ただ、その……別の力の出し方と使い方は、修行しないといけない」

滝見母「それは私の分野かしら……でも、せっかくだし春が指導してあげたいわよねぇ?」

春「う、うん……できれば……」

京太郎「――なら、春に頼もうかな。おじさんとは武道の修練をして、俺は春に麻雀を教える」

滝見母「あら、それじゃあ私は?」

京太郎「え、えっと、その……なんでしょう」ハハハ

春「……家事全般、京太郎が教えてくれる」

京太郎「いやいや、さすがに主婦の方に教えられることなんて……」

春「大丈夫。お母さんは家のお役目があるから。専業じゃないし、色々と隙はある」

滝見母「うふふふ……春ちゃん?」ゴッ

春「……ごめんなさい」ブルブル

京太郎「ま、まぁまぁ……でもそういうことでしたら、お母様がいらっしゃらないときの家事は、俺が引き受けさせていただきますよ」

滝見母「あらあらあら、本当? でも、さすがに忙しくなりすぎないかしら?」

京太郎「いえ。家に泊めていただけるなら、そのくらいはやらせてください。こちらからお願いします」

滝見父「ふむ、そこまで気を遣わずともいいのだが……本人がやりたいと言うなら、止めるのも野暮というものだな」

京太郎「はい、ありがとうございます」

滝見母「それじゃ、申し訳ないけどお願いするわね」

京太郎「お任せください。それでは――これから一ヶ月、よろしくお願いします」

春「こちらこそ。不束者ですが……誠心誠意、京太郎にお仕えします」

京太郎「いや、むしろ俺が仕えさせてもらう感じなんだが……ま、いいか」

春「じゃあ……一回、部屋に行こう? 荷物の整理しないと。私が案内する」

京太郎「っと、そうだな……では、失礼します」ペッコリン

滝見夫妻『ごゆっくり(意味深)』


~部屋?

春「ここ」

京太郎「おう、ありがとう……って、あれ?」

京太郎(机とか本棚とか……タンス? なんで家具が揃って――)

京太郎「…………春さん、つかぬことをお伺いするがね?」

春「なんなりと」

京太郎「ここって……もしかして、春の部屋か?」

春「うん。一緒の部屋」ニコッ

京太郎「アウトォ!」



~部屋

春「廊下の反対側にする? 襖挟んだ隣にする?」

京太郎「もっと離れた場所は……?」

春「私と近い部屋、イヤ?」ウルウル

京太郎「そ、そういうことじゃないんだけど……あー、わかった。それじゃ廊下挟んだ向かいにするか」

春「うん! あの、えっと……時々、遊びに行っていい?」

京太郎「もちろん。ただ、一応ノックはしてくれ。俺も春の部屋に用事があるときは、ノックして返事を待ってから開けるからな?」

春「わかった(着替え中でもいいよって言おう)」グッ

京太郎「それじゃ、荷物置いたら……なにがしたい、春?」

春「一緒にいたい」

京太郎「あー……俺が考えてるのは、麻雀の練習か、おじさんと組手するか、お母様と昼食作りをするか、ここでの修行をするか、なんだが」

春「修行……というか、毎日のお務めは朝にすることになってる」

京太郎「なら、明日の朝からか……どんなことするか、先に聞いておける範囲があるなら、教えて欲しいんだけど」

春「わかった。じゃあ、荷解き手伝いながら説明する」

京太郎「疲れるぞ? 結構、荷物多いしさ」

春「平気。京太郎と同じことをしてたい」

京太郎「……なら、お願いできるか?」

春「はい」ニコッ


春「本がない」

京太郎「も、持ってきてないから(震え声)」


 春から隠しつつ、持ってきていた本(居候するのを知らなかったから仕方ない)を厳重に包装して封印し、他の荷物を片づける。
 その合間に春から聞かされたお務め内容は、基本的には水垢離、掃除、朝拝。
 朝拝のあとに、必要であれば霊的な力を集中するための、頭と身体のトレーニングを行うこともあるという。

京太郎「行うこともあるってことは、しないこともある?」

春「忙しいときとか」

京太郎「それでいいのか? バトルものとかスポ根だと、追い詰められた状況で力をだすために、そういうときこそ励むんだが」

春「そんな状況にはならない」

京太郎「い、いや、でもほら、いきなりすごいのに襲われたりとか……」

春「そういうときは逃げる。逃げられないなら諦める」

京太郎「いや、諦めたくないんだけど……」

春「見つけても凝視したり声をかけたりして、刺激しなければすぐには襲われない。だからそのまま逃げて報告、あとは態勢を整えて封印に動く」

京太郎「……刺激しちゃったら?」

春「諦める。むしろそうならないよう、いつでも余裕を持って自分をコントロールできるよう、頭と身体を慣れさせる」

京太郎「な、なるほど……」

春「夕方も同じことがある。でも部活後は遅くなるから、掃除は難しい。あと、お父さんが京太郎と組手と乱取りをしたがると思う」

京太郎「遅くなってもいいなら、夜に掃除させてもらうんだけど……おじさんの相手は大変そうだ」

春「たまにでいい」

京太郎「そうか、ならそれで……できれば夜も少し修行したいところだし」

春「帰ってから、掃除するかお父さんと戦うか。それが終わったら夕食。あとはお風呂に入って寝るだけ」

京太郎「……勉強と麻雀の時間を取ろう。せっかく一緒に住むんだし、春にもできる限りのご奉仕がしたい」

春「――っ!」ビビクン

京太郎「どうした?」

春「もう一回言って」

京太郎「……勉強と麻雀の時間を取ろう」

春「その次」

京太郎「……せっかく一緒に住むんだし、春にもできる限りのご奉仕がしたい」

春「~~~~っっ!!」ゾクゾクッ ビクビクンッ

京太郎「だ、大丈夫か?」

春「へ、平気……嬉しいだけ」キュン

京太郎「な、ならいいけど……ま、勉強が終わったらちょっとリラックスできるだろうし、そのときに頭のトレーニングさせてもらうか」

春「そっちは、私がお手伝いする……京太郎が力を扱えるようになれたら、私たちも嬉しい」

京太郎「ああ、頼む……それじゃ、春」

春「はい」

京太郎「一ヶ月、よろしくな。いままで通り、仲良くやっていこう」

春「……いままで以上に、仲良くなる」

京太郎「そうだな、そうしよう」

春「うん」グッ


~修行 庭にて

春「それでは……お夕食まで時間があるから、簡単な修行をします」

京太郎「はい、よろしくお願いします」

春「まず服を脱ぎます」

京太郎「え!?」

春「返事は『はい』」

京太郎「あ、はい……えぇ……」ヌギヌギ

春「●REC」

京太郎「黙って撮影すんなぁ!」

春「撮ります」●REC

京太郎「そういうことじゃなくて……その、それも修行なのか?」

春「特にそういうことじゃない」

京太郎「……なら、撮影はいったん止めようか」

春「ん」

京太郎「服は着てていいんだな?」

春「脱いだほうがいいけど……最初だし、着た状態でやる?」

京太郎「……春が教えやすいように頼む。必要なら脱ぐから」

春「じゃあ、シャツだけになって……まず、ここに正座」ポンポン

京太郎「押忍」

春「目を瞑って……背中に意識、集中してて」ギュッ

京太郎「っっ……お、おい、これは――」

春「シッ……私の鼓動を背中で聞いて。その音に、自分の鼓動と呼吸を合わせて……」スー ハー

京太郎「……はい」スー ハー

春「――そのまま呼吸をしていて。私がいまから、少しだけ力を動かしてみるから……それを感じ取って欲しい」

京太郎「…………」

 ジワリ――と背中に温かななにかが伝わり、肩や腕、下は腰回りへと染み広がる。
 その感覚が、いわゆる霊能的な力ということだろう。
 鼓動と呼吸を春と通い合わせ、彼女と一体化したような状態を保つことで、その流れが鋭く感じられる。

春「……京太郎の力は、おそらく封印されていたはずなのに、それでも普通に見えてしまうくらいに強い」

春「それを引きだして制御しようと思ったら、そのことを意識しなければならない」

春「自分の中にある、いま動いているのと同じ力を感じること……それが第一歩」

 どのくらいそうしていたのだろうか。
 十分、数十分、ともすれば一時間か、数時間か――。
 時間の感覚すらなくなるほどに、意識と感覚は春の力に集中していた。


春「……ろう……太郎、京太郎……?」

京太郎「ぅ――おっ、あっ……はぁっ、ふぅっ……どうした、春……?」

春「大丈夫……?」

京太郎「え――あ、ああ、なんともないけど……あれ、終わったのか?」

春「うん。離れて、もう目を開けてもいいって言ったけど動かないから……心配した」

京太郎「すまん、全然気づかなかった……なんかずっと、春の感覚が動いてる気がして……」

春「……大丈夫。それはきっと、私のじゃなくて京太郎の……同じ力の感覚だったから、自分のものをそうと捉えていたはず」

京太郎「え、マジか? それじゃ、いまの感覚が俺の……」

春「……初めてでここまで感じられる人は、おそらく希少。元から才覚があって、素質もあったからとはいえ……もしかしたら――」

京太郎「春?」

春「もしかしたら、私では十分に教えられないかもしれない……姫様や霞さんのほうが、うまく指導できると思う」

京太郎「…………なぁ、春」

春「はい」

京太郎「確かにそうかもしれないし、春の家に居候するのが決まったのも、麻雀の結果だった」

京太郎「それでも――俺は断ることだってできたのに、この家でお世話になることにした」

春「……うん」

京太郎「たぶん……俺自身、春の家で世話になりたかったんだと思う」

京太郎「そういう力を扱う方法も、きっと春から教わりたかったんだ……だから春、この際みんなのことは気にしないでおこう」

春「京太郎……」

京太郎「いまのだって、春がわかりやすく教えてくれたからできたんだ。だから俺は、この先のことも春に頼みたい」

京太郎「春に、助けてもらいたい……それじゃ、春に教わる理由にならないか?」

春「!」

京太郎「春、どうだ?」

春「っっ……なる、十分っ……私も、そうしたい……霞さんたちじゃなくて、私が……京太郎に、教えたいっ……」

京太郎「――ならよかった。これからもよろしく頼む、春」

春「……はいっ……」ギュッ

京太郎「……暗くなったし、そろそろ戻るか」ナデナデ

春「はい……お夕食の前に、お風呂にしたほうがいい」

京太郎「ああ、そうだな。座ってて泥もついたし、さすがに汗もかいたしな……」

春「着替え持ってくるから……先に入ってて」

京太郎「おう――って、ちょっと待ちなさい」

春「なに?」

京太郎「……確認するまでもないと思うけど、一緒に入るわけじゃないよな?」

春「……………………もちろん」

京太郎「その間はなんだっ!?」


~お夕食

滝見母「………………参りました」フカブカ

京太郎「と、とんでもありませんっ……その、使いやすいキッチンですし、土地柄なのかいい食材ばかりだったおかげでして……」

春「相変わらず、京太郎のご飯は最高……」ポー

滝見父「はっはっは、これは見事! だが母さんの料理もおいしいぞ? 私はこちらのほうが好きだなぁ」ハッハッハ

京太郎「ほ、ほら、おじさんもこう仰ってますし……」

滝見母「…………本当ですか?」ジッ

滝見父「はっはっは、もちろんだとも! 今日まで私の身体を作り、健康に支えてくれた料理だからな!」b

滝見母「あなた……」ジーン

春「ごちそうさまです」

京太郎「いいご両親だな……いいご夫婦だ」

春「うん……わ、私も……こんな夫婦になりたい」ポッ

京太郎「ああ、理想だよな」

春(微妙に通じてない……)ショボンヌ

滝見母「それにしても……京太郎さんは、どこでこれほどの料理を?」

京太郎「まぁ……話すと長いんですけど、いい先生に――先生方に教わった、ってところでしょうか」

春「京太郎は奈良の老舗旅館や、東京の老舗料亭で働いたりもしてる」

滝見父「ほほう、それはそれは……若いうちから、なかなかの試練を越えているな」ニヤリ

京太郎「試練……と思ったことはないですね。誰かの役に立てるならと、できる限りのことをしてきただけです」

滝見父「はっはっは、それは末恐ろしい! そういう気持ちを保てる人間は、苦を苦とも思わんからな。だが――」

春「だが?」

滝見父「それゆえに危うくもある。自分ができることなら自分が、という気持ちが強すぎるあまり、他者を蔑ろにしてしまうこともあってな」

京太郎「他者を、蔑ろに……」

滝見父「ぞんざいに扱うだけが蔑ろではない。大事にすることは、突き詰めれば甘やかすことにもなるということだ」

春「どうすればいい?」

滝見父「周りに任せることを覚える、それだけの話だ。料亭でも、下の者ができることなら、上はそれを任せたりするだろう?」

京太郎「……はい、その通りです」

滝見父「ただそれだけのことだ。そちらを突き詰めれば、周りを信頼するということだな。簡単のようで難しい、だが大事なことだ」

京太郎「肝に銘じておきます」

滝見父「はっはっは、京太郎くんは生真面目な青年だな! 年寄りの言うことなど、頭の片隅にでも留めておけばいい」

春「忘れていい、と言わないところがずるい」

滝見父「なに、渾身の説教だったからなぁ。年に一度、できるかできないかだぞ?」

居太郎「いえ。本当に為になりました」

滝見母「まったく、この人ったら。春にはこんなに口うるさいことは言わないのに、ねぇ?」

春「うん」

滝見父「はっはっは! そんなことをして春に嫌われたら大変だろう!」


京太郎「……知り合うのが女子ばっかりだからか、娘さん大好きすぎる父親ばっかりな気がする」

春「たとえば?」

京太郎「……え?」

春「誰のお父さんに会った? 誰のお父さんがそういうお父さん?」

京太郎「え、と……そんな食いつくとこか?」

滝見母「ふふふ、これも偵察の一環なのね?」

京太郎(偵察?)

滝見父「いやいや、私も少し興味があるぞ。世の父親と娘の関係、春への接し方の新たな扉になるやもしれん!」キリッ

京太郎「えぇ……えー、そうですね……永水だと、霞さんの――たぶんお父さんだと思うけど、ご当主って方に」

滝見父「ああ。なかなか霞殿に厳しいようだが……あれもあいつなりの愛情でな。立場もあって、人前ではそうするしかないというのも難儀なものだ」

京太郎「……そうなんですか」

滝見母「京太郎くんは、霞ちゃんのことを心配してくれていたのね。でも大丈夫よ、ありがとう」

春「霞さんは強いし、自分の役割をすごく理解してる……尊敬できる先輩」

京太郎「……まぁ、そうか。俺が心配して、どうなるってものでもないか」

滝見母「んー、そうでもないと思うけれど……心配してるってことを、伝えてみたらどうかしら? きっと喜ぶと思うわよ」

春「だめ」

京太郎「えっ……なんでだ?」

春「……なんででも」

京太郎「アッハイ」

滝見母「あらあら」クスクス

滝見父「はっはっは。まぁ石戸のことはいいとして、ほかはどうかな?」

京太郎「うーん……いまプロになってる方のお父さんには、めちゃくちゃ嫌われてましたね。娘に近づくダニめ、みたいな扱いでしたし」

春「よし!」グッ

京太郎「えっ」

春「なんでもない」

滝見父「ほっほう、それはまた強烈な御仁。一応聞いておくが、その娘さんに不埒な真似などは?」

滝見母「あなた、失礼ですよ。ねぇ、京太郎さん?」

京太郎「………………は、はは……いえ、そんな。お気遣いなく……」

京太郎(下着で同衾事件とか、やばい事実がありすぎる……シロさんのお父さんにはバレてなかったはずだけど)

春「なにかしたの? えっと……小瀬川さんに」

京太郎「なんでわかんの!?」

春「お父さんに会ったということは、いままでの滞在先。その中でプロになった人は限られている。あとは一番仲がよさそうな人を選んだ」

京太郎「プロファイラーかよ……いや、ほら、でも照さんとか洋榎さんとか――」

春「京太郎のお父さんと愛宕プロのお父さんは知人、友人と聞いてる。お母さんの愛宕監督とも良好な関係なら、お父さんに嫌われるわけがない」

春「宮永家とは姉妹揃って仲がいい。咲のほうは中学からの付き合い……それならご家族とも面識があって、付き合いが途切れない関係と予想できる」

京太郎(やべーよこの子、完全にプロファイラーだ)


京太郎「……っていうかあれだな、咲のこと名前で呼んでんのか。随分、仲良くなったんだな?」

春「基本的に派遣先同士はみんな仲がいい。ただ、同じ学年は特に繋がりが深くなってるのは否定しない。憧や由暉子とは特によく話す」

滝見母「新子のお嬢さんね。春とは違うタイプみたいで、いい刺激になっているみたいよ」ニコニコ

滝見父「それはありがたいことだ。自分を深め、高めてくれる相手に巡り合うのは、よほど人と縁に恵まれなければ難しい」

春「京太郎の、おかげ……ありがとう」

京太郎「……俺はなんもしてないって。春がいい子だから、みんなと仲良くなれるんだろ」ポンポン

春「あふ……うん、それでも……ありがとう」

滝見母「あらあら」

滝見父「はっはっは! 小瀬川殿の父上のお気持ちが、少しだけわかってきたなぁ」

京太郎「えっ」

滝見父「はっはっは、冗談だとも!」

京太郎(冗談っぽくなかったよ、こええええええええええ!)


~食後、春の部屋

京太郎「明日から二学期だな」

春「うん」

京太郎「宿題は終わってるよな?」

春「もちろん」

京太郎「となると――あとは明日に備えて寝るだけか」

春「喜んで」

京太郎「ああ、おやすみ。それじゃ、また明日――」

春「違う、そうじゃない」ガシッ

京太郎「え」


春「部屋に戻るなら、もう少しやることがある」

京太郎「えぇ……ま、まぁそういうなら……で、なにかあったか?」

春「夏の大会が終わったら、姫様は引退する……元々は姫様のためにできた麻雀部は、これ以上存続する理由はない」

京太郎「それは……元はそうかもしれないけど、春は――」

春「わかってる。私も麻雀が好きだし、下には明星と湧もいる。姫様にはコクマもあるし、まだ部活を終わらせる気はない」

京太郎「そっか……ああ、そうだな」

春「来年のために、もっと強くなりたい……今夜から、時間があるなら京太郎に特訓してもらいたいの」

京太郎「……わかった。春がその気なら、俺もとことん付き合う」

春「うん、付き合って」ポッ

京太郎「ま、学校に影響がない範囲でな」

春「はい」

京太郎「なら、さっそく――とりあえず今日は東風戦にしとこう。俺は北家に入る、春は残りの家だ」

春「……負担が大きい」

京太郎「はは、悪いな。けど、俺が見て方針を決めるなら、なるべく多角的に春の打ち方を見ておきたい。いまの実力も含めて」

春「ん……京太郎がそう言うなら、私はどんなことでも従う」

京太郎「よし、いい覚悟だ……それじゃ、俺に勝ったらなにか一つ、言うことを聞くってご褒美もつけようか」

春「! な、なんでもいい……の?」

京太郎「まぁ、そうだな……あ、対象は俺だけだぞ。俺に誰かをどうにかさせたりするのはなしで、物理的に可能なことで頼む」

春「問題ない」

京太郎「……あの、法外な金額を要求とかもなしな?」

春「わかってる……京太郎は、私をなんだと思ってるの?」ムー

京太郎「すいません……いや、ついな。っていうか、一応?」

春「私も常識は弁えてるから……そんなことはお願いしない。もったいないし」

京太郎「それならいいんだが……なら、さっそく始めるか。確か春の家だと、手積みになるんだっけ?」

春「うん。卓と牌はここ……では、よろしくお願いします」ペッコリン

京太郎「ああ――よろしくお願いします」

 なお、京太郎が圧勝したもよう。


春「……なんで? 三対一なのに」

京太郎「いや、まぁ……ほら、春が三人分考えてる間、俺は一つ考えるだけでいいわけだし」

春「ずるい」プクー

京太郎「そう膨れるなって、な?」ツンッ

春「ふぁい」プシュー

京太郎「よし――なら、今日はここまでにしよう。続きは明日――放課後だな、部活で」

春「ん……おやすみなさい、京太郎」

京太郎「ああ、おやすみ」

春「すぐにお布団敷くから、泊まって行って」イソイソ

京太郎「さぁて、部屋に戻るかな!」


ひとまずここまで
書けてる分の三分の一ほど、かな?
ここからは、もうちょっと少しずつ投下になるはずです

次の投下は、もうちょっと書き進んだらということで
限りある資源は大切に

それでは

あ、そうそう
一日ごとの日程じゃなく、一ヶ月の中でのダイジェストって形になります
15日分全部書くのは大変だからね、仕方ないね


全然書き進んでないけど、年末に備えてちょっとだけ置いておきます
だから年始はたぶんないです


~それから一週間後

~二年目9月二週月曜

~朝

春「――はい、お疲れ様でした。今朝のお務めと修練はここまでにします」

京太郎「ありがとうございました……さて、朝飯の支度をしないと」

春「私も手伝う」

京太郎「春はゆっくりしてていいんだぞ」

春「旦那様にだけ家事をさせるわけにはいかない」

京太郎「俺はどっちかというと執事だし……旦那様というか、主はむしろ春のほうじゃ……」

春「じゃあ主として執事の仕事を手伝う」キリッ

京太郎「……はいはい。まぁ毎朝のことだし、もういい加減、こうして断るのも失礼だよな」

春「そういうこと」

京太郎「では――よろしくお願いいたします、お嬢さま」

春「……それはなかなか。学校でも、一回だけそれでお願い」

京太郎「え……まぁいいけど。だったら、部活中じゃないほうがいいな」

春「いや、部活中で!」

京太郎「な、なんかよくわからんが、わかった……って、しゃべってる場合じゃない。飯と弁当の準備だ」

春「はい。あ、それからお父さんとお母さんも、お昼は京太郎のお弁当がいいって言ってた」

京太郎「あ、はい……ならせっかくだし、昨日仕込んでおいた角煮を使うか。本当は、夕飯用だったんだけどな」

春「なら、帰りは夕食の買い物に行かないと」

京太郎「だな。ちょっと早めに部活は抜けさせてもらおう……って、大丈夫かな。こまちゃん、コクマの選抜も近いのに」

春「今日は初美さんがオフで、コーチに来てくれるって言ってたから平気」

京太郎「ならいいか。よし、じゃあ忘れないようにしよう」

春「朝はどうする?」

京太郎「昨日いただいた干物をメインにしよう。それと、玉子焼きにアレンジを考えたから、それは俺が。で、味噌汁の具なんだけど――」

春「ん、わかった……それなら――」


滝見父「ははは、なかなか睦まじくやっているようだな。善哉善哉」

滝見母「ええ、あなた。あんな上機嫌な春の姿、なかなか見られないですよ」

滝見父「京太郎くんがいないときの寂しげな姿や、電話やメールを確認した瞬間に輝く様も、捨てがたいものだったがな」ハハハ

滝見母「人に感情を伝えるのが苦手なあの子だから、こんな風に恋愛できるか少し不安だったのだけど……京太郎さんのおかげね、これも」

滝見父「機微を察するのが得意だからなぁ、彼は。それに引っ張られてか、春の表情もわかりやすくなっている」

滝見母「ええ、本当に……そろそろ、他家にも根回ししておこうかしら」

滝見父「ははは、気が早いぞ。二人ともまだ若い、可能性はいくらでもあるのだ。他家の娘さん方も、それはそれは魅力的だしな」

滝見母「それはわかっています、だからこそですよ。あんないい子、狙われていないわけがないんですから」

滝見父「だとしてもだ。若人の恋愛に大人が嘴を挟んで、よい結果を迎えた例などない……彼が一番、そのことを知っている」

滝見母「……そうでしたね。だからこそ、姫様のアピールが怖いんですけど」

滝見父「そうさな……姫がご当主になるまで彼が独身なら、それはえらいことになるだろうなぁ。はははは」

滝見母「そこまでいくと、全員の共有財産になっていそうね……」


京太郎「なにか不穏な噂をされている気がする」

春「よくわらかないこと言ってないで、味見して」

京太郎「はい、すいません……ん、うまい」

春「じゃあこれで完成」

京太郎「おう、こっちもだ。さて、運ぶとするかな」

春「はい……あなた(ボソッ」///


~学校にて

「申し訳ございません。昨日の宿題なんですが、ここをお教えいただけないでしょうか」
「あ、私も! 英語の和訳がさっぱりすぎた!」
「私も……あの、数学を……」

京太郎「ああ。じゃあ近い授業から先に済ませよう。まとめて説明するから、聞きたい人は集まってくれ。じゃ、まず数学から――」

春「…………むー」プクー

モブ子「おやおや、春ちゃ~ん? ご機嫌ナナメですなぁ?」

春「……そうでもない。でも、京太郎と話せないのが退屈」

モブ子「宿題聞いてくればいいのにー」

春「それは夜に、京太郎から二人きりで教えてもらってるからいい」

モブ子「……あー、はい。ごちそうさまです」モグモグ

春「……なに食べてるの?」

モブ子「京太郎の弁当?」モグモグ

京太郎「お前またかあああああああああああああ!」

モブ子「私の胃袋は宇宙だああああああああああ!」ダッシュ

京太郎「クソァ!」

春「……私の、わけてあげる」

京太郎「あ、ああ、ありがとう……けど、量が少なくなるからな。俺は学食でも行くから、それは春がしっかり食べてくれ」

春「ん。それでも、学食は一緒に行く。角煮せっかく作ったんだし、一つ食べてみたほうがいい」

京太郎「そうだな。じゃあそれだけ、俺のランチとオカズ交換しよう」

春「ん♪」

「ちょっとー、せんせー!」
「あの、最後の問題は……」

京太郎「っと……それじゃ春、昼休みはその約束で」

春「はい……えへへ」ニコニコ


~お昼

京太郎「春、行こうぜ」

春「うん」ウデクミー

京太郎「おっと……よし、急ぐか。レディースセットは女子じゃないと注文できないからな」

春「レディースセット?」

京太郎「あるんだよ……ほら、あれ」

春「どうして女子校に、レディースセットがあるの……」

京太郎「あー、それな。俺も去年、同じこと思ったよ」

春「それにこれ、女子じゃなくても頼めるみたい……」

京太郎「え、そうなのか!? うおお、清澄では女子しか頼めないから、こっちもそうだとばかり……」

春「………………誰に?」

京太郎「え?」

春「誰に頼んでもらってたの? 咲? 和? 優希? 先輩?」

京太郎(食いつきがすごい……)「えっと、咲だけど」

春「……これ、私のお弁当」スッ

京太郎「あ、ああ。でもこれは春が――」

春「これを持って、席を取っておいて。私がレディースランチ、頼んでくる」フンスッ

京太郎「いや、あの――はい。よろしくお願いします」


春「お待たせ」

京太郎「ああ、サンキュ。おお、うまそうだ……それじゃ、食うか」

春「はい。いただきます」

京太郎「いただきます……ん?」

春「まずは一口。あーんして」ズイッ

京太郎「あ、あーん……もぐ」

春「おいしい?」

京太郎「お、おう……手前味噌になるけどな」

春「じゃあ私も。あーん」

京太郎「……どれがいい?」

春「ほぇへもひぃ」(どれでもいい)

京太郎「では、このミンチカツを……あーん」

春「もぐ……おいしい。ただ、京太郎が作るほうがおいしい」

京太郎「そりゃどうも。んー、なら今夜はミンチカツにするか」

春「じゃあ、それで献立考えて、放課後の買い物?」

京太郎「だな。メニューはまた、休み時間に考えとくよ」

春「うん、お願い……もぐ……」

春「おいしい」パァッ

京太郎「そう言ってもらえると、作った甲斐がある」

春「毎日、京太郎のご飯が食べられる……とても幸せ……」ホフゥ

京太郎「……ありがとな」ポリポリ


~部活中

小蒔「――といった目撃証言がありました」

京太郎「アッハイ」

明星「ちなみに証言したのは私です」

湧「余計なことは言わなくていいんじゃ……」

明星「ちなみに目撃したのは湧です」

湧「余計なこと言わないで!」

春「問題はないと思う」

小蒔「そ、そんなことありませんっ! 男の子が学内に一人なのに、そ、その人と腕を組んで歩いたり、た、た、食べさせ合いっこしたり!」

小蒔「えっと、その……ふーきに反します!」

春「……食べさせ合いっこは、去年もしてた」

小蒔「!?」

春「だから……今年になって言いだすのは、むしろ言いがかりレベルです」

小蒔「そ、そうなんですか、京くん!?」

京太郎「……まぁ、はい。してましたね、確かに……」

京太郎「……ってか、他校でも」ボソッ

春・小蒔『は?』

京太郎「なんでもありません!」


~少年少女練習中

京太郎「――あ、やべ。そろそろ買い物行かないと」

初美「えー、まさか勝ち逃げするつもりですかー」

京太郎「そ、そんなつもりはないんですけど……ほら、夕飯の支度とか色々ありますから」

明星「主夫みたいになってますね」

春「明星、黒糖をあげる」スッ

明星「わーい!」

小蒔「あ、あと一局だけ……東風戦だけでも……」

京太郎「んー……いや、やっぱり明日だな。最初に打とう、半荘でしっかりとな」

小蒔「わかりました……」シュン

京太郎「そ、そう肩落とすなって……本番に近い形で打つほうが、実力になるんだからさ……」ナデナデ

小蒔「はい……では、あの……また明日、です」

京太郎「ああ、また明日。それじゃ、お先に失礼します」

初美「おつかれですよー」

湧「お疲れさまです」

他部員『お疲れさまです!』

京太郎「おう。それじゃ行くか、春」

春「ん。じゃあ、お先に」

小蒔「――待ちなさい」

明星「姫様のちょっと待ったが出たー!」

初美「そんな古いのよく知ってますねー」

湧(それ突っ込める初美さんもでは……)

春「……なんでしょう」

小蒔「京くんが買い物に行くのはわかりました。でも、毎度のように春が付き合う必要はないと思います」キリッ

春「そんなことはありません。それは家主権限で京太郎を使用人扱いするようなもの。誰の家にいたとしても、そんな扱いは許さない」

小蒔「そ、それは……そう、なんですけどぉ……」シュン

春「京太郎は部活に穴を開けないよう、まとめ買いで買い物回数も減らしてる。荷物が増えるから、人手がいるだけ。努力を認めてあげてください」

小蒔「きょ、京くんには文句なんてありませんっ!」

春「……逆に考えます。姫様の家に京太郎がいる場合、京太郎一人に毎日の買い物を任せますか?」

小蒔「………………任せません」

春「ついていきますか?」

小蒔「………………はい」

春「なら――私がしても、おかしくないですね?」

小蒔「………………う、うぅー、京くーん! 春がいじめます!」ダキッ

京太郎「えぇ……う、うーん、そう言われても……なぁ、春――」

春「京太郎一人に買い物させたら、私がお父さんとお母さんに怒られる」

京太郎「……そ、そういうことだから、こまちゃ――」

小蒔「じゃ、じゃあ私も行きます!」

京太郎「えっ」

春「ど、どうしてそうなるんですか……姫様にそんなことは――」

小蒔「ぶ、ぶちょー命令です!」

春「部活、関係ないのに……」


初美「おもしろくなってきましたよー」ワクワク

湧「わ、私たちはどうすれば……」

明星「ここは『見』に徹しよう」

「……どう見る?」
「姫様優勢」
「京太郎先輩が一人で逃げるに一票」
「春先輩との逃避行に一票」

京太郎「……大会前なのに、早く切り上げるのは感心しない」

小蒔「う、うぅ……でもそれなら、春だって……」

京太郎「春はその分、家で俺と練習してるから――あっ」

初美「お?」

明星「これは……」

春「京太郎?」

京太郎「よし、こまちゃんも一緒に行こう。それで――家にも来てもらう、いいな?」

春「!?」

小蒔「いいんですかっ!」

京太郎「ああ。春の家に行くなら、こまちゃんの家も文句はないだろ? 一緒に夕飯食べて、それから練習すればいい」

小蒔「賛成です!」

春「あ、う……も、門限は――」

小蒔「滝見の小父さまから連絡していただきます!」

春「しょ、職権濫用っ……」

明星「姫様だけずるいー!」

小蒔「大会があるから、特訓は当然です」キリッ

湧「……もう好きにしてください」

初美「まぁ、三人がいいならいいですよー。あと、ほかの部員も納得するなら、ですけどねー」

京太郎「っと、そうですね……と、とりあえず数日に一回だから、大目に見てくれると助かるんだが……」

「全然オッケーです!」
「その代わり、後日の詳細レポートを要求します!」
「あと、差し入れのお菓子はザッハトルテがいいです!」

京太郎「……わかった。じゃあとりあえず、今日は俺と春とこまちゃんは、ここまでで帰らせてもらうな。みんな、お疲れさま。先に悪いな」

春「……お疲れ。レポートは日誌に上げとく」

小蒔「一緒に書きましょう!」

京太郎「練習しに行くんだぞー、遊びじゃないんだぞー」


湧「……ところで、なんですけど」

初美「あー、はいはい。気づいてますよー」

明星「家に『来て』もらおう。それに、春先輩にも滝見のご当主さまたちにも断ることなく、誘ってましたよね」

初美「まったく、数日も滞在してないっていうのに、家族みたいになってるじゃないですかー」

明星「ああ、お従姉さまになんて説明すれば……」

湧「言わなきゃいいんじゃ……」

明星「なぜか起きたこと全部知ってて、帰ったら事細かに追及される気持ち、わかる?」

湧「ごめん……」


~買い物

京太郎「今日はミンチカツ。その材料とキャベツと、味噌汁は――」

春「明日は魚。あ、海老が安い……あとは、お弁当の献立と――」

小蒔「お菓子買ってもいいですかっ」

春「ダメです」

京太郎「夕飯入らなくなるから、また今度な」

小蒔「うぅ……」

京太郎「その代わり、夕飯にこまちゃんの好物を一つ、入れてあげよう」

小蒔「わぁい!」

春「……またそうやって、姫様を甘やかす……教育によくない」

京太郎「いや、大会中の永水もこんな感じだったって」

春「私たちは、姫様として敬ってるだけだから」

京太郎「お、俺のも……」

春「全然違う」

京太郎「はい……あ、あの、こまちゃん、そういうことだから……」

小蒔「なにがいいでしょうか……揚げ物をするなら、しょうが天……ううん、やっぱり甘いもの……ああ、でも――」

京太郎「………………」

春「今回だけは許す」

京太郎「……だな」


~滝見家

滝見母「まさか姫様に足をお運びいただいているとは、つゆ知らず……お出迎えできず、申し訳ありませんでした」

小蒔「いえ、今日は私用ですから大丈夫です」

滝見父「ごゆるりとしていかれるとよい。宗家には私から連絡しておきますので。帰りは車をださせましょう」

小蒔「お願いします――と、言いたいのですが、その……きょ、京くんに送っていただけたら、私はそれで……」

春「……姫様、それは無理。さすがに問題になる」

小蒔「……そうですね。いましばらくは、我慢しましょう」

京太郎「悪いな、こまちゃん――っと、えっと……こ、小蒔先輩」

滝見母「ふふっ……うちにいるときくらいは、構わないわよ」

滝見父「それに京太郎くんが謝ることではない。まぁ、いまは扱いに迷っているというのが現状でな……直に落ち着くだろう」

京太郎「はい……では、ご挨拶はこの辺にしておいて、とりあえず食事にしましょうか」

小蒔「はい、そうしましょう!」

春「いただきます……」ザクッ

滝見父「ふむぅ! なんと見事なミンチカツ……」

滝見母「た、ただのミンチカツじゃないわ、これは――中に卵が!」

京太郎「ふふふ、スコッチエッグ風にしてみました」

春「これは……半熟の、煮卵……?」

京太郎「ちょっと違うな。味付け冷凍たまごというか……そうすることで、カツを揚げても卵が半熟で仕上がってくれる」

京太郎「で、牛ミンチへの味付けも最小限に抑えられるから――肉の旨味が、しっかりと味わえるってわけだ」

小蒔「ご、ご飯が進みます、止まりませんっ」ザクザクザク

京太郎「こまちゃん、野菜もバランスよく、な? キャベツもそうだけど、秋茄子もいいのがあったからな」

小蒔「はい!」

春「むー……姫様にばっかり構って……」

滝見父「はっはっは、賑やかで結構!」

滝見母「しっかり食べていってちょうだいね。姫様に満足なお食事をご提供できなかったと知れたら、お叱りを受けてしまうわ」クスクス

小蒔「はい! ありがとうございます!」モキュモキュ

京太郎「……練習中に、寝ちゃわないようにな」


~夜練

京太郎「やっぱり寝てるじゃないか(嘆息)」

春「姫様、毎日頑張ってるから……」

京太郎「……まぁ、それはわかってるけど」

春「……京太郎は、たぶんわかってない」

京太郎「え?」

春「学校でも部活でも頑張ってる。でも姫様が本当に頑張っているのは、宗家での姫様の立場」

京太郎「…………ああ、そうか」

春「気を張ってるということはないと思う。だけど、姫様としての振舞いは、やっぱり凛としてないとだから」

京太郎「こまちゃんには難しいよな……そりゃまあ、頑張ってるか」

春「……撫でてあげて」

京太郎「…………ん?」

春「撫でて、労ってあげてほしい。私にはなにもできない、だから京太郎がしてあげて」

京太郎「…………いや、でも勝手に女性の頭に――」

春「私が許す」

京太郎「えぇー……いや、いい。俺の責任で、いつも頑張ってるこまちゃんにご褒美だ」ナデナデ

小蒔「ふみゅぅ……」スヤァ

春「ちなみに……どうやって責任取るの?」

京太郎「えっ」

春「寝ている女性、ましてや姫様の御髪を撫でて、どう責任取るの?」

京太郎「や、あの、そ、それは……マジで?」

春「大丈夫、たとえ話。だから聞かせて」

京太郎「お、脅かすなよ……んー、けど……まぁ俺にできることなんて、傍に仕えることくらいだ。許してもらえるまで、雑用して尽くすかな」

春「一生、かかっても?」

京太郎「う……ま、まぁお姫様相手なら、そういうこともあるか……そうなったら、そうするしかないだろ」

春「……ここに残って、骨を埋めることになっても、いいの?」

京太郎「……真面目なこと言うぞ?」

春「はい」

京太郎「――滝見の家で世話になって、改めてこの土地で暮らして、思ったことがある」

京太郎「俺はこの土地のことが、思ってたより大好きみたいだ」

春「っ!」

京太郎「だから――もし、ずっとここで暮らすことになっても……それはそれで、困らないと思ってるよ」

春「そう、なの……?」

京太郎「まぁ、あれだ……春がいつも助けてくれてるしな。俺が一生ここで暮らすことになっても、助けてくれよ?」

春「助ける。なにがあっても、京太郎を支える……京太郎がそこまで思ってくれていたなら、私も全身全霊で応える」

京太郎「大袈裟だっての。でも――それなら、ここで暮らしていくのもいいかもな」

春「嬉しい……あと、ごめんなさい。変な話をしてしまって。姫様はたぶん怒らないし、宗家も……そのくらいじゃ、たぶん……」

京太郎「たぶんばっかりだな、おい」

春「だ、大丈夫……なにかあったら、守るから……」

京太郎「……ああ、頼んだ。心強いよ」ポンッ

春「…………えへへ」///

小蒔「………………」


~小蒔ちゃん起きる

小蒔「ふぁ……すみません、寝てました……」

京太郎「大丈夫だよ、いつものことだし」

小蒔「そ、そんなことはっ……ない、と……思い、ますけど……」モジモジ

春「そろそろ御帰宅したほうがよろしいかと」

小蒔「そんな! 特訓してません!」

京太郎「……明日、朝練でもするか?」

小蒔「やります!」

春「急すぎるから、私たち三人だけで、ということなら」

小蒔「では、それで!」

春「では――明日はいつもより30分早く、学校に行きましょう。それで、今日お預けにしてた半荘一回……に、ギリギリ足りる?」

京太郎「妥当なとこだな。じゃあこまちゃん、寝坊しないように――あと、朝の仕事とかで難しいなら、無理しなくていいからな?」

小蒔「京くん……はい、ありがとうございます。大丈夫です、絶対に行きますから」

春「では、その予定にしておきましょう。姫様、お支度してください」

小蒔「はい。春、車まで付き合ってくれますか?」

春「もちろんです」

京太郎「じゃあ俺も――」

小蒔「京くんはだめです」

京太郎「」

春「女の子同士の話があるから」

京太郎「……ごゆっくりどうぞ」


~ガールズトーク

小蒔「……気づいてましたか?」

春「寝言が止まってましたので」

小蒔「え!? いつもなにか言ってますか!?」

春「たまに……まぁ静かすぎたので。京太郎は気づいてないと思います」

小蒔「うぅ……ま、まぁいいです。それより、いくつか春に命令です!」

春「はい」

小蒔「……お、お買い物は、これからも自由にしていいです。二人で行くのも、仕方ないことですから」

春「ありがとうございます」

小蒔「でも……買い物の次の日は、特訓の日にしましょう」

春「はい」

小蒔「それと……私も、まだ諦めませんから」

春「……私も、確かな気持ちはもらってません。姫様も、霞さんも、巴さんや初美ちゃん、明星、湧も同じです。みんな、同じ」

小蒔「それでも………………いえ、そうですね。では、恨みっこなしで頑張りましょう」

春「はい。京太郎がこの地に残ることは、私的にも公的にも、得難い利益になります」

小蒔「そうですね……あの、いざというときでも……たまになら、シェアできませんか?」

春「……同じ条件をいただけるなら、呑みます」

小蒔「…………この件は、またゆっくりと話し合いましょう」

春「御意」

小蒔「春も貫禄がでてきましたね。いい部長さんになってくれそうです」

春「姫様も、すごくしっかりしています……去年までとは、全然違います」

小蒔「……京くんには、どれだけ感謝しても足りませんね」

春「そのために、尽くしています……いつも、これからも」

小蒔「お願いしますね、春。それでは、また明日……おやすみなさい」

春「おやすみなさい、姫様」


~ガールズトーク帰り

春「おまたせ」

京太郎「お、おう……あの、なんか悪いことしたか、俺?」

春「うん」

京太郎「」

春「一緒にお風呂に入る準備、できてない」

京太郎「入らねーから!」

春「冗談。大丈夫、本当に女の子同士の話があっただけ。ガールズトーク」

京太郎「な、ならいいけど……髪のことで怒ったのかと思ってな」

春「っ…………寝てたから、平気」

京太郎「ん……ああ、そうだったな。なら、心配しなくてよかったか」

春「うん、そう」

京太郎「さて――それじゃ、明日の朝もちょっと早くなったし、さっさと風呂入って寝るか」

春「うん。先に行ってて、支度したら行くから」

京太郎「俺はあとで入るんで、ごゆっくり!」


とりあえずここまで!
このあとの分が、3章(仮)分くらいしかできてないので、今度こそ書き溜めるまで無理かな
もう3章分くらい書けたら終わりの予定

おかしい、あと2割ほどのはずなのに、先が長い
では、よいお年を


~二年目9月二週水曜

~学校、部活

京太郎「――それです、ロン」

霞「……ふぅ。さすがね、京太郎くん」

京太郎「いえ、いまのは運がよかっただけです」

霞「そう? まぁ、それだけではないと思うのだけれど――それじゃ、感想戦を済ませましょうか」

京太郎「はい」

霞「明星、湧。それぞれに感じた問題点はあるかしら」

明星「は、はい! その、色々とありすぎるというか……」

湧「お二人に振り回されっぱなしで、どうにも……」

京太郎「……俺としては、二人とも委縮しすぎかなって感じたかな。普段は、もう少し伸びやかにやってると思うんだけど」

明星「えっ」

霞「あら……そうなの?」

湧「そ、そんなことは、けして!」

霞「そんなことって、どんなこと?」

湧「」

京太郎「あ、あの、霞さん? 二人も、霞さん相手に委縮してたわけではないと――」

霞「私もそんなことは言ってないわよ?」ニッコリ

京太郎「」

明星「違うんです、お従姉さま! その、えっと、試合が近いので、少し気が張っているだけでして、はい!」

霞「……まぁ、そういうことにしておきましょうか」

京太郎「――ん? ちょ、ちょっと待った……試合って、なにかあるのか?」

明星「やだなぁ、京太郎センパイ、なに言って――あ」

霞「……ちょっと、春ちゃんと小蒔ちゃんを呼んでちょうだい」

湧「は、はい! ただいま!」



霞「――で、京太郎くんが知らないみたいだったけど?」

小蒔「……春が言ってるものかと」

春「姫様が言ってるものかと」

京太郎「いや、俺がスケジュール把握してなかったのが悪い……で、試合ってなんなんだ?」

霞「今週末に、隔年開催のちょっとした地方大会があってね。それに今年は永水も参加するのよ」

京太郎「なるほど――道理で、去年はなかったわけです」

小蒔「ごめんなさい。お伝えするのが遅くなって……」

春「私も。家にいると一緒にいるのが楽しくて、事務的なお話はしなくなっちゃう」

霞「…………」

小蒔「…………ずるい」

京太郎「んんっ……と、とにかく、それでみんな集中してたんだな。コマちゃんも、コクマに向けてだと思ってたんだけど、そっちも出るのか」

小蒔「はい! 実戦練習にもなりますし、三年生も参加できますから」

京太郎「なるほど……となると、今日からは試合に向けた調整も考えたほうがいいか……」

霞「うーん、そこまで重く考えなくてもいいわよ? お祭りみたいなものでもあるのだし……」

京太郎「そうですか? まぁでも、あまり根を詰めるのもなんですから、練習時間も長く取りすぎないようにはしておきましょう」

小蒔「はい!」

春「……あ」

京太郎「お? どうした?」

春「……ううん、いい。あとで言う」

京太郎「そうか? なら――いや、ちょうどいいし、ちょっと休憩にしようか。霞さん、いいですか?」

霞「そうね――なら、支度をお願いできるかしら」

京太郎「かしこまりました。あ、明星ちゃん……それに湧ちゃん、手伝ってくれるか?」

明星「はい♪」

湧「かしこまりました」

京太郎「それじゃ、お茶の用意を頼む。俺はお菓子のほうを――」

霞「よろしくね。その間に私は、部長と副部長にお説教しておくから」ゴゴゴゴゴゴ

小蒔「わ、私もお茶のお手伝いを!」

春「私も」

霞「ダメ♪」

小蒔・春「」

京太郎「な、なるべく穏便にお願いしますね……じゃ、行こうか」メソラシ

明星「了解です!」タキアセ

湧「それでは失礼します」ソソクサ

小蒔・春「」


~部活後、帰宅

春「……ひどい目に遭った」

京太郎「う……すまん」

春「ううん。伝え忘れたのが悪い……京太郎と一緒にいすぎて、ちょっと油断が出てた」イマシメ

京太郎「まぁ、気をつけるに越したことはないけど……あんまり肩肘を張らないようにな。あ、それと――」

春「あのとき、言いかけてたこと?」

京太郎「ああ。なにか思いついた感じだったけど、試合のことか?」

春「そう。ただ、試合内容とかじゃなくて……京太郎にお願いがある。というより、賭け?」

京太郎「む……春がそういうことを言いだすのは珍しいな。どんな賭けだ?」

春「ん。永水が決勝に残って、私に回ってきたとき、そこで飛ばして勝てたら――」

京太郎「勝てたら?」

春「次の日、一緒におでかけしたい」

京太郎「…………」

春「だめ?」

京太郎「いや……まぁ、その……いいんじゃないか?」ポリポリ

春「よかった……」ホッ

京太郎「俺も、せっかく一緒に住んでるんだし、春とどっか行けたら――とは思ってたからな。ただ……」

春「京太郎に誘われるのを待ってたら、今月が終わっちゃうと思って」

京太郎「ごめんなさい! いや、その、なかなか機会が……」

春「冗談。でも、あくまでご褒美として……だから」

京太郎「……ああ、わかった。飛ばせたらってことで、約束だ」スッ

春「ん……」ユビキリー

京太郎「その……あんまり力まないようにな」

春「わかってる」

京太郎「……あと、無理な打ち方はするなよ? 飛ばせなくても、次は……改めて俺のほうから誘うから、な?」ポンッ

春「本当?」

京太郎「た、たぶん……」

春「……そんな風に言われたら、わざと負けそう」クスッ

京太郎「げっ……言わなきゃよかったか?」

春「ううん、大丈夫。ちゃんと打つし……勝てなくても京太郎が誘ってくれるって思えば、リラックスできる」

京太郎「そうか。ならよかった」

春「……ちゃんと、誘ってね?」

京太郎「……善処します」

春「はい。よろしくお願いします」ニコッ


~二年目9月二週連休初日

~とある競技会場

京太郎「なるほど、こういう大会……というか、イベントみたいな感じか」

春「そう……だから、半分はお祭り」

霞「元は高校生主体の大会だったのだけれど、子供たちも集まるようになって、プロも噛んできて、規模が大きくなったのよね」

初美「おかげで参加校も増えて、ふるいにかけるのもなんだかなーってことで、全チーム参加ってわけです」

明星「トーナメント一つに16チームが参加して、初戦を一位で抜ければ二試合目に進出、そこでトップなら優勝です」

京太郎「――え、二試合しかないのか?」

湧「トーナメント自体がいくつもありますから、優勝校は多いんですけどね」

京太郎「まぁ、九州全部から集まってるわけだしな……そうか、二試合か……」

小蒔「私たちも、目指せ優勝、です!」フンッ

京太郎「ん……ああ、そうだな。個人戦はないから、俺はエントリーしてないけど、応援は任せとけ」

明星「勝ったね。お風呂入ってくる」

湧「選手でしょ、あなた……というより、すでに周囲からの視線がすごいです……」

初美「……京太郎、このお面つけててくださいー」

京太郎「なんですか、このごっついお面は……」

霞「そのほうが悪目立ちしちゃうんじゃない?」

京太郎「騒ぎになるようなら、適当に隠れますから……なんか芸能人みたいになってるな……」

小蒔「むー、まんざらでもない顔してますねっ」

京太郎「い、いや、そんなことは――お、あれが子供麻雀教室か」

小蒔「あ、話を逸らしました!」

京太郎「そ、そういうんじゃなくて……って、なんかすごい人気じゃないか?」

春「すでに大盛況……あれ?」

霞「……見なかったことにしない?」

初美「無理ですよー、気づかれてます」

明星「しかもこっち来ますけど」

湧「ニッコニコですね、ニッコニコ」

良子「おや、これはこれは。私の可愛い弟子に従妹、それに永水女子の麻雀部ではないですか。お揃いで……今日は大会に出場を?」

春「白々しい……」

小蒔「驚きの白さです」

京太郎「ご無沙汰してます。良子さんは、麻雀教室の先生ですか?」

良子「こうしたイベントで、地元――出身地の活性化を図るのも、プロの務めですからね。あとは、子供たちに麻雀の楽しさを伝えるのも」

京太郎「とても素晴らしい考えだと思います」

良子「ふふ、そうでしょうそうでしょう。ああ、すっかり捻くれた従妹や後輩たちと違って、我が愛弟子は素直でいい子ですね、よしよし」ハグッ

京太郎「ちょおっ!?」

霞「……ご無沙汰しております、良子さま。ですが良子さまも顔の知られたお方ですし、このような軽率な振舞いは慎まれては?」ニコッ

良子「弟子との抱擁も、師匠としての務めなので」ギュー

京太郎(おほぉ、おもちが……)

春「……離れて」グイグイ

小蒔「そ、そうですっ、皆さん見てらっしゃいますし!」グイグイ

良子「おや、そうですか? では見せつけてやりましょうか」ギュー

「おー、なんだなんだ!」
「エッチか! エッチすんのか!」
「いや、シュラバだよ、シュラバ!」
「ニンジョーザタに発展すんのか、これ!」

明星「うわぁ……」

湧「擦れた子供たちですね……」

「プ、プロになれば、あんなかっこいい人と付き合えるの……?」
「誰よ、プロ雀士は婚期が遅れるとか言ってたの!」
「私も教室参加する! あのせんせーに教えてもらいたい!」
「イケメンを捕まえる方法、だね!」

明星「oh……」

湧「世も末だわ……」

利仙「まぁまぁ、そう仰らずに。日頃が平和なものですから、刺激に飢えているのですよ」

明星「そんな子供イヤですよ……」

湧「そもそも、平和な県ばかりでもないし――って!? あなたはっ……」

京太郎「あ、利仙さんじゃないですか」

霞「なんですって!?」キッ

初美「はいはい、落ち着くですよー」

利仙「お久しぶりですね、京太郎さん。戒能プロも、本日はよろしくお願いいたします」

良子「利仙、早いですね」

利仙「いえ、戒能プロほどでは……永水の皆さんも、お久しぶりです。大会のほう、どうぞ頑張ってくださいませ」

霞「言われなくとも勝つわよ、永水は!」

小蒔「か、霞ちゃん、激励してくださってるんですから……」

京太郎「ありがとうございます、利仙さん。利仙さんも、麻雀教室ですか?」

利仙「はい。あとは母校の応援にと――あの、戒能プロ? わたくしもよろしいでしょうか?」

良子「…………まぁよいでしょう」

利仙「ありがとうございます」

京太郎「え、あの――おほっ!?」

利仙「戒能プロが前から抱きつかれていますので、背中のほうを失礼いたします」ムギュ

霞「ごるぁあああああああああああああ!!!!!」

明星「ああ、お従姉さまが!」

湧「人に見せられない顔してますね……」


初美「と、止めたほうがいいですかねー、これは――」

春「そう、止める……その辺にしておくべき、そうすべき」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

小蒔「藤原さん……じゃない、えっと……ふ、藤原プロ! 離れてください! 良子さんもですっ!」

利仙「お断り申し上げます」ニッコリ スリスリ

良子「ミートゥー」ギュー ムニュムニュ

京太郎「やややややや、やばいですって、この状況――ほ、ほら、マスコミとかも来てますしっ……」ムクムク

良子「ほう、望むところではないですか」

利仙「早めに来てくださるとありがたいのですが……」チラッ

「おい、あれ! 戒能プロと藤原プロだぞ!」
「なにやってんだ……お、男に抱きついてる!?」
「おお、シャッターチャンス――って、あれ?」
「ああ、なんだ。派遣執事か……」
「うーん、目新しいネタにはならないな……」

明星「マスコミが仕事してない!」

湧「いや、むしろいい仕事なんじゃ……」

良子「シット! 使えない連中ですね……」

利仙「京太郎さん、普段いったい、どのようなことを……」

京太郎「お、俺はなにも……いや、本当に――本当だからな!?」

春「……ふーん」

小蒔「そーですかー」

初美「さて、そろそろ受付に向かうとしましょうかー」

明星「あ、えっと……そ、それでは、失礼します」

湧「須賀さんも、ほどほどにして、いらしてください」

霞「女狐に噛まれないよう、気をつけてね」

京太郎「ほっとかないで! お、俺も行きますので、またあとで――し、失礼しますっ」

良子「おっと……ふむ、いまの身のこなし……」

利仙「スルリと抜けられてしまいましたね」

良子「滝見の小父さまが、ああした体捌きも得意だったはず……すでに相当の手合わせをしているようですね……」

利仙「難しい顔をされていますが?」

良子「……京太郎が春の家に身を寄せている、というのは本当でしたか……これはこまめに足を運んで、監視すべきかもしれませんね……」ブツブツ

利仙(あ、これなにか企んでるときですね……そっとしておきましょう)


~会場ロビー

京太郎「くそっ、はぐれちまった……」

煌「おや――京太郎くん、お久しぶりですね」ポンッ

京太郎「え……煌さん! ということは、新道寺も参加されるんですか?」

姫子「そん通りよ!」

朱里(友清)「まぁ、三年は引退しとーけん、私ら主体ばなっとるけどな」

京太郎「では、お二人は応援に?」

姫子「兼マネージャー、いうとこやね」

煌「とはいえメインは、お祭りの雰囲気を楽しむことですよ。姫子は特に、コクマの前に息抜きをさせておきたいので」

朱里「そっちも、お姫様はそがん立場やなかか?」

京太郎「あー……コクマに向けて練習したいってことで、参加予定だよ」

姫子「ふぅん? あの神代小蒔なら、必要なかち思うとやけど……」

煌「そういうことなら、姫子も参加しておけばよかったですね」

姫子「まぁ今回は研究に徹しとくちゅうことで……そいよか京太郎、久しぶりよ!」ダキッ

京太郎「あ、はい……お久しぶりです。朱里も、久々だな」

朱里「う……そやね、えーっと……ちゃんと言うとらんかったと思うけど……全国優勝、あと春夏連覇、おめでとう」

京太郎「おう、サンキュ」

姫子「二年も一年も会いたがっとうし、ちょっとうちらのとこに寄ってかんね?」

煌「……確かに喜ぶとは思いますけど、いまの京太郎くんは永水の子ですから。ね?」

京太郎「……そうですね。申し訳ありませんけど、試合前は遠慮しておきます」

姫子「そ、そがんかぁ……」

朱里「トーナメントは別枠に入っとるけん、当たらんしええんやなか?」

姫子「そや!」クワッ

煌「姫子……あのねぇ――」

京太郎「ま、まぁまぁ……でも、確かにそうですね。ただ、うちも準備がありますから――あ、そうだ」ゴソゴソ

朱里「え」

姫子(な、なんもない空間に手を!?)

煌(すばら!?)

京太郎「これ――糖分補給のために作ったクッキーです。差し入れってことで……よろしかったら、皆さんでどうぞ」

煌「こ、これはどうも……ですが、永水の皆さんの分は?」

京太郎「そっちは別に作れますし、持ってきたのはクッキーだけじゃありませんから」

朱里「ピクニックか! なんでそんなお菓子ばっかり持ってきとうよ……」

姫子「はぁ、やっぱり一緒の学校がよかぁ……」ウルッ

煌「はいはい、過ぎたことは仕方ないでしょう。私たちもそろそろ行きますよ……京太郎くん、永水の皆さんにもご武運を」

京太郎「はい、伝えておきます。では、俺もこれで――」

朱里「また、その……試合後に、会えたら……会おな?」

京太郎「おう、そうだな」

姫子「きょ、京太郎ぉ~~~~~~っ! またっ、またねぇ~~~~~~っ!」ブンブン

京太郎「はい、また。それでは、失礼します」


~永水集合場所

京太郎「お、遅くなりました……すいません、はぐれてしまって」

春「京太郎!」ビュンッ

小蒔「し、心配しましたぁっ……」トテトテ

霞「ごめんなさいね、意地悪な態度を取ってしまって……あの二人が絡むと、つい――」

京太郎「いえ、こちらこそ……あと、新道寺の皆さんにお会いしまして。お互い頑張りましょうって、激励をいただいてきました」

初美「ご苦労さんですよー」

明星「こっちは受付も終わりまして、あとは試合時間待ちです」

湧「これは須賀さんの入場証です。一応、選手の控室があるエリアにも入れるようになりますので」

京太郎「おう。ありがとう、湧ちゃん」

湧「い、いえ……」

霞「それじゃ、全員揃ったことだし、行きましょうか。九州赤山高校には負けないように!」

京太郎「…………ああ、利仙さんとこの」

明星「どうしてこの二校で当たるんでしょうね。鹿児島のトップ2なのに」

湧「抽選だから、ある程度は運だよ」

小蒔「腕が鳴ります!」フンッ

春「京太郎、見ていて」キリッ

京太郎「ああ。心配はしてないけどな、春は強くなったし」ナデナデ

春「ん……」ニヘー

霞「……京太郎くん、春ちゃんばかり甘やかさないように」ゴッ

京太郎「す、すいません」ヒエッ

霞「……撫でるなら、全員撫でて鼓舞してちょうだい」

小蒔「霞ちゃんナイスアイデアです! お願いします!」

京太郎「えぇ……まぁ、はい」ナデナデ

明星「次、お願いします!」

湧「……わ、私はいいです」

初美「じゃあ代わりに私ですよー」

霞「では、最後は私が――」

京太郎(もう一人、二年がいるんだけど……お前もする?)チラッ   ※並び 小蒔→二年A→春→湧→明星

二年部員(私のことは気にしないで! というか、霞さまに目をつけられたくないの!)パチパチ

モブ子(この子もこう言うとるわけやし、ええんやない?)バッチーン

京太郎(なんで関西弁やねん、ってかなんでいるんだよ)ジロッ

霞「……目と目で会話しない」

二年部員「ひっ」

京太郎「か、霞さんも、撫でさせていただきます!」ナデナデ

霞「あらあら♪ なんだか昔に返ったみたいで、懐かしいわねぇ」

京太郎「ふぅ……さて、それじゃ行きましょうか」


~控室?(大部屋、複数校と一緒)

ザワザワ ガヤガヤ ワイワイ

京太郎「まぁ、この規模ならこうなるよな……どうぞ、お茶が入りました」

春「ありがとう……いい香り。レモングラス、ミント、ハイビスカス、ローズヒップ……ジンジャー、アップル、パイン……あとはわからない」

京太郎「いい線いってる。あとはダンデリオン、ジュニパーベリー、フェンネル、パパイヤビッツ、サワーチェリー、グレープ、ラズベリー、ローズマリー、ステビア、マリーゴールド、サフラワーだな」

初美「魔法かなにかですかー?」

京太郎「全部ハーブです。フェンネルはダイエット効果もあるそうで、これからの季節にピッタリかと」

霞「へぇ……」コク

京太郎「他意はないです!」

霞「ん、おいしいわ」ニコッ

京太郎「よ、よかったです……あ、これはお茶請けにどうぞ。ドライフルーツを使ったマドレーヌです」

明星「う、おいしい……これはまた、食べ過ぎて太っちゃうかも……」

湧「あ、明星……」

明星「あ」

霞「………………」

明星「違うんです、お従姉さま!」

「ほ、本当にやってる、お茶会……」
「派遣執事って、本当にあんななんだ……」
「ごくりんこ……」

京太郎「……よろしければ、皆さんもいかがですか? いまお席をご用意しますので」

「椅子!? テーブル!?」
「どこから……」

京太郎「大勢で観戦したほうが、盛り上がりますからね……さ、どうぞ遠慮なく。お嬢様方」ニコッ

『んはぁっっ!!』ビビクンッ

湧(……これは勝てそう)

明星(男性耐性のない箱入り麻雀選手じゃ、戦意は削がれる一方でしょうねぇ!)

初美「……あの、姫様がいまだかつてない迫力で試合してるんですが、こっち見えてるんですかねー?」

霞「午前と午後に分かれているとはいえ、二試合あるのだから、あまり飛ばしすぎないほうがいいのだけれど……」

京太郎「おかしいな、一回戦は素の状態で打とうって言ってたのに……寝てる?」

春「寝たものは仕方ない。二回戦は私たちでなんとかする……ということで、おかわり」

京太郎「ご用意しております、お嬢様」

春「ありがとう……あと、中堅に回るようなら、髪を――」

京太郎「ん、結い直しだな、了解。なら、先に梳いておくか。いったん解くぞ?」

春「はい」サラッ

京太郎「……やっぱ綺麗だなー、春の髪は」

初美(ハーブティーがゲロ甘になってきたですよー)

霞(ああっ、小蒔ちゃんの打ち筋が激しくっ……)

湧(これは飛びそうですね……)

明星(はい、飛んだ)


~日程終了後

京太郎「優勝おめでとう」

小蒔「ありがとうございます!」

春「決勝なのに、湧と明星まで回せなかった。ごめん」

湧「いえ、問題ありません。今大会は、コクマに出られるお二人がメインでしたから」

明星「京太郎センパイのお弁当も食べられたので、それだけで十分です」

初美「……はるる、こんなに強かったですかー?」

霞「……髪を結び直したのと、なにか関係あるのかしら」

春「あります」

霞「そうなの!?」

春「――愛の力」キリッ

初美「じゃ、暗くなる前に帰りますかー」

小蒔「晩御飯、食べて帰りましょう!」

湧「屋台も出てますし、買って参ります」

明星「こういうのはみんなで回るのがいいんだよー」



春「……むぅ」プクー

京太郎「……あー、その……いや、本当によくやったと思うぞ?」

春「愛の力」キリッ

京太郎「…………なぁ、あの約束なんだけど」

春「決勝で、飛ばして、勝った」

京太郎「う……けど、あの……二試合しかないってのは、ここにきて初めて聞いたわけで……」

春「聞かれなかったから」

京太郎「うぐ……確かに、確認しなかったな。それに二試合だろうと十試合だろうと、運要素の強い麻雀で飛ばすのは難しいし……」

春「頑張った」ムフー

京太郎「……どっか、行きたいところあるのか?」

春「京太郎に考えて欲しい」

京太郎「……なら、また海でも行くか。こっちの海って行ったことないし」

春「……新道寺で行ってた」

京太郎「か、鹿児島では行ったことないから……」

春「ふふ」

京太郎「……嫌か?」

春「ううん。京太郎が誘ってくれたなら、どこでも行く、喜んで」

京太郎「……そっか」ポリポリ

春「うん、楽しみ」

京太郎「――あ、そういやいまさらだけど、家の仕事とかは大丈夫なんだよな?」

春「平気。じゃあ、改めて約束……ゆーびきーりげーんまーん」

京太郎「うーそつーいたーら……」

春「……京太郎の持ってきた本、全部すーてるー……指きった」

京太郎「やめて! いや、持ってきてないけど!」

春「なら、平気?」

京太郎「う……お、おう、そうだな……っていうか、約束は破らないしな」ナデナデ

春「うん……ありがとう」

京太郎「どういたしまして……そんじゃ、俺らも屋台行くか」

春「はい」キュッ


よし、今月分終わり!
次はまた、もう一章書けたときに


~二年目9月二週連休二日目

~海 デート2回目

京太郎「うーん、波が高くなってきたな」

春「そろそろ帰る?」

京太郎「まぁ……そうだな、そうするか。ある程度は釣れたし、夕飯には十分だろ」

春「よかった……泳げなかったのは残念だけど」ピラッ

京太郎「スカートをめくらない!」

春「水着だから平気」

京太郎「スカートをめくるのは平気じゃないから!」

春「京太郎になら平気。下から覗いてもいい」ピラピラ

京太郎「………………」

京太郎「い、いやいや……春、恥じらいをもってくれ。心配になるから」

春「京太郎にしかしない……」

京太郎「えーっと……は、恥じらってるほうが、その……可愛いぞ?」

春「!」

京太郎「そういうことだから、こういうのはあんまり――」

春「恥ずかしい、けど……京太郎のためなら……」モジモジ ピラッ

京太郎「そういうことじゃなくて!」

春「せっかく京太郎がくれた水着なのに、一回しか見せてないから、見せたかった」

京太郎「う……ま、まぁあれだ。そのうちまた、時期がきたらな……なんだったら、温水プールにでも行けばいいし」

春「……嬉しい」

京太郎「ん?」

春「約束……あの……次は、京太郎から誘ってくれるって……」

京太郎「ああ――そうだったな。なら、来週にでも行ってみるか?」

春「行く。でも温水プールなら、お風呂でも同じ……いっそ家で、水着に混浴――」

京太郎「よし! その辺の計画のためにも、早いとこ帰るか! さ、支度するぞー」

春「はい」

京太郎(ふぅ、危ないところだった……しかし、なんというか……最近の春は、いままでにも増して無防備というか……)チラッ

春「…………(黙々と作業中)」

京太郎(……懐かれてるというか、その……意識させられるというか、なんというか……)

春「どうかした?」

京太郎「っ……いや、別に――ん?」

春「ん?」


京太郎「なぁ、春……あれ――」

春「――っ! 京太郎、これ見て!」グイッ

京太郎「うおっ!?」グリンッ

春「……落ち着いて、あっちを見ないで。大きな声もださないように」

京太郎「あ、ああ……なんか、やばいやつか?」

春「京太郎が見たのは倒れた石碑? それとも――」

京太郎「…………子供だ」

春「絶対に見ちゃダメ。このまま、なにもなかったように支度して、見ないように帰る……できれば意識もしないで」

京太郎「……わかった。その、帰ったあとは……」

春「お父さんたちに伝えれば、対応する人たちが動いてくれる。私たちは無事に帰れば大丈夫」

京太郎「わかった……そんなにまずいのか?」

春「よくて死ぬ。悪くて――」

京太郎「いい、言わなくていい。荷物はまとまったし、急いで帰ろう」

春「ん」

京太郎「手、繋ごう」

春「ん」キュッ

 京太郎の目に見えたのは、倒れた石碑の上に座る、年端もいかない少年だった。
 すでに暗くなった海辺に一人でいる、そんな少年に違和感を覚えたのだが――いわゆる、見えてはいけない相手だったらしい。

京太郎「……これ、春のおかげってことだよな」

春「見えるようになっただけで、見分け方を教えなかった私のミス。反応したらだめなのは教えてたのに」

京太郎「……春がいてくれてよかったよ」

春「ごめんなさい」

京太郎「謝らなくていい。あと、なにかあったら指示してくれ……絶対に、春だけは守るから」

春「私より、京太郎は自分を大事にして。私は一人でも――」

京太郎「死ぬのがマシって相手に、なにもできないだろ……それより、スマホとか通じないのか?」

春「影響が出て、こっちの察知が知られたらおしまいだから……」

京太郎「わかった」

 黙々と歩く二人の視界に、少年は映っていない。
 けれど強い視線は横から、そして歩くうちに斜め後ろから、痛いほどに感じられる。
 知らず、握り合う手には力がこもり、じっとりとした汗が滲んでいた。

京太郎(いざとなったら、飛雷神……いや、神威で飛ぶか? けど、二人で飛んだことはないからな……)

春「――京太郎」

京太郎「お?」

春「なにか方法があるなら、一人でも逃げて。二人で逃げられないなら、一人でも帰らないと大変なことになる」

京太郎「……ああ、わかってる。けど、いきなり動いたら気づかれるだろ。しばらくは普通にしてよう」

春「ん……ありがとう」

 春の声と手の平の温もりが、心に余裕を与えてくれていることに、京太郎は気づいていた。
 だが、安堵しているわけにはいかない。
 視線は斜め後ろから真後ろへ――それも、すぐ後ろに移動し、張りついてきたからだ。

春「…………」ギュッ


 春の手に力がこもったことで、京太郎は察することができた。
 ここからは彼――子供についての話はできないこと。
 会話をするなら、他愛のない話に限るということ。

京太郎「ゆ――夕食、手をかけないとな」

春「うん。お魚屋さんに寄る?」

京太郎「いや、俺が捌くよ。タコは時間がかかるだろうから、明日に回すけどな」

春「じゃあスズキとサヨリ」

京太郎「ああ。あとはキスだな」

春「キス」

京太郎「スズキは香草焼きにしよう。で、サヨリでお吸い物と刺身――炊き込みご飯もいいかな」

春「キス」

京太郎「キスは天ぷらかな、やっぱり」

?「キス」

京太郎「あとは唐揚げなんかも――え」

春「京太郎――」

?「キス、しないの?」

京太郎「しねぇよ! あ――」

?「…………」クスクスクスクス

春「京太郎、逃げて!」

 ドクンッ――と鼓動が跳ねる。
 そのとき聞こえた声は、京太郎のすぐ耳元だった。
 振り返らずにはいられない位置と距離、そこにやった視線に移り込む、少年の真っ赤に裂けた口――。

春「京――」

京太郎「春、離れるな!」

 強く手を握り締めた瞬間、京太郎のチャクラが二人を包み、その身体を移動させようとする。

 傍目には一瞬のワープと見える術式だ。
 実際に、時間も経過することはない。
 けれど術者にとっては、異空間のようなトンネルを経て、別の場所へ向かうような移動方法である。

 その空間に他者を伴うのは初めてのこと、どんな異常が起きるかはわからない。
 けれど――。

京太郎(あれの気配はついてきてない……なら、なんとか……家まで、帰れれば――)

 これなら逃げ切れる、であればやるしかない。
 その一心で京太郎はチャクラを練り、自分と春を自宅へと飛ばす。

京太郎(っ……ぅっ、おぉ……これは、きつ……いっ……)

 チャクラの消耗は二倍どころではなく、秒単位で数十倍もの量が削られていた。
 視界が眩み、霞み、意識が遠のきかけるのを必死に繋ぎ止め、京太郎は転移先を目指す。

 ここで意識を失えば術は途切れ、二人はあの場所へ取り残される。
 あのおぞましい人外のいた場所で、無責任に気絶し、春を一人にしてしまうことになる――。

 そのことへの恐怖が京太郎の意識を繋ぎ止め、暗がりを抜けさせ、見慣れた光景へと誘っていた。

京太郎「――がっっ! はぁっ、はぁっ……やった、か……?」

春「あ……えっ!? なんで、家に……きょ、京太郎……?」

 春の戸惑った声が、心に安堵を与えてくれる。
 狭まり霞んだ視界に映るのは、いつしか見慣れていた門構え、古いながらも立派な和風建築。

 なんとか無事に、彼女を連れ帰ることができたようだ。
 そのことに胸を撫で下ろしつつ、京太郎は足を進めようとし――。

京太郎「ぁ――ぅ……」

春「京太郎っっ!!」

 敷地の砂利石を踏みしめたところで、京太郎の意識はプツリと、電源を切られたように途絶えた。


~二年目9月三週月曜

~早朝

京太郎「――ん……お……?」

 自然な目覚めのようにパチリと目が開き、身体を起こそうとするが、妙に関節が硬かった。

京太郎「ここは――そ、そうだ、確かっ……つぅっ……」

 固まった関節をギシリと軋ませ、布団から起き上がろうとする。
 それを押し止めるのは、目の前に伸びた白い手。

霞「無理しないで。そのまま寝ていてちょうだい。必要なものがあれば、私たちが用意するから」

京太郎「霞、さん……それじゃ、ここは……」

霞「ええ、霧島――滝見家よ。どうやら、帰ってきたことも記憶に残ってないようね」

京太郎「いえ、それは、なんとか……一瞬、夢だったんじゃないかと思っただけで……」

霞「それを覚えてないって言うのよ」

 クスクスと笑う霞だが、その顔には色濃い憔悴が滲んでいた。

京太郎「寝てないんですか……?」

霞「ええ、一番年上だもの。だけど、おかげで得しちゃったわね」

京太郎「はぁ……そうなんですか?」

霞「……目が覚めた京太郎くんと、一番に会話できたじゃない」

京太郎「あ、と……お、おはようございます……で、いいんですかね? 時間……」

霞「ええ、おはよう……いまは、四時半かしら」

京太郎「ちょっと早めですね……あっっ……つぅっ!?」

霞「ちょっ……だ、だめよ、急いで起き上がろうとしちゃ! なにかいるなら、私に言ってちょうだい……」

京太郎「じゃなくて――春っ……春は、無事ですかっ……それに、あいつは――」

霞「……春ちゃんなら、ついさっきまで目に隈こさえて看病していたわよ。仮眠を取るように言いつけて、さっきようやく寝てくれたの」

京太郎「そ、そう、ですか……よかった、春っ……あいつにもしものことがあったら、俺はっ……」

霞「………………もう一つの心配事のほうだけれど」

京太郎「あ、はい! その、それは……うまくいった、ん……ですよね?」

霞「ええ。春ちゃんが相手の正体をきちんと教えてくれたから……封じの石碑も戻されて、周辺区域も立ち入り禁止になっているはずよ」

京太郎「………………ありがとうございました。それと――」

霞「もし謝ろうとしているなら、その必要はないわ。というより……お礼を言いたいのも謝るのも、むしろこちらのほうね」

京太郎「いや、俺はなにも……」

霞「春ちゃんを連れて帰ってきてくれた。おかげで情報が伝わった……迅速に術士が動けて、被害が出る前に事態を収拾させられたわ」

霞「あなたのおかげよ、全部……本当に、ありがとう――ありがとうございました、須賀様」

京太郎「……その呼び名は、あんまり好きじゃないです」

霞「色んな人に言われるだろうから、慣れておいたほうがいいわよ?」

京太郎「ほかの人はいいですけど……永水のみんなに呼ばれると、寂しくて泣きますね」

霞「そう……なら、京太郎くん……ありがとう。春ちゃんと、霧島を守ってくれて……ね」

京太郎「いえ。なんていうか……俺も、この町が好きですから……できることをやって、その結果で守れたなら……やったかいがありました」

霞「……霧島は、あなたを遠ざけた場所なのに?」

京太郎「はは……そっちは覚えてないことですから。俺にとっては、いま生活しているこの霧島が、俺の好きな霧島です」

霞「っ……ありがとう、京太郎くんっ……」ギュッ

京太郎「………………」


京太郎(おもちに顔が挟まってる。これは死んだね、俺)

春「……………………………………なに、してるの、霞さん」ゴッ

霞「え」ビクッ

京太郎「え――は、春っ!?」グイッ

春「京太郎……霞さんと、抱き合ってた……なに、なにがあったの?」

京太郎「そんなことより、春! 大丈夫なのかっ、身体――なんともないか!? それに、さっき寝たとこだって……まだ寝てたほうが――」

春「え、あ、あのっ……だい、じょうぶ……です……寝たのも、仮眠で……二時間も寝たら、スッキリで……それより、京太郎のことが……」シンパイデ

京太郎「……大丈夫、なんだな?」

春「…………ん」コクン

京太郎「よ……かった……よかった、春っ……」ググッ

霞(あらあら)

春「京太郎、無理に動いちゃだめっ……」スッ

京太郎「なら、こっちに……」グッ

春「わ、わかったから……本当に、動かないで……休んでて、京太郎……」ウルッ

京太郎「ちゃんと、確かめさせてくれ……春っ……」ダキッ

春「はうっ……あ、あのっ……」ダカレッ

京太郎「あぁ――ちゃんといる、春……無事で、よかった……春ぅ……」ギューッ

春「京太郎の、おかげ……ありがとう……」ギュッ

霞(………………)スススッ スー パタン

春「…………私はここにいるから。京太郎、もう少し休んでて」

京太郎「あ、ああ……そうだな……そうするか」ギュー

春「…………あの……」ギュッ

京太郎「……すまん、もうちょっとだけ」ギュー

春「…………はい」ギュッ スリスリ


京太郎「…………釣ってきた魚、どうなったんだろ」ギュー

春「……たぶん、冷凍されてる」スリスリ

京太郎「解凍してから捌く、しかないか……」

春「捌かれたあとだと思う」

京太郎「ん……そか」

春「うん……」

京太郎「……治ったら、ってか……動けるようになったら、ちゃんと料理するからな」

春「うん……それまでは、寝てて」

京太郎「ああ、そうする……春も、ちゃんと寝てくれよ」

春「…………ここで寝ていい?」

京太郎「ああ……そうしてくれたほうが、俺も嬉しい」

春「はい……じゃあ、失礼します」ススッ

京太郎「手だけ、握っててくれな……」キュッ

春「うん」キュッ

京太郎「おやすみ、春……」スヤァ

春「おやすみなさい……」ウトウト




初美「……これはもう、はるるの優勝では?」

小蒔・霞『まだです!』

湧「……まぁ、そう思われるならそうなんでしょうね」

明星(お二人の中ではね)

巴(スカイプ)『それより、すみません……大変なときに、いられなくて……』

霞「どちらにせよ、動くのは私たちではなかったから……やることといったら、京太郎くんの看病だけだったわよ」

巴『……なおさらだなぁ』

小蒔「ともかく、京くんと春が無事でよかったです!」

巴『はい、ですね』

霞「お昼頃になったら、もう一度起こしてあげましょう」

初美「それまでは、私たちもひと眠りですかねー」ファー

小蒔「そうですね。おそらく、忙しくなるのはそれからですから――しばらく、英気を……」ウトウト

明星「あ、私たちはさっき休ませていただいていたので……」

湧「姫様たちは、ごゆっくりお休みください。6時間後に起こしますので」

霞「お願いね。それじゃ、巴ちゃんも、またね」

巴「はい。こっちも一応、モーニングコールしますから」

初美「よろしくですよー」

小蒔「おにゃ……しゅみ、なひゃい……」カクンッ



※怪異解説
 昔の戦乱や飢餓による犠牲者らの怨念が形を成したもの。
 神代のご先祖が数百年前に退治し、封印した。
 意思を持って間もなく封印されていたので、子供の姿。
 無邪気さと残虐さと好奇心の同居した性質は子供そのもの。
 主食は人間の魂。好物は魂を食べたあとの肉体。

 その正体に気づいてしまったあなたはSANチェック、1or1d10


先月は全然書き溜められてないので、在庫がピンチです
もう更新2回分くらいしか残ってません

よし、更新期間遅らせよう(延命措置)


~二年目9月三週金曜

京太郎「っ……降参です」

滝見父「うむ、いい手合わせだった。体調はすっかり戻ったようで、なによりだな」

京太郎「おかげさまで……学校への手続きや事後処理など、ご尽力くださってありがとうございました」

滝見父「はっはっは、なんのなんの! それはそもそも、我々の義務というものだからな。おかげで助かったとは、こちらの言葉だとも」

滝見父「まぁ、どうしても礼をというなら……回復まで付きっきりで世話をしていた、春に伝えてやってくれい!」

京太郎「そ、それはもちろん……春には本当に、足を向けて寝られません」

滝見父「はっはっは、ならばよし! 春も果報者だ……おっと、そうだった。回復したところで悪いが、少し頼まれてもらえるかな?」

京太郎「はい、なんでしょう?」


滝見父「明後日――つまり日曜日の昼、大事な客人が家に参られる。接待というわけではないが、もてなしをしたいのでな……料理を頼みたい」

京太郎「えっ……お、俺の料理ですか?」

滝見父「うむ、その通り。ただ、いわゆる家庭料理でなく、松花堂風の弁当を頼みたいのだが……可能かな?」

京太郎「……お相手の好みや、口にできない食材などをお聞かせくだされば、献立は作れると思います。ただ――」

滝見父「ただ?」

京太郎「――それほど大事なお客様なら、俺ではなく、プロの料理人をお招きするほうが確実ではないでしょうか?」

滝見父「うむ、確かに……我々が懇意にしている、料亭や旅館に頼むのが筋ではある」

京太郎「では――」

滝見父「だが、今回はあくまで内々の席でな……あまり多くの者、部外の者に知らせるわけにはいかんのだ」

京太郎「……わかりました。そういうことであれば、料理長を務めさせていただきます」

滝見父「おお、ありがたい! それでは、よろしく頼む。食材の好みなどについては、メモを用意しておこう」

京太郎「ありがとうございます。ただ――」

京太郎「用意が難しそうな食材があれば、調達をお願いするかもしれませんので……その旨だけ、ご承知くださいますか?」

滝見父「うむ、心得た。しかしまぁ、なんだ……もてなしとは言ったが、気楽に臨んでくれて構わんのだぞ? 私的な客人であるわけだからな」

京太郎「それでも、大事なお客様と仰ったからには、心よりのもてなしをして然るべきです。そう教えられてきましたし、俺もそう思いますから」

滝見父「……ふむ、なるほど……いや、ならば重ねては言うまい。その気持ちはきっと、料理から客人らにも伝わるだろう」

京太郎「そう言っていただけると励みになります。それで――客人『ら』ということは、複数名いらっしゃるんですか?」

滝見父「ああ、私を含めて7――いや、6人分だな。そうか、となると一人での準備は難しいか……」

京太郎「……いえ。料理のほうは、俺一人で用意するべきかと思いますので、そうさせていただきます。給仕のため、2名ほど人をお願いできましたら」

滝見父「……む?」

京太郎「あ、いえ……料理の提供が遅くなるとか、そういったことは決してありませんので……」

滝見父「はは、そういうことではないのだがな……うむ、やはり聞いておこう。なぜ、自分一人でやるべきと思ったのかね?」

京太郎「それは――小父さんが、俺に頼まれたからですよ。部外の者に話せないなら、俺にこそ話すべきじゃありません」

京太郎「腕が確かで口も堅く、信頼の置ける料理人を付近で探すほうが、滝見家にとっては容易なはずです」

京太郎「にも拘らず、俺にお話をくださったということは、俺に料理を作らせる必要があるってことでしょう」

京太郎「その理由はわかりませんけど……誰かの手を借りず、俺だけの手で作ることが、そのご依頼に応える誠意かと思いました」

滝見父「――――ふっ……ふははははははっ!」

京太郎「えっ」ビクッ

滝見父「いやぁ、慧眼よ! そこまで言い当てられるとは、いやはや、恐れ入った!」

京太郎「い、いえ、そんなことは……お相手のことも、理由も、何一つわかっていませんし……」

滝見父「そこまで見通されては、京太郎くんがエスパーであると疑わざるを得なくなるなぁ」

京太郎「すみません。でも、詮索するつもりなんかは、本当にありませんので……」

滝見父「うむ、そうしてもらえるとありがたい。が――そうだな、もしかするとその辺りは、その席で明らかになるかもしれんぞ」

京太郎「はぁ……えっと、それは俺が知っておくべきことでしょうか?」

滝見父「どうだろうな……知らぬほうがよいこと、かもしれん。だが、知って損はないはずだ。先方も、その機会が欲しいのかもしれん」

京太郎「…………そうですか」

滝見父「ふむ、依頼したばかりで脅かしてしまったかな……支度に影響がなければよいのだが」

京太郎「はは、大丈夫ですよ。そういうの気にして料理ができるほど、俺は器用じゃありませんので。そのときは、料理に集中するだけです」

滝見父「ははは、それは頼もしい。では、よろしく頼む」

京太郎「はい、お任せください」


~二年目9月三週土曜

京太郎(……明日が当日、メニューはできた。食材のほうも、明日の朝には届く……さて、あとは――)

春「……京太郎?」

京太郎「お、おう、どうした?」

春「休憩、そろそろ終わり」

京太郎「そうか、なら練習再開――の前に、明日の練習のことなんだけど」

春「うん」

京太郎「あー、えっと……俺はちょっと用事があるから、休ませてもらいたいんだけど、いいか?」

春「…………どんな用事?」

京太郎「え」

小蒔「私も、気になります!」

京太郎「うお! こまちゃんどこから!」

明星「京太郎先輩がぶっ飛んだこと言うから、部員みんな気にしてますよ」

京太郎「えぇ……いや、みんなもよく休んでるじゃん?」

湧「須賀さんが休むというのが異常事態なんです」

京太郎「」

初美「で、用ってなんですかー?」

京太郎「あー……最後の検査? みたいな感じです。時間がかかるんで、日曜にやってくれるってことになったらしくて……病院側から」

春「……それなら仕方ない」

小蒔「ですね! 京くんにはお世話になりましたから、後遺症がないようしっかり見ていただかないと!」フンスッ

明星「私たちは聞いてませんけど、上のほうで病院に手配してたんでしょうか?」

初美「そうじゃないですかねー」

湧「付き添いなどは、必要じゃありませんか?」

春「やる!」

小蒔「私が!」

京太郎「あー、いや……送迎も兼ねて、人をつけてくれるってことらしい。みんなは練習しててくれたほうが、俺としても助かる」

春「むぅ……わかった」

小蒔「そうですね、大会も近いわけですから……でも、なにかあったら連絡してください!」

明星「姫様は電話をお持ちでないのでは……」

初美「まぁ、私たちの誰かにかければいいですよー」

京太郎「はい、そうさせてもらいます。それじゃ、練習の続きを始めましょうか」


~二年目9月三週日曜

~食後

滝見父「いやぁ、いつも以上にうまかったぞ! 急に頼んでしまってすまなかったな、京太郎くん」

京太郎「いえ、とんでもありません。それでは、ただいま水物をお持ちしますので、失礼します」

滝見父「う、む……あー、ゴホン……その前に、だな」

京太郎「はい?」

滝見父「その、なんだ……皆が、聞きたいことがあるそうでな」

???「お、おい待て、どうしてそういう流れになるのだ」

???「そうですよ。滝見さんのほうから話をしていただくということでは……」

滝見父「ははは、まぁいいではないか! まずは自己紹介から、というのがお約束だろう。どうかな、京太郎くん」

京太郎「は、はぁ……では――はじめまして、皆様。今月より滝見家に居候しております、須賀京太郎と申します」

京太郎「本日は、このような貴重な機会を与えていただいたこと……それと、えーっと――」

滝見父「うん?」

京太郎「……また、皆様のお嬢さま方より、日頃からご指導いただいておりますこと、深く感謝いたします」

滝見父「――京太郎くん、それをどこで?」

京太郎「すみません、確信できたのは、いましがたです……けど、いらっしゃるのが6人ということで、そうじゃないかな、と」

京太郎「あとは――先ほどの言葉に、一つだけ嘘がありました。こちらにいらっしゃるお一方だけは、はじめましてではありませんから」

???「………………」

京太郎「今年の春に、一度だけお目にかかりました。霞さんのお父様……石戸家のご当主様、ですよね?」

石戸父「……その通りだ」

滝見父「おいおい、その反応はなかろう。なにか挨拶はないのか、自己紹介でもいいのだぞ?」

石戸父「……原作で名前が出てない以上、名乗ることができん」

京太郎(メタぁい!)

薄墨父「まぁそもそも、当主が男かどうかって話もありますけどね。六女仙という以上、女系家系でもおかしくないわけですし。あ、僕は薄墨です」

京太郎「初美先輩のお父様ですか。いつもお世話になっております」フカブカー

狩宿父「私は狩宿。こちらは十曽。そして――」

京太郎「………………」

神代父「………………」

滝見父「神代――霧島の当主、小蒔様の父上でいらっしゃる」


京太郎「は……はじめまし――」

神代父「いや……はじめてではない。その意味は、わかるね?」

京太郎「……はい」

神代父「すでに記憶も戻っていると聞いた……簡単に破れる術式ではなかったはず、だがな」

石戸父「須賀のご老公肝煎りと聞く。術式を破っても不思議はない」

京太郎「その、俺は本当に、なにも……」

狩宿父「ああ、その点はわかっています。申し訳ないね、彼は少し頭が固いというか……保守的というか頑固というか、融通が利かないというか……」

滝見父「真面目というか、生真面目というか、クソ真面目というか、親バカというか、過保護というか――」

薄墨父「可愛い娘に虫がつくのが気に入らないんですよー。困った父親です、本当に」

石戸父「そんなことは言っていないっっ!!!」ドンッ

京太郎(シロさんのお父さんかな?)

神代父「ともかく――」

京太郎「はい」ピシッ

神代父「過去に、私とも面識があった……すでに、その辺りの話は知っている、そうだったかな?」

京太郎「はい、一応……俺の――私の曽祖父と、小蒔先輩のおじい様が友人だったとか」

神代父「普段の言葉遣いで構わないよ。そう……それで、だ……その……君は、どうしてここに戻ってきたのかね?」

京太郎「それは――やはり、俺がここにいるのは、まずいということでしょうか」

石戸父「質問に質問で返すものではない」

京太郎「っ……すみません……」

滝見父「あー、京太郎くん、こいつの言うことは気にしなくて構わん」

石戸父「なんだとっ……」

狩宿父「いえ、実際そうでしょう。ご当主も、そうした意味で問われたわけではないですし、あなたがいると話が進みません」

薄墨父「やっぱ呼ばないほうがよかったんじゃないですかねー。毎日毎日、あんなやつが霞に霞にって、うるさくてかないませんでしたし」

石戸父「貴様ぁ!」

京太郎(えぇ……)

十曽父「お、落ち着いてくださいっ! ご当主が京太郎くんとお話しているわけですからっ……」

石戸父「くっ……」

神代父「……京太郎くん」

京太郎「は、はい!」

神代父「……私はここに、当主として来たわけではない。君からすれば、友人の父親と話しているのと同じだ、そう考えてほしい」

京太郎「はい……」


神代父「先の質問は、少し言葉が足りなかったな……どう言うべきか――よい思い出のないこの地にいて、辛いとは思わないか、ということだよ」

京太郎「…………そういう意味でしたら、辛いと感じたことはありません。それ以前に、よい思い出がないとも思いません」

神代父「大人たちの身勝手な思惑に巻き込まれ、幼い記憶を奪われ、約束されていた輝かしい未来を奪われたというのにかね?」

京太郎「確かに……昔の記憶がなかったことで、こまちゃ――小蒔先輩に申し訳ないことをした、とは思っています」

京太郎「でも、それを思いだすより前に、俺はここで色々な思い出を作りました。多くの人のお世話になり、自分を成長させることができました」

京太郎「記憶が戻っても、その頃とのギャップを感じても、それ以上にいい思い出が、この地にはあるんです……だから、俺はここにいます」

京太郎「この場所が好きなんです、ここに住む人たちが……とても」

神代父「……だが、それでもだ。あの頃、私たちがもっと冷静で分別がついていれば、君はより多くのものを手にしていたはずだ。違うかね?」

京太郎「……違います。そのことで手にしたものがあったとしても、手にしていなかったものも、同じくらい――それ以上にありました」

京太郎「麻雀の腕も……今日提供した料理も、俺がこの地を離れたからこそ、得られたものです」

京太郎「確かに、一時期は……俺にはなんの力もない、才能もないと打ちのめされて、ヤケになりかけたこともありました」

京太郎「そんな俺に差し伸べられた手と、そのことで得られたいくつもの縁や経験は、俺がこの地を離れて得られたものです」

京太郎「いま、俺の周りにいる人たちが与えてくれたものです。胸を張って誇れる、俺の宝物です」

京太郎「その一つが、この場所と、この地にいる人たちなんです。俺がここにいる理由も、ここにいたいと俺が思うから――それだけです」

神代父「…………ああ……ああ、そうか……そう、なのだな――」

京太郎「あの……?」

神代父「いや、すまない……この地を、そのように思ってくれていることを、この地に根ざすものとして、心から嬉しく思う」

神代父「確かに、君の言う通り……君はここを離れ、よい経験をし、よい成長をしたようだ。私たちの過ちを正当化するわけではないが、本当に……」

神代父「…………なぁ、京太郎くん」

京太郎「はい」

神代父「先はああ言ったが……これは、神代の当主からの言葉として、聞いてほしい」

京太郎「はい」

神代父「私たち大人の間違った行いが、君と小蒔……幼い子供の心を深く傷つけたことを、心から詫びさせてもらう。本当に、申し訳なかった」フカブカ

狩宿・薄墨・滝見・十曽『………………』フカブカ

石戸「………………」シブシブ


京太郎「っ――と、とんでもありません! どうか頭を上げてください、お願いします!」

神代父「うむ、すまないな……こんな大人に頭を下げられても、心苦しいばかりだろう。これは、私たちの自己満足に過ぎない」

神代父「ここからは、少し建設的な話をしよう……私たちが今日、このような場を設けたこと、少し急に思わなかったかな?」

京太郎「そう、ですね……言われてみれば。ただ、俺と小蒔先輩の記憶が戻ったことを知られたのであれば、遅かれ早かれ動かれたのではないかと」

神代父「ふむ、話が早い……そう、君らの記憶が戻ったことが、すべてに起因すると言える。が、これでも少し、時間のかかったほうでね」

神代父「あの事故の日より、神代と須賀の間には亀裂が入ったわけだが、それは宗家の本意ではなかった」

神代父「だが、そうせざるを得ない理由があった……そこで双方の宗家は、まず分家の掌握に尽力することにした」

神代父「宗家の失脚を目論む、いわゆる反乱分子を燻りだし、掌握し、場合によっては――」

石戸父「ゴホンッ」

神代父「……うむ、まぁ、それはさておいて……要するに、宗家主導にて統制を取れるよう、今一度引き締めにかかっていたわけだ」

神代父「それには多大な時間を要したわけだが……それを果たさんとした目前、君らの記憶が戻ったわけだな」

神代父「そのことは、連中も知ることとなり――思わぬ事態に浮足立ったことで、連中にも隙が生まれた。おかげで、よりスムーズに事は運んだよ」

京太郎「はぁ……それは、おめでとうございます……?」

神代父「ふふ、ピンと来ないかな? まぁ、直接には君に関わりのないことだ。だが、その件に関わり、重大な失態が発覚した……わかるかな?」

京太郎「んー……俺にわかる範囲で、重大な――あっ! この前の、石碑の!?」

神代父「ご明察だ。あれの管理を務めていたのは、反乱分子の主犯となる力を持った分家でな。対処が遅れれば、家の取り潰しだけでは済まされない」

神代父「その危機を、自分たちが貶めた少年に救われたとあっては、もはや立つ瀬はない……彼らの発言権、影響力は地に落ちたも同然だ」

京太郎「……救われたってことは、やっぱり被害はださずに済んだってことですよね? 一応、そう聞いてはいるんですけど……」

神代父「うむ。迅速な対応ができたおかげでね……今後は宗家の管理にて、厳重に監視することになるだろう」

神代父「君のおかげで被害はなく、今後、被害をだすこともないはずだ……本当にありがとう」

京太郎「そう、ですか……はぁ、よかった……」

神代父「まず気にするのは、周囲の被害か……ああ、まったく……須賀のご老公、実に慧眼であらせられたな」

京太郎「?」

神代父「いや、その心根が素晴らしいと思ってね……さて、話を戻そう」


神代父「そうして君らの記憶が戻り、分家の掌握もできたことで、ようやく準備が整ったのだ。当時の非礼を詫びる、その準備がね」

京太郎「…………えっと、つまり……今日来られたのは、俺に謝るため、ということですか?」

神代父「ふふ、まぁそういうことだ。料理については、滝見からは聞かされていなかったがな……サプライズのつもりだったのだろう」

滝見父「あの日から今日まで、京太郎くんがいかな薫陶を受けてきたか……それを感じてもらう趣向にしたかったのですよ。すまんな、京太郎くん!」

京太郎「は、はぁ……その、なんというか……すみません、わざわざ足を運んでいただいて……」

薄墨父「はー、確かに……初美の言ってた通り、腰が低すぎるねー、これは」

狩宿父「……やるときはやる男、と聞いてはいますけどね」

十曽父「ちょっと待ってください、皆さんそんなに話を聞いてるんですか? うちの娘、全然話題にしてくれないんですけど!」

滝見父「ははは、いかんなぁ十曽。娘とのコミュニケーション不足ではないか?」

石戸父「なにを言うか! 嫁入り前の娘が、男の話題を口にするなど……はしたない、けしからん! 霞にも、十曽の娘を見習わせてやらねば!」

京太郎(……俺が聞いちゃダメな話じゃないか、これ?)

神代父「まぁ、石戸の娘の反抗期はともかく――」

石戸父「は、反抗期ではありませんっ」

神代父「ともかく――無論、我々もただ、謝りにだけ来たわけではない」

京太郎「……察するに、そちらが本題ということでしょうか?」

神代父「いかにも。それで、だ――単刀直入に言わせてもらう。京太郎くん、小蒔ともう一度、婚約する気はないかな?」


京太郎「は………………はいいいぃぃぃっっっっ!?」


神代父「おお! そこまで快く応じてくれるとは……感謝するぞ、京太郎くん! いや、息子よ!」

京太郎「違います! いまのは聞き返しただけでっ……って、冗談ですよねっ?」

神代父「……真面目な話、冗談ではない。君と小蒔が婚約、婚姻ということになれば、我が家も霧島も安泰。須賀との関係も改善される」

神代父「もちろん、そういった政治的な話は抜きにしてもだ。君のような青年が娘婿となってくれれば、これほど喜ばしいことはないのだが」

京太郎「そ、そんなこと仰られても……その、小蒔先輩もお困りになると思いますし!」

薄墨父「……あー、はいはい。なるほどですよー」

狩宿父「これは……思っていた以上ですね」

滝見父「ははは、これだからいいのだよ、これだから!」

京太郎(え、なにその反応)コワイ


十曽父「うちは構わないのですが……お三方は、言い分があったのでは?」

薄墨父「あ、ああ、そうでしたよー。京太郎くん、姫様のお相手は荷が重いと言うなら、うちの初美なんかどうですかー? お買い得ですよー?」

京太郎「娘を差しだすのに軽い! っていうか同じですよ、初美先輩がなんて仰るか――」

狩宿父「では、うちの巴はどうですか? すでに聞いておいたのですが、京太郎くんのほうが構わないなら、私のほうは――と」メガネクイー

京太郎「えっ?」

狩宿父「ですから――おや、電話ですね。すみません、失礼します」

『ちょっとお父さん、なに勝手なこと言ってるの!?』
「覗き見とは感心しませんね……はしたないですよ?」
『六家が集まろうとしてたから、つい……って、そうじゃなくて! 勝手になんの話してるの!』
「やれやれ、わかりませんか? 彼の血を入れることが、どれだけ有益か……巴もまんざらではないはずですよ?」
『そ、それとこれとは別! 親のほうから圧力かけるとか、色々な協定に引っかかるの!』
「やれやれ……巴、こういうのはですね、やったもの勝ちですよ」メガネクイッ
『お・と・う・さ・ん!』


十曽父「……揉めてるみたいですし、放っておきましょう」

京太郎「は、はぁ……」

神代父「それより、滝見はどうなのだ? なにかあるなら、言っておくほうがいいぞ?」

滝見父「そうですな――」

京太郎「っ…………」ソワソワ

滝見父「ふっ……いや、私からは特には。こうしたことはやはり、若人同士で話すべきことですからな」

石戸父「わ、私は許さんぞ! どうせ貴様も、霞のことを不純な目で見ておるのだろう、許すものか!」

京太郎「ゆ、許すもなにも(見てないとは言ってない)……霞さんほど大人びた人に、俺みたいな子供は不釣り合いというか――」

石戸父「貴様ぁ! うちの霞がお前には不釣り合いだと!? 言わせておけばっ……」

京太郎(どうしろっちゅーねん)

神代父「ふふ、人気者だな、京太郎くん」

京太郎「そんな、他人事のように……」

神代父「まぁ、しかしだ――まだ高校生という若い身空でもある、話が急すぎたのは確かだね」

京太郎「そ、そうですよ……」

神代父「我々も、ここですぐ結論をもらいたいわけではない……ただ、そうした話があるということを、意識しておいてくれたまえよ」ポンポン

京太郎「そう言われましても……というか明日から、どういう顔でみんなと会えばいいのか……」

薄墨父「ああ、そうそう。僕たちがこういう話をしたってことは、娘たちには内緒で頼みますよー?」

京太郎「思いっきりバレてる人がいるんですが、それは……ん?」

メール『私はなにも見てないし聞いてないし言わない』

京太郎「巴さん……」

狩宿父「まぁそういうことですから、ご安心を」

京太郎「アッハイ、ご安心です」

滝見父「さて、それでは今日のところは、これで解散としよう。まぁただ、一つだけ言えることは、だ――」

京太郎「はい」

滝見父「我々は、そしてこの土地は、これからも君を歓迎する――ということだ。どうか末永く、誼を通じてくれたまえ」

京太郎「……はい、こちらこそ。これからも、よろしくお願いします」

石戸父「ふんっ……」

京太郎(やっぱり……前に会ったときより、なんか当たりがキツい気がする) ※その19、レス777参照

神代父「では、いずれまた、顔を合わせる機会もあるだろう。そのときは、もっとゆっくりと話せればよいのだが」

京太郎「そうですね。ですが、さすがにお忙しいでしょうから……お気持ちだけで十分です、ありがとうございます」

薄墨父「この気遣いですよー」

狩宿父「うちの役割と、相性がよさそうなんですけどねぇ」メガネクイッ

石戸父「なにがあろうと、私は認めん……認めんぞっ……」

十曽「最後までこれですか……では、失礼しますね」ハァ

京太郎「はい。それでは皆様、どうぞお気をつけて」


京太郎「……あ、水物だすの忘れてたな」

滝見父「なに、夕食のデザートにでもすればよかろう」

京太郎「それもそうですね……あ、そうでした。給仕の人手を貸していただいて、ありがとうございました」

滝見父「いやいや。こちらこそ……頼みを聞いてもらっただけでなく、汚い大人たちの悪だくみに付き合ってもらって、本当にありがとう」

京太郎「……俺がお聞きした限りでは、どなたも汚い大人には思えませんでしたよ。ご自分の子供を案じられる、いいお父さんばかりでした」

滝見父「そうか……ありがとう」

京太郎「ただ、その……本人に無断で、意思を無視して、結婚の話をするのはどうかと思いましたけどね」

滝見父「ははは、確かにな! だが、意思を無視していたかどうかは、わからんぞぉ?」ニヤッ

京太郎「? えっと、どういう意味でしょうか……」

滝見父「ははははは、気にするな! 中年の戯言と聞き流してくれい!」ポンポン

京太郎「は、はぁ……」

滝見父「まぁ、なんにせよだ……君がもし、麻雀部の誰かとそういった仲になったとしても、反対する親は一人しかおらんということだ」

滝見父「そう考えれば、彼女らと深い仲になるということにも、現実味が出てこないかな?」

京太郎「……そう……かも、しれませんね」

滝見父「だろう? まぁ、まだ君らは若い……そうした悩みこそ、青春の華よ! 大いに悩め、若人!」バンバンッ

京太郎「そうします……」

滝見父「さて、それでは中に戻ろうか。外はまだまだ暑いからなぁ」

京太郎「あの……もし……俺と、春が――」

滝見父「うん?」

京太郎「……いえ、なんでもありません」

滝見父「そうか……どうだね、片づけが終わったら、道場で一勝負といかんか?」

京太郎「は――いえ、学校に行きます。みんな練習中でしょうから、少しだけでも顔をだしたいので」

滝見父「……うむ、そうだな。そうするといい。皆も喜ぶだろうからな」ポンポン


令和になったので、初投稿です

まぁ書き溜めはこれでほぼなくなったので、次は同じくらい間を空けて、かなり短めのを一つ
そこから最終章です
最終章はあと90%くらい書けば終わりのはずです
夏くらいに終われたらいいなぁ


~二年目9月四週月曜

~部活中


京太郎「なんだかんだで、あと一週間だな……」

春「帰らないで」

小蒔「そうです!」

京太郎「……こればかりは逆らえないんだよ」

湧「仕方ありませんよ。あと一週間もいてくださると考えて、練習に励みましょう」

明星「湧は前向きだなぁ」

初美「でも湧の言う通りですよー」

霞「そうね。幸い、京太郎くんの健康にも問題はなかったようだし、いつもと同じように頑張りましょう」

巴「そうですね、あまり思い詰めても調子が狂いますし」

春・小蒔・湧・明星・初美・霞・京太郎『……………………』

巴「な、なにかな?」

小蒔「巴ちゃん!? どうしているんですかっ?」

巴「えっ? えっと……ほら、大学はまだ夏休みですから。久々に里帰りでもと……お盆に帰りそびれたわけですし」

初美「まぁ、私たちもみんな、東京でしたからねー」

霞「……本当にそれだけかしら?」ジー

巴「や、やだなぁ、本当ですよ……強いて言うなら、あれですかねー? ほら、前の騒ぎがありましたから……」

春「……一週間も経って?」

巴「う……その、あの……わ、私も予定があったので、やむを得ず……」

明星「怪しい……」

湧「そういえば……昨夜の話なんですけど、父が狩宿のご当主と夜遅くまで電話していましたが、それと関係がおありですか?」

巴「――――――ないよ?」

霞「間! いまの間はなにかしら?」

巴「いや、本当になんでもないんですって!」

京太郎「ま、まぁいいじゃないですか。仮になにかあったとしても、言いたくないってことですし、無理に聞きださなくても……」

小蒔「つまり――京くんは、知ってるんですね?」ジッ

京太郎「え」ビクッ

初美「ほほう……そういえばですねー、うちの父様も昨夜はあれですよ、石戸の家で遅くまで飲んでたみたいなんですよー」

巴「う、うちとは関係ないんじゃないかなー」

霞「……時々、狩宿がどうこうって聞こえていたのだけれど?」

巴「ち、父がなにか、ご無礼を働いたんでしょうかね……娘として謝罪いたします」

春「ダウト。巴さんはそんな、お父さんの代わりに謝るようなことはしない」

巴「いや、するよ!?」

京太郎「そ、それよりあれですよ、練習しましょう! ほら、もう一週間しかいられないわけですし――」

春「京太郎、正直に教えてほしい」

小蒔「そうです! 巴ちゃんがそうまでして隠すだなんて、心配になってきました!」

霞「私たちの親が絡んでいるとなると、家のこと……引いては霧島のことかもしれないわ。巴ちゃんだけが抱えておくには、あまりに大きいことよね」

初美「ほれほれ、そういうわけですからねー、観念するですよー」


巴「う、うぅぅ……違うんです、私は……私は本当に、なにも――」

明星「……あー、私、もしかしたらわかっちゃったかもです」

湧「ちょ、ちょっと明星……」

霞「言ってごらんなさい、明星」

明星「はい。実は私も、少し叔父様たちの話を聞いてしまったんですけど――あんなやつに霞を、って言ってたんですよね」

初美「……えっと、それはつまり――」

明星「お従姉さまのお見合いが決まったか、少なくともご当主たちが揃って、誰か男の人に会ったってことじゃないでしょうか」

京太郎「………………」ヤッベ

巴「………………」シー

霞「…………私に、お見合い?」

小蒔「か、霞ちゃん、どうするんですかっ?」

霞「ど、どうと言われても……まだ決まったわけではないし……」

春「でも、年齢的にも立場的にもあり得なくない。まだ学生の身分ならともかく、受験組だったのになぜか社会人にされた霞さんなら」

霞「>>1の取り返しがつかないミスはともかく、具体的な話どころか、ほのめかされてもいないのよ? 考えすぎじゃないかしら」

湧「そうですね、お見合いは飛躍させすぎだと思います……ただ、ご当主たちが密に連絡を取り合っているようなのは、気になりますね」

明星「誰かに会ってたのは間違いないと思うんです。それで、その人と霞さんが、それなりに近しいんじゃないでしょうか」

初美「…………いや、いやいやいや、待ってくださいよ? 霞と距離が近くて、おそらく男性って、そんなの一人しか――」

明星「――あ」

京太郎「………………」ダラダラダラ

巴「………………」マッサオ


小蒔「――京くん?」

春「京太郎、どういうことなの」

京太郎「いや違う、そうじゃない! お見合いとか、そんな話はしてないから! むしろ俺、石戸のご当主にめっちゃ嫌われてたから!」

巴「ちょっと京太郎くん!」

京太郎「しょうがないじゃないですか、こうなったら! っていうかこれもう、半分以上、巴さんのせいですからねっ!?」

巴「そ、それは……確かに、帰ってくるのはまずいかなーって思ったけど、京太郎くんが余計なこと言っちゃわないか心配で……」

京太郎「言いませんよ!」

巴「いま言ったじゃない!」

京太郎「巴さんが先に余計な行動したんでしょうがああああああああああ!」

初美「…………あー、もしもし?」

明星「夫婦漫才はその辺で――」

小蒔「明星。誰と誰が夫婦ですか?」ギロッ

明星「ぴっ!」ビクッ

春「根拠のない出鱈目を吹聴するのはよくない」ゴゴゴゴゴ

明星「申し訳ありませんでした!」ブルブル

湧「よしよし……そ、それで、結局どういうことなのでしょう……」

霞「……私も、聞きたいことが多すぎて、どれから手をつければいいのかわからないわ」

初美「巴、それか京太郎……順番に、説明したほうがいいですよー」

巴「……京太郎くん、お願い」

京太郎「ここにきて俺!? い、いや、けど俺はほら、口止めされてますし……」

湧「――でしたら、皆さんで家にいらしてください。父の口から、すべて話してもらいましょう」

京太郎「いや、それはまずいんだって!」

巴「そ、そうだよ! 私たちが話したせいだって、バレちゃうし――」

霞「だったら、ここで内密に話してしまったほうが、お互いにメリットがあると思わない?」ニコッ

京太郎「」ヒエッ

小蒔「――巴ちゃん」

巴「は、はひ……」

小蒔「――命令です。知っていることをお話しなさい。すべて、包み隠さず」

春「京太郎でもいい。どうしても無理なら、私も家でお父さんに聞く」

京太郎「春……ああもう、わかったよ! 巴さん、俺から話します……いいですよね?」

巴「う、ん……そうね……冷静に考えれば口止めも、あの人たちの名誉のためみたいなとこあるし……そこまで義理立てしなくていっか」

京太郎「確かに……」

初美「だーかーら! 二人だけでわかる会話やめてください、なーんかイラッとするんですよー!」

小蒔「結局、なにがどうなってるんですか!」

春「もしかして、昨日なにかあったの?」

京太郎「ああ、実は――」


 そこから京太郎が説明したのは、日曜日に客が来るからと、昼食の支度を頼まれたこと――。
 その客人が、いわゆる六女仙の父親である、各家の当主たちだったこと――。
 彼らが京太郎の過去に対する謝罪と、先日の行動に対する礼賛を伝えに来たこと――。
 というわけで、病院に行ったというのは嘘だったこと――。
 以上、であった。

京太郎「――と、そんなことがありました……」

小蒔「父様たちが、そんなことを……」

霞「――確かに、一族の大失態まで考えれば、そうしないとおかしいくらいだものね」

初美「当主が揃って一高校生に頭を下げたなんて、確かに口止めしたくもなりますねー」

春「……巴ちゃんは、どうして知ってたの?」

巴「え゙っ」

明星「あ、確かに。口止めしてたなら、狩宿の小父様もそんなこと教えませんよね」

巴「え、えーっと、それは……きょ、京太郎くんから聞いて!」

京太郎「嘘吐かないでくださいよ!」

霞「巴ちゃん?」ニコッ

巴「あ、あは、あはははは……その、部屋に張ってる式神が、父の不審な外出を見たもので……なにかあっては一大事と、こっそりあとを――」

霞「なるほど、出歯亀していたのね」

巴「か、霞さんが教えてくれたやり方じゃないですか!」

霞「なっ――人聞きの悪いこと言わないでちょうだい!?」

初美「醜い争いは置いておいて――いまの話、なにか気になることはありましたかー?」

湧「あの、よろしいですか?」

小蒔「どうぞ」

湧「口止めされてたからって、巴さんがそこまで黙っておく内容でしょうか? それに、わざわざ帰ってくるほどのことでもないかと――」

巴「そ、そんなことないよ、湧ちゃん!」

春「そんなことはある。湧の言うことは一理ある」

霞「ふむ……ねぇ、京太郎くん?」

京太郎「――ひゃ、ひゃい」

霞「まだ、隠し事があるわよね?」ゴッ

京太郎「」ヒッ

巴「………………あの、さすがに京太郎くんからは言いにくいと思いますので、私からでいいですか?」

小蒔「許可します」

明星(さっきから姫様が怖い)

京太郎「と、巴さん……」

巴「京太郎くんは悪くないんだし、堂々としてていいよ。なにかあったら、お父さんたちがコソコソしてたのが悪いって、みんなで言ってあげるから」

京太郎「…………はい、お願いします」

巴「では、ご説明します。実は――」


 そうして告げられたのは、すべてが片づいたところで神代の当主から告げられた、京太郎と小蒔の婚約話のこと――。
 京太郎が即座に色よい返事をしなかったことで、付け入る隙があると見た他の家の当主が、こぞって娘を宛がおうとしたこと――。
 十曽と石戸、滝見の当主はそうした動きを見せなかったということ――以上である。

巴「――と、まぁこんなところでしょうか」

初美「………………はぁぁぁ~~~~~~~~~~っっ、あっきれますねー、本当にっっ!」

京太郎「す、すいませんでした!」

明星「いや、京太郎センパイは全然悪くないですから」

湧「……ほんっとうに、失礼を承知で言わせていただきますけど――ご当主様たち、おかしいんじゃないですか?」

巴「お恥ずかしい限りです……」

小蒔「あ、あの、その、えっと……ごめんなさい、京くん! 父様が――いえ、六女仙の家を預かる面々が、本当にお恥ずかしいことを!」フカブカー

京太郎「こまちゃんも悪くないから! まぁ、その、なんというか……俺みたいなのを気に入ってくださったってことは、素直にありがたいしさ」

霞「」

春「」

湧「あの、お二人が固まっていらっしゃるんですが」

京太郎「か、霞さん……それに、春……?」

霞「……大丈夫よ、京太郎くん。いざとなったら家を捨てるから」

京太郎「大丈夫じゃなくないですか!?」

春「私も捨てる。京太郎さえいてくれればいい」

京太郎「だから落ち着け! なんていうか、あれだ……滝見の小父さんは、子供の恋愛に親が口だすのはよくないってスタンスだったしさ」

春「そうなの?」

京太郎「ああ。昔の俺とこまちゃんのことで、色々考えたってことらしいけど……」

小蒔「……そうですね。肯定にしろ否定にしろ、大人の意見に私たちが翻弄されるなんて、もう二度と……」

霞「その通りだわ。京太郎くん、お父様がどんな態度だったかわからないけれど、なにも気にしなくていいわよ」

京太郎「は、はぁ……もちろん、それはそうですけど――」

京太郎「――ただ、誰かと結婚するならやっぱり、家族の方々には認めていただきたいですよね」

霞「」

初美「京太郎、なんてことを……」

明星「お従姉さま、お気を確かに!」

巴「これで霞さんは選考外……」ボソッ

霞「ちゃ、ちゃんと説得すれば問題ないでしょう! ねぇっ?」

京太郎「アッハイ」

霞「ほら!」パァァッ

湧「須賀さん、いい加減な返事で場を乱さないでください!」

京太郎「ご、ごめんなさい……」

初美「ともかく……父様たちにはきっちりお灸を据えたいところですけど、口止めされているなら、知らないフリをするしかないですねー」

巴「ごめんねー。うちのお父さん、私の言うことはあんまり気にしない人だから……お父さんからご当主たちに言ってもらうのも難しくて」

初美「まぁ巴が帰ってこなきゃ、私たちが知ることもなかったし、問題なかったと思いますけどねー」

巴「」

明星「ま、まぁまぁ!」


湧「知っても知らなくても、私たちが変わるわけじゃありませんから……須賀さんが流されでもしない限りは」

京太郎「だ、大丈夫だから」

春「本当?」ジィッ

京太郎「……ああ、絶対だ。いい人たちだし、俺のことを認めてくださってるのは嬉しいけど、誰かに言われたから婚約、なんてのは御免だしな」

小蒔「……はい」

京太郎「ただ――」チラッ

春「……?」

京太郎「いや……俺だけじゃなくて、みんなも気にしないようにしてもらいたいな、って。妙に意識されたり、気を遣われたりすると、どうも……」

初美「え、いまさら?」

京太郎「えっ」

霞「コホン! とにかく、いつも通りにしていればいい、そうよね?」

京太郎「あ、はい。その通りです」

霞「みんな、聞いての通りよ。お父様たちに抗議できない以上、私たちにできることはなにもないわ。いつも通り、あと一週間を過ごしましょう」

全員『はい!』

巴「で、正確にはいつまでこっちにいられるんだっけ?」

春「確か……出立は、来週の月曜……?」

京太郎「だな。引っ越しの手配とかもあるけど、まぁ日曜まではいつも通り学校にも通える」

湧「では、それまでは引き続き、よろしくお願いします」

明星「そうですよ! 私は叔父様の意見とは無関係ですけど、気にしないでください♪」

京太郎「あ、うん」

霞「明星」ニコッ

明星「」

湧「学習しないなぁ……」ハァ

初美「人はそういう生き物なのですよー」

小蒔「……あと、一週間……月曜まで……」

春「……朝に出発とすると、もう六日と十数時間……」

京太郎「深刻に考えすぎ! ほら、練習するぞ、練習!」


~練習後、下校中

春「……京太郎」

京太郎「お?」

春「手、繋いでほしい」

京太郎「ああ……いいけど」ギュッ

春「……この手が、離れなければいいのに」

京太郎「ん……まぁほら、もしかしたら来月も、こっちかもしれないしさ」

春「……わかってる。でも、私は……ちゃんと、ずっと、京太郎と一緒がいい」

京太郎「春……」

春「京太郎を困らせる気はない。それが約束できないのはわかってる。ただ、言っておきたかっただけ」

京太郎「…………俺も」

春「え」

京太郎「……これ、内緒な?」

春「うん」

京太郎「いつもは一人暮らしだけど、今回は滝見の家に居候させてもらって、小父さんたちからもよくしてもらって……居心地がよすぎるくらいだ」

春「!」

京太郎「愛着もあるし、すごく離れがたい……もっと長くここにいられたらって……まぁ、その……わりと真面目に、考えたりしてるからな?」

春「京太郎!」ダキッ

京太郎「おっと……」ウケトメ

春「……嬉しい……ありがとう……」ギュー

京太郎「俺のほうこそな……春にも小父さんたちにも、感謝してる……ありがとな」

春「うん……」

京太郎「……そろそろ帰らないか?」

春「もうちょっとだけ……だめ?」

京太郎「……いや。それじゃ、もうちょっとだけな」ナデナデ

春「ん……」ギュー


ということで、最終章前の骨休め回
ここからが本当の地獄だ(書き溜め的な意味で)

で、あれから一向に進んでません
しばらく仕事優先で動くので、年内に終わればいいなぁくらいの感覚で

宝くじ当たったら、春編一気に終わらせる
では、またいずれ


~二年目9月四週水曜

~朝の鍛錬

春「――はい、今日はここまで」

京太郎「……ふぅ。ありがとうございました」

春「コントロールもうまくなってきた。これなら、見分けもできるようになってるはず」

京太郎「見分けってのは?」

春「前の京太郎は、見えるようにはなってるけど、それが人間なのかそうでないのか、危ないか危なくないか、その見分けができてなかった」

京太郎「あー、確かに……思いっきり見ようとしてたもんな」

春「私が教えなかったせいもあるけど、見分けそのものが難しい、ということもある」

春「だから、普段は私たちが一緒にいて注意していたたけど、そろそろ次のステップに移る時期……京太郎ならできるはず」

京太郎「なるほど……春がいつも隣にいたのは、そういう理由もあったんだな」

春「私が一緒にいるのは、それが理由じゃないけど」

京太郎「……そっか」ポリポリ

春「そう」

京太郎「……で、見分けってどうすればいいんだ?」

春「常に、視覚に力の影響を届かせておいてほしい。やってみて?」

京太郎「ふぅん……んー、こんな感じか……目が疲れそうだな」キアイー

春「慣れれば無理なくできるようになる……そうしてると、人間じゃないのは周囲にモヤが見えるはず」

京太郎「なるほど……」

春「色が緑なら安全。そこから黄色に近づいて、赤くなるにつれて危ない」

京太郎「ゲームの体力ゲージみたいだな……」

春「安全といっても、害がないわけじゃないのもいる。モヤが見えたら、そっちは見ないようにして」

京太郎「わかった」

春「じゃあ、今度こそ本当に鍛錬はおしまい。目の訓練だけは、忘れずに続けておいて」

京太郎「ああ、そうする……前みたいなことになって、春が危なくなるのは御免だからな。ちゃんと練習しとくさ」

春「私は大丈夫」

京太郎「大丈夫じゃないっての……あのときはなんとかなったけど、本当に危なかったし、起きたあとも心配したんだからな」

春「心配したのはこっち」

京太郎「う……ま、まぁほら、どっちも無事だったわけだし……」

春「うん……だから京太郎、あんまり無茶しないで。私も、京太郎が危ないのはいや……助かるなら、一緒に助かりたい」

京太郎「……ああ、そうだな。春だけじゃなく、自分もしっかり守らないとな」

春「うん、お願いします」

京太郎「……春のことも守りたいんだぞ?」

春「それは……そのくらいになったら、お願いします」

京太郎「手厳しい……」

春「ふふっ」


滝見父「はっはっは、おはようご両人。話は済んだかな?」

京太郎「――っ!? お、おはっ、おはようございます!」

春「おはよう。お務めと訓練は終わった。ご飯の準備はいまから」

滝見父「うむ。では、食事中に話すとしようか……」

春「なにを?」

滝見父「実はまた少し、頼みたいことがあってな」

春「……また料理? 今度は誰が来るの?」

京太郎「ちょ、春、それは――」

滝見父「なに、構わんよ。どうせ皆の娘らも知っているのだろう?」

京太郎「う……ええ、まぁ……すみません」

滝見父「はっはっは、気にすることはない! 皆もどうせバレるだろうと思って、あんなことを言っていたことだしな」

京太郎「そうなんですか?」

滝見父「うむ。それを知ったあとの娘たちの反応を見るのもまた一興、などと言ってな……いやはや、困った当主たちよ」

春「おまいう」

京太郎「いや、ほら、小父さんはなにも言ってなかったわけだし……」

春「どうせなら推してくれてもいいのに……」ブツブツ

滝見父「いかんぞ、春。欲しいものは自分で掴み取ってこそだ……違うか?」

春「利用できるものはなんでも利用する……」ゴゴゴゴ

京太郎「闇落ちしてる!?」

滝見父「はっはっは、頼もしいことだ! まぁよかろう……次の頼みは、そんな春にぴったりの頼みごとだぞ?」

春「本当かな……」

京太郎「え、俺じゃなくて、春ですか?」

滝見父「正確には、二人に――だな。ともかく話はあとだ、まずは汗を流してきなさい。まだ温かい時期だが、そのままでは風邪を引くぞ」

京太郎「そうですね、そうします」

春「じゃあ行こう、京太郎」

京太郎「順番にな!?」


~朝食中

春「山陰にお遣い?」

京太郎「俺たち二人で、ですか?」

滝見父「うむ。恒例の挨拶回りと簡単な儀式の参列ではあるのだが、今回は色々な事情で、こちらも手が離せない時期になってしまったのでな」

春「あ、そうか。前の事件の後処理で……でも、いつもより遅い気がする」

滝見父「そうだな。本来ならもっと早い時期だが、天候の崩れや災害もあり、儀式の日程がずれ込んだらしい」

京太郎「それで、折り悪く今週末になったわけですか……」

滝見父「事情はわかってくれたかな。私と母さんは、こちらの事情ではあるが、手が離せない……そこで、二人に名代を頼もうと考えたわけだ」

京太郎「えっと……霞さんや初美先輩にお願いする、ということはできないんですか?」

滝見父「石戸と薄墨は、少し相性が悪い家でなぁ……ゆえに毎年、我が家か狩宿が挨拶に出向いているのだよ」

京太郎「なるほど……巴さんはもう帰っちゃいましたし、春しかいないわけですね。ただ、どうして俺も?」

滝見父「はっはっは、京太郎くんにしては察しの悪いことだ」

京太郎「え?」

春「!」ガッツポ

滝見父「知った土地とはいえ、遠方に娘一人で向かわせるのは、さすがに心配もしようというものだ」

京太郎「あ……た、確かにその通りです! すいません、俺としたことが……」

春「…………」ガックリ

滝見父「以前に奈良まで行ってもらったときは供をだせたのだが、今回は本当に人手が足りなくてなぁ……頼めるとありがたいのだが」

京太郎「そうですね……そういうことでしたら、謹んで」

春「私も大丈夫」

滝見父「おお、ありがたい! では土曜日、出発が早朝になって申し訳ないが、よろしく頼む。先方にも事情は話しておくので、気軽に行ってきなさい」

京太郎「はい。失礼のないよう務めますので」

春「宿はどうしたらいい?」

京太郎「!?」

滝見父「うむ、手配はできている――と言いたいところだが、夜には帰ってこられるはずだ。必要はなかろう」

京太郎「ですよね!」

春「ガーン」

滝見父「遅くなるからこそ、京太郎くんにも同行を願ったわけだ」

京太郎「納得です」

滝見父「春一人でというなら、宿の手配もやぶさかではないのだが――」

春「むぅ、一人旅でお泊りしても意味がない……わかった」

滝見父「だが、そうだな……不測の事態で帰れなくなる恐れもあるか。懇意にしている宿の連絡先を教えておく、いざというときは頼りなさい」

春「まかせて」

京太郎「はは……まぁでも、週末は天候も大崩れしないそうですし、大丈夫でしょうね」

滝見父「いざとなったら、京太郎くん……春のことをよろしく頼むぞ」

京太郎「は――えっ!?」

滝見父「……言葉が足りなかったな。なるべく守ってやって欲しい、ということだ」

京太郎「わ、わかってます! お任せください!」

滝見父「はっはっは! では改めて、よろしく頼んだぞ」


~学校、部活前

春「――ということで、土曜日はお休みします」

京太郎「滞在期間ギリギリなのに、申し訳ありません」

小蒔「」

湧「姫様、お気を確かに!」

明星「家の名代でお二人でって……え、大丈夫なんですか?」

京太郎「どういうことだ?」

春「これでも、挨拶回りは慣れてる」

明星「い、いえ、ではなくて……その、なんというか……」

小蒔「は――反対です!」

京太郎「えぇっ!?」

初美「いやー、これはあれですねー、完全に外堀埋めにかかってますねー」

京太郎「どういうことですか?」

霞「……まず、他家を招いての大事な儀式で、招かれるお客様も格式あるお家柄なわけでしょう?」

京太郎「ですね……」

湧「そんな皆様の前に、名代として――将来の当主として顔をだすご息女の春さま」

京太郎「うん……」

明星「その方が、同じ年頃の男性を伴って来られる、これはどういう意味になりますか?」

京太郎「………………あっ!?」

春「なんの問題が?」

京太郎「い、いや、これはちょっとまずいかも――」

春「落ち着いて。お父さんが相手にも話をしているはず、問題はない」

京太郎「……言われてみれば、確かにそうか?」

霞「ご、誤解を招くかもしれないわ」

小蒔「その通りです!」

春「誤解じゃなくすればいい」

霞「そうではなく!」

初美「必死すぎじゃないですかー? 滝見の小父さまが、そこまで考えてるとは思えませんけどねー」

湧「春さまの世話役とか護衛とか、そういった説明をされているでしょうし――」

明星「日帰りでは、邪推される余地もないのでは……」

霞「甘いわよ!」

小蒔「な、なにがあるかわかりませんしっ」

京太郎「なにがあるかわからないからこそ、俺がお供するんじゃないか?」

小蒔「そうではなく!」

春「ともかく――私たちが引き受け、先方にもお伝えしている以上、いまさらもう一回変更するわけにもいかない」

京太郎「そうだな、俺もそう思う。俺たちも向こうで自己紹介するし、誤解されそうなら否定すればいいだけだ」

春「む……否定はしなくても――」

小蒔「そ、そうですよね! 京くん、くれぐれも間違いのないよう、節度を持って役目を果たすように!」フンスッ

京太郎「ああ、もちろん……こまちゃんや大社の名前に傷をつけないよう、真面目にやってくるよ」


初美「ま、その辺りは京太郎なら、心配いりませんねー」

霞「春ちゃんより礼儀正しいまであるわね……」

京太郎「いや、そこまでは……なぁ?」

春「京太郎のほうが礼儀正しい。滝見の名代として挨拶してほしいくらい」キリッ

京太郎「それは春の仕事な!?」

霞「そうよ! 春ちゃんがしなくて誰がするの!」

小蒔「滝見の名に恥じない仕事をするように!」

春「はい」

明星(完全にからかわれてる……)

湧(春さま、お戯れを……)


~二年目9月四週土曜

~出発、道中

京太郎「さて――この電車なら昼前には着くかな。予定の確認だけ済ませとくか」

春「到着したら、あちらのお社でご挨拶。お供えをお渡しして、儀式が始まるまでは待機」

京太郎「ふんふむ」

春「お昼過ぎから始まって、長くとも二時間くらいで終わる。そこから遅い昼食と夕食を兼ねて、宴席がある予定」

京太郎「そこでなにかやることはあるか? 給仕したり調理したり」

春「私たちはゲストだから、なにもしないのが仕事」

京太郎「あ、はい……」

春「事前に挨拶できた人はいいけど、それ以外の人にはそこで挨拶に回る予定。京太郎は私の傍を離れないで」

京太郎「なるほど、了解」

春「同級生という紹介では不十分だと思うから、修行のために来た居候であることも強調しておくけど、それでいい?」

京太郎「ああ――いや、そうだな……」

春「なにか問題がある?」

京太郎「紹介内容はいいんだけど、名前をだしても大丈夫なのかと思ってさ。ほら、思いだしたといっても、そもそも俺もよくわかってなかったし……」

春「あ――そうだった、京太郎は須賀の御曹司」

京太郎「御曹司やめて! っていうか、忘れてたのかよ……」

春「私にとって、京太郎は京太郎だから……家がどこでも関係ない。私を……大きく成長させてくれた、大事な人、だから……」ポッ

京太郎「……やばい、嬉しい」

春「でしょ?」ピトッ

京太郎「……で、名前はどうする?」ナデナデ

春「京太郎に任せる」

京太郎「そうか――なら、名乗るだけ名乗っておくか」

春「須賀のことを聞かれたらどうする?」

京太郎「……俺には関わりのないことだって言っておく。いまの俺の身分は、永水女子の生徒で滝見の居候、それだけだ」

春「ん、わかった。京太郎は滝見で預かっている、神職の修行をしているだけの居候、それでいい?」

京太郎「ああ、そういう扱いで頼む――春お嬢様」

春「はうっ」キュンッ


京太郎「いかがされました、春お嬢様?」

春「……これは、命令していい流れ?」

京太郎「ご随意に」

春「では、京太郎……お茶の支度を」

京太郎「かしこまりました」シュバッ

春「早い!」

京太郎「こちら、本日はアッサムを――それに移動中の軽食にと、焼き菓子をいくつか……お取りしましょうか?」

春「……食べさせて」

京太郎「かしこまりました」アーン

春「あーん」モグモグ

京太郎「いかがでしょう?」

春「……好き」

京太郎「!?」

春「この味、好き……京太郎が作ってくれる、いつもの味……あれ、どうかした?」ニヤニヤ

京太郎「ぐっ……い、いえ、なにも……」カァッ

春「ふふ……うん、やっぱり好き……大好き……」モグモグ

京太郎「……光栄の至りです、お嬢様」

春「外では春と呼びなさい、京太郎」キリッ

京太郎「はい――春、嬉しいぞ」

春「ん」キュン


(なにあれ爆発しろ)
(滝見のお嬢さん……ま、まさか、あの男と!?)
(こりゃめでてえ! ご当主に祝言の日取りを確認しとかねぇと!)
(馬鹿なっ、霧島の巫女がこれほど早く、あんなイケメンを獲得するとはっ……)


~到着

~某所神社

京太郎「なんか車内と駅と、道中で妙な視線を感じたような」

春「気のせい」

京太郎「そうかな……」

春「旅行で気持ちが昂ってるだけ」

京太郎「そうか……」

春「それより、ここが目的地」

京太郎「着いたか……ここも大きい神社だな」

 荘厳な石造りの鳥居から、奥へ続く長い石畳。
 それを覆うように広がる林は、不気味さよりも神聖さを感じさせる。
 見た人間に威圧と慈しみを与える、まさしく神の住まう社といった印象だ。

春「大丈夫?」

京太郎「まぁ、霧島で空気には慣れてるからな」

春「頼もしい。じゃあ、まずは拝殿でご挨拶。それから社務所に行く」

京太郎「了解」


~社務所

春「霧島の遣いで参りました、滝見家当主名代の、滝見春です」

「まぁ、ご丁寧に……すっかりいいお嬢さんになられて」

春「恐れ入ります」ペッコリン

「それで、その――そちらの方は?」チラチラ

春「当家の居候です。京太郎、ご挨拶を」

京太郎「お初にお目にかかります。現在は滝見家に居候させてもらい、修行に励んでおります。須賀京太郎と申します」フカブカー

「――須賀? ということは、あの……」

春「彼は――当家の居候です。それ以外のことは、申し上げられません」

「……そうなの?」

京太郎「なにぶん、こちらの世界には疎いものですから……不調法がございましたら、ひらにご容赦を」

「そうですか……いえ、わかりました」

京太郎(ふぅ……)

「本家ではなく、滝見に居候してるということは……ねぇ? あらあら、春ちゃんもそんな年に……おばさんも年取るわけだわぁ」

京太郎「……なんか誤解されてない?」

春「されてない」キリッ

「あらあら、でもでもそうすると、姫様を袖にしたということに……あなたすっごいわねぇ、大物になるわよ」

春「もちろんです」キリッ

京太郎「やっぱり誤解されてるよね!?」


~式典後、宴席

京太郎「はぁぁ~~~~……一通り、挨拶は終わったんだよな?」

春「うん。お疲れさま」

京太郎「ああ、春のほうこそお疲れ……で、だ」

春「はい」

京太郎「全員、間違いなく誤解してたよな?」

春「してないと思う」

京太郎「……春がそう言うなら、それでもいいけどさ」チラッ

「あれがほら、須賀の――」
「ということは、例の不始末を一人で片づけたと――」
「だとしたら、須賀の跡取りは――」
「そちらとは無関係だと――」
「では本家の姫様と?」
「それが、ほれ――」
「なんと、滝見の……」
「おお、おお、ええ雰囲気じゃあないか……」

春「うん、いい」ムフー

京太郎「あんまりよくないような……」

春「確認されてもないのに、いちいち否定するほうが却っておかしなことになる」

京太郎「う、む……それは、確かに」

春「こういうときは事実だけ話して、あとは気にしないのが一番」

京太郎「そうだな……そうかも。ま、ここでの作法は春に任せてるしな」

春「うん、任せて」

京太郎「なら、俺は春お嬢様のお世話に徹することにしようか」

春「いい」

京太郎「ん?」

春「名代が付き人に甲斐甲斐しく世話されてたら、子供みたい……京太郎は隣にいてくれれば、それでいい」

京太郎「……いつも通りってことだな」

春「そう。いつも通り、隣に……」ピトッ

京太郎「…………」ナデナデ

春「んふぅ……」トローン

京太郎「って、いかんいかん! 名代で来てるんだから、シャンとしてるとこを見せとかないと」

春「確かに」シャキーン


「お? なんじゃ、やめちまいおった」
「最近の若いもんは、だらしないのう」
「ワシらの若い頃は、そのままおっぱじめたっちゅーのに」
「これもあれじゃのう……草食化の波、っちゅうかのう……」

京太郎「肉食系でもこんなとこでやりませんよ!」

春「私は一向に構わん」

京太郎「構って!」

春「もちろん冗談。京太郎以外の目がある場所では、隙は見せない」

京太郎「俺の目ならいいのかよ……」

春「うん、いい」

京太郎「いや、だからな――」

春「――いい。京太郎の目なら、京太郎の傍なら」ジッ

京太郎「っ……あのな、春……」

春「はい」

京太郎「その……そういうこと言われると、こっちもさ……色々あるわけでさ」

春「うん」

京太郎「だから、えーっと……軽々しく、そういうことを言うのは――」

春「うん、軽々しく言ってない」

京太郎「…………そう、か」

春「うん」ニコッ

京太郎(………………ああ、やばい)

京太郎(今日が泊まりじゃなくて、本当によかった)


~宴席終わり、夜

京太郎「思ったより遅くなったな」

春「宴席は、全員が潰れるまで続くから」

京太郎「そのルール廃止にしたほうがいいだろ……さて、忘れ物はないか?」

春「ん、大丈夫」

京太郎「この時間だと、霧島に帰れる最後のになりそうだ……急ごう」

春「うん……ん?」

京太郎「あれは……ここの神社の人、だったよな」

春「そう……なにかありましたか?」

「ああ! よかった、まだこちらでしたか……」

京太郎「俺たちに用だったんですか?」

「いえ、用というか、お伝えしなければならないことがございまして」

春「お伺いします」

「はい、では――先ほど、線路内に不審物があると通報があったらしく、その調査と安全確保のため、明朝まで鉄道を封鎖するそうです」

京太郎「………………えっ」

春「なるほど」キランッ


次回、帰れなくなった二人
2020公開予定


~滝見家、懇意の宿

~10畳の客室

春「ふぅ……今日は疲れた」ゴロン

京太郎「……こら、はしたない」

春「大丈夫、誰も見てない……」

京太郎「俺がいるだろ――にしても、なんとか一部屋だけでも空いててよかったな。こんな広い部屋なのは、ちょっと恐縮するけど」

春「うん、よかった……これも、日頃の行い」

京太郎「そうかもな。それじゃ、俺はロビーで寝かせてもらうから、春はここでゆっくり休んで――」

春「……待って」

京太郎「……まぁ、そう来るとは思ったけどな。でもだめだ、春……俺は小父さんに頼まれて来たんだ、その信頼を裏切るわけにはいかない」

春「……なんのこと?」

京太郎「だから、部屋には泊まれないって――」

春「うん、それはいい」

京太郎「………………ん?」

春「なに? もしかして……私と同じ部屋に、泊まりたかった?」ニヨニヨ

京太郎「……いや違うし? そんなこと言ってないし?」

春「でも勘違いはした」ニヤー

京太郎「ああああああああああああああ!」ゴロゴロゴロゴロ

春「京太郎かわいい」クスクス

京太郎「いや仕方ないだろ!? いつもの春なら、こう……なぁっ?」

春「うん、そう思う」ニヤニヤ

京太郎「いやああああああああああああ!」

春「まぁ落ち着いて――とりあえず休むにしても、お風呂をいただいてからにしたほうがいい」

京太郎「う、ぐ……まぁ、そうだな……俺もわりと、汗かいたし……」

春「で、お願いはそこから――そのあとでいいから、マッサージしてほしい」

京太郎「…………えっ」

春「マッサージ。京太郎は上手って聞いた……あと、人がいるところではしないほうがいいっていうのも。ここなら、平気」

京太郎「え、と……いや、まぁ……それは、そうなんだが――」

春「今日は疲れたから、ちゃんとほぐしておきたい……旅館のサービスでもいいけど、私は京太郎のほうが信頼できる。だめ?」

京太郎「だ……だめじゃ、ない……けど……」

春「じゃあ――お願いします」ペッコリン

京太郎「…………ああ、わかった。じゃあ、お風呂を上がったらここに戻ってくる。それから――マッサージしよう」

春「うん……ありがとう、京太郎」ニコッ


~大浴場・男湯

京太郎(ふぅ……こんないい旅館で、春に……二人きりで、マッサージ……か)

京太郎「――俺も、覚悟を決めないとな」パシンッ

京太郎「……もうちょっとあったまってから、上がるとするか。女の子は長湯って聞くしな……」バシャバシャ


~大浴場・女湯

春「……………………」ゴシゴシゴシゴシ

春「……………………」ゴシゴシゴシ……ザバー

春「……………………よし」グッ


~再び、客室

春「……あ」

京太郎「おかえり」

春「ただいま……お待たせしました」

京太郎「いや、そんなに待ってないよ。それに、色々と準備もあったから、ちょうどよかったくらいだ」

春「それなら、よかった……」ドキドキドキ

京太郎「にしても、あれだな……やっぱり俺も、部屋に泊まると思われてたみたいだ」

春「あ、うん……」ドキドキ

京太郎「ほら、布団二組だろ?」

春「うん……うん……」スゥハァ

京太郎「ま、あとでロビーには声かけておくから。それじゃ、春はそっちの布団で横になってくれ」

春「はい……じゃあ、あの……お、お願いします……」トクントクン


京太郎「ん……あ、それは脱いだほうがいいな」

春「!?」ビクンッ

京太郎「まぁ9月の夜は、ちょっと肌寒いとこもあるけど……半纏があると、指が入りにくいからな。浴衣だけになってくれるか」

春「あ……あ、ああ、うん……そう、だよね……」ドキドキドキドキ

京太郎「………………」

春「………………」プルプル ピクンッ

京太郎「………………」ピトッ

春「ひぅっ!」ビビクンッ

京太郎「……ちょっと震えてるな。やっぱり、やめとくか?」

春「……ううん、平気。震えてるのは、武者震いだから」

京太郎「なんでだよ……まぁなるべく、力は抜いといてくれよ?」

春「ん……でも……リラックスさせるのも、たぶんマッサージ師の仕事」

京太郎「む……確かに」

春「でしょ?」フフー

京太郎「なら――身体のマッサージの前に、ハンドマッサージからしようか。手、貸してくれるか」

春「はい」

京太郎「手の平も、すぐに疲れて硬くなるからな……ちょっと指圧するだけでも、かなり違ってくるんだぞ」モミモミ

春「んっ……あっ……んぅっ……そ、そうなんだ……へ、えっ……んぅっ……くっ……」ピクピクッ

京太郎「でも――春の手は、このままでも柔らかいかな」

春「んっ……そう、かな……///」

京太郎「でも――疲れは溜まってる」グッ

春「んぴぃっ!?」ビビクンッ

京太郎「あれだけツモって捨てて、牌ばっか握ってるんだから、当たり前だよなぁ?」グッグッ

春「んひっっ!? いひゃっっ、いひゃいっっ!」バンバンッ

京太郎「もうちょっとだけな、もうちょっと――よっと!」ググーッ

春「あうぅぅぅぅっっ!」ジタバタッ

京太郎「はい、オッケー……あとは優しく、撫でるだけな」ナデナデ

春「ひぃっ、ふぅ……うぅぅ……聞いてた通り、京太郎はドS……」プルプル

京太郎「マッサージしただけダルルォ!?」

春「でも……はぁ、ふぅ……ちょっと、楽になった……」エヘヘ

京太郎「ならよかった……じゃ、本番だな。うつ伏せで、楽にしててくれ」

春「っ……ん、はぁい……」コロン

京太郎「それでは――マッサージのほう、始めさせてもらいます。痛かったり、嫌なところがあったりしたら仰ってください」ペコッ

春「……さっき言ったのに、止めなかった」ジロッ

京太郎「あれはノーカンでござます」ペッコリン

春「もうっ……ふふっ、じゃあ――お願いします、京太郎」

京太郎「はい――では、背中から失礼します」


「……んぅっ……」

 京太郎の手が浴衣越しに触れる、その力強い感触を味わっただけで、うつ伏せの春は思わず熱い吐息をもらす。
 続けざまに肌に食い込む圧は優しく、それがジワリと身体の内側を押し、絞るように擦り上げていく。

「んはっ……あ、んっ……」

 いけない――と思いつつも、指がグッグッと背中を押し、腰から肩まで這い上がってくると、声を抑えることができない。
 京太郎の身体が自分を組み伏せ、この切ない快感を注いでいるのだと自覚するだけで、身も心も蕩けそうだった。

「――思った以上に凝ってるな。腰も肩も……首も、相当ガチガチだぞ」
「そ、う……うぅ……んっ、あっっ……ぁんっ……」

 呼びかけに応じようとする、その瞬間に鋭い刺激が広背筋を突き押し、心地よい電流が背筋を貫いた。
 たまらずビクンッと腰が跳ね、春は背筋を反らせて喘ぎ、身を捩ってしまう。
 そんな春の反応をどう思っているのか――気配にも動きにも動揺を見せることなく、背後の京太郎は淡々と手を滑らせ、春の身体を揉みほぐす。

「痛かったら遠慮なく言ってくれよ――まぁ、優しくはするつもりだけど」
「んっ、ふっ……くっ、ふぅっ……んぅっ、うんっ……」

 なんとか返事はできたものの、痛いなどと訴える余裕はまるでない。
 そもそも痛くない、というのもそうだが――京太郎の指が肌に沈むと、それだけで心地よい波が全身に広がる。

(っ……す、ごいっ……聞いてたのと、思ってたのと――レベルが、違いすぎっ……るっ……んっ、ふぅっ!)

 指圧が肩から背中へ戻り、再び首筋へ上がっていく。
 その刺激だけで全身の筋肉が弛緩し、身体が布団へ沈み込むのを感じた。
 全身を擦りつけるように布団に身を委ね、脱力しきった身体を指で揉みほぐされる、夢のような快感と時間だ。

「あふっ、んっ……んふっ、んくっ……はぁっ、あっ……いぃっ……きょ、うぅ……んっ、あっっ……」
「……そっか、そりゃよかった」

 春の返事に安堵したかのように、彼の指技が滑らかに、そして大胆に背中へ食い込む。

「んふっっ、くうぅぅぅんっ!?」

 それまでより、わずかに深く指が食い込んだ瞬間、脊髄を電流が駆け抜け、視界が霞むのを感じた。

(なっ……ぁっ、んっ……んっ、ふっ……なに、いまぁ……あぅっ、んんぅっっ!)

 とっさに唇を噛むのが間に合ったからよかったものの、感覚にだけ集中していたら、間違いなく淫らな声が跳ねていただろう。
 自身の反応を恥じ、耳まで赤く染めて春は身を縮めるが、京太郎の指はそれを許さない。

「少し強めにするけど――あとちょっとだからな」
「わ……かっ、た……んっ、んくっ……はぁっ、んっ、ふっ……」

 答えた瞬間に閉ざした唇の奥で、カチカチと歯が打ち合わさった。
 身体の芯から揉みほぐすような指の刺激に、身体は蕩けるような快感で緩み、奥深くから熱が込み上げてくる。
 お風呂上がりの全身は、しっとりと汗で湿って浴衣を身体に張りつかせ、彼の目には、その肢体のラインが映り込んでいることだろう。


(……これは、本当……予想、外っ……外してきたの、失敗だった……かもっ……)

 京太郎をその気にさせるべく、下着を外しておいたせいか、指の感触がより鮮明に感じられるようだった。
 さらには、その格好で快感に身を捩り、全身を蕩けさせていることに、気づかれているであろう事実――それが、恥ずかしくてたまらない。

(っ……京太郎の指で、気持ちよくっ……されてる、とこ……見られてる、私ぃ……んっっ、んんぅぅっ……)

 意識すればするほど、身体の奥底から熱い感覚が波のように広がり、甘い声と吐息と、汗と――別のものが、ジワリと染みだしてくる。
 それを恥じ入る身体はますます敏感になり、京太郎の指が背中から首筋へ、そして肩へ滑ると、声が抑えられない。

「んくっ……んぅっっ、はぁぁぁっ!? あんっ、あはぁっっ!」
「お、痛かったか? でも、肩はこれだけだから――よっと」
「~~~~~~っっっ!? んふっ……んっ、ぐっっ……んんぅっ……はぁっ、あっっ……」

 親指だけに集中して咥えられた圧力が、最も気持ちいい部分の凝りをほぐし、頭が真っ白になる。

(ぁっ……んっ……だ、め……きちゃ、うっ……はぁっ、あっ……)

 ビクッ、ビクンッと全身が軽く震える、その感覚が燃えるような羞恥を煽った。
 ゆっくりと彼の指が離れていくが、それを名残惜しく思いつつも、追いかけることができない。

(き……気持ち、よすぎ……ぃっ……♪)

 自分の意思で身を捩ることすらできないほど、身体は快感を覚えて弛緩し、布団の上でゼリーのように蕩けきっていた。
 これを数名の女子部員が、同じ部屋で受けていたという事実に戦慄する。

 そういえば――従姉である戒能良子は、これをホテルで味わったと自慢もしていた。
 性的な意味で京太郎に狙いを定めていた良子が、よくも一線を越えずに我慢しきれたものだ。

(……あれ、ちょっと待って?)

 京太郎がいま施術を終えたのは、上半身のみ――腰から下には、一切指が触れていないことに気がつく。
 自慢ではないが、女性らしく肉のついた自分の身体が、浴衣一枚だけを羽織っているのだ。
 仮に下半身に触れていれば、布地に浮かび上がった尻房の形を目にし、彼の獣欲を少しばかりは刺激できていたはずだ。

 それを微塵も感じさせないほど、彼の精神力が張り詰めているという可能性はあるが――。

 彼がまだ、それを見てないということであれば、無反応にも納得いかないことはない。
 そして――戒能良子という性獣が、彼を襲うことすらできないほどに弱らされた原因が、この続きの行為にあるとしたら?

(まさか、これから――ぁうっっ!?)

 そんな春の予想――期待に応じるように、長くも逞しい京太郎の指の感触が、腰のくびれからヒップのラインを這い下りた。

「じゃあ、次は腰回りと脚だな。こっちは、少し強くするけど――痛さ以外でも、気になることがあったらすぐに言ってくれ」
「まっ――ひっっ、んひぃっっ!? んふっ、ふぐぅぅっっ……」

 彼の指が肌を揉んだ瞬間、春は枕に顔を埋め、布団シーツにしがみつき、声を懸命に押し殺した。

(だ、めっ……んっ、だめっ、あぁぁ……だめっ、それぇ……それっ、反則っ……あぅっ、んんぅっっ……)


 京太郎の指は、尻房が見えないギリギリの位置まで浴衣の裾を捲り、太ももの付け根に深々と食い込んでいた。
 ともすれば尻肉か、Vラインではないかと思うようなくらい、深い付け根を指圧され、腰が大きく跳ね震える。

「ん……ちょい強張ってるかな。麻雀の最中は座りっぱなしだし、この辺とか――もうちょっと上の筋肉とかが、意外と凝りやすいんだよ」

 お尻の筋肉、そこから連動する太ももの外側やふくらはぎの外側が痛くなるのだと、指圧しながら京太郎が囁いてくれる。
 だが、そんな情報が入る余地は、春の頭に残されていない。

(だ、めぇぇぇっっ……はぅっ、うぅぅんっ……あぁぁっっ、そこぉぉ……そこっ、気持ちいいっ……京太郎の指、気持ちいいぃっ……)

 太ももを両手で握るように固定し、指が尻房の下側をグニグニと圧迫し、凝りをほぐしていく。
 その心地よさといったら、上半身の比ではない。
 わずかに指が緩められるだけで、春の身体は勝手に刺激を求めて腰を浮かせ、尻房を掲げてしまう。

(やっ……ぁっ……やめっ、あうぅっっ……お、お尻っ、浮いちゃ……ぁっ、んっっ……あぁぁっ、そこぉぉっ……)

 彼の前ではしたない姿を晒している自覚が、ジワジワと羞恥を煽る。
 けれど、掲げた場所を慰めるように指で揉まれると、羞恥がどうでもよくなってしまうほどの快感が迸った。

(そこっ、そこいいっ……もっと、してっ……指で、突いてぇ……グリグリ、してぇっ……)

 指にお尻を押しつけ、自らフリフリと揺すってしまっていることに気がつく。
 いや、大丈夫――浮かせているのは少しだけ、だからバレない。

(だ、大丈夫、これぇ……京太郎は、気づいてない、からぁ……ぁんっ、もっと……もっと、強くぅっ……)

 唇は半開きになり、表情は蕩け、それを埋めた枕は汗と涎でぐっしょりと濡れていた。
 浴衣の中も、間違いなく大惨事だ――ドロドロとした情欲の汗が溢れ、蒸れ、どう取り繕ってもその匂いを誤魔化すことはできないだろう。

 だが、そうした不都合な事実から目を背け、春は甘い快楽に溺れ、懸命に腰を引き、尻房を突きだしていた。
 こんな快楽を与えられて、自ら身を引き、心を律するなど不可能だ。

「んふぅぅぅっ……ふっ、ぐっ……んっむぅぅぅっっ! んふっっ、んふぅぅっ……ふぅぅっ!」

 太ももを扱くように両手が滑り、指圧が尻房から太ももへ、ジワジワと位置をずらしながら、そのすべてに快感を注ぎ込む。
 血行と凝りがよくなっているだけでは、断じてない。
 なにか、女の根源的な部分を彼の指に癒やされ、解放されていくような感覚だ。

「よし、だいぶ柔らかくなって、力も抜けてきたな……自覚あるか?」
「ぁっ……ひっ……ぅっ……んっ、あ……ありゅ、うぅ……んくっ、ふっ、うぅんっっ……」

 こちらが下着を穿いていないことを、自覚しているのか――と、問いたいくらいだ。
 彼の指が触れてくるわずかに上、そしてわずかに奥。
 そこがいま、どんな有様になっているのか――布団に密着するその部分は、じっとりとした粘つきと湿り気を孕み、春に実感させる。

 己の反応を、否が応にも、これでもかと。

(ぁっ……うっ、ふぅぅんっ……これ、絶対……見られたら、だめっ……)


 ただのマッサージ――本当に、これがただのマッサージなのかは疑問だが――を、受けているだけで。
 こんな反応をしてしまっている女子を、京太郎はどう思うだろうか。

(だめ……絶対、だめ……京太郎がそういう気持ちになって、私を求めるならいい……けどっ……私が、そんな、お……女の子、だって……あぅぅっ!)

 とにかく快感を求めているような、いやらしい女子だと思われたりしたら――もう生きてはいけない。
 普段の言動で、どこまでも彼を誘惑していた自分が思うのもなんだが、エロ女と思われることだけは避けたかった。

(で、もぉ……んっっ、あぁぁぁっっ! そこっ、そこだめぇぇぇっっ♪)

 膝からふくらはぎへ下りた指の刺激が、普段の立ち仕事で張り詰めた筋肉を芯からほぐしてくる。
 今日の儀式への参列も、粗相のないよう緊張して佇んでいたことで、負荷は随分と蓄積されていた。

(だめっ、だめっ、だめぇぇぇ……もっと、優しくぅぅ……ぁうっ、あっっ、あうぅぅぅっ!)

 ビクッ、ビクンッと震える脚が跳ね躍り、彼の手を押しのけて逃げようとする。
 けれど、力強い男の手はそれを逃さず、ガッチリと押さえつけ、容赦ない快楽を刻みつけた。

(だめっっ……あぅっっ、あうぅぅぅんっっ♪ きちゃ、うっ……んくぅぅっっ!)

 観念したように脱力した脚は、けれど足先だけをピンと張り詰めさせ、切ない痙攣をヒクヒクと繰り返していた。
 否、足だけでなく全身が小刻みな甘い痙攣を繰り返して、頭の中は真っ白に染め上げられている。

(はっ、あっっ……んっ……気持ち、いっ……京太郎っ……気持ちぃ、いいよぉ……)

 その余韻を味わわせるように――もしかして、わざとそうしているのだろか。
 鋭い指圧刺激とは異なる、柔らかく脚を包み込み、扱くだけの刺激が緩やかに与えられ、その心地よさは天にも昇るほどだった。
 揉みほぐされた脚は余計な力をわずかにさえ加えず、布団に沈んでピクリともせず、汗ばんだ紅潮を晒しているのが自覚できる。

「んー……おし、こんなもんか。それじゃ、反対側もするぞ?」

 その感覚が――もう一回、反対側の脚でも味わえるというのか。

「……っっ……は、いっ……お願い、し……しま、す……んっ♪」

 そう口にするだけで、春の身体は歓喜に蕩け、はしたなく跳ね躍り――奥深くから、熱い滴りをトロリと溢れさせていた。


春「はっ……あっ、んっ……あ、あぁぁ……」

京太郎「――お疲れ様でした」

 京太郎が施術の終了を告げる、それを聞いても春は、身体を動かすことができない。
 とはいえ、あくまで自発的には――というだけだ。
 快感に身を捩り、腰を振り続けた身体の反射によって、浴衣はもはや、取り繕えないほどに着崩れている。

京太郎「……で、だ。春?」

 ここまで――脚が完全に露わになり、尻房まで見えるほど裾が乱れていては、彼も無視できなかったのだろう。
 申し訳なさそうにそう切りだした彼の言葉に、春は億劫な身体に鞭打って、なんとかコテンと身体を寝返らせた。

春「は……い……どうか、した……?」

京太郎「っ……いや、どうかも、なにも……」

 乱れは下半身だけではない。
 帯は緩み、結びはほどけ、肌蹴られた浴衣は身体の前面を、ほぼすべて彼の目に曝けださせている。

 そのことに羞恥が込み上げ、鼓動が早鐘を打ち、汗があとからあとから湧いてくるが、もはや春は隠そうともしない。
 彼の手技に蕩かされ続け、理性が崩れてしまったためか、覚悟を決めていた。

京太郎「その……なんで、下着を――」

春「……見てもらうために、つけなかった。ちょっと、誤算はあったけど……」

 ここまですれば意図も伝わったらしく、京太郎は複雑そうな、逡巡するような表情を浮かべる。

春「……先に言っておくけど、誰にでもはしない。絶対に」

京太郎「……それはもう、十分すぎるくらいわかったけど」

春「わかってない。京太郎は、わかってない……私が、どれだけ……」

 その先を告げようとしたところで、京太郎の指がスッと伸び、唇を押し止めた。

京太郎「いや――わかってる。というより……わかってたのに、俺はずっと、目を背けてたんだと思う」

春「京太郎……? えっ――」

 引き締まった京太郎の顔が、春を真正面から見下ろし、のしかかるように身体の位置を変えた。
 その体勢の意味するところを悟り、春の表情に驚きと喜び、そして狼狽が浮かぶ。

春「あ、の……京太郎、これは……」

京太郎「俺も……ここ何日か、俺なりに考えてきた」


京太郎「俺と春の関係とか、滝見の家のこととか……今回のお務めのことも、ずっと考えてた」

京太郎「小父さんたちの信頼は裏切りたくない、そう思ってる一方で――春と二人で出かけることを、楽しみにもしていた」

京太郎「こういう機会になるかもしれない、そうしたらどうしようかって――こうしてもいいのかって、ずっと考えてたよ」

 京太郎の真剣な表情と語り口に、春は言葉が出なかった。
 ただ痛いほどに鳴り響く心臓の音が、その言葉の邪魔をしないかと、それだけが気がかりだった。

京太郎「春が、いつから俺のことを……そんな風に意識してたのかは、ちょっとわからないけど……」

春「うん、だと思う」

京太郎「えっ」

春「いい、続けて」

京太郎「あ、はい」


京太郎「と、とにかく……こっちに来て、一緒に暮らすうちに……」

京太郎「同じ家にいて、より近くにいるはずなのに――前よりも、春のことを考える時間が増えてきた」

京太郎「それがどういうことなのかって、さすがに俺もすぐ自覚したけど――」

春(それは嘘っぽい)

京太郎「春のことを考えると、どうしても踏みだせなかった」

京太郎「俺が思ってる春の気持ちが、もし勘違いだったら――」

京太郎「俺なんかが春を、そんな風に見ていいのか――」

京太郎「俺を信用して家に置いてくれているご両親に、顔向けできないんじゃないか――」

京太郎「だから――本当なら今日も、こんなことするつもりはなかった。ここに来るまでは、な」

春「つまり……私の身体の、勝利?」

京太郎「言い方ぁ!」

春「冗談」

京太郎「まぁ、でも……概ね、間違ってはいない……のか?」

春「胸だけに」

京太郎「やめなさい」

春「はい」

京太郎「……いや、マジでな? ちゃんと帰って、小父さんたちに筋通してから、正式にアプローチするつもりではいたんだよ」

京太郎「けど……こんなことになって、結局泊まりになって、春に触れることになるって考えたら――」

春「……辛抱たまらんくなった?」

京太郎「言い方ぁ! でも、否定はできん……」

春「正直でよろしい」

京太郎「……いや、いやいや……それでも、我慢はするつもりだったんだよ」

春「……そんなになってるのに?」

京太郎「こ、これはどうにでもなるから……」

春「それはそれで、興味深い……見てみたい」

京太郎「さすがにそれは……」

春「あ、すぐ見ることになるか」

京太郎「慎みぃ!」


京太郎「――いちいち話の腰を折らない」

春「ごめんなさい」

京太郎「けど……まぁ、その……俺だけじゃなくて、春の気持ちも考えてみたんだよ」

京太郎「俺は、俺なりに覚悟決めて、帰ってから動くつもりでいたんだけど――春はもう、今日動こうと考えてたろ?」

京太郎「それに気づいて、自分が情けなくなってさ……なんというか、なんにでも安牌を選ぶようになってる、みたいな――」

京太郎「最初に筋を通して、それからっていうのは、一見まともかもしれないけど――自分の素直な気持ちから逃げてるだけじゃないかって」

京太郎「春の気持ちに応えたいって気持ちはあったけど、それ以上に――」

京太郎「俺はいま、自分の気持ちに従うべきなんじゃないのかって、春を見て気づかされたんだよ」

春「京太郎……」

京太郎「春――」





京太郎「――結婚を前提に、俺とお付き合いしていただけませんか」

春「――――――っっ!」





京太郎「春のことが、好きだ……誰にも渡したくないって、そう思えるくらい……誰よりも好きだ」

春「きょ、うっ……ぐっ、うっ……」

京太郎「その証を……俺は今夜、お前に刻みつけるつもりでいる」

京太郎「もし嫌なら、そう言って――んっ、うっ!?」

春「んっ……ふっ……んむぅっ……ちゅっ……はぁっ……私もっ、好きっ……京太郎のこと、世界で一番っ……」

京太郎「春っ……んっ、むっ……」

春「――っ……ちゅ……んちゅっ、ちゅばっ……はぁっ、ふぅっ……嬉しい……すごく、嬉しいっ……」

京太郎「はぁっ、えっと……つまり、返事は――」

春「い、いまさら……聞かなくても、わかるはず……」

京太郎「……いや、聞きたい」

春「……もう……京太郎は、しょうがない……」





春「――はい、喜んで」

春「不束者ですが、どうか……末永く、京太郎の傍にいさせてください」




テーレーレーレーレッテッテー(某宿屋SE)



といったところで、とりあえず終わらせていただきます
おたのしみ部分については、余裕があったら書くつもりでしたが、ここに載せるのはいかんかなと思ったり、それなら渋とかにするかなとか思ったり
考えてるうちに面倒になったので、書かないことにしました(怠慢)

あとはエンディングだあああああああああああ
いつになるかは謎! ごめんなさい!


【9月第四週日曜】
 このたびはご報告があります。
 私こと須賀京太郎は、永水女子の滝見春さんと、結婚を前提にお付き合いする運びとなりました。
 未熟な二人ではありますが、共に真剣な想いで歩んでいく次第です。
 どうか温かく見守っていただけますと、幸いです。

 つきましては、今後の派遣業務についてご連絡を。
 家業の修行を行うため、少なくとも今年度中は、永水女子への滞在をお願いすることになるかと思います。
 すでに連盟には連絡しており、間もなく認可されるとのことです。
 各方面にはこれまで、長らくお世話になったということもあり、身辺が落ち着きましたら、改めてお礼に伺わせていただきます。

 それでは、今後ともどうぞ、変わらぬお付き合いをよろしくお願いします。


 あ、春からもご挨拶がしたいとのことですので、少し代わります。


 滝見春です。
 まだ夢心地で落ち着かず、なんと言えばいいのかわかりません。
 でも、これだけは言えます。
 京太郎のことは、必ず幸せにします。
 これはきっと、誰がこうなっても言っていたと思います。
 だから心配しないでください。
 それと、友人としての京太郎との付き合いを、私は止めたりしません。
 いつでも遊びにいらしてください。
 あ、でも仲が良すぎるところを見せつけてしまったら、それはごめんなさい。

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京太郎「……最後はいらなかったかな」

春「でも、たぶんそうなる」ギュー

京太郎「……それはそうかもだけどさ」ナデナデ

霞「しにたい」

初美「なに言ってんですか。ちゃんと祝福してやってくださいよー」

巴「そ、そうですよ……京太郎くん、春ちゃん。本当におめでとう――これから毎日、遊びに行くからね」

湧「えぇ……」

明星「ま、まぁまぁ……センパイ方、おめでとうございます」

小蒔「――京くん」

京太郎「はい……えっと、姫様――」

小蒔「コマちゃんでいいですよ」クスッ

京太郎「じゃあ――コマちゃん」

小蒔「どうか春のこと……それと、滝見家のこと――よろしくお願いします。霧島の未来を、末永く支えてくださると嬉しいです」

京太郎「――ああ、もちろん。滝見家に婿入りしたら、この地域一帯も親戚になるわけだし、俺にできることはなんでもするつもりだから」

霞「ん?」

初美「ステイ」

小蒔「……なんでも、ですか?」

京太郎「あ、ああ……できることなら」

小蒔「で、でしたら、ですね……その……春も、許可してくれると嬉しいんですが……」モジモジ

京太郎「?」

春「言うだけ言ってみてください」

小蒔「た、たまにで、いいのですが……京くん一人で、うちにお泊まりとかしてくれると、嬉しいのですけど……」モジモジ

京太郎「」

春「……許可します」

京太郎「春ぅ!?」

春「落ち着いて……大丈夫、なにかあっても怒らない」

京太郎「いやなんもないから!」

春「というより――京太郎もここで住んでたわけだから、わかってるはず」

京太郎「え、と……どういうことだ?」

春「……え、鈍い?」

京太郎「ぐっ……」

巴「それはいまさら」

京太郎「ごふっ……」

霞「まぁ京太郎くんだもの……」

京太郎「がはっ……」

初美「まぁ鈍いのはともかく、観察眼は鋭いから意外でしたけど――よくよく考えれば、大人の数は揃ってますからね。気づきにくいかと」

京太郎「え、と……ですから、どういうことでしょう……?」

湧「……簡単に言うと、霧島は男の数が少ないということです」

京太郎「……? いや、でも……確かに男性のが少なかったけど、そこまでの差は――あっ!?」

明星「お、さすが、お気づきになりましたか。いつも女の子を見てるだけありますねぇ!」

春「そうなの?」ウルッ

京太郎「言いがかりだから!」


あああああああああ間違えたあああああああああ
>>348の前に、これが入ります



~翌日午後、滝見家

京太郎「――といった次第です。春との付き合いを認めてください、お願いします」

春「………………」

滝見父「むぅ……事情はわかったが……」

滝見母「……春は、なにか言うことはないの?」

春「ある。でも、京太郎がなにも言わないでいいって」

滝見父「ほほう、それは興味深い」

滝美母「なんと言われたのかしら?」

京太郎「あ、あの、そういうことも言わないようにと、俺が――」

春「自分がお父さんもお母さんも説得して、必ず春を娶るから……あ、婿入りする、だっけ?」

京太郎「いや、だから――」

春「そうそう、私が一人娘だから、婿入りを許してもらえるよう頑張るって……布団の中で、優しく抱きしめながら、言ってくれた」ポッ

京太郎「そこはマジで伏せといてえええええええええええ!?」

滝見母「あらあら」

滝見父「ふ――ははははっ、やるではないか、春!」

春「頑張りました」ムフー

京太郎「嫁入り前のお嬢さんに手をつけてしまったことは、申し訳なく思いますけどっ……そ、それだけ本気なんです、俺はっ!」

滝見母「まぁ、そうでしょうねぇ……どちらも真剣なものだから、早く進展しないものかとヤキモキしてたのよ?」

滝見父「うむ。まぁなんにせよ――遣いを頼んだ甲斐もあったというものよ」

春「ありがとうございました」フカブカ

京太郎「…………どういうことですか?」

滝見母「あ、大丈夫よ? 忙しかったのは本当で、二人に名代を任せることにしたのは、自然の成り行きですからね?」

滝見父「なにかあれば万々歳、と少し期待はしていたが――期待以上よ、さすがは我が娘!」

滝見母「そういえば、あなたも……嫁入り前の私を、随分と深く――」

春「待って。親のそういう話は、ちょっとキツい」

京太郎「娘のそういう話聞いた親御さんも相当キツいと思うぞ!? っていうか、そうじゃなくて!」

滝見母「私はキツくなかったけれど……」

滝見父「私はさすがに、少し複雑だったかもしれんなぁ。まぁ相手が京太郎くんでなければ、一発くらいはお見舞いしていたかもしれんよ、はっは」

春「大丈夫、京太郎には当たらないから」

京太郎「いや、さすがに当たると思う――って、話が進まない! と、とにかく、細かいことは置いておきますけど――」

京太郎「……俺と春は、結ばれてもいいのでしょうか?」

滝見母「……もちろんよ。京太郎くんが春のお婿さんになってくれるなら、私たちは心から歓迎するわ」

滝見父「春はこの通り、多少強引なところもあるが……一途で芯のある娘に育てたつもりだ。どうか、共に歩んでやってほしい――よろしく頼むよ」

京太郎「っ……はい、もちろんですっ……ありがとうございますっ!」

春「……ありがとう。お父さん、お母さん……ありがとう、京太郎」

京太郎「俺のほうこそだ……ありがとう、春――愛してる」

春「……私も、愛してる――これまでも、これからも、ずっと……」



京太郎「改めて――俺と結婚してください」

春「……はい、喜んで」


【9月第四週日曜】
 このたびはご報告があります。
 私こと須賀京太郎は、永水女子の滝見春さんと、結婚を前提にお付き合いする運びとなりました。
 未熟な二人ではありますが、共に真剣な想いで歩んでいく次第です。
 どうか温かく見守っていただけますと、幸いです。

 つきましては、今後の派遣業務についてご連絡を。
 家業の修行を行うため、少なくとも今年度中は、永水女子への滞在をお願いすることになるかと思います。
 すでに連盟には連絡しており、間もなく認可されるとのことです。
 各方面にはこれまで、長らくお世話になったということもあり、身辺が落ち着きましたら、改めてお礼に伺わせていただきます。

 それでは、今後ともどうぞ、変わらぬお付き合いをよろしくお願いします。


 あ、春からもご挨拶がしたいとのことですので、少し代わります。


 滝見春です。
 まだ夢心地で落ち着かず、なんと言えばいいのかわかりません。
 でも、これだけは言えます。
 京太郎のことは、必ず幸せにします。
 これはきっと、誰がこうなっても言っていたと思います。
 だから心配しないでください。
 それと、友人としての京太郎との付き合いを、私は止めたりしません。
 いつでも遊びにいらしてください。
 あ、でも仲が良すぎるところを見せつけてしまったら、それはごめんなさい。

-----------------------------------------------------------------------


京太郎「……最後はいらなかったかな」

春「でも、たぶんそうなる」ギュー

京太郎「……それはそうかもだけどさ」ナデナデ

霞「しにたい」

初美「なに言ってんですか。ちゃんと祝福してやってくださいよー」

巴「そ、そうですよ……京太郎くん、春ちゃん。本当におめでとう――これから毎日、遊びに行くからね」

湧「えぇ……」

明星「ま、まぁまぁ……センパイ方、おめでとうございます」

小蒔「――京くん」

京太郎「はい……えっと、姫様――」

小蒔「コマちゃんでいいですよ」クスッ

京太郎「じゃあ――コマちゃん」

小蒔「どうか春のこと……それと、滝見家のこと――よろしくお願いします。霧島の未来を、末永く支えてくださると嬉しいです」

京太郎「――ああ、もちろん。滝見家に婿入りしたら、この地域一帯も親戚になるわけだし、俺にできることはなんでもするつもりだから」

霞「ん?」

初美「ステイ」

小蒔「……なんでも、ですか?」

京太郎「あ、ああ……できることなら」

小蒔「で、でしたら、ですね……その……春も、許可してくれると嬉しいんですが……」モジモジ

京太郎「?」

春「言うだけ言ってみてください」

小蒔「た、たまにで、いいのですが……京くん一人で、うちにお泊まりとかしてくれると、嬉しいのですけど……」モジモジ

京太郎「」

春「……許可します」

京太郎「春ぅ!?」

春「落ち着いて……大丈夫、なにかあっても怒らない」

京太郎「いやなんもないから!」

春「というより――京太郎もここで住んでたわけだから、わかってるはず」

京太郎「え、と……どういうことだ?」

春「……え、鈍い?」

京太郎「ぐっ……」

巴「それはいまさら」

京太郎「ごふっ……」

霞「まぁ京太郎くんだもの……」

京太郎「がはっ……」

初美「まぁ鈍いのはともかく、観察眼は鋭いから意外でしたけど――よくよく考えれば、大人の数は揃ってますからね。気づきにくいかと」

京太郎「え、と……ですから、どういうことでしょう……?」

湧「……簡単に言うと、霧島は男の数が少ないということです」

京太郎「……? いや、でも……確かに男性のが少なかったけど、そこまでの差は――あっ!?」

明星「お、さすが、お気づきになりましたか。いつも女の子を見てるだけありますねぇ!」

春「そうなの?」ウルッ

京太郎「言いがかりだから!」


春「冗談……というか、そうでないと困る」

京太郎「マジでどういうことなの……」

小蒔「たぶん、京くんが気づいたのは、男の子の数の少なさですよね? 実は霧島は、非常に男子が生まれにくいという風土のようでして……」

霞「だから各家は、ほぼ必ず外から婿を取ることになるの。だから数は揃っていて、気づきにくいのかもしれないわ」

初美「まぁ――全員が全員、取れるわけでもないんですけどねー。男のほうがちょっと少ないのは、そういうわけですよー」

京太郎「取れなかった家は、なくなるんですか?」

巴「えーっと、そうじゃなくて……別の家のお婿さんに、子供だけお願いする……みたいな形、かな?」

京太郎「……………………えっ」

春「霧島でだけ。だから、ここにいる誰かが京太郎を求めたら、それには応じる義務……というほどでもないけど、可能な限り協力したほうがいい」

京太郎「…………冗談、だよな?」

春「……どうか、幻滅しないでほしい」

小蒔「き、霧島の未来のためなのです……どうか、ご協力をお願いします、京くん!」

京太郎「いや、あの……本当に?」

春「ごめんなさい、黙ってて……結婚、やめたくなった?」

京太郎「……驚いたけど、それはない。俺が春と結婚したいのは、俺が春を好きだからだ」

春「京太郎……私も、京太郎が好き」

霞「はいはい、いちいち雰囲気ださない」

京太郎「でも――春は、それでいいのか? 仮に逆の立場なら、俺は絶対に嫌なんだけど……」

春「知っている人が――ここにいる誰かが相手で、それでも京太郎が私を一番に愛してくれてるなら……私は、それだけで幸せ」

春「だから――もし、京太郎が私を一番に愛せなくなるなら……それなら、やめてほしいと思ってる」

京太郎「……その言い方はずるくないか? 俺はなにがあろうと、春が誰よりも好きだって自信があるぞ」

春「だったら……して、全員と。霧島繁栄のために、バンバンやって」

京太郎「言い方ぁ! というか、皆さんもそれでいいんですかっ?」

霞「まぁ……あくまで霧島内の話だし、私たちの仲なら……という気持ちはあるかしら」

京太郎「えっと……もし、俺が春以外の誰かとこうなってても……同じだったんですか?」

巴「う、うん……そういう伝統だから」

初美「まぁ、あくまで希望があればって話ですしー」

明星「ここにいるメンバー以外には抵抗あるかもですけど、そこはほら、姫様が睨みを利かせてくだされば誰もよりつかな――」

小蒔「明星」

明星「はいごめんなさい!」

湧「……こんなこと言いたくはありませんけど。女にここまで言わせて、婚約者の許可もあって、それでも拒まれますか?」

京太郎「う……いや、まぁ……」

春「……正直、悪い気はしない?」

京太郎「はっきり言わないで!」

小蒔「もし、そうなら……ぜひ、お、お願い、したいです……あぅ……///」

京太郎「……………………ま」

霞「ま?」

京太郎「前向きに……検討、させてもらいます――」

春「そうして。あ、でも……最初は私。だから、やるとしても結婚したあと。それまでは、みんなはお預け」

京太郎「やるって言い方やめなさい!」

春「はい」



春「……あ」

京太郎「今度はなんだよ……」

春「私がもうできてたら、すぐにみんなやれる……かも?」

京太郎「ちょっと!?」

小蒔「えっ」

霞「…………まさか、もう?」

明星「したんですかっ!? 春様!?」

初美「……あー、いや、でも……そうですよねー……」

巴「普通に付き合うんじゃなく、結婚前提ってことは……それを京太郎くんが言いだしたってことは、そうなるわよね……」

京太郎「お、落ち着いてください……春、なんとかごまか――」

春「どうせ隠してもわかる……ご承知の通り、私たちはもう済ませました」ドヤッ

京太郎「」

小蒔「は、春が……とても、大人に見えます……」

春「大人ですから」フッ

霞「」

巴「し、しんでる……」

初美「ほっときゃ生き返りますよー、じゃないと京太郎とできませんからねー」

湧「あ、う……と、とにかく、えっと……春様に、その……ご自覚は?」

春「昨日したところだし、まだなんとも」

京太郎「やめて……クレメンス……」

春「タイミング的に、難しいかも……あ、でも8回もしたし、もしかしたら――」

京太郎「もうやめてえええええええ!」

明星「……すっご」

湧「」

巴「……さすがとしか」

霞「で、できてたら……すぐにでも、いいのよね? あ、小蒔ちゃんはまだよ、卒業してからね?」

小蒔「ず、ずるいです! 先にお願いしたのは私です!」

初美「霞……必死すぎですよー」

京太郎「おぉ、もう……」

春「ふふっ」

京太郎「なにわろてんねん!」


春「……本音、言っていい?」

京太郎「……聞こうか」

春「嬉しい……私は、永水麻雀部のみんなが、本当に好きで、大切だから……京太郎を通じて、家族に近い関係になれたら……それも、幸せの一つ」

春「京太郎にも、そんな風に思ってもらえたら……もっと幸せ」ニコッ

京太郎「…………本当に、言い方がずるいな」

春「私は、欲張りで強引だから……幸せになるためなら、なんでもする」ムフー

京太郎「それが春の幸せなら――春の幸せは、俺の幸せだ」

春「じゃあ――みんなのことも、お願いします」

京太郎「う……ああもう、わかったよ!」

春「っし!」ガッツポ

京太郎「ただし! あくまで、みんなが望んだら、だからな?」

春「そこは心配いらないと思うけど……」

京太郎「それと、あと一つ――」

春「なに?」

京太郎「俺の居場所も、帰る場所も――それは春の隣だ。それだけは、絶対に忘れないでほしい……俺がいつでも、春を愛してるってことを」

春「……そんなの、当たり前。私は、ずっと……隣を空けて、京太郎が帰ってくるのを待ってる。京太郎のことを、世界で一番愛してるから」

京太郎「春……」

春「京太郎……ん……ふ……ちゅ……」

霞「――って、なに盛りだしてるのよっ! やめなさい!」

小蒔「はわっ、はわわわわ……ここ、こんな場所で、赤ちゃんを作るなんて……」

湧「……あれ? もしかして姫様、なにか誤解を――」

明星「え、もしかしてキスで子供できると思ってるタイプ?」

初美「……そこに触れちゃだめですよー」

巴「姫様の純粋さを、二人も壊さないように……いいわね?」

湧・明「は、はい……」


『おめでとうございます。清澄一同より、心からの祝福とエールを贈ります 原村』
『京太郎もやるねぃ。女の一人も幸せにしてこそ、男の価値も上がるってもんさ。頑張りなよ? 三尋木』
『そこまで言われては、なにも言えません。京太郎をよろしくお願いします 真屋』
『お似合いの二人だと思うよ。お幸せに! 宮永』
『京太郎の意思がすべて 小瀬川』
『また、先を……なーんてね☆ 二人ともおめでとう、結婚式には呼んでね☆ 瑞原』
『滝見さんとなら、京太郎も幸せだと思うわ。仲良くね 竹井』
『京ちゃんが選んだなら間違いはない。二人ともお幸せに。滝見さん、京ちゃんをよろしく 宮永』

~清澄

「……で、どんな気分じゃ」
「吐きそうです」
「誰かに自業自得って言われたら、一生立ち直れないと思います……」
「同じく……」
「げ、元気だすんだじぇ……」


~プロ

「呑み明かすぜええええええええ!」
「店員さんテキーラ持ってきてええええええええ☆」
「……うわぁ」
「大惨事!」
「帰りたい……」
「いやぁ――しかし霧島でよかったです。私もご相伴にあずかれそうですね」
「……どういうこと?」
「赤土さんにはこっそり教えましょう。実は霧島では――」


~有珠山

「京太郎くん……」
「ま、まぁまぁ、おめでたいことだから……ね、ユキ――ちゃん?」
「」
「ユキ……安らかに眠れ」


~若手プロ

「で――どうやって奪う?」
「潜入して、眠らせて、かな」
「犯罪やめーや」
「こいつらガチでやりそうやからな……九州のやつ、ちゃんと見張っとけよ?」
「……私は霧島圏外ですからね、面倒なことになりそうです……いっそこちらに協力したほうが……」
(なんか怖いこと言うとるんじゃけど!?)
「ユキ、これ書いたあとしんでそう」
「ほとんどそうじゃない?」
「明日のはやりは二日酔いでしょうネ、ハハハ」



以上で春ルート、永水ハーレム編を終わります
ハーレムじゃないルートも考えてましたけど、霧島の女系風土の印象が強すぎてこうなりました
というより小蒔ちゃんが泣くのを見たくなかった説、万理ある
まぁ永水ほとんど大好き以上だったし、多少はね?

長らくのお付き合い、ありがとうございました
お応えできるかはまったくの未定ですが、見たいエンディングのキャラがいれば、ご自由にどうぞ

それでは、またどこかでお会いできることを祈って


そういえば、そんなことも言ってたような……な、長い年月は人を変えるんですね(棒

とりあえず「単独攻略と思ってここまで読んできてやったのに、いまさらハーレムかよ〇ね」と思った方
誠に申し訳ございませんでした
許してヒヤシンス

過去スレ読み返してると、なそうなさそうの間違い、敷居が高い等の誤用、その他誤字や誤変換と、ミス多すぎに気づいてつらい
書いたシーンもちょいちょい忘れて、似たようなシーン書いたり、過去との矛盾もあったり、なかなかに大雑把
あとは決めたルールに意固地になって、不服を感じさせる場面も多かったような(プレゼントとか)

それでもここまでついてきていただき、ありがたい限りです
他ヒロイン目当ての人もいただろうし、なんとか頑張りたいものだ(やや他人事感)

京ちゃん小蒔ちゃんそれぞれの曽祖父が親友だった設定が、なぜか曽祖父と祖父になっとるやんけ!
まぁそんな細かいこと、誰も気づいてないかと思いますが……普通に曽祖父同士ってことでオナシャス

小蒔ルート書くことになれば、普通に曽祖父にしてると思います、たぶん
とはいえ、次のキャラはマジでまったく考えてないです

約束消化考えてののどっち、お気に入りの憧、シロ照ユキ辺りが作りやすい気がしたりしなかったり
小蒔ちゃん、霞さんなんかも作りやすそうではありますが
サンディちゃちゃのんは……うん、まぁ、うん……はい

とにかく目の前のキャラから頑張っていきます(ぶっちゃけおもちキャラのが書きやすいとは言えない)



あとくっそどうでもいいですが、二年のときは春が大将予定だったのに、明星大将にしてしまってた事実
ちゃんと春大将なら、夏団体決勝が激熱だった説
やっぱり間空けすぎるのはよくない、はっきりわかんだね


春エンド おまけ

~須賀家

京太郎「――というわけで。こちらが俺の婚約者の、滝見春です」

春「は、はじめまして……滝見春です。不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」

須賀母「はい、よろしく。あぁ^~、こんな可愛い娘ができるなんて、あんたを産んでよかったわぁ^~」

京太郎「そこで実感されるのかよ……」

春「きょ、恐縮です……お義父さまも、よろしくお願いします」

須賀父「ああ、こちらこそ……不肖の息子ではありますが、どうか見捨てないでやってください」

春「……京太郎は、とても素敵な人です。私のほうこそ、隣にいることを許してもらえて、本当にうれしいですから」ニコッ

須賀母「いい子すぎる……」

須賀父「お前あれだぞ、この子を泣かせたら一生不幸になるからな」

京太郎「わ、わかってるっつーの……ありがとな、春」

春「ううん、そんな……京太郎にはもう、毎晩啼かせてもらってるから……///」

京太郎「やめて!」

須賀母「なにあんた、もう手ぇだしちゃったわけ?」

須賀父「おいおい、滝見の当主にどんな顔で会えばいいんだよ……」

春「結婚前に後継ぎができるのも、こちらではよくあること――とのことで、両親も推奨していますから」

須賀母「まぁ私も、諦めてた孫を期待できるなら、ありがたいけど……結婚できるまで2年はかかるんだから、あんまり無理しないでね?」

春「はい。お心遣い、ありがとうございます。ただ京太郎の意向もあって、普通の避妊はしていますので――」

京太郎(性生活がかくも露わに!)

須賀母「結局、永水にいるのは今年度内だったわね? それまでにもしもがあったら、私もお世話させてもらいに行っていい?」

春「そんな……ご迷惑では……」

須賀母「いいのよぉ、可愛い娘のためなんだから♪ その間は京太郎、しっかり学校に通いながら、春ちゃんのために稼いでくるのよ」

京太郎「わ、わかってるっつーの」

須賀父「いまはどういう生活をしているんだ?」

京太郎「朝からお務めと修行して、学校通って、部活は途中で上がらせてもらって滝見の家事を済ませたら、バイトに行って――夜も修行、かな」

須賀母「修行のあとは、春ちゃんへのご奉仕ね」ニヤニヤ

春「わ、私がご奉仕することもありますから、ご安心ください!」

京太郎(もうやだこの母親……)

須賀父「……で、仕事には困ってないか? もっと言うなら、滝見家に負担がかかっていないか、だが……」

春「京太郎を含めて、家族が増えても我が家に負担はないとのことです。ただ京太郎自身が納得せず、将来のためにと励んでくれていて……」

春「私や両親は、もっと甘えて欲しいと言ってるんですが……」

京太郎「そういうわけにもいかないだろ、さすがに……父親になる可能性も考えたら、なおさらな」

春「や、やだ、京太郎……お義母さまお義父さまの前で、そんな……///」

京太郎「いまさらっ!?」

須賀母「まぁもしもに備えて、しっかり稼いどくのは大事なことよ。春ちゃんを寂しがらせないようにだけ、注意なさい」

春「お義母さま……ありがとうございます」

須賀母「あぁ^~、娘かわいい^~」


京太郎(婚約者と母親の相性がよすぎる……)

須賀父「で、仕事はなにしてるんだ?」

京太郎「色々だな。家政夫だったり、料亭だったり、カフェだったり、レストランだったり――声がかかればすぐに入る感じか」

須賀母「見事に飲食店ばっかりねぇ……まぁでも、あれだけできるなら十分なのかしら」 ※照デート参照

春「知ってるお店ばかりですが、どこも助かると言ってくださっているので……私も婚約者として、誇らしく思っています」ポッ

須賀母「それならよかったわ」

京太郎「あとはたまに、麻雀のプロチームから手伝いを頼まれたりもしてるかな。そっちはかなり割がいいから、だいぶ助けられてるかも」

須賀父「そうか――まぁ困ることがあれば、いつでも相談に来い。そのための蓄えくらいは、用意してるからな」

京太郎「ああ……ありがとな」

須賀父「なに、気にするな。それより……霧島との関係で、なにか問題はないか?」

京太郎「ああ、そっちも大丈夫。幸い、神代のご当主――コマちゃんのお父さんにも、気に入っていただいてるからな」

須賀父「そうか……色々と、すまなかったな。記憶のことについても、家のことについても、お前にはなにも教えてやれず――」

京太郎「オヤジに謝られると、逆に気持ち悪いな……」

須賀父「なんだとこらぁ!」

京太郎「ま、気にすんなって。俺がなにも知らずに済んだのは、オヤジがずっと守ってくれてたからだろ。感謝しかねーって」

須賀父「お前が殊勝な態度なのも、逆に気持ち悪いな……」

京太郎「なんだとこらぁ!」

須賀母「はいはい、おめでたい席でやめなさいね」ゴッ

京・父「」スマセン

須賀母「でも――本当に大丈夫なの、春ちゃん?」

春「はい。少し前、京太郎に助けられたことがありまして……それ以来、京太郎は皆から一目を置かれていますので」

春「京太郎を疎んじていた家も、二度と手をだすことはできなくなりましたから……なにも心配はいりません」ニコッ

京太郎(いまさらだけど、マジでなにも起こってないんだよなぁ……なにされたんだろ、その人たち)

春(余計なことは、知らないほうが身のため……そういうのは、暗部に任せてある)

京太郎(暗部ってなに!?)

春(冗談)

京太郎(絶対冗談じゃないだろ……)

須賀母「ふぅん……でもそれだと、別の心配があるんじゃない? 特に――春ちゃんは、ガード大変でしょう?」クスクス

春「そうなんです!」クワッ

京太郎「」ビクッ

春「京太郎、そういうのには無頓着だからっ……気を抜いたらすぐ、誰かが誘惑してて……私の婚約者なのにっ……」

須賀母「まぁまぁ、モテる夫を持った妻の特権みたいなものよ♪ ドンと構えてなさい、ね?」

春「はい……その、わかってはいるんですが……」


須賀父(ドンと構えた結果があれだよ)

京太郎(ああ、前の……飲み屋の姉ちゃん事件か。でも自業自得じゃね?)

須賀父(お前のせいだってこと忘れてないからな)

京太郎(あ、愛宕の小父さんからの情報だから……)

須賀父(あいつの嫁さんにもチクってやるっ……)

京太郎(話題にしたとき、ひどい目に遭ってらしたから許して差し上げて……)

須賀父(あっ……ふーん)


須賀母「あー……でも確か、霧島はそういうの、オッケーなんじゃなかったかしら?」

春「そ、れは……はい、でも……一番は私の予定ですから。そのあとは、六女仙のみんなで、交代の予定なので……」

須賀母「あら、それじゃあ巴ちゃんも?」

春「はい――え、どうして巴ちゃんのことを?」

須賀母「前に清澄の体育祭で、顔を合わせたことがあってね。ちょっとだけお話したのよ」

春「そういえば、そんな話を……私もそのとき、お会いしたかったです」シュン

須賀母「うふふ、嬉しいわねぇ。まぁこれからはいつでも、なんでもお話できるから……電話でもメールでも、気軽にしてちょうだいね?」

春「はい……ありがとうございます、お義母さま。お優しいお義母さまにお会いできて、とても嬉しいです」

須賀母「っっ……ああああ、かわいいいいい! 春ちゃん、これからもずっと、仲良くしましょうねぇ!」ギュウッ

春「ひゃうっ!? は、はひっ、もちろん……」

須賀母「うううんっ、嬉しいわぁ♪ ね、今日は泊まっていってちょうだい、ねっ?」

京太郎「今日はホテル取ってるから無理」

須賀母「えー」

京太郎「こんな打ち解けるとは思ってなかったからな……気ぃ遣わせちゃまずいと思って、ホテルにしたんだよ」

須賀母「キャンセルすればいいじゃない」

京太郎「ホテルに申し訳ないだろ」

須賀母「なら――あんたがお父さんと泊まればいいわ。私は春ちゃんと、親子水入らずで♪」

京太郎「だーかーらー、春が気ぃ遣うだろ!」

春「そ、そんなこと……」

京太郎「そんなつもりはないにしても、義実家で義両親に気ぃ遣わないってのは難しいからな……正月にも顔だすから、そのときにしてくれ」

須賀母「むー……まぁ仕方ないか、ごめんね春ちゃん? この子ったらどうしても、今夜は春ちゃんと二人で過ごしたいみたいだから」

春「いえ、大丈夫です……それはそれで、とても嬉しいので……」ピトッ

京太郎「……まぁ否定はしない」

春「いっぱい可愛がってね、京太郎……」

京太郎「親の前で言わないで……っと、まずいな。そろそろ時間だ」

須賀母「え――もう帰っちゃうの? というかあんた、こんな日の高いうちから……」

京太郎「ちっげぇよ! ルーフトップでお祝いしてもらうんだよ!」

須賀母「あー……それはまた、大変ねぇ」

京太郎「ああ、大変だろうに、本当にありがたいよ」

須賀母「じゃなくて……まぁいいわ。春ちゃん、頑張ってね?」

春「はい、大丈夫です。いっぱい勝ち誇ってきますから」ムフー

須賀母「ふふっ、なんとも逞しいわね。それでこそ我が娘よ」

春「ありがとうございます、励みになります」

京太郎「よくわからんが……じゃあ準備できたら、行くとするか」

春「はい……旦那様♪」ポッ


~ルーフトップ ※長野勢(清澄、龍門渕、キャップ、ゆみ、モモ、あとなぜか照)

まこ「あー、それでは……僭越ながら、わしが音頭を取らせてもらいますけぇ」

まこ「若い二人の将来に――乾杯!」

全員『かんぱーい!』


咲「本当におめでとう……困ったことがあったら、なんでも相談してね」

春「ん、ありがとう。お義母さまにも、そう言っていただけた……」ポッ

咲「へぇ……」ヒクッ

和「まぁまぁ……とはいえ実際のところ、悔しいのは事実ですね。まぁ私たちの場合は、自業自得でもあるのでしょうけど……」ハァ

久「やめなさい、その言葉は私に効くわ」

優希「……あいつは優しいやつだじぇ。だからこそ、一人でなんでも抱え込まないよう……ちゃんと見張っててやってほしいじぇ」

春「もちろん。ずっと隣にいるから……見逃さないで、支え続けるつもり」

モモ「熱々っすね~、私と先輩みたいっす♪」

ゆみ「よ、よさないか、こんな席で……」

春(あ……見えてもいい、普通の人だったんだ)カンチガイ


純「やるじゃねーか、京太郎」

京太郎「はい、ありがとうございます」

一「誰になるかなーって色んな予想はあったけど、まぁ意外ではなかったよね」

智紀「ランキング上位だし、多少はね?」

京太郎「待ってください、ランキングってなんですか」

照「これだよ。私も上位にいるから、いつでも言ってね」

京太郎「なにをですか!」

照「わかってるくせに」ポッ

京太郎「あのですね、照さん……」

照「冗談だよ……京ちゃんのことは信じてるから。自分の決めた人を、大事にしてあげてほしい。応援してる……私の、大好きだった人を」

京太郎「――ありがとうございます、照さん」

照「――幸せになってね、京ちゃん」ウルッ

京太郎「っ……はいっ……」ボロッ

透華「おめでたい席で、そう泣くものでは――というのも無粋ですわね」

衣「めでたい席だからこそ――であろう、宮永照。京太郎も……よい男ぶりだぞ、おめでとう」

京太郎「はいっ……ありがとうございます、衣おねーちゃんっ……」

純「ゴフッ」

一「不意打ちすぎて、さすがにむせた」

智紀「ちょっと聞いてなかったから、うっかりしてた……」


照「そういえば三尋木プロが、そんなようなことを……なにがあったの?」

京太郎「いや、まぁ……衣おねーちゃんが、そう呼べと仰った――お、お許しくださったので」

衣「……嫌だったのか?」

京太郎「滅相もございません!」

衣「そうか!」パァッ

照「……ずるいと思う一方で、京ちゃんにお姉ちゃんとは呼ばれたくない」

咲「聞こえてるよー」

春「そう……京太郎は宮永プロの弟にはならない。だって……結ばれたのは咲じゃなくて、私だから」ポッ

照「」イラッ

咲「」イラッ

和「ま、まぁまぁ……」イラッ

優希「本音が隠れてねーじぇ」イラッ

京太郎(あれ、なんだか空気が重いぞ?)

一(当然でしょ……)

純(まぁ頑張れ)

智紀(●REC)

透華「そういえば――そちらの皆さんも、京太郎にはご執心でしたわね」ヒソッ

まこ「一応、本人には伏せといたってくださいや……」ヒソッ

衣「まぁ……いまさら聞かされても、京太郎が困るだけだからな」

久「……そうね」

透華「チャンピオン――もとい宮永プロは、すでに言ってしまったようですが」

照「須賀だけに」テルテル

久「そうなのっ!? ちょっと照、あんたね――」

照「つい流れで」テルッ

春「京太郎は渡さない……」ゴゴゴゴゴ

京太郎「いや、取られないから……信用してくれよ、春」ナデナデ

春「まぁしてるけど」ニヘヘ


照「……それであっさり乗り換えてくるような京ちゃんだったら、私もそんな風に思ったりはしなかったんだけどね」

久「ままならないものねぇ……」

和「それはお姉さんがお相手だからでは? わ、私なんてどうでしょう、京太郎くん……」ドタプンッ

京太郎「た、試しても無駄だぞ……俺は春一筋だからな」キリッ

春「京太郎、好き……」ダキッ

京太郎「ああ、俺もだ……」ギュッ

咲「しにたい」

優希「目がしんでるじぇ!?」

和(でもちょっと噛んでましたし……実はワンチャンありそうですね)ニマニマ

まこ「燃料を注ぐんじゃないわい、アホウ」

和「じょ、冗談ですよ……あ、遅くなりましたけど……おめでとうございます、京太郎くん」

京太郎「ああ――ありがとう、和」ニコッ

和「っ……いえ……」グッ

和(まずいです、これは……今日は、絶対に泣かないって……決めてたのにっ……)

京太郎「あ……そういや、あの約束――」

和「え……あっ――あれはっ……無効で、大丈夫ですよ」ニコッ

京太郎「そう、か……その、すまな――」

和「もうっ、おめでたい場でなにを言うつもりですか? 今日からはただ、春さんとの幸せだけを考えていてください……ね?」

京太郎「……ああ、そうだな。ありがとう」

和「いえ……あ、私……飲み物を取ってきますね」クルッ

咲「あ、私も行く」タタッ

優希「それじゃ私も行くか――京太郎、またあとでな!」

京太郎「ん、ああ……じゃあ、な」

久「そういえば、今日はちゃんと落ち着いてるわね。いつもならドリンクくらい、すぐ用意しそうだけど」

京太郎「仕事をしないのが仕事だと、師匠にも言い含められてますから……」

まこ「そういや、あん人は――」

透華「風越の元キャプテンさんとともに、厨房を借りているようですわ」

まこ「すいませんのう、なにからなにまで」

衣「よい、場所はそちらの提供だ。裏方仕事はハギヨシに任せよ」

久「さーてと、それじゃ私も……美穂子の様子でも、見てこようかしら」

ゆみ「私も行こう」

久「あら、モモちゃんはいいの?」

ゆみ「モモにはあっちを見てもらっているからな」

久「……お手数おかけします」

ゆみ「で――私はお前の面倒を見るとしよう」

久「……なーによ、それは。私が厨房で泣くと思った?」

ゆみ「どうだかな。ただ――美穂子だけに任せるのは不義理だと、そう思っただけだ」

久「……ふふっ、ありがと。モモちゃんが夢中になる理由もわかるわ」

ゆみ「おいやめろ」



和「………………」

咲「……和ちゃん」

和「平気ですよ。咲さんもおつらいんですから、私を気遣ってくださらなくて、大丈夫です」

優希「こういうのは舐め合ったほうが、気がまぎれるってもんだじぇ」

咲「あはは……まぁ、あとでいっぱい泣けば大丈夫だよ、たぶん」

和「はい……そう、しましょうっ……」

優希「幸い、ここには誤魔化せる道具もいっぱいあるしな!」

咲「そう、だね――打とうか、和ちゃん」

和「……はい。なんだかいまは、なにも考えないで――勢いに任せて、打ちたい気分です」

モモ「お、いいっすね~。そんなら私も混ざるっす……もしかしたらおっぱいさんにも、リベンジできるかもしれないっすからね」

優希「おっぱいさんはお互い様だじぇ……」

咲「別の意味でも闘志が湧いてきたよ」ゴッ



衣「ほう――咲たちが始めたようだな。宮永照、こちらも余興といかぬか?」

照「今日の私は加減が利かない。それでよければ」

衣「ふふっ、望むところだ」

透華「では私も……あと一人は――」

照「京ちゃんしかいないでしょ」

京太郎「えっ」

一「まぁ妥当かな……」

純「このメンツに対抗できるとしたら、それしかねーわな」

まこ「藤田プロは、なんや用事じゃちゅうて来られなんだしの」

智紀「いまごろ大変な目に遭ってそう……」

京太郎「え、と……いいか?」

春「もちろん。旦那様の格好いいところ、見せてください」

京太郎「ん……わかった、任せろ」ポンッ

照「」ゴッ

衣「ふふふ、おねーちゃん相手に豪気なものだ……姉の威厳を見せてやろうぞ」ボッ

透華「ふふ……本日に主役相手でも、花は持たせませんわよ?」

京太郎「こちらも――婚約者の前で、恥ずかしい姿は見せられませんので」ゴッ

春「私の恥ずかしい姿は、いっつも見てるのに///」

照「」

京太郎「やめて!」



和「――ツモッ!」ダァンッ

咲「牌がかわいそう!」

優希「ちっ、あのスケベめがっ……」

モモ「私も早く、先輩の恥ずかしい姿が見たいっすね~」


~みたいな感じで、まぁ大団円ですね(カンッ


~春エンド後

~学校別誰が一番京ちゃんに似合うか話し合いましょう会議議事録 コメンテーター:各部副将+春

~阿知賀編

玄「はい! 私かお姉ちゃんがいいのです! もちろん一番は私だけど、お姉ちゃんを任せられるのは京太郎くんしかいませんのだ!」

宥「私は……私も、京太郎くんと一緒にいたいです。彼の腕に包まれてると、とっても……あ、あったかい、ので……///」

憧「ふっきゅ……宥姉、なにしてんのよ……コホンッ! その、私は……京太郎のことが好き、だから――諦めるつもりはありません」

灼「……あの子は色々と頑張りすぎるから。そういうとこを注意して……支え合う関係になりたい、かな……あ、なんか恥ずかし……///」

穏乃「恥ずかしいことないですって! 私はですねっ、京太郎と一緒なら毎日楽しいって思ってます! だから、その……が、頑張りますっ!」


(和、初美、塞、誠子、絹恵、浩子、メグ、由暉子、哩、透華、春)

和「さて――色々言いたいことはありますが、とりあえず一つ」

春「なに?」

初美「いや、あなたのことですよー、はるるー」

メグ「今回は副将による会議、のはずでスガ?」

誠子「えーっと……前回の宮守編(新道寺編合宿二日目後)で中堅なのに参加できなかったから、副将と大将にも参加する――んだっけ?」

春「そう。エンディングを迎えたこととは、無関係」ニヨニヨ

絹恵「へぇ……めっちゃ煽るやん」

浩子「ヒエッ……」

由暉子「……いずれ私たちも機会が回ります。今回は遺恨を忘れ、コメンテーターに徹しましょう」

透華「その通りですわ!」

和「……あの、どうして龍門渕さんまで?」

塞「ほかのタイミングで、メンバーいなかったわよね……?」

哩「こんお嬢様も、京太郎んこと狙っとると?」

透華「そういうことではありませんわ! ただ>>1が忘れていただけでしてよ!」

誠子「まぁいいんじゃない? ほら、個人戦結果で好きにランクアップしたわけだし」

絹恵「へぇ……そうなん?」ニコォッ

浩子(キヌちゃん、なんやキャラ変してへん? 大丈夫?)

絹恵(めっちゃ純情やで!)

浩子(あ……ふーん)

透華「……彼を人間として好ましく思う、それは自然なことだと思いますわ。衣があれだけ懐いていて、ハギヨシの友人でもありますもの」

和「とりあえず、その良識を信用するとしまして――それはともかく私たちここまで、まったく候補者に触れていませんね」

塞「壇上で皆さん、イライラしてるわね……」

シ、シテナイヨッ
ソンナコトナイヨォ
シテマセンッ
シテナ…
ウズウズハシテマスッ


塞「それは失礼――えーっと、それじゃ……最初は松実さん――あ、お姉さんのほうね。だと思ってたんだけど……やっぱり鷺森さんにするわ」

哩「そん心は?」

塞「京太郎くんのことを案じてるっていうのが、挨拶からも伝わってくるのよね」

初美「あー、わかりますねー。あのくらいの子でないと、京太郎の手綱なんて、取れないんじゃないですかー?」

和「ある意味、似たもの同士なんでしょうか……」

メグ「とはいえ――彼が望む行動を取らせないのは、逆に相性としていかがでショウカ?」

春「それに、ノーおもち……」ポリポリ

誠子「ははは……まぁ、彼の趣味を考えるとね――憧か宥さんか、悩ましいなぁ」

絹恵「それやったら宥さんちゃう? ほら、年上好みやし、ピッタリやん」

浩子「年上、おもち、世話焼き対象、それでいて休むよう命令もできる……あれ、ちょっと強すぎません?」

透華「あれであの方、芯がしっかりしてますものね……とはいえ、その件については私も一家言ありましてよっ」

由暉子「お伺いしましょう」

透華「私の目には、京太郎と松実さんはナイトと姫のように見えましてよ。主従としては理想的ながら、パートナーとしては不向きではありませんの?」

哩「ほーん、鋭か着眼点やね……」

和「なるほど……龍門渕さんとハギヨシさんのような、ということでしょうか」

透華「否定はしませんわ。そういった意味では鷺森さんも近いので……新子さん、もしくは高鴨さんとの相性がよろしいかと」

春「それなら、憧一択……」

誠子「彼女もねー、目の前では素直になれないみたいで……それこそうちの淡みたいで、見てて微笑ましいんだよねー」

塞「うーん、同級生の気安さ……それも捨てがたいかしら」

浩子「松実の玄さんはどないです? 年上でありながら気安さもあって、おもちも中の上――なにより、そっち方面の趣味が合いますし」

由暉子「そうなんですか?」

和「……まぁ、確かにそうですね。あの人の場合、常軌を逸した部分もありますけど」

哩「あいつもわりとそやろ?」

メグ「でスネ」

初美「常軌をというのが、あるものへの執着という意味なら……ここにいる全員、そうなのではー?」

塞「そこは大前提だから、とりあえず置いておきましょう」

透華(それでいいんですの?)

絹恵「あとは……家族ぐるみいうんも大きない? 姉妹どっちとも仲ええんも、高ポイントやん」

浩子「キヌちゃん、自分のこととちゃうねんで?」

絹恵「わかっとるわ!」

由暉子「松実玄さんは構わないと仰っていますが、家族間での奪い合いは……その後のリスクが高くありませんか?」

誠子「あー……ちょっと気まずくなる、かな?」

哩「宮永んとこはそうやったと?」

誠子「どう、でしょう……仲良くケンカしていた、という印象ですけど」

和「ただ、絶対に負けたくないという気迫はありました。玄さんたちからは、それが感じられませんが――」

春「逆に言うと、必死さが足りない……」

由暉子「同感です。相手が姉妹であっても奪われたくない、その気概は不可欠だと思います」

絹恵「……確かに、一理あるな」

浩子(ヒロちゃん逃げてー、超逃げてー!)


塞「あなたさっき、リスクどうこう言ってたじゃない……仲良く話し合えそうなら、それでいいんじゃない?」

メグ「いま現在、そして直後はともかく――長らく目の前で睦まじい姿を見せつけられ、我慢できまスカ?」

和「姉妹がいたとしたら、無理ですね」

由暉子「しにたくなると思います」

絹恵「実家にも顔ださんようなると思うわ」

哩「生々しかなぁ」

初美「うちはよかったですねー、はるるー?」

春「ん、よかった……」

塞(え、いまのどういう意味?)

透華「その点で言いますと――新子さんもお姉様がいらっしゃるようですけれど、そちらは応援してくださっていますわね」

絹恵「うちと一緒やな!」

浩子「せやなー(棒」

誠子「さて――色々意見は出たし、どれもこれも納得できる感じだけど……肝心の好感度は、と」

和「待ってください、女の子の数が多すぎません?」

由暉子「小中学生や他校生も入ってますね……あと、先ほど名前の挙がったお姉さんも」

絹恵「まぁエンドなしやし、スルーでええんちゃう?」

メグ「シズノを除いてときめき、彼女は大好き……ですか……なるホド」

初美「初期値の問題もあるでしょうけど、恋愛関係になるというイメージが、まだ鮮明じゃないのでしょうねー」

塞「小学生の友人関係の延長というか……まぁ彼女自身、戸惑っている部分もあるわよね。そこがまた、微笑ましくて可愛い気もするけど……」

哩「自覚はしとるようやし、時間の問題や思うっちゃけど……現状で、物足りんのは事実ばい」

春「とはいえ穏乃も憧も、方向性は違うけど距離が近しい同級生……わりと羨ましかった」

和「過去形なのが非常に不愉快ですが、まぁ同意します」

由暉子「雑というか荒っぽいというか、あの扱いは萌えますよね」

絹恵「そういうんもええな……」

初美「はいはい、自分たちのことを考えないですよー」

誠子「一年……ってもう二年か。みんな仲良くなったねー、ほんと……で、そろそろ結論いく? ちょっと早いけど、二人増えて会話が多くなったし」

透華「申し訳ないですわ……」

春「ごめんなさい」ポリポリ

誠子「二人のせいじゃないからっ、>>1が無能だっただけだから!」

浩子「言いますね……まぁ色々言いましたけど、やっぱり私は松実のお姉さんですかね」

哩「私もよ。菫の話ば聞いとっても、松実姉にはメロメロんなっとったい。年上ん弱かとこ、かわいかぁ~♪」

メグ「同じく――と言いたいところですが、私はアラタにしまショウ」

塞「あれ、望むことをさせないのは~、とか言ってなかった?」

メグ「あくまで一般論デス。そうした人間が傍にいれば、彼のプラスになるかもしれないとも感じるノデ」

塞「うーん、まぁ私も鷺森さんかな、やっぱり……というか、京太郎くんを見張っとく人間は必要だわ、ほんと」

初美「んでは私も、期待を込めて鷺森さんにしますかねー」


和「鷺森さん人気ですね……」

由暉子「和さんは?」

和「憧ですね」

由暉子「ですよね、私もです」

春「同じく……」

絹恵「同学年で結託しとらん!? そんなら私は、玄ちゃんにするわ! お姉ちゃんに負けてほしないし!」

浩子「欲望ダダもれやん」

絹恵「趣味も合うんやろっ? 相性もええやん!」

誠子「まぁ、趣味が合うのは嬉しいよね……憧を応援したかったけど、学年別だと淡を応援してやりたいし――うん、私も玄にしようかな」

透華「そちらこそ同級生の結託では……では私は、高鴨さんに票を投じますわ」

和「差し支えなければ、理由など伺えますか?」

透華「京太郎さんは……純粋でまっすぐな方と見受けましたわ。その清浄さに耐えうるのは、阿知賀ですと高鴨さんが一番かと思いましたの」

和「なるほど……」

透華「満足しまして、原村和?」

和「はい、ありがとうございました。確かに穏乃も、京太郎くんの隣に並び立ちうるようです」

由暉子「まぁ負けませんけど」

春「みんなも早く、私のステージに上がってきて……」

初美「はいはい、煽らないんですよー」

塞「えーっと……玄さん2宥さん2新子さん3鷺森さん3高鴨さん1、かな?」

誠子「うまくバラけてますね」

メグ「では――お二方のコメントで締め、というこトデ?」

浩子「そうですね。ほな、お願いしますわ」


憧「……その、もう少し……素直になって、アピっていきたいと思います……はぁ、なんていうか……和たちが羨ましいわね、わりとマジで」

灼「これ言ったら台無しだと思うけど、京太郎なら誰と一緒になってもおかしくないと思う。だからこそ、自分がそうでありたいと思う、かな……」


由暉子「ということで、次は白糸台編になります」

和「コメンテーターは、各校大将+春さんでお送りします」

春「よろしく……」

誠子「はは、お手柔らかにね……」


~へべく、かも? あとコメンテーターの分量偏りあったらすいません、会話しやすい人たちで続けると、どうも……

~その前にエンディングが先かもです、たぶん和エンド(なお時期は未定)


清澄編で、龍門渕が入らないのは派遣されてないから、ってなってました
つまり……>>1は無能ではなかった……?

けどおそらく、エントリーに龍門渕が入らないって意味と思うんすよね
なんで次も衣がコメンテーターにいると思います
夏大会編で龍門渕勢とそこそこ絡んで、多少書きやすくなったってのもあるかと

じゃあの

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年05月10日 (木) 17:33:46   ID: 5kCDyT2F

終了条件を安価に委ねた結果、4年間もずるずる続けたうえに打ち切りになったSS

やっぱ安価スレってクソだわ

2 :  SS好きの774さん   2018年05月13日 (日) 01:32:55   ID: IloBBs1B

ほんと悲しい

3 :  SS好きの774さん   2018年06月20日 (水) 02:41:15   ID: BYU1qxwM

しょうがないかなぁ・・・

とにかく楽しかったし、ただただありがとうと言いたい
お疲れ様でした

4 :  SS好きの774さん   2018年10月07日 (日) 09:34:28   ID: sH5SBTU8

これ好きだったのに…

でも、仕方ないですね、作者さん今までありがとうございましたm(*_ _)m

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