キャラ崩壊あったらすいません。
アタシは、恋愛映画が好きだ。
小さいころから感情移入しやすい性格というか、単純な性格だったし。
演出だの脚本だのは二の次でいい。まずキュンキュンしたい。幸せな気持ちになりたい。
まあでも、いつも見るときは顔は真っ赤。
隣の17歳にはいつも茶化される。速水奏っていう名前の、高校生には見えない高校生に。
心のどこかで、こんなことがいつか起こればいいなって思ってる節もあるのかもしれない。
まあ、現実は映画みたいにはいかないんだけれど。
映画みたいには、いかない。
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伊吹「・・・コーヒー淹れたよ」
奏「・・・」
伊吹「おーい」
奏「・・・」
伊吹「こら」」
奏「急にヘッドホン外さないでよ、びっくりするから」
伊吹「コーヒー冷めるよ」
奏「ごめん」
伊吹「てかヘッドホンする意味ないでしょ、ここアタシの家だし」
奏「集中したいのよ」
伊吹「別にアタシが見てもいいじゃん」
奏「逆に伊吹ちゃんがこんな映画に興味が湧くとは思えないけれど」
伊吹「それは見てみないとわからないじゃん」
奏「サメが頭が二つあって人間に襲い掛かる話よ」
伊吹「ごめんなさい」
奏「でしょう?
伊吹「そういうのってどこで借りてくるの?」
奏「買ってるわよ」
伊吹「買ってるんだ」
奏「何回も観たいもの」
伊吹「何回も観たいんだ」
奏「ちょっと馬鹿にしてるでしょ」
伊吹「あ、ごめん」
奏「いい?B級映画を馬鹿にしたら万死に値するのよ」
伊吹「そうなの?」
奏「そうよ、A級の映画ファンに比べたらB級映画ファンは鮫よ、凶暴よ」
奏「それにB級は永久なの」
伊吹「何気にうまいこと言ってる」
奏「まあ伊吹ちゃんはA級の恋愛映画大好きだものね」
伊吹「悪い?」
奏「全然、私も好きよ」
伊吹「ホント?」
奏「ええ、本当」
伊吹「まあ、奏ちゃんから教えてもらった恋愛映画沢山あるし」
伊吹「奏ちゃんって基本洋画派よね」
奏「まあ・・・そうね」
伊吹「邦画にも泣けるやついっぱいあるよ?」
奏「正直あまり興味はないわ」
伊吹「何でさ」
奏「じゃあ、例えばだけど、そこの」
伊吹「あ、ラ・ラ・ランド?」
奏「それを日本人がやったらどうなるかしら」
伊吹「あー・・・少し伝わった気がする」
奏「それに・・・わたしそんな映画を観て泣きたいわけではないし」
伊吹「まあそのサメの映画では泣けないよね」
奏「でも、そこの棚の、マイフェアレディ」
伊吹「ああこれ、これも好きだなあ」
奏「それとかは憧れちゃうわよね」
伊吹「ああ、わかるわかる!」
奏「映画みたいには人生行かないから」
伊吹「・・・今日はどうするの?もうこんな時間」
奏「そろそろしたら帰るわ」
伊吹「危ないよ、まだ高校生なんだから」
奏「高校生が朝帰りするのも良くないわよ」
伊吹「確かに・・・いやでも、明日土曜でしょ?」
奏「泊って行って・・・いいの?」
伊吹「全然いいよ、むしろ嬉しい」
奏「じゃあお言葉に甘えて」
伊吹「甘えろ甘えろー、年下なんだから」
奏「思う存分甘えさせてもらうわ、コーヒーおかわり」
伊吹「はいはい」
伊吹「しかし増えてくね」
奏「何が」
伊吹「ウチに、奏ちゃんの私物の映画」
奏「遠慮なく置かせていただいてます」
伊吹「私が絶対観ないやつもちょこまか置いてある」
伊吹「まあ私好みっぽいやつもあるからいいけど」
奏「あまり私の家には置きたくないのよ、映画」
伊吹「何で?」
奏「そりゃまあ、高校生だし・・・」
奏「それに、伊吹ちゃんの家でゆっくり映画見るの心地よいし」
伊吹「うーん、許す」
伊吹「プロデューサーって映画好きなんだっけ」
奏「あまり聞いたことはないけれど、まあ人相応ってところなんじゃないかしら」
奏「一回ビデオ貸したことはあるけれど、何とも言えない顔をしていたわ」
伊吹「それって」
奏「B級映画よ」
伊吹「人を選ぶなあ」
奏「あ、・・・でも芳乃ちゃんが映画ハマってるって聞いたことはあるわ」
伊吹「え、意外」
奏「アウトレイジとか」
伊吹「ぶほっ」
奏「アウトレイジ観てる絵面がとてもシュールね」
伊吹「私は怖くて観れないなあ」
伊吹「そういえばアタシたちって」
奏「?」
伊吹「まだ一緒に映画行ったことないよね」
奏「ええ・・・そうね」
伊吹「・・・」
奏「・・・」
伊吹「映画観たい」
奏「行かないわよ」
伊吹「即答は傷つくなあ」
奏「映画はビデオ派なの」
伊吹「むー」
奏「それに、同じ映画好きでも好みが伊吹ちゃんとは違いすぎるわ」
伊吹「まあ確かに」
奏「映画って」
伊吹「ん?」
奏「実際ありえないようなことを観たくない?」
伊吹「あー・・・わかる・・・」
奏「歯切れが悪いのね」
伊吹「だってアタシ感情移入しちゃうから、ヒロインに」
奏「確かにそうね」
奏「顔真っ赤だものね、伊吹ちゃん」
伊吹「それを奏ちゃんは後ろからいっつもニヤニヤ見てるんだもん」
奏「かわいいわよ、そういう所」
伊吹「・・・だから、実際にあってほしいって思っちゃうこともあるよ」
伊吹「・・・人生は、映画みたいには行かないってわかっていても」
奏「・・・抱きしめたいわ」
伊吹「・・・年下のくせに」
奏「さっきのマイフェアレディって」
伊吹「うん」
奏「プロデューサーと常務みたいよね、学者と教授が」
伊吹「あー」
奏「それで、私たちがヒロインの花売り娘」
伊吹「アタシたちがオードリー・ヘップバーンだったとは」
奏「アイドルたちをシンデレラにできるか、賭けをしようって、学者Pと教授常務が言うの」
伊吹「確かに確かに」
奏「ねえ伊吹」
伊吹「何、奏」
奏「アイドルになれて、幸せ?」
伊吹「当たり前じゃん?」
奏「うふふ、私も」
奏「人生は小説より奇なりって言うけど」
奏「映画はどうなのかしら」
奏「映画は、人の願望の結晶みたいなところあるし」
伊吹「まあ、そうかもね」
奏「君の名は。みたいなことは断じて起こらないわ」
伊吹「リアリストだなあ」
伊吹「・・・入れ替わってみよっか」
奏「・・・うわあ、私伊吹、入れ替わっちゃった!踊れない!」
伊吹「キス大好き!キス大好き!・・・あれ、唇が違う!」
奏「私たち下手ね」
伊吹「二度とやらないと誓った」
奏「・・・まあ、私なら」
伊吹「ん?」
奏「私なら、絶対忘れないわ、忘れちゃいけない人の名前なんて」
伊吹「・・・惚れた」
伊吹「・・・ねえ」
奏「何」
伊吹「やっぱり、映画行こうよ一緒に、デートデート」
奏「何見るのよ」
伊吹「奏ちゃんと一緒ならB級映画でもいい」
奏「心から楽しめないのは駄目よ」
伊吹「むー」
奏「・・・まあ、私恋愛映画嫌いじゃないんだけど」
伊吹「じゃあ行くしかないじゃん」
奏「そうじゃなくて、恋愛映画観てる時の自分が嫌い」
伊吹「え、どゆこと」
奏「・・・だって、ああいう映画って、コントロールできなくなるじゃない、観てる自分が」
伊吹「意外、奏ちゃんがコントロールできないとは」
奏「私も女の子よ」
奏「だから・・・その、私伊吹ちゃんと隣で恋愛映画観たことはないじゃない」
伊吹「ああ、うん、え、でも後ろとかにいるじゃん」
奏「後ろでしょ?隣じゃない」
奏「恥ずかしいのよ・・・・映画に乱される自分の顔を見られるのが」
伊吹「・・・」
伊吹「私奏ちゃんにしょっちゅう見られてるけど」
奏「それはそれ、これはこれよ」
伊吹「・・・」
奏「・・・」
伊吹「いいじゃん、人生映画みたいにはいかないんでしょ」
奏「・・・」
伊吹「映画観たい」
奏「行かない」
伊吹「映画観たい!」
奏「行かない!」
映画みたいにはいかない人生。
それでもここは人生という舞台。
アタシは役者、いや、ダンサー?
倒れるまで、アイドルという小道具を身に着けて、踊り続ける。
それはこましゃくれた隣の17歳だって一緒。
映画みたいにはいかない。
そろそろ幕が下ります。こんなくだらない話聞いてくれてありがと。
以上です。
伊吹さんと奏さんのカプを書きたかっただけです。これからも書きたいです。
文章まとまらず申し訳ありません。
もしよろしければ
長富蓮実「ザ・ベストテン」
島村卯月「卯月の1日」
依田芳乃「そなチネ」 らもよろしくお願いします。
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