京太郎「それが俺たちのレゾンデートル」 (13)
2月1日
京太郎「そろそろ先輩の卒業式か…」
咲「その前に明日の京ちゃんの誕生日だけどね!」
京太郎「そういやそうだな……うっ」ズキン
咲「大丈夫?京ちゃん」
京太郎「あ、ああ。せんぱーい、この資料この辺に置いときますね」
久「ええ、ありがとう。それ終わったら少し休んでいいわよ?」
京太郎「すいません、最近頭痛がひどくて…」
まこ「わりゃぁは久に一番こき使われとるけぇの。無理せず休みんさい」
京太郎「でも、もう引退した竹井先輩まで部室の大掃除手伝ってるのに、」
久「好きでやってることだし気にしなくていいのよ~」ヒラヒラ
京太郎(…はぁ、なんだかんだ面倒見いいんだよな、竹井先輩)
京太郎(それにしても、もう一年経ったのか)
京太郎(今じゃ咲も皆と仲良くなったし、俺もお役御免なのかねぇ…)
―――ズキン
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咲「あっ!これ懐かしい!」
和「何があったんですか? 咲さん」
優希「おー、全国優勝の時撮った写真だじぇ」ズイッ
咲「…じゃなくて、県大会の方だけどねっ」
優希「そ、それくらいちゃんと見ればわかってたじょ。ちょっと見間違えただけだじぇ」
咲「どうかなー? だって、背景とか和ちゃんの髪形とか全然違うのに」
優希「ぐぬぬ…だいたい、たかが県大会でなんでこんな高そうな額縁に入れてあるんだじぇ」
和「優希、言っていいことと悪いことがあります。色々協力してくださった皆さんに失礼でしょう? …でも、たしかに気になりますね」
久「あー、それ須賀くんが持ってきたのよねぇ」
咲「え?」
久「『俺にはこれくらいしかできませんから』って。ほんと健気っていうか…」
まこ「こら、みんなして手を休めてどうする。テキパキやらんにゃぁ日が暮れるぞー」
咲・優希「はーい」
久「あらあら、まこももう立派に部長やってるのねぇ」
まこ「…叱るばっかしで部長になれるなら苦労せん。あんたンような立派な部長の後だと余計にのぅ」
咲「ふぅ、終わりましたね!」
和「おつかれさまです」
優希「部室ってこんなに広いものだったんだじぇー」
久「あら、いい匂いがするわね」
京太郎「おつかれっす。暇だったんでハギヨシさんに貰った紅茶とお菓子広げておきましたよー」
まこ「休みんさいってゆぅたのに」
京太郎「俺にはこれくらいしかできませんから」
―――ズキン
京太郎(っ、頭が、痛い)
咲「そんなことないよ!」
京太郎「咲?」
久「あのねぇ、あなたいつもそんなこと言うけど、どうしてそう思うの?」
京太郎「どうしてって言われても…」
京太郎「なんか、咲がこんなに成長してるのを見ると、自分の役目はもう終わったのかなぁってしみじみと、思っちゃうんですよね」
咲「はぁ? 京ちゃん何言ってるの?」
京太郎「いや、だってちょっと前まで知らない人と話すのすらためらってた咲がねぇ」
優希「犬…ちょっと気持ち悪いじょ。いったいお前はどこ目線にいるつもりなんだじぇ…」
和「『咲は俺が育てた』とか言い出しそうですね」
京太郎「そこまで自惚れてねぇよ!? …たぶん」
久「役目…役割…。ねえ、こんな話知ってる?」
京太郎「?」
久「世界のすべてのモノには役割があるって考え方。大気や大地、物理法則その他もろもろ、色んなものが作用し合って、とんでもないバランスの上に今の世界は成り立っているの」
咲「急に何言いだすんですか、先輩」
久「そこには人間も含まれていて、全ての人間には役割が存在するってことよ」
和「役割論理? んん~、○○はありえない~…っていう昔流行ったあれですか?」
まこ「違う」
久「…それでね。 逆説的に、役割が無かったり、それをなくしてしまった人間はこの世界には存在できなくて、消えてしまうっていう都市伝説があるの」
京太郎「ほえ~。なんかSFっぽいですね」
和「そんなオカルトありえません」
久「だよね~、知ってた」
京太郎「じゃあなんで話したんすか」
久「でも、実際にあったら怖いと思わない?」
京太郎「はは…そう、です…ね…」
―――ズキン!
京太郎「…すみません、頭痛いんで今日はもう、帰って大丈夫ですか?」
まこ「おう、無理せんでの」
咲「明日は部室でパーティするんだから、主役がいないなんてことにならないようにね!」
優希「堂々とサボるとは…ま、今日くらいは許してやるじょ」
和「本当に辛そうですしね…ゆっくり休んでください」
京太郎「…ありがとな、みんな」
久「あ、じゃあ帰るついでにコレ、途中の廊下の壁に貼ってきてもらえる?」
っ「麻 雀 部 は こ ち ら」
京太郎「ええ、りょうかいっす」
次の日、須賀京太郎は部室に現れなかった。
次の日も、その次の日も。
※ ※ ※
咲「はぁ…はぁ…京ちゃん…どこ…!?」
『須賀…くん? 誰、それ』
『咲さん、クラス名簿でも確認しましたけど、そんな人いませんでしたよ』
『本の中のお友達と間違えたんじゃないのか? 咲ちゃんらしいじょ』
『すまん、記憶にないのぅ』
咲「みんな忘れちゃってる…」
『県大会の時の写真、ですか?』
『あー、これね。やけに高価そうな額縁だけど…あれ、どこでこんなの貰ったんだっけ…』
『どうせ優勝の記念品とかだじぇ』
『ふ、ふむ…そがぁな気がしなくも…』
咲「…でも!」
咲(ここにきっと…!)スッ ポチッ
ピーンポーン
『あらあら、咲ちゃん久しぶりねぇ』
咲「おばさん、お久しぶりです。 あ、あの。 京ちゃんは今おうちにいますか?」
『京ちゃん? えっと…』
咲「………。 いえ、何でもありません、勘違いでした」
『…………』
咲「あの…、お邪魔しました」クルッ
『ねぇ咲ちゃん。うち、少し寄っていかない?』
咲「お、お邪魔します」
須賀母「もう、そんなに汗かいちゃってぇ、少し休んでいったら?」
咲「ありがとうございます。あの…先にお手洗いを借りていいでしょうか」
須賀母「…? ええ、どうぞ」
咲(ごめんなさい嘘ついて……でも、2階の京ちゃんの部屋…そこに行けばきっと!)
ダッダッダッ…バン!
咲「あ、ああ…」
咲(京ちゃんの部屋が、カピバラちゃんの部屋にされてる…)
~一方その頃~
京太郎(紙)「転生したら紙になってた」
OH MY GOOOD!! 一体どうしてこうなった!
くそっ…動け…動け俺の身体…!!
『ステータスオープン!』
しかし何も起こらなかった。
…あれ、これまじでどうすりゃいいの?
To Be Continue…
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