― 刃牙の家 ―
刃牙「さ、メシにしようぜ」
勇次郎「うむ」
モニュ… サク… ゴク… パク… モニュ… ソボ…
刃牙「フゥ~……食った食った」ゲフッ
勇次郎「…………」ペコッ
刃牙「そうだ。親父に会ったら、聞きたいことがあったんだ」
勇次郎「なんだ?」
刃牙「親父ィ……仮想通貨ってなんだい?」
勇次郎「!?」
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勇次郎「なぜ、そんなことを……?」
刃牙「近頃、テレビで仮想通貨ってのが話題になってるけど、俺はどんなものか全く知らなくてさ」
刃牙「親父は俺と違ってアタマいいし……もしかしたら知ってるかと思って」
勇次郎「フンッ……あんなもん、ガキが手を出すシロモノじゃねェ」
刃牙「もちろん、手を出すつもりなんかないよ」
刃牙「ただ、どういうものかってことぐらいちゃんと知っておきたくてさ」
勇次郎「下らねェ……」
勇次郎「そんなことはクラスメイトにでも聞けばいいだろう」
刃牙「俺は親父に聞きたいんだよ」
刃牙「分からないことがあったら親に聞くのは子供の特権だろ?」
勇次郎「甘ぇな。自分で調べもせず、他人に聞くってのはマナー違反てもんだ」
勇次郎「図書館でも行きゃあ、『分かりやすい仮想通貨』みてェな本があるだろう」
勇次郎「それで勉強しな」
刃牙「……親父」
刃牙「もしかして、親父も……仮想通貨についてあまり理解(わか)ってないとか?」
勇次郎「!?」
勇次郎「…………」ミキ…
刃牙「~~~~~~~~~~ッッッ!!!」
刃牙(同じだ……俺が鞭打を喰らわせた時と同じ貌(かお)だッ!)
勇次郎「そんなワケ……なかろう」
刃牙「じゃあ教えてくれよ」
勇次郎「いいだろう……」
勇次郎「見せてやる……仮想通貨をッッッ!!!」
刃牙(えっ、今この場で見られるようなモンなの!?)
勇次郎「俺の指をよォ~く凝視(み)ていろ」
刃牙「ウン……」ジッ
勇次郎「…………」
モワァ~……
刃牙「…………ッッ」
刃牙(こ、これは……ッ!)
勇次郎「どうだ」
勇次郎「見えるか」ヒラ…
刃牙「スゲ……」
刃牙(み、見える……ッ! 親父の指につままれた一万円札がハッキリ見える……ッ!)
刃牙(地上最強のイメージ力は、こんなことも可能なのか……ッ)
勇次郎「こいつをお前にやろう」ヒュッ
刃牙「おっとと」
勇次郎「近くのコンビニにでも行って、こいつを使用(つか)えるか試してこい」
刃牙「…………」ゴクッ
― コンビニ ―
刃牙「スイマセ~ン」
店員「いらっしゃいませ!」
刃牙「あの、このお札……ここで使用(つか)えます?」
店員(ゲ、万札かよ。勘弁してくれよ)
店員「はい……もちろん使えますけど」ニコッ
刃牙「…………ッッ」
刃牙「ドモ……」スタスタ
店員(なんだよ、冷やかしかよ)
刃牙(ナ、ル、ホ、ド~~~~~ッ!!!)
これが――仮想(エア)通貨ッッッ
― 刃牙の家 ―
刃牙「さっきは、仮想通貨を知らないンじゃないの、なんていってゴメン」
刃牙「おかげで仮想通貨がどんなもんかよく理解(わか)ったよ」
勇次郎「ウム……」
勇次郎「ただし、仮想通貨ってのはいつどこで価値がなくなるかワカらねェ……」
刃牙「たしかに……タヌキが葉っぱで作ったお札みたいなもんだしね」
勇次郎「だから、オメェは手を出すんじゃねェ。これは父親としての忠告だ」
刃牙「うん……そうする。さすがにイメージで買い物はマズイもん」
刃牙「ありがとう……親父!」
勇次郎「…………」
……
……
― アリゾナ州立刑務所 ―
オリバ「これはこれは……なんの用だ、オーガ」
勇次郎「ケッ、相変わらず大げさな蔵書だ」
オリバ「君こそ相変わらず手厳しいな。で、まさかそれだけを言いにきたのではあるまい?」
勇次郎「まァな……オメェの蔵書(コレクション)を見込んで頼みがある」
オリバ「なんだね?」
勇次郎「『分かりやすい仮想通貨』みたいな本があったら、貸して欲しいんだが……」
オリバ「へ?」
― 終 ―
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