【モバマス】風に踊った自己紹介 (34)

・アイドルマスター シンデレラガールズのSSです
・今井加奈ちゃんが出ます
・アニメの世界線+独自設定です(=デレステのコミュと違う)
・モブいろいろ出ます
・不慣れで口調がおかしいかもしれません

それでもOKでしたら、どうか

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1517232264


<ある春の日・346プロ中庭>


卯月「ええと、次は智絵里ちゃん、どうぞ!」

智絵里「あ、あの…お、緒方…智絵里……高校2年…です………ぇ、えと、わ私は………」

凛「メモ、用意してたんだ…」

未央「智絵里ちゃんっ」

智絵里「ふぁっ!?」

未央「目線、こっちこっち♪」

智絵里「あ、うん…」



 風「 びゅごおおおおおおーーー 」        このへんにメモ →



智絵里「ふゎ、あっ! あああああ、待ってええ」

未央「あ、ちょ、まって」


智絵里「…メモ、どこかにいっちゃった…」シュン


かな子「智絵里ちゃん、こんなときこそ、お菓子 食べて、元気出そ、ね?」


 クローバー型のクッキー「スッ」


智絵里「…あ、クローバー! えへへ、いいことあるかも♪」ニコ

未央「おお、智絵里ちゃんのいい笑顔、いただきましたぁ!」

智絵里「えっ」

かな子「(紹介動画)撮ってたんだね」

智絵里「はううぅ…」


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キョロ キョロ


加奈「やっぱりすごいなぁ、東京って!」

加奈「フ○グランより大きい建物ばっかり」

加奈「……迷子に、なっちゃわないようにっ、目印をメモメモ♪」


ハラリ


加奈「ん?なにかな、あれ」トコトコ


加奈「…メモ?」


加奈「クローバー……かわいいなあ♪」

加奈「えっと、『緒方 智絵里』…女の子かあ…」

加奈「あっ!16歳だって、同い年♪えへへっ」

加奈「特技が『四葉のクローバー集め』…すごいな~、幸せたくさんな女の子かな?」


加奈「…『精一杯頑張りますので、よろしくお願いします』……? 自己紹介??」


加奈「でも、なんで自己紹介のメモが、こんなところにあるんだろう」

加奈「落し物かな?」

加奈「だとしたら今頃この、緒方、智絵里ちゃん?きっと困ってるよね」


<交番>


加奈「おっまわっりさーん!」

巡査「ん?おお、カナちゃんか」

加奈「はいっ、おはようございます♪」

巡査「おはよう、今日はお休みかい?」

加奈「はいっ!東京に慣れようと、お散歩です♪」

巡査「おおそうか、確かまだ…」

加奈「2週間ですねっ」

巡査「だよなあ、ずっと顔見知りみたいな気持ちだよ」

加奈「えへへっ、私もですっ!」


巡査「どうだい、東京は」

加奈「今も迷子になりそうで、建物の特徴を一杯メモしています!」

巡査「そうか、まだメモなしには歩けなさそうかな」

加奈「です、ね…わたし、ものの憶えが悪いから…」

巡査「いやいや、東京の人だって出かけるときに地図をメモするとか、普通だよ」

加奈「そうなんですか!やっぱり東京って、迷路で出来てるんですね」

巡査「カナちゃんは相変わらず、面白いところに目がいくねえ」


巡査「…で、今日は何か用かな?これからちょっと交番をあけるんだが」

加奈「あっ、そうだったんですか!ごめんなさい、ついお話しちゃって…」

巡査「気にしなくていいよ、市民の声を聞くのも、おまわりさんの大事な仕事だ」

加奈「ありがとうございますっ!それじゃ、気をつけてくださいね」

巡査「ああ、ありがとう」

加奈「……………」

巡査「……どうしたんだい?何か顔についているかい」

加奈「あ、いえっ、そうじゃなくて、その、何か、忘れているような気がして…」

巡査「そういうときこそ、メモを見るといいんじゃないかな」

加奈「あっ、言われてみればそうですねっ!」


加奈「…………あーー! 思い出したー!!」

巡査「はははは、メモが役に立ったかい」

加奈「はいっ♪ これですっ」

巡査「これです、って…え?」

加奈「落とし物です、届けに来たんでしたっ」

巡査「…おとし、もの?」



巡査「なるほど事情はわかったけれど…紙切れ1枚で拾得物、は…ちょっと、ねえ」

加奈「ちゃんと名前も書いてありますよ、調べたらきっと」

巡査「『緒方』も『智絵里』も、ありふれてるからねえ…住所とか書いてあれば、まだ…」

加奈「…………」


巡査「一応は受け付けるけれど、おそらく2週間経ったら売却」

加奈「ばいきゃく」

巡査「で、買い手がつかなかったら処分かと」

加奈「しょ…ぼん…」

巡査「たぶんほぼ100%処分だろうね、なにしろ紙切れだから価値もない、とみなされそうだし」


加奈「でも、でもっ!この智絵里ちゃんにとっては、きっと大事なものでっ!」


巡査「ああわかってる、わかってるから、受理はするから、カナちゃん落ち着いて」


加奈「見つかると、いいなー…………はい、住所と名前です」

巡査「ありがとう…カナちゃんの願い通り、緒方さんのところに戻せるようにがんばるからね」

巡査「探し物は、ひょっこり見つかることもよくあるものだから」

加奈「はい、ぜひお願いしますっ!」


加奈「今日は、ありがとうございました」

巡査「こちらこそ」

加奈「……………それと」

巡査「ん?」



加奈「無理言って、ごめんなさい…」

巡査「…」


加奈「東京の人って、みんな忙しくって、他の人のこと…気にする人なんて、殆どいない…」

加奈「それは…なんとなく、わかってたんです、それでも!」

加奈「困っている人がいると思ったら、ほっとけなくって!だから…っ」


巡査「ああ、カナちゃんの気持ちは よーく伝わってる」


巡査「それに、これはおまわりさんのれっきとしたお仕事の一つだ」

巡査「気にせず、任せておきなさい」


加奈「…あ…ありがとうございますっ」



 エヘヘッ☆イッテキマースッ


巡査「…とはいえなぁ…………ただの紙はただの紙、なんだよなぁ…」


後輩「ただいま戻りゃしたー」

巡査「おう、ご苦労」

後輩「あ、センパイいたんスか」

巡査「いて悪いか」

後輩「ひでえなあ、んなこと…ってなんスかそれ?」

巡査「ああこれか、カナちゃんが見つけた拾得物だ」

後輩「あれっ、カナちゃん来てたんスか、会いたかったなぁ」

巡査「適当なところで油売っとるようなヤツは会えんよ」

後輩「ちゃんと仕事してたっスよお~」


後輩「で……拾得物、って、まさかこの…」

巡査「その、まさか、だ」

後輩「ハハハ、カナちゃん面白いなやっぱり」

巡査「気だてがいいから受理したが、拾った場所とメモの内容以外、まるで足取りなしだ」

後輩「へえー…………ん?」

巡査「どうした」

後輩「緒方…智絵里…………緒方、智絵里………どっかで見たことある気が……」


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<ラジオ収録スタジオ>


藍子「というわけで『高森藍子のゆるふわタイム』今日は いま話題の シンデレラプロジェクトから」

藍子「デビュー間近の アイドルの卵、緒方智絵里ちゃん、三村かな子ちゃんを、お招きしていまーす」


智絵里・かな子「よ、宜しくお願いしますっ!」


藍子「次は、智絵里ちゃんのトークです、箱からお題を引いてね」

智絵里「は、はいっ!」

かな子「がんばってねっ」

藍子(なにを がんばるんだろう…)


藍子「じゃかじゃかじゃがじゃか~、じゃんっ♪」

智絵里「えっと…『最近うれしかったこと』、です…」

藍子「はいありがとう、では智絵里ちゃんの『最近うれしかったこと』教えてくださいねっ」

智絵里「あ、はい、あの、えっと、うーん」

かな子「…だいじょうぶ?お手伝いしようか?」

智絵里「あわわあぅ…ごめんなさいごめんなさい…あのわぁぁどうしよぅ、はうぅ」

藍子「落ち着きましょ、ねっ」

かな子「最近あったことの中に、何かあるかもしれないよ」

智絵里「ありが、とう…えと最近あった、こと、最近…最近……」


智絵里「…あ、PR動画…撮った、うん、撮りました」

かな子「中庭でいっしょに撮ったんだよね、ピクニックみたいに」

智絵里「はい…その、撮った、というか、撮られた…というか…」

藍子「その『PR動画』は、シンデレラプロジェクトのページから、ご覧になれますよ~」

かな子「宣伝は基本」

智絵里「きほん…」


智絵里「…えっと、そのとき………自己紹介を、メモに書いていたんです」

かな子「ああ、書いてたねー」

智絵里「なのに、急に風が吹いて……飛ばされちゃって、その…」

藍子「あらー、たいへん」

智絵里「…真っ白になって……落ち込んでたら、かな子ちゃんが…なぐさめてくれて…」

かな子「クローバーのアイシングのクッキー、あげたんだよね」

智絵里「うん、それで………なんとか、無事に、撮影……でき、ましたっ」

藍子「よかったあ、予想外のことがあると、誰でも、慌てちゃいますからねっ」

かな子「それが、『うれしかったこと』かな」

智絵里「あの………えと、まだ、その…続きが……」

藍子「あるんですか?」


智絵里「あのとき、風に飛ばされちゃった、メモなんですけれど」

智絵里「…さっき、警察から連絡があって……」

かな子「えっ、その話、知らないよ」

智絵里「ついさっき、だったから……ごめんなさい…」

藍子「警察から、って…ひょっとして…」

智絵里「はい、あのメモが…落とし物として、交番に届けられてる、って…」

かな子「ええ!そんなことあるの!?」

智絵里「信じられなかったんですけれど…Pさんから、柄とか書いてあることとか聞いて、間違いない、って」

藍子「それは凄いですね!、メモなんて、なくしたらそれっきりのはずだし…」


智絵里「それで、今度…拾ってくれた人にお会いして、御礼をすることになったんですっ」

かな子「うわあ、なんて素敵なキセキ」

藍子「本当によかったですね、拾って下さったのは、どんな方なんでしょうね」

智絵里「えっと…聞いている限りは、私と同い年の女の子で…」

智絵里「上京したばっかりで…その……私のこと、なんにも知らない、らしいん、です…」

かな子「そっか、やっぱり私たちまだまだ、知名度が…」

智絵里「私に連絡が来たのも…たまたま交番にいたおまわりさんが、プロジェクトのページを」

智絵里「見たことがあったから、みたいで…」

藍子「まさに綱渡りみたいに、智絵里ちゃんのところまで届いたんですね~」


智絵里「それで…思ったん、です」

藍子「はい」

智絵里「このメモを、交番に届けてくれた女の子は…きっと」

智絵里「落とした人、わ、私が…とってもメモを大事にしている、なかったらきっと困るはず」

智絵里「…そう思って、純粋な気持ちで、拾ってくれたと、思うんです…」

かな子「ああ、そうだよねー」

智絵里「だから、きっと……この子も……勝手な推測かもですけど…」

智絵里「私とおんなじで、メモが大事な、ちょっと自信がない、そんな子なのかな、って」


藍子「なるほど、そうでないと、届けませんよね」

智絵里「私も、そういう気持ち、わかるから………そんな人たちが、一歩前に踏み出せる…」

智絵里「がんばろう、って思える、アイドルになろう、って…改めて、思ったんですっ」

かな子「天使だ、天使が見えるよぉ」

藍子(…天使さん、どこかなあ?)


藍子「というわけで、智絵里ちゃんの『最近うれしかったこと』でした」

藍子「いいお話をありがとう」

智絵里「い、いえ…」

かな子「どうしよう、私の『すごく恥ずかしかった話』が霞む~」

智絵里「わ、わゎ、あの、ごめんなさいー」

藍子「友達にあげたレシピの ”生イースト 5g”を ”5kg”って書いちゃった話、豪快でしたよ」

智絵里「…かな子ちゃん以外に、あんな話…できないよ…」

かな子「褒めてるのそれ?」


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<数日後 346プロ 応接スペース>


加奈「は、はじめましてっ!今井、加奈っていいます、よ、よろしくお願いしますっ」

智絵里「緒方…智絵里、ですっ、このたびは、その…ありがとう、ございましたっ」

P「私からも、御礼申し上げます」

加奈「は、はい!こちらこそ………わあー」ジー

智絵里「はうっ!?な、なにか、顔に…ついていますか?」

加奈「いえ、そ、そうじゃなくって…」

加奈「まさかアイドルさんだなんて…ぜんぜん知らなくて…」

智絵里「デビューしたて、ですから、ま、まだまだ…全然………」

P「緒方は、弊社でも期待の新人アイドルです、どうかお友達などにも、広めていただければ」

加奈「はい!お約束しますっ」



加奈「思ってた通り、アイドルさんって、笑顔がまぶしくって…きれいで…」ジ-

智絵里「そ、そんなに見つめられたら///////」

加奈「ほんとにすごいなあ…あそうだ、メモしなきゃ…」

智絵里「………あっ」

加奈「え?」

智絵里「やっぱり、メモ…」

加奈「これ、ですか?いろんなもの、興味あって、いっぱいメモしてるんです」

加奈「…というか、『やっぱり』って…どういう」

P「緒方が、言っていました」

P「メモを届けるような人だから、きっとメモを大事にする人なのだろう、と」

智絵里「予想してた、通りでした」

加奈「すごーい!っていうことは、緒方さんも私みたいに、メモいっぱい取る…」

智絵里「そんなには…ただ、私に似てるところがあるのかな、って思って…」

加奈「似てるんですか?」

智絵里「はい、なんとなく…でも、今井さんみたいに、興味あることに、ぴゅーん、っては、なれない、です…」

加奈「ぴゅーん」


加奈「智絵里ちゃ…緒方さんって、かわいい方ですねっ」メモメモ

智絵里「えええぇぇ」テレテレ

加奈「…」ニコニコ

智絵里「それに…智絵里で、いい、ですよっ、緒方さん、って…他人行儀だし…」


P「…申し訳ありません」

智絵里「あ、その、いえ、Pさんは、緒方で、全然、はうぅ」

加奈「えへへっ、じゃ、智絵里ちゃんって、呼ばせてもらいますね」

智絵里「私も、加奈ちゃん、で、いい…ですか」

加奈「もちろん♪」

加奈「…この場だけ、ですけれど…」

智絵里「…」

P「…」

智絵里「あの、Pさん」

P「はい」


智絵里「加奈ちゃんって…アイドルに向いてるって、思いませんか?」

加奈「えっ!?」


P「緒方さんは、そう感じたのですね」

智絵里「はい…」

加奈「あ、あのっ…自分では全然、そんなこと、思ったこともなくって…」

加奈「智絵里ちゃんから見て、どんなところが アイドル向き なんでしょう?」

智絵里「えーっと、その…言葉にしにくいんですけれど、加奈ちゃんって…」

智絵里「失礼かもだけど、すごく…普通、で…」

加奈「あっ!それ、よく言われます」メモメモ

智絵里「なのに、いろんな人の懐に、すっと入っていけるように思えて」

加奈「そう、なのかなぁ?」メモメモ

智絵里「それに、興味が湧いたことに、まっすぐ行動できるし…」

加奈「/////…だんだん恥ずかしくなってきました…自分のこと、メモするのって…」メモ

智絵里「Pさんは、どう思いますか?加奈ちゃんのこと」

P「そうですね… いい、笑顔だと、思います」

加奈「///////」ボッボッボッ


P「もし、今井さんにその気がおありでしたら」

P「一度、オーディションを受けられるのも、いいと思います」

加奈「そ、そう、ですか…ふぇぇ」

P「私は、シンデレラプロジェクトに係っているので、担当するわけにはまいりませんが」

P「アイドルとしての可能性は、あると思われます」

加奈「あ…ありがとうございますっ、えへへっ、アイドルかぁ…」

智絵里「いつか、一緒のステージに立てたりして…えへっ」

加奈「もしそんなことになったら…夢みたいですねっ」

智絵里「加奈ちゃんに目指してもらえるように、私、アイドル頑張るからっ」

加奈「はいっ、応援してますね♪」


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加奈「………アイドル、かぁ…」

加奈「智絵里ちゃんみたいな…キュートなアイドル………いいなぁ」

加奈「……わたし、向いてる…かなぁ?」

加奈「わたしなんかの…どこが……」


加奈「…わかんない、わかんないけど…嬉しいっ♪」


加奈「うん、いまは自分にできること、精いっぱいやろう」


加奈「かなかなファイファイおー!」


346プロの中庭には

春の風が、時には強く、時にはやさしく、吹いていました

その風の通り道を

ひとりの少女が、心躍らせながら 舞い辿ってゆきました


あの日の、メモのように



おしまい


おつきあいいただき、ありがとうございました


智絵里ちゃんのメモと加奈ちゃんのメモを結びつけるSSってあったかなあ?と思い
なきゃ書いちゃえ、と思って作っちゃいました
既にあったらごめんなさい

実はもう一つ加奈ちゃんのSSを書いていたのですが、展開が展開なので進みが遅く
あとから書いてたこっちのSSが追い抜いてしまいました


また私事ですが病み上がりでSSの勘が鈍っており、多少なりとも取り戻して
次のSSにつなげられたらと思いつつ、HHB(筆を置く)とさせていただきます

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