野崎「全自動ベタ塗り機を買った」 (15)

野崎「指定した所をベタしてくれるこの便利な機械……」

野崎「これがあれば……」


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佐倉「お邪魔しまーす!!」

御子柴「おーっす」

野崎「!! 二人とも、丁度いい所に」

佐倉・御子柴「?」

野崎「実はさっき、いい物を買ってきた」

御子柴「なんだよ?」

野崎「あっと驚く漫画家の味方さ」

野崎「これだ」

佐倉「き、機械!?」

野崎「ああ、全自動ベタ塗り機だ」

佐倉「全自動ベタ塗り機!!?」

野崎「ああ、方法は簡単だ」

野崎「まずインクを入れる」

ドバー

野崎「そしてレバーを引く」

ガチャン

野崎「あとはどこにベタするか指定するだけだ」

佐倉「へ、へぇ~。 よくできてるね」

野崎「ここにベタしてくれ」

野崎「……と、このように言えば……」

ベタ……ベタ……

野崎「自動的に塗ってくれるわけだ」

御子柴「……」

御子柴(すげぇ遅えなこれ。 自分でやった方がはええんじゃねえのか?)

野崎「どうだ、便利だろう」

佐倉「う、うん!! 凄い世の中だねぇ~」

佐倉「……」

佐倉(野崎くん、なんで急にこんな機械買ったんだろう)

佐倉(もしかして……私のベタが下手くそだから……?)

佐倉「こ、この機械があれば私ももう、いらないんじゃないかな~」

野崎「そうだ佐倉。 これがあれば……」

野崎「お前が来る必要もないだろう」

佐倉「!!!!!」

野崎「だからこれからは……」

佐倉「……」

野崎「……佐倉?」

佐倉「……」ダッ!!

野崎「さ、佐倉!! どうした!!?」

バタン!!

御子柴「……」

野崎「帰ってしまった……」

御子柴「野崎……お前、最低だな」

御子柴「お前、佐倉にもう来なくていいっつったんだぞ?」

野崎「いや、だからこの機械があれば……」

野崎「佐倉のハードなスケジュールがなくなると思って」

御子柴「どういうことだよ?」

野崎「最近、アシスタントの中でも佐倉がズバ抜けてここに来る日が多くてな」

野崎「そこで佐倉の負担を減らそうと思ってこの機械を買ったんだ」

御子柴「じゃあお前……佐倉に二度と来て欲しくないとか……思ってねぇのか?」

野崎「!! 当たり前じゃないか!」

御子柴「……お前なぁ、そういうのはもっと早く言えよ」

野崎「そうか、佐倉は自分がいらないと思って先に帰ってしまったのか……」

御子柴「お前、ちゃんと謝った方がいいぞ」

野崎「ああ、そうだな」










佐倉「……」

佐倉「どうしよう、何も言わないで帰っちゃった……」

佐倉「悪いのはベタが下手な私なのに……」

プルルルル

佐倉「! 野崎くんからだ!!」

野崎『佐倉……すまなかった』

佐倉「う、ううん!! 私の方こそ何も言わないで出て行ってごめんね!!」

野崎『実はあの機械を買ったのはお前の負担を減らす為だったんだ』

佐倉「……へ?」

野崎『ここ最近はお前にベタを任せきりでな……これ以上お前に無茶をさせたくなかったんだ』

野崎『だからこうして全自動ベタ塗り機を買ったんだが……』

野崎『その……俺がお前をいらないというニュアンスの言い方をしてしまって悪かった。 本当にすまない』

佐倉「……」

佐倉(野崎くんは……私を心配して……)

佐倉(あの機械を買ってくれたんだ……)

佐倉「の、野崎くん!! 今から……そっちに戻ってもいいかな?」

野崎『!! ああ』

佐倉「すぐ行くね!!」










佐倉「ごめんね!! いきなり出て行ったり帰ってきたり……」

野崎「いや、悪いのは俺だ。 本当にすまなかった」

佐倉「ううん違うよ!! 悪いのは私だよ!!」

佐倉「野崎くん……私、ベタの仕事を一度もイヤと思ったことはないよ? 無茶もしてないよ?」

野崎「……本当か?」

佐倉「うん!! 寧ろ毎日やりたいぐらい!!!」

野崎「佐倉……」

御子柴「本人がそう言ってんだからよ、これかもガンガン頼ったらどうだ?」

佐倉「うん!! 頼って!!」

野崎「佐倉……ありがとう」

野崎「そうだ、今度は全自動花描き機でも買うか」

御子柴「はぁ!!?」

佐倉「そ、そんなのもあるの!?」

御子柴「なんだよ野崎……俺がいらねぇのか?」

野崎「!!」











マミコ『鈴木くん……もっと私を頼ってよ……』












野崎「いや、やっぱやめるか」

御子柴「!!!」パァ

佐倉(みこりんも私と同じで必要とされるのが嬉しいんだなぁ)

野崎「……」

野崎(来週、みこりんの好きなギャルゲーの発売日だからゲームさせようと休ませるつもりだったが……)

野崎(まぁマミコのいい絵になったし内緒にしよう)

終わり

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