突然だった。
女「ごめん、私たちもう無理だと思うんだ。」
男「無理って、、、何が?」
女「とにかく、もうダメなんだよ。ね?わかってよ、、、」
男「わからねえよそんなの、なんでいきなりそんな、」
女「わからなくてもいい、だから、今日は帰って?」
頭が真っ白になって、何も考えられなくなった。
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初です。妹スレ(予定です)。
妹「おかえり」
家に帰ると、リビングで妹が新聞紙を広げて足の爪を切っていた。
男「ああ、ただいま」
妹「あれ、なんか露骨にテンション低いけどどうしたの?」
良く気付くな、こいつは。
男「まあいろいろとね。」
妹「そうですか。んじゃあ聞かない。」
またこうやってずるいことを言うのだ。ほんとは聞いてほしいことを分かっているのに。
男「いや、やっぱり聞いてくれ」
妹「そうならそうと早く言いなさい、時間は有限なのだよ?ワトソン君。」
爪をパチパチ切りながらこうやって茶化して、俺の気を紛らわさせてくれようとしてるのか、それともただふざけてるだけなのかわからないが、とりあえず気が楽になる。
男「いやさ、振られたんだよね、彼女に」
妹「え、彼女って女先輩に?」
男「そうだな」
妹「え、あー、まじか、なんて言ったらいいんだろう」
割と驚いているらしい。
妹「とりあえず、お疲れって感じ?」
男「ああ、さんきゅ」
妹「てか、兄さんはいつから女さんと付き合ってたの?」
男「話したこと無かったっけか、中3の時からだから、一年半くらい付き合ってたのかな」
妹「結構長いね、それはきついよね」
男「いや割と本当にきつい、正直泣きそう。」
妹「ていうか帰り道泣いてたでしょ?なんか目腫れてるよ。」
男「あー、ばれたか。恥ずかしいな。」
ピーピーピー
妹「あ、お風呂焚けたみたい。どうする、入る?」
男「一緒にか?いいぞ何年ぶりだ?」
妹「そんな死人みたいな顔で馬鹿言うな、さっさと入って寝なさい。」
男「割と本気だったんだよなあ」
妹「振られて何を血迷ってるんだか、ほら、さっさと入ってきて」
男「はいよ」
女を初めて見たのは中1の時だ。うちの地区は子供が少なく一つの中学に一つの小学校の生徒しか行かない状況で、成績の悪い小中一貫校のようなものだった。だから、中学校の入学式もみんな顔見知りで特に緊張などなかった、が、一人の転校生そのタイミングでやってきたのだ。それが女だった。
女「初めまして、00小から来た女です。皆さんとは違う小学校から来たのですが、ぜひ仲良くしてください」
と、彼女は特に作業のように淡々と、けれど愛想の悪い感じのしないような自己紹介を済ませていたのをよく覚えている。印象の薄い子だった。
それからしばらく話すこともなかったのだが、転機は中2の野外活動(林間学校、とも言うのだろうか)で起こった。
二日目の昼食はみんなでカレーを作るのだが、僕らは二人で飯盒のお守りをする係になったのだ。今まであまり話したことのない女の子と2人でいる状況は中々苦しかったのを憶えている。
女「男君、だよね」
男「ん?ああ、そうだよ。そっちは、女さんで合ってる?」
女「いいよ、女で。てか私のこと憶えてたんだ、意外」
男「じゃあ俺も呼び捨てでいいよ。」
「そりゃあこんな狭い中学で二年もクラス一緒だったらわかるでしょう」
女「まあ、そうだよね。あ、なんかふたがぐらつき始めたよ、これどうすればいいの?」
男「さっき配られたしおりに書いてなかったけか。えっと」
といった感じで本当に他愛のない会話をしたような気がする。それから、割と席の近かった俺らは話すようになり、友達の友とも話すようになり、いつしか3人グループでよく昼休みなどは教室で駄弁っているようになった。、
その日は初雪が降った。
帰り道。友と帰ろうとしていたら彼女と昇降口でばったり会って3人一緒に帰っていた。
女「あれ?初雪じゃない?」
そういった彼女の格好は今でも覚えている。それだけその経験がそのあとの僕の人生を変えたということなのだろう。
紺の制服に黒タイツ、そして白いスヌード。吐き出す息は煙のように白く濛々としていて。冬を感じさせるものだった。
友「あれ初雪一緒に見たってことは結ばれるんじゃない?」
友は恐らく女と僕を指したのだろう。その時の僕は照れくさくて、
男「は?友と結ばれるとか意味が分からない、ホモじゃねえし」
などとはぐらかした。友もそこは弁えたらしくそれ以上突っ込むことはなかった。
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