アライちゃんのいる日常2 (1000)

前スレ

アライちゃんのいる日常
アライちゃんのいる日常 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1514203819/)



~北米のとある研究所~

ここは細菌やウィルスに関する研究をしている研究所。

檻の中に、実験動物たちが閉じ込められている。

アライグマ1「キュルルルル」
アライグマ2「…」
アライグマ3「…」
アライグマ4「…」
アライグマ5「…キュル」

アライちゃん1「NANODA!」ヨチヨチ
アライちゃん2「NANODA★」ヨチヨチ
アライちゃん3「NODA!NODA!」ヨチヨチ
アライちゃん4「NORYA~」ヨチヨチ
アライちゃん5「あいむはんぐりーなのりゃ!らんちをよこすのりゃ!」コスリコスリ

このアライちゃん達は、だいぶ前に日本から空輸された数匹のアライさん…
その子孫であり、この研究所で養殖された実験動物である。

基本的に、アライさんの国外への持ち出しに関する制限は、普通の野生動物と同じ。

合法的に動物を輸送するルートを使えば、何の制限もなく国外へ輸送できるのである。

研究員「…」スタスタ

研究員が、なにかを持ってきた。

アライちゃん1~5「「「らんちたいむなのりゃあ!」」」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライグマ「「「ハウハウハウ」」」ガシャガシャ

研究員「…」ポイッ

そして、その物体を檻の中へ撒いた。

アライグマ1~5「「キュルルルル」」クッチャクッチャクッチャクッチャ

アライちゃん1~5「「くっちゃくっちゃ!んむ~!でりしゃすなのりゃあ!★∀★」」クッチャクッチャ

…餌は、なにかの脳。
生の脳みそであった。

…翌日…


アライグマ1~5「「ハウハウハウ」」クッチャクッチャクッチャクッチャ

アライちゃん1~5「「くっちゃくっちゃ!ぐちゃぐちゃ!これおいちーNORYA!」」クッチャクッチャ

…1週間後…

アライグマ1~5「「ウギュル…」」クチャクチャ

アライちゃん1~5「「きょーもこれなのか?あきたNORYA…むしゃむしゃ…」」クッチャクッチャ

…さらに1週間後…

アライグマ1~5「「ウギュクキュェエエエ」」ビクンビクン

アライちゃん1~5「「おーじーびーふがたべたいのDA!むしゃっむしゃっ…」」クッチャクッチャ

その餌を2週間ほど食べ続けたアライちゃん達は健康体であったが…

アライグマ達は、明らかに脳に異常が出ている。

研究員「BSEにかかった牛の脳を2週間食べ続けても、異常無しか…」

研究員「アライちゃんは、ウイルスや細菌だけでなく、異常プリオンにも極めて強力な耐性があるようだな…」カキカキ

アライちゃん1「なのりゃ~」コスリコスリ

檻の中のアライちゃん1は、手を擦り合わせながら研究員たちを見ている。

研究員1「しかしこれはどういう状態なんだ?異常プリオンに感染しているにもかかわらず、症状が出ないということか?」

研究員2「そもそも異常プリオン自体に感染していない?」

研究員1&2「「…」」

研究員1&2「「解剖するか」」ガチャッ ガシィ

アライちゃん1「Pッ!?」ビクゥ

研究員1はアライちゃんを掴み、解剖用の台へ乗せた。

アライちゃん1「うゆぅ!わっつはぷんなのりゃ!わっちゅごなどぅーなのりゃあ!?」ジタバタ

アライちゃん1は、ただならぬ状況に慌てている。

研究員1「黙らせるか」スッ

研究員1はスタンガンを取り出し、アライちゃん1に当てた。

アライちゃん1「あうちゅぅ!」ビググゥッ

アライちゃん1「…ざっつとぅーばぁーっどなのりゃあ…」グッタリ

アライちゃん1はおとなしくなった。

研究員1「さばくか」キュイイイインッ

研究員1は回転する刃物を取り出した。

(BSeって潜伏期間クソなげー病気だったような)

刃物「」キュイイイイイン バリバリバリバリ

アライちゃん1「」ブシャアアア

失神しているアライちゃん1は、そのまま意識を取り戻すことなく解剖され、絶命した。

研究員2「脳を顕微鏡で見てみよう」スッ



研究員2「異常プリオン無しだ」

研究員1「どうやら、ウイルスや細菌だけでなく、異常プリオンにも…。タンパク質で構成される病原体には大概感染しないようだな…」


アライさんの奇異な特性は、さまざまな研究機関で研究されている。

なぜ産まれた時から服を着ているのか?
なぜ聞いたこともない単語を喋りだすのか?
なぜ傷の治りが異常に早いのか?
なぜアライグマと生殖するのに、ヒトに似た見た目をしているのか?


…謎はまだまだ解明されていないものばかりである。

>>15-16

※実験室でアライちゃんが解剖されるシチュエーションが書きたかったのだ

※尻尾のダンス見せてあげるから許してなのだ(フリフリフリフリ)



~北米のとある畑~

ここは北米の畑。

アライちゃんは、ここアメリカでもペットとして人気である。

日本で発生したアライちゃんが、北米へ輸入されたのである。

そして、ペットとして人気であるが故に…

アライさん「ふははははー!ベジタボォいっぱい採ってリッツパーリィするのだ!」ドタドタ

アライちゃん1「NANODA!」ヨチヨチ
アライちゃん2「NANODA!」ヨチヨチ
アライちゃん3「NANODA!」ヨチヨチ
アライちゃん4「りっつぱーりーなのりゃあ!★∀★」ヨチヨチヨチヨチ

…捨てられるアライさんもいる。
アライグマ原産地であるここ北米でも、野生化したアライさんによる農作物被害が発生している。

アライさん「チビ達はどのベジタボォが好きなのだ?」ノソリノソリ

アライちゃん1「はいまーむ!ありゃいしゃんは、すいぃーとぽれいろぉがしゅきなのりゃあ★」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2「ありゃいしゃんは、とめいとぅなのりゃあ!」ヨチヨチ

アライちゃん3「ありゃいしゃんはー、やっぱりとうもよこしなのRYA!★∀★」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん4「うゆぅ!まむぅ!ありゃいしゃんはねー…」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん4「ぱんぷきんしゃんがしゅきしゅきなのりゃー!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチ

アライさん「HAHAHA!今はペァンプキィンが美味しいシーズンなのだ!」ドタドタ

アライちゃん1「しーずんなのりゃー!≧∀≦」ヨチヨチ
アライちゃん2「りっつぱーりーなのりゃあ!≧∀≦」ヨチヨチ
アライちゃん3「わなびーぐれーとなのりゃ、まーむ!≧∀≦」ヨチヨチ
アライちゃん4「NODA★NODA★」

そんな風に談笑しながら、畑に近付いていると…

突然、ぱぁんという大きな破裂音が鳴った。

アライさん「ばぐぎゃ!?」ブシャアアア ドサァ

アライちゃん1~4「「「≦∀≧」」」!?

アライさんの脳天から血飛沫が吹き出し、倒れた。

アライさん「」ビクンビクンビッタンバッタンジタビタバタバタ

仰向けのアライさんはビグンビグンと痙攣し、じたばたと暴れている。

アライちゃん1「まぁむ!?まむどちたのりゃあ!?」ヨチヨチ

アライちゃん2「まぁーむぅー!?のーぅぇーぃ!」ヨチヨチ

アライちゃん3「まむぅ!おきてなのりゃあ!どちたのりゃあ!」ヨチヨチ

アライちゃん4「いまのおっきーおとなんなのりゃああっ!」スリスリ

アライちゃん達は、ゴキガイジムーブする母親にすり寄っている。

ぱあん、と…二発目の銃声が鳴った。

アライちゃん1「さぶうぇいっ!」ブグチャアアッ

プレーリードッグよりも小さなアライちゃん。
どうやらホローポイントのライフル弾で撃たれたらしく、
アライちゃん1の体は引き裂かれて内臓をぶ吹き飛んだ。

アライちゃん2「ぴいいぃーーーーー!おーまいがぁーーーっ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん3「きゅるるるぅ!ほーりぃしぃーっ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん4「びえええーんっ!ぼーしぇーっ!ぴいぃーっ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん達は何やら喚きながら、元来た道を戻っていく。

再び、ぱぁんと銃声が鳴った。

アライちゃん3「うぇるちっ!」ブグチャアアアッ

アライちゃん3の細い胴体はバラバラに引き千切られ、四散した。

アライちゃん2「のぉーーっ!のぉのぉのぉっ!うぇいうぇいうぇいうぇいうぇいうじゃすたもーめん!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん4「じゃすたもーめぇんっぷりぃーず!あいどんわなだぁーいっ!ぴいぃぃーっ!」ヨチヨチヨチヨチ

再度銃声が響く。

アライちゃん4「おり゛ゃぐゆ゛ぅぅぅっ!」グチャアアアッ

アライちゃん4は頭を撃たれ、頭部が風船のように割れた。

アライちゃん2「あ…あ…」ブルブル

アライちゃん2は絶望している。

アライちゃん2「あ…!」ブルブル

だが…

アライちゃん達のガッツは、並大抵の図太さではない。

アライちゃん2「あーーーーしゅほぉーーーーゆぅーーーっ!」ヨチヨチヨチヨチ

生き汚さでこの動物に勝てる者などいない。

アライちゃん2は、震える手足を奮い立たせて、必死のヨチヨチムーブで逃げた。

アライちゃん2が腹の内に抱えるガッツは大したものである。

だが…

無慈悲な銃声が響いた。

アライちゃん2「まがふぃぃーーーーーーっ!」ブグチャアアアッ

アライちゃん2が腹の内に抱えたガッツ(内臓)は、腹の外にぶっ飛んでいった。

アライさん「」グッタリ

アライちゃん1~5の肉片「」グチャアアア

アライさん一家はライフル狙撃により全滅した。

農家「…」ガサッ

自由と銃の国アメリカ。
アライさん駆除もまた自由である。

一旦ここまで



アラキレス「かいぬししゃーん!あたらしーおもちゃほしーのりゃあ!」シッポフリフリ

おもちゃ?
こないだ買ってあげたでしょ、穴空きボール。

アラキレス「ころころこよがすだけじゃつまんないのりゃー!もっとあたらちーのほちぃのりゃー!」

うーん…

アラキレス「おもちゃーーっ!おーーーもーーーちゃーーーーーっ!」シッポブンブンブンブンブンブン

アラキレス「ほーちーぃーーーっ!おもちよいおもちゃほーーーーちーーーーーーーいーーーーーーーーっ!」ジタバタジタバタ

アラキレスはじたばたと暴れている。

うーん…
確かに、回し車とボール、ぬいぐるみしかないケージで毎日暮らすとなると…
退屈になるのかもしれない。

アラキレス「かってかってかってかってかってかってかってかってかってかってかってかってぇーーーーっ!ほちいほちいほちいほちいほちいほちいーーーーーっ!」ジタバタジタバタ

アラキレス「しっぽのだんすすゆかりゃかってぇーーーーーっ!」シッポフリフリフリフリフリフリフリフリフリフリフリフリフリフリ

時に…
人はなぜ、『遊ぶ』のだろうか?

人だけではない。
猫や犬、デグーや鯱などの動物にも、『遊び』の習性はある。

生きることが生命の目的ならば。
なぜ直接的に利益に繋がらない『遊び』という行動を、人や動物はとるのだろうか?


一説によると…
遊びとは、赤ちゃんや子供が、この世の物理現象を学ぶために行うものだと言われている。

新しいものを見つけたぞ。
触ったらどうなるか?触ってみよう。
転がしたらどうなるか?転がしてみよう。
壊したらどうなるか?壊してみよう。
食べられるのか?舐めてみよう。口に入れてみよう。

…動物は産まれたときは無知である。
それ故に、幼い頃に『遊ぶ』ことによって、様々なことを知る…。

つまり、新たな知識や物理現象の発見、そして学習。
知的好奇心のままに、新鮮な発見をすること。

それが、原始的な『遊び』の本質なのだと…
そういう説がある。

アラキレス「なんかあたらしーおもちゃほしーのりゃああーーーっ!」シッポフリフリフリフリフリフリ

アラキレスも、知能が急激に発達し始める時期。
新たな刺激を学びたくて仕方がないのであろう。

アラキレスが駄々をこねているのは…
私が『迷っている』からだ。

私が『ダメだ』と断言すれば、アラキレスはふてくされながらも黙るだろう。

飼い主の機嫌を損ねたら捨てられる…そう教育されたから。

しかし、私が『迷っている』故に、アラキレスはこのようにうるさく要求しているのである。

ペットの言うことに何でも従うのは良くないとはいえ…

無下に却下するのもどうかという感じがする。


よし、聞いてみよう。
アラキレス…どんなのがいい?

アラキレス「おもしろいのがいーのりゃあ!」フリフリフリフリ

つまり『知的好奇心が満たされるもの』といったところか。

であれば…
私は引き出しから、あるものを取り出した。

アラキレス。
今週末…あと3日我慢できたら、新しい玩具あげる。

我慢できる?

アラキレス「うぬぬぬぬぬ…」コスリコスリ

まあ、できないならあげないけど。

アラキレス「…なんでがまんいるのりゃ?」

その玩具は、私の言うこと聞いて良い子にしてたご褒美にするから。

アラキレス「…がまんすゆのりゃ…いーこにすゆのりゃ…」

そう。
アラキレスは言うこと聞いて偉いね。

そういう、素直で良い子なとこが可愛いんだよ、アラキレスは。

私はアラキレスの顔を撫でた。

アラキレス「うゆぅ!かいぬししゃーん♪」スリスリ

アラキレスは、私の頬に頬擦りした。

あ゛ー可愛い。
悶え死ぬ。

アラキレス「ありゃいしゃん、かいぬししゃんがせかいでいーっちばんしゅきなのりゃあ♪いーこにしてまってゆのりゃあ!」スリスリ



私が、3日待たせる本当の理由。

それは…
アラキレスが、自身の欲望を我慢しようとして苦悩する姿を見たいから。

私からのご褒美を貰おうと必死になる姿を見たいからである。

…こんな欲求を持ってる私は、飼い主失格だろうか?



3日後。
アラキレスは、なんと駄々をこねずに3日我慢したのである。

アラキレス「かいぬししゃんっ!おひさまさんかいのぼったのりゃっ♪」ニコニコ

あー。この満面の笑顔。
歪ませたい。
あと1日延長してガッカリさせたい。

…まあ、私も鬼ではない。
アラキレスに約束を守らせておきながら、私が約束を破る姿は見せられない。

約束通り、玩具をあげよう。
はい、油粘土。

あと、手洗いセットもね。

アラキレス「うゆ?これなんなのりゃ?」シッポフリフリ

先に言っておくけど、食べ物じゃないよ。
めっちゃ不味いし、食べたらお腹壊すからね。

アラキレス「そ、そうなのか…」

これはね。
こーやって、こねこねして…ものを作るの。

アラキレス「…?」

じゃーん。
鳥さんだよ。

アラキレス「…?」

アラキレスは、私が作った粘土の鳥をじっと見ている。

鳥だよー。
ぴぃぴぃぴぃ。

アラキレス「ひっ…!?と、とりしゃんやーなのりゃあ!こあいのりゃあーーっ!」ビエエエエン

ああ、やばい。アラキレスにとって鳥はトラウマだった。

それじゃあ…ほら。
アライちゃんだよ。

私は、油粘土でちっちゃなアライちゃんを作った。

アラキレス「うおぉー!ちっちゃいあらいしゃんなのりゃー!ちょーだーいなのりゃあ!≧∀≦」シッポフリフリフリフリフリフリ

いいよ。約束だからね。
はい、ミニアライちゃん。

アラキレス「ありがとなのりゃー!わははーあらいしゃんのほーがおやぶんだぞー!きゅるるるぅー!」ブンブン

アラキレスは、粘土ミニアライちゃんを虐めて遊んでいる。
悪趣味だなぁ。

まあ…私も人のこと言えないか。




私が小さい頃は、その油粘土で小人を作って…

頭をもいだり、

腕を引きちぎったり、

股裂きしたり、

目を刺したり、

おちんちんを潰したりして、遊んだんだよなぁ…。



…いかん。
私の黒歴史を曝してしまった。

いいや。
悪趣味じゃないかもしれない。

少し大きくなって…小学4~5年生の頃からは、油粘土で小さな『私』を作って…、


高いところから落としたり。

ミニカーで轢いたり。

カッターで切り裂いたり。

胴体が切れるまで捻ったりして…


『私』が残酷に殺されるところを想像して、興奮してたりしたっけ。


…うーん。
さっきより悪趣味かもしれない。

そうだ、アラキレス。

粘土で遊んだ後は、その水桶でちゃんと手を洗うんだよ。

私は油粘土と水桶、小さなタオルを、ケージに入れた。

アラキレス「かいぬししゃーん!ありがとなのりゃー!」シッポフリフリ

アラキレス「おててあらうって…こーなのりゃ?」バシャバシャ

そうだよ。

アラキレス「あはは!おもりよいのりゃー!≧∀≦」バシャバシャ

アラキレスは、油粘土そっちのけで、水桶で手をバシャバシャすることに夢中になっている。

…まあ、楽しいならいいか。

アラキレス「なにつくろっかなー♪こねこねこーね♪」コネコネ

うーん…思い出すなあ。
私が油粘土で遊んでた頃。

一番興奮したのは…あれだ。

粘土で作った小さな『私』を…

プラレールの線路に乗せて、電車ではねた時。

電車にぶっとばされる私を想像して興奮したものだ。

あとは、粘土の私をつまようじで股間から頭まで串刺しにしたり…

粘土の私をマッチョ男のソフビ人形に押し倒させて、強姦(っぽいこと)させたときも興奮した。

…さすがにその時は、見つかって怒られたけど…。



~学校~

ギャル「あー、うちでもアライさん飼ってんだよねー…」

へー、あなたも飼ってるのか。
可愛いよね。

ギャル「小さい頃は可愛かったけどさぁ…。デカくなると、ウザいだけだよ」

…やっぱり、そうなんだ。
なんで飼い始めたんだい?

ギャル「あのアニメ、流行ってっしょ。『あらいぐまブツカル』と同じ頃に放映してたやつ…」

ギャル「そうだ。『よっよちアラ太郎』だわ」

ああ!あれか。
女児に大人気のやつだね。

ギャル「小学生女子にはグッズも売れるし、アライちゃんも売れてるぽいね」

『よっよちアラ太郎…』。

ペットのアライちゃん達の交流を描くアニメだ。

その人気たるやすさまじく、ペットアライちゃんブーム火付け役となった。

動画サイトで一話が公式配信されてたね。

ギャル「あはは!久々に見返してみっか!」

楽しそうだね。
私は、スマホで動画を再生した。

~アラ太郎よちよち歌~

よちよち あゆくよありゃいしゃん

のりゃのりゃ はしゆよありゃいしゃん

だいしゅきなのは はたけのまんまゆ

やっぱり よちゆよ ありゃいしゃん




どたどた はしゆよありゃいしゃん

やねうら もぐゆよありゃいしゃん

だいしゅきなのは ふあふあのパン

もぐゆと うれちー ありゃいしゃん



うゆうゆ ねむゆよ ありゃいしゃん

どこでも ねむゆよ ありゃいしゃん

だいしゅきなのは かわのざりがに

やっぱり ねむゆよ ありゃいしゃん



…アライさんに声が似た女性声優が、オープニング曲を歌っていた。

ギャル「これ妹がよく歌ったなー!思い出すわー!」



ギャル「あー、やっぱおもしれーな!私より先におかんがハマったんだよこれ!」ゲラゲラ

子供向けに見せかけて、大人も楽しめる…。
今見直すと、けっこう凄いなーこれ。

ギャル「あー…あの頃みたく可愛かったらなー…」

…今はどうなの?

ギャル「…可愛くないし…うるさいし…」



~ギャルの家~

ギャル「…ただいまー…」スタスタ

アライさん「おいこらーー!飼い主!アライさんを今日こそここから出すのだーーーー!」ガシャガシャ

大きなケージの中で、アライさんが暴れている。

ギャル「うるさいよ…」

アライさん「お前がアライさんを閉じ込めてるのが悪いのだあああーーーっ!お前のせいなのだああ!」ガシャガシャ

ギャル「はぁ…」スタスタ

アライさん「無視するなー!ご飯も足りないのだ!もっとよこすのだー!」ガシャガシャ

ギャル「…はい」パラパラ

ギャルはドッグフードを器に盛って出した。

アライさん「ガイジか!」ベチィ

ギャル「痛っ!」

アライさんは器を手で払いのけた。
爪がギャルの手の甲に当たり、ミミズ腫れを作った。

アライさん「アライさんは知ってるんだぞぉ!お前達は毎日もっと美味しいもの食べてるのだ!アライさんにもそれよこすのだー!」ガシャガシャ

ギャル「…勘弁してよ…もーやだ…」

アライさん「あーーーーーー!アライグマと交尾したいのだああああ!」クチュクチュクチュクチュクチュクチュ

ギャル「いっ…」

アライさんはなんと自慰をし始めた。

アライさん「うおーーぁああ!イグ!イグのだあああああっ!のあああーーっ!」ビグンビグン

ギャル「…ほんと無理…」

アライさん「ふぅ…。あーもう限界なのだ!飼い主!いい加減にアライさんを独り立ちさせるのだ!」

ギャル「…独り立ちは無理って勉強したでしょ…」

アライさん「あんなの嘘なのだ!アライさんの実力があれば、犬も熊も一捻りなのだぁ!ひっかいて噛み付いてジビエにできるのだぁ!」シュッシュッ

ギャル「…」

アライさん「飼い主…」

ギャル「なに」

アライさん「…アライさんは、別にお前に嫌がらせしたくて暴れてるんじゃないのだ」

ギャル「…」

アライさん「お前のことは好きなのだ…。でも、自由が欲しいだけなのだ。誰かに一生縛られて生きるのはもう嫌なのだ」

ギャル「…」

アライさん「飼い主。いや…ギャル」

ギャル「…」

アライさん「わかって欲しいのだ…。アライさんはもう、ここに閉じ込められて生きるのが嫌で嫌で仕方がないのだ」

ギャル「…食べ物に困らないのに?」

アライさん「お前だったらどうなのだ?食べ物さえ貰えれば、こんな風に閉じ込められてずっと生きてても平気なのか?」

ギャル「…」

アライさん「おんなじことなのだ。こんなとこ…もう…嫌なのだあああ!」ガシャガシャ

アライさん「ギャルが分かってくれるまで!いつまでだって暴れてやるのだあ!」ガシャガシャ

アライさん「アライさんを嫌いになるまで!手放したくなるまで!!暴れてやるのだああああっ!」ガシャガシャ

ギャル「…」

ギャルは悟った。
『もう限界』だと。

アライさん「出すのだあああああ!自由にするのだああああああ!きゅるるるるるるぅう!」ガシャガシャ

ギャル「…ねえ。アライさんの楽園って知ってる?」

アライさん「のあ?何なのだそれ!?」

ギャル「…ペットショップで聞いた。そこでは、アライさんが自由に暮らせるんだって…。行きたい?」

アライさん「行きたいのだあああ!連れていくのだああああ!」ガシャガシャ

ギャル「…」スッ

ギャルは電話を取った。

アライさん「さっさとするのだあああ!ウスノロ!トンマ!ガイジ!」ガシャガシャ

ギャル「…もしもし。アライさん引き取りサービスですか…」



やがて、スーツを着た男性達が来た。

スーツ男1「アライさん購入証を見せてください」

ギャル「…」スッ

ギャルは、アライさん購入証を見せた。

拾った野良ではないということを証明している。

スーツ男2「…1年と10ヶ月か。平気よりちょい下か…。分かりました」

アライさん「お前ら何なのだ!?」

スーツ男1「我々はあなたの召使いです、アライ様」スッ

スーツ男2「アライさんに真の自由がある場所へお連れする使者でございます」スッ

アライさん「おおー、ようやくか!待ってたのだあ!」シッポブンブン

スーツ男1「さあ、この御輿に入ってください」スッ

スーツ男1は、小さな穴の空いた御輿を担いでいる。

スーツ男2「楽園へお連れします」スッ

アライさん「わははー!」ヨチヨチ

足首のないアライさんは、ヨチヨチ歩きで御輿に入った。

アライさん「さっさと行くのだー!」シッポブンブン

スーツ男達は、御輿に鍵をかけて、運んでいった。

スーツ男1「最後に確認します。楽園に行ったアライさんとはもう二度と会えず、コンタクトも取れません。我々を追跡することも禁止します」

スーツ男1「よろしければサインをお願いします」

ギャル「…」カキカキ

スーツ男2「ありがとうございました。では、あなたのペットアライさんは、これから自由の楽園で幸福に生きていきます」

スーツ男1「アライさんに自由をあげた飼い主の貴女は、素晴らしく立派な人格者です。胸を張ってください」

ギャル「…うん…」

アライさん『中はピカピカで綺麗なのだー!』コスリコスリ

男達は、トラックの荷台へアライさん入りの御輿を積んだ。

スーツ男達は、車へ乗り込み…
家を後にした。

アライさん『ふははははー!』ブゥーン

ギャル「…」

アライさんを乗せた車は、ギャルの家から離れていった。

スーツ男1「…楽園直行でいいんだな」ブゥーン

スーツ男2「ああ」

スーツ男1は車を止めて降りた。

御輿の中の声『うーん!喉渇いたのだ!おい召し使い!水がほしいのだ!』

スーツ男1「…」スッ

そしてスーツ男1は、何かの装置…
箱から2つのホースが伸びたような装置を取り出した。

スーツ男1「…」カチャッ

スーツ男1は箱から伸びるホースの一本を、トラックのマフラーの排気口へ取り付けた。

そして、もう一本のホースを…

スーツ男1「…」カチャッ

御輿に空いた小さな穴へ取り付けた。

つまり、トラックの排気口がホースと箱を挟み、御輿の中へ繋がっている状態である。

スーツ男1「さて、出発するか」スタスタ ガチャッ

スーツ男1はトラックの運転席へ乗り込んだ。

御輿の中の声『おーい!聞いてるのか召し使い!おーい!』ガシャガシャ

スーツ男1は、エンジンを動かした。

御輿の中の声『…!?げほっごほっ…く…苦しいのだ!おい!何なのだこれ!開けるのだ!』ドンドン

御輿の中から苦しそうな声が聞こえる。

トラック「」ブゥウーーーーン

スーツ男1はアライさんの訴えを完全無視し、トラックを走らせる。

御輿の中の声『ごほごほっ!ぐふぅ!ぐるじい!ぐるじいいのだああああーーーーっ!きゅるるるるぅ!ここからだせえええ!召し使いぃいいいーーーっ!』ドンドンドンドン

トラックの排気ガスが、どんどん御輿の中へ送り込まれていく。

御輿の中の声『ああああああああああああああーーーーー!ごほごごほがほっ!だぢでえええええ!かいぬしいいいいいいい!こいつらをぶっ殺してアライさんを助けるのだああ!飼い主ぃいいいい!』ドンドン!ドンドン!

トラック「」ブゥウーーーーン

トラックはそのまま高速道路に入り、100km/hのスピードで走行した。

排気ガスの量も今までとは比較にならない。

御輿の中の声『だず…げで…はやぐ…らぐえん…は…』ドンドン

御輿の中の声『がはっ…げほっ…』

御輿の中の声『』シーン

しばらく走っているうちに、御輿の中から声はしなくなった。

そしてトラックはある建物の前に停まった。
向かった先は…

スーツ男1「アライさん引き取りサービスです。楽園送りに来ました」

保健所職員「あー、こっちに搬入して」

…保健所であった。

スーツ男達は、御輿を担いで保健所へ入っていた。



~??~

やがて、ある部屋で御輿が開けられた。

保健所職員2「…」ガチャッ

アライさん「」グッタリ

ゲロと糞尿にまみれたアライさんが、白眼を剥いて横たわっていた。

保健所職員2「よし、じゃ、焼くぞー」ポイッ

アライさん「」ドサァ

この部屋は焼却炉であった。

アライさん「」グッタリ

アライさん2「」グッタリ
アライさん3「」グッタリ
アライさん4「」グッタリ
アライさん5「」グッタリ
アライさん6「」グッタリ

…炉の中には、何匹ものアライさんの死骸が横たわっていた。

やがて、炉に火がくべられた。

アライさん1~6「」メラメラパチパチ…



保健所職員3「焼却完了」ガチャッ

骨と灰「」ジュウウウウ…

ギャルの元で育てられてきたペットアライさんは、他のアライさんの灰と混ざりあった。

保健所職員3「…」ガサガサ

灰は冷えてきたころに、ゴミ袋へ詰められ…
ゴミとして廃棄処分された。

『自由に暮らせるアライさんの楽園』…

そんなものは、実在しない。
一切存在しない。

強いて言うならば…

引き取りサービス業者が、飼い主に負い目を感じさせないために謳う方便の中に。

そして飼い主が、自分を納得させるために行う空想の世界の中にしか存在しないのである。

スーツ男1「今日のアライさんも全員ゴミだったな…」

スーツ男2「まあ、探し物はそう簡単には見つからないだろ…」

スーツ男1「さて!仕事も終わりだ。一杯焼き鳥でも食いながら飲んでかないか?」

スーツ男2「いいねー!」スタスタ

ペットアライさんが楽園送りになる理由の大半は…
このように言うことを聞かなくなり、飼えなくなったためである。






つづく



~夜、ある中年サラリーマンの家~

中年サラリーマン「…」ゴクゴク

ペットアライさん「…」ゴクゴク

家の居間で、中年サラリーマンと、そのペットのアライさんがお茶を飲んでいる。

ペットアライさん「美味しいのだぁ~…」ゴクゴク

中年サラリーマン「…そうだな」

アライさんは成体のようだ。
夜行性のアライさんは、夕方に起きてご飯を食べたばかりのようである。

中年サラリーマン「お前も随分大きくなったな…」

ペットアライさん「飼い主さんのおかげなのだ!」シッポフリフリ

中年サラリーマン「…」

この中年サラリーマンは未婚男性。
童貞である。

ペットアライさん「飼い主さん!夜になったら、散歩行くのだ!」シッポフリフリ

中年サラリーマン「…ああ、分かった。これ着けるんだぞ」スッ

ペットアライさん「なのだー!」スチャッ

ペットアライさんは、蛍光ベルトを腕に巻いた。
交通事故防止のためだ。

ペットアライさん「さあ、出発なのだー!」ペタペタ

中年サラリーマン「…行こう」

足首がないため、四つん這いで歩くアライさん。

中年サラリーマンはアライさんを連れて、外へ出掛けた。




~家の外~

ペットアライさん「ふはははー」ペタペタ

中年サラリーマン「…」スタスタ

ペットアライさん「うおー!こうもりが飛んでるのだ!」ジロジロ

中年サラリーマン「…こうもりはいいな。空が飛べて…」スタスタ

ペットアライさん「飼い主さんも空飛んでみたいのか?アライさんもなのだ」ペタペタ

中年サラリーマン「そういう時代が来ればいいなぁ…」スタスタ

手綱を握っている中年サラリーマンは、四つん這いのアライさんと一緒に夜の街中を散歩する。

車のエンジン音と、ヘッドライトの光が近付いてくる。

中年サラリーマン「クリーナ、車だぞ」

ペットアライさん「うおお、危ないのだ」ペタペタ

車「」ブロロー…

車は通り過ぎていった。

中年サラリーマン「…なあ、クリーナ。今の生活…どう思う?」スタスタ

ペットアライさん「んー?…退屈なのだ」ペタペタ

中年サラリーマン「そうだよな…」

ペットアライさん「でも、クリーノもいるし…。飼い主さんもいるのだ。寂しくはないのだ」ペタペタ

中年サラリーマン「…」

『クリーノ』…

中年サラリーマンが、家で飼っている雄のアライグマの名前である。

ペットアライさん「あー、いつかクリーノと…」ペタペタ

その時。
向こうから足音が近付いてきた。

おばさん1「えっほ、えっほ」タッタッ

おばさん2「えっほ、えっほ」タッタッ

…ジョギング中の、近所のおばさん達である。

ペットアライさん「交尾したいのだぁ!」シッポフリフリ

中年サラリーマン「!?」ピタッ

おばさん1「!?」ピタッ

おばさん2「!?」ピタッ

ペットアライさん「のあ?飼い主さん、なんで止まるのだ?」

中年サラリーマン「…い、行こう…」スタスタ

ペットアライさん「?何なのだ…」ペタペタ

おばさん1「…今の聞いた?交尾シタイノダーですって!嫌ねー」タッタッ

おばさん2「あの人、独身なんですって。いつもあのアライさんと何やってんのかしらねー」タッタッ

おばさん1&2「「あーヤダヤダ」」タッタッ

中年サラリーマン「…」

ペットアライさん「飼い主?どうしたのだ!早く行くのだ!」グイグイ

中年サラリーマン「ああ…」スタスタ

中年サラリーマン「…」スタスタ

バッタ「」ピョンピョン

ペットアライさん「お!バッタがいるのだ!こら待て~!」ペタペタペタペタ

バッタ「!」ガシィ

ペットアライさんは、道端にいたバッタを捕まえた。

ペットアライさん「頂きますなのだー!はぐはぐ、もふもぐ…」モグモグ

中年サラリーマン「…美味いか?」

ペットアライさん「んふー。飼い主さんの手料理の方が美味しいのだ」

中年サラリーマン「そうか」

ペットアライさん「でもこれは、なんというか、戦いなのだ!狩りの中で、アライさんの血が騒ぐのだ!ジビエなのだ!」コスリコスリ

中年サラリーマン「ふふ。楽しいか?」スタスタ

ペットアライさん「楽しいのだー!ふはは、他にはいないかー?くんくん、ふんふん!」ペタペタ

ペットアライさん「うえー、この電柱、犬のオシッコのにおいがするのだ」クンクン

中年サラリーマン「…」スタスタ

四つん這いのアライさんは、地面のにおいを嗅ぎながらぺたぺたと進んでいる。

警官「そこのあなた、何してるんですか?」

中年サラリーマン「えっ…あ、その…」アセアセ

ペットアライさん「ん?何か用なのか?」

警官「…ああ、アライさんの散歩ですか。危険がないようにお願いしますよ…」スタスタ

中年サラリーマン「はい…」スタスタ

ペットアライさん「ふははー!アライさんが、飼い主さんを危険から守ってやるのだ!アライさんの爪と牙は鋭くて強いんだぞー!」ペタペタ

中年サラリーマン「頼もしいな」スタスタ

一人と一匹はさらに進む。

女子高生「…」スタスタ

コンビニから出てきた女子高生とすれ違う。

ペットアライさん「なのだー」ペタペタ

女子高生「…っ」ドンビキ

女子高生は、一人と一匹を見て顔をしかめた。

女子高生「…きも…」スタスタ

ペットアライさん「うぬ!?今アライさんのこと何て言ったのだー!」ムカァ

中年サラリーマン「や、やめろって…」グイグイ

ペットアライさん「何ビビってるのだ飼い主!こういう時、言い返さないとナメられるのだ!やいバーカ!ブース!うんこたれー!」

女子高生「ほんときもい…」スタスタ

中年サラリーマン「こらやめないか!」グイイイイッ

ペットアライさん「ぐぎゅううぅ!?」

手綱を思い切り引っ張られ、首輪がアライさんの喉に食い込む。

ペットアライさん「ぐ、ぐゆじ…!なん、れ…!」ブルブル

中年サラリーマン「すみません、すみません」ペコリペコリ

女子高生「まじ無理」タタター…

女子高生は去っていった。

中年サラリーマン「すまんな、クリーナ」パッ

ペットアライさん「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ…何するのだ!あんなのにビビってたらダメなのだぁ!」

中年サラリーマン「頼むから波風たてないでくれ…」スタスタ

ペットアライさん「うぅー…」ペタペタ


女子高生は、なぜ『キモい』等と言ったのだろうか?

例えば、男性がアライちゃんの散歩をしているのを見たときの印象は…

まあ、ペットの散歩だな、という感じだ。

何故なら、あの不自然にでかい頭…人間ではあり得ない頭身や体型は、アライちゃんを否が応でも『動物』と認識させるからだ。



では、アライしゃんならどうであろうか。

幼児のような、はたまた少女のような姿を…
50センチすらない大きさに『縮めた』感じだ。

体だけでなく、頭まで小さい。

こんな人間はいない以上、アライしゃんを見ても、ご近所さん達は尚『動物』と認識する。


…では。
成体のアライさんならどうであろうか。

体の大きさは、女子中学生と同じくらい。

耳と尻尾があるから、『人外の存在』だということは頭では理解できるはずだ。

しかし…
耳と尻尾がなければ、その姿はほぼ人である。
それも、人権がなく、ペットとして中年男性に飼われているのである。



なんというか…

中年男性が、女子中学生のような姿のアライさん(足首がない)に首輪をつけ、

手綱を握りながら、四つん這いで歩かせる姿は…

ミニスカートがまくれ、白いタイツ状の毛皮で覆われた尻を丸出しにして恥じらいもなくぺたぺたと歩くその姿は…



…見た目的に、非常に『キツい』のである。

男性はまだしも、女性から見れば…

女の子が四つん這いで、スカートから尻を丸出しにして、中年男性に手綱を握られぺたぺたと歩くその姿は…

生理的嫌悪感しか感じないと言っても過言ではない。


アライさんの散歩とは、あまりにも…
見た目的に『アレ』な行為なのである。

~中年サラリーマンの家~

ペットアライさん「ふぅー、ただいまなのだ。散歩ありがとうなのだー」シッポフリフリ

中年サラリーマン「ああ、ご苦労さん。俺もね、いい運動になるんだな、これが」

ペットアライさん「あはは!この会話、昨日もしたのだ!」

中年サラリーマン「ハハハ…じゃあ、風呂入って寝るわ。お前もシャワー浴びたらボイラー消しとけよ」スタスタ

ペットアライさん「はいなのだー!うおー、クリーノ!一緒に遊ぶのだー!」ペタペタペタペタ

中年サラリーマンは寝室で寝た。



~翌日、街中~

中年サラリーマン「…」スタスタ

彼がいる街は、だいぶ田舎だ。
娯楽なんてそうそうない。

こういう田舎では、ご近所付き合いが大事である。

この中年サラリーマンも、これまで欠かさずご近所付き合いをしてきたのだが…

おばさん1「うわ、見て。大橋さんよー」ヒソヒソ

おばさん2「あーやだ。昨日交尾とか言ってたわねー。独身だし、やっぱりそういう…」ヒソヒソ

中年サラリーマン「…」スタスタ

…アライちゃんを散歩していた頃は、ご近所さんもアライちゃんを可愛がってくれたし…

中年サラリーマンを邪険に扱うこともなかった。

女子高生「…きも…」スタスタ

男の子1「あー、変態のおっさんだー!」ワイワイ

男の子2「へーんたい!へーんたい!」ワイワイ

中年サラリーマン「…」スタスタ

しかし、アライちゃんが大きくなってから…
中年サラリーマンは、露骨に周りの人に嫌悪されるようになっていた。

~会社のトイレ~

中年サラリーマン「…」フラフラ

田舎のオフィス。
『ご近所さん』の顔見知りもけっこういる。

中年サラリーマン「…」ガチャッ

中年男性は、男子トイレを出ようとすると…

『ねえ知ってる?あの独身の大橋さん、アライさん飼ってるんだってー』ヒソヒソ

『えー?アライさんって…あの大きくなると狂暴になるやつでしょ?子供のうちは可愛いけど…』ヒソヒソ

中年サラリーマン「!」

近くで、女子社員が中年サラリーマンの噂話をしている。

『どうやって言うこと聞かせてんだろうね。っていうか、なんで飼い続けてるの?大きくなったらもう可愛くなし、うざいだけなのに』ヒソヒソ

『それは、もう…』

『キッモ~~~!』

中年サラリーマン「…」

…会社でさえ、嫌な噂が立っている…。

中年サラリーマン「…もう、嫌だ…」

~夜、中年サラリーマンの家~

中年サラリーマン「…」スタスタ

アライグマ♂「キュルルルルルゥ」ドタドタ

ペットアライさん「ふははー!お帰りなのだー飼い主!」

中年サラリーマン「…」

ペットアライさん「退屈だから、飼い主さんの部屋の本読んで、おうどん茹でてみたのだ!…立ち膝だから大変だったのだ…」

ペットアライさん「飼い主!アライさんうどん、一緒に食べるのだー!」シッポフリフリ

アライグマ♂「ハウハウ」

中年サラリーマン「…」

ペットアライさん「…ん?どうしたのだ飼い主?嫌なことでもあったのか?」

中年サラリーマン「…」

ペットアライさん「イジメられてるのか?それなら、アライさんがぶっ飛ばしてやるのだ!アライさんは強いんだぞー!」ピカピカガイジガオ

中年サラリーマン「…クリーナ」

ペットアライさん「何なのだ?」

中年サラリーマン「…アライさんの楽園って、知ってるか」

ペットアライさん「何なのだ?それ」

中年サラリーマン「…子供のころ、人に世話されて…大人になったアライさんはな、自由になれる土地…アライさんの楽園に行くんだ」

ペットアライさん「そんな話、お店で聞いたことないのだ」

中年サラリーマン「そ、それはな…。…。今までその話を聞かずに、頑張っていい子にし続けてたアライさんだけが行けるんだ」

ペットアライさん「ふーん…。アライさんは、別にいいのだ」

中年サラリーマン「!?で、でも…あんなに退屈だって言ってただろ!自由になれるんだぞ!毎日楽しく過ごせるんだぞ!」

ペットアライさん「飼い主とクリーノも一緒に来るのか?」

中年サラリーマン「…いや…」

ペットアライさん「ふーん。じゃあ、アライさんは別に行かなくていいのだ」シッポフリフリ

中年サラリーマン「な…ぁ…!」ブルブル

ペットアライさん「それがどうかしたのか?」

中年サラリーマン「…いかなきゃいけない決まりなんだ…。行ってくれ…たのむ…」ブルブル

中年サラリーマンは嘘をついた。

結局のところ、アライさんはたかがペットである。

ペット一匹への同情のために、人生をドブに捨てる行為が賢明といえるだろうか。

ペットアライさん「何でなのだ?何でなのだ!アライさんは、飼い主と一緒に居たいのだ!絶対行かないのだ!」

中年サラリーマン「行けよ!!」ドガァ

ペットアライさん「のだっ!」

中年サラリーマンは、ペットアライさんを蹴った。

中年サラリーマン「あ…。だ、大丈夫か…?」アセアセ

ペットアライさん「…飼い主は…。アライさんのこと…嫌いなのか…?」

ペットアライさん「飼い主は…!アライさんと一緒に…居たくないのかぁっ…!」ウルウル

中年サラリーマン「決まりなんだから仕方ないだろ!」

中年サラリーマンは、また嘘をついた。

ペットアライさん「う…うぅ…!嘘…なわけ、ないのだ…。飼い主は、アライさんに嘘ついたことないのだ…」

中年サラリーマン「…行ってくれるな?」

ペットアライさん「…うぅ…ぅううううぅぅぅっ…!」ダキッ ギューッ

ペットアライさんは、中年サラリーマンに泣きながら抱きついた。

ペットアライさん「なんで、こんな突然…!ぐすっ…!突然こんなこと言われて…!ひぐっ…!お別れなんて嫌なのだああっ…!」グスグス

中年サラリーマン「クリーナ…っ」

ペットアライさん「アライさんはぁ…!飼い主と、クリーノと、ずっとずっと一緒に、楽しく暮らしたいのだぁっ…!」スリスリ

中年サラリーマン「ぁ…ぁああ…クリーナぁ…」ブルブル

ただのペットであるはずの、このアライさんは、この独身中年男性にとって…

いつの間にか、まるで手のかかる実の娘のような存在となっていた。

ペットアライさん「飼い主に辛いことがあったら…アライさんが慰めてやるのだ!」

ペットアライさん「飼い主が病気や怪我で困ったら…!アライさんが看病してやるのだ!」

ペットアライさん「だから…ずっとずっと、一緒にいるのだ…飼い主ぃい…!」

中年サラリーマン「…うううぅぅっ…!」

これからの人生…
果たして、この独身男性の孤独をまぎらわせてくれる存在が現れるだろうか。

この独身男性に、微笑みかけてくれる者が現れるだろうか。

この独身男性の帰りを家で迎えて、『おかえり』と声をかけてくれる存在が現れるだろうか。

中年サラリーマン「…っ…!なあ、クリーナ…」

ペットアライさん「何なのだ」

中年サラリーマン「これから毎日…散歩無しでもいいか?」

中年サラリーマン「一日中、ずっと家の中だけで暮らすこと…できるか…?」

ペットアライさん「…そんなの、嫌なのだ…。退屈で死にそうなのだ…」

中年サラリーマン「俺はもう、お前と一緒に暮らすなら…、そういう飼い方しか…できない…」

ペットアライさん「…」

中年サラリーマン「…」

ペットアライさん「何でなのだ…。さっきは、決まりだって言ってたのだ…!」

中年サラリーマン「お前が死んだと、みんなに言うしかない」

ペットアライさん「…」

ペットアライさん「…飼い主…ほんとのことを話してほしいのだ…」

ペットアライさん「どうして飼い主は、アライさんと一緒に暮らせなくなったのだ…?」

中年サラリーマン「…」

中年サラリーマン「…お前と一緒に暮らしてると…。みんなに変態扱いされるんだ…!イジメられるんだよ…!」ブルブル

ペットアライさん「の…ぁ…?」

中年サラリーマン「最近、ご近所さん達が俺に冷たいのは!変態扱いされるのは!イジメられてるのは!全部!お前のせいなんだよクリーナ!」

ペットアライさん「っ…」

中年サラリーマン「…もう、こんな毎日嫌だ…!お前なんか、こんなに大きくなる前に、さっさと楽園に送ってればよかった!」

ペットアライさん「かい…ぬしぃ…」ブルブル

中年サラリーマン「お前のせいで!人生台無しになるのは嫌だ!出ていけよぉ!」

ペットアライさん「だ…だったら…なんで飼い主は…アライさんを育ててくれたのだ…!大きくなっちゃダメだなんて…」ブルブル

ペットアライさん「だったら、最初から…!」

中年サラリーマン「…」

ペットアライさん「っ…うぅぁあああっ…嫌なのだあ…!飼い主さんと、お前と会えなかった人生なんて想像したくないのだぁっ…!」

中年サラリーマン「…」

ペットアライさん「のぉああああああーーーーーんっ!のぉおおおおーーーーーーーぁあああーーーーーーんっ!」ビエエエエン

ペットアライさん「なんなのだああああああ!なんで飼い主を虐めるのだああああっ!アライさんの何が!何が悪いっていうのだああああっ!」ビエエエエン

ペットアライさん「わがんないのだああああ!アライさんには人間の考えることがぜんぜん分かんないのだああああああっ!」ビエエエエン

中年サラリーマン「…クリーナ…」ギューッ

ペットアライさん「のぉおおおおおおーーーぁあああああああーーーーーーーーんっ!」ビエエエエン

ペットアライさんは泣いた。
とにかく泣き続け…

やがて、落ち着きを取り戻した。



ペットアライさん「…」

中年サラリーマン「…」

ペットアライさん「…アライさんは、もう…ここにいられないんだな…」

中年サラリーマン「…ああ…お別れだ…」

中年サラリーマンは、それでもなお、自分の人生を選んだ。

『人間らしい、普通の、まともな生き方』を選んだ。

ペットアライさん「でも、飼い主…。まだご飯、食べてないのだ」

中年サラリーマン「…」

ペットアライさん「最後に…、アライさんが作ったうどん…食べてほしいのだ…」

中年サラリーマン「…いただくよ」ズルズル

ペットアライさん「…どうなのだ?」

中年サラリーマン「…伸びてるな。柔らかすぎる。…茹ですぎだ」

ペットアライさん「食べるのが遅かったからなのだ!」

中年サラリーマン&ペットアライさん「「あはははははははは!」」ゲラゲラ

一人と一匹は…
楽しかった頃の記憶を思い出していた。

~翌日~

スーツ男1「アライさん引き取りサービスです。アライさんを楽園にお連れしに来ました」

スーツ男2「よろしくお願いします」ペコリ

ペットアライさん「よろしくお願いしますなのだ!」ペコリ

スーツ男1&2「「!?」」ビクゥ

おじぎを返されたスーツ男達は、滅茶苦茶びびった。

ペットアライさん「どうしたのだ?挨拶するのは当たり前なのだ」コスリコスリ

スーツ男1「…購入証を見せて貰えますか」

中年サラリーマン「…はいよ」スッ

スーツ男2「…2年半…2年半も育てて、これか…!凄いな…!…おほん。それでは、こちらの御輿にお乗り下さい」ガチャッ

スーツ男2は、小さな穴の空いた御輿を開けた。

中年サラリーマン「…」カキカキ

中年サラリーマンは、説明を聞いた後、誓約書にサインした。

スーツ男1「ありがとうございます」

ペットアライさん「飼い主!」ダキッ ギューッ

ペットアライさんは、中年サラリーマンに抱きついた。

中年サラリーマン「クリーナ…?」

ペットアライさん「今までずっとずっと…ご飯くれて、散歩に連れって、遊んでくれて…ありがとうなのだ」

ペットアライさん「アライさんは、これから楽しいところに行くらしいけど…」

ペットアライさん「飼い主とクリーノと、みんなで一緒に暮らしたこと、絶対に、一生忘れないのだ」ニッコリ

ペットアライさん「飼い主さーん♪スキスキなのだ♪」スリスリ

中年サラリーマン「う…ぁあああっ…」ブルブル

ペットアライさん「…それじゃあ、さよならなのだ、飼い主!…いつかまた会おうなのだ!」ペタペタ

ペットアライさんは、御輿に乗り込んだ。

中年サラリーマン「…ああ。さようなら…。こっちこそありがとう、クリーナ」

スーツ男1&2「「では、出発します」」スッ

御輿の中の声『出発進行!なのだー!』

スーツ男達は、御輿をかついで運び、トラックへ積んだ。

そしてトラックは、中年サラリーマンの家から走り去っていった。


中年サラリーマン「…クリーナ…」

中年サラリーマン「…これで、よかったんだ…」

やがて、トラックが建物の前で停まった。

スーツ男1「よし、運ぶぞ」ザッザッ

スーツ男2「オーエス、オーエス」ザッザッ

スーツ男達は、建物の玄関の前に来た。

スーツ男1「どうもー。アライさん引き取りサービスです」

玄関の扉が開き、男達は中に入っていった。

~??の部屋~

御輿の中の声『うおーい!使者さん!ウンチしたいのだ!トイレはこの三角のでいいのか!?これにしていいのか!?』ガタガタ

スーツ男1「下ろすぞ」スッ

スーツ男2「ああ」スッ

スーツ男達は、テーブルの上に御輿を下ろした。

御輿の中の声『何とか言うのだ!あーもう漏れる!早くー!この三角のにするからなーっ!』

御輿の中の声『うぅーっ!』

御輿の中の声『ふはー…気持ちよかったのだ~…。もしトイレじゃなかったらごめんなさいなのだ』

スーツ男1「…」スッ

スーツ男1は、御輿に空いた小さな穴へ、何かのスプレーを突っ込み噴射した。

御輿の中の声『ん?何なのだこれ?いいにおいなのだー』

スーツ男1「…」プシュー

御輿の中の声『…ふわあああー…なんか疲れたのだ…長旅したからなのだー…』

スーツ男1「…」プシュー

御輿の中の声『おやすみなのだ、飼い主…。…ぐがー…ごがー…』zzz

…御輿の中からイビキが聞こえてきた。

スーツ男達はガスマスクをつけている。

スーツ男1「開けるぞ」ガチャッ


ペットアライさん「のだぁ…のだぁ…」z
zz

スーツ男2「完全に寝ているな。よいしょ」ガチャッ

スーツ男2は、ペットアライさんをベッドに寝かせ、手足の付け根を金具で拘束した。

白衣の男1「お疲れ様です」スッ

白衣の男2「後は私達がやります」スッ

スーツ男1「乙でーっす!いやー、すげーのが見つかったな!」スタスタ

スーツ男2「お宝なんてもんじゃない…奇跡だよこんなの」スタスタ

スーツ男達は部屋から出ていった。

白衣の男1「…」プスッ

白衣の男1は、ペットアライさんになにかを注射した。

そして…

白衣の男2「…」ギュイイイイーーーンッ

白衣の男2は、回転丸ノコを取り出した。

白衣の男2「右腕、いくぞー」ギュイイイイーーーンッ ズバババッバババババァ

ペットアライさん「のだぁ…のだぁ…」ズバァボトッ ドクドク

薬で眠らされているペットアライさんの右腕は、本人が気づかないまま切断された。

血管収縮剤を投与されていたせいか、出血はさほどでもない。

白衣の男2「止血!縫合!」ギュギュ

右腕の切断面は縫い合わされ、止血された。

白衣の男2「次は左腕だ」ギュイイイイーーーンッズバババッバババババァ

ペットアライさん「うーん…くりーのぉ…zzz」ズバァボトッ ドクドク

左腕も切断され、縫合された。

次は右脚が…

次は左脚が切り落とされた。


ダルマアライさん「のだぁ…のだぁ…」zzz

白衣の男1「施術完了しました」

スーツ男1「サンキュー!」スタスタ

スーツ男2「こいつはすげえぞ!きっと過去最高額だな」スタスタ

ダルマアライさんは、どこかへ運ばれていった…。



~???~

ダルマアライさん「ふわぁ~…むにゃむにゃ…」

ダルマアライさん「!?な…なんなのだ!?ここ…」キョロキョロ

ダルマアライさん2「うぅ…」

ダルマアライさん3「ああ気持ち良かったのだぁ…」ケラケラ

部屋には、手足のないアライさんが並べられていた。

排泄物が勝手に流れていく洗浄システムのついた台に乗っけられている。

ダルマアライさん「手足が…あ…あれ…?」

ダルマアライさんは、自分の手足がないことに気付いた。

ダルマアライさん「何なのだ、これっ…ひっ…!ぁああ、わ、悪い夢か?夢なのだ!」ハァハァ

ダルマアライさん「ゆ、夢なら早く醒めて欲しいのだ…はやく…はやく…!」ブルブル

ダルマアライさん「き、きっとこの夢が、覚めたら…」ブルブル

ダルマアライさん「いつもみたいに、優しい飼い主さんが、アライさんを散歩に連れていってくれるのだ…!」ブルブル

従業員「…」ガラガラ

やがてこの施設の従業員が、ケージを持ってやってきた。

成獣アライグマ♂「ハウハウ」ガシャガシャ

ダルマアライさん「く、クリーノ?いや、違うのだ…。においが全然違うし、クリーノはこんなに大きくないのだ…」ブルブル

従業員が、アライグマの手綱を掴み、ケージを開けた。

成獣アライグマ♂「キュルルルルルゥ!」ガバッ

ダルマアライさん「のあああっ!?」

成獣アライグマ♂は、ダルマアライさんに抱きつき…

ダルマアライさん「な、何するのだ!?お前…まさか!?」

成獣アライグマ♂「キュルルルルルゥ!」ズンッ

ダルマアライさん「のぉぉぁあああっ!」ビクン

ダルマアライさんの股間へ、何度も激しく腰を打ち付けた。

この成獣アライグマ♂は…

『アライグマ引き取りサービス』で回収された個体。

年齢と性格テストによって業者に選りすぐられた、『長く、大人しく』生きるアライグマだ。

ダルマアライさん「はぁ…はぁ…」



それから2ヶ月が経った。

妊娠ダルマアライさん「かい…ぬしぃ…かいぬしぃ…」オナカポッコリ

ダルマアライさんにとっての『悪夢』は、醒めることはなかった。

いや、むしろ本当に悪夢を見ている最中の方が、このアライさんにはまだ幸せといえるだろう。

妊娠ダルマアライさん「楽園…楽園はどこなのだ、かいぬしぃ…いつ…いけるのだぁ…」

妊娠ダルマアライさん「そんなに…こんなに…アライさんが憎かったのかぁ…かいぬしぃ…」

『アライさん引き取りサービス』。

その目的は、ただ回収して殺処分するためではない。

飼育されたアライさんの中から、『飼いやすい』個体を選別し…

ペットアライちゃん工場へ売却することもまた、重要な役割である。


きっとこのダルマアライさんが産む子供は…
飼い主に、長く可愛がって貰えることだろう。

そしていつの日か、母親のように…
ペットアライちゃん工場へ戻ってくるだろう。


このように…

大きくなると狂暴になり飼いづらいといわれるアライさんは、
様々な工夫によって、飼いやすくなるように品種改良されているのである。

品種改良が進んだ小型犬みたいに
大きくならないアライちゃんとかいたら飼いたいな~

つづく

>>204

年齢に比べて体が小さいほど、各工場での『競り』の価格は高くなります



~中年サラリーマンの家~

中年サラリーマン「ただいまー」ガラッ

中年サラリーマン「…」

中年サラリーマンは、誰も返事をしてくれる者がいない我が家へ戻った。

中年サラリーマン「…」スタスタ

中年サラリーマン「…」ズルズル

そして、カップラーメンをすすり、アライグマ♂へ餌をやり…

中年サラリーマン「…」スタスタ

…散歩へ出掛けた。
毎日の日課にしていた散歩へ。

~夜、田舎の街中~

中年サラリーマン「…」トボトボ

『なのだー』

中年サラリーマン「!」バッ

中年サラリーマンは幻聴を聞いたようだ。

中年サラリーマン「…」トボトボ

手綱のない両手が妙に軽い。

おばさん1「えっほ、えっほ」トタトタ

おばさん2「うわ、あれ見て。アライさん飼ってる大橋さ…」



中年サラリーマン「ああ、あれはもう楽園に引き取って貰いましたよ」



おばさん1&2「「え」」

中年サラリーマン「ご迷惑だったので。今までうちの害獣が、ご迷惑おかけしました」ペコリ

おばさん1「あ…ああ…」

おばさん2「よ、よろしくね…」

中年サラリーマン「…」

ペットアライさんを楽園へ送ってから…

中年サラリーマンは、『飼ってた奴は引き取って貰った』と皆に言った。


元々そんなに嫌われてはいなかった中年サラリーマン。

そのうち、変態扱いもされなくなり、陰口も言われなくなった。

中年サラリーマン「…」トボトボ

しかし。

中年サラリーマンは、心になにかぽっかりと穴が空いたような気分になった。

自分はもう、クリーナとは決別した。

彼を変態扱いする枷は無くなったはずだ。

その…はずなのに…。

中年サラリーマン「…ただいまー」ガラッ

中年サラリーマン「…」トボトボ

何故だろうか…

周りに虐められていた日々よりも、心に彩りがなくなってしまったような気がしていた。

中年サラリーマン「…クリーナぁ…!」ブルブル

中年サラリーマン「ぐすっ…クリーナぁぁぁっ…!」ブルブル

アライちゃんは只のペットとは違う。

泣き、笑い、怒り、喜び…

喋り、名前を呼び、一緒に遊びたがり、よく学ぶ。


まるで、娘を持ったかのような充実感を与えてくれる、極めて魅力的なペットである。

中年サラリーマン「…」

~週末、とあるお店~

中年サラリーマン「…」スタスタ

中年サラリーマンが、ある店へむかった。
すると出口から…

店員「ありがとうございましたー」ペコリ

ギャル「ども…」スタスタ

ギャルが、大きな箱を持って出てきた。

中年サラリーマン「やっぱり人気なんだな…」スタスタ

中年サラリーマン「…」ガララ

店員「いらっしゃいませー」

中年サラリーマン「あ、あの…」





中年サラリーマン「アライちゃん、売ってますか?」



店員「ええ、こちらにございます」スッ

店員は、キラキラした飾りで彩られたケージを見せた。

ペットアライちゃん1「なのりゃー!」コスリコスリ

ペットアライちゃん2「ひとしゃーん!かいぬしになってぇー!」

ペットアライちゃん3&3「「しっぽのくろすだんすなのりゃー!」」フリリフフリフリリフフリ

中年サラリーマン「…」

つづく

>>220訂正

× ペットアライちゃん3&3「「しっぽのくろすだんすなのりゃー!」」フリリフフリフリリフフリ

○ ペットアライちゃん3&4「「しっぽのくろすだんすなのりゃー!」」フリリフフリフリリフフリ


客に二匹一緒に買わせようと目論んでショップが教えた芸です

~廃屋~

ここはずっと前に人がいなくなった民家。

すっかり風化し、植物のツタが絡み付いている。

男児兄「うおー、こえー」スタスタ

男児弟「ゾンビとか出そー」スタスタ

ガキ大将「くさそう」スタスタ

金髪女児「なーにあなたたち?だらしないわねー!男のくせにー」ツカツカ

…鍵も壊れており、出入りを妨げる物はない。

そんな廃屋へ、子供たちが肝試しに来ていた。

男児弟「けっこう広いね…」ノソリノソリ

男児兄「お化けとかいないかな…」ノソリノソリ

金髪女児「ばっかじゃないの?そんなのいるわけ…」

「ゴソゴソゴソッ」

一同「ひいぃいぃぃぃ!」ビクゥ

天井から、何か音がした。

男児兄「な…なんだ?」

男児弟「まさかほんとにゾンビ…」

金髪女児「な、なわけないでしょ!お化けなんているわけ…」ムギュゥ

金髪女児「ひぃ!なんか踏んだぁ!」

ガキ大将「なんだ!?」

金髪女児が踏んだのは…






潰れた糞の塊「」プゥーン


…一本グソが何本も重なりあった、汚物の塊であった。


一同「うわ、くっさッ!!!」

一同は、別の意味で恐怖した。

金髪女児「い、嫌ぁあああ!きたないいいい!」

男児兄「まさかゾンビのウンコか!?」

男児弟「いや、多分…」

その時。

『うゆぅ!?』カサカサ
『ひとしゃんのこえすゆのりゃ!』カサカサ
『なのだー』ドタドタ
『ひとしゃんがありゃいしゃんのおうちにはいってゆのりゃあ!』カサカサ
『うぬぬー、きっとどろぼうしにきたのだ!アライさんのおうちをせんりょうしにきたのだ!』ドタドタ
『ぶっこよしゅのりゃあ!』カサカサ

カサカサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ…

男児兄「こ…こっちに声が近づいてくる…!」

やがて、廊下の向こうから、何かの影がびっしりと床を埋め尽くしてやってきた。


アライしゃん1「せーばいするのだ!おうちどろぼーめ!」ドタドタ
アライしゃん2「てんちゅーをくらわすのだ!」ドタドタ
大アライちゃん「のだっ!のだっ!」ヨチヨチシッポブンブンヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん1「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん2「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん3「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん4「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん5「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん6「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん7「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん8「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん9「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん10「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん11「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん12「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん13「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん14「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん15「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん16「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん17「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん18「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん19「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん20「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン
アライちゃん21「ぶっこよしゅのりゃあーっ!」ウジャウジャヨチヨチシッポブンブン

男児兄弟「う…うわああああ!」

ガキ大将「ヨチラーの大軍だあああああッ!きめええええーーーーーッ!!」

金髪女児「ひいいいぃぃ!」

アライちゃん達「「かみころすのだー!」」ウジャウジャウジャウジャウジャウジャ

男児弟「ど…どうするの!?」

男児兄「どうって…!」


これまで本作中では、幾度となくアライちゃん達が児童に葬られてきた。

重い頭故に、遅いスピード。

小さい故に、弱いパワー。


では。
アライちゃんとは、貧弱で無害な生き物なのであろうか?

否。
そんなことはない。

アライちゃんは見ての通り、頭がデカい。

つまり、顎がデカイ。
それ故に、顎の力がとても強い。

乳離れしたアライちゃん達は、森の中で狩の訓練を行い…

乳歯が抜けて鋭い牙へ生え変わってから、インターンシップに来るのである。

よって、格闘能力は低くとも…

噛みつかれたら、傷がえぐいことになる。


アライちゃんは、油断しなければ弱いが…
決して油断してはいけない、危険な動物である。

アライしゃん1「ふはははー!あらいしゃんは!さいきょーなんだぞ!にほんあしでたてるんだぞぉ!」ドタドタ

アライしゃん2「たべものをおいてくのだ!もってないなら…おまえらがじびえになるのだーーーっ!」ドタドタ

大アライちゃん「おうちどろぼーめぇ!かみころしてやるのだー!」ヨチヨチシッポブンブンヨチヨチシッポブンブン

一同「に…逃げろぉおおーーーっ!」タターッ

一同は、廃屋の外へ逃げ去っていった。

大アライちゃん「にげてったのだー!」シッポブンブン

アライしゃん1「びびったのだーびびったのだー!やーいやーい!」

アライしゃん2「いあつしたのだー!しょーりなのだー!」コスリコスリ

アライちゃん1~21「「しょーりなのりゃー!≧∀≦」」コスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリ

~その日の晩~

男児兄「とーちゃん、今日廃屋に肝試しに言ったんだけど、アライちゃんの巣になってたよ…」

男児弟「大きかったよ…」

男児父「それは危ないな…。父さんが、市役所に連絡しておくよ」

…数日後…

~昼、廃屋~

大アライちゃん「うぬぬぬぬ…」プルプル

大アライちゃんが、壁に手をつきながら、二本足で立っている。

どうやら、二足歩行を練習しているようだ。

アライしゃん1「がんばるのだ!そのちょーしなのだ!」

アライしゃん2「そのちょーしで、りょーあしでからだをささえるのだ!」

アライちゃん1「がんばえ!がんばえ!≧∀≦」シッポフリフリ
アライちゃん2「がんばえ!がんばえ!≧∀≦」シッポフリフリ
アライちゃん3「がんばえ!がんばえ!≧∀≦」シッポフリフリ
アライちゃん4「がんばえ!がんばえ!≧∀≦」シッポフリフリ
アライちゃん5「がんばえ!がんばえ!≧∀≦」シッポフリフリ

大アライちゃん「のだっ、のだっ!」スクッ

アライしゃん1&2「「おおー!立ったのだぁ!」」

アライちゃん1~10「「しゅごいのりゃあああーーーっ!≧∀≦」」ワイワイ

大アライちゃん改めアライしゃん3「これであらいしゃんも、いちにんまえのさいきょーせんしなのだー!」フフン

アライちゃん1~10「「おめでとーなのりゃーー!」」コスリコスリコスリコスリコスリコスリ

アライしゃん1&2「「おめでとーなのだあー!」」コスリコスリコスリコスリ

廃屋の中ではアライちゃん達が、新たなアライ『しゃん』の誕生を祝っていた。

アライしゃん3「わーいわーい!これでてんかがとれるのだー!」キャッキャ

アライちゃん1~10「「てんかとれゆのりゃあ~っ!≧∀≦」」







パワーショベルアーム「」ズガッシャアアアアアアアーーンッ

窓ガラス「」パリンパリンパリィーーーンッ

アライしゃん3「ぐぢびゃぎゃあああああああーーーーーっ!」ズグシャアアアアボギベギグチャアアッ

アライちゃん達「「≦∀≧」」!?

突如、窓ガラスを突き破ってパワーショベルのアームが襲いかかってきた。

アライしゃん3はアームの直撃をくらい、ぶっ潰れた。

窓ガラスの破片「」パラパラパラ…

蛍光灯の破片「」パリィーーンッバラバラ…

アライちゃん1~10「「びぎゃあああああああーーーーーっ!!」」サクサクサクッ

割れた窓ガラスや蛍光灯の破片が舞い、アライちゃん達に刺さった。

蛍光灯の中の有害物質が、アライちゃんの傷口へ降りかかる。

アライちゃん1「ぎびいぃぃぃーーーーっ!いぢゃいのりゃああーーーっ!」ビエエエエンッ

アライちゃん2「ありゃいしゃんたちのおうちあなあいたのりゃああーーっ!」ビエエエエンッ

パワーショベル「」ゴウンゴウン…

アライしゃん1「うゆ!?あのでっかいけものがやったのか!?」フゥーーーッ

アライしゃん2「しってるのだ!あれはろぼっとなのだ!がったいしたりへんけーするのだ!」

アライちゃん1「ぴいいぃぃっ!りょぼっとしゃんこあいのりゃーーっ!」ビエエエエン
アライちゃん2「しゃちゅじんよぼっとなのりゃああっ!」ピイイィィ

アライしゃん1&2「「にげるのだああーーーっ!」」タターッ

アライしゃん達は、我先にと逃げ出し、階段を下りた。

パワーショベルのアーム「」ズガシャアアアアアアッ

アライしゃん1&2「「じびぎゅぅ!」」ブチグチャアアアッ

しかしパワーショベルのアームは、建物を破壊しながら、アライしゃん1&2を叩き潰した。

石膏ボード「」バリィンボフウウゥゥッッ

断熱材「」グシャアアアボフウウウゥゥゥッ

粉砕された石膏ボードや断熱材が粉塵となって、ガラスが刺さっているアライちゃん達を包み込んだ。

アライちゃん1「げぼ!ごほ!」ゴホゴホ

アライちゃん2「ぐゆじいいぃい!ぴいいぃぃ!」ゴホゴホ

アライちゃん3「ぴぎゃあああああっ!おめめいぢゃいぃぃのりゃああーーーっ!」ビエエエエーーンッ

アライちゃん1~10「「ごほごほ!がほごほぉっ!」」ヨチヨチゴホゴホオメメコスリコスリヨチヨチ

アライちゃん達はヨチヨチ歩きで逃げようとするも、粉塵が目を塞いでまわりが見えないようだ。

アライちゃん4「のぉおーーーぉああああああーーーーんっ!びぃーーっ!もーやなのりゃああーーっ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん5「おがーーーしゃああああーーーんっ!だぢゅげでええーーーーーーっ!」ビエエエエーーンッヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん6「もーもりにかえゆぅーーーっ!いんたーんやめゆぅーーっ!」ピギイィィ ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん7「ありゃいしゃんのおうぢごわしゅなあああああーーーーっ!きゅるるるぅ!」ヨチヨチヨチヨチ

パワーショベルのアーム「」グオオオンッ

パワーショベルのアームが迫ってきて…

床「」メシャボグシャアアアアッ

アライちゃん達のいない床を砕いた。

アライちゃん1「ごほごほ!はずしたのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2「おーはずれなのりゃー!ばーかばーか!のーこん!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん3「のーこんなのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん4「おーはずれぇー!」ヨチヨチヨチヨチ

床「」バキバキィ

アライちゃん1~10「「のあ?ΦдΦ」」?

床「」グシャアア

なんと、アライちゃん達が乗っている床が割れ、底が抜けた。

アライちゃん1~10「ぴいいぃぃいぃ!?」ヒューー

家の2階にいたアライちゃん達は次々と落下し…

アライちゃん1「じび!」ドチャ
アライちゃん2「じび!」ドサァ
アライちゃん3「ぴぎゃ!」ドチャ
アライちゃん4「ごぎゅ!」メシャボギ
アライちゃん5「ぎゅっ!」ドガァ
アライちゃん6「ぴぎゅ!」ドチャ
アライちゃん7「びぎ!」グシャア
アライちゃん8「うゆぅ!」ポテッ
アライちゃん9「あびゅぅ!」ボトッ
アライちゃん10「ぴぎゅ!」ボテッ

アライちゃん11~21「「ぴぎゃあ!?」」ガンガンガンガンガンッ

…ちょうど1階の真下にいたアライちゃん11~21や、床、瓦礫に叩きつけられた。

アライちゃん4「」ビグンビグン
アライちゃん6「」ドクドク
アライちゃん7「」グッタリ

アライちゃん18「ぴいいぃーー!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん19「なんかいっぱいおちてきたのりゃ!にげゆのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん20「のりゃっ!のりゃっ!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん21「にげていきのびればかちなのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ

それ以外のアライちゃん達「「いじゃいのりゃあああああーーーーーっ!!」」ピギイイィィ

大半のアライちゃん達は、落下のダメージで大怪我を負ったようだ。

アライちゃん11「う、うゆうぅ…!でも、いだいげど…がまんなのりゃあ…!」ズルズル

アライちゃん12「びえええーーーんっ!おがーーしゃあああーーーんっ!o(T△T=T△T)o」ヒョコヒョコ

アライちゃん達「にげゆのりゃああああああ!」ヨチヨチヨチヨチピギイイィィ

アライちゃん達は必死に逃げようとすが…

二階の床「」グシャアアベギンボギンバラバラ

解体された二階の床や壁が、瓦礫となってアライちゃん達の上に降り注いだ。

アライちゃん達「「びぎぃ!」」ドゴォグシャア

アライちゃん達「「あぎゃあがぁ!」」グシャベギャボギィ

アライちゃん達「「びぎゃあああ!」」ドゴドゴボゴォ

アライちゃん達「「ぶぎゃあああがああ!」」ゴゴゴボゴバギビギギ

アライちゃん達「「しぎだぐないのりゃああああああーーーーっびぎゃあああああああーーーっ!」」ボゴォドンガラガッシャアアンッ

瓦礫の山「」ガラガラ…

アライちゃん達は、瓦礫の山に埋まった。

パワーショベル「」ウイイイインッ ガララララッ

パワーショベルは、瓦礫の山をアームで掬い上げた。

すると、アームに掬い上げられた瓦礫の中には…

内臓破裂アライちゃん「ぎ…び…」ビグビグ

両足骨折アライちゃん「いぎ…ゆ…のりゃ…」ズルズル

複雑骨折アライちゃん「ぜっだい…いぎ…ゆ…ぅぅ…!」ズルズル

両足切断アライちゃん「び…ぎ…しぬ…もんがぁっ…!」ヒョコヒョコ

全身骨折アライちゃん「ふ…ぎゅ…おが…しゃ…だ…ぢゅ…げ…」ブルブル

… 半死半生のアライちゃん達がおり、まだ生き延びようとして必死に蠢いていた。

すると、廃屋の隙間から…

血まみれアライちゃん1「ぴぎぃいいーーー!」ヨチヨチヨチヨチ

血まみれアライちゃん2「いまなのりゃ!にげゆのりゃあ!」ヨチヨチヨチヨチ

血まみれアライちゃん3「たしゅかったのりゃあ!これでたしゅかったのりゃあ!」ヨチヨチヨチヨチ

血まみれアライちゃん4「うゆぅ~、あくのろぼっとめぇ!おーきくなって、ぜったいふくしゅーしてやゆのりゃあ!」ヨチヨチヨチヨチ

…血まみれのアライちゃん達が、全力ヨチヨチ大移動をしていた。

あの瓦礫の山の落下からも逃れた幸運なアライちゃんがいたのである。

血まみれアライちゃん1~4「「にげゆのりゃぁあああああっ!」」ヨチヨチヨチヨチ

どうやら、致命傷を負わずに生き残っているのは…

骨折瓦礫アライちゃん1~4「「う…ゆ゛ぅ…!ぜっだい…しにだぐないぃ…!いぎのごっでやゆぅっ…!」」ズルズル

パワーショベルのアームに掬われた瓦礫の上を必死で這う、骨折瓦礫アライちゃん4匹と…

血まみれアライちゃん1~4「「のりゃ!のりゃ!きゅりゅりゅりゅりゅぅぅ~っ!」」ヨチヨチヨチヨチシッポブンブン

建物から脱出して必死で逃げている、血まみれアライちゃん1~4だけのようだ。

パワーショベル「…」ウイイイイン

パワーショベルは…

パワーショベル「グイイイン」ガラガラガラガラガラガラ…

なんとパワーショベルは、骨折瓦礫アライちゃん1~4が乗った瓦礫を…

骨折瓦礫アライちゃん1~4「「ぴいいいぃいいーーーっ!?」」ヒュウゥーー

必死に逃走する血まみれアライちゃん達の上に落とした。

血まみれアライちゃん1~4「のりゃあああああああーーーっ!?」」ヨチヨチヨチヨチ

瓦礫「」ガラガラガラガラガラガラ

血まみれアライちゃん1~4「「じぎだぐなびゃぎゃがああああああああああああっ!」」グチャベチャボギブヂャグチャアアア

骨折瓦礫アライちゃん1~4「「がぶぐぎゅぶがびゃぎゃあああああああああっ!」」ボドボドベギゴギグシャボギブチャアア

…8匹のアライちゃん達の命が、一瞬にして同時に失われた。

こうして廃屋は、たくさんのアライちゃん達を瓦礫の下敷きにして崩壊。

住み着いていたアライちゃん達は全滅した。



『廃屋の中に入った人間の子供達を襲おうとした』。


そんな暴挙は許されざる罪であり、死刑に処するに余りある程の罪状であろう。



作業員1「瓦礫撤去も楽じゃねえぜ…」ガラガラ

作業員2「まさか解体前に残った家具とか石膏ボードを持ち出さず、まとめて壊すとは…」ヒョイヒョイ

尻尾「」

作業員達は、瓦礫の山からシマシマの尻尾が出ているのを見つけた。

作業員1「おい、あれ…」

作業員2「…」グイッ

作業員2は、尻尾を掴んで引っ張った。

全身複雑骨折内臓破裂アライしゃん「」ブラーン

作業員1&2「「おええええ…」」

…瓦礫の撤去はなかなか大変そうだ。

一旦ここまで

~路地裏~

アライちゃん「おなかへったのりゃー」ヨチヨチ

路地裏をヨチラーが歩いている。

野良猫「…」ニジリニジリ

アライちゃん「うゆ!けものがいゆのりゃ!」シッポフリフリ

野良猫「…」

アライちゃん「…」シッポフリフリ

野良猫「…」

アライちゃん「…よけーなあらそいはさけゆのりゃ。みのがしてやゆのりゃ」ヨチヨチ

いくらアライちゃんが、自分が強いと思い込んでいるアホでも…

目の前の動物と戦うのは得策ではないと思ったようだ。

だが。

野良猫「フシャアアアアッ!」ガバッ

アライちゃん「ぴぎゃああーっ!?」

野良猫にとっては…
目の前の弱そうな獣は、絶好の獲物に見えたようだ。

野良猫「ウニャウウゥ!」ガウガウ

野良猫は、アライちゃんの首に噛みつこうとしている。

アライちゃん「ふぎいぃ!なんなのりゃ!やめゆのりゃあ!きゅうるるるうるるぅっ!ぶっこよすぞぉ!」ブンブン

アライちゃんは爪を振るい、野良猫を引っ掻いた。

野良猫「フギャア!?」ザグゥ

野良猫の腹から血が流れた。

アライちゃんはご存じの通り、頭がデカくて重い。

ヨチヨチ歩きをするには、頭の重さを腕で支えながら四足歩行する必要がある。

つまり、ことヨチラーであるアライちゃんは…

脚よりも、腕力の方が強いのである。

人間相手には歯が立たなくとも、野良猫サイズの相手であれば…

アライちゃん「たあー!たあたあたあたあたあたあたあたあたあたあ!」ザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュ

野良猫「フギャアアアアアア!グギャアアアアアアア!」ドクドク

…引っ掻きで深手を負わせることも、頑張れば可能だ。
人間よりも皮膚が薄いのだから。

アライちゃんの爪は、間違いなく『武器』であり、『凶器』である。

野良猫「フシャアアアッ!」バリィ

野良猫は、アライちゃんの顔を引っ掻いた。

アライちゃん「びぎゃあああ!いぢゃいのりゃああああっ!」ビエエエーン

アライちゃん「しかえしなのりゃあ!しねぇ!」バリィ

アライちゃんも、野良猫の顔を引っ掻いた。

野良猫「フギャアアアアアア!」ズバァ

野良猫は、間一髪顔や鼻が傷つくことは防げたが…
顔のマズルの部分に深い引っ掻き傷を負った。

野良猫「フギャウゥゥ!」バッ

野良猫はいちかばちか、再びアライちゃんの首へ噛みつこうとした。

噛みつきに成功すれば、この取っ組み合いは勝ったも同然だ。

しかし…

アライちゃん「させないのりゃああ!だああ!」ズバァ

野良猫「フギュゥ!」ザグゥ

このアライちゃんは、もうすぐ二本足で立てるようになるサイズだ。

つまり、前の廃屋の話でいうところの、『大アライちゃん』にあたる。

バイトや男児がなぶり殺してきた、バカで弱い小さな幼獣とは違う。

体力と筋力、そして生き延びるための知恵を学習し…
街中での生活を生き抜いてきた獣である。

野良猫「ふ…ぎゃ…」バッ

野良猫は、アライちゃんから飛び退いた。

格闘して勝てる相手ではないと判断したのであろうか。

野良猫「フギャアア!」タタッ

野良猫はアライちゃんに背を向けて逃げ出した。

アライちゃん「うぬぬー、にがさないのりゃ!ありゃいしゃんのじびえにしてやゆのりゃ~!ふははー!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

本来、機動力ではアライちゃんよりも野良猫の方が圧倒的に速い。

しかしこの野良猫は心なしか、あまり逃げるスピードが速くない。

アライちゃん「ふははー!のろのろなのりゃ!おいついてたべゆのりゃー!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃんは狩人の目をして、野良猫を追いかける。

アライさんという種族は、決して弱い動物ではない。

アライボウのような凶器や、アライ取りペレットのような猛毒を、
ホームセンターで一般販売してまで自衛せねばらないほど強い種族なのである。

野良猫「ウニャアアア…!」トテトテ ヨタヨタ…

横断歩道を渡っている野良猫のスピードは、明らかにだんだん遅くなっている…。

アライちゃん「はぁ、はぁ…ふははー!ばててきてゆのりゃあ!ぜぇ、はぁ…!」ヨチヨチヨチヨチ

バテてきているのはアライちゃんも同じだ。

ぜぇぜぇはぁはぁと、息を切らしている。

アライちゃん「つかれたのりゃ…でも、ここでぜんりょくでがんばれば!おっきーじびえおにくたーっぷりたべれゆのりゃあ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃんは猫に追い付くことだけに集中し、必死に手足をヨチヨチと動かし、猫を追いかける。

野良猫「う…にゃ…」ヘロヘロ ペタン

とうとう猫は、止まってしまった。

アライちゃん「ふははーーー!もらったのりゃーーー!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃんは、止まっている野良猫のほうへ全力で近付く。

アライちゃん「ありゃいしゃんがいーっちばん!かしこくって!つよいのりゃーーーっ!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ




自動車「ブオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーンッ」


アライちゃん「おにくたべゆぶぎゃばぎゃああああああああっ!!?」ブヂィイイッ


猫を追うことに集中していたアライちゃんは、赤信号の横断歩道のど真ん中で車に轢かれた。

アライちゃん「が…びゃ…い…ぢゃ…ぃい…」ドクドクブシュウウゥ


アライちゃんの下半身は完全に潰れ、内臓をぶち撒けている。


…横断歩道の信号機が青に変わった。

野良猫「ニャー」トテトテ

今まで生き延びて賢くなったと自称するアライちゃんは…
まさか自分が、本気で猫の全力スピードに追い付けるとでも思っていたのであろうか。

野良猫が自分を車の前へ誘導するために、わざと追い付けそうで追い付けないスピードを出していたと…

『罠にはめられていた』と想像すらできないのであろうか。

野良猫「ハグ」ガブゥ

アライちゃん「う…ぎゅぅ…」

野良猫「ニュゥー」トテトテ

アライちゃん「び…ぃ…」ズルズル

どんなにアライちゃんが危険で強い動物種であろうが…
たかが半年も生きていない若僧。

野良猫にあっさりと狩られ、引きずられていった。

アライちゃん「や…なの…りゃ…!ありゃ…い…しゃ…しぎだ…ぐ…」ズルズル

アライちゃん「うん…わるかった…だけ…あらいしゃ…の…ほう…が…」ズルズル

アライちゃん「つよ…が…っだ…の…にぃ…まげで…ない…のにぃ…」ズルズル

野良猫「…」ズルズル

アライちゃんは負け惜しみを言っている。
自分の方が本来は強いはずなのに…
運が悪かったせいで負けた、と。

本来勝っていたのは自分だから…
自分は野良猫なんかに敗北していないと…。

やがて、野良猫は路地裏へアライちゃんを引っ張ってきた。

野良猫「…」トテトテ

アライちゃん「…ぁ…」ズルズル

アライちゃんが見たのは…

♀野良猫「みゃー」

仔猫1~4「「ごくごく…ちゅぱちゅぱ…」」ゴクゴク

授乳している野良猫の親子と…

アライちゃんの骨の山「」カラン

…今まで仕留めたであろう、たくさんのアライちゃんの骨の山であった。

アライちゃん「…の…あ…」

この骨の山が語る真実、それは…

『この猫は、いつもと同じやり方で、狩りをした』ということ。

アライちゃんは、運などではなく…
知恵と実力で完全敗北したということだ。

アライちゃん「っ…!」ウルウル

アライちゃんは泣いた。
痛みや死への恐怖もあるが、何よりも…

悔しさに、惨めさに、泣いたのである。

♀野良猫「みゃ~」シッポフリフリ

野良猫「フミャー」ガブゥ ズルズル…

野良猫はアライちゃんを引きずり、子供へ授乳中の雌猫の前に持っていった。

アライちゃん「の…のー…かうん…と…」ウルウル

アライちゃん「の…かう…と…なの…りゃ…!」ウルウル

出血で意識が薄れ始めたアライちゃんは、妙なことを口走った。

野良猫「ハグゥ!」ガブゥ

♀野良猫「アング」ガブゥ

アライちゃん「ぎ…じ…」ズルズル

だが野良猫達は一切お構いなしに、アライちゃんの内臓に噛みついた。

アライちゃん「も…い…っかい…やれ…ば…あ…りゃい…しゃ…が…かちゅ…のあ…」ウルウル

野良猫「ウミャー」バリィ モグモグ

アライちゃん「だが…りゃ…!やり…なおさ…せ…ろぉ…!いっがい…だげぇ…!」ウルウルポロポロ

♀野良猫「みゃー」ガブゥブヂィ モグモグ…

アライちゃん「も…い………がい…」

野良猫&♀野良猫「「モグモグ…」」ガブゥブヂィ モグモグ

アライちゃん「」

野良猫&♀野良猫「「みゃー」」モグモグ


アライちゃんは、野良猫夫婦に食べられた。

野良猫「フイ」ポイッ

アライちゃんの骨の山「」カラン

自分が一番賢くて強いと信じていたアライちゃんは…

狩られたたくさんのアライちゃんの骨に積み重ねられ、『仕留めた獲物の一匹』にカウントされた。

つづく



粘土人形「」

アラキレス「ふははー!かいぬしさしゃーん!みゆのりゃ!かいぬししゃんなのりゃー!」シッポフリフリ

お、おお…
アラキレスが、粘土で人形を作っている。

髪があり、スカートがある…
私を作ったのだろう。

しかし…意外に上手いな。
アラキレスには、芸術の才能があるかもしれない。

アラキレス「かいぬししゃん!どーなのりゃ?≧∀≦」シッポフリフリ

アラキレスは、私を喜ばせるためにこれを作ってくれたのであろう。

ああ…
この粘土人形…



…もしも今ここで、アラキレスの目の前で踏み潰したら…
アラキレスはどんな顔をするだろうか?

なんて…そんな考え。バカバカしい。


ペットが私を喜ばせようとして、これを作ってくれたのだ。

ならば飼い主の私は、その気持ちに応えてあげる義務がある。


上手だねー!アラキレス!
嬉しいよ、ありがとう!
アラキレスはお利口さんだね!私の自慢のペットだよ。

私は、アラキレスの頭を撫でてあげた。

アラキレス「ふははー!すごいだろー!もっとほめゆのりゃぁー!≧∀≦」スリスリ

アラキレスは私の手に頬擦りしてくる。
あーがわいい。
悶え死ぬ。

私はその後、アラキレスといっぱい遊んであげた。

アラキレス「かいぬししゃーん!ねんどあしょび、すっごくおもちよいのりゃー!≧∀≦」スリスリ

アラキレス「ほかにもいっぱいつくったのりゃ!みてみてぇー!」キャッキャッ

…アラキレスを飼う前の私は…
アライさんは決して物質的報酬無しでは人のために働かず、人を喜ばせようちはしない…と思っていた。

もしも何かするとしたら、餌をねだるときくらいであろう…と。

だがアラキレスは、私を喜ばせようとして人形を作ったのにも関わらず、餌をねだってこない。

私が思うに、これは…

アラキレスが、私に褒められること。

私に愛されること。

私に構ってもらうこと。

つまり…『承認欲求が満たされること』を、精神的な『報酬』として認識し始めているのではないだろうか。


もっともこの理屈だと、褒めてやらなきゃ不満を持たれることになるので、
それはそれで若干面倒ではある。

その後私は、学校の友達を家に呼んだときに、
アラキレスを見せてみた。

アラキレス「なのりゃー」コスリコスリ

女友達1「わぁ、かーわーいーいー!」

女友達2「やっぱアライちゃん可愛いよねー!」

アラキレス「うゆ?おねーしゃんたち、だれなのりゃ?」シッポフリフリ

私の友人だよ。

アラキレス「はじめまちて!ありゃきれしゅなのりゃー!よろちくなのりゃ!」ペコリ

アラキレスは、私が教えた通りに挨拶をした。

女友達1「えー!?すごーい!この子今挨拶したー!かしこーい!」

女友達2「私は女友達2!バイトちゃんのお友達だよ。よろしくね!」

アラキレス「よろしくなのりゃー!いっしょにあそぶのりゃー!」シッポフリフリ

アラキレス「ふははー!みゆのりゃ!ねんどでつくったかいぬししゃんなのりゃー!」コネコネ

女友達1「すっごーい!」

女友達2「賢いんだねー!」

アラキレス「ふははー!すごいだろぉー!≧∀≦」

アラキレス「そーなのりゃ、こんなのもあゆのりゃ!」スッ

アラキレスは、粘土で作った2つのリングを取り出した。

女友達1「なーに、それ?」

アラキレス「これはしっぽのあくせしゃりーなのりゃ!どーなのりゃ、かわいーだろぉー!≧∀≦」スチャ

アラキレスは、油粘土のリングを尻尾にはめた。

女友達1「え…」

女友達2「えっと…」

アラキレス「かわいーだろぉ!?」シッポフリフリ

そうは言っても、ただの粘土の輪だ。
可愛いもクソもない。

女友達1「か、かわい…(苦笑い)」

待ったーーーーっ!

アラキレス「のあ?ΘдΘ」

その回答、待った!
私は趣味でイラストや漫画を描いている身。

こと創作物のデザインに関しては、お世辞を言わず正々堂々と評価させてもらう。

アラキレス「のあ?」シッポフリフリ

アラキレス、これを見てごらん。
私は女友達2がつけているブレスレットを見せた。

アラキレス「うゆぅ~!きれーなのりゃ、ぴっかぴかなのりゃ、かーいいのりゃあ!」キラキラ

そうでしょう。

女友達2「えへへ~そうかな?そうでしょぉ~!」

アラキレス「ありゃいしゃんもこれほちーのりゃぁ!」

いいかい、アラキレス…
『可愛い』とは、これだけのものが作れて始めてそう言ってもらえる。

アラキレス「うゆ!?」

君が作ったただの輪っかは…
『まだ』、そう言われるに価しない。

アラキレス「ぴぃっ!?あ、ありゃいしゃんのしっぽりんぐ、かわいくないのりゃああっ!?こんなにがんばってつくったのにぃいっっ!」シッポブンブン

…その情熱は評価するよ。頑張ったね。
だけど作品には、まだまだ改善の余地が山ほどある。

アラキレス「ぴっ…ぴいいぃぃぃぃーーーーーーーっ!!ありゃいしゃんがんばってつくったのにぃぃーーーっ!かいぬししゃんぜんぜんほめてくれないのりゃあああーーーっ!」ビエエエーン

アラキレス「のぉおーーーーーぉぁあーーーーーーんっ!のおおおぉおおおおおおーーーーぁああああーーーーーーーーんっ!」ピイイイィィ

女友達1「ち、ちょっと…厳しすぎじゃ…」アセアセ

いいや。
甘やかして嘘ついたら、アラキレスの成長を止めてしまう。

女友達2「ペットに対してなにもそこまで…」

泣くなアラキレス!
君が泣いてる姿は可愛…ゲフンゲフン…。
…君ももうだいぶ大きくなったんだ。
嫌なことがあったからって、いいかげんもう泣きわめくのはみっともないからやめなさい。

アラキレス「うぅーーっ!でも!でもぉおおーっ!」ウルウル

私は、アラキレスにもっとアーティストとして成長してほしいんだ。

アラキレス「うぅ…?」ウルウル

そう…アラキレス。
君には、もっと可愛い作品を作れるように、腕を磨いてほしい。

君の情熱があれば、もっともっと可愛いものが作れるようになる。
私は、君がそうやって成長していくとこが見たいんだ。

君には才能があるし…可能性にも大いに期待している。

アラキレス「さ…さいのー…?」グスングスン

そう。

アラキレス…
君は、粘土でものを作るのが好きかい?

アラキレス「しゅきなのりゃあ!」シッポフリフリ

可愛いアクセサリーは好きかい?

アラキレス「うゆ!しゅきなのりゃ」

ふふ、そう…
『好きこそものの上手なれ』と言うだろう。

君の、『可愛いアクセサリーが好き』『ものを作るのが好き』という熱意は…

他の何にも代えがたい、一番の才能だよ。

アラキレス「の、のりゃ…」

そうだ、いいものを見せてあげよう。
私は戸棚から、古いアクセサリーカタログを取り出して、アラキレスへ見せた。

アラキレス「のあー…」

女友達1「あ、かわいー!けどちょっと古いwww」

女友達2「ださいけど一周回って可愛いかもwww」

どうだい?アラキレス。

アラキレス「かーいーのりゃあ!ありゃいしゃんも、こんなのつくってみたいのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

よしよし!
可愛いねーアラキレスは。

そんな風に、私の気持ちに頑張って応えようとしてくれる君の優しいところが大好きだよ、アラキレス!

よーしよしよし!
…私はアラキレスを撫でた。

アラキレス「のりゃっ!のりゃっ!≧∀≦」シッポフリフリ

女友達1「よーしよしよし!」ナデナデナデナデ

女友達2「よーしよしよし!」ナデナデナデナデ

アラキレス「よぉーし!きれーでぴかぴかなのいーっぱいつくゆのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

その調子だ!頑張れアラキレス!



アラキレス「ふぬぬぬ…これかわいーのりゃ…」ジロジロ

アラキレスはケージの中で、アクセサリーのカタログ本を見ている。

本を読むペットなど、アライちゃん以外に…
いや、アラキレス以外にいるだろうか。


アラキレスは、私の自慢のペットだ。
こういう頑張り屋さんな所が、アラキレスの一番のチャームポイントだ。

つづく



読者の皆さんがアラキレスのことをどう思ってるか、どうなってほしいか…
作者としてはなかなか気になるところです



~深夜、路地裏~

アライちゃん1「うぅ~…おなかしゅいたのりゃあ…」ヨチヨチグーギュルルー

アライちゃん2「うぅ…たべもの…たべものお…」ヨチヨチグーギュルルー

お腹を空かせたアライちゃん達が路地裏をヨチっていると…

アライちゃん1「ん?くんくん…いーにおいすゆのりゃ」クンクン

アライちゃん2「おねーしゃ!あれみゆのりゃ!」

キャラメル「」

…キャラメルが3個あった。

アライちゃん1「た…たべものなのりゃーーーっ!≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん2「たべゆのりゃーっ!≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん達は、何故か路地裏の路上に落ちているキャラメルに向かって猪突猛進した。

アライちゃん1「ごっはん♪ごっはんっ♪」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2「おっいちーごっはんっ♪」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん1「ごっはん♪ごっはんっ♪」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2「おっいちーごっはんっ♪」ヨチヨチヨチヨチ

キャラメルに向かってヨチヨチ全力疾走するアライちゃん達。


アライちゃん達がキャラメルの前に辿り着く直前…
突然、上空から…

買い物籠「」ガッシャアアアーンッ

アライちゃん1&2「「のりゃあああああっ!?」」ビクゥ

…買い物籠が降ってきて、アライちゃん達を捕らえた。

アライちゃん1「な…なんなのりゃこれ!」ガシャガシャ

アライちゃん2「でられないのりゃあ!じゃまなのりゃあ!」ガシャガシャピイイィ

アライちゃん1&2「「ぴいいぃいーーーっ!」」ガシャガシャ

買い物籠の中で必死に暴れるアライちゃん達。

アライちゃん1&2「「だちて!だちてええええーーーっ!」」ガシャガシャピイイィ

何者の仕業だろうか?

やがて、籠がどかされた。

アライちゃん1「で、でられたのりゃあ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2「たべものたべゆのりゃ!」ヨチヨチヨチヨチ

周囲の状況確認もせず、再びキャラメルに向かって突き進むアライちゃん達。

???「たあ~!」ガシィガシィ

アライちゃん1「ぴいぃぃっ!?」ブラーン

アライちゃん2「なんなのりゃ!?ありゃいしゃんのしっぽつかむなあああっ!」ブラーン

…何者かが、アライちゃん達の尻尾を掴んで持ち上げた。






凶アライさん「のだあああ…」フーッフーッ

アライちゃん1&2「「!?」」ビクゥ

なんと。
アライちゃん達を持ち上げたのは、成体のアライさんであった。

アライちゃん1「な、なんなのりゃあ!?ありゃいしゃんたちがみつけたたべもの、よこどりすゆきかぁ!?」ジタバタ

アライちゃん2「からだでっかいからって、ちょーしこくなぁー!でくのぼーのごはんどよぼーめぇ!」ジタバタ

凶アライさん「のだああああ!」ベチーンッ

アライちゃん1「じび!?」ドゴォ

凶アライさんは、アライちゃん1の頭を地面へ叩きつけた。

アライちゃん1「ぴぎいいぃいーーーっ!いぢゃあああいいーーーーっ!」ビエエエーン

アライちゃん2「おねーしゃ!うゆぅ~、おまえー!おねーしゃになにすゆのりゃあ!」フゥーッ

アライちゃん2は尻尾を掴まれながら、凶アライさんを威嚇している。

アライちゃん2「おねーしゃ!がったいこーげきなのりゃ!あれをつかうのりゃ!」

アライちゃん1「いぢゃいっ!いぢゃぃーーっ!」ピギイイィィジタバタ

アライちゃん2「きーてゆのかぁ!?しまいのがったいひっしゃちゅわざで、こいつをぶっこよしゅのりゃー!≧∀≦」

アライちゃん1「う、うみゅうぅ!わ、わかっ…≧∀≦」

凶アライさん「ふがああぅーっ!」ドグシャア

凶アライさんは、アライちゃん1の首を踏みつけた。

アライちゃん1「びっ!」グギィボギャア

アライちゃん1の首はへし折れた。

アライちゃん2「≦∀≧」!?

アライちゃん2「ぴ…ぴいぃーーーっ!?や、やなのりゃ!たしゅけ…」

凶アライさん「のだりゃあああっ!」ドグシャア

アライちゃん2「ぺぶぎゅ!」グシャボギイィ

アライちゃん2の頸椎も踏み潰された。

アライちゃん1「」ビグンビグンジタバタビググン

アライちゃん2「」ジタバタビタバタビッタンバッタン

凶アライさん「ふぅーっ…ふぅーっ…」

なんと…
凶アライさんは、同族の子供を殺してしまった。

キャラメルの罠を仕掛けてまで殺したアライちゃん達をどうするつもりであろうか。

凶アライさん「ふははぁ、がぶぅ!もぐもぐ、くちゃっくちゃっくちゃっ…」バリィムシャムシャクチャックチャッ

なんと…凶アライさんは、アライちゃん1を食べ始めた。

意図的な共食いである。

凶アライさん「もぐっがぶっ…もぐもぐ…はぁぐっ、もぐもぐ…」

凶アライさんは、アライちゃん達の肉や内臓を殆んど食べてしまった。

凶アライさん「ふ…はぁ…のだああっ…!」タターッ ガシャガシャ

凶アライさんは、買い物籠とキャラメルを持ってどこかへ去っていった。

アライちゃん1&2の骨と毛皮「「」」カラン

…街中にわんさかと潜む、逃げ足が遅いけど木登りや泳ぎが得意な生き物、アライちゃん。

その捕食者は…
野良猫だけではない。



~リビング~

私はアラキレスへ餌をあげるために、リビングへ向かった。
すると…

大アライちゃん「ふははー!おまえおもしろいのだー!≧∀≦」キャッキャ

アラキレス「おもしろいだろぉ!もっとみゆのりゃあ!これがーにんじんしゃんでぇー!これがー♪≧∀≦」キャッキャ

…アラキレスの籠の前に、大きなアライちゃんが一匹いた。

まさか、アラキレスを虐めて、餌をカツアゲしようとしているのか?

そうはさせない。
私はアラキレスへ近づく不届き者へ近づいた。

アラキレス「あ、かいぬししゃーん!みゆのりゃ!おともだちがありゃいしゃんのねんどこーさくを…♪≧∀≦」キャッキャ

大アライちゃん「のあ!おまえがやさしーかいぬしか!?おい!あらいしゃんにもごはんよこすのだ!≧∀≦」シッポフリフリ

ごはん?
いいよ、可愛い尻尾のダンスを見せてくれたら分けてあげる。

大アライちゃん「わかったのだぁ!ふははー!あらいしゃんのしっぽのだんすなのだ!」シッポフリフリフリフリ

アラキレス「おぉー!ありゃいしゃんもしっぽのだんすすゆのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリフリフリ

あー可愛い。
アライちゃんの尻尾のダンスはほんと可愛い。

まあ、こんな野良害獣なんかよりも、アラキレスの尻尾のダンスが一番可愛いんだけど。


私はドッグフードの袋をハサミで切って開けた。

大アライちゃん「のりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

大アライちゃんは、私に向かって尻尾を振っている。

大アライちゃん「ふははー!ありゃいしゃんのしっぽはせかいでいーーーっちばんかわいーんだぞぉ!」シッポフリフリフリフリ

私は、その大きいしましまの尻尾を…

ハサミでちょん切った。

大アライちゃん「ぎ…びゃああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!?」ブシュウウゥウゥ

アラキレス「≦∀≧」!?

よくもアラキレスにカツアゲしたな!
見ててアラキレス。
君を虐めた悪い野良害獣を、君の目の前でなぶり殺してやる。

アラキレス「ひ…ひいぃぃぃ!?かいぬししゃんっ!やめゆのりゃ!そいつわゆいやつじゃないのりゃあ!」ガシャガシャ

アラキレス「ありゃいしゃんのねんどのおにんぎょー!かわいーって!すごいって!おもちよいって!ほめてくれたのりゃああっ!」ガシャガシャ

アラキレス「だかりゃやべでえっ!いじめないでええっ!」ガシャガシャ

可哀想に…アラキレス。
恐喝されて、『擁護しなきゃ殺す』とでも脅されているんだね。

そんな嘘を言わなくていいよ。
こいつは死ぬんだから。

大アライちゃん「あああああああああああああ!しっぽがあああっ!ありゃいしゃんのかわいーしっぽぉぉっ!しっぽかえせええええーーっ!ぴぎゃああああーっ!」ピギイイィィジタバタ

大アライちゃんは、痛みでのたうち回っている。

大アライちゃん「うゆぅ!おまええええええーーーーーっ!うそついだなああああああーーっ!ぜーーーんぜんいーひとしゃんじゃないのだああーーーっ!きょあくなのだあああーーーっ!」フウゥウーッ

大アライちゃんは、アラキレスを威嚇している。

アラキレス「う、うそじゃないのりゃあ!やさしーやさしーかいぬししゃんでぇ…!うそじゃないのりゃあ…!」ウルウル

大アライちゃん「うそづぎいぃーーーlっ!くそばかがいじぃーーーっ!おまえなんかともだちじゃないのりゃあああっ!」

アラキレス「ともだちなのりゃああ!かいぬししゃんやべでえ!こいつともだちなのりゃああっ!」ビエエーン

大アライちゃん「おまえなんかぜっこーなのりゃ!だいきらいなのりゃあ!ぺてんしぃ!しんじゃえくそがいじぃーーーーっ!」キュルルルゥ

アラキレス「の…のぉーーーーーーぁーーーーーーーんっ!のぉーーーぁあああーーーんっ!」ビエエエーン

よくもアラキレスに暴言を…!
殺してやる!

私は尻尾のない大アライちゃんを捕まえようとした。

大アライちゃん「うぅー!にげるのだあああーーーっ!」クルッ

大アライちゃんはこちらに背を向け、ヨチろうとした。

大アライちゃん「に、にげっ…」ヨチッ

大アライちゃん「のだっ!?」ゴロン ボテッ

しかしヨチろうと一歩踏み出した大アライちゃんは、前方に転がって顔から倒れ、床に顎をぶつけた。

大アライちゃん「う、うゆぅ…!?な、なんなのだ…あるけないのだぁ!?」ブルブル

大アライちゃん「も、もういっかい…!」ヨチッ

大アライちゃんはまたも一歩踏み出したが…

大アライちゃん「のびゃっ!」ボテッ ガンッ

…またも前方に転がり、床に顎を打ち付けた。

大アライちゃん「な…なんであるけないのだぁ…!」ブルブル

一体なぜ大アライちゃんは、尻尾を無くした途端ヨチヨチ歩きができなくなったのであろうか?

…突然だが…
動物の体重における、脳の重さの割合という数値統計がある。

猫の脳は全体重の0.7%。
ニホンザルは1.14%といわれている。

その中で人間の脳は、全ての動物の中でトップクラスの2.44%だ。

なぜ他の動物に比べ、人間はこんなに脳が重いのだろうか?

それは、人間が二足歩行をするためだ。

二本足で立てるから、足へ垂直に重さがかかるため、頭を重く、脳を大きくできるのである。

もしも四足歩行する動物の頭が重くなったら、それだけ体の前方に重さが偏ってしまう。

すると走行中に体の姿勢を保つのが困難になっていくのである。

だから多くの四足歩行動物は、尻尾によって体の前と後ろのモーメントが釣り合うように調整しているのである。

しかしヨチラー期のアライちゃんは、なんと脳の重量比が20%もある。

あれだけ頭がデカいのだ。
脳が占める重量比も桁違いである。


それだけ体の重さが頭に偏っているにもかかわらず、無謀にもアライちゃんは四足歩行をする。

体の前方にかかるモーメントは、普通の四足歩行動物の比ではない。

しかしそれでもアライちゃんはヨチヨチ歩きができる。

それは、この大きな尻尾によって、体の前方と後方のモーメントを釣り合わせ、バランスを取っているからに他ならない。

…故に。

大アライちゃん「ありゅげないいいいい!あだまおもぐってあゆげないいのりゃあああーーっ!」ピギイイィィ

尻尾を無くしたアライちゃんは、頭の重さによって重心のバランスが大きく前方にずれ…
歩行が不可能になってしまうのである。

大アライちゃん「うあああああああーーっ!あらきれすたすけてえええーーーっ!こいつとめてええーーーっ!」ピギイイィィ

アラキレス「う、うゆぅ…」

大アライちゃん「きらいっていったのとりけすからあああーーーっ!ともだちにもどるからああああーーーーーっ!たすけてーーーーっ!」

アラキレス「で、でもぉ…っ!かいぬししゃんにはんこーしたらすてられゆのりゃ…」ブルブル

大アライちゃん「お、おまえのねんどにんぎょーさいこーなのだぁ!ぴっかぴかなのだぁ!せんせーのふぁんになったのだぁ!」

アラキレス「かいぬししゃん!こいつはあらいしゃんのふぁんなのりゃ!ほめてくれゆのりゃ!だからこよしゃないでえっ!」

…ふむ…。
…そこまで言うなら…

…ん?
床の上になんか落ちてる。
…これは…

大アライちゃん「それはあらいしゃんのためふんなのだぁ!」

大便「」プゥーン

くっさッ!!!!!

大アライちゃん「このおうちをあらいしゃんのおうちにするのだ!だからためふんしてやったのだ!あらいしゃんはもうおまえのかぞくなんだぞぉ!」

…。

大アライちゃん「かぞくをころすきかああああああっ!」フウゥウーッ

…私は戸棚から出したアイスピックを逆手に持ち、大アライちゃんへ近づいた。

大アライちゃん「ひぃ!?ぶ…ぶきなのだあ!く、くるなああっ!にげゆのだ…じび!」ヨチッボテッ

…アライちゃんは、脳が体重の20%を占める生き物。

しかし、研究結果ではこう結論付けられている。

カラスとチンパンジーの知能が同等であるように…
脳の大きさと知能は、必ずしも比例しないと。

アラキレス「か、かいぬししゃ…やめ…」

大アライちゃん「あらきれすぅぅうううううううーーーーっ!!ふぁんのあらいしゃんをさっさとだずげろおおおおおーーーーっ!へたくそぉーーーーっ!!」

アラキレス「へ、へたくしょ!?うゆううぅ~!へたくそじゃないのりゃーっ!おまえのめがくさってゆのりゃ!」

アラキレス「かいぬししゃん!そいつぶっこよしゅのりゃあ!」フシャアアア

合点承知!
私はアイスピックを大アライちゃんの頭へ思い切り突き立てた。

大アライちゃん「ぎびゃああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」ドズウゥゥッ

千枚通しは、大アライちゃんの薄い頭蓋骨を貫通し、頭へ突き刺さった。

大アライちゃん「の、ぁ、あああ…」ビグンビグン

私は大アライちゃんの出血で床が汚れる前に、大アライちゃんをビニール袋へ詰めた。

ビニール袋「」ガサッ…ガサガサガサガサガサッ…

ビニール袋の中は血が溜まっている。

そして私はキッチンへ行き、冷蔵庫へ詰めた。
これで駆除完了だ。



アラキレス「ひぐっ…ぐすっ…」シクシク

いじめっこはやっつけたよ。

アラキレス「かいぬししゃんっ…あらいしゃん、おともだちほしーのりゃあ…」グスングスン

だからって、野良害獣共はダメ。
あいつらは親に泥棒になるよう育てられたんだから。

あいつらと付き合ったら、アラキレスも泥棒になるよ。

アラキレス「…あのありゃいしゃんたちには、あんよあったのりゃ…」

そうだね。

アラキレス「かいぬししゃん…なんであらいしゃんは、あんよがとれちゃうのりゃ…?」

生まれた時からそうだったでしょ?
君は足首が生まれつき無いアライさんなの。

足首が無かったら、森や街中に行っても食べ物をとれない。
もしとっても、他の害獣に乱暴されて奪われる。

君は、とってもとっても弱い生き物。
自然界じゃ絶対に独り立ちできないし、独りじゃ生きていけない。

だから、私がアラキレスを保護してあげてるの。
可愛いからね。

アラキレス「かいぬししゃん…」

アラキレスは可愛い。
私に反抗しないし、いつも私を喜ばせようと頑張ってくれる、とってもいい子。


『だから』保護してるの。
…この意味わかる?

アラキレス「…はんこーしたり、かわいくなくなったら…」

そうなったら、もう君に餌はあげない。
外に逃がしてもあげない。

そのケージの中で、君は餓えて干からびて死ぬことになる。

アラキレス「うゆぅ…」

まあ、もし脱走しても、猫やカラスの餌だろうね。
君は足首がない…弱い生き物なんだから。

アラキレス「…」

でも安心して。
今の君は、いい子だから私に愛されているよ。

アラキレス「の、のりゃ…」

アラキレスは、自分の作品を色んな人に見て欲しいんだよね?

アラキレス「うん…」

じゃあ私、ブログ始めるよ。
アラキレスブログ。

アラキレス「ぶろぐなんなのりゃ?」コスリコスリ

つづく

私は趣味のブログ(自作漫画を載せてる)へ、
アラキレスの粘土作品や、アラキレスが粘土工作してる動画を撮影して投稿した。

そしてSNSで拡散した。

すると、たくさんのコメントが寄せられた。
アライちゃん愛好家からは、
『可愛い!すっごーい!』
『天才!』
『もっと色々作ってください!』
等のコメントを頂いた。

その一方で…
『その油粘土バイ菌繁殖してそう』
『クソキモい殺せ』
『粘土に顔を埋めて殺せ』
『次は石膏とかどうですか?アラキレスで石膏の型を取ってみてください!』

等の、心ないコメントも寄せられた。
…なんて非道い人達なんだろう!


…最後の二つは、野良アライちゃんにちょっとやってみたいと思ってしまった。

私はスマホでアラキレスへコメントを見せ、読んであげた。

アラキレス「おぉー!これなんなのりゃ!?ありゃいしゃんのげーじつさくひんがうつってゆのりゃあ!」シッポフリフリ

これはブログだよ。
アラキレスの作品を、いろんな人に見てもらったんだ。

私は画面をスクロールした。

アラキレス「うごいたのりゃー!」シッポフリフリ

え。

アラキレス「みしてー!かしてー!さわらしてー!なのりゃー!≧∀≦」ペタペタ

アラキレスは、ブログそっちのけで私のスマホの画面をいじっている。

アラキレス「おもちよいのりゃ~!≧∀≦」

…まあ、楽しんでるならいいや。



~動物園~

アラキレス「ここなんなのりゃ?」シッポフリフリ

ここは動物園。
いろんな動物がいるんだよ。

アラキレス「うおぉー!どーぶつ!」シッポフリフリ

きっとアラキレスに刺激になると思ってね。

アラキレス「いくのりゃ~!」シッポフリフリ

肉料理屋店主「動物園とか…久々に来たな。しかし…アラキレス連れてきて良かったのか?」スタスタ

ここはペット同伴可能なんですよ。

肉料理屋店主「へえー。俺もワーミー連れてくりゃ良かったかな」

あれからワーミーさんはどうですか?

肉料理屋店主「ああ…ちょっと事情があってな。今はその…放し飼いにしてる」

放し飼い!?
大丈夫なんですか!?

肉料理屋店主「大丈夫だよ…。さ、行ってみようぜ。俺も動物好きだからな」

どういう意味でですか?オーナー…いえ…ジビエモンさん。

肉料理屋店主「そういう意味だ」

水族館に行っても『美味しそう』って言いそうですね。

アラキレス「はやくどーぶつみたいのりゃー!」シッポフリフリ

私はアラキレスを肩に乗せてリードを握り、動物園へ入った。





クジャク「キュー」バサァッ

アラキレス「ひぎゃああああああっ!とりしゃんこわいいいいぃーーーっ!」ビエエエーン

ああ、いけない。
アラキレスに鳥はトラウマだった。

肉料理屋店主「ヒャハハ、まだ怖いのか」

別の動物を見せよう。



ヒヒ「ウキャア!」

アラキレス「おぉー!おさゆさんなのりゃ!」キャッキャ

あれはヒヒだよ。

アラキレス「ひひどーゆーけものなのりゃ?」シッポフリフリ

…よく知らない。
強いらしいよ。



虎「ガアアウウウ!」

アラキレス「ヒイイイィィ!こ、こあいのりゃああ~~っ!」ビエエエーン

肉料理屋店主「おいおい泣かすなよ…まわりの客に迷惑だぞ…」

猛獣見せるのはダメかな。
別の動物見せよう。



アオダイショウ「シャアアアーー!」

アラキレス「ヒイイイィィ!こ、こあいのりゃああ~~っ!」ビエエエーン

肉料理屋店主「檻の中だって!大丈夫だよ!」

爬虫類もダメか…。
別の動物見せよう。



鷲「キュー!」バサバサ

熊「ガオオォーーーウ!」

アラキレス「のぉーーーぁあああーーーんっ!のびゃああああーーーーーーああーーんっ!」ビエエエーン

うーん、あれもダメ?

肉料理屋店主「…お前わざとやってるだろ!?」



アラキレス「ひぐっ…ぐしゅっ…」シクシク

飼育員「はーい、皆さーん!動物への活き餌ショー始めますよー!」

観客達「「フゥ~~!」」パチパチ

肉料理屋店主「お、なんかやるらしいぞ」

行ってみましょう。

アラキレス「うゆ…こんどはこわくないのりゃ?」ウルウル

観てみなきゃ分かんないかな。
とにかく、観に行ってみよう。

一旦ここまで

~プール~

飼育員「皆さんこんにちわー!」

観客達「「コンニチワー(野太い声)」」

飼育員「それでは今日も、動物さん達に美味しいごはんをあげますねー!」

飼育員「今日の動物は…」ピィー!

飼育員さんがプールに向かって笛を鳴らした。
すると…

シャチ「」ザバアアーーンッ

観客達「オオォー」パチパチパチパチ

飼育員「シャチの皆さんでーす!」

アラキレス「なんかおみずからでたのりゃー!」

食通の友人「シャチか…」

しかしこの動物園凄いですね。
シャチって水族館にいるものだと思うんですけど。

肉料理屋店主「なんでも、この餌付けショーが始まってから客がどっと増えたらしいぞ」

飼育員「それではいきますよー!」ガパッ ムンズ

飼育員さんが、バケツに手を突っ込んでなにかを取り出した。

活き餌1「ぴぎいいぃぃ!はなしぇええーーっ!」ジタバタ

え…!?
あれって…

飼育員「そーれ!」ポーイ

活き餌1「のりゃあああああーーーーーっ!」ヒューー

飼育員さんが、活き餌をプールに向かって投げた。

シャチ「シャアアッ」ザパアアアア バグンッ

シャチはプールから跳ねて、空中で活き餌を丸のみにして水の中にダイブした。

観客達「オオォオォーーーッ」パチパチパチパチパチパチ

アラキレス「う…うゆ…?い、いまの…なんなのりゃ…」

肉料理屋店主「まさか…」

飼育員「いい食べっぷりですねー!活き餌はもちろん、皆さんが持ってきてくれた野良アライちゃん達でーす!」パカッ

バケツの中の声「「のりゃ!のりゃぁー!」」モゾモゾ

観客達「YEAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!」

アラキレス「ぴ…ぴいいいぃぃーーーーーーーーっ!?」

…オーナー、どう思います?

肉料理屋店主「へえ、いいなこれ。害獣のリサイクルか。動物もアラジビ食えて嬉しいだろうよ」

アラジビ?
何ですかそれ?

肉料理屋店主「…アライさんのジビエだからアラジビ。…略してみた」

なんか響きが面白いですね。

飼育員「そーれ!」ポイッ

活き餌2「おがああーーーしゃあああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ!」ピギイイィイ

シャチ「ハグゥ」ザパアアアア バグンッ ザブーン

観客達「FOOOOOOOOOOOOO!!」パチパチパチパチ

アラキレス「ひ、ひぃいぃぃ…!」ガクガクブルブル

肉料理屋店主「にしても、アライちゃんは餌としてほんとに優れてるな。野良でも病原体がいないし」

病原体がいない…

肉料理屋店主「最近のアメリカの研究だと、潜伏期間の短い新型BSEにも一切感染しなかったそうだ」

潜伏期間の短い新型BSE?
そんなのあるんですか?

肉料理屋店主「あれ、知らねえのか?ニュースで話題だぜ」

…そうなんですか?

肉料理屋店主「そうだぜ」

…まあ、そういうものなら、そうしておきましょう。

肉料理屋店主「どういう意味だ…?」

アラキレス「か、かいぬししゃ…」ブルブル

どうしたの?アラキレス。

アラキレス「こわいのりゃ…かいぬししゃ…たしゅけて…」ブルブル

大丈夫だよ、アラキレス。
君独りじゃあ、どんなに大きくなっても、ああいう獣に食べられちゃうけど。

私がいれば大丈夫だからね。

アラキレス「う、うゆぅ…」ブルブル

飼育員「そーれ!」ポーイ

活き餌3「いやあああなあああのおおおおおりゃあああーーーっ!」ヒューー

シャチ「バグゥ!」バツンッ

私達は、活き餌ショーを見終わった。
とても…

とても、良かった。



アラキレス「こ…こあいぃ…ここ…こあいのばっかりいゆのりゃあ…」ブルブル

怖がらせてごめんね、わざとじゃないんだ。
本命は別のとこだよ。

肉料理屋店主「嘘つけ!このクズ!」

はぁんっ♥
もっと罵ってくださいオーナーぁっ♥

肉料理屋店主「なんなんだよお前…。どうでもいいけど、そんなミニスカートで寒くないのか?」スタスタ

今のオーナーの罵倒であったかくなりました!
下腹部が!

肉料理屋店主「こっちはヒヤヒヤするぜ…。で、本命ってのは?」スタスタ

ここですよ!
『アライちゃんふれあいコーナー』!

アラキレス「ありゃいしゃん…ふれあい…こーなぁ?」クビカシゲ

~アライちゃんふれあいコーナー~

飼育員2「こんにちはー!優しく触ってあげてくださいねー!」

アライちゃん1「のりゃー」コスリコスリ
アライちゃん2「のあー」ヨチヨチ
アライちゃん3「なのりゃ」ポテッ
アライちゃん4「あむあむあむあむあむ!」モグモグ
アライちゃん5「けづくよいすゆのりゃ」ハムハムペロペロ
アライちゃん6「だっこちてなのりゃ~」シッポフリフリ

女児1「可愛い~!」ナデナデ

アライちゃん7「のりゃっ!のりゃ!」スリスリ

女子高生「癒される~」ダキッギューッ

アライちゃん8「ひとしゃんしゅきしゅきなのりゃー♪≧∀≦」ギューッ



肉料理屋店主「こ、これは…」

そうです。
人懐っこく育てられたアライちゃん達と、仲良く触れ合えるコーナーです!

アライちゃん9「なのりゃ~」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

あ、一匹オーナーに近寄ってきましたよ。

撫でてあげたらどうですか?

肉料理屋店主「いや、俺はいい…。てか、正直こいつらの何が可愛いのかさっぱり分からん…」アセアセ

まあ、好み分かれますからね…。

アライちゃん達「「「のりゃ、のりゃぁ~」」」ウジャウジャヨチヨチ

肉料理屋店主「う…」

アライちゃん達「「「ひとしゃんしゅきしゅきなのりゃー」」」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

ウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

どうですか?
だんだん可愛く見えてきませんか?

肉料理屋店主「勘弁してくれ…だんだん気分が悪くなってきた…」ウップ

黒パーカーの少女「…」ヒョイ

アライちゃん10「のりゃ~」シッポフリフリ

アラキレス「か、かいぬししゃん…また、おともだち、こよすのりゃ…?」

まさか!
ここのアライちゃん達はみんないい子なんだよ。
それに動物園で飼ってるんだ。
虐めたら損害賠償ものだよ。

…だから、お友達になっていいんだよ。

アラキレス「の…のりゃ~!かいぬししゃんしゅきしゅきなのりゃあ~!≧∀≦」ダキッギューッ

おわっ。
アラキレスが足に抱きついてきた。

アラキレス「ありゃいしゃん、ずっとおともだちいなくってさびしかったのりゃあ…!おともだちほちかったのりゃあ…!」スリスリギューッ

アラキレス「かいぬししゃん、ほんとにだーいしゅきなのりゃあー!≧∀≦」スリスリスリスリスリスリ

あー。
悶え死ぬ。

やっぱりアラキレスが世界で一番可愛い。
私にはアラキレスがいればいいや。

肉料理屋店主「なあ…ひとついいか?」

どうしたんですか?

肉料理屋店主「この動物園…さっき、アライちゃんを活き餌にしてなかったか?」

してましたね。
お客さんから一匹300円で買い取った野良アライちゃんだそうです。

肉料理屋店主「…で、今度はふれあいコーナー?」

はい。
何かおかしいですか?

肉料理屋店主「俺がおかしいのかな…。ふれあいコーナーで飼うような生き物の同族を、活き餌にしていいのか?その…なんというか、倫理観というか…」

野良アライちゃんとペットアライちゃんを同一視しちゃいけませんよ。

ペットアライちゃんはだいぶ品種改良が進んでて、
野良より大人しくて、人懐っこくて、体が小さくなってるんです。

肉料理屋店主「…本当か?それ…」

ペットショップではそう聞きましたよ。

肉料理屋店主「…なんというか…ビックリだよ…」

はあ…

アラキレス「なのりゃー」ヨチヨチヨチヨチ

アラキレスが、ふれあいコーナーのアライちゃん達へ近づく。

アライちゃん1「のあ、ありゃいしゃんなのりゃ?」ヨチヨチ

アライちゃん2「いっしょにあそぶのりゃー!」シッポフリフリ

アラキレス「うゆ!お…おともだちになっていーのか?」シッポフリフリ

アライちゃん3「おともだちなのりゃあ!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチ

アラキレス「なのりゃー!≧∀≦」キャッキャ

アライちゃん1「なかよしのけづくよいしてあげゆのりゃ~♪はぐはぐ、ぺろぺろ…」ペロペロ

ふれあいコーナーのアライちゃんが、アラキレスの背中を舐めたり噛んだりして、毛繕いをしている。

アラキレス「ふぉおおおおお!きっもちいぃ~のりゃあ…(*´∀`*)」ウットリ

アラキレス「おかえしにありゃいしゃんもけづくよいしてあげゆのりゃ!はむはむ…」ハグハグ

アライちゃん2「おほぉ~♪ああ~そこそこ、いいのりゃ~♪≧∀≦」ウットリ

アライちゃん3「おまえ、ひとしゃんのぺっとなのりゃ?」シッポフリフリ

アラキレス「のりゃ!あらきれすってゆーのりゃ!」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃん1「あらきれす!」コスリコスリ

アライちゃん2「あらきれしゅなのりゃあ!」コスリコスリ

アライちゃん3「なまえかっこいーのるあーあやきえしゅぅ~!」コスリコスリ

アライちゃん4「ぴっかぴかのなまえなのりゃ」コスリコスリ

アライちゃん1「きらきらのなまえなのりゃあ!きらきらねーむなのりゃー!」

アライちゃん2「あらきれす!いっしょにあしょんでやゆのりゃ!」

アラキレス「わぁーい!なにしゅゆのりゃ?」シッポフリフリ

アライちゃん2「みんなで、しっぽのおうただんしゅすゆのりゃ~!≧∀≦」シッポフリフリフリフリ

アラキレス「うゆぅ!たのちみなのりゃあ!」コスリコスリ

アライちゃん1「みゆのりゃ!」ヨチヨチ

アライちゃん2~4「「みゆのりゃ!」」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん達が一ヶ所に集まってく!
何するんだろう?

肉料理屋店主「う、うげえ…」

うげーとか言わない!

アラキレス「どきどきわくわくなのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

それでは皆さんご一緒に

ハエガイジムーブ♪(コスリコスリコスリコスリ)
ゴキガイジムーブ♪(ビクッ!ビクビクッ!バタンバタンッ!)

※繰り返し

アライちゃん1は、輪ゴムと段ボールでできた楽器を取り出した。

アライちゃん1「ありゃいしゃんかゆてっとのぉ~♪」

アライちゃん2~4「「しゃかしゃましっぽらいぶぅ~♪」」クルッ

アライちゃん2~4は逆立ちをして、尻尾を振った。

アライちゃん2~4「「「のりゃ~♪な~の~りゃあ~ん♪」」」シッポブンブンブンブン

アライちゃん1「ふみゅ~ん♪ふみゃ~ん♪かっわいーかっわいーしっぽのらいぶ♪めっとろのーむじゃないのりゃぁ~♪」ベンベンベンベン

https://i.imgur.com/i64vkt8.jpg

アラキレス「ふわああぁぁ~!すっごいのりゃー!かーいーのりゃー!≧∀≦」ワイワイ

女児「わーすごーい!」

女子高生「カーワーイーイー!」

黒パーカーの少女「…」

あーーー!がわいー!さいこー!

アライちゃん1~4「「「のりゃ~ん♪のりゃ~ん♪みんなしゅきしゅきありゃいしゃん~♪」」」シッポブンブンブンブン

アラキレス「ありゃいしゃんもまぜてぇー!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

肉料理屋店主「…きっ…つっ…。なあ、アレを可愛いと感じるのが正常な神経なのか!?そう感じない俺がおかしいのか!?」アセアセ

そういう人もまあいるんじゃないでしょうか?
でも、需要があるから飼育員さんはああいう芸を覚えさせたんじゃないでしょうか。

肉料理屋店主「…うぅ~…気分が…」フラフラ

黒パーカーの少女「…」スタスタ

女の子が一人、踊っているアライちゃんに近付いていく。

アライちゃん4「のりゃ~?ふははー!しっぽさわってもい~んだぞぉ~?」シッポブンブンブンブンブンブン

可愛すぎて触りたくなっちゃったか。
まあ、気持ちは分からんでもない。
私は観客に撤するけどね。

黒パーカーの少女「アライちゃん、おれも尻尾のダンスできるんだよ」

アライちゃん4「おおー!くわわゆのりゃ!いっしょにもりあげゆのりゃ~!≧∀≦」シッポブンブンブンブン

俺っ子か。
リアルでは珍しいな。

黒パーカーの少女「うしょっと!」ガシィ グイイッ

アライちゃん4「ぴぃ!?」ブラーン

なんと、黒パーカーの少女はアライちゃん4の尻尾を掴んで逆さまに持ち上げた。

アライちゃん4「うぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅ!?ひとしゃんいぢゃいのりゃあはなちてぇ!≧д≦;」ジタバタ

飼育員「こ、こら!乱暴にするのはやめてください!」タッ

なんて酷いことするんだ!
ちゃんと飼育されてる可愛いアライちゃんに!

黒パーカーの少女「元祖尻尾のダンスといったら、こうでしょう!アユレディー!?」カチッ

黒パーカーの少女は、スマホで音楽を大音量で流し始めた。

スマホ「」ズッタンズッタンズッタンズッタン…

肉料理屋店主「あ、あの曲は…!まさか…そんなことするわけないよな…」

どうしたんですかオーナー!?
あの子…止めないと!



『純情~スンジョン~』DJ OZMA

https://youtu.be/KFpMipVzLs0


黒パーカーの少女は、音楽のリズムに合わせて体を上下し始める。

アライちゃん4の尻尾を握るその右手に、強く強く力を込めながら。

黒パーカーの少女「いくぜぇっ!オーオォ!オーオォ!オーオォォォオー!!!」ブンブン

アライちゃん4「のりゃあああ!?」グルングルン

なんと、黒パーカーの少女は尻尾を握りしめ、アライちゃん4をブンブンと振り回した。

黒パーカーの少女「オーオォ!オーオォ!オーオォォォオー!!!」ブンブン

アライちゃん4「ぎびゃあああぁああああ!!いぢゃいいぃ!ぴぎぃーーーーーーーーっ!」グルングルン

アライちゃん1~3「「「≦д≧」」」!?

アラキレス「≦д≧」!?

飼育員「やめなさいって言ってるでしょう!」ダッ

肉料理屋店主「て…てめえ!何やってんだ!やっていい事の分別くらいつかねえのかッ!」ダッ

ひ…ひどすぎるっ!何の罪もないアライちゃんに!

私は蛮行を止めるために黒パーカーの少女へ近づいた。

つづく

黒パーカーの少女「なに、邪魔するのかよ?クソアラ信どもめ」ブンッ

アライちゃん4「ぴぃっ!」ヒューッ ドカァ

アライちゃん1~3「「ぴぎゃぁっ!」」ベチィ

一瞬の早業だった。
黒パーカーの少女は、私達が追い付く前に、アライちゃん4をアライちゃん1~3へ投げてぶつけ…

黒パーカーの少女「ふん」ポイッ

液体入りボトル「」バシャア

アライちゃん1~4「「「ひゃぶ!?」」」バシャア

なにかの液体をぶちまけ…

黒パーカーの少女「おーわり」ポイッ

ライター「」ヒューッ メラメラ

アライちゃん1「ぴぃっ!」ペチッ

…火のついたライターをアライちゃん1へぶつけた。

すると、突如液体がめらめら燃え、ふれあいコーナーの可愛らしいアライちゃん達は炎に包まれた。

アライちゃん1~4「「「ぎびぃいいいいぃいいーーーーーっ!!あああーーーーーぢゅぅーーーいぃーーーーのぉーーーーりゃあああーーーーーーっ!。≧Д≦。」」」ボオオォォメラメラ

アラキレス「ぴぃ!?お…おともだちぃーーっ!!」

飼育員「きゃあああああーーーーっ!」ペタン

飼育員さんは驚いて腰が抜けてしまったようで、ぺたんと尻餅をついた。

アライちゃん1「あっぢゅいぃーーっ!しーぐいんしゃんだぢゅげでええーーーっ!」ピイイィ メラメラヨチヨチ

アライちゃん2「しぃーーぐいんしゃんーっ!このあぢゅいのけしてぇーーーっ!」ピイイィ メラメラヨチヨチ

アライちゃん3「あぢゅいのりゃああああーーーーっ!」ボオオゥメラメラヨチヨチ

アライちゃん4「しーぐいんしゃんだぢゅげでえぇーーーっ!」ボオオゥメラメラヨチヨチ

飼育員「あ、あ…」ブルブル

激しく燃え盛るアライちゃん達は、尻餅ついてる飼育員さんのところへ集まり、抱きついた。

アライちゃん1~4「「「だぢゅげえええでえええええーーーーっ!」」」ボウボウメラメラギューーッ

飼育員「ああああああああああああああああああ!熱い!熱いぃーーーーーーーっ!」メラメラ

アライちゃん達を燃やす炎と燃料は、抱きつかれた飼育員さんの服や体をも焼いていく…!

黒パーカーの少女「ハエガイジとアラ信の親子丼ができそうだなー!」ヒャハハハハハハ

肉料理屋店主「てめえ!いい加減にしやがれ!」ブンッ

黒パーカーの少女「おっと」サッ

アラキレス!
私はアラキレスを抱き抱えた。

アラキレス「か、かいぬししゃぁんっ…!」ギューッ

誰か!警察呼んでください!それに救急車ぁ!
あと、水を!消火器を!早く!

女児「うわあああああーーーんっ!」ビエエエーントタトタ

女子高生「やばいよやばいよ…!」タターッ

ふれあいコーナーから人が逃げていく。

アライちゃん5「びええーーーんっ!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん6「ごあいのりゃあーっ!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん7「おうぢがえゆぅーーっ!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん8「なんでいぢめゆのりゃあーっ!わゆいごどぢでないのにぃーっ!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん9「しーぐいんしゃ…ぴぃ!?あかいのめらめたこあいのりゃああっ!」ヨチヨチヨチヨチ

ふれあいコーナーのアライちゃん達は、小屋に入っていく。

肉料理屋店主「だらぁ!」ブンッ

黒パーカーの少女「隙だらけで遅いんだよ!」ヒュバッ

黒パーカーの少女は、ベルトから黒い棒を外し、オーナーに押し当てた。

肉料理屋店主「ギアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」ガクゥッ

!?…オーナーが倒れた!

黒パーカーの少女「ははは!棒状スタンガン、マグ●ムXバトン!こいつを改造して200万Vまで電圧を上げてある!牛や馬でも立ち上がれまいよ」

す…スタンガン!?
ど、どうしよう、オーナーを助けないと…!

黒パーカーの少女「そこの女に抱かれてるハエガイジ!お前もぶち殺してやるッ!」タターッ

肉料理屋店主「に……げ……ろッ………!」ビクンビクン

逃げなきゃ…!
私はアラキレスを抱きながら逃げた。

黒パーカーの少女「遅いんだよ!」タターッ

は…早い!
追い付かれる!

もうだめだ、追い付かれる…
それなら…!

私はその場で止まった。

アラキレス「うゆ!か、かいぬししゃんっ!?」

そしてアラキレスを抱き抱えたまま、地面に伏せて全身でアラキレスを囲った。

アラキレス「のあ…!」

どうだ…これで…アラキレスに手は出せないだろう!

黒パーカーの少女「どけぇ!」ヒュバッ

私の背中に棒状スタンガンが押し当てられた!

死ぬ!!!!
痛いぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!

黒パーカーの少女「その汚い害獣をぶっ殺すからよ!どけ!」グイイイイッ バチバチィ

があ、ぁああああっ…!
私は死ぬほどの激痛で涙を流し、失禁した。

黒パーカーの少女「まだ眠っててもらうぜ。そーら充電だアラ信ども!」グイイイイッ

肉料理屋店主「グォオオオオオオオオオオッ!」ビグウビググウッ

オーナーの悲鳴が聞こえる。

黒パーカーの少女「火だるま親子丼!お前らもだ!」グイイイイッ

飼育員「熱いぃ!だれがあ!だずげ…きゃあああああああああああああああっ!」ビグウビググウッ

飼育員さんの声も聞こえる。

アラキレス「かいぬししゃん!?どーちたのりゃかいぬししゃん!うずくまってないでさっさとありゃいしゃんをかかえてにげゆのりゃーっ!」ペロペロ

アラキレス…!
だめだ、うごけないっ…

黒パーカーの少女「まあいいや、後で。それより生き残りがいたな」スタスタ

黒パーカーの少女は、アライちゃん5~9が逃げた小屋に近づく。

小屋の金網の向こうに、アライちゃん達が隠れているのが見える。

アライちゃん5「く、くゆなぁぁあっ!」フゥーーーッ

アライちゃん6「ひ、ひとしゃんっ!ながよくしゅゆのりゃあっ!」ブルブル

アライちゃん7「のぉーーーぁあああーーーんっ!びええーーーんっ!」ピイイィ

アライちゃん8「しっぽのだんすしてやゆかりゃあーーっ!」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃん9「のりゃ!ぼーりょくだめなのりゃ!ありゃしゃんのえんためでえがおになゆのりゃ!らららー♪のりゃのりゃ~♪」フンフン

小屋の中のアライちゃん達は、威嚇したり、なだめようとしたり、泣きわめいたり、踊ったり、歌ったりしているようだ…

黒パーカーの少女「おやおや頑丈そうなお家だなぁ?そんな頑丈なお家、壊せなさそうだぁ」

アライちゃん5「うゆぅ…!」ブルブル
アライちゃん6「たしゅけて…!」ブルブル
アライちゃん7「なんでいーこちゃんのありゃいしゃんにこんなひどいことしゅゆのりゃ…」ブルブル
アライちゃん8「ききなのりゃぁ…!のりゃ、のりゃ…!」シッポフリフリフリフリフリフリ
アライちゃん9「らららー♪かわいー♪かわいー♪ありゃいしゃんー♪たしゅければしあわせになれゆのりゃー♪」ブルブル

黒パーカーの少女「壊せないなら…こうだなっ!」バシャア

黒パーカーの少女は、アライちゃん達がいる木製の小屋にボトルで液体をかけた。

黒パーカーの少女「そーらよ!」カチッ

そしてチャッ●マンで点火した。
木製の小屋はめらめらと燃え始める。

アライちゃん5「うゆ…?」
アライちゃん6「な、なんかあぢゅいのりゃ…!」
アライちゃん7「げほげほ!ごほごほ!」ゴホゴホ
アライちゃん8「げほっごほっ!うびゅぅ!くゆじぃのりゃあ!」ビエエエーン
アライちゃん9「あぢゅいぃーっ!ぐゆじいぃーーっ!」ピイイィ

小屋はめらめらと、激しく燃え盛る。

黒パーカーの少女「そーら、早く出ないと丸焼きボイルになるぞー?」ニヤニヤ

女子高生「お、おいっ!警察呼んだぞ!もうすぐ警察来るぞ!やめないと逮捕されるぞっ!」ガクガクブルブル

黒パーカーの少女「あっそう。邪魔するならこっちに来たら?スタンガンの餌食にしてやるよ」バチバチバチィ

く…狂ってる…!

アライちゃん5「もうげんかいなのりゃあ!に…にげゆのりゃああーーーっ!」ピイイィ ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん6「ごほごほ!あぢゅいのりゃあっ!だしちゅなのりゃあーーーーっ!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん7「かーいいかーいいありゃいしゃんがなんでこんなめにあうのりゃあーっ!」ビエエエーン ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん8「だれがだじゅげでえーーーっ!だっこさせてやゆかりゃああーーーっ!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん9「ひとしゃんはいーひとばっかりだってきーたのにぃーっ!しーぐいんしゃんのうしょちゅきぃーーっ!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん5~9「「ぴいいいぃいぃ~~~~~っ!」」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん達は一列になり、燃え盛る小屋から一目散に必死のヨチヨチ大行進で逃げる。

一旦ここまで

アライちゃん5~9「「「にげていきのびゆのりゃあ~!」」」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

一列に並んで逃げるアライちゃん達。

黒パーカーの少女「追い付いたぜ」ダッ

しかし黒パーカーの少女は、すぐに列の先頭まで追い付く。

アライちゃん5「ぴぃっ!?し、しんろへんこーなのりゃ…」クルッ

黒パーカーの少女「あーらよっとぉ!」ヒュバッ

黒パーカーの少女は、小さな小さな体のアライちゃん5へ、改造スタンガン棒を押し当てた。

アライちゃん5「びぎゅ!」ビググゥッ

アライちゃん5は一瞬痙攣した後、ぐったりとなって動かなくなった。

アライちゃん6「ぴいぃ!?に、にげゆ…」クルッ

黒パーカーの少女「モグラ叩きならぬ、アライ叩きかなぁ!」グイイイイッ

アライちゃん6「じびゃああああああっ!」ビググゥッブリブリブリブリブリジョボボボボボボ

アライちゃん6は、スタンガンを押し当てられて失禁し脱糞した。

あんなに小さなアライちゃんが、大電圧の電撃を受けたら…
未だに痛みと痺れで動けないままの私どころのダメージじゃない…!

アライちゃん7「ぴいいぃぃ~~~~っ!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん8「ありゃいしゃんだけでいーからたしゅけてえぇーーーーっ!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん9「いちにちじゅーだっこもふもふしほーだいしていーかりゃあーーーーっ!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

三方向に分かれて逃げ惑うアライちゃん達。

黒パーカーの少女「おれから逃げられるつもりなの?クソ害獣のくせにおこがましいんだよ」ツカツカ

必死のヨチヨチムーヴで逃げるアライちゃん達。

果たして、無事に生き延びることができるのか…!?

つづく

黒パーカーの少女「だらららぁ!」ヒュバッヒュバッヒュバッ

アライちゃん7「じび!」ドカァビググウゥ

アライちゃん8「うびゅ!」ドカァビググウゥ

アライちゃん9「ぎびゃ!」ドカァビググウゥ

逃げ惑うアライちゃん達は、スタンガン棒をくらって痙攣した。

アライちゃん5~9「「ぎ…び…」」ピクピク

もう…やめて…

黒パーカーの少女「さーて、お家に戻ろうか!」ガシィガシィガシィ

黒パーカーの少女は、痺れて動けないアライちゃん達を掴むと…

黒パーカーの少女「ゴーホーム!」ポイッポイッポイッポイッ

なんと、燃え盛る小屋の中へ投げ入れた…!
ひどい…!

アライちゃん5「び…ぎゃ…!」メラメラパチパチ
アライちゃん6「あ…ぢゅ…!」メラメラパチパチ
アライちゃん7「だ…ぢゅ…げ…!」メラメラパチパチ
アライちゃん8「ぴ…ぎ…!」メラメラパチパチ
アライちゃん9「あ…ぎゃ…!」メラメラパチパチ

黒パーカーの少女「あーーはははっははぁ!害獣どもが焼却処分されてスカっとするぜぇ!」キャハハハハハハハハ

黒パーカーの少女「さーてアラ信ども、再充電の時間だ。まだまだ痺れててもらうぜ」ヒュバッヒュバッ

肉料理屋店主「ギャオオオォォォ!」ビググゥッ

飼育員「ぁ…あ…」ビググゥッ メラメラ…

アライちゃん1~4「「」」プスプス…

黒パーカーの少女「残ってるのは、そこの女の下に隠れてる奴だけか」ツカツカ

黒パーカーの少女がこっちに歩いてくる。

黒パーカーの少女「おい、どけよ」ヒュバッ

きゃああああああああああああっ!!!
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃいい!

アラキレス「かいぬししゃん!?だいじょーぶなのかかいぬししゃん!」ペロペロ

黒パーカーの少女「おれはな…そいつみたいに、人間に愛されて保護されてるハエガイジを見るのが、いっちばんムカつくんだ…!」グイイイイッ

黒パーカーの少女「クソ害獣のくせに、人に必要とされて…。こっちがアラ虐してやったら、理不尽なのだ~!アライさんが可哀想なのだ~!って喚いて被害者ヅラする生意気な奴らは…!」

黒パーカーの少女「畑を荒らす害獣以上にムカつくし気持ち悪いんだよッ!クソ害獣のくせに人の役に立とうなんぞ虫酸が走る!害獣は害獣らしく畑やゴミを荒らして駆除されてろ!」グイイイイッ

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!

う、うぅ…いだいよぉ…
もう、やめて…くださひぃ…

黒パーカーの少女「だったら意地張らずにどけよ。目を覚ませ。そんな気持ち悪いハエガイジなんぞ飼ってたって何の得にもならないって…気付けよ」

黒パーカーの少女「その害獣は本質的にクソだ。自分の都合しか考えていない。お前のことなどこれっぽっちも思いやっていない!」

ち…ちがう…もんっ…
アラキレス…は…私を…愛して…くれてる…

黒パーカーの少女「お前がどれだけその害獣を愛しても、害獣はお前を愛さない!ただ寄生して甘い汁をすするだけの寄生虫だ!」グイイイイッ

うあああああああああああああっ!!!

黒パーカーの少女「アラ信の頭じゃ分からないか?皆がお前の下に隠れてるハエガイジの死を望んでいる!惨たらしくブッ殺されることを望んでいる!」

黒パーカーの少女「それを妨げるお前は!邪魔なんだよ!」バチバチバチィ

ひぎいいいいいいいいーーーーーっ!!!!

黒パーカーの少女「今日をお前のアラ信卒業記念日にすればいい。その汚ならしくて醜いコハエガイジの死体を卒業証書にしてやるからよ」

黒パーカーの少女「これ以上電撃くらうのが嫌なら…どけ!」バチバチバチィ

ぎ…ゃあああああああっ!!!

黒パーカーの少女「痛いだろ。なんでそんな無価値どころか価値マイナスの害獣をひたむきに守る?体張ってまでそいつを守る価値なんかないんだよ!」

黒パーカーの少女「見ろ。警察は今すぐには来れない。飼育員もあのでかい男もスタンガンでダウンしてる。つまり、誰もお前を都合よく助けになんて来ない」

黒パーカーの少女「最終通告だ。死にたくなければ…どけ」

う…

黒パーカーの少女「アライさんのように『お前の分まで生きるのだ~!』すればいいだけさ。簡単だろ?」

い…やだ…

黒パーカーの少女「あ?」

どくもん…か…!

黒パーカーの少女「はあ…もういい。どうやら頭のおかしいアラ信には、まともな話をしても通じないらしいな」ヤレヤレ

黒パーカーの少女「死ね」ヒュバッ

肉料理屋店主「てめええが死ねやあああああああーーーーーーーーーーーーーーっ!」ズドガアアアッ

黒パーカーの少女「ひぎゃあああああああああっ!!?」グサァアッ


なんと…!
痺れて動けなかったはずのオーナーが両手でボールペンを握り…
黒パーカーの少女の頭のてっぺんへ突き立てた!

黒パーカーの少女「う…ぁあああっ!」ゴロンゴロン

オーナーの鍛えられた腕力は、チョップで瓦割りができるほど強い。

そのオーナーが両手を使い、ボールペンを女の子の頭に思いっきり突き立てたのだ。

破壊力は、接触面積が小さいほど強く集中するという。

女の子の頭部にどれだけのダメージがあったか…
想像もしたくない。

黒パーカーの少女「う゛…ぁあ…!ばかな…!牛でも動けなくなるほどの…電撃を…三回も…くらわせてやったのに…」ドクドクボタボタ

肉料理屋店主「鍛え方が違うんだよクソアラアンチがぁ!」ドゴォ

黒パーカーの少女「うぼげぇ!ごほぉっ!」ゲホォ

黒パーカーの少女は、オーナーからお腹へケンカキックを叩き込まれた。
ちょっと羨ましい。

肉料理屋店主「好き放題イタズラすんのはここまでだぜ、クソッタレが。少年院で反省するんだな」メキィ

黒パーカーの少女「ぎひぃっ!」メキメキィ

黒パーカーの少女は、オーナーから関節技を極められた。
すごく羨ましい。

黒パーカーの少女「お前は…間違っている…」

肉料理屋店主「鏡見て言えアホ」メキメキィ

黒パーカーの少女「ぐっ…!お前は…問題をはき違えている…!この場における…本当の問題はなんだ…!?」

肉料理屋店主「あ?てめーが動物園のふれあいコーナーで暴れて、アライちゃん達を殺し、あの飼育員を焼いたことだろうが!」

黒パーカーの少女「それは…自業自得…だ…!」

肉料理屋店主「あ?」

黒パーカーの少女「本当に…問題なのは…」




黒パーカーの少女「お前らが…!『アラ虐の邪魔をしていること』…だ…!」

肉料理屋店主「はあ?」メキメキィ

黒パーカーの少女「いいか…!今この場においての、最も理想的で望ましい状態とは…!」

黒パーカーの少女「気持ち悪いアラ信どもが、気持ち悪いハエガイジと戯れている状態なんかじゃない…!」

黒パーカーの少女「『この場にいる全てのクソ害獣が、全滅している状態』こそが、『最も理想的な状態』なんだ…!」

肉料理屋店主「寝言は寝て言えや」メキメキィ

黒パーカーの少女「うぐううぅぅっ!」

肉料理屋店主「アライちゃん共をうぜーと思うのも、キモいと思うのも、何ら可愛さを感じないのも…ブチ殺してえと思うのも!俺と同じだ!」メキメキィ

黒パーカーの少女「かはぁっ!」

肉料理屋店主「だが、それを行動に移すかどうかはまた別問題なんだよボケ!」メキイ

黒パーカーの少女「ぎ…ぅっ…!」

肉料理屋店主「どうやらてめーの腐りきった性根は少年院でも叩き直せなさそうだが…、ま、大人しく社会から隔離されるんだな」メキメキィ

黒パーカーの少女「…お前は…『こっち側』だと…期待したが…無駄なようだな…!はは、所詮はファッションキチか…」

肉料理屋店主「ああ?てめえ…」ピクッ

一瞬、オーナーの力が緩んだ。

黒パーカーの少女「今だ、だああっ!」シュババッ

肉料理屋店主「うおぉっ!?」バッ

なんと、黒パーカーの少女はあの一瞬でオーナーのサブミッションから逃れた。

黒パーカーの少女「もういい…今日はここまでにしてやる」ハァハァ

肉料理屋店主「てめえ、やるじゃねえか…だが、見逃すと思うか?」

黒パーカーの少女「違うな。おれがお前らを見逃すんだよ」バッ

黒パーカーの少女は、黒い大きな布を広げ、自らの全身を覆った。

肉料理屋店主「ああ?なんだそりゃ。そんな布切れ一枚で隠れたつもりか?」

肉料理屋店主「そのきたねえ布切れにゲロぶちまけやがれ!」ブンッ

オーナーは、布をかぶった少女に蹴りを放とうとした…

その瞬間、突如布が勝手にまくれあがった。

肉料理屋店主「…な…!?」

なんと…

…その場に、少女の姿は無かった。

肉料理屋店主「…どういう…ことだ…。手品…か?」アセアセ

あり得ない。
種も仕掛けもなく、人が消えるなんて。

いや、もしかしたら最初から…
脱出するための種を仕込んでいたのかも…。



やがて、警察と救急車がやって来た。

私と飼育員さんは、救急車で病院に運ばれた。

アラキレスは、オーナーが預かってくれた。
…オーナーも病院行った方がいいと思うんだけど…。



あの女の子は何だったんだろう…。
どうしてあんな事をしたのか…。





少しだけ、分かるかもしれない…。



~動物園~

黒パーカーの少女に焼かれたアライちゃん達は、半分が死んだが、残り半分は生き残っていた。
しかし…

大火傷アライちゃん1「い…ぢゃい…」

大火傷アライちゃん2「たしゅかった…のりゃ…」

大火傷アライちゃん3「もう…ひとしゃんとあそんであげゆの…やなのりゃ…」

大火傷アライちゃん4「こあいのりゃ…」

スタッフ1「…全身大火傷だ。どうする?こいつら…」

スタッフ2「…たとえ火傷が直っても、全身火傷の痕だらけになるだろうし…。ふれあいコーナーどころか、普通の展示も無理だろうな…」

スタッフ1「じゃあもう…こいつらの世話する意味もないな…。ただのコスト損だ」

大火傷アライちゃん1「ぴいぃっ!?」ビクゥ

大火傷アライちゃん2「は…はたりゃく…かりゃあ…!しゅてないでぇ…!」ブルブル

大火傷アライちゃん3「こあいけど…がんばって、ひとしゃんとふれあいしゅゆかりゃあ…!」ブルブル

大火傷アライちゃん4「いーこにしゅゆがりゃあ…!しゅてないで…おしぇわちてくだちゃいなのりゃあっ…!」プルプル

スタッフ2「世話するっていっても、こんなの展示もふれあいコーナーも無理だろ…」

大火傷アライちゃん1~4「「しーぐいんしゃん、しゅきしゅきなのりゃあ!」」ペロペロシッポフリフリ

全身に醜い大火傷を負ったアライちゃん達は、必死にスタッフたちへ媚びて、ぺろぺろ舐めながら尻尾を振っている。

スタッフ3「そうだ、いい再利用方法があるぞ」

スタッフ1&2「「いい再利用方法?」」



~檻の前~

バケツの中の声1「ぴ、ぴいぃぃ…しーぐいんしゃん…やべで…だぢゅげで…ゆりゅちてぇ…」ブルブル

バケツの中の声2「まいにちけづくよいちて…からだぴっかぴかにしゅゆがりゃあ…!」ブルブル

バケツの中の声3「まいにちいーこにちて、ゆーこときーてたのにぃ…!なんにもわゆいごどちてないのにぃ…!」ブルブル

バケツの中の声4「どーちてこんなことになったのりゃ…ありゃいしゃんがかわいしょーなのりゃあっ…!」ブルブル

虎&熊&狼&チーター「「「グルルルルルル…」」」ハァハァ

スタッフ1「おーいお前ら!活き餌だぞー!」ポイッポイッポイッポイッ

大火傷アライちゃん1~4「「「ぴぎゃああああーーーーーっ!」」」ヒューッ スポッ

大火傷アライちゃん達は、猛獣がいる織りへ投げ込まれた。

虎&熊&狼&チーター「「「ガウガウ!バウウゥ!」」」ムシャムシャバリバリ

大火傷アライちゃん1~4「「ぎびゃああああーーーーっ!!!」」ブシャアアア

かつてふれあいコーナーで、たくさんのお客さんに可愛がられてきたアライちゃん達は…
醜い姿となり愛でる価値が無くなっても、きちんと無駄なく再利用された。



ふれあいコーナー虐殺失踪事件のニュースは、大きな話題となった。

犯人を特定できる手掛かりも残っておらず…

唯一分かっているのは、黒いパーカーのフードで頭を隠していたことのみ。

アライちゃんふれあいコーナーのある動物園は、犯人を警戒した。


しかし、完全に再犯を防ぐことは不可能であろう。

犯人は次に、白いパーカーや、黒いレインコートを着てくるかもしれないから…。

一旦ここまで

今回はここまでです



~ラーメン屋~

ラーメン屋店主「へいらっしゃいらっしゃい!」

客1「あーうめー」ズルズル

客2「うめぇ」ズルズル

客3「醤油ラーメンひとつ!」

客4「ワンタン麺ひとつー」

ラーメン屋店主「かしこまり!」

ここは個人経営のラーメン屋。
近頃はテレビ番組で紹介され、人気が増え始めてきている。
『なかなかウマイ』『中の上の上』『ランクで言うならB』などと口コミで広まっている。

ラーメン屋店主「今が肝心な時期だ!しっかり精を出さないとな」ジャッジャッ

店主はラーメンを熱心に作り続ける。

客4「あー楽しみだぜ」

すると…

『なのりゃー』ヨチヨチ
『なのりゃー』ヨチヨチ
『なのりゃー』ヨチヨチ

客2~4「「「!?」」」

客1「うめえ」ズルズル

…飲食店から聞こえてはいけない声が聞こえた。

4人の客達のうち3人は、その声のほうを一斉に向く。
もう一人は食べるのに夢中で気付いていないようだ。


アライちゃん1「くんくん!ふんふん!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん2「あったかいおうちなのりゃー!」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん3「いーにおいすゆのりゃあ!たべものいーっぱいありそーなのりゃあ!」ヨチヨチヨチヨチ

不快害獣ことヨチラーが3匹、どこからかラーメン屋店内へ現れた。

客2~4「「う、うげえ…」」ゲンナリ

客達はアライちゃんの姿を見て、食欲が一気に減退したようだ。

アライちゃん1「よーし!ここをありゃいしゃんたちのおうちにけってーしゅゆのりゃあ!」シッポフリフリ

アライちゃん2「うゆぅ~、でもこんないーおうちなのりゃ…きっとほかのありゃいしゃんたちもねらってくゆのりゃ…」コスリコスリ

アライちゃん3「ありゃいしゃんたちのおうちにどよぼーくゆのやーなのりゃあ~!」コスリコスリ

客2~4「「…」」

客達は、ウンザリというかゲンナリした眼差しを向けている。

せっかくのラーメンタイムが台無しだ。

なお、店主は向こうでラーメンを熱心に作り続けているようだ。

アライちゃん1「よぉ~し!それならおうちどよぼーがびびってにげだすよーに、みんなでちかりゃをあわせて…!」

アライちゃん1「でぇ~~~っかいためふんしゅゆのりゃあ!≧∀≦」

客2~4「「!?」」

アライちゃん2「おおー!ないすあいであなのりゃあ!きっとためふんにびびってどよぼーもにげゆのりゃっ!」ヨチヨチ

アライちゃん3「しまいのきずなぱわーで、においつけためふんしゅゆのりゃー!」ヨチヨチ

アライちゃん三匹は後ろ向きになって集まり、お尻を一ヶ所へ向けた。

アライちゃん1「みんな、いくのりゃ!みんなで、でぇーーーかいためふんちゅくゆのりゃあーーっ!≧∀≦」シッポフリフリ

アライちゃん2「いーーーっちばんおーーっきいためふんちゅくゆのりゃ!ありゃいしゃんたちがいーーーーっちばんさんきょーだって!めじゆしなのりゃあ!≧∀≦」シッポフリフリ

アライちゃん3「せーのぉ!」シッポフリフリ

アライちゃん1~3「「「ふんーーーーーーっ!ふんーーーーーーっ!!≧~≦;」」」プルプル

アライちゃん達は、お尻を一ヶ所へ集めて力んでいる。

アライちゃん1「ふんーーーーーーっ!≧へ≦#」ブルブル プスゥー
アライちゃん2「ふんーーーーーーっ!≧皿≦#」プルプル ブゥゥッ
アライちゃん3「ふんーーーーーーっ!≧∀≦#」プルプル ブリリ

客2~4「「…」」ゲンナリ

関わりたくもないといった感じの客達は、ヨチラーどこかへ去ってくれることを祈ったが…

アライちゃん1「う~~っ!」ブリブリブリ
アライちゃん2「う~~っ!」ブリブリブリ
アライちゃん3「う~~っ!」ブリブリブリ

アライちゃん1~3「「「う~っ!」」」ブリュブリュブリュブツチチブリリィリブブゥゥッ

…アライちゃん達は、ラーメン屋店内で脱糞した。

客2~4「「うげぇ…」」ゲンナリ

客1「あーうめ…ん?なんか…くせえ…」ピタッ

アライちゃん達の排泄物は一ヶ所にまとまった。

アライちゃん1「おしっこもしゅゆのりゃっ!はぁ~…」ジョボボボボボボ

アライちゃん2「まーきんぐなのりゃ~…」ジョボボボボボボ

アライちゃん3「せーすいなのりゃ!おーごんしゅいなのりゃ!はぁ~…」ジョボボボボボボ

さらに、溜め糞の上へ排尿した。

…ラーメン屋店内の床の上へ、アライちゃん三匹分の溜め糞ができた。
生ゴミか腐肉でも食ったのだろうか、ニオイはとてつもなく強烈だ。

アライちゃん1「ふあ~すっきりちたのりゃー、きもちよかったのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

アライちゃん2「ふははー!しゅごいのりゃー!でぇーーーかいためふんできたのりゃー!≧∀≦」シッポフリフリ

アライちゃん3「ほこらしーのりゃあ!これでありゃいしゃんたちがいーっちばんえらいこのおうちのあゆじなのりゃ!おうちどよぼーがないてにげゆのりゃあ!」シッポフリフリ

アライちゃん1~3「「「しまいのきずなのしょーりなのりゃあー!」」」シッポフリフリ

客2「…帰るわ。受付さん、お勘定頼む」トボトボ

受付「え!?あ、あの…まだ食べてる途中のようですが…うぅ…」

客3「俺も…。まだラーメン来てないけど、注文したから金払ってやってもいい。だから帰らせてくれ…」トボトボ

客4「最悪だよ…もう二度と来ねえ」トボトボ

客1「変なニオイするけど気のせいか。あーうめえ」ズルズル

続きはあとで

アライちゃん1「ふわぁ~、うんちいっぱいだしたらおなかしゅいたのりゃ!」グーギュルルー

アライちゃん2「うぉお、あっちからおいしそーなにおいしてくゆのりゃあ!」クンクン

アライちゃん達は、カウンター席を見た。

客1「ズルズル!ハフハフ!」ズルズル

…客1が、カウンター席でラーメンを食べている。
この騒ぎに気付かないほどラーメンに夢中になっているようだ。

アライちゃん1「うゆぅ、ひとしゃんなのりゃ!さっそくありゃいしゃんのおうちにどよぼーにきたなぁ!」

アライちゃん2「うゆ!でも、なんかたべてゆのりゃ!」シッポフリフリ

アライちゃん3「うゆぅ~、ありゃいしゃんのおうちのたべものをかってにたべゆとは…たべものどよぼーなのりゃあ!」シッポフリフリ

アライちゃん1「よし!やっちゅけにいくのりゃあ!ありゃいしゃんのおうちのたべものをとりもどしゅのりゃー!」ヨジヨジ

アライちゃん達は、カウンター席の上へ登り始める。

アライちゃん2「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジッヨジッヨジッ

アライちゃん3「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ

アライちゃん1「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
アライちゃん2「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
アライちゃん3「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
アライちゃん1~3「「「はぁはぁ、はぁはぁ」」」ゼェハァ

樹木の表皮と違い、凸凹がほとんど無いところを登るのは大変なようだ。

アライちゃん1「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
アライちゃん2「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
アライちゃん3「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
アライちゃん1~3「「「はぁはぁ、はぁはぁ」」」ゼェハァ
アライちゃん1「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
アライちゃん2「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
アライちゃん3「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
アライちゃん1~3「「「はぁはぁ、はぁはぁ」」」ゼェハァ
アライちゃん1「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
アライちゃん2「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
アライちゃん3「わっちぇ!わっちぇ!」ヨジヨジヨジヨジ
アライちゃん1~3「「「はぁはぁ、はぁはぁ」」」ゼェハァ

アライちゃん1「の!」ヒョコッ
アライちゃん2「ぼ!」ヒョコッ
アライちゃん3「れ!」ヒョコッ

アライちゃん1~3「「「たのりゃ~~っ!≧∀≦」」」シッポフリフリフリフリ

アライちゃん達は、カウンター席の上に登った。

アライちゃん達は、カウンター席でラーメンを食べている客1のほうへ突撃する。

ラーメンはもう残りわずかだ。

アライちゃん1「やいやいやい!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ
アライちゃん2「それはありゃいしゃんのたべものなのりゃー!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ
アライちゃん3「かえしゅのりゃー!どよぼーめぇー!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

客1「ズルズル…んん!?ゲェーッ!アライちゃん!?」

アライちゃん1「たあ~!」グイイ
アライちゃん2「たあ~!」グイイ
アライちゃん3「たあ~!」グイイ

アライちゃん達は、ラーメンの丼をがたがたと揺らした。

客1「な!何を…!」

ラーメン「」バシャア

残りわずかとなったラーメンは、アライちゃん達はによって床の上へぶちまけられた。

客1「ああああああーーーー!俺のラーメンがああーーーっ!」

アライちゃん1「ふははーーっ!ちりもどちたのりゃあーっ!」ピョーンッ ヨチヨチ
アライちゃん2「おまえのじゃないのりゃーっ!」ピョーンッ ヨチヨチ
アライちゃん3「みんなでたべゆのりゃーっ!」ピョーンッ ヨチヨチ

アライちゃん達は、床にこぼれたラーメン数本群がった。

アライちゃん1「たべゆのりゃあっ!くちゃっ!くちゃっ!くちゃっ!くちゃっ!くちゃっ!」クチャックチャッ

アライちゃん2「ちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐ!!」クチャックチャッ

アライちゃん3「あむあむあむあむあむあむ!!」クチャックチャッ

アライちゃん達は、床の上のラーメンをクチャクチャ音を立てて口を空けながら食い…

アライちゃん1~3「「おいちーのりゃあああああっ!≧∀≦」」シッポフリフリフリフリフリフリ

歓喜したのであった。

つづく

そのとき…

ラーメン屋店主「おーい、アライちゃん達や。もっとたくさんご飯食べたくないかい?お肉たーぷりあるよ!」ツカツカ

ラーメン屋の店主がやってきた。
右手にはやかんを持ち…
左手には、鍋蓋が被さったボウルを持っていた。

アライちゃん1~3「「「おにく!?」」」ピクッ

アライちゃんは肉食寄りの雑食。
肉は大好物である。

ラーメン屋店主「ほーら、お肉だぞ」パカッ

ラーメン屋店主はやかんを置き、ボウルから鍋蓋を外した。
ボウルの中には、ちょっと肉がついた鶏ガラが入っていた。

https://i.imgur.com/tjIvQtP.jpg

アライちゃん1「おにくなのりゃあ~っ!ごちしょーなのりゃあ!≧∀≦」ヨチヨチヨチヨチ

人間にとっては捨てるだけの生ゴミだが、
食べ物に飢えているアライちゃん達にとってはご馳走であった。

アライちゃん2「ふははーっ!ありゃいしゃんのためふんにびびってけらいになりにきたのか!?」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん3「たべてやゆのりゃ!おれーにありゃいしゃんをおかじゅにちてしこっていーぞぉ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん達は、ラーメン屋店主の方に這い寄る。

ラーメン屋店主「さ、この中に入って肉を食いな」コトッ

ラーメン屋店主はボウルを床に置き、アライちゃん達が入りやすいように傾けた。

アライちゃん1「た!」ヨチヨチ
アライちゃん2「べ!」ヨチヨチ
アライちゃん3「ゆ!」ヨチヨチ

アライちゃん1~3「「「のりゃあ~~~っ!≧∀≦」」」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん達は、ボウルの中に入った。

アライちゃん1「あむあむあむあむあむっ!ばりばりくちゃくちゃ!」ムシャムシャバリバリ

アライちゃん2「んん~!おにくうんめえ~のりゃあっ!(≧'u(≦ )」クチャックチャッ

アライちゃん3「うおぉー!おにくいーーっぱいたべておーーきくなゆのりゃああっ!(^'u(^ )」クチャックチャッ

アライちゃん1~3「「「はむはむはむはむはむはむっ!!!もぎゅもぎゅもぎゅもぎゅもぎゅっ!!」」」クチャックチャックチャッ

アライちゃん達は、美味しそうに鶏ガラを貪る。

ラーメン屋店主「さーて…」スッ

ラーメン屋店主は、そばに置いたやかんを持ち上げた。
やかんからは湯気が出ている。

ボウルの中のアライちゃんは、美味しそうに、楽しそうに、幸せそうに、笑顔で鶏ガラを食べている。

アライちゃん1「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん2「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん3「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん1「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん2「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん3「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん1「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん2「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん3「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん1「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん2「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん3「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん1「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん2「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ
アライちゃん3「あむあむあむあむっ!」バリバリムシャムシャ

アライちゃん1「おいちーのりゃあ~!これはまちがいなくとくじょーひんなのりゃあーっ!」クチャックチャッ

特上品ではない。
スーパーで売ってるごく一般的な鶏ガラである。

アライちゃん2「ぴっかぴかのおうちも!おっいちーごはんも!ゆーのーなけりゃいも!いっきにてにはいったのりゃ~!これでしょーらいあんたいなのりゃっ!」クチャックチャッ

アライちゃん3「しまいのきずなでつくったためふんのおかげなのりゃあ!」クチャックチャッ

アライちゃん1「あのためふんはしまいのきずなそのものなのりゃ!のしょーちょーなのりゃ!≧∀≦」モグモグ

アライちゃん2「がんばってだしたどりょくそのものなのりゃ!≧∀≦」モグモグ

アライちゃん3「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ!とーってもしあわせなのりゃあ!おねーしゃんたちとしまいにうまれて、ほこらちーのりゃあっ!≧∀≦」クチャックチャッ

ラーメン屋店主「よくも客のみんなに不快な思いさせたな!!死ね!!」ドボボボボボボ

ラーメン屋店主はやかんを傾け、熱湯をアライちゃん達の顔面へいきなり浴びせかけた。

アライちゃん1~3「「ぴぎゃああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーっ!!??ぎびゃあああああああぢゅいいいいいいのりゃああああああああああーーーーーーーーーーっ!!。≧Д≦。」」バシャバシャビッタンバッタン

天国のような気分から、突如浴びせられた地獄の激痛。

アライちゃん達は熱湯をもろにくらっら目を押さえ、パニックになりボウルの中を転げ回った。

ラーメン屋店主は、やかんの中の熱湯を、アライちゃん達がいるボウルへ一気にバシャっとぶちまけた。

アライちゃん1「あびぎゅうううぅぅぅぅぅぅっ!」バシャバシャ
アライちゃん2「ぴぎいいいいいいぃいぃぃぃぃぃいーーーーっ!!」バシャバシャ
アライちゃん3「ぎびゃあああああああああああああああーーーーーっ!」バシャバシャ

熱湯の上で泳ぎ、ボウルから必死で脱出しようとするアライちゃん達。

しかしラーメン屋店主は、鍋蓋を持ち…

ラーメン屋店主「フン」ガポッ

…ボウルに被せて蓋をした。

蓋の下からの声『ごびゅごぼごばがごぼ!!』ガシャガシャ

鍋蓋は、下からがたがたと押されている。
ラーメン屋店主は、体重をかけて鍋蓋を押さえる。

蓋の下からの声『だぢゅげでえええあぢゅいいいいいいぃぃぃいぃぃぃいいいいい!!』ガシャガシャ

蓋の下からの声『しんじゃうがりゃあああああっ!ありゃいしゃんしんじゃうがりゃだぢゅげろおおおおっ!けりゃいいいいぃいっ!』ガシャガシャ

蓋の下からの声『だ…ぢゅげ…ろぉ……び…ぎゅ…』バシャバシャ

蓋の下からの声『』バシャッ

蓋の下から声はしなくなった。

ラーメン屋店主「…」パカッ

蓋を開けると…

茹でアライちゃん1「」プカー
茹でアライちゃん2「」プカー
茹でアライちゃん3「」プカー

茹でられたアライちゃん達が熱湯に浮かんでいた。
熱湯は鶏ガラやアライちゃん達から出た出汁によって、においに風味が出ている。

鶏ガラとアライちゃんの出汁スープ完成である。

ラーメン屋店主「ったく…」ガサガサ ポイッ

ラーメン屋店主は、アライちゃん達をビニール袋に詰めて冷凍庫へ押し込み、
鶏ガラとアライちゃんの出汁スープを流し台へ捨てた。



ラーメン屋店主「この度は不快な思いをさせて申し訳ありませんでした。お代は結構です」

客1「し、しかし…」アセアセ

客2「一応注文はしたからなあ…」アセアセ

ラーメン屋店主「ラーメン屋の仕事は、ただお客さんにラーメンを出すことじゃーありません」

ラーメン屋店主「美味いラーメンを食ってもらい、『幸せな時間を提供すること』…それがあっしの仕事ですわ」

ラーメン屋店主「だのに、あっしにはそれができなかった…。ラーメン屋失格ですよ」

ラーメン屋店主「しばらく店は閉めます。もう二度と害獣が入って来ないように、業者呼んで隙間がどこか徹底的に調べて貰ったり、駆除せにゃなりませんから」

客3「…気の毒でしたね」

客4「…いつかまた食べに来ますよ」



~ラーメン屋の屋根裏~

アライさん「ふふふ…チビは可愛いのだぁ」ナデナデ

アライちゃん1「ちゅーちゅー!ぢゅるるるるっ!」チュパチュパ
アライちゃん2「んぢゅずるるるぅぅっ!ごくごくっ!」ジュルジュル
アライちゃん3「のあぁー、のあぁー」ヨチヨチ
アライちゃん4「なのりゃー」ヨチヨチ

木造建築のラーメン屋の屋根裏に、アライさん親子が住み着いていた。

このアライさんは森で野生化したアライグマと交尾した後、再び街中へ戻って暮らしているようだ。

アライさん「前のチビ達は独り立ちしたのだ…。寂しいから、また赤ちゃん産んだのだ」ナデナデ

アライちゃん1「けぷぅー」ゲプゥ

アライちゃん2「う~っ!」ブリブリ

アライちゃん3「のりゃあー…」ジョロロロロロ…

アライさん「おっ、アライさんもうんちするのだ。うぅ~っ!」ブリブリ

屋根裏の板はアライさんのため糞や尿によってすっかり腐ってしまっている。

すると、突然…

天井の板「」ベキベキ バゴンッ

アライさん「のあ?床に勝手に穴が空いたのだ…!何なのだ?」

アライさん「チビ達、アライさんが様子を見てくるのだ。おとなしくしてるのだ」ドタドタ

アライさんは、天井の板から下を覗き見た。

アライさん「…」ジーッ

男児母親「こっちにも小さい穴開けてーっと」ゴリゴリ

人間の女性が、天井の板に小さな穴を開けていた。

アライさん「あいつは…アライさんのお家を泥棒しようとしてるのか!?」

アライさん「そうはいかないのだ…!チビ達を守るために…アライさんは戦うのだ…!ふぅーーっ!」シャキッ

アライさんの鋭い爪は、普段は手袋の下に隠れていて見えない。

しかし何かを引っ掻くときだけ、爪が手袋を『すり抜けて』、出てくるのである。

なぜ爪が手袋をすり抜けるのか、科学的には全く解明されていない。

アライさん「ぶっ殺してやるのだ!たあ~!」バッ

アライさんは、天井板の隙間から飛び降りた。

アライさん「正義の刃をくらうのだー!」

男児母親めがけて、天井の穴からダイブを敢行するアライさん。

男児母親「あら?」

男児母親は、アライさんがダイブを敢行し、爪が目前に迫ってきてからようたくアライさんに気付いたようだ。

つまり、アライさんは完全に男児母親の不意をついたのである。

アライさん「死ねええ!」ヒュバッ

アライさんは飛び降りながら、男児母親の顔へ爪を振りかざした。

男児母親「お母さんクレイモア~!えーい!」ジャキィッズバアアンッ

アライさん「じび!」グチャズバドバァブシャアドグチャアッ

しかし、不意討ちに成功したアライさんの爪が当たるよりもさらに早く、男児母親はカウンターした。

なんと男児母親は、完全に不意を突かれたにもかかわらず…
一瞬の間にお手製の指向性対人地雷を取り出し、アライさんの上半身へ発射したのである。

パチンコ玉「」ゴロゴロザラザラ…

お手製の指向性対人地雷から発射された大量のパチンコ玉は、アライさんの体を貫き、地面を転がった。

アライさん「」ビグンッビグググンッジタバタビグググンッバタバタタッ

お手製クレイモアのパチンコ玉で脳を破壊されたアライさんはゴキガイジムーブした。

男児母親「小足見てから昇龍余裕でした~」

アライさんの不意討ちは完璧であった。
しかし男児母親の反応速度がそれを上回ったのであった。

男児母親「さーてと。アライさんは集団生活してるケースもあるから、徹底的にやらないとねー♪」スッ ガチャッ モクモク…

男児母親は、先程天井の板に開けた小さな穴へ、道具を使って焚いた煙を送り込んだ。



~屋根裏~

アライちゃん1「のあー」
アライちゃん2「きゅるるるるぅ~ん」コスリコスリ
アライちゃん3「なのりゃー」ヨチヨチ
アライちゃん4「のりゃ」ヨチヨチ

子供たちは母親が戻ってくるのを待っているようだ。

煙「」モクモクモクモク…

そこへ、男児母親が焚いた煙が充満し始めた。
この煙は、アライさんが嫌がるニオイがつけられている。

アライちゃん1「の、のりゃ?」
アライちゃん2「げほ、げほごほっ!」ゲホゴホ
アライちゃん3「ごほっ!ぴぎゅるるるるぅ!きゅるるるるぅ!」ゲホゴホ
アライちゃん4「げほごほげほがほっ!ぴぎぃー!のあああー!のあああー!」ヨチヨチヨチヨチ

煙を吸って咳き込み、苦しがり、臭がるアライちゃん達。

アライちゃん1~4「「きゅるるるるるぅ!ぴぎゅるるるるぅ!」」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん達は一列になり、先程母親が飛び降りた穴へ一直線に這いヨチった。



男児母親「まだかしら。それとももう窒素して死んじゃった?」

すると、天井の穴から…

アライちゃん1「ぴぎゅ!」ボテッ
アライちゃん2「うびゅ!」ボトッ
アライちゃん3「のみゃ!」ボトッ
アライちゃん4「じび!」ボテッ

次々と小さなアライちゃんが落ちてきた。
その大きさは皆ハムスター程度である。

アライちゃん1「のあぁ、のぁああ!」ピギイィィ
アライちゃん2「のぉーーーぁあああーーーーんっ!のびゃあーんっ!」ピギイィィ
アライちゃん3「のぁああーー!」ヨチヨチ
アライちゃん4「のーーぁあーー!のぉーーーぁあーー!」ヨチヨチヨチヨチ

床で体を打ったアライちゃん達は、痛がりながらも必死にヨチヨチムーブで逃げようとする。

男児母親「えいえいえーい!」グシャグシャグシャグシャ

アライちゃん1「」ボギィ
アライちゃん2「」ボギィ
アライちゃん3「」ボギィ
アライちゃん4「」ボギィ

まだ喋ることすらできないほど幼いアライちゃん達は、男児母親のブーツで首を踏みつけられ、脛椎が破壊されて死んだ。



その後、ラーメン屋はリニューアルして再開店した。

店主の真摯で徹底的な対応のおかげか、それほど評判を落とさずに済んだようだ。

アライちゃん被害のせいで、多額の損失を負ったラーメン屋。

店主はリニューアルにかかった分のお金を取り戻すため、今日も客にラーメンを出し続ける…。

つづく



~街中~

通行人「…」スタスタ

街の中を一人の通行人が歩いている。
通行人は、喫茶店の前で立ち止まった。

そして、その看板を見ると…

通行人「…」ガラッ

喫茶店へ入った。

~喫茶店~

通行人「…」スタスタ

その店内には…

アライちゃん1「なのりゃ~」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん2「ひとしゃん!ありゃいしゃんとあしょんでなのりゃ~♪」シッポフリフリ

アライちゃん3「のりゃー!かまってかまって~!なのりゃ~!」ゴロゴロ

アライちゃん4「いらっしゃいませなのりゃ~!」コスリコスリ

…なんと、アライちゃんがいた。
何故飲食店の中にヨチラーがいるのだろうか?

店内の装いは、喫茶店よりもどちらかというと、保育園に近い雰囲気である。

テーブルの前にソファーがあり…
まわりには、玩具がいっぱいある。

アライちゃん5「ひとしゃーん!いっしょにあそんでなのりゃ~!≧∀≦」シッポフリフリ

アライちゃんのうち一匹が、店内の客へ這いヨチった。

おばさん1「まあ~、可愛いわね~♪ほ~ら、なでなでしてあげるわ~」ナデナデ

アライちゃん5「ふははー!きもちいーのりゃあ~♪」スリスリ

客はアライちゃんを撫でている。

おばさん2「アライちゃ~ん、こっちおいで~♪」

アライちゃん6「のりゃ~♪ひとしゃんしゅきしゅきなのりゃ~♪」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん7「だっこちてなのりゃ~!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

おばさん2「ああ~がわいい~」ダッコ

アライちゃん6&7「「のりゃっ!のりゃあ~!≧∀≦」」スリスリ

おばさん2に抱っこされているアライちゃん達は、ほおずりをしている。

何故この客たちは、飲食店内のアライちゃん達を受け入れているのであろうか。

通行人「…ここは?」

ウエイトレス「ここはアライ喫茶です♪猫喫茶のアライちゃんバージョンみたいな感じですよ」

通行人「…」スタスタ

通行人は、ソファーに座った。

通行人「ここはいつもアライちゃんがいるんですか?」

ウエイトレス「はい!ただ、毎日ずっと人と一緒にいるとアライちゃんが疲れちゃうので、2チームをローテーションさせてます」

通行人「もう一チームはどこに?」

ウエイトレス「お店の奥でおねんねしてますよ。只今メニューをお持ちしますね」スタスタ

通行人「…」

通行人は、まわりの様子を見ている。

女子高生「アライちゃん、おいでー」

アライちゃん1「のりゃっ!のりゃっ!」ヨチヨチヨチヨチ

女子高生「可愛いねー」ダキッ ギューッ

アライちゃん1「ふははー!ひとしゃーん、ありゃいしゃんとあしょぶのりゃ~♪」スリスリ

女子高生「何して遊ぼっか?」

アライちゃん1「うゆぅ~、いーことしてあげゆのりゃ!おててだしてなのりゃ」シッポフリフリ

女子高生「こう?」スッ

女子高生は、アライちゃん1に手を差し出す。

アライちゃん1「ふははー、いくのりゃ!」ガシィ ヨジヨジ

アライちゃん1は、女子高生の腕をよじ登っていく。
そして…

https://i.imgur.com/E0EVfC6.png

アライちゃん1は、女子高生の腕に抱き付きながら、尻尾を振って歌った。

女子高生「ああーかわいー!」ナデナデナデナデ

アライちゃん1「ふわぁ~…♪なでなできもちいーのりゃあ~♪」スリスリ

金髪女児「…」

アライちゃん2「のりゃ~」シッポフリフリ

金髪女児「…き、来なさいよ」

アライちゃん2「のりゃ~!≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

金髪女児「ほ、ほら…膝の上乗りなさい」ポンポン

アライちゃん2「はいなのりゃー!≧∀≦」ピョンッ ヨチヨチ

金髪女児「か…可愛い…!」ナデナデナデナデ

アライちゃん2「わはぁ~!≧∀≦ひとしゃーん、ありゃいしゃんは、しゃかしゃまだんしゅがじょーずなんだぞぉ!」ピカピカガイジガオ

金髪女児「み、見せてみなさいよ」

アライちゃん2「いくのりゃー!ほっ!」

https://i.imgur.com/sNgplcO.jpg

アライちゃん2「ふははー、どーなのりゃ?」シッポフリフリフリフリフリフリ

金髪女児「すっごーい…!かわいくってすっごいのねー!」ナデナデナデナデ

アライちゃん2「ふっははー!ひとしゃんになでなでしてもりゃうのしゅきしゅきなのりゃ~♪」スリスリ

疲れたサラリーマン「はぁ~…癒される~…」

アライちゃん3「ふはははー!ひとしゃんみゆのりゃ!ありゃいかーなのりゃあ!≧∀≦」ガラガラ

アライちゃん3が、ミニカーに上半身を乗せて歩いてきた。

疲れたサラリーマン「ああ…なんて可愛いんだろう…。人間の女とは大違いだぁ~…」ナデナデ

アライちゃん3「うゆぅ~!≧∀≦」

疲れたサラリーマン「アライちゃん、俺のこと好きって言って~…」

アライちゃん3「ひとしゃんしゅきしゅきなのりゃー!」シッポフリフリ

疲れたサラリーマン「あ゛あ゛^~!人に好きだなんて言われたことないよ!ホントいい子だな~アライちゃんは!」ナデナデ

アライちゃん3「ふははー!もっといってやゆのりゃ!しゅきしゅきしゅきしゅきしゅきしゅきしゅきしゅきしゅきしゅき!」シッポフリフリ

疲れたサラリーマン「俺もアライちゃん達が大好きだよー!」ナデナデ

疲れたサラリーマン「聞いてくれよ。俺の上司がさぁ…」ブツブツ

アライちゃん3「?なのりゃー」コクコク

疲れたサラリーマン「それでよぉ…きっと上司はさ、鬱憤をはらしたいだけなんだよ…。ったくホント最悪でさ…」ブツブツ

アライちゃん3「のりゃー」コスリコスリ

アライちゃん3は、話をされても分かっていないようだが、適当に相槌を打っている。

疲れたサラリーマン「なあどう思う?俺の上司。クソじゃないか?」

アライちゃん3「わかんないのりゃ!そんなことよりありゃいしゃんとあしょぶのりゃあ~!≧∀≦」コスリコスリ

疲れたサラリーマン「そうだな!よーし!ほーら猫じゃらしだぞー!ういうい!」クイクイ

アライちゃん3「のりゃっ!のりゃっ!」ピョンピョンペチペチ

アライちゃん3は、サラリーマンが振る猫じゃらしの先っぽを触ろうとしている。

通行人「…」

ウェイトレスアライしゃん「いらっしゃいませなのだ!ごちゅーもんをきくのだぁ!」トテトテ

ウエイトレスの制服を着たアライしゃんが、通行人に注文を聞きに来た。

二足歩行をしており、足首は切られていないようだ。

アライさんを飼育する場合、二つの手術のうち片方を選んで飼育しなくてはならない。

一つ目は、足首を切断する『ヨチライフ手術』。
二つ目は、卵巣を切除し、鋭い犬歯や爪が生えないように指や歯茎をいじる…『アライドール手術』。

アライドール手術の方が費用が多いため、ふつうは簡単なヨチライフ手術が好まれるが…

この店のアライちゃん達は、皆アライドール手術をしてある。

尚、アライドール手術をした個体を引き取りサービスで回収する場合、回収に三千円ほど費用がかかるそうだ。

通行人「じゃあ、オレンジジュースを一つ」

ウェイトレスアライしゃん「かしこまりなのだ!ええと、『お・れ・ん・じ・じ・う・す』っと」カキカキ

ウェイトレスアライしゃんは伝票メモへ注文内容を書いた。
その文字は、汚い平仮名である。

ウェイトレスアライしゃん「くりかえしますなのだ!お・れ・ん・じ・じ・う・す!がひとつ!でいいのか?」シッポパタパタ

通行人「よろしく」

ウェイトレスアライしゃん「りょーかいなのだ!あらいしゃんに、おまかせなのだぁ!」ビシィ

ウェイトレスアライしゃんは、敬礼ポーズを取ると…

ウェイトレスアライしゃん「おまちくださいなのだー!」ドタドタ

厨房へ駆けていった。

通行人「…あのアライしゃん、大きいのに随分まともに言うこと聞きますね」

ウェイトレス「ふふ。あの子は特別優秀なんです」

通行人「じゃあ特別じゃないアライちゃんは。優秀じゃないアライしゃんに成長したら、どうするんですか?」

ウェイトレス「楽園に行って自由になって貰います」

通行人「なるほど」

ウェイトレスアライしゃん「おまたせなのだー!」」ヨタヨタ

ウェイトレスアライしゃんがおぼんを持って戻ってきた。

おぼんの上に乗っているのは、オレンジジュースが注がれたグラスと…


https://i.imgur.com/HLVxASv.jpg



…アライちゃんであった。

アライちゃん4「ひとしゃーん!ありゃいしゃんとあしょぶのりゃー!」ヨチヨチ

アライちゃん4は、おぼんから下りてきた。

アライちゃん8「わーい!≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ
アライちゃん9「ひとしゃんといっしょにあそぶのしゅきしゅきなのりゃ~!≧∀≦」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ
アライちゃん10「ののののーあ!」ヨチヨチヨチヨチ

…向こうの遊び場からも、玩具を持ったアライちゃん達が3匹這いヨチってきた。

ウェイトレスアライしゃん「おまえたち!あそぶまえに、さいごのしあげなのだ!」

アライちゃん8~10「「うゆ!」」ピタッ

アライちゃん4「そーなのりゃ、あれやゆのりゃ!ひとしゃん!ありゃいしゃんたちが、じゅーすおいちくなゆまほーかけてやゆのりゃ!」シッポフリフリ

通行人「ジュースが美味しくなる魔法…?」

ウェイトレスアライしゃん「いくのだぁ!せーのぉ!」




https://i.imgur.com/abV6YiM.jpg





ウェイトレスアライしゃん&アライちゃん4「「のりゃ!のりゃ!きゅるるぅ~~んっ♥」」

2匹の子供アライさん達は、オレンジジュースに魔法をかけたらしい。

ウェイトレスアライしゃん「さー、のむといいのだ!あらいしゃんたちのあいとかわいさがつまったじゅーすなのだぁ!≧∀≦」

アライちゃん4「のんだらいーっぱいあしょんでなのりゃあ~!≧∀≦」コスリコスリコスリコスリ

アライちゃん8~10「「はやくのんでありゃいしゃんたちとあしょんでなのりゃ~!きゅるるぅ~~んっ♥」」シッポフリフリフリフリフリフリ

通行人「…」

店内では、多くのお客さん達が、アライちゃんと戯れて幸せそうにしている。

ウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
コスリコスリコスリコスリコスリコスリノリャノリャノリャノリャノリャノリャ…

店内BGMの合間に、この店の宣伝文句が流れた。

『たくさんの可愛いアライちゃん達に囲まれながら触れ合ったりだっこしたりして、
癒しの一時が過ごせる…
究極の癒し系飲食店…アライカフェ!


皆様も是非、一度来てみてはどうでしょうか?
可愛らしいアライちゃん達と、いーっぱい楽しく遊びましょう!』

つづく

>>1さんへ
あなたのSSに感銘を受けてぼくもSSを書きたくなり書いてみました
>>69の続き(ifストーリー)をイメージしています
よろしければ読んでください!!

~~ ここは蛇張山 ~~~

まだ自然が豊かな山の3合目付近である。

結局ギャルはアライさんを『楽園』に送ることはできなかった。
アライさんの自由=死というのを理解していたからである。
たとえ自分に害をなす存在であったとしても、
過去一緒に暮らした思い出からペットの死を選択することはできなかった。

無論、野に放ったところでアライさんが無事生活できるとは限らないが、
確実な死よりもいくらかでも生き残れる可能性に賭けたかったのである。

ギャルはキャリーの扉を開けた。
中からアライさんが飛び出し、ヨチヨチしながらも脱兎のごとく駆けてゆく。

アライさん「ふははははーやっと自由になれたのだーこれでアライさんの天下なのだぁ!」

アライさんはギャルの方を一瞥することもなく、そのまま森の中へ消えていった。

ギャル「・・・(アライさん・・・生き延びてね)」

ギャルはアライさんの消えた方角を悲しげな表情でいつまでも見つめていた。

さて…
ここで一旦、オレンジジュースが運ばれる前の、店内の様子を見てみよう。

ここアライカフェが、どんな所であるか…
少し観察してみよう。



遊具のそばに、サラリーマンとアライちゃん2匹がいる。

疲れたサラリーマン「アライちゃん、ボール遊びしよっか」ガシィ

サラリーマンはボールを持った。

アライちゃん1「うゆ!ありゃいしゃん、ぼーゆあしょびしゅきなのりゃー!」ヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん2「あしょぶのりゃー!」シッポフリフリ

疲れたサラリーマン「いくよ…そーれ!」ポイッ コロコロ…

アライちゃん1&2「「のりゃーっ!≧∀≦」」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん達は、サラリーマンが転がしたボールをヨチヨチして追いかける。

https://i.imgur.com/TjKT7UV.jpg

アライちゃん1「とったのりゃーっ!」ピョーンッ ガシィ

アライちゃん2「のりゃあ!?うゆぅぅ、とらりぇたのりゃあっ!」ヨチヨチ

アライちゃん1が先にボールを取ったようだ。

疲れたサラリーマン「おおー、すごいねー」パチパチ

アライちゃん1「ふふーん!すごいだろぉ!ありゃいしゃんはなぁ、しっぽのてにしゅもいぃーーーーーーーっちばんちゅよいんだぞぉ!」フフーン

疲れたサラリーマン「尻尾のテニス…?」

アライちゃん2「うゆ!ちがうのりゃあ、しっぽのてにしゅでさいきょーむてきなのりゃありゃいしゃんなのりゃあ!」シッポフリフリ

アライちゃん1「なにをぉ!それじゃーしょーぶしゅゆのりゃ!ありゃいしゃんがさいきょーだっておちえてやゆのりゃ!」シッポフリフリ

アライちゃん2「ふははー!ありゃいしゃんがつぎのさいきょーになゆのりゃっ!」ヨチヨチ

アライちゃん1&2は、向かい合わせに陣取った。

疲れたサラリーマン「えーと…どうするの?」

アライちゃん1「ひとしゃん!ぼーゆなげゆのりゃ」シッポフリフリ

アライちゃん2「どっちにでもいーのりゃ」シッポフリフリ

疲れたサラリーマン「いくよ…そーれ」ポイッ コロコロ

アライちゃん1「こっちきたのりゃ!いくぞぉ、たあ~!」ペチィッ

アライちゃん1は、転がってきたボールを尻尾で弾いた。

アライちゃん2「うゆぅ~、かうんたーなのりゃあ!たあ~!」ペチィッ

アライちゃん2は、ボールを尻尾で弾き返した。

https://i.imgur.com/ahAgyYn.jpg

アライちゃん1「のりゃっ!のりゃっ!」シッポフリフリ

ボールは、アライちゃん1の後ろに転がっていった。

アライちゃん2「やったのりゃ!いってんとったのりゃ!≧∀≦」コスリコスリ

疲れたサラリーマン「ああ^~可愛い、これが尻尾のテニス?」

アライちゃん1&2「「そーなのりゃ!だいりゅーこーのすぽーちゅなのりゃあ!」」シッポフリフリ

疲れたサラリーマン「なんかこれ、テニスというよりホッケーのような気が…」

アライちゃん1「ほっけーなんなのりゃ?」シッポフリフリ

アライちゃん2「なのりゃー?」シッポフリフリ

疲れたサラリーマン「ああ…そういうスポーツがあるんだよ。さ、それより続き続き」

アライちゃん1「うゆ!それじゃ、こっちからいくのりゃ!たあ~!」ペチィッ

アライちゃん2「なのりゃ~!」ペチィッ

疲れたサラリーマン「ああ~可愛いアライちゃん達が、可愛い尻尾で遊んでる…超癒される~!」

アライカフェには、いくつかの玩具が用意されている。
それを使ってアライちゃんに遊ばせたり、一緒に遊んだりできるのである。

玩具は他にもある。

金髪女児「ね、ねえ…一緒に遊びましょ」

アライちゃん3「ふははー、まかせりゅのりゃ!ありゃいしゃんは、てんしゃいなのりゃー!」シッポフリフリ

金髪女児「そ…そうなの?」

アライちゃん3「みてゆのりゃ!じゃーん、ここにひもがあゆのりゃ」スルスル

アライちゃん3は、紐を取り出した。

金髪女児「それで何するのよ」

アライちゃん3「ふふーん、みてゆのりゃ、これを、こうして、こーやって…」グイグイ

アライちゃん3は、紐をぐいぐいと弄っている。

アライちゃん3「ふははー、みゆのりゃ!はちごなのりゃー!」

アライちゃん3は、あやとりをしていたようだ。

https://i.imgur.com/IRi445g.jpg

金髪女児「すっごーい!」

アライちゃん3「ふははー!もっとほめろー!なでろー!≧∀≦」シッポフリフリ

金髪女児「あなたって天才アライちゃんなのねー♪」ナデナデ

アライちゃん3「ふははー」ピカピカガイジガオ

アライちゃん3は誉められて上機嫌そうだ。

つづく

独身おじさん「アライちゃ~ん、本当に可愛いねぇ…」ダキッ

アライちゃん5「な~のりゃ~♪」シッポフリフリ

独身おじさんはアライちゃんを抱っこした。

https://i.imgur.com/llqHRCb.jpg

アライちゃん5「のりゃー♪ひとしゃんしゅきしゅきなのりゃ~♪」

独身おじさん「あー!なんでこんなに可愛いのかな~もう…!」ンチュ~

そして独身おじさんは、なんとアライちゃんに唇を近付けた!

…ペット喫茶のペットに、こんな事して大丈夫なのだろうか!?

アライちゃんの反応は…

https://i.imgur.com/foeWF3u.jpg

アライちゃん5「んちゅ~♪」

…アライちゃんは唇を尖らせている。
どうやら大丈夫なようだ。

大丈夫なら大丈夫で、それはそれで危ない。

独身おじさん「んちゅ…んちゅ…」チュー

アライちゃん5「んちゅ~!」チュー

独身おじさんは、アライちゃんと口付けを交わした。

女子高生「うわぁ…」ドンビキ

店員「ち、ちょっと…お客さん、そういうのは程々に…」アセアセ

独身おじさん「ああごめん、つい可愛すぎて…」アセアセ

…やっぱりあまり大丈夫な行為ではなかったようだ。
店側のモラルは腐ってはいない。

アライちゃん6「のりゃ~」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

女子高生「店員さーん、アライちゃんにお菓子あげていいですか~?」ガサガサ

女子高生は、鞄から袋に入ったドーナツを取り出した。

店員「ちゃんと袋入りですね。いいですよ」

女子高生「ど~も~」ガサガサ

このアライカフェでは、袋に密封された、普通メーカー製のお菓子であればアライちゃんへあげていいことになっている。

アライちゃんが食べ物を食べるところが見たいという客が多いからだ。

女子高生「アライちゃん、ドーナツだよ。食べる?」スッ

アライちゃん6「のりゃ!?」

女子高生はアライちゃん6へ、アライちゃんの体よりちょっと小さいくらいのドーナツを近付けた。

https://i.imgur.com/32WkIKY.jpg

アライちゃん6「うおぉ~おっきいのりゃ!くんくん…ん~、いーにおいなのりゃあ~!≧∀≦」シッポフリフリフリフリ

アライちゃん6「ちょーだい!ちょーだい!のりゃ!のりゃっ!」シッポフリフリフリフリ

アライちゃん6は、目をキラキラと輝かせてドーナツを見つめている。


女子高生「はい、どーぞ」スッ

アライちゃん6「ありがとなのりゃ~♪いただきましゅなのりゃあ!あむっ!」カプッ

アライちゃん6は、ドーナツにかじりついた。

https://i.imgur.com/Owk49Cs.jpg

アライちゃん6「あむあむあむあむあむあむあむあむあむあむあむあむっ!はぐはぐもぐもぐっ!んふー!おいちーのりゃあ!≧∀≦」ガブガブ

アライちゃん6は、ドーナツを噛み千切り、咀嚼して飲み込んでいく。

アライちゃん6「あまあまでふあっふわなのりゃあ~!あむあむ!がぶっ!もぐもぐっ!」モグモグ

アライちゃん6は、食べるときにちゃんと口を閉じているため、クチャクチャ音が鳴らない。

きちんと躾をされているのであろう。

女子高生「あああ^~かわいいほんっと可愛いマジ無理尊い…」パシャパシャ

アライちゃん6「あむあむあむあむ!」モグモグ

女子高生は、自分の体ほどもあるドーナツをどんどん食べていくアライちゃん6を、ケータイのカメラで撮影している。

アライちゃん6「あむあむ!あむあむ!んまいのりゃあ!ばくばく!」ガツガツ

だがこのドーナツ、明らかにアライちゃんの胃袋より大きそうだ。
いくらか食べたら、残すのであろうか?

https://i.imgur.com/lHkkqTU.jpg

アライちゃん6「ふぅ~!ぽんぽんがいーーっぱいなのりゃ~♪」ゴロン

…なんと、アライちゃん6はドーナツを完食してしまった。
こいつの胃袋はどうなっているのであろうか。

女子高生「えー!すっごーい!あははお腹ぽっこりしてて超かわいー!」パシャパシャ

アライちゃん6「もうたべれないのりゃあ~。ふぅ~、しあわしぇな~のりゃ~♪」オナカサスリサスリ

アライちゃんの食欲を甘くみてはいけない。

アライさんは、生まれた直後はハムスターよりも小さいのに、
たった2年で中学生女子くらいの背丈にまで急速に成長するのである。

つまり、大きく成長するためには、それだけたくさんの食べ物を食べ、栄養を摂取する必要がある。

そのためアライちゃんの食欲は物凄い。
食べ物を見つけたら、だいぶ無理してでも腹の中に詰め込もうとするのである。

さて…

このようにして、お客さん達に可愛がられて癒しを与え、
お店の売り上げに貢献し人助けをするアライちゃん達。

アライちゃん達は、まだ赤ちゃんなのである。
そのため、大変疲れやすいし、接客するとストレスが溜まることもある。

そのため、店で接客するアライちゃん達はローテーションを組んでいる。

では、休んでいるアライちゃん達はどこへいるのか…?


それは、この部屋…
アライちゃん育児室である。

今、アライちゃんの餌を持った店員が、アライちゃん育児室へ入っていった。




~アライちゃん育児室~

育児室のカーペットの上には…


https://i.imgur.com/yc5tJhW.jpg


…大勢のアライちゃんがうじゃうじゃと…もとい、すやすやと寝ていた。
その数20匹ほどであろうか。

アライちゃん10~30「「「すぴ~…すぴ~…」」」zzz

アライちゃん達はすやすやと寝息を立てて、大人しく寝ている。

そこへ、店員が入ってきた。

店員2「みんなー、ご飯の時間だよー」パンパンパンパン

店員2は、パンパンと手を叩き、アライちゃん達を起こす。

アライちゃん10「うゆ!?」パチッ
アライちゃん11「ごはんなのりゃー!」ヨチヨチシッポフリフリ
アライちゃん12「ごっはん♪ごっはん♪」ヨチヨチシッポフリフリ
アライちゃん13「ありゃいしゃんのごっはん♪」ヨチヨチヨチヨチ
アライちゃん14「なのりゃー」ヨチヨチ
アライちゃん15「ごっはん!ごっはん!」ヨチヨチ
アライちゃん16「おいちーごはん♪」ヨチヨチキャッキャッ
アライちゃん17「びえええーんっ!もーおなかぺっこぺこなのりゃあ~っ!」ピイイィイ ヨチヨチ

ウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ…

アライちゃん達が目を覚まし、店員2の足元へ群がり始めた。

https://i.imgur.com/p6aYx97.jpg

つづく

店員2「はーい、ご飯にするから、いちもみたくきちんと並んでね」コトッ コトッ

店員2は、アライちゃんと同じ数だけ器を用意した。

アライちゃん達「「「はいなのりゃ~!≧∀≦」」」ヨチヨチ

アライちゃん達は、器の前にきちんと整列した。

店員2「はい。それじゃあごはんあげるね」パラパラ

店員2は、アライちゃん達の器に『アライフード』を盛っていく。

だが、その量は明らかに…
本来必要とする餌の量より少ない。

アライちゃん10「ごくっ…ずびっ…」ヨダレタラー

アライちゃん11「おいちそーなのりゃ…いましゅぐあむあむちたいのりゃあ…!」シッポフリフリ

店員2「分かってると思うけど、挨拶の前につまみぐいしたら、その場で即『不良ブタ箱』送りだからね」パラパラ

アライちゃん10「ぴぃっ!」ビクゥ

アライちゃん11「ふりょーやーなのりゃあ!」ブルブル

アライちゃん達は涎を垂らし、皆の器に餌が盛られるのを待っている。

店員2「さ、みんな。あいさつして食べようね」

アライちゃん10~30「「いただきますなのりゃあ~~!≧∀≦」」コスリコスリ

アライちゃん10~30「「あむあむあむあむあむあむっ!もぐもぐもぐもぐ」」ガツガツ

アライちゃん達は、夢中で器の中の餌を犬食いし始める。

アライちゃん10「おいちいのりゃあ!あむあむあむあむっ!がつがつっ!ぐちゃぐちゃ!くちゃっくちゃっ!(((≧'p(≦ )))」グチャッグチャッ

アライちゃん10は、口を空けながら下品な音を立てて食べている。

店員2「…」スッ

店員2は、アライちゃん10の背後に回ると…

店員2「あー!こんなとこにクチャラー不良がいるぞー!」ガシィ グイイイッ

アライちゃん10「あむあむあ…ぴいぃっ!?」ブラーン

餌を食べている最中のアライちゃん10を掴んで持ち上げた。

店員2「みんな!食べるのやめて聞いて!」

アライちゃん11~30「「うゆ!?」」ビクゥ

アライちゃん達は、言われた通りに食べるのを止めた。
食欲よりも優秀できるあたり、きちんと躾をされているようだ。

店員2「この子は今、クチャクチャ汚いい音を立ててご飯を食べてました!そうすると、お客さんどうなるんだっけ?」

アライちゃん11~30「「やなきぶんになって、おきゃくしゃんがこなくなゆのりゃ~!」」

店員2「そうだねえ。すると、誰が困るのかな?」

アライちゃん11~30「「おみせも、おきゃくしゃんも、てんいんしゃんも、ありゃいしゃんたちも!み~んなこまゆのりゃあ!」」

店員2「じゃあ、みんなを困らせるこの子は…何かな?」

アライちゃん11「ふりょーなのりゃあ!」シッポブンブン

アライちゃん12「ふりょーなのりゃあ!」シッポブンブン

アライちゃん13「みんなをこまらすふりょーなのりゃあ!」シッポブンブン

アライちゃん14「わゆものなのりゃ!」シッポブンブン

アライちゃん15「こらしめゆのりゃ!」シッポブンブン

アライちゃん16「みんなでこらちめゆのりゃあ!」シッポブンブン

アライちゃん10「ぴいいいぃぃぃっ!?ありゃいしゃんふりょーじゃないのりゃあっ!くちゃらーちてないのりゃああっ!ぴいぃー!」ビエエン

アライちゃん17「うしょなのりゃあ!てんいんしゃんがくちゃりゃーふりょーだっていってゆのりゃあ!」フゥーッ

アライちゃん18「てんいんしゃんはなぁ、いだいなんだぞぉ!ありゃいしゃんたちのいのちのおんじんなのりゃあ!」フゥーッ

アライちゃん19「ありゃいしゃんきーてたのりゃあ!あいつぐちゃぐちゃうゆちゃかったのりゃあ!」フゥーッ

アライちゃん20「しょーこがあがってゆのりゃあ!はんにんはおまえなのりゃあ!」

店員2「しっかり聞いてたよ。きっと自覚がないってことは、無意識にやったんだろうねぇ」

アライちゃん10「うぅー!『むいしき』ならしかたないのりゃあ!ありゃいしゃんわゆくないのりゃふりょーじゃないのりゃあああっ!」ビエエン

店員2「みんな、どう思う?無意識だったら仕方ないかな?」

アライちゃん22「だめなのりゃあ!そんなきょあくをゆゆちておけないのりゃあ!」フゥーッ

アライちゃん23「その『むいしき』を!おきゃくしゃんのまえでやったらききなのりゃあ!ふりょーなのりゃあ!」フゥーッ

アライちゃん12~30「「ふっりょぉ!ふっりょぉ!だっめだっめふっりょぉ!」」シッポブンブンブンブンブンブン

店員2「そういうわけで、君は不良ブタ箱行き。懲役2日ね」

アライちゃん10「のぁあああーーーんっ!のぉおおおーーーぁあーーーーんっ!やなのりゃああーーーっ!ぶたばこやあーーーーーなああーーーーーっ!」ビエエンジタバタジタバタ

アライちゃん24「はんこーちてゆのりゃあ!」

店員2「反抗したから、追加でさらに1日…合計で3日だよ」ツカツカ

アライちゃん10「びえええーーんっ!ぴぃいいいーーーっ!」ビエエン ジタバタ

店員2は、アライちゃん10を持って、育児室のすみっこのケージへ近づいた。

ケージの中には、既に先客が3匹いるようだ。

このケージこそ、アライちゃん不良ブタ箱。

イタズラしたり、ルールを破ったり、喧嘩したりしたアライちゃんへの懲罰のための檻である。

店員2「…」クルッ

店員2は、ふと後ろを振り返った。

アライちゃん11「だれもみてないのりゃ…いまのうちに…」スッ

なんとアライちゃん11が、連れていかれたアライちゃん10の食べ残しの餌を食べようとしている。

店員2「あー!こんな所に泥棒不良がいるぞぉ!」スッ

店員2は、空いた方の手でアライちゃん11を指差す。

アライちゃん11「ぴっ!?」ビクゥ グーギュルルー

アライちゃん12~30「「うゆ!?」」ムゥッ

アライちゃん12「みたぞぉ!」フゥーッ

アライちゃん13「どよぼーなのりゃあ!ふりょーなのりゃあ!」フゥーッ

アライちゃん11「う、うゆぅ、だ、だって!ありゃいしゃんおなかぺこぺこで!これっぽっちじゃたりないのりゃあ!」シッポフリフリ

アライちゃん11「そ、それに!ふりょーはもうこれたべないのりゃっ!だ、だったら、あらいしゃんがたべてもいーはじゅなのりゃあっ!」グーギュルルー



知っての通り、アライちゃん達は食欲が物凄い。
お腹が減った状態で食べ物を見たら、手を出したくなってしまう。

もっとも…これは人間の幼児でも有り得なくはないこと…かもしれないが。

店員2「不良の食べ残しを食べちゃいけない。これはルールだよ。みんないい子にして守ってるのにねえ」

アライちゃん12「「ありゃいしゃんいーこだかりゃ、りゅーりゅまもゆのりゃあ!」」シッポフリフリ

アライちゃん11「う…うぅぅ…!」プルプル

店員2「君も不良ブタ箱行き。懲役5日ね。刑期を伸ばしたくないなら、反抗しちゃダメだよ」スッ

店員2は、アライちゃん11を掴もうとする。

アライちゃん11「や…」


アライちゃん11「やーーーなのりゃあああーーーっ!ありゃいしゃんぜったいぜったいぜぇーーーったいわゆくないのりゃあああーーっ!」グーギュルルー

アライちゃん11「ごはんこれっぽっちじゃぜーーーーーーーーーーんっぜんたりないのりゃあああーーーっ!」ビエエン

アライちゃん11「ごはんいーーーーっぱいありゅのにぃ!ちょっとしかくりぇないしーくいんしゃんがわゆいのりゃあああーーーっ!」ビエエン

アライちゃん11「もっとごはんたべさせろぉおおおおーーーーーっ!おなかぺーーーっこぺこなのりゃああーーーーーっ!きゅるるるるぅぅっ!」ウルウルグーギュルルー

アライちゃん12「ふりょーもここまでくゆとあきれゆのりゃ…」

アライちゃん13「しょーねがくさってゆのりゃ…」

店員2「いい?ご飯の量が少ないのには理由があるの。お腹いっぱい食べる方法もあるんだよ」スッ

アライちゃん11「うぅ…。きのーはおなかいっぱいたべたけど…まいにちたべたいのりゃあ…」

店員2「今日みたいなオフの日はお仕事をしないから、これっぽっちしかあげられないの」

アライちゃん11「うゆぅ…わかってゆのりゃ…。おしごとでがんばったら、それだけいっぱいごはんもらえゆって…」

店員2「そうだよ。お客さんのアンケートを見て、いっぱい喜んで貰えれば、それだけいっぱいご飯をあげるの」

アライちゃん11「うぅ~、それじゃあ、まいにちはたらくのりゃあ!」シッポフリフリ

お休みの日のアライちゃんの餌を少なくする理由は2つある。

1つめは、『ご飯を貰えて当たり前』と思わず、労働の対価とすることを根付かせるため。

働いた日は、『お客さんを喜ばせた度合い』に応じて、その日の餌の量を増やす。

アライちゃん達は、よりたくさんご飯をもらうために、人の喜ばせ方を自ら学ぶのである。

そして、2つめの理由は…

店員2「だめ。うちのルールで、毎日は働かせられないの」

餌を少なくすることで、体が大きくなるスピードを抑えているからである。

アライちゃん11「うゆぅ~~~っ!やーーなーーー!もっとたべゆぅーーーっ!たぁーーーべぇーーーーゆぅーーーーっ!」ビエエン ジタバタ

店員2「ふぅん…ここまで反抗するってことは…」

店員2「不良どころじゃなく…『反抗期』かな?」

アライちゃん11「ぴぃっ!?」ビクゥ

アライちゃん16「『はんこーき』…?」

アライちゃん17「『はんこーき』なのりゃ…こわれたのりゃ…」

アライちゃん18「おさらばなのりゃ…」コスリコスリ

アライちゃん11「ぴ…ぴぃぃ~~~っ!ありゃいしゃん『はんこーき』じゃないのりゃああっ!ふりょーぶたばこはいゆかりゃああっ!ありゃいしゃんがわゆかったかりゃぁ!ゆるちてええーーっ!」ビエエン

店員2「ふぅん…。ちゃんと自分が悪いって認めるんだね。アライちゃんは素直でいい子だなぁ」ナデナデ

アライちゃん11「え、えへへ…ぐしゅっ…てんいんしゃん、しゅきしゅきなのりゃあ…」スリスリ

『反抗期』…
その言葉が何を指すかは、今この場では分からない。
いずれ、真実が分かるときが来るかもしれない。

店員2「でもいっぱい反抗したから、懲役7日ね」ガシィ グイイイッ

アライちゃん11「ぴぃっ!?な、ながしゅぎゆのりゃああっ!」ジタバタ

アライちゃん10「う、うゆうぅ…てんいんしゃん、もうくちゃらーしないかりゃあ、ゆるちてぇ…!ありゃいしゃんがかわいそーなのりゃあ…」コスリコスリ

店員2「はい、収監!」ポイポイ

アライちゃん10&11「「ぴいいぃぃっ!」」ポテポテッ

アライちゃん達は、不良ブタ箱へ収監された。

https://i.imgur.com/i7Y4p8C.jpg

アライちゃん10「びえええーーーんっ!だちてえーーっ!」ビエエン

アライちゃん11「うゆぅ…とりあえずおみずのむのりゃ…」ゴクゴク

不良ブタ箱に収監中のアライちゃん達の餌は、普段のオフの日の餌の量よりさらに少ない。

加えて、不良の間は店内で客の接待をすることができないため、餌を増やしてもらうこともできない。

当然ながら、檻の中で他のアライちゃんと喧嘩したら、さらに刑期が伸びる。

飢餓という責め苦により、不良アライちゃん達は自らの行いを嫌でも悔いるのである。

それに加えて…

アライちゃん12「ごちそーさまなのりゃー!」ヨチヨチ

店員2「よくできましたー!それじゃあ、食器をピッカピカに洗おうね」

アライちゃん13「まかせゆのりゃあ!しょっきおかたづけして、ぴっかぴかにしゅゆのりゃあ!」バシャバシャ

アライちゃん14「きゅっきゅっ、ふははー、きれーになったのりゃあ!みゆのりゃ!」ピカピカガイジガオ

店員2「綺麗だねー。よしよし」ナデナデ

アライちゃん14「のりゃー!≧∀≦」スリスリ

アライちゃん15「ごちそーさまなのりゃあ。みんなー、あそぶのりゃ!」キャッキャッ

不良アライちゃん10「うぅ…みんな…」

アライちゃん16「うゆ?」

不良アライちゃん10「うゆぅ…ありゃいしゃんもあそびたいのりゃあ…」コスリコスリ



アライちゃん12~30「「ふりょーなんかとあそんだら、ふりょーがうつゆのりゃ~~~!≧∀≦」」キャッキャッ



不良アライちゃん10「う…びえええーーーんっ!」シクシク

アライちゃん20「なにひがいしゃづらしてゆのりゃ!ふりょーになったおまえがわゆいのりゃあ!」シッポフリフリ

アライちゃん21「せーぎのさばきをうけゆのりゃ!きょあくめー!」シッポフリフリ

アライちゃん22「ふっりょー!ふっりょー!ばっかふっりょぉー!」シッポフリフリ

店員2「そうだねー。悪いことしたんだから仕方ないねー」

不良アライちゃん10「のぉーーぁああーーーーんっ!のあぁあーーーーんっ!」ビエエエエエン

…不良でないアライちゃん達から、仲間はずれにされ、制裁としてイジメられるのである。

ちなみに店員たちは、アライちゃん同士の喧嘩を禁止しているが…

唯一、不良へのイジメだけは禁止していない。

むしろ、不満やストレスの捌け口…サンドバッグにさせているのである。

不良アライちゃん31「あ…う…」

檻のすみっこで、ぼーっとしているアライちゃんがいる。

店員2「ん、この子は…今日で刑期終わりだね」

店員2「みんな聞いてー!この子は、前に喧嘩して不良になったけど、今日まで頑張って我慢して、不良じゃなくなりました!」

アライちゃん22「おおー!」パチパチ

アライちゃん23「よくがんばったのりゃー!」パチパチ

アライちゃん24「つみはきよめられたのりゃー!」パチパチ

不良アライちゃん31「あ……うぅ…?」キョトン

店員2「そんなわけで、今日からこの子はみんなのお友達に戻るよ!元不良だからって、イジメちゃだめだよ」ガシィ

店員2は、刑期を終えたアライちゃん31を檻から出した。

アライちゃん31「あ…う…いじめないで…なのりゃ…」プルプル

アライちゃん31は、収監中に受けた罵詈雑言により、怖がっている。

アライちゃん25「ふりょーじゃないならいじめないのりゃ!けづくよいしてあげゆのりゃ!」ペロペロ

アライちゃん26「ふりょーじゃないこをいじめゆやつはふりょーなのりゃ!ありゃいしゃんは『かんだい』なのりゃ!」ハムハム

アライちゃん27「いっしょになかよしあそびしゅゆのりゃ!」ペロペロ

アライちゃん達は、不良でなくなったアライちゃん31に毛繕いをしている。

アライちゃん31「…てんいんしゃん…。けんかして、ごめんなしゃいなのりゃ…。これからはずっといーこにしゅゆのりゃ…」

店員2「うんうん。期待してるよ」ナデナデ

アライちゃん31「うゆぅ~」スリスリ

不良アライちゃん32「うぅー!ありゃいしゃんもでたいのりゃあー!」ガシャガシャ

不良アライちゃん33「さっきはここがあいたのりゃ!こっからでられゆのりゃ!…うーん、あかないのりゃ!」ガシャガシャ

店員2「なに、まだ反抗しようとしてるの?反抗期かな?」

不良アライちゃん32「うぬぬ…ありゃいしゃんははんこーきじゃないのりゃ…」ピタッ

不良アライちゃん33「でも…こんなとこにいたら、あたまおかしくなゆのりゃ…」

店員2「…」

このアライカフェの店員達は、皆心からアライちゃん達を愛し、可愛がっている。
決して事務的な態度で扱っているわけじゃない。

本心では、イジメなどさせたくない。

本心では、アライちゃん達に不満やストレスを感じさせたくない。

本心では、アライちゃん達へお仕置きなどしたくない。

しかし、そんなのは理想にすぎない。

人間の子供がいる幼稚園や小学校でさえ、イジメやイタズラ、ストレスを完全に防止することはできないのだ。

アライちゃん達に、それができるはずがない。

そうであるが故に…秩序を保つために、このアライカフェは『不良ブタ箱システム』を作った。

イタズラしたアライちゃん達に不良のレッテルを貼る。

アライちゃん達のストレスのガス抜きのために、檻の中の不良へのイジメを許容する。

不良達は、アライちゃんに虐められることで『お仕置き』され、自らの罪を悔いる。

そしてイジメている側は、『罪を犯したら、自分がイジメられる側に回る』と嫌でも覚えるため、

ルールを守るようになるのである。

『アライちゃん愛好家の人達を喜ばせたい』。

そんなプロ意識を持ったこのカフェの店員達は、客に最高のサービスを提供するために日々努力している。

日本にアライカフェはいくつか存在するが、
この店舗の人気と評価は段違いである。

アライちゃん達への熱心な教育が功を奏したのであろう。

『不良ブタ箱システム』は、多くのアライカフェに取り入れられつつある…。

つづく

アライちゃん12「ふわぁ~…むにゃむにゃ…あそびつかれたのりゃ…」ウトウト

アライちゃん13「しっぽのてにしゅたのちかったのりゃ…。おやしゅみしゅゆのりゃ…」ウトウト

アライちゃん31「うゆ…。いじめられずに、みんなとあそぶのたのちーのりゃ…。もうぜったいふりょーになんかならないのりゃ…ふわぁぁ…」フワァー

遊び疲れたアライちゃん達は…

https://i.imgur.com/yc5tJhW.jpg

…再び、みんなで昼寝するのであった。

アライちゃん12~31「「「のりゃあ…のりゃあ…」」」zzz

つづく

ここアライカフェのアライちゃん達の殆んどは、接客を嫌々ながら無理矢理強制されているのではない。

むしろその逆だ。
自ら進んで客を接待したがり、可愛さをアピールして可愛がられようとする。

その目的は二つある。

ひとつは、餌のため。
客からアンケートで良い評価が得られるほど、餌の量も多くなる。

そしてもうひとつは…
愛情を注いで貰うためだ。

ペットアライちゃん達は皆、親の顔を知らずに育つ。
そして工場では、十分な愛情を注がれずに育てられる。

アライちゃんはまだ子供。
本能的に、母親からの愛情を求めているのである。

ペットアライちゃん達は、母親から受けられなかった愛情を飼い主に注いで貰うことになるが…

ここアライカフェのアライちゃん達は、母親でなく客に愛情を求める。

そして、客に可愛がってもらい、スキンシップをしてもらい、
愛されることを強く求めるのである。

先程、天才を自称して金髪女児へあやとりの腕前を見せつけドヤ顔していたアライちゃん3も…

おばさん1「可愛いわねぇ~アライちゃん♪」ナデナデ

アライちゃん3「のりゃ~♪おきゃくしゃんしゅきしゅきなのりゃあ~♪」スリスリ

https://i.imgur.com/932gFhf.jpg

…この通り、先程の高ピーな態度はどこへ行ったやら。
抱っこしている客へデレッデレになって甘えている。

そんなアライカフェの看板娘(看板アライ)が、こちらのウェイトレスアライしゃん…

今、通行人の席へオレンジジュースとアライちゃん4を持ってきて、ジュースが美味しくなる魔法とやらをかけた…
『ミパン』である。

https://i.imgur.com/abV6YiM.jpg

ウェイトレスアライしゃん「ふははー」ピカピカガイジガオ

ミパンは、二足歩行できる大きさになっても、尚反抗せずに接客ができる。

さらに、文字を書いて注文をとることもできる、優秀な個体である。

通行人「ちょっといい?」ガサゴソ

通行人は、何やらバッグの中をがさごそ漁っている。

ウェイトレスアライしゃん「どーしたのだ?ふふん、さてはあらいしゃんのさいんがほしーんだな?」フフン

https://i.imgur.com/AwwWVUJ.jpg

ウェイトレスアライしゃん「ぶばっ!」ドサァッ

アライちゃん4「≦∀≧」!?

客達&店員1「「!?」」

看板アライのミパンは、通行人が振るったバットを脳天に食らって倒れた。

通行人「クソ害獣が運んできた汚ったねえアライ汁なんか飲めるわけねえだろうが!」ガシィ

アライちゃん4「ぴいぃっ!?」ビクゥ

通行人は、左手でオレンジジュースが注がれたグラスを持ち、右手でアライちゃん4の尻尾を掴んで持ち上げた。

https://i.imgur.com/mEpkae0.jpg

アライちゃん4「いぢゃいぃのりゃあ!はなちてええっ!」ジタバタ

ちなみにこの通行人。
今まで、別に特筆すべき特徴ではなかったのであえて書かなかったが…

少女であり、
帽子を被っており、
黒いパーカーを着ていた。

店内にいる以上通行人ではないので、以後『黒パーカーの少女』と呼称することにしよう。

アライちゃん4「はなちてぇ!ぶたばこやなのりゃあ!わゆことちてないのりゃああっ!」ピギイィィジタバタ

黒パーカーの少女「悪いことしてない?いーや、やったさ!」

黒パーカーの少女「クソ気持ち悪い姿と声と仕草で、おれを不快にさせた罪!」

黒パーカーの少女「そしてお前らクソ害獣どもは!存在そのものが罪なんだよコバエ!汚ねえアライ汁はてめーで飲めや!」ジャボンッ

アライちゃん4「ごぼぼぉっ!?」ゴボゴボ

なんと黒パーカーの少女は、アライちゃん4を頭からグラスへ突っ込んだ。

本来アライちゃんは、泳ぎが得意な生き物であるが…

https://i.imgur.com/s5cAvVJ.jpg

…この体制では泳ぐもクソもない。
頭の重さで沈むだけだ。

アライちゃん4「ごぼぼぼぼぼ!がぼぼぼっ!」ゴボゴボ

黒パーカーの少女「つうか、そもそも!百歩譲ってコバエガイジ関係なくても、飲食物と同じトレイに動物乗っけてくんな!ハエガイジ関係なく不衛生なんだよ!」

店員1「き…きゃあああああああああああーーーーーーーっ!!!」

金髪女児「ひ…ひいぃっ…!」

店内は騒然とする。

黒パーカーの少女「ハエガイジ共、人間に寄生して貪る飯はうまいか?おれが一匹残らず駆除してやるよ!あーははははは!」ツカツカ

黒パーカーの少女は、金属バットを右手に持ち、アライちゃん達が集まっている方へ近寄る。

疲れたサラリーマン「な、何するんだ!やめろ!」バッ

疲れたサラリーマンが、黒パーカーの少女のバットを奪い取ろうとして飛びかかる。

黒パーカーの少女「お前もハエガイジ駆除邪魔しようってのか!?うぜぇんだよどいてろ!」ドガァ

疲れたサラリーマン「がああっ!」ドサァッ

なんと黒パーカーの少女は、サラリーマンの側頭部をバットで叩いた。

黒パーカーの少女「前にもいたんだよ…ハエガイジ駆除を邪魔する取り巻きが…」

黒パーカーの少女「クッソうぜぇハエガイジを駆除してやろうと思ったのに、いつもそいつら取り巻きアラ信どもがアラ虐の妨害をしやがる!」

黒パーカーの少女「ハエガイジ単独なら殺せても、取り巻きが妨害したせいで、結局ハエガイジ駆除失敗のバッドエンドさ。…じゃあ、どうすればいい?どうすりゃ人間社会に寄生する保護ガイジを駆除できる?」ツカツカ

黒パーカーの少女「簡単なことだ!邪魔する奴らから大人しくさせりゃいい!そうすりゃどんだけ保護されてるハエガイジも駆除できる!ハッピーエンドさ!」ボゴォ

疲れたサラリーマン「いでえええっ!」

独身おじさん「や、やめないか!」ガバッ

黒パーカーの少女「アラ虐を妨害しなけりゃ痛い目見ないってのに…馬鹿なやつだ!」ブンッ

独身おじさん「ぐぅっ!…とったぁ!」ガシィ

黒パーカーの少女「んぅ!?」

なんと独身おじさんは、バットの一撃を食らいながらも、黒パーカーの少女を背後から羽交い締めにした。

独身おじさん「なんだっていうんだ!お前…許さねえ!」グイイッ

黒パーカーの少女「…やるね…」

店員1「なんてひどい…今助けるから!」バシャア

アライちゃん4「ぶはぁ!げほがほごほっ!ぷるぷるぷる…」ゲホゲホプルプル

店員1は、アライちゃん4をオレンジジュースから救出した。

アライちゃん4は、口と鼻からオレンジジュースを吹き出し、体をぶるぶる揺すって水を切っている。

店員1「はぁ、はぁっ…!ミパン!しっかりしてミパン!」ユサユサ

店員1は、バットで殴打された看板アライのミパンを揺さぶるが…

https://i.imgur.com/94Tb1ox.jpg

…どうやらもうダメな感じだ。

店員1「て…店長!店長ぉおおおお!」ドタドタ

おばさん1「け、警察に電話しなきゃ…!」ガサゴソ

金髪女児「うえええーーーんっ!わぁああーーーーんっ!」

アライちゃん達「「びえええーーーーーーんっ!てんいんしゃーーんっ!こあいのりゃああーーーっ!」」ビエエーン

女子高生「し、写真撮ってやる…!逃げても指名手配だぞ…!」ガサゴソ

疲れたサラリーマン「う…ぁ…い…てえ…」

独身おじさん「はぁはぁ、もう終わりだ犯罪者!動物園襲撃したのもお前だろう!警察に引き渡して少年院にブチ込んでやるからな!」グイグイ

黒パーカーの少女「クソ害獣の繁殖助長荷担しておいて、よく犯罪者なんて言えたもんだなぁ?」

このまま黒パーカーの犯罪者が逮捕されれば、カフェアライちゃん達は皆、無事に生き延びることができるであろう。

自称天才のアライちゃん3は、これからも客にドヤ顔を披露し続け…

育児室にウジャウジャと群がるアライちゃん達は、明日も客達へ可愛さを振り撒く。

我々は、カフェのアライちゃんが虐待される悲惨な姿なんて見ずに済むであろう。

そして、このカフェだけの問題ではない。

バイト少女が飼っているアライちゃん…アラキレスも、もう外敵に狙われ命を危険にさらされることは無くなるのである。

さらに日本には、アライカフェ以外にもまだまだアライちゃんを愛でるビジネス施設が存在する。

その施設で我々はずっと、人に保護されているアライちゃん達が、可愛がられるパートだけを見ることができる。

決してもう、虐待や虐殺されるパートへ移行することは無くなるであろう。

つづく

黒パーカーの少女「はぁ…お前らバカか?今ここでお前らが取るべき最善の行動は、ハエガイジ共を守ってアラ虐を阻止することじゃあないだろうが…」ハァ…

独身おじさん「ん?」グイグイ

黒パーカーの少女「おれを邪魔せず傍観するか、あるいは…おれに荷担し、一緒にアラ虐することだろが!」

独身おじさん「は?」

黒パーカーの少女「そうすりゃあ誰も傷付かず、うぜーハエガイジも駆除できる。万事解決だろ?それが最善に決まってるだろうが!」

黒パーカーの少女「そこのサラリーマンも、何被害者ヅラしてやがんだ?アラ虐を妨害したんだから当然の報いだ!」

黒パーカーの少女「アラ虐はその他何よりも優先されるべき『絶対善』だ。それを邪魔するお前ら『絶対悪』は、バットで制裁されて当然。アラ信のお前らでも分かるだろ?」

独身おじさん「ラリってんのかお前!?アラ信って何だよ!?アライちゃん達が死んでいいわけないだろうが!アラ虐なんてやめろ!」

黒パーカーの少女「…やれやれ。頭のおかしい奴しかいないんだな…。正常なのは俺だけか…」ハァ…

独身おじさん「そ、そんなにアライちゃんが殺したいなら!野良の害獣をやればいいだろ!」アセアセ

黒パーカーの少女「おいおい、そんなの業者共がやってるだろ。それに、俺まで野良狩りやってたら…。誰が人間社会の寄生バエ共を殺すんだ?」

黒パーカーの少女「ハエガイジ共が保護され、愛でられる様だけを見て満足しろと?アホか。ハエガイジは皆死ぬ姿にのみ価値があるんだよ」

独身おじさん「…狂ってる…」グイグイ

黒パーカーの少女「まーでも、うん、そうだな!人に邪魔されたら仕方ない!アラジビ用語でいうとこの『ヘイトパート』のまま終わるしかないか!」

独身おじさん「あ、あらじび…?へいとぱーと…?」

黒パーカーの少女「コバエ共全員ぶち殺したいっていう、ごく当たり前の正常な欲求も!人に止められたならガマンしなきゃなぁ!」

黒パーカーの少女「うんうん、人を傷付けるよりだったら、フラストレーション抱えたまま、願望叶わぬまま!消化不良のまま引き下がるしかねえや!」ハハハハ

独身おじさん「…」グイグイ

黒パーカーの少女「かつて俺たちは、いっちばんクソムカつくツライさん一家を何度も駆除しようと試みたが…」

黒パーカーの少女「いつも取り巻きの人間やケモノ女共に阻止され、結局駆除はできなかった…。駆除できたのはガキ一匹だけだった」

黒パーカーの少女「しかし、まあ…!人に制止されたなら、ハエガイジ駆除ってのはそれを傷付けてまで達成すべきじゃなかったってわけだな!」

黒パーカーの少女「あの結果は、ツライさんを仕留め損なったっつうバッドエンドじゃなく!ツライさん含めて誰も死なずに済んだハッピーエンドだったってわけか!ハハハハハハ!」

独身おじさん「ツライさん?ハッピーエンド…?何一人で勝手に盛り上がってんだこいつ…」アセアセ

今回はここまで

黒パーカーの少女「おっと、誰も死なずにってのは語弊があったな。ガキは4匹のうち1匹駆除できたんだからなぁ」ケラケラ

独身おじさん「…諦めたか…」グイグイ

黒パーカーの少女「…」


黒パーカーの少女「な・わ・け!ねーーーだろアラ信共ォ!」ヒュバッ

なんと、羽交い締めにされている黒パーカーの少女は、後ろへ宙返りして独身おじさんの背後に回った。

独身おじさん「!?」

黒パーカーの少女「良いとか悪いとかそういうめんどくさいことは関係ねえ!おれはさぁ!ただアラ虐したいだけなんだよ!」ブンッ

独身おじさん「うおあっ…!?」

なんと黒パーカーの少女は、独身おじさんの胴体を掴んで持ち上げ、そのまま勢いよくブリッジした。

黒パーカーの少女「邪魔するなら死ね!フルネルソン・スープレックスぅ!」ドゴァ

独身おじさん「がふっ!」ズシャア

そして少女は、独身おじさんを急角度で頭から真っ逆さまに、硬い床の上に落とした。

独身おじさん「」ピクピク

金髪女児「わあぁぁーーーんっ!」シクシク

店員1「て、店長ぉお!」ドタドタ

女子高生「写真撮ってやる!こっち向け!」

おばさん1「い、1、1…0」ブルブル ピポパ

おばさん2「ちょっと!8押してどうするの!貸して…」

黒パーカーの少女「うざってぇ!」ドヒュヒュババァッ

黒パーカーの少女は、白い布の手袋をした手で…
なにかを4つ投げた。

女子高生&おばさん1&おばさん2の携帯電話「「「」」」グサァパリンパリンパリン

女子高生「ああっ!スマホが!?」

おばさん1「な…!?」

おばさん2「こ、壊れ…!」

店員1のアキレス腱「」ザグゥ

店員1「きゃああああっ!痛いぃいいっ!」ドサァッ

飛んできて刺さったのは…

手裏剣×4「」

なんと…それは手裏剣。
フィクション作品の忍者がよく使う、菱形の手裏剣である。

黒パーカーの少女は、こんなものをどこで手に入れ…
いつの間に取り出したのであろうか。

それにしても、恐ろしいほどの投擲精度である。

黒パーカーの少女「てめーら、痛い目にあいたくねーなら、そのまま黙って動くな。アラ虐の邪魔だからなぁ」

店員1「うぅ…!アライちゃん達を…守らなきゃ…!」ズルズル

店員1は、店長を呼びに行こうとしている。

黒パーカーの少女「ったく…アラ信ってのは、どうしてこう話が通じねえんだか」シュバッ

黒パーカーの少女は、何か棒状の物体を取り出した。

黒パーカーの少女「目障りだ!改造スタンガンをくらえ!」バチチチチチチチッ

店員1「あ…が…!」ガクゥ

店員1はスタンガンをくらい失神した。

おばさん1&2「「!?」」

アライちゃん1~10「「びえええーーーーんっ!こあいのりゃああーーーっ!てんいんしゃあーーんっ!」」ピギイイィィィ

黒パーカーの少女「さーて…てめーらは大人しくしてるだろうな?」

おばさん1「っ…」

おばさん2「…」

女子高生「…」

金髪女児「ぐすっ…うえええーーんっ…!」シクシク

おばさん1「アライちゃん達!この中に!」グイグイ

おばさん2「隠れて!」グイグイ

女子高生「逃げるよ!」グイグイ

アライちゃん達「「ふみゅぅぅっっ!?」」ムギュウゥ

おばさん1&2と女子高生は、バッグの中へアライちゃん達を押し込んだ。

おばさん1&2&女子高生「「「にげろーーー!」」」ダダダッ

そして、一斉に出口へ向かって逃げ出した。

黒パーカーの少女「…救いようがねえ阿呆どもだ」タタタタタタタッ

だが、黒パーカーの少女はすぐに追い付き…

黒パーカーの少女「ハエガイジ共でさえ!こう言えばガキを差し出すのによぉ!そうまでしてアラ虐邪魔して何がしてーんだてめえらは!」バチチチチチチチッ

おばさん1「ひいいぃぃぃぃっ!」ドサァッ

おばさん2「ぐふぅっ!」ドサァッ

女子高生「ご…め……ん…」ドサァッ

だが、一同はスタンガンをくらい、バッグを落とした。

ちょっと触れただけで人間が失神する威力の改造スタンガン。
どれだけヤバい代物であるかは一目瞭然である。

バッグの中のアライちゃん達「「「ぴいぃーーっ!」」」ドサドサ ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん達は、店内を逃げ惑っている。

金髪女児「ひ…ひぃっ……!じゃ、邪魔…しないから、た……たすけて……」ガクガクブルブル

黒パーカーの少女「へえー?邪魔しないんだ?いい子だねー…」

黒パーカーの少女「…なんてな!油断してお前みたいな弱っちいのを放置するのが命取りになるんだよ!」バチチチチチチチッ

金髪女児「あぁああああああああ!!」ドサァッ

黒パーカーの少女「ふぅ…」スタスタ

疲れたサラリーマン「ぐ…ぅ…」フラフラ

黒パーカーの少女「死んでなくてよかったな。寝てろ」バチチチチチチチッ

疲れたサラリーマン「うっ…」ドサァッ

黒パーカーの少女「ふぅー。邪魔な奴らは片付き、反撃の芽は摘まれた。途中でアラ信に逆転されて、ヘイトパート再開なんぞ御免だ」

黒パーカーの少女「おほん。さーて、それではこれより…」クルッ

アライちゃん達「「ひ…ぃ…」」ブルブル

黒パーカーの少女「待ちに待った、水入らずのアラ虐祭り開催だぁ!」ダッ

アライちゃん達「「「ぴぃいいいーーーーっ!こっちこないでえーーーーーーっ!!」」」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん達は、部屋の中を必死にヨチヨチして逃げ惑う。

しかし…

アライちゃん達の中に、明らかに逃げ足の遅い者が一匹いた。

アライちゃん6「う、うゆうぅ!おながおもいのりゃあっ!」ゲプゥ ヨチヨチ

…先程、体ほどもあるドーナツを食べたアライちゃん6である。

https://i.imgur.com/lyqXpY8.png

アライちゃん6「ひ、ひぃ、だ、だじゅげでえ!だれがあああ!」タプンタプン ヨチヨチ

アライちゃん6は、重い体で必死に逃げ惑うが…

黒パーカーの少女「ひゃはぁ!腹に重いもん抱えてつらそうだな!軽くしてやるよ、このバットでなぁ!」ブンッ

少女は、アライちゃん6へ金属バットを振り下ろした。


https://i.imgur.com/dBlklmJ.png


アライちゃん6「ぎゃぶぅっ!」グチャアアゲボオォ

アライちゃん6の口と腹から、血や内臓とともに消化しかけのドーナツが飛び出た。

アライちゃん4「お、おきゃくしゃん!なんでこんなことしゅゆのりゃああっ!ありゃいしゃんたちみんないーこにしてゆのりゃああっ!」ピイィィ ヨチヨチシッポフリフリ

オレンジジュースまみれのアライちゃん4が逃げている。

黒パーカーの少女「いい子だぁ?生きてる害獣に、いい子なんざいねえよ!」ツカツカ

黒パーカーの少女は、棒状スタンガンを握ると…

https://i.imgur.com/Um2kZCd.png

黒パーカーの少女「ひゃははははは!くたばる姿を見せるハエガイジだけがいいハエガイジだぁ!」バチチチチチチチッ

アライちゃん4「ぴぎゃあああああああああああーーーーーっ!」ビリリリィ

アライちゃん4へスタンガンを押し当てた。
人間ほどの大きさがあっても、瞬く間に失神する危険な威力のスタンガン。

人間よりずっと小さいアライちゃん4は…

アライちゃん4「」ビクッ ビクッ

…あっという間に心停止した。
手足が動いているのは、電気によって筋肉が痙攣しているためである。

アライちゃん1「て、てんちょーよびにいくのりゃあーーっ!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

アライちゃん2「このおきゃくしゃんはふりょーなのりゃあ!はんこーきなのりゃあ!てんちょーにこのふりょーをぶっこよちてもらうのりゃ!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

先程、しっぽのてにしゅで遊んでいた尻尾自慢の二匹が、店の奥へ逃げようとしている。

黒パーカーの少女「景気よく行こうか!はい次ぃ!」ザッ

だが、黒パーカーの少女はあっという間に二匹へ追い付いた。

アライちゃん1「ひぃ!お…おきゃくしゃ…やべ…だぢゅげで…さ、さーびしゅしゅゆがりゃあ…」ブルブル

アライちゃん2「あ、ありゃいしゃんの、かーいいかーいいしっぽのだんしゅ…いくらでもみせてやゆかりゃあ…」ブルブル

黒パーカーの少女「やってみろよ」

アライちゃん1「あ、ありゃいしゃんのかわいさで、めろめろにしてあげゆのりゃあ!」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃん2「きゅるるん♥きゅるるん♥かーいいかーいいしっぽのだんしゅで、ありゃいしゃんのふぁんになゆのりゃ!」シッポフリフリフリフリフリフリ

アライちゃん1&2は、必死に尻尾のダンスをしている。

黒パーカーの少女「へえ…。でも、まだ魅了されるにはイマイチだなぁ。それじゃあ、尻尾に飾り付けしてみようか」スタスタ

アライちゃん1「か…かざりつけ…?」ブルブル

黒パーカーの少女「このオイルを垂らしてーと」ドボドボ

アライちゃん1「ち、ちゅめたいのりゃあ!」ブルブル

アライちゃん2「こ…れでやれば、ゆりゅしてくれゆのりゃ…?」ブルブル

黒パーカーの少女「あー許す許す。魅了されてやるさ」

アライちゃん1&2「「し…しっぽのくろすだんすなのりゃー!」」シッポフリフリフリフリ

今まで大勢の客達を喜ばせ、和ませ、癒してきた、自慢の芸を見せるアライちゃん達。

黒パーカーの少女「飾り付けはこれだあ!ファイヤー尻尾ダンスを見せなぁあ!」シュボッ

黒パーカーの少女は、なんとアライちゃん達の尻尾に火を着けた。

アライちゃん1「ぴ…ぎいいいっ!?」メラメラ

アライちゃん達の尻尾に染み込んだオイルが燃えていく。

https://i.imgur.com/73V09Ct.png

アライちゃん2「あぢゅいぃーーーっ!ありゃいしゃんのしっぽあぢゅいのりゃあああーーーーーっ!ぴぎいいぃぃーーーーーっ!」シッポブンブンブンブンジタバタ

アライちゃん1「あぢゅいのりゃあああああーーーーーっ!ありゃいしゃんのかわいーかわいーしっぽがききなのりゃああああーーっ!だれがこれなくしてええーーーっ!」ピギイィイイ ヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

尻尾が燃えたアライちゃん達は、必死に逃げ惑ったり、熱さに悶え苦しんでいる。

黒パーカーの少女「おやおや尻尾だけじゃバランス悪くて可哀想だなぁ。それじゃクソ害獣には全身火だるまになって貰うかぁ!」ドボドボ

黒パーカーの少女は、まさしく文字通り、『火に油を注いだ』。

アライちゃん1「びっっぎぃぃいーーーーーーーーゃああああーーーーーーっ!ぎゃああああがあああーーーーっ!」ボオオオォオメラメラ

アライちゃん2「ぴぎゅうるるううううるるるるるるぅううううびぎゅうるるるるるるりゅああああああっ!」ボオオオォオメラメラパチパチ

炎に包まれたアライちゃん達は、ドッタンバッタン暴れまわっている。

しかし、この火が消える頃には、もう命の灯火は消えているであろう。

アライちゃん5「てんいんしゃん!おぎゆのりゃあ!おぎであのふりょーをぶたばこにとじこめゆのりゃああっ!」ユサユサ

先程独身おじさんに抱っこされキスしていたアライちゃん5は、必死に店員1を揺さぶっている。

https://i.imgur.com/3SKOylb.png

店員1「っ……」ブルブル

しかし、店員1は動かない。

アライちゃん5「おぎでえええ!なんでおぎないのりゃああ!ありゃいしゃんのききなのりゃあああっ!おきないとてんいんしんもこよされゆんだぞおぉぉぉっ!」ユサユサ

黒パーカーの少女「死ぬのはてめーだけだ、クソ害獣」ガシィ

https://i.imgur.com/jzoadzm.png

黒パーカーの少女は、アライちゃん5を捕まえた。

アライちゃん5「ぴぎぃいい!やーーーなのりゃああーーーっ!しぎなぐない!しにだぐないぃーーーーーっ!」ジタバタ

黒パーカーの少女「こらこら。お前らは、おれに殺される玩具なんだぞ。ワガママ言ったら駄目じゃないか」シュルシュル

黒パーカーの少女は、アライちゃん5の首に紐をかけて…

黒パーカーの少女「そういうわけで、玩具は玩具らしい姿になってもらうぜ!」グイイイッ

アライちゃん5「ぎゅっ!」

https://i.imgur.com/d4F1HyQ.png

アライちゃん5「ご…ぐ…げ…」ギュウギュウ

黒パーカーの少女「ジャーン。新発売玩具!名付けて、ヨチラーヨーヨー!」グイイイッ

アライちゃん5は、紐で首を締め上げられている。

アライちゃん5「ぐぎ…ひ…ひもを…きって……だ……だしつ……」ガリガリ

アライちゃん5は、紐を爪で引っ掻いて切ろうとしている。

黒パーカーの少女「ああー?できると思うのか?お前にぃ」グイイイッ

アライちゃん5「き…りぇ…ないぃ…!」カリカリ

だが…
野良害獣アライちゃんならば可能性はあったが、
ペットであるアライちゃん5には紐を切ることは不可能。

なぜならアライちゃん5はアライドール手術を受けており、鋭い爪が生えなくなっているためである。

人に危害を加えないために、自衛の手段などとっくに奪われているのである。

黒パーカーの少女「あはははははは!アライドールの名の通り!玩具は玩具らしく遊びに使われるんだな!」グルングルン

https://i.imgur.com/AckLR9Q.png

アライちゃん5「お…ごえ…」グルングルン

アライちゃん5は、ヨチラーヨーヨーとなってブンブン振り回されている。

黒パーカーの少女「いくぜー!ヨーヨーといえばこの技!ほっ!」グイイッ

https://i.imgur.com/Dr5Sq67.png

アライちゃん5「」ブラーン…

黒パーカーの少女「…きまったぜ」

黒パーカーの少女「飽きた。ゴミはゴミ箱にポイーっとな」ポイッ

アライちゃん5「」ヒュー ガコン

アライちゃん5は、ゴミ箱へ投げ捨てられた。

黒パーカーの少女「さーて、次はどいつにするか…」

アライちゃん3「ひぃ、ひぃ…!」ヨチヨチ

少女の目に留まったのは…
先程、金髪女児へあやとりとドヤ顔を披露していた自称天才のアライちゃん3である。

黒パーカーの少女「おーっとそうだそうだ。お前がいっちばんムカついた。おれを不快にさせた罪、死をもって償え」スッ

少女は、アライちゃん3を掴もうとした。

アライちゃん3「ばかめ!すきをみせたのりゃあ!たあ~!」バッ

黒パーカーの少女「ん?」

なんと、アライちゃん3は自ら少女の手へ飛び付いてきた。
そして…

アライちゃん3「てんしゃいさくしのありゃいしゃんのさくにはまったなぁ!ぶっこよちてやゆのりゃあ!」

アライちゃん3「しをもってちゅぐなうのは!おまえのほーなのりゃあ!はぐがぶぅ!」ガブゥ

https://i.imgur.com/5eFWYup.png

黒パーカーの少女「…」

…アライちゃん3は、薄く白い手袋で覆われた少女の手に噛みついた。

アライちゃん3「ありゃいしゃんのりゅーむめいとと!だいしゅきなてんいんしゃんと!いーこいーこしてくれゆ、おきゃくしゃんをぶっこよちたつみ!おもいしゆのりゃあ!」ガブゥ

アライちゃん3「ふぐぐーーっ!ゆりゅしゃないのりゃあ!しけーなのりゃあ!はぐがぶぅ!」アムアム

黒パーカーの少女「…」

思わぬ反撃をくらった少女。

果たして少女は、このままアライちゃん3に殺されてのであろうか…!?

つづく

アライちゃん3「はぐがぶうぅぅっっ!ふぅーっ!ふぅーっ!」アムアム

黒パーカーの少女「…」

アライちゃん3は、少女の指に噛みついている。

しかし…黒パーカーの少女に、大したダメージはない。

なぜならアライちゃん3は、アライドール手術により、鋭い牙が生えてこないようになっているからだ。

顎の力こそ弱くないものの…
歯の鋭さなど、柔らかいペットフードを咀嚼できる程度のもの。

肉を噛み千切ったり…
人に傷を負わせたりすることなどできない。

そう。
ここにいる愛玩動物のアライちゃん達は、人を傷付けることができないように…
鋭い爪も牙も奪われているのである。

おまけに、人を傷付けないように、しっかりと教育されている。

故に、このアライちゃん3も、人に危害を加えるのは、この日この時が初めてだったのである。

おまけに、不良ブタ箱に閉じ込められないために、アライちゃん3は喧嘩をすることも避けてきた。

敵との戦い方なぞ、学んだことは一度もない。

アライちゃん3「はぐがぶぅ!うぎゅうぅ~~っ!はやくくたばれえええっ!あむあむっ!」ハグハグ

…アライちゃん3は先程から指ばかり噛んでいるが、
それをいくら続けても致命傷になどなりはしない。


アライちゃん3は、人を傷付けることのない、無害な愛玩動物として、きちんと完璧に完成されているといえよう。

事実として、アライちゃん3に襲われている黒パーカーの少女は、傷ひとつ負っていないのだから。

黒パーカーの少女「おいおい…客に噛みつくなんて、なんて出来の悪い不良だ。こりゃきつい仕置きが必要だなぁ」

アライちゃん3「ぴっ!?」ビクゥ

黒パーカーの少女「これじゃ天才どころか不良品だなぁ。客に歯向かうなんて、虐殺用玩具として三流品もいいとこだ」

アライちゃん3「あ、ありゃいしゃん!ふ、ふりょーじゃ…!」ガクガクブルブル

黒パーカーの少女「不良品は!廃棄処分しなくっちゃあなぁーーーっ!」ギュウゥゥゥ

アライちゃん3「ぐえええええっ!」

少女は、アライちゃん3の胴体を握り締める。

黒パーカーの少女「降参っていうまでどんどん力を込めていくぜ!」ギュウゥゥゥ

アライちゃん3「こ、こっ…!」ブルブル

黒パーカーの少女「ああ~ん?どうした、もう降参する気か?ぶっ殺されたルームメイト達との絆はその程度かぁ?」ギュウゥゥゥ

黒パーカーの少女「あー可哀想なルームメイトと店員さん!おれを恨みながら死んでいったんだろうに!仇をとらずに保身に走るなんて情けない真似できねーよなぁ?」ギュウゥゥゥ

アライちゃん3「っ…!」ブルブル

追い詰められたアライちゃん3。

しかし、ルームメイトとの硬い絆で結ばれたアライちゃん3の復讐心は…




アライちゃん3「こーしゃん!こーしゃんしゅゆのりゃあああっ!こーしゃんしゅゆがりゃやべでええーーーーっ!」ピギイイィィィシッポブンブン

…あっさりと折れたようだ。

ちなみにルームメイトのアライちゃん達はともかく、店員は死んでなどいない。

アライちゃん3が、店員も殺されたと勝手に勘違いしているだけである。

黒パーカーの少女「あーーははははははっ!我が身恋しさに復讐を諦め命乞いするとは!やっぱり自分の事しか考えないクソ害獣だなぁーっ!あははははははっ!」ゲラゲラ

黒パーカーの少女は、手の力を緩めた。

アライちゃん3「ひぃ、はぁ…こ、こーしゃんしたのりゃ…!だから、たしゅけてぇ…!」ゼェハァ

アライちゃん3「か、かーいいありゃいしゃんが、まいにちせったいしてあげゆかりゃああっ…!」ブルブル

https://i.imgur.com/AiuwtRR.png

アライちゃん3は、怯えた目で黒パーカーの少女を見つめている。

黒パーカーの少女「おっ?許してほしいか?ちゃんと反省するか?悪いことしたって謝るか?」

アライちゃん3「ごめんなしゃいなのりゃあ!かんでごめんなしゃいなのりゃあ!こよそーとちてごべんなしゃいなのりゃああっ!」ヒグッグスッ

アライちゃん3は、泣きながら許しを請う。

アライちゃん3「お、おねがいなのりゃ…だぢゅげで…しにだぐないぃ…!ありゃいしゃん、もっともっといきて…いろんなおもちよいこと、いっぱいしりたいのりゃあっ…!」ブルブル

黒パーカーの少女「助けてあげると思う?」ニッコリ

アライちゃん3「う、うゆ…」コクコク

アライちゃん3は、首を縦に振っている。




黒パーカーの少女「許すわけねーだろーがハエガイジ!だいたい根本的に、謝るとこがちげーんだよ!」ガシィ

アライちゃん3「ぴぃいいいいっ!?」

少女はアライちゃん3の頭を掴んだ。

黒パーカーの少女「あははははははははははッ!クソ害獣に生まれてきてごめんなさいと!生きててごめんなさいと謝るべきだったなぁ!」グイグイ

少女はアライちゃん3の頭を掴み、ぐいぐいと動かしている。

アライちゃん3「ぴぎぃいいいいいいいいいいいーーーーーっ!ゆるじでええ!しにだぐないしにだぐないしにだぐないぃいいっ!ぴぎゅるるるるるぅっ!だぢゅげでえええーーっ!だれおいーがらだぢゅげでええーーーっ!」ピギイイィィィジタバタジタバタシッポブンブンブンブンブンブン

https://i.imgur.com/c1VR53F.png

先程、勇ましく果敢に挑んできたアライちゃん3。
今は必死に命乞いをし、泣きわめきながら首を横にぶんぶんと振り、少女の手の中で死に物狂いで暴れている。

黒パーカーの少女「そーら!生きてること自体が万死に値する絶対的存在悪のクソバエ不快害獣ゴミパンダは!さっさと殺処分しちゃおうねえええっ!」グイイメキメキ

少女はアライちゃん3の首を、だんだんと捻り始める。

アライちゃん3「ぎびぃいいいいいいいーーっ!いぢゃい、くびいぢゃいいぃいいいいーーーっ!いぢゃいのりゃあああーーーっ!てんいんしゃんっ!てんちょーーっ!だぢゅげでええーーーーっ!」ピギイイィィィジタバタシッポブンブンブンブン

アライちゃん3は、その小さな体で全力で暴れ、弱々しい力で必死に抵抗している。

黒パーカーの少女の手には、アライちゃん3の息づかい、体温、暴れまわる振動、爪のない指による引っ掻きが…

『生きたい』と願う、死への拒絶が。
『死にたくない』と願う、生への執着が。

両手に収まるほど小さなアライちゃん3の体から、人と同じように生きる生命の鼓動がありありと伝わってきた。

それら全てが。
アライちゃん3は我々人類と何も変わらず、必死に生きようとする意志を持つ、尊き命なのであると…訴えかけてくる。

黒パーカーの少女「ああー!?てめーみてえな生物未満のゴミクズに!いっちょまえに生きる権利があるわけねーだろうがあああッ!」グイイメキメキメキイィィッ

だが少女は、そんな生への訴えを完全無視し、アライちゃん3の首を捻った。

アライちゃん3「ぴぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」メキメキボギボギ

https://i.imgur.com/mQR5vhZ.png

アライちゃん3「びゅ!」ボギンッ

…アライちゃん3の首から、ひときわ大きな音が鳴った。

アライちゃん3「」ダラーン…

アライちゃん3は…

https://i.imgur.com/7mgo2wR.png

…首が変な方向に捻れ、だらんとして動かなくなった。

ほんの少し前まで、あれだけ暴れて泣き叫んで生きたいと訴えていたアライちゃん3は、もう何の訴えも発しなかった。

黒パーカーの少女「ふぅ、ちっとは立派なゴミらしくなったじゃねえか。ゴミはゴミらしく、飾らない姿のままでいればいい」ポイッ

アライちゃん3「」ドチャッ

少女は動かなくなったアライちゃん3を、床の上にポイ捨てした。

https://i.imgur.com/5jxli1R.png

様々な芸を覚えてアライカフェの客へ披露し、天才ともてはやされたアライちゃん3は…
まさしくゴミのように打ち捨てられたのであった。

一旦ここまで

続きは明日です

黒パーカーの少女「さーて、たしかあと3匹残ってたなぁ」キョロキョロ

少女は、店内の様子を見回す。

すると…

独身おじさん「っ…」ゴソゴソ

先程スープレックスを食らって倒れた独身おじさんが、寝たまま何か顔の前で手を動かしている…

黒パーカーの少女「何やってんだ?」ゲシィ

少女がそれに気付き、独身おじさんの手を蹴ろうとした。

独身おじさん「くっ!?…っ!」タタッ

独身おじさんはふらふらと立ち上がり、蹴りをかわした。

黒パーカーの少女「へぇ?」

独身おじさん「い、1、1…」ピポパ

独身おじさんは、スマートフォンを操作しているようだ。

警察に電話するつもりであろうか。

黒パーカーの少女「させるか!」ダッ

独身おじさん「は、発信さえすれば…きっとGPSとかで…!」クルッ

独身おじさんは、手裏剣を投げられないように、少女から見て向こう側の耳へスマホを当てている。

このまま独身おじさんが警察に電話をかければ…

仮に通話中にスマホを壊されたとしても…
スマートフォンの電話番号から、GPSによってこの場所が特定されてしまう。

街中なのだから、警察がやってくるのは早い。

店内にまだアライちゃんが3匹隠れており、店の奥の育児室には20匹ほど残っているが…

独身おじさんが電話を発信すれば、もうそれら全てを少女が虐殺する前に警察はやってくるであろう。

通報後に少女が逃走すれば、生き残ったアライちゃん達は助かり…

少女が虐殺を続行すれば、その現場を目撃されて警察に逮捕されるであろう。

そして、今の少女の位置からでは…
スマホへ手裏剣を投げて壊し、通報を妨害することは不可能である。

意地でもアラ虐を妨害し、アライちゃん達を全滅から守ろうとする独身おじさん。

どうやら、その意志は折れないらしい。

彼が無事に動ける限り、生き残りのアライちゃん達がこれ以上殺されることはないのである。

果たして…

今生き残っているアライちゃん達は、 無事にそのまま生き延びることができるのであろうか。

続きはあとで

独身おじさん「ぐっう…」ポチッ

独身おじさんの手は震えている。
目の焦点もあまり合っていない。

単に1、1、0と押して通話を送信するだけでよいのに、
数字を打ち間違えり、あらぬ所をタッチしている。

それはそうだろう。
先程、硬い床へ頭からまっ逆さまに落とされたのだから。

プロレスラーでも、硬い床上に受け身もとらず落ちたら無事では済まない。

当然、一般人の独身おじさんへのダメージは甚大だ。
脳震盪を起こしているし、今すぐ病院に担ぎ込まれ絶対安静にしなくてはならない状態だ。

もしもアライさんであれば…
こんな状態に陥ったら、あっさりと仲間を見捨て、死んだふりをするか逃げるかするだろう。

独身おじさん「っ…」ポチッ

だが…
独身おじさんは、アライさんなどではない。
人間なのである。

独身おじさんは、1、1、0と入力し終えたようだ。

独身おじさん「そ、送し…」プルプル

その時。

独身おじさんの両目へ、手裏剣が突き刺さった。

独身おじさん「ぎ…ゃあああああああああああああああああっ!」ポロッ

独身おじさんは、スマホを落としてしまった。

独身おじさん「がああああああ!目が!目がああああ!」ドクドクジタバタ

黒パーカーの少女「害獣なんぞを生かそうとするからだ。罪には罰を。因果応報だぜ、クソアラ信!」バチチチチチッ

独身おじさん「ぐあああっ…」ビリビリ ガクッ

独身おじさんは、目から血を流しながら、棒状スタンガンを押し当てられて失神した。

黒パーカーの少女「ったく…ここまでやって途中でアラ虐を止めろだと?そんな事誰が望むかバーカ!」ツカツカ

黒パーカーの少女「あんな害獣を可愛がるだなんて、見る目ないなお前。そんな役立たずの目なんて、なくても一緒だな!」ゲラゲラ

黒パーカーの少女「さーて、アラ虐パーリー再開だ!どこに隠れたかな…」キョロキョロ

黒パーカーの少女は、店内を歩き回り、生き残りのアライちゃんを探した。

途中で、店内で倒れている店員や客達へスタンガンで『充電』をしながら。

店員2「な、なんの騒ぎですか!?」ガラッ

店員3「うちのアライちゃん達が何か乱暴なことしましたか!?」タタッ

店長「すごい声がしましたよ!?」タタッ

店の奥から、店長と店員2名が様子を見にやってきた。

店長「な…!お、お客さんが、倒れてる…!?」

店員2「あ、あああ、アライちゃん達…どうしたの…!?」ブルブル

黒パーカーの少女「まーた外野が邪魔しに来た。今いいとこなんだから寝てろ!」シュババババッ バチチチチチッ

店長「あうっ!」ガクゥ

店員2&3「「かはっ…」」ドサァ

黒パーカーの少女「これで邪魔者はいなくなったな。」ツカツカ

店長「う、う…なん、で…」ブルブル

黒パーカーの少女「おや」

どうやら、店長はスタンガンの効きが弱かったらしい。

店長「なんで…こんな…ひどい…こと…」ブルブル

黒パーカーの少女「ひどい?アホか。ひどいのはあんな醜いクソ害獣を愛でてるてめーらの頭の方だ」

黒パーカーの少女「ハエガイジ共は駆除して楽しむのが正しいんだよ。愛でるだなんてとんでもねえ、吐き気がする!」

店長「そ…れ…じゃあ…来なければ…よかった…じゃ…!」ブルブル

黒パーカーの少女「来ちまったもんはしょうがない。そして存在自体が悪のクソ害獣の姿を見ちまったもんはしょうがない。あんなのを見て、生かしたままほっとくなんて胸糞悪くて仕方ねえ」

黒パーカーの少女「だからきっちり駆除してやったんだよ!ははははははは!ついでに、害獣愛護なんかで金儲けするクソアラ信の悪徳カフェを潰してやるのさ!一日一善ってね」

店長「あの…こ…たちは…害獣じゃ…ない…!悪徳…カフェ…なんかじゃ…ない…。お客さんは…喜んで…る…」ブルブル

黒パーカーの少女「客が喜んでるから害じゃなく善だと?まるで麻薬の売人の言い逃れだなぁ!存在自体が悪といわれるドラッグでも客は喜ぶだろうよ!同じだてめーらも!」バチチチチチッ

店長「あがっ…!」ビリビリ ドサァ

黒パーカーの少女「せっかくアラ虐を楽しんでたのに…水差すんじゃねーよ」ツカツカ

アラ虐を邪魔する邪魔者を排除した少女は、再び店内に隠れているアライちゃんを探し回る。

店内のこの部屋は、アライちゃんが脱走しないように、しっかりと出入口が閉まっている。

故に、アライちゃん達はこの部屋の外へ脱走することは不可能である。

黒パーカーの少女「…」スッ

少女は、タンスの裏と壁の隙間を覗いた。




https://i.imgur.com/g0rM8is.jpg




アライちゃん7「っ…」ブルブル

アライちゃん8「っ…!」ブルブル

そこには、息を殺して必死に身を潜める2匹のアライちゃんがいた。

黒パーカーの少女「…」スタスタ

少女は、アライちゃん達を放っておき、キッチンへ向かった。

少女は、キッチンからポットを持ち出し…

ポットで、アライちゃんの右側へお湯を注いだ。

アライちゃん7「!?あ、あぢゅいのりゃあああっ!」バシャア

アライちゃん8「ぴいいぃぃっ!あぢゅぃいいいーーっ!こっちにげゆのりゃああっ!」ピギイィィヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシャナリシャナリ

2匹のアライちゃん達は、ヨチヨチして左側へ逃げていく。

少女が注ぐお湯は、アライちゃん達を右側から追跡し、左側へ追い立てていく。

やがて…

アライちゃん7「あぢゅいのりゃあああーーーーっ!」ピギイィィ ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん8「やなのりゃあああーーーーっ!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ

…アライちゃん達は、タンスの隙間から出てきた。

黒パーカーの少女「だらぁ!」ガシィ ダンッ

少女は、2匹のうち…

アライちゃん7の頭を踏みつけ、

アライちゃん8を手で捕まえた。

アライちゃん7「ぴ…ぴっぎぃいいいーーーー!あだまふまないでええええっ!いぢゃいいぢゃいいぢゃいぃーーーーっ!」ジタバタシッポブンブン

https://i.imgur.com/nO3HNFD.png

踏みつけられたアライちゃん7は、必死で暴れて脱出しようとしている。

アライちゃん8「はなちて!はなちてえええーーーっ!ありゃいしゃんとおねーしゃんをはなしぇー!きゅるるるぅっ!」ジタバタ

アライちゃん7「いぢゃぃいいいいいいいいいいいいいいのりゃあああああああああーーーっ!」ピギイィィジタバタ

黒パーカーの少女「卍のヤツなら、こいつら同士を殺し合わせて楽しむんだろうが…」グリグリ

少女は、アライちゃん7の頭を踏みつける足にじわりじわりと体重をかけていく。

黒パーカーの少女「おれはそーいうまどろっこしーのは興味ねえ!害獣!即!ディスパッチ!」グシャアアッ

アライちゃん7「ぴぎゅ!」ゴリボギィ

アライちゃん7「」ビクッビクッ

アライちゃん8「おねー…しゃ…?」

黒パーカーの少女「くたばったよ、こいつは!次はてめーだ」スッ

少女はアライちゃん7から足をどけ、その無惨な姿をアライちゃん8へ見せつける。

アライちゃん8「お…おねーしゃ!おねlしゃああああっ!」ピギイィィ

アライちゃん8「はな…ぢで……ゆるじで…だじゅげで…」ガクガクブルブル

黒パーカーの少女「へー、じゃあM字開脚して命乞いしてみろよ」

アライちゃん8「え…えむじかいきゃく…なんなのりゃ…?」ブルブル

黒パーカーの少女「害獣のくせに知らねえのか?みんな知ってるもんかと思ってたが。地面に尻ついて、脚パッカーンって大きく開けばいいんだよ」

アライちゃん8「こ…こー…なのりゃ…?」パッカーン

https://i.imgur.com/uP7KNkx.png

アライちゃん8「いわれたとーりにしたかりゃあ…たちゅけてぇ…」ブルブル

アライちゃん8は、M字開脚して命乞いをしている。

黒パーカーの少女「うーん、なんか違うんだよなぁ」ガサゴソ

少女は、カッターナイフを取り出して刃を出した。

アライちゃん8「う、うゆ…?それなんなのりゃ…?」プルプル

黒パーカーの少女「ハエガイジM字開脚は、追い詰めてやったときに自分から、クソ程の価値もない股間を見せつけて交渉のつもりでやってくるからウケるんであって…」

黒パーカーの少女「おれから命令してやらせても、なーんも面白くねえ!」ガシィ

アライちゃん8「のりゃ!?」

少女は、左手でアライちゃん8の上半身を床へ押し付けて拘束した。

アライちゃん8「だ、だじゅげでくれゆんじゃなかったのかああ!?やぐそぐ、したのにいい!うしょちゅきぃい!きゅるるるぅっっ!ぴぎゅるるるるっ!」ピギイィィジタバタ

アライちゃん8は、必死でもがいて少女の左手から脱出しようとしている。

黒パーカーの少女「んな約束は初めっからしてねえ!自分に都合良く話をねじ曲げんじゃねーよガイジ!」ドズゥッ

https://i.imgur.com/daykJn8.png

黒パーカーの少女が握るカッターナイフが、アライちゃん8の下腹部に突き刺さった。

アライちゃん8「びぎゃああああああああがあああああああああ!いぢゃいのりゃあああああああああーーーーーーーーーーっ!」ピギイィィ ブシュウウゥウ

傷口から、とめどなく血が吹き出て溢れる。

黒パーカーの少女「今日の理科の授業は、ガイジの解剖でーす★」ザグザグ

アライちゃん8「やべでやべでやべでぎびゃあああああああああああああいっっぢゃあいのりゃあああああああーーーーーーっ!」ブシュウウゥウ

アライちゃん8は、腹をざっくりと切り裂かれ、傷口から内臓が飛び出た。

黒パーカーの少女「ふぅ。あと一匹…どこだ?」キョロキョロ

少女は、この部屋にいるであろう最後の一匹を探した。



アライちゃん9「はぁ、はぁ…」ブルブル

アライちゃん9は、必死に身を潜めて、ある場所へ隠れていた。

https://i.imgur.com/anSzOD1.png

アライちゃん9「こ…ここならぜったいみつからないのりゃ…。みつかっても…ぜったいつかまらないのりゃ…」フルフル

だったらまず思ったことを何でもかんでも口に出す癖をやめろと言いたいところだが…

生憎、今の独り言は黒パーカーの少女には聞こえていなかったようだ。

アライちゃん9「たしゅけて…だれか…!あのふりょーを…やっちゅけてぇ…」ブルブル


必死に隠れるアライちゃん9。

果たして、アライちゃん9は見つからずに済むのであろうか。

一旦ここまで

黒パーカーの少女「…ん?」ピタッ

少女がソファーを見ると…
何かがふと、目に留まった。

https://i.imgur.com/fAJ5zSH.png



…ソファーの下から、なんかはみ出ている。

黒パーカーの少女「えぇ…」

…どういうことであろうか。

あれはどう見ても、アライちゃんの尻尾だ。

しかも少女は、少なくとも殺したアライちゃんの尻尾をあんなとこに置いた覚えはない。

…とすると、隠れているアライちゃん9の尻尾であろうか?

しかし、あんなに露骨にはみ出ていては、隠れるもクソもない。

黒パーカーの少女「…」

少女は、かつて自分の尻尾を切り離して窮地を脱した害獣がいると聞いたことを思い出した。

もしかしたら…
あれは、仲間の死骸から尻尾を切り取って、囮にしているのではないだろうか…そう少女は思った。

だが、どっちにしろ、あれが何か確かめないわけにはいかない。

少女は用心しながら、ソファーの下から出ている尻尾へ近づき…

それを握った。

ソファーの下からの声『ぴぎぃいいいいいい!?ば、ばれたのりゃあああっ!?』ビクゥ

黒パーカーの少女「…」

尻尾から、アライちゃんが暴れる感触が伝わってくる。

ソファーの下からの声『はなちて!はなちてぇえ!やーなのりゃあああ!ありゃいしゃんしにだぐないのりゃあああああっ!』ピギイィィジタバタ

黒パーカーの少女「えぇ…」グイイ

少女は呆れながら、掴んでいる尻尾をぐいぐいと引っ張った。

https://i.imgur.com/FWeJ65b.png

アライちゃん9「ぴぃいいいいいっ!」スポッ

黒パーカーの少女「…」グイイ

アライちゃん9「はなぢで!しっぽはなぢでええっ!うゆぅぅ!なんでばれたのりゃああああっ!」ピギイィィジタバタジタバタ

なんと…
アライちゃん9は、何の罠も張っていなかった。

ただ単に、尻尾が隠れていないのに気付かなかっただけであった。

黒パーカーの少女「なんでばれたって…てめーガイジにも程があるだろ。ソファーの下から尻尾がはみ出てるんだよ」

アライちゃん9「しっぽ!?しっぽがでてたのりゃ!?う、うゆぅぅ…!」

アライちゃん9は、生まれてこのかた外敵に襲われたことなど無い。

故に、誰かから逃げたり、隠れたりしたのも今回が初めてである。

育児室では、『かくれんぼ』のような遊びは店員から禁止されている。

なぜなら、隠れるのが上手くなってしまうと、店員から隠れるようになる可能性があるためである。

よくかくれんぼで遊ぶ野良アライちゃんであれば、こんなミスを実戦ではしなかったであろう。

アライちゃん9「う、うゆぅ…!ありゃいしゃんの、おーきくってふわふわなかーいいかーいいしっぽのせいなのかぁっ…!」ブルブル

黒パーカーの少女「そうだよ。お前の尻尾が全部悪い。尻尾のせいで、お前はこれから殺されるんだ」

アライちゃん9「ぴ…ぴぃいいいいいいいいーーーーーーーーーーーっ!!お、おきゃくしゃん…おねがいなのりゃ…もうこーゆうわゆいことやめゆのりゃあ…!」ブルブル

黒パーカーの少女「悪いこと?ばーか。これは善行だ。麻薬を使った悪徳商売のアジトを壊滅させるのと同じように…。ハエガイジを使った悪徳商売のアジトを壊滅させる!それだけさ」

黒パーカーの少女「しかし…。俺はヒーローではあるが鬼じゃねえ。チャンスをやるよ」

アライちゃん9「ち…ちゃんすなんなのりゃ…?」

つづく

黒パーカーの少女「ああ。尻尾のせいで見つかって悔しいだろ?それじゃあ、リベンジさせてやる。もう一度かくれんぼやろうぜ」

アライちゃん9「う、うゆ…」ブルブル

黒パーカーの少女「今からお前を逃がしてやる。30秒のうちに隠れな。それから10分間、俺に見つからずにやり過ごせたら、殺さずに帰ってやるよ」

アライちゃん9「う、うぅ…わかったのりゃ…」ブルブル

黒パーカーの少女「逆に見つけたら駆除するけどな」

アライちゃん9「ぴいぃぃっ!?うぅ…もうしっぽみつからないよーにしないと…」シッポフリフリ

アライちゃんは遊ぶことが大好きな生き物である。
しかし、こんな命がけのデスゲームでは楽しめるはずもない。

黒パーカーの少女「いーや、その心配はいらねえ!大サービスだ!」ガシィガシィ

アライちゃん9「のりゃ!?」

少女は、左手でアライちゃん9の胴体を、右手でアライちゃん9の尻尾を掴んだ。

黒パーカーの少女「てめーがもう尻尾のせいで見つからないように!尻尾を千切ってやらぁ!あははははははははっ!」グイイグイグイ

https://i.imgur.com/QMYbzak.png

アライちゃん9「びぎゃあああああああああああああ!いぢゃいいいぃ!しっぽいぢゃいのりゃあああああああーーーーっ!やべでええええっ!」ピギイィィジタバタ

少女は、アライちゃん9の尻尾を引っ張っている。

黒パーカーの少女「だらぁ!」グイイブヂイィィッ

https://i.imgur.com/nqQViUw.png

アライちゃん9の尻尾が千切れた。

アライちゃん9「いぢゃあああああああああああああああいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいのりゃああああああああああああーーーーーーーーーーーーっ!!!!」ブシュウウゥウ

アライちゃん9は、白目を剥き、口を大きく開け、物凄い表情で絶叫した。

千切った尻尾は、少女の右手の中でウゾウゾと蠢いている。

アライちゃん9「びいいいいいいいいいいいいいぎゃあああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーっ!いいいーーーぢゃいのりゃあああああああーーーーーーーーーーーーーっ!」ピギイィィジタバタジタバタ

大激痛の苦しみに悶え、じたばたと暴れまわるアライちゃん9。

アライちゃんの尻尾の断面からは、それほど多くの出血はない。
普通の動物なら、出血が物凄いことになっているはずだが…。

また、アライさんは哺乳類であるにも関わらず、千切った尻尾が3週間もすれば再び生え始めてくることが確認されている。

どんなメカニズムであるかは、全く解明されていない。

…しかし。

黒パーカーの少女「ほーら、てめーの尻尾だ」ポイッ

尻尾「」ウネウネ

アライちゃん9「あ、あああ…!あ、ありゃいしゃんの、かーいいふわふわしっぽぉ…!とれちゃったのりゃああ…!」ズキズキ

アライちゃん9「のぉおおおおおおおおーーーぁああああああーーーーーーーーーーんっ!のぉぁああーーーーーーーーーーーんっ!」グイグイ

アライちゃん9は泣きわめきながら、自分の尻へ尻尾の断面を押し付けて、くっつかないか試している。

だが、どう頑張ってもくっつかないので、諦めたようだ。

アライちゃん9「のぉぁああーーーーーーーーーーーんっ!ありゃいしゃんのしっぽおおおおおーーーーっ!くっつかないのりゃああああーーーっ!」ピギイィィ

アライちゃん9「やなのりゃああああああああーーーーーっ!だいじなだいじなしっぽなくなっちゃうのやなのりゃあああああーーーーーーーーーっ!びえええーーーんっ!」ビエエエーーンッ ジタバタ

アライちゃん9「いぢゃいのりゃいぢゃいのりゃいぢゃいのりゃぁあああーーーーーーーっ!いぢゃいぃーーーーっ!いいいいーーぢゃいいいーーーーっ!てんいんしゃんだぢゅげでえええええーーーーっ!」ピギュルルルル

アライちゃん9は、今までの人生で尻尾を千切られたことなど一度もない。

故に、自分の尻尾がやがて生えてくること自体を知らない。

自分はもう尻尾を失ってしまったと思っているのである。

黒パーカーの少女「ははは!それじゃかくれんぼ再開だ!いーち、にーい…」

アライちゃん9「まってえええええええーーーーっ!しっぽいぢゃぐっでにげれないのりゃあああーーっ!まってええーーーっ!」ピギイィィ

カウントダウンが始まったが、アライちゃん9は激痛のせいでなかなか逃げ出せない。

野良アライちゃん達は、厳しい生活の中で、生きるため激痛に必死に耐えるガッツを身に付ける。

しかしカフェアライちゃん達は、怪我しないように大事に大事に、店員達に愛されて育ってきた。

このカフェを訪れる客達にも虐められることなく、優しく可愛がられてきた。

喧嘩をすることも禁止である以上、苦痛そのものをあまり味わったことがない。

故に、痛みに耐える心は野良アライちゃんよりはるかに劣るのである。

…だが、それでも。

黒パーカーの少女「しーち、はーち…」

アライちゃん9「ふんぐぐぐぐ…!にげて、かくれなきゃ…!」ブルブル

今は駄々をこねていても仕方ない。
生きるためには、痛くても逃げて隠れねばならない。

…アライちゃん9の生存本能の訴えに従い、アライちゃん9は逃げ隠れるためにヨチヨチしようとした。

アライちゃん9「う、うゆ…!?」ブルブル

しかし、その思いとは裏腹に…
アライちゃん9の体は、その場から進まない。

アライちゃん9「あ、あゆげないのりゃあ…っ!?」グイグイ


https://i.imgur.com/gAQC8Lw.png


アライちゃん9「うぅー!ぅううーーっ!」ブルブル

アライちゃんは知っての通り、頭がデカくて重い。
そんな珍妙な体型でヨチヨチしようとするならば、頭の重さで体が前に倒れることがないように、体の後方でバランスをとる必要がある。

それが、アライちゃんの尻尾である。

アライちゃんの尻尾は、ヨチヨチするときのバランサーなのである。

それが無くなったということは…

アライちゃん9はもう、頭の重さのせいで、ヨチヨチして進むことができないということだ。

黒パーカーの少女「にじゅーいち、にじゅーに…」

アライちゃん9「うごげええええええええ!うごげええええええええ!きゅるるるるるぅっ!しにだぐないのりゃああああっ!」グイグイズルズル

しかしアライちゃん9は激痛に耐えながら、四本の手足で必死に自らの体を前方に押し出し、進もうとしている。

アライちゃん9「ありゃいしゃんは!いきてかえゆのりゃああっ!きゅるるるぅっ!」グイグイ

黒パーカーの少女「はい、30秒」

だが時間は無慈悲にも30秒を過ぎた。

アライちゃん9は、30秒前の場所からほとんど進んでいない。

黒パーカーの少女「みーっけ」ブンッ

少女は、アライちゃん9に向かって思いっきりバットを振り下ろした。





https://i.imgur.com/LP0xm1Z.png





アライちゃん9は、頭が潰れて破裂した。

黒パーカーの少女「害獣は害獣らしくゴミになってろ」ツカツカ

このアライカフェの収益源であり、客も店員も喜ばせ、可愛がられてきたアライちゃん9。

その命は、人間にとって紛れもなく『益獣』であった。

だが…
その辺の害獣と何ら変わらない扱いを受け、少女に駆除されたのであった。

黒パーカーの少女「さーて。確か残りの害獣は、店の奥で寝てるっていってたな。どこだろ」ガサゴソ

少女は、店長や店員のポケットから鍵を奪った。

黒パーカーの少女「一応、充電しといてっと」バチチチチチッ

少女は、店内に倒れている客や店員達へ、再び棒状スタンガンで電気を流した。

特に金髪女児は、顔の色が明らかに悪く、口から泡を吹いて痙攣していたというのに…。

黒パーカーの少女「理不尽な暴力だとか勘違いすんなよ。おれも好き好んでお前らを傷付けてるんじゃねえ。アラ虐が邪魔されないなら、それでいいんだ」

黒パーカーの少女「一番大事なのは、ハエガイジ共を駆除することだ。それ以外は、ぶっちゃけどうだっていいんだよ。邪魔さえしなけりゃな」ツカツカ

黒パーカーの少女「お前らは邪魔しようとするから、そうなったんだぜ。お前らのせいでアラ虐が中断されたら萎えるなんてもんじゃねーんだよ」ハァ…

黒パーカーの少女「お前ら含む人間が、誰も傷付かずに、ハエガイジ共だけを駆除できれば一番いいのに…そんなことも分からず邪魔してくるとは馬鹿な奴らだ」

黒パーカーの少女「だったら邪魔者を排除するのは仕方ないよなぁ?ハエガイジ駆除を中断するよりずっとマシだ。悪いのはお前らの方だ。被害者ヅラしてんじゃねえぞ」ツカツカ

黒パーカーの少女「さーて。店の奥に行ってみるか」ツカツカ

少女は鍵を持ち、店の奥へ進んだ。

~アライちゃん育児室~

黒パーカーの少女「ここか」ガラッ

アライちゃん12「すぴー…すぴー…」

アライちゃん13「のりゃあ…のりゃあ…」スヤスヤ

アライちゃん14「のだぁ…のだぁ…」スヤスヤ

https://i.imgur.com/yc5tJhW.jpg

アライちゃん育児室では、相変わらず20匹ほどのアライちゃん達が寝ていた。

黒パーカーの少女「うげぇ気持ち悪い…。鳥肌立つわ。一匹残らず駆除してえ」

アライちゃん15「うゆ?」パチクリ!
アライちゃん16「おきゃくしゃんなのりゃ?」コスリコスリ
アライちゃん17「むにゃ…なんでこっちにおきゃくしゃんがいゆのりゃ?」クビカシゲ
アライちゃん18「ありゃいしゃんおやすみしてたのに…。なんでおふのひまでおきゃくしゃんのかおみなくちゃいけないのりゃ…」イライラ
アライちゃん19「あいてしゅゆのめんどーなのりゃ」コスリコスリ
アライちゃん20「うゆ、これは…ちゃんすなのりゃ!」キラキラ
アライちゃん21「このおきゃくしゃんをみんなで『せったい』すれば、ごはんいーっぱいもらえゆぞぉ!」シッポフリフリ
アライちゃん22「おおー!せったいしゅゆのりゃ!よろこばせゆのりゃー!」シッポフリフリ
アライちゃん23「おきゃくしゃーん!ありゃいかふぇーへよーこそなのりゃあ!」ヨチヨチ
アライちゃん24「かわいーありゃいしゃんといっしょにあそんで、いやされゆのりゃー!」ヨチヨチ
アライちゃん25「のりゃっ!のりゃっ!」ヨチヨチシッポブンブンヨチヨチシッポブンブン

ウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
ノリャノリャノリャノリャノリャノリャノリャノリャシッポフリフリシッポフリフリシッポフリフリ


アライちゃん達は少女の侵入に気付き、接待を始めようとする。

黒パーカーの少女「やあやあ!今日は美味しいおやつをいーっぱい持ってきたぜ!みんなで食べなよ!」スッ

少女は、バックから煎餅を出してアライちゃん達へ見せた。

煎餅がパッとバックから出てくるあらり、この少女の好物なのであろうか。

アライちゃん26「おやちゅ!?おやちゅほちーのりゃあ!」ヨチヨチシッポフリフリ
アライちゃん27「たべたいのりゃー!」ヨチヨチシッポフリフリ
アライちゃん28「のりゃっ!のりゃっ!≧∀≦」ヨチヨチヨダレダラダラ
アライちゃん29「おやちゅたべゆのりゃ~!」ヨチヨチシッポフリフリヨチヨチシッポフリフリ
アライちゃん30「ちょーだいなのりゃああ!」ヨチヨチコスリコスリ

アライちゃん達は、少女の足元へ群がった。
先程の餌では物足りなかったのであろうか。

https://i.imgur.com/Wdu6vx6.jpg

アライちゃん12~30「おやちゅほちーのりゃ!おやちゅくだち!」コスリコスリ

アライちゃん達は、少女の足に抱きついたり、芸を見せたりしておやつをおねだりしてくる。

黒パーカーの少女「はぁ~…くそきめぇ…」

続きはあとで

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