【モバマス】楓さんで安価 (1000)
楓さんで安価をもらって書きたいと思います
エッチなのとグロいのはちょっと書けません……
皆さんの思う楓さんを教えてくださいな
まずは、>>3の楓さんを
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1515156470
ライダー
ライダーな楓さんですか
ちょっと書いてみます
チャレンジ番組で取ることになったバイクの中型免許
長期間のロケの末、何とか撮ることができました
車はもちろん、免許証を持つということが初めてだったので
受け取る時はそれはもう嬉しかったです
私が免許証を受け取り、そのロケは終わったのですが
せっかく取った免許なので、バイクを購入してみようと思います
と、意気込んでみたはいいものの……
私にはそういった知識もないですし、どうしようかと悩んでいた時です
お仕事が終わり、事務所に戻ると、何やらバイクの話題が飛び交っていました
「お疲れ様です。バイクのお話ですか?」
これは良いお話が聞けると思い、菜々さんと夏樹ちゃんに声を掛けます
「楓さんか、お疲れ様です」
「お疲れ様です、楓さん。夏樹ちゃんにバイクの雑誌を見せてもらってるんですよ」
「菜々がいけるクチでね、旧車の事を良く知ってるんです」
「ヨンFour、FX、それにニンジャ……渋いですよねぇ」
よんふぉあ、えふえっくす? 忍者さんってバイクがあるのかしら
「私も見せてもらってもいいですか?」
「いいですよ、ほら」
夏樹ちゃんから雑誌を受け取り、ぺらりとめくる
バイクと一言にしても、色々なメーカーと形があるんですね
角ばっていたり、丸っこいデザインのものもある
それにとてもカラフルで、眼を楽しませてくれます
そして、何ページかめくった時、私はそのバイクに釘付けになりました
「あ……これは何て言うバイクですか?」
まぁるいライトに、ライムグリーンのカラーリング
教習所で乗ったバイクより、とても綺麗に思えました
「これはKH250、通称『ケッチ』て言うんですよ」
夏樹ちゃんがそう教えてくれました
「これは最終型ですね、このカラーが目を引きますねぇ」
菜々さんが細かく、補足してくれます
「ケッチ……ですか」
ケッチ、ケッチ? 頭の中で反芻してみる
うん……何だか可愛らしく思えてきました
「ちなみに、これはどこで買えるんですか?」
「え、買っちゃうんですか?」
「ナナは止めませんけど……高いですよ?」
2人がびっくりしてますけど、これは正に運命の出会い
きっとこの機会を逃すと、もう出会えないような気がして……
「大丈夫です」
胸を張って、声高らかに宣言します
「ケッチなことは言えないです♪」
その日は夏樹ちゃんに雑誌を貸してもらい
お部屋に戻った後も、お酒を飲みながらケッチの写真を眺めていました
ケッチ……ケッチ君? それともケッチちゃんかしら?
お酒のグラス越しに見るケッチの写真はきらきらと輝いて
思わず、頬が緩くなってしまいます
いけないいけない、まだ買ってもいないのににやけちゃって……
「ふふふ♪ 早くアナタに乗ってみたいですね」
私の独り言に、からりと氷が返事をしました
それから数日後、夏樹ちゃんから連絡がありました
夏樹ちゃんと拓海ちゃんにお願いをして探してもらっていたのですが
こんなに早く見つかるとは思いもしませんでした
早速、夏樹ちゃんと一緒にお店へと向かう事になったのですが
心が浮つくのを止めることができなくて、夏樹ちゃんに迷惑をかけてしまいました……
「楓さん……嬉しい気持ちはわかりますけど」
「はい……反省してます」
これじゃいけませんね、もっとちゃんとしないと
何と言っても、これからケッチちゃんとご対面なんですから!
「顔がにやけてますよっと……お、着いた着いた」
夏樹ちゃんが先行して、お店の方とお話をしています
その間に呼吸を整えようと、軽く深呼吸
すぅはぁ……すぅはぁ
「楓さん、こっちみたいです」
「は、はいっ……」
深呼吸をしたけれど、まったく意味はなくて
私の胸の鼓動は早くなっていくばかり
でも、それは嫌なドキドキじゃなくて
恋にも似たような焦がれた気持ち
さぁ、楓。ケッチちゃんを迎えにいかなくちゃ
夏樹ちゃんの声がするほうへと向かうと、そこにはたくさんのバイク
そして、ぴかぴかのケッチちゃんが佇んでいました
「わぁ……綺麗……」
まるで写真がそのまま飛び出てきたような錯覚
いえ、ライムグリーンのカラーリングは実物のほうが綺麗かも
「ほら、楓さん」
夏樹ちゃんの声で我に返って、ケッチちゃんにそっと触れてみます
……金属のパーツで出来ているのに、ちょっと暖かいような、そんな感じがしました
「どうです? ケッチとのご対面は」
にやにやとした夏樹ちゃんが私の顔を覗き込んできます
「感動です……ありがとう、夏樹ちゃん」
夏樹ちゃんの手を両手で包み、きゅっと握りました
「あーっと……探してくれたのは店の人ですんで」
少し照れたような夏樹ちゃん
「ううん、夏樹ちゃんも頑張ってくれたから」
「……楓さんにそんなことを言われると照れちまうな」
「そうそう、エンジンもかけていいみたいですよ」
「エンジン……緊張しますね」
夏樹ちゃんから説明を受けて、エンジンをキックスタートさせてみます
スカートで来なくて正解でした
それはさておき
ケッチちゃんを起こしてあげましょうか
キックにそっと足を置いてから、ぐっと踏み込みこみました
ケッチちゃんのおはようの挨拶はとても凄くて
びりびりと体が痺れれるような、そんな挨拶
そして、ケッチちゃんの鼓動が私の胸の鼓動をかき消すように響く
「おはようございます、ケッチちゃん」
ケッチちゃんだけに聞こえるように、小さく挨拶を返して
私の新しいお友達は、機嫌が良さそうに声を上げるのでした
おしまい
こんな感じで書いていきますので、よろしくです
そうそう、単語だけでも書けることは書けるのですが
シチュエーションとか書いてもらえると、助かっちゃいます
それでは、見てくれた方に感謝を
安価の続きはまた明日です
>>120 ちゃんとお手入れしていればそういうことはないので
けがないだけに フフッ…
プロデューサー
プロデューサーな楓さんですか
ちょっと書いてみます
「プロデューサー、お話があります」
「はい、何ですか?」
私の言葉に、キーボードを打ちながら答えるプロデューサー
むぅ……人と話すときは目を見てきちんと聞きましょう
「ふぅっ」
吐息を耳にかけるとプロデューサーが飛び跳ねました
口をぱくぱくさせながら、何が起こったかわからない顔をして
「あ、あんた何やってんだ……」
「ふうってしました」
別に変なことしてませんよ? ええ
「……はぁ、わかりました。それでお話とは?」
観念したのか、プロデューサーが私に向き合います
む、何ですかそのがっかりした顔は
こほんと、一つ咳ばらいをして、ゆっくりと口を開きます
「貴方は働きすぎです。よって、一週間のお休みを差し上げまーす♪」
わーぱちぱちー!
「……」
あら? 反応が薄いですね
「すみません、盛り上げが下手で……」
「え? そこじゃないですよ。ただ、うちに代わりのプロデューサーはいないじゃないですか」
流石プロデューサー、良い所に目をつけます
「私が「あ、私が代わりにやるとかは無しですよ」」
何なんですかこの人は……エスパーさんですか?
「……」
「はぁ、そんなことだろうとは思いましたけど」
「よよよ……」
「泣きまねをしても駄目ですよ」
……もっと演技力を磨かないと駄目みたいでした
「良いんですよ。俺は皆のために働くのが楽しいんですから」
「プロデューサー……」
そう、確かにこの人は皆のために頑張ってくれている
自分の身を削ってまでも……
誰よりも遅く帰るのに、誰よりも早く出社して
その証拠に、今こうして話している彼の目の下には濃いクマが出来ている
でも、この人はきっとわかっていないんです
その『皆』が彼のことをとても心配していることを
だから、だから……少しでもお休みを取ってほしい
「嫌なんです、空元気な貴方を見るのは……」
このままじゃ、きっと近いうちに彼は体を壊してしまう
だから、ここは無理やりにでも……
「楓さん……」
ごめんなさい、プロデューサー
私は悪い女です……
「え~い♪」
勢いよく彼の腕の中に飛び込む
「え……どうしたんです楓さ……」
「はい、笑ってくださいねー♪」
カメラを持ったちひろさんが、良いアングルでシャッターを切る
「あらあら、これは大変♪ オフィスラブですかー?」
「きゃあ♪ 見られちゃいましたー」
とんだ茶番ですが、知らない人が見ればどうなりますかね?
「……ああああ! はかったなちひろぉ!!」
どうやらプロデューサーも気付いたようです
頭が切れる所もとっても素敵ですよ♪
「さて、プロデューサーさん? 後はわかりますよね?」
いつもの優しい笑顔のちひろさん
このメンタルの強さは見習いたいところです
「……わかりました。休めば良いんでしょう」
「はい、その通りです」
ちひろさんの言葉の後に、プロデューサーがため息を吐いて
「ただし、一週間は長すぎます。三日で十分です」
私とちひろさんは目で合図を出して、それからゆっくりと頷きました
「それではもうお仕事は終わりです。帰っちゃってくださーい」
ぎゅうぎゅうとプロデューサーを押し出していくちひろさん
……良いな、私も混ざっちゃおうかしら
「楓さん」
「はい、なんでしょう?」
ちひろさんに押し出される前に、プロデューサーが真剣な面持ちで私に話しかける
「気を遣わせてすみません。それと、困ったらいつでも連絡を」
「……わかりました」
貴方は人が良すぎです、プロデューサー
「さて、作戦成功ですね」
「そう……ですね。こんなことに付き合わせてしまってすみません」
ちひろさんに深々と頭を下げます
「止めてください楓さん。無理やりにでも休ませる必要があったんですよ」
「……」
少し胸は痛むけれど、あの人のことを思えば仕方のないことです
「ところで楓さん?」
「何ですか」
笑顔のちひろさんが、すっと真顔になりました
「本当にプロデューサーの代わりを務めるんですか?」
あの人の代わり……
きっと私が思うより大変なことに違いない
けれど、私が頑張らないと、あの人がゆっくり休めないものね
「ちひろさんに迷惑をかけるかもしれませんが……よろしくお願いします」
ちひろさんはまたいつもの笑顔に戻って、頷いてくれました
プロデュース業一日めの朝
いつもより早く目覚まし時計が鳴りました
「……ね……む」
布団さんの暖かい抱擁から抜け出せません
ああ、私には心に決めた男性が……
「起きなきゃ……」
冷水で顔を洗い、濃いめのコーヒーを入れます
朝弱いのも直さなきゃいけないわね
「おはようございます」
冬の冷たく突き刺すような風を感じながら、事務所へ着きました
まだ誰もいない静かな事務所
いつもの賑やかさが嘘のようです
そして……
いつもの席に、いつもの人はいませんでした
「おはようございます」
「おはようございまー!」
しばらくしてから、ちひろさんと元気な声が事務所に響きます
「おはようございます、ちひろさん。それと薫ちゃん」
「楓さん、何だかせんせぇみたいなカッコしてる」
「ええ、先生代理です。えっへん♪」
おおーと、薫ちゃんが拍手をくれました
…………
………
……
「つ、疲れました」
スケジューリング、年少組の送迎、そして付き添い
これじゃ体がいくつあっても足りません……
こんな過酷なことを一人で毎日やってたんですね
申し訳なさと、悔しさで、視界が徐々に滲んでいく
「……あの人が帰ってくるまで頑張らなきゃ」
頬をぴしゃりと叩き、背筋を伸ばします
明日に備えて準備しましょう
一日目、二日目と、何とか無事に終わり
そして、三日目
「楓さん、ドリンクの差し入れです」
ちひろさんが見たことのないようなドリンクを差し入れてくれました
「ありがとう……ございます」
それを飲むと、少し体力が回復したみたいで
「それでは、現場を見に行ってきます」
「はい、お気をつけて」
さて、今日も頑張って乗り切りましょう
今日は確か加蓮ちゃんのロケを見に行って、それから……
タクシーの中で手帳に目を通し、確認を行います
車の揺れが心地よくて、つい寝そうになりますが、足をきゅっと抓って我慢
「……元気にしてますか?」
誰にも聞かれない独り言
無意識に出た言葉に、心が折れそうになって
負けないように、くじけないように
そっと自分を抱きしめた
加蓮ちゃんの現場に着くと、何やら変な空気に気付く
怒声が響き、周りが止めているみたいだけれど……
そして、もう一回その声が聞こえた時、それが誰の声なのか確信しました
間違いなく加蓮ちゃんの声
スタッフの人たちをすり抜け、加蓮ちゃんを見つけ……たのですが
そこにいる加蓮ちゃんは私が見たこともないほど怒っているようで
その怒りの矛先を確認しみると
……まずいです、それなりの大物俳優でした
「ふざけないで! アンタ何様なの!!」
「うるせーお子様だな、耳がいてぇや」
相手の飄々とした態度に、加蓮ちゃんはぷるぷる震えた後
「このっ……!」
右手を大きく振りかぶり、相手を叩こうとして
「待って加蓮ちゃん」
「止めないで! って、楓さん?」
後ろから抱き留める形で何とか止めることができました
「な、何で……あ、そうか」
良かった、まだ話はできる状態みたい
「落ち着いて、ね? それから話を聞かせてもらえるかしら」
私の言葉を聞くと、加蓮ちゃんがきっと相手を睨み付ける
「最近のガキは怖えなぁ」
ひゃっひゃっと笑う相手に、わたしも不快感を覚えました
ですが、状況がわからないことにはどうしようもありません
「そのガキのっ……お、お尻触ったのはどこのどいつよ!」
なるほど、そういうことですか
「この度はうちの北条がお騒がせして申し訳ありません」
深く頭を下げます
「待ってよ楓さん! なんでこんな奴に頭下げてんの?」
加蓮ちゃんの言いたいことはごもっとも
けれど、今はこうして頭を下げなくちゃいけないの
「へぇ……アンタは話がわかるみたいじゃないか」
じろじろと、まるで値踏みされているかの視線を感じる
「北条に代わり、お詫び申し上げます」
もう一度頭を下げると、相手が近づいてきます
「そうか、俺も悪かった。すまん」
あら? 案外話が通じる人なのかしら
ともあれ、これで終わ……
「でもよ」
はっとして頭を上げると、とても醜い笑顔を浮かべていて
「この子のせいで耳がやられちまった」
「こりゃ慰謝料が必要じゃねえのかな」
にたにたと、下卑た笑いで
「それともよ」
私の横に立つと、ぐいっと肩を抱かれて
「アンタと遊ぶのも面白そうだな」
周りに聞こえないように、ぼそりと呟きました
どうしよう、どうしたらいいの……?
あの人ならどうやって解決するの
いつも傍にいてくれるあの人なら、私を守ってくれるあの人なら
頭がパニックになって、体が震えているのがわかる
「なに、酷いようにはしねぇよ。な?」
……怖い、力が強くて逃げ出せないし、ただ怖い
皆の為に頑張るって約束したのに……ごめんなさい、プロデューサー
「そろそろ勘弁してもらえないでしょうか?」
聞こえないはずの声が聞こえる
「こちらとしても大事にはしたくないんですよねぇ」
そして、いないはずのあの人が、いる……
「そうそう、うちの北条の体を触ったらしいじゃないですか」
私を強引に引っ張って、相手から引き離してくれた
「困るんですよねぇ、うちのアイドルはそんなに安くないんです」
全部の感情がぐちゃぐちゃになって、涙が零れるのがわかった
「はい、コーヒーです」
「ありがとう、ございます……」
缶コーヒーの暖かさが手に染みる
「いやぁ、災難でしたね」
困ったように笑うあの人に、安心して
「怖かった、です」
肩に頭を預ける
「もう大丈夫です、もう楓さんは頑張らなくていいんですよ」
「プロデューサー、でも……私」
あの人の人差し指が私の声を遮る
「大変でしたね、慣れないことをさせてすみませんでした」
こんな時でも人のことを心配するんなんて、お人好しすぎます
「ばか」
「ばかで良いです、じゃないと楓さんたちを守れませんし」
その声はとても優しくて、嬉しくて
「もう少しだけ、このままで……」
「ええ。楓さんの気が済むまで」
今はこの気分に浸らせてください
おしまい
「もう大丈夫です、もう楓さんは頑張らなくていいんですよ」
「プロデューサー、でも……私」
あの人の人差し指が私の声を遮る
「大変でしたね、慣れないことをさせてすみませんでした」
こんな時でも人のことを心配するんなんて、お人好しすぎます
「……ばか」
「ばかで良いです、じゃないと楓さんたちを守れませんし」
その声はとても優しくて、嬉しくて
「もう少しだけ、このままで……」
「ええ。楓さんの気が済むまで」
今はこの気分に浸らせてください
おしまい
あら、投稿ミスった
とうことで今日はおしまいです
読んでくれた方に感謝を
明日は書く時間ないので、続きは明後日です
「ぴゃっ……」
可愛らしい悲鳴
つんつん
「ぴゃああっ!」
た、楽しい……もっと突いてみようかしら
もう一突きしようとすると、髪が指をすり抜け、黒いふわふわが飛び出してきた
「ククク……我が領域内に侵入するとはなかなかの力を持っているようだ」
日本語かどうか悩んだしまったけれど、単語自体は日本語みたい
「こんばんは?」
「……こんばんは」
どうやらこちらの言葉は通じるらしく、挨拶が返ってきた
まだ途中だけど寝ます!(開き直り)
今日中には書き終わると思います
暗がりだったから良く見えなかったけれど、良く見てみるとさっきのディスプレイに映っていた女の子?
「もしかして……魔王ちゃん?」
「ま、魔王っ……!? 我を称賛する名ではあるが真名ではない(私にはちゃんとした名前があるんです)」
何て言ってるかはちょっとわからないけれど、この子のお名前を教えてもらえそう
「私は高垣楓、よろしくお願いします」
魔王ちゃんは先輩にあたるから、挨拶はきちんとね
「高垣?……あっ、私は神崎蘭子です」
私の苗字を聞いて不思議そうな顔をしていたけど、ちゃんと名前を教えてくれた
独特な話し方だけど、良い子みたい
どうやら、プロデューサーから連絡があったようで
私をお出迎えしてくれたようだった
その蘭子ちゃんはどうせならと、女子寮の案内を申し出てくれた
「ふむ……しなやかなる肢体はまるでヴァルキリーのようだ(楓さん、スレンダーでカッコいい……)」
「あ、ありがとう……嬉しいわ」
これはきっと褒めてくれているのよね?
最後に部屋まで案内してもらい、今日はこれでお別れとなった
「先達なる我に何でも頼るとよかろう(わからないことがあれば何でも聞いてください!)」
「ありがとう蘭子ちゃん。それじゃあ、おやすみなさい」
ぺこりとお辞儀をして、蘭子ちゃんが去っていく
今日は疲れてしまったし、シャワーを浴びて寝ちゃいましょうか
部屋にあるベッドもふかふかだし、ゆっくり眠れそう
シャワーを浴びた私は、今日起きたことを考えることもなく、泥のように眠りについた
朝、身支度を整えた私はロビーで新聞紙を手に取った
プロデューサーが来るまでの時間つぶし、そう気軽に思ったのだけれど
「なに、これ……」
思わず声が出る
記事の内容がどれも見たことがないことばかりだ
それにテレビ欄も知らない番組ばかり
……そして私は知ることになる
「私が生まれる前の年号……?」
悪い冗談だと思って、何度も見て、擦ったりしてみたけれど、それは変わることはなかった
私は迷子になってしまった
知らない時代で、知らないところで
帰れるお家がない迷子になってしまった
友達も両親も、だーれもいない
「お父さん、お母さん……」
ぽつりと声にだしてしまうと、もう駄目だ
疎外感が、寂しさが、胸をきゅっと締め付ける
「どうしたんだ?」
「プロ、デューサー……」
私の恩人の声が聞こえた
どうしてか、この声を聞くと安心してしまう
異性に対する恋慕なのではないけれど、何故か甘えても良いような、そんな感じ
「話は車の中で聞こうか、立てるか?」
そう差し伸べられた手はごつごつとしていて、とても温かかった
「ということは、君は未来から来たと?」
「そう、みたいです……」
身分証もないし、なんの証拠も提示できませんが
「嘘じゃないみたいだな」
私は頷く
これが嘘であったのならば、起きて覚める夢ならばどれだけ良かったか
どうしたらいいんだろう
帰りたいけれど、帰る手段もわからない
一応は生活できる状態になったと思うけど……
ちらりとプロデューサーを横目で見る
うん、私だけで抱え込むと頭がおかしくなってしまいそうだし
この人にもいっぱい話して相談して、私をもっと知ってもらおう
私を知らない人しかいないなんて辛すぎるから
「スカウトしたからには最後まで面倒見るからさ、だから……そんなに悲しそうな顔をしないでくれ」
そう言ったプロデューサーの顔は真剣そのもので
「……ありがとうございます」
今は何とかして生きよう
アイドルとして頑張って、いつか帰れる日まで
「よし、気持ちを切り替えます」
ぱしっと軽くほっぺを叩いて気持ちを切り替える
前を向いて今と向き合っていこう
今日は事務所の案内と、私の日用品の買い出しに付き合ってくれた
女子寮に帰ってきたのは夕方過ぎ
私が帰ってきた少し後に、蘭子ちゃんもお仕事が終わったようで
プロデューサーを見送った私は蘭子ちゃんに声をかけた
「お疲れ様です、蘭子ちゃん」
「闇に飲まれよ!(お疲れ様です)」
いちいちポーズをとるところがたまらなく可愛い
「今日の戦果はどうだったのだ(今日は何をしていたんですか?)」
「事務所に顔出しと、日用品の買い出しに行ってたの」
昨日よりかは何を言っているのかがニュアンスでわかるようになっている
「おお、我と肩を並べる同胞たちはみな歴戦の猛者よ(みんな良い人ばかりですよ)」
「ええ、そうみたいね」
わくわくとした表情で、蘭子ちゃんが続ける
「貴殿も早く我と共に戦場を駆けようぞ(早く楓さんと一緒にお仕事したいな♪)」
そのときはよろしくお願いします、蘭子先輩♪
新しい環境に慣れるため、とにかくがむしゃらにレッスンとお仕事に没頭した
お仕事をしている時は悩みも忘れることができるし
辛いレッスンも、仲良くなった皆と乗り切ることができた
この知らない所での生活がもう少しで一年というある日のこと
「神社でのお仕事ですか?」
「ああ、元旦での神事があるんだが、それに関する仕事みたいだ」
「神々への奉仕か、たまには悪くない(縁起が良さそうなお仕事ですね♪)」
蘭子ちゃんは闇属性じゃなかったみたい
「明日、そこへ下見に行くからよろしくな」
「わかりました」
私と蘭子ちゃんが返事をする
「ふむ……聖なる衣を用意するべきか(白いお洋服のほうが良いのかなぁ……)」
「蘭子ちゃんの着たい洋服で良いんですよ」
白い天使みたいな衣装の蘭子ちゃんも素敵だったから、どちらも見たみたい
……ふと思い返してみると、私がここに来る原因も神社だった
少しの胸騒ぎがしたけれど、気のせいでしょう
そして下見当日
昨日の胸騒ぎが消えないまま、朝がやって来た
「煩わしい太陽ね(おはようございます)」
「おはよう、蘭子ちゃん」
あら、今日はふわふわの白いコートがとてもお洒落
「おはよう二人とも。それじゃ行こうか」
プロデューサーに挨拶を返し、車に乗る
今日は何も起こらなければいいのだけれど……
「ここがその神社ですか」
ここは……この神社は……
「ああ、長く続いている神社みたいだ」
奇しくも、お仕事で呼ばれた神社は私がここにくる原因を作った神社だった
「楓さん……? 気分悪いんですか?」
私を心配してか、蘭子ちゃんが声をかけてくれた
「ううん、大丈夫。ほら、行ってみましょう」
言葉では強がったけれど、蘭子ちゃんの手をぎゅっと握った
階段を上ると、あの時の記憶が鮮明に蘇る
体が震え、ぞくぞくと背中に何かが這う
大丈夫、今は蘭子ちゃんもいるしプロデューサーもいる
すぅ、はぁ……
深呼吸を何回かすると、気分が落ち着いてくる
「宮司さんに挨拶してくるから、ベンチで待ってて」
「はい、わかりました」
うん、大丈夫。落ち着いた
「ふぅ……太陽神の輝きが身を癒す(今日はぽかぽかしてますねー)」
「ふふふ、そうね」
今日は日差しが暖かくて、実に気持ちが良い
「ふむ、ネクタルを創造するか(私ジュース買ってきます)」
「転ばないようにね?」
ぷくりと頬を膨らませて、子供じゃないもん! と蘭子ちゃんが駆けていく
……あ、一人になっちゃった
境内はしんと静まり返って、私だけが取り残されてしまったみたいな感覚
ひゅうっと風が頬を撫でる
とても、とても冷たい風が吹いている
それがどんどんと強くなっていって……
「きゃっ……楓さん!」
蘭子ちゃんが異変に気付いて、こちらへ向かおうとする
「来ちゃ駄目。私は大丈夫だから」
取り乱すと思っていたけれど、不思議と私は落ち着いていた
あの時と同じようなことが起きている。そう確信した
嵐のように吹く風が、私の体を包んでいく中、蘭子ちゃんの心配そうな声が聞こえる
「蘭子ちゃん、今までありがとう」
ここでできた私の大事なお友達
周りがなにも見えなくなっていく
最後に聞こえたのは、蘭子ちゃんの鳴き声だったのだろうか
ああ……あんなに良い子を泣かしちゃった
その鳴き声も聞こえなくなってから、そんなことをふと思った
風が吹き止んだ
懐かしい空気と見慣れた風景、だけど
辺りを見渡しても誰もいない
蘭子ちゃんもプロデューサーも
きっと私は帰ってくることができたのだろう
けれど……
蘭子ちゃんとプロデューサーの顔が頭をよぎる
「きちんとお礼……言いたかったな」
帰ってこれた嬉しさよりも、あまりにも唐突な別れに
だれもいない境内で、私は静かに泣いた
目を赤くしたまま、私は家路へと向かう
帰ると普通に両親が出迎えてくれた
あら? 向こうに一年近くいたと思ったのに……
「おかえり」
懐かしく思う父の声
……そうか、お父さんの声に似ていたんだ
お世話になったプロデューサーの声と父の声が重なる
「ただいま、お父さん」
そして、帰ってこれたという実感と、家に帰れた安心感で
私は涙をこらえながら、挨拶を返した
おしまい
読んでくれた方に感謝を
今日はここでおしまいです
風呂敷をたためなくなって長くなってしまいました
あと、短く書き上げた時に手を抜いているとかはないので、ご理解してもらえると助かります
それではおやすみなさい
麗さんから説明を受けて、連れてこられたのはトレーニングルーム
いつもはランニングマシンやエアロバイクしか使わないのですが
「お前にはBIG3を基本として、筋トレを行ってもらう」
ビッグスリー? 聞いたことのない単語です
「ベンチプレス、スクワット、デッドリフトの三種目のことだな」
「はぁ……」
ちょっと専門的すぎて何を言ってるかわかりません
「まずは私が手本を見せてやる」
まずはベンチプレスからだ。そう言って、麗さんがラックがある台に仰向けになり、重りがついている棒を持ち上げ始めました
「これは大胸筋を鍛えることができる」
こくこくと、とりあえず頷きます
「次はスクワットだ」
それは私も知っています。しゃがんで伸びてを繰り返すやつです
しかし、麗さんは重りがついている棒を担いでスクワットしてみせました
「次はデッドリフト」
響きが怖いです、特にデッドってところが
麗さんがまたもや重りが付いている棒を、これは何て言ったら良いんでしょうか
……頭でイメージしたのはお芋とか、大根を収穫する時のようなイメージ
それの重いバージョンでしょうか
「とりあえずやってみろ、わからなければその都度教えてやる」
習うより慣れろの精神。嫌いじゃないですが、ちょっと、ええ……
「むー……!」
お、重い……全然持ち上がりません
「初めは軽い重量で良い。まずは正しいフォームを覚えろ」
麗さんのフォームを頭の中でイメージして……あ、持ち上がりました
「そうだ、それで良い」
人間、やろうと思えば何とかなるものですね
それに……達成感というか、私の中の熱いモノが反応します
「筋トレは長く続けてようやく効果が出るんだ。道のりは長いが、その頂はお前が目指すものだろう」
にやりと笑う麗さん
その言葉にちょっぴり感化されて、調子に乗った私はもくもくと種目を消化していきました
次の日は起き上がるのも困難なほど、筋肉痛に襲われましたが……
起き上がった私はマルチビタミンとプロテインを飲むことにします
これも麗さんが勧めていたので間違いはないはずです……きっと
「筋肉を作るためにはビタミンも必要だぞ」
なんて言っていましたっけ
しかし、この錠剤大きくて飲みにくいです……
プロテインは……とっても甘くて飲みやすいですね
そういえば食事のメニューも言い渡されていましたっけ
玄米と低カロリーで高たんぱくなご飯
味気ないし、美味しく感じませんが我慢です
それを続けること数か月
私の体に変化が起こってきました
ぷにょっとした反抗期のお腹はいまや引き締まり、すっきりです
腕も脚も、筋トレのおかげかすっきり……と言うか逞しい?
「良い体になってきたな高垣、とってもきれてるぞ」
「そうですか?」
もうこれで良いと思う反面、今度は筋トレが楽しくなってきました
筋肉が傷めつけられて起こる筋肉痛が、いまや愛おしく感じてしまいます
私は今までの種目とそれぞれの筋肉に効く筋トレを行いました
そうして手に入れた体は……
「いいぞ高垣! フィジークの大会にでも出たらどうだ?」
鏡の前でポージングすると、筋肉が収縮して見事なカットが出るようになりました
「あ、あら……?」
私の目的はなんでしたっけ? 反抗期なお腹をどうにかすることだったような気がするんですが
「私でさえうっとりしてしまうな……」
今やプロデューサーがそっけない視線を送るかと思えば、今度は麗さんが熱い視線を送ってきます
……とりあえず、今度は増量で良いでしょうか?
おしまい
三段腹な楓さんでした
読んでくれた方に感謝を
そろそろ眠さが限界なので寝ます
明日も書くのでよろしくお願いしますね
楓さん(の筋肉が)キレてるキレてる!
>「いえ……俺はそんなに気にしなくても良いと思いますよ。かな……いえ、ぽっちゃりも需要はあります」
かな子(が)キレてるキレてる!!
お昼からの飲酒って何か良いものです、美味い酒なら尚更……
時間ができたので一つかきます
>>882の楓さんどうぞー
アルコール依存
アルコール依存な楓さんですか
ちょっと書いてみます
あの……もっとほのぼのと言うか、その……ハートフルな安価でも良いんですよ?
……良いんですよ?
「楓ちゃん、ちょっと飲みすぎじゃない?」
あきらかにいつものペースより早い
「大丈夫ですよ早苗さん。お酒は裏切りませんし」
なにその意味深なセリフ……きっとこの子はそんな深い意味はないとは思うけど
「よし、あたしが付き合ってあげるから無理しないでね!」
「もちろんです。お酒を飲んでも飲まれるなって言いますし」
いつものやりとりだけど、今回は楓ちゃんの雰囲気が違う気がした
でも、あたしはそんなことには全然気が付かなかった
「はぁ……ちょっと酔っちゃいましたねぇ」
ふらふらと千鳥足の楓ちゃん
「……何かあったの?」
これだけ楓ちゃんが酔うなんて珍しい
切り上げるタイミングと言うか、ぎりぎりのところはちゃんと考えて飲んでいたと思うのに
けど、今の楓ちゃんはそれに当てはまらない
そこら辺の疲れたおじさんみたいに、ゾンビみたいな足取りをしてる
「ほら、タクシー捕まえたから乗った乗った」
「ええー、早苗さんはどうするんですかぁ?」
まるで子供みたいに拗ねた表情の楓ちゃんの背中を押していく
もう、私よりたっぱがあるから扱いづらい……
「あたしも帰るの。楓ちゃんも寄り道しないで帰るのよ?」
楓ちゃんがしばらくあたしの顔を見てから
「わかりました。おやすみなさい」
ちょっと悲しそうな、切なそうな表情をして、手を振った
楓ちゃんと飲んだ翌日
あたしが事務所に入ろうとすると、どこかぽやぽやとした表情で楓ちゃんが歩いているのを見つけた
「おはよう楓ちゃん。……なんかお酒くさい気がするけど」
昨日は日付が変わる前には家に着いていたはず、あれから寝たらこんなに匂うはずがない
「おはようございます早苗さん。ちゃんとお家で寝たんですけど、夜中に目が覚めてしまって」
えへへ、と笑顔を浮かべる楓ちゃん
「もしかして……それから飲んでたの?」
「眠れるかなって思ったんですけど、駄目でしたね」
やっぱりこの子……何かあったんじゃないの?
レッスン中に楓ちゃんがふらりと倒れたかと思うと、そのまま嘔吐した
他のアイドル達がしぃんとしているなか、響くのは楓ちゃんの苦しそうなうめき声だけ
あたしはすぐにタオルを持って駆け寄り、楓ちゃんの声をかける
「大丈夫? 医務室に連れて行ってあげるから我慢してね」
マストレさんにアイコンタクトを送って、あたしは楓ちゃんに肩を貸す
身長差があるけど、このぐらい……気合いよね、気合い
吐しゃ物を残してきちゃったのは気が引けるけど、この場合は仕方ないわよね
このプロダクションは女性に対しての福利厚生が整ってる
医務室にいる方も女性だし、何かあった時はとても助かるの
「睡眠不足と……それに、深酒のせいですかねぇ」
「そうですか……」
相槌を適当に打つけど、あたしも楓ちゃんの状態は聞かなくてもわかる
「今日のレッスンとお仕事はキャンセルです。今日は寝かせておいてあげましょう」
「すみません、よろしくお願いします」
あたしはお辞儀をして、医務室を去る
さて……楓ちゃんがこんな風になっているのに、担当のプロデューサーは何をしているのかしら
あたしは事務所に向かうと、音なんて気にしないでドアを開けた
楓ちゃんの担当は……いた
「ねぇ、ちょっとお話いいかな」
「はぁ……いいですけど」
楓ちゃんのプロデューサーはきょとんとした顔であたしに応える
はぁってなによ、はぁって! 楓ちゃんがあんな風になってるのにあんたは何してるの?
ふつふつと怒りが湧いてくるけど、ここじゃまずいと思って屋上に場所を変えた
「さっき、楓ちゃんがレッスン中に倒れて嘔吐したの」
冷たい風が吹く屋上で、あたしは彼にありのままを伝えた
「高垣さんが……?」
驚いたような表情をしているけど、その裏には違う感情をあるような気がする
「ねぇ、楓ちゃんに何があったか知ってる……わよね?」
ここ最近の楓ちゃんはまるで自分の体を痛めつけるかのような行動をとっている気がするし
なにより、原因はきっとこの男にあるんじゃないかって、警察官だったころのあたしの勘がそう言っている
「……じ、実はですね」
担当プロデューサーが重い口を開く
「少し前に、その……高垣さんと関係を作ってしまいまして、それから……」
あたしは絶句しちゃった
男と女の関係がもつれるほど、面倒なことはないけど
へぇ……楓ちゃんがこの男とねぇ……ちょっと見る目がないんじゃないの、楓ちゃん?
そりゃ、悪い噂も聞かないし、優しい人ってのは知っているけどさ
でもねぇ、関係がある女をほっぽっているのはどういうことなの?
さっきの一言から、口を開かない担当プロデューサー
まるで、あたしの言葉をまっているような……ちっ、はっきりしない男ね
あたしが舌打ちをすると、びくりと身を縮めるのも気に入らない
「それで、それからどうしたの?」
話が進まないので、仕方なく、本当に仕方なく言葉をかける
「俺が、高垣さんを振ったんです……」
苦笑いをしながら、担当プロデューサーはあたしにそう言った
「はぁ!? あんたが楓ちゃんを振った? なによ、なにが気に入らなかったの?」
ずいっと担当プロデューサーに近づいて、睨む
「そ、その……俺と高垣さんはプロデューサーとアイドルの関係ですし……」
あたしの視線から逃げるように目をそらし、言葉を続ける
「やっぱりね、良くないって思ったんですよ……はい」
へらへらと笑いながら、いけしゃしゃあと喋る男に、あたしは堪忍袋の緒が切れた
あたしの右手が勝手に動いて、男の頬をびんたしてた
「……いってぇ」
「いてぇじゃないわよ! 楓ちゃんはもっと痛い気持ちを味わったのよ?」
この男はきっと楓ちゃんの体が目当てだったに違いない
楓ちゃんは押したら断れなさそうだし、顔だけは良いこの男に騙されたんだ
それに、さっきからあたしの胸ばかり見てるのにはとっくに気付いてる
ああ、楓ちゃん……あなたはもっと男を見る目を磨くべきね
あたしはまだ怒りが収まらず、そのへらへらとした顔を、もう一度ぶった
もうこの男とはなすことはない、あたしはそう判断して、医務室へと向かう事にした
「え……楓ちゃん、帰ったんですか?」
「ええ、片桐さんとすれ違いですね」
タイミングが悪かったようだ、ちっ……あんな男に時間をとられるなんて癪ね
「意識もはっきりしていましたし、明日は大丈夫だと思いますよ」
「わかりました、お手数をおかけしました」
あたしは深くお辞儀をしてから医務室を後にした
……楓ちゃん、本当に大丈夫なの?
どうにももやもやして、LINEを送ったけど、楓ちゃんからの返事はなかった
あの事があってから、三日目
いまだに連絡もないし、楓ちゃんが事務所に来ていない
ちひろさんもあの男も焦っているようで、あたふたとしている
しまいには「高垣さんの様子を見てきてくれませんか?」だって
はん……あんたに言われなくてもこっちはそのつもりだっての
けど、午前中は収録の仕事があったので、それが終わると同時にタクシーを拾って楓ちゃんのマンションへと向かう
……この部屋よね
何度も来たことがある部屋なのに、今日は身構えちゃう
インターホンを何度か鳴らして……返答がない
楓ちゃんはこの部屋にいるはずなんだけど、どうしよう
試しにドアノブを捻ってみると、ぎぃと音と共にドアノブが回った
もしかして事件とかに巻き込まれてないわよね?
心臓の鼓動が高鳴るなか、あたしは楓ちゃんの部屋へと入った
楓ちゃんは……いた
机に突っ伏すようにして、グラスに入ったお酒を飲んでる
「あ……早苗さ~ん♪」
あたしに気付いたのか、楓ちゃんが明るい声を出した
「不用心すぎるわよ、それに……」
部屋中がお酒臭い
アロマか何かわからないけど、それと相まって変な匂いがしてる
それに、部屋に転がっているお酒の瓶の数が、尋常じゃないことを物語ってる
「早苗さんも飲みましょうよぉ……」
「楓ちゃん、あんたねぇ……」
楓ちゃんに近づいて説教でもしてやろうと思って、あたしは思いとどまる
「あ……」
言葉が、出てこない
「どうしたんですかぁ……?」
つやつやしてた髪はぼさぼさで、綺麗だった瞳も濁ってる
目の下にはクマができているし、私にグラスを渡そうとしている手は……ふるふると震えていた
「あ、ああ……」
あたしの目の前にいるのはアイドルの高垣楓じゃない
……お酒に溺れざるを得なかった、一人の弱い女性
「きゃあ……早苗さんはあったかいですねぇ♪」
体が勝手に動いて、楓ちゃんを抱きしめてた
「もう良いのよ楓ちゃん。もう、無理しなくていいの……」
「……早苗さんも、お酒と一緒で、私と一緒にいてくれるんですねぇ」
ぼろぼろな顔で、痛々しい笑顔を作る楓ちゃん
「うん、楓ちゃんの傍にいるから……もう安心だから」
数日会わなかっただけなのに、とても細くなってしまったような楓ちゃんを抱きしめながら
あたしは涙が止まらなかった
おしまい
大変だ、楓さんを介抱しにいかなくちゃ……
お酒はほどほどに、ガシャもほどほどに
何事も適量というものがあるんです
それでは読んでくれた方に感謝を
再開は夜からにします
ではではー
ああ……毎日クラフトビール飲むだけの生活がしたひ
それでは再開します
>>915の楓さんどうぞー
アイドル国会議員
アイドル国会議員の楓さんですか
ちょっと書いてみます
「高垣さん、今のお気持ちはどうですか?」
「皆さんのご期待に応えられるよう、精一杯務めたいと思っております」
たくさんの拍手と、たくさんのフラッシュ
こんな私ですが、本日から国会議員ですか
実感がわきませんし、何をすればいいんですか?
こう、あれですかね……ばかやろーとか、はげーとか言えば良いんですか?
アイドルという、支持率を持つ人物を政党に組み込む
うんうん、なんとなくわかります
やる気に満ち溢れ、これからの日本を導くような人物が好ましい
あ、これ私駄目な奴じゃないですか?
超法規的措置で、アイドル活動も議員の活動とみなす
……アイドルを辞めなくていいのは助かります、が
私、アイドル活動だけで良いような気がしてきました
「いやあ、とうとう我がプロダクションから議員が選出されましたか」
プロデューサーが、わっはっはと笑います
もう……他人事だと思ってのんきなものですね
「今日からは楓『先生』と呼んでくださいね♪」
「……すんません、調子乗りました」
ふふ、わかってくれればいいんです
とはいえ、私よりふさわしい人がこの事務所にはいると思ったんですけどね
「楓さん、そろそろお仕事の時間です」
私に声をかけてきたのは、秘書として働いてもらっているマキノちゃん
スーツ姿がとてもきまっていて、できる女って感じです
「ええ、それじゃあ行きましょうか」
ええと……今日は委員会のお話でしたっけ
私にまかせていいんかい、んー駄目ですね
他の方たちの前で言ったら怒られちゃうかしら
…………
……
…はっ! ぼーっとしてました
そっと周りを見渡してみると、偉そうな方たちが議論を交わしています
うわぁ、私にはちょっと難しくて良くわかりません……
「高垣さんはどう思われますか?」
「ええと……素晴らしいと思います」
私が当たり障りのない返事を返すと、また議論の交換が始まりました
ふぅ……退屈ですね
「お偉い先生方とのお話はどうでしたか?」
意地悪そうな笑みでマキノちゃんが聞いてきます
「難しいお話でわかりませんでした、今はぱーっと飲みたい気分ですね」
そう、お酒をゆっくりと飲んで気分を落ちつかせたいな
今日はお魚の気分だし、川島さんたちも誘って飲みに行きましょうか
気分を切り替えて歩いていると、先ほどの委員会の方たちがぼそぼそと何か言っているのが聞こえました
「あの女、政治のことがまるでわかっていないんじゃないか?」
「そりゃそうでしょう、男に媚びを売る仕事しかしてないんですから」
あら、聞こえちゃってますよー? 本人ここにおりますよー
「行きましょう、どうせ楓さんを妬んでいるだけですから」
「えっ? ちょっと待ってマキノちゃん」
私の前を歩き、ヒールの音を高らかに先ほどの方に近づいていくマキノちゃん
「高垣がお世話になっております」
恭しく頭を下げた後に、相手の耳元で何か言っているようですね
良くわかりませんが、とたんに顔色が悪くなっているようですけど
「挨拶が終わりましたので行きましょう」
にっこりと楽しそうに笑うマキノちゃんに、細かいことは聞けませんでした
あれから川島さんたちに連絡を入れると、快く了承をもらったので飲みに行くことにしました
「楓ちゃん、いえ楓先生ね。お疲れ様でした」
「先生なんて柄じゃないでしょうに」
「あ、あの……慣れないことで疲れていないですか?」
私を笑いものにしてる、川島さんと早苗さん。ああ……美優さんだけがオアシスです
もう、今日はとことん飲んじゃいますよ
私の事を普通に扱ってくれるこの人たちとの時間はとても楽しい
「きっと楓ちゃんのファンがいるわよ、間違いないわ」
「そうそう、サインの一つでもあげたら言う事きいてくれるって」
「あ、グラスが空ですね……何を飲みますか?」
やっぱり美優さんがオアシス……あら、さっきもこんなこと思いましたっけ
それにしても、だいぶ飲みましたね。時間があっという間に過ぎちゃった
「ほらほら、楓ちゃんらしくないわよ? もう一杯いっちゃおう!」
早苗さん、肩をバシバシ叩くのはおば……いえ、何でもないです
「とにかく、楓ちゃんらしくて良いと思うわよ」
ぐいっとグラスを呷りながら川島さん
「うん、他の人たちにできることがあるんだからさ」
揚げ出し豆腐をつまみながら早苗さん、それ私のですよ?
「そう、ですね……私たちはアイドルなんですから」
ほっぺを桜色に染めて、美優さんが言いました
……そうですよね、私はアイドルなんですよね
歌って踊れる議員、なかなか素敵な響きじゃないですか
「高垣さん、何か案はありますか?」
また呼ばれてしまった委員会のお話
しかし、今日の私は一味違いますよ
「国民の皆さんを楽しく笑顔にさせること……『アイドルでもっと笑顔に』法律案を提出したいです」
あ、皆さんぽかーんとしてる
「私たちアイドルにはその力があります、どんよりしてるより笑顔のほうが素敵じゃありませんか♪」
あ、今度はざわざわしてる
難しい話はわからないですけど、大人も子供もおじいさんもおばあさんも
笑顔にする方法は私知ってるんですから
何ていっても、アイドルですからね♪
おしまい
あああ……学がないのを痛感してしまいました
読んでくれた方に感謝を
今日はこれでおしまいです
安価を貰えるのもあと一つか二つですね、最後までどうぞお付き合いを
そういえば、1000まで行ったら勝手にHTML化されるとかありましたっけ?
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