善子「生活維持省」 (22)
Aqoursでショートショートです。
若干グロ描写あり。
原作と変更した部分がありますが、蛇足でしたら申し訳ないです。
善子「…あっ、あの家いいな」
鞠莉「でもいいなぁ、善子も内地行きなんて」
善子「今まで頑張ってきた甲斐があったわ。 この仕事が終わったら、リリーと内地でマイホーム建てようって。 …あぁ、あの家もいいわね」
鞠莉「いいなーいいなー!! 私も内地行きたい…」
善子「あんなにサボり見つかってちゃ出世なんて夢のまた夢でしょ。」
鞠莉「だって…ねぇ? いくら国の決めた方針って言われたって…」
鞠莉「ランダムに選ばれた人間を殺すなんて、キツいとこあるじゃない?」
善子「…仕事は仕事よ。 次はこの人。」
鞠莉「ねぇ、私達、市民になんて呼ばれてるか知ってる?」
善子「…そこ、左だから。」
鞠莉「ねぇ! 聞いてるの!?」
善子「仕方ないじゃない! …嫌でも少し耐えたら晴れて内地行き。 こんな汚れ仕事とはおサラバよ」
鞠莉「…そうだったわね」
善子「…平和ねぇ。 ホント、政府の方針サマサマよね」
鞠莉「人口を減らして、一人一人に十分な食料と土地を与える…」
善子「私達はその執行人様ってわけ。 堕天使には随分お似合いよね」
鞠莉「そーかもね。 …着いたわよ」
善子「ごめんくださーい」
\ハーイ/
女性「はい?」
善子「こんにちは。 素敵なお天気ですね」
女性「は、はぁ…。 あの、どちら様で?」
鞠莉「こちらに――さんという方がおられるはずですが」
女性「…どうしてそれを」
善子「生活維持省です」
女性「っ!!」
鞠莉「…お気持ちは分かりますが、これも国の決めた方針ですので」
女性「そんなっ…あの子は…っ――はまだあんなに小さいのに…!!」
善子「私たちの選択は絶対に公正です。子供、大人、老人、男、女…すべて平等に、選ばれる可能性があります」
鞠莉「このシステムがなければ、都市は人で溢れ返り、大気汚染や食糧問題、そして渋滞した道では交通事故が」
善子「生存競走の行き着く先は…戦争です。」
鞠莉「――さんも、このシステムがなければ、この歳まで生きられたかどうか」
少女「お母さーん! 見て見て!!」
善子「――さん、ですね」
鞠莉「…善子。」
女性「このっ…!!!」
―――――死神。
鞠莉「んっ…疲れたぁ。 私お腹すいちゃった」
善子「あんなの見たあとでよくそんな気になれるわね…」
鞠莉「あら、さっきと立場が逆ね? …もう慣れたもんよ」
善子「皮肉なものね」
鞠莉「早く済ませて帰りましょ。 次はどこなの?」
善子「次は…そうね。 景色の綺麗な所がいいわ」
鞠莉「『がいいわ』って…。 どうしたのよ、小さい子が相手だったから、気が滅入ったって?」
善子「…ねぇ、鞠莉」
鞠莉「なによ」
善子「私、貴方と組めて良かった」
鞠莉「え? 急に何を…」
善子「ふふっ…そうね。 どうせなら、あなたの手で…」
鞠莉「ねぇ、なんだっていうのよ。 次の対象って…」
選別装置『処分対象:津島善子』
善子「…いい天気ね」
鞠莉「…えぇ、本当に」
善子「そうだ、私ずっと秘密にしてた事があって」
鞠莉「あら、聞かせてくれるの?」
善子「この近くにね、すっごく美味しいラーメン屋があるの」
鞠莉「へぇ…。 仕事の合間の休憩は、職員の自由だったわよね?」
善子「もし違っても、サボりはお手の物でしょ?」
鞠莉「フフッ、そうね…。 行ってみましょうよ、どこにあるの?」
善子「えーっと、そこの角を右に曲がって―――」
完結です。短いですがお付き合い頂きありがとうございました。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません