喜多見柚「ねぇねぇPサン」ヒョコ
モバP「お、どうした柚?」
柚「次の日曜ってアタシOFFだよね?」
P「そうだけど、何かあるのか?」
柚「あのね、Pサンも予定ないんだったら、どこかで一緒に遊んだりできないカナーって」
P「ああなるほど。ちょっと待ってな……うん、日曜は1日大丈夫だぞ」
柚「ホント?やったー!どこに行こうかなー」
P「おいおい、気が早いな」
柚「よーし、日曜はPサンを独り占めしちゃうぞー♪」
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佐久間まゆ「ちょっと待ってください!!!!!!」バーン
柚「!?」
まゆ「いま『Pさんを独り占め』だなんていう聞き捨てならないワードが聞こえましたよぉ」ズイッ
P「いやいや、そんな大層な事じゃないって……今度の日曜に柚とどこかに遊びに行くっていうだけだよ」
まゆ「!!それって、でででデートじゃないですか!そんなの駄目です!」
柚「で、デートって……別にそんなつもりじゃないんだケド……」
まゆ「Pさんと二人っきりでお出かけなんて、そんなのデートと同じようなものです!絶対ダメです!」
P「そんな事言われてもなあ……」
まゆ「Pさんが許しても、まゆが許しませんよぉ」
柚「アタシとPサンが何したって勝手じゃないの?」
まゆ「そ、それは……」
P「ド正論はやめて差し上げろ」
まゆ「うぅ……と、とにかく、駄目ったら駄目なんです!どうしてもって言うなら……」
柚「なら?」
まゆ「だったら、まゆが代わりに柚ちゃんとデートします!!」
P「……ん?」
柚「……アレ?」
~~日曜日・駅前~~
まゆ「………………」
柚「ごめーん、待った?」タッタッ
まゆ「もう、遅かったじゃないですかぁ」プンプン
柚「ゴメンゴメン、ちょっと寝坊して……」
まゆ「仕方ないですねぇ……それじゃ、行きましょうか」
柚「うん」
まゆ「……でも、本当によかったんですか?Pさんの代わりにまゆがデートする、だなんて」
柚「まゆチャンが自分で言い出した事じゃん」
まゆ「それはそうなんですけど、半分出まかせだったのに乗ってくるとは思わなかったので」
柚「出まかせだったの!?」
まゆ「本気であんな事言わないですよぉ」
柚(わりと目が本気だった気がするんだけどなぁ……)
まゆ「どうかしましたか?」
柚「いや、別に……。でもまあ、柚的にはまあ誰かと遊びに行けたらオッケーかなって。Pサンと遊びに行きたい気持ちはあったけどね」
まゆ「なら良いですけど」
柚「……それに」
まゆ「?」
柚「それに、まゆチャンにもちょっと興味あったし。あんまり話したこと無かったから、折角だし仲良くなれたらなって」
まゆ「……そうですかぁ。それはちょっと、嬉しいかも」
柚「えへへ、なんか改まって言うと照れちゃうね」
まゆ「うふふっ。それじゃあ、今日は一緒に楽しみましょうね♪」ニコッ
柚「うんっ♪」
~~カラオケ~~
柚「やっぱり遊びの定番といえばコレだよね!」
まゆ「まゆ、あまりカラオケって来たことないです……」
柚「えっ、そうなの!?」
まゆ「どうしましょう……何を歌ったらいいかな……」
柚「別になんでもいいんだよー。まゆチャンがライブで歌ったことある曲とかどう?」
まゆ「なるほど……それじゃあ、ちょっとしんみりした曲ですけどいいですか?」
柚「全然いいよー!はいこれ、ヨロシク!」
まゆ「この機械で曲を選ぶんですね。えーっと、曲名は……」ピッピッ
まゆ「~♪」
まゆ「……ふぅ。どうでしたか?」
柚「すっごい上手かったよ!ホレちゃいそうなくらい!」
まゆ「うふふ、ありがとうございます。それじゃ、柚ちゃんもどうぞ」
柚「ありがとっ。よーし、テンションあげていこー!コールお願いね!」
まゆ「えっ、コールですか!?」
柚「~♪」
まゆ「はいっ、はいっ」
柚「せーのっ、イエーイ♪」
まゆ「いえーい♪」
柚(かわいい)
柚「……ありがとー!それじゃ、次はまゆチャンどうぞ!」
まゆ「コールって楽しいですね……それじゃあ、まゆも明るい曲を歌おうかな……」
柚「よーし、じゃあ柚はタンバリンで盛り上げちゃうぞー♪」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
まゆ「カラオケ、楽しかったです」
柚「なら良かった!まゆチャン、すっごく歌上手いね!なんていうか、感情こもってた!」
まゆ「ふふっ、ありがとうございます♪」
柚「それじゃ、次はどこ行こっか?」
まゆ「そうですね……この近くにまゆがよく行くお店があるので、そこに行ってみませんか?」
~~セレクトショップ~~
まゆ「このお店、服とか小物とか、よく買ってるんです」
柚「うわぁ、すっごいフリフリでカワイイ系だね」
まゆ「柚ちゃんは、こういうのあまり着ませんか?」
柚「うん、アタシは割と飾りっ気のない服が多いカナ。普段はパーカーばっかり着てるしね」
まゆ「折角ですから、柚ちゃんもこういう服、着てみませんか?」
柚「えぇ!?いやいや、アタシにはそんな似合わないカナーって」
まゆ「そんなことないですよ。柚ちゃんだって可愛いんだから、きっと似合います」
柚「そう言われちゃったら、断りづらいなー……」
まゆ「あまり着なさそうな服だったら……こういうワンピースなんか、どうですか?」
柚「うわ、すっごいフリルとかリボンとか付いてる……」
まゆ「試着してみましょうか♪それじゃ、試着室に」
柚「ちょ、ちょっと待って、まだ心の準備が~」
まゆ「着替え終わりましたか?」
柚「うぅ……アイドル衣装より恥ずかしいかも……」モジモジ
まゆ「肌の露出だったら、衣装なんかより全然少ないじゃないですか」
柚「それはそうなんだけど、すっごいフリフリしてるのがなんか落ち着かなくて……」
まゆ「とっても似合ってますよ。自信持ってください」
柚「そ、そうカナ……?えへへ……」テレッ
まゆ「それじゃ、このまま着ていきましょうか」
柚「そ、それはムリー!」
まゆ「うふふ、冗談ですよぉ」
~~映画館~~
柚「色々やってるね。チョイスはお任せしちゃおうかな」
まゆ「まゆが選んでもいいですか?それじゃあ、この映画を……」
柚「やっぱり恋愛モノかぁ」
まゆ「嫌でしたか?」
柚「いや、イメージ通りだなって」
まゆ「逆に柚ちゃんは、アクション映画とか好きそうですね」
柚「当たりー♪とにかくド派手で、ズバーン!ドババーン!みたいなやつが好きなんだー」
まゆ「ふふっ、柚ちゃんらしいですね。ちょっとずつ柚ちゃんのこと、分かってきたかも」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
『もう離さない……君が全てさ』
『私も……』
まゆ「……♡」ウットリ
柚(……まゆチャン、すっごい真剣に見てるなあ)
柚(カラオケの時もほとんどラブソングだったし……やっぱりこういうの好きなんだなあ)
柚(見たり歌ったりしながら、自分に重ねたりしてるのかな……だとしたら、やっぱり相手は……)
~~ファミレス~~
柚「映画、よかったねー」
まゆ「はい……まゆ、すっごく感動しました。特に最後の、被ってたお面を外して告白するシーンで、泣きそうになっちゃいました」
柚「うんうん、アタシもキュンキュンきちゃったよ」
まゆ「本当に素敵な映画でした……ああいう恋、憧れちゃうなぁ……」
柚「そうだねー。でもまあ、実際には難しいかな……アタシ達、アイドルだし」
まゆ「あ……」
柚「?」
まゆ「……そ、そう、ですね。まゆ達、アイドルですからね……」
柚(あ、まずったカナ)
まゆ「……」
柚「……」
まゆ「……」
柚「……あ、あの」
まゆ「柚ちゃん」
柚「え?」
まゆ「柚ちゃんは、運命って、信じますか?」
柚「……?」
まゆ「まゆは……まゆがアイドルになったのは、運命だって思うんです」
まゆ「モデルをやっていたまゆが、たまたまPさんと出会って……あの出会いがなければ、まゆはアイドルにはならなかったんです」
柚「……」
まゆ「Pさんと出会ったその瞬間に感じたんです。まゆとPさんは、運命の糸で繋がってるんだって。馬鹿馬鹿しく聞こえるかもしれませんけど……まゆは、そう信じてるんです」
まゆ「今のまゆとPさんは、アイドルとプロデューサーという関係ですけど……でも、それだけじゃない。Pさんはまゆにとって、すごく大切な存在なんです」
柚「……そっか。そうなんだね」
まゆ「……ごめんなさい、急にこんな話しちゃって」
柚「ううん、全然大丈夫だよ。まゆチャンの気持ち、アタシもちょっと分かるから」
まゆ「……分かるんですか?」
柚「うん。……運命の出会いっていうのは、アタシもそうだと思ってて。アタシがアイドルになったのって、街をブラブラ歩いてたときに、Pサンに声をかけられたのがキッカケなんだ」
まゆ「そうなんですね……」
柚「その時はただ面白そうっていう気持ちだけだったけど……。今にして思えば、運命だったんじゃないかなって思ったりもするんだ。アイドルとしていっぱい楽しいことをさせてもらって、いろんな人や、仲間に会えて……Pサンとの出会いがなかったら、それは全部なかったかもしれないって」
柚「アタシにとってのPサンと、まゆチャンにとってのPサンは、ちょっと違うかもしれないけど……。でも、Pサンとの出会いを特別に感じてるっていうのは、もしかしたら同じかもしれないって。まゆチャンのお話聞いてて、勝手に思っちゃった」
まゆ「そう……かもしれませんね。ふふっ、意外なところで共通点、見つかりましたね」
柚「そうだねっ。アタシ達、案外似たもの同士なのかも?」
まゆ「かもしれませんね」
柚「あ、やっぱり今のナシ。あのヒラヒラだらけの服はやっぱりアタシにはまだ早いカナ……」
まゆ「もう、柚ちゃんったら。ふふっ♪」
柚「あははっ。……そうだ、最後に行きたいところがあるんだけど、いいカナ?」
~~雑貨屋~~
柚「缶バッチとか、バッグに付ける小物とか、よくここで買ってるんだー」
まゆ「ちょっと雑多な感じもするけど、オシャレな雰囲気ですね」
柚「普段もよく来るんだけど……いいコトがあった日はここに寄って、何かひとつ買うようにしてるんだ。記念っていうか、思い出、みたいな?」
まゆ「そうなんですね……素敵ですね」
柚「今日は、まゆチャンと楽しく過ごせたから。その記念ってことで!」
まゆ「うふふ、まゆも楽しかったですよ。折角ですし、まゆも缶バッチ、買いましょうか」
柚「どうせなら、お揃いのやつを買おっか!」
まゆ「そうですね……あっ、これ可愛いかも」
柚「いいね!しかも赤と黄色の色違いがあるよ。アタシとまゆチャンのイメージカラーだし、ピッタリじゃない?」
まゆ「そうですね……あっ、いいこと思いつきました♪」
柚「なになに?」
まゆ「ふふっ。まゆが赤、柚ちゃんが黄色のバッジを買ってそれをお互いプレゼントする、っていうのはどうでしょう?」
柚「なるほど!お互いの色の缶バッチを交換するんだ!」
まゆ「はい。今日一日の思い出になるかなって……。一日一緒に過ごして、柚ちゃんのこと、いっぱい知れましたから。今日のことを、思い出せるように。お互いへのプレゼントにしましょう」
柚「名案だね!そうしよっか!」
~~駅前~~
まゆ「それじゃあ、まゆは寮なので、ここでサヨナラですね」
柚「うん。まゆチャン、今日はありがとう!おかげで今日、すっごく楽しかったよ」
まゆ「こちらこそ。まゆも柚ちゃんと過ごせて、すっごく楽しかったです。だから、そんな柚ちゃんに、まゆからのプレゼントです。はいっ」
柚「ありがとう、それじゃアタシからも」
まゆ「ありがとう。大切にしますね」
柚「また予定が合ったら、一緒に遊ぼうねっ」
まゆ「はい。そのうちお仕事でも、一緒になれる事があるといいですね♪」
柚「うんっ♪それじゃあ、またね!バイバーイっ」
まゆ「さようならーっ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
柚「……あんなこと言ってたら、まさかすぐに一緒の仕事が来ちゃうなんてね」
まゆ「はい、本当にびっくりしました。偶然ってあるものなんですね」
柚「もしかしたらさ、これも運命だったのかも♪」
まゆ「うふふ、そうかもしれませんね♪」
カメラマン「はーい、それじゃ撮りまーす」
柚「はーい!」ギュッ
まゆ「!」
柚「……へへっ♪」ニコッ
まゆ「……うふふっ♪」ギュッ
カメラマン「そこの二人、仲良くていいねー!それじゃいきますよー」
柚(もし、この出会いが運命だったのなら……)
まゆ(そんな『運命』も、悪くないですね♪)
おわり
お読みいただきありがとうございました。
柚とまゆが手を繋いでるジャケット絵に感化されて書きました。
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