北沢志保「いい兄さんの日」 (16)

P「志保。今日は11月23日だ」

志保「そうですね」

P「勤労感謝の日だ」

志保「そうですね。私もプロデューサーさんも働いていますけど」

P「そうだな。でも俺は、志保が毎日アイドルの仕事を頑張ってくれていることに感謝しているよ」

志保「……私も、プロデューサーさんがプロデュースを頑張ってくれていることに感謝しています」

P「なら、勤労感謝の日としては十分だな」

志保「……そうですね」フッ


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P「じゃあ、勤労感謝の日についてはこれで決着として……今日は『いい兄さんの日』でもあるな」

志保「いい兄さんの日?」

P「ほら、11月23日って、そう読めるだろう? 語呂合わせだよ」

志保「はあ、なるほど。確かに読めますけど……私は初めて聞きました」

P「そうか」

志保「………それで、なんですか? その期待に満ちた視線は」

P「いや、別に期待しているわけじゃないぞ? ただ、俺は志保にとっていいお兄さんでいてやれてるかなーと気になっただけで」

志保「………」

志保「プロデューサーさんには、11月4日のほうがお似合いじゃないですか?」

P「え?」

志保「『1104(いいおじ)さんの日』」

P「誰がおじさんだ! まだ二十代だ!」

志保「ふふっ、冗談です。そうですね……改善点はあるにせよ、いい兄さんだと思いますよ。プロデューサーさんは」

P「………」

志保「プロデューサーさん? ……怒ってます?」

P「志保に『兄さん』って呼ばれるの、想像以上に破壊力があるな……」

志保「………変態」ジトーー

P「というわけで、今日の演技の練習は『妹役』にしよう」

志保「今の流れで私が快くうなずけると思いますか」

P「そうは言ってもな。『一日一回、俺が提示した役の演技をする』という練習方法を提示してきたのは志保だし、今日までずっと続けてきたし」

志保「………まあ、仕方ないですね。付き合ってもらっているのはこちらですし、多少のわがままは聞かないと」

P「じゃあ早速始めよう。はい、よーいスタート」

志保「兄貴、ゲーセン行くから金くれ」

P「この妹グレてるんだが」

志保「ちっ……しけてんなぁ。もっと稼いでこいっての」

P「舌打ちが真に迫ってて怖い」

志保「今の私の気持ちに即した妹キャラにしました」

P「誇張してるよな? ここまで本気で俺にキレてないよな?」

志保「………」

P「無言が怖い」

志保「さっきから怖がってばかりですね」

P「誰のせいだと思ってるんだ」

志保「不思議です。プロデューサーさんが怖がっている顔を見ていると、少し心が昂るような……」

P「目覚めちゃいけないモノが目覚めかけていないか?」

P「もっと普通の妹キャラを演じてくれないか」

志保「普通……普通、ですか。難しいですね」

P「あまり難しく考えすぎずに、志保の思うようにやってみよう」

志保「わかりました………では」


志保「兄さん……私のために、そこまで無理しなくてもいいんだよ?」

志保「私、今の身体でも大丈夫だから……うん」

P「病弱な妹か。普通かどうかは置いといて、演技力は問題ない――」

志保「ウィンリィも心配するし」

P「アルフォンスー!!」

志保「すみません。参考にしたキャラが出てきてしまいました」

P「弟なんだけど、そのキャラ」

志保「他には城之内君の妹も想像していました」

P「それはどっちかというと静香にやらせたい役だな」

志保「そういえば同じ名前ですね」


志保「変な流れで演技に入ってしまったので、少しミスが目立ってしまいました。ここからは、気を取り直してきちんとこなしてみせます」

P「俺もきちんとお兄ちゃん役やるから、頑張れ」

志保「はい」

P「じゃあ、よーいスタート」


志保「おかえりなさい、兄さん。今日もお仕事お疲れさま」

P「ただいま、志保。学校はどうだった?」

志保「いつも通りだよ。兄さんは?」

P「俺もいつも通りだった」

志保「そっか。カバン、持つね」

P「いつもすまないな。志保に出迎えてもらえると、疲れが吹き飛ぶよ」

志保「そんな、たいしたことじゃないよ。これくらい」

志保「でも……『すまない』じゃなくて『ありがとう』だと、もっと嬉しいかな」

P「……はは。いつもありがとう、志保」

志保「うん、100点」

志保「ごはんにする? お風呂にする? それとも………」

P「……それとも?」

志保「………」

志保「兄さんのえっち………」

P「………」

志保「……兄さん?」

P「………」タラー

志保「………あの、プロデューサーさん。鼻血出てますけど、それ、演技じゃないですよね。止めたほうがいいですよね」



P「止血に成功した」

志保「大丈夫ですか?」

P「ああ。志保の演技があまりにかわいらしかったから、つい鼻血が出てしまった」

志保「褒めてもらえるのはうれしいですけど……プロデューサーさん、妹萌えだったんですか?」

P「そこまで自覚はなかったんだが、もしかしたらそうなのかもしれない。それか、単純に志保の演じる妹が強すぎただけかもしれない」

志保「なるほど……まあ、練習はうまくいったようでよかったです。私自身、手ごたえはありましたし」

志保「ありがとうございました、プロデューサーさん」

P「どういたしまして」

志保「飲み物、買ってきます。何かいりますか」

P「何か炭酸を頼む」

志保「わかりました」



志保「………」

志保(兄さん、か。上の兄弟はいないから、少し新鮮だったな……)

志保(いい兄さんの日、か。昨日私が事務所に来ていたら、『いい夫婦の日』で妻役の演技の練習になっていたのかも)

志保「………なんで私、こんなこと考えてるんだろう」

静香「あ、志保。いいところに。プロデューサーがどこにいるか知らない?」

志保「ああ、静香。兄さんなら、あっちの部屋に……」

静香「………兄さん?」

志保「……あ」

静香「志保。あなた今、プロデューサーのことを兄さんって呼ばなかった?」

志保「………気のせいよ」

静香「目を背けているのは?」

志保「気のせいよ」

静香「ふーーーーん………そう」

志保「なに、その顔」

静香「別に?」

志保(弱みを握られたかもしれない……)




その後


静香「プロデューサー!! あなたと志保は生き別れの兄妹だったんですか!」バァン!

P「え、なにそれは」





自販機の前の志保「……いや、ないか。静香は素直すぎるくらいだし、人の弱みは握れないタイプね」

志保「今ごろ、兄さん……じゃなくて、プロデューサーさんに変な勘違いを押しつけてるかも」



おしまい

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
志保に兄さんって呼ばれたい

過去作:北沢志保「プロデューサーさんが……ロリコン……?」

などもよろしくお願いします

乙です

>>1
北沢志保(14)Vi/Fa
http://i.imgur.com/92hrHgZ.jpg
http://i.imgur.com/Ce4Jg8z.png

>>7
最上静香(14)Vo/Fa
http://i.imgur.com/7O1s1qQ.jpg
http://i.imgur.com/e3nHagW.jpg

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