【ミリオンライブ】輝きの向こう側へ (27)

プロデューサー:アイドル

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1425855962





今一度、君に問おう。





目指したものは何ぞや?









ある晴れた日の事。

私、プロデューサーめは、事務所で一人寂しく事務仕事を行っておりました。それはいつも共に仕事をする『音無小鳥』さんが、外におつかいに行っているためです。


季節は冬の終わり頃、天気は晴れ、時刻は昼過ぎ、昼寝をするには完璧とも言える条件におれの心は揺れ動き始める。


確認しなければならない書類を持ったまま、椅子に乗って窓際に移動し、窓から射し込む太陽の光に身を預ける。


穏やかな日射しが肩と首と頭を暖め、風呂の中に浸かっているようなポカポカとした快楽が眠気を誘う。


(いやいや、何を言う)


(おれは彼女たちの為に、働いているのだ)


そう、心の中では三大欲求を打ち払うつもりでいたが結局、おれは『陽射しの中で』仕事を始めた。




おれは太陽光が『眠りの源』であることに目を瞑り、太陽がくれる快楽を『仕事の潤滑油』とみなして仕事をする。


しかし、そういった良いとこ取りは大抵上手くいかないものである。気が付けばおれは船を漕ぎ始め、眠りの大海原へと冒険の旅に出ようとする。


首をカクンと一回、二回。抵抗の意志があるのか無いのか、おれの首の動きは加速していく。


顔を下に向けては戻ってき、何度も何度もそれを繰り返していく内に、おれは首を回して頭でグルングルンと円を描きながら眠り続ける。


端からみれば、壊れた首振り玩具が椅子に座っているだけ。


アイドルからみれば、プロデューサーが狂ったように首を回しながら眠りこけているという悪魔の光景である。


けれどもおれは首の回転をやめなかった。


頭を振れば振るほど、おれの意識と眠りの世界が融合していく様に思え、宙に浮いたような浮遊感が全身を包んで離さない。


正に、睡眠の絶頂へと追い込まれるという瞬間。


――熱いッ!


おれは頭部に焼けるような感覚を覚え、思わず立ち上がってしまう。




「一体…何が…」


絶頂を邪魔された怒りと無事に起きられた喜び、さらにプスプスと効果音が出そうなほど暖められた頭の具合のせいで、おれはぼんやりとしたまま覚醒した。


ぼんやりとした覚醒、という奇妙な言葉で表された目覚めのお陰で疲れは吹っ飛び、仕事に対するやる気が沸き上がってくる。


「……仕事、するか!」


「うっひょひょいひょーい!!」


ピョーンと足を広げて飛び上がりながら、椅子と書類を自分の机に収め、おれは『給湯室』へと向かった。


おれが『給湯室』へと向かったのは、ある飲み物を飲むためである。


そう、コーヒーだ。


ハイテンションのまま飛び込んだおれは、すぐさま自分用のコップとインスタントの粉、砂糖と牛乳を取りだしてポットの温度を確認する。


「ふむふむ…83℃か、志保のバストと同じだな」


――――――――――――――――――――

志保「くちゅん」


静香「あら、風邪?」


志保「そう、かしら…寒気がするわ」

――――――――――――――――――――



83℃という温度は人が触る水としては高温に分類されるが、このおれにとってはそうではない。


「『コーヒー』と『牛乳』は1対1だ……それは揺るがない絶対の方程式ッ!」


「粉はスプーン一杯半、砂糖はスプーンに山盛り一杯!」


おれはスプーンで必要な分量を計り、コップに入れる。




小さな粉が入るコップの大きさは普通の人間のそれとは違う、特徴を挙げるとすればその大きさと形状だろう。


大きさはビールジョッキ程で大体800mlは入るだろう。形状は取手の付いた円柱、但し鳥のくちばしのような『注ぎ口』がついているのである。


コーヒー粉の苦い香りを少し楽しんでいると、ポットから蒸気が吹き出して水が沸騰したことを知らせる。


ボタンを押し、コポコポとお湯を注いでコップの半分を満たす。


そこへ牛乳を注ぎ、限界近くまで液体で満たすとスプーンでかき混ぜ、クリーム色の飲み物を作る。


スプーンでコーヒーの『泡』を掬って口に含み、冷蔵庫から海外産の板チョコを取り出す。


給湯室からチョコレートとジョッキコーヒーを持って自分の仕事机に置くと、まずは一口コーヒーをゴクゴクと飲む。


そしてチョコレートを包むオレンジ色の包装を破ると、小さく砕かれたピーナッツが混ざっている板チョコが顔を出す。


おれは迷わずチョコレートにかじりつき、噛む度に広がる甘い味と、ピーナッツの歯ごたえを楽しみながら味わう。


チョコレートを口から食道に押し込むと、すぐにコップの取手を掴み、注ぎ口に口を当ててコーヒーを一気に流し込む。


ゴクゴクッと喉が音を立て、液体は口の中に甘いコーヒーの味を置いて我先にと体の奥へと入っていく。


熱くはないが温くもないと言う絶妙な温度調整によって喉は火傷せず、体を内から暖める。


「っぷはぁー…」




コップの半分ほどを飲み干したおれは、チョコを一口サイズに砕きいてつまみながら、コーヒーを飲みながら仕事を再開した。


一時間程経ったか、仕事の途中におれは尿意を覚える。


あれだけの量のコーヒーを一気に飲んだのだ、むしろ一時間でようやく尿意が来た、と言った方がいいだろう。


「トイレ、行くか…」


おれは仕事をする手を止め、トイレへと向かった。


この事務所のトイレは『広い』、しかしそれは幾つも便器があるという事ではない。


この事務所のトイレに性別という概念は無い。男は社長とおれだけで、社長は滅多に姿を見せない為実質女子トイレだ。


さて、前置きは十分話したし、構造の話をしよう。


この事務所のトイレには、『男性用の小便器』と『洋式の便器』しかない。しかも一つずつである。


先程、トイレは『広い』と言ったたが、それは『小便器』と『洋式』の間隔が広いという意味である。


つまり男であるおれは伸び伸びとトイレが…出来ない。




男がアイドル事務所の男女兼用トイレで伸び伸びとションベンをしてたら警察が来るのは間違いない。


トイレをするのには細心の注意を払わなければならないのだ。


そもそもこんな仕組みのトイレにした社長もキチガ〇イなのだが、別におれは怒らない。


それは何故か?


恥ずかしくなって顔を赤らめるのはアイドルの方であり、おれは別に恥ずかしくない。小便器がダメなら洋式のトイレでやればいい話であり、 全く問題がない。


そして僅かながら女子トイレで用を足しているような罪悪感に駆られ、『興奮する』のだ。


アイドルという一級品の美少女が放った黄金水、その蒸気が満ちているのだ。


社長には感謝するのが当たり前であり、キチガイなどと馬鹿にするのは甚だしい話である。


さて、そんなわけでトイレにやって来たおれだが、近々この素晴らしい構造のトイレを工事するという話を思い出したのだ。


つまり、この時にするションベンがラストトイレになる可能性は高く、おれの心には哀愁や郷愁の念にも似た感情が込み上げてくる。




――その時、おれの脳裏にはある光景がちらつき始める。


華の青春時代。中高一貫の男子校に入った俺は、この事務所のように『広い』トイレを日々使っていたのだ。


そして、そのトイレでおれは、おれは…


『小便器』と距離を取って放尿したのだ。

         イエローブリッジ
それは紛れもない『黄色の架け橋』を作り、便器とTNTNを繋ぐ、酷く脆く、儚い、一瞬のロマンスを醸し出す。


アンモニア臭のする戦場での唯一の快楽をもたらす恋のようであり、それはあまりにも危険であり、見る人はおれを愚か者だと嗤うだろう…。


だがしかし、床を汚すという禁忌を犯してでも手に入れたい、その願いの先にあるものをおれは目指した。


「はっ、おれも若かった…」


――甘い、甘過ぎる。


高校生だったおれは勉強やスポーツでは負け知らずであったが、どう頑張っても1mの壁は越えられなかったのだ。


そこで、おれは人生で初めての挫折を味わう。


「出来ないもんは出来ない、それが分かっていたら…あんなに惨めな思いはしなかった…」


辛酸を舐めるような日々、1mという巨大な壁は未だにおれの中でそびえ立つ。


この幻影は一生つきまとうのだろう。




「…はぁ、おれは、普通のションベンをしに来たんだ…無駄な挑戦をしに来た訳じゃねぇ」


そう、心に無理矢理諦めをつけさせようとし、ファスナーを下ろした時…


『それでいいのか!?』


語り掛ける、おれの声。


おれは、もう割りきった筈だ…もう夢は諦める。


『最後のチャンスだぞ!?』


『この聖域でなら、やれるはずだ!』


馬鹿め!


これだから理想主義者は困るんだ!


そんなもん只の思考停止だ、現実を見ろよ。


『現実? それも思考停止であろう』


『いつだってそうだ、「現実を見ろ」と逃げ出す』


…お前も俺なら分かる筈だ…『1m』は絶対の壁、全てを拒む『断絶』そのものだ。


『心は、諦めてないんだろう…?』


黙れ。


『悔しかったんだろう?』


黙れ。


『輝かしい栄光を諦めては…』


「黙れぇぇぇぇぇえええええ!!」


おれは誘惑を振り払い、かつての相棒を取り出して放尿を始めようとする。


しかし、何故か相棒からは尿は出ない。


何故だ、何故だ、何故だ。


おれの思考は永遠に結論へと辿り着けない、相棒は何も答えない。


相棒は無口な奴だ…だが、おれの相棒はスイッチが入ると猛烈に燃え上がる。


そんな、熱い男だ…。




…………そうか、そうだったのか。


相棒、いつだってお前は…おれを…。


『もう答え出てるでしょ?』


そうだ、やるっきゃない。


全身全霊を掛けて、何度も!何度でも!


不屈の心で!!


「負け、られるかぁぁぁぁぁあああああ!!」


ファスナーの闇から相棒が外界へと解放される。


その瞬間、おれの相棒は小便器へと熱く黄色いメッセージを発信する。


ピュゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウ!!


「最初ッから飛ばしてくれるな!!」


相棒の勢いに後押しされ、おれは三歩、すり足で後退した。


まだ30cm、序の口の序の口。


おれはションベンの勢いを少し抑え、再び後退。これは爆発力と忍耐力、持久力が必須となるため力をセーブしているのだ。


「分かるぜ、伝わるぜ、お前の気持ちはな」


「だが、悪魔の90cmを越えるまでは『いつも通り』頼むぜ!」


ジョボボボボボボボォォォォォオオオオオ


黄色の熱線と白く輝く便器の衝突、しかし今はまだ序盤戦。


ギリギリの戦いはまだ始まらない。


「よし、順調だ…完璧にここまで来た」


60…70…80…。


徐々に記録を伸ばしていくが、おれの歩みは85cmで止まる。


その時、おれの放尿は小便器の『クチバシ』に差し掛かっていた。




通常、小便器はL字型をしているが、L字の底辺の先端部、そこは上から見ると四角ではなく三角になっており、ションベンをする人間に向かって突き出ているのだ。


その『三角』の頂点の狭い範囲に向かっておれは長距離射撃を敢行しなければならないのだ。


相棒の角度は理論上飛距離がもっとも長くなる四十五度、下腹部に込める力は高まり、尿の残量は刻一刻と少なくなっていく。


――まだだ


――おれは


「こんなとこで立ち止まれんッ!!!」


ジョボボボボボボボォォォォォオオオオオ!!!!


「行けッ!!未知なるアヴァロンを求めて!」


今までで最高の場所、時間、尿残量に尿圧。


だがしかし、『断絶』は全てを拒絶する。


『悪魔の90cm』そう呼ばれた壁は、未だにそびえ立っていた。


「ッ…だめ、なのか…」


相棒をもつ右手に力が込められる。


悔しさ、悲しさ、再び味わう敗北――。


「限界ッ…なのか!」


その時、『それ』はやって来た。




静香「プロデューサーこんなところに…!?」


「あっ…」


それは未知との遭遇。


しかしおれの直感は全てを悟る。


逃げることは出来ない。目の前の者はおれをその場に縫い付け、こちらをじっと見つめる。


即ち、『死』の体言。


全てが昏い水の底へと…


――何寝言言ってんだ


何だ…?


今の声は…


――下を見な


あ、相棒…お前ッ!!


――全てを掛けるのは今、さ





勃起してやがるッ!!!






静香「き、きゃぁぁぁぁぁああああああ!!」




まだだ、静香の叫び声が、魂の応援が聞こえるッ!


――そう、それでいい…


「ふぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!」


静香「なに張り切ってるんですか!!!」


ボキボキボキボキボッキィィィィィイイイイイン!!!!!!


ジョボボボボボボボボボッッォォォォォオオオオオ!!!!!!


尿圧、尿速、急上昇!!


五歩だ!五歩下がる!


おれは、『悪魔の90cm』を通過点にするッ!


「超えた…自分を、超越するッ!」


静香「何訳のわからない事を言ってるんですかぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」


そして、超える。


1mの『究極』をッ!


絶対の守護者をッ!!


「ションベンを…飛ばせぇぇぇぇぇ―――――――――ッ!!」


100…101…103…まだ伸びる!


相棒が超長距離狙撃モードに入ることで、おれが人目から隠し続けてきた全てがさらけ出される。


そうだ、静香。


「お前の、お陰だ」


静香「このドッ変態!!」


ムクムクムクムック!!!!


何だ、と…まだ、相棒はムチャを…。


――お前が全てを捨てた


――俺は真似しか出来ない臆病者さ


違う、お前がおれを引っ張った。


お前がいつも側にいた、だからおれは乗り越えた!


いける!おれとお前なら!


――無限の果てまで

  セカイ
この便所の果てまで


「イってきゅぅぅぅぅぅぅうううううう!!」


静香「誰かぁぁぁぁぁぁああああああ!!」


志保「静香!?一体どうし…た…」




伸びる伸びる伸びる、まだ伸びる!


120…130!


まだションベンがウォーターカッターの様に突き刺さる。


全てが、やはり全てが味方を――


――まずいぞ…


どうした、相棒。


――ボッキチンチンの弊害、前方向への射出は…


まさか、これは!?


――尿道の圧迫を引き起こす。そしてそれにともなう尿速の低下…


――ここまでだ、お前との…冒険は…


「見損なったぜ」


静香「こっちの台詞でしょぉぉぉぉおおおおお!!!???」


志保「きゃぁぁぁぁぁああああああ!!」


――何だよ…恨みは俺に…


「違う!そうじゃねぇ!」


「まだ、策はあるッ!」


静香「そうよ…警察!」


志保「待って!もしかしたらスキャンダルに…」


「諦めるには早すぎる!」


――お前!まさか!!




そう、全てを掛けるんだ。


プライドも恥も外聞もかなぐり捨てる。


ただ我武者羅に目指す修羅の道――――


…………おれは、初めて便所に片手をつけた。


獣のような格好。


相棒を右手で支え、相棒がいくら伸びてもいいように、手をついた。


――便所に手をつくなど!!


「おい、忘れたのか?」


――何をだ

        セ  イ  イ  キ
「ここは『アイドル事務所の男女兼用トイレ』だ」


――!!


「やはり、全てが味方をした」


静香「社会の敵でしょぉぉぉぉぉおおおおお!!???」


志保「まって、静香!」


静香「…何?」


志保「プロデューサーの真剣な顔を見て、あの人は…遠いところを目指してる」


静香「刑務所目指してどうすんのぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」


――役者は揃った…か


いくぜ、完全燃焼ッ!!!





テテテ


熱い熱いじょーうねつが♪


焦れるハートに火ーをつける♪


テテテ


だーってタ・フ・な♪


ゆっめじゃなきゃ始まらない♪


デデデ!


胸のすーきまジリジリと♪


燻ってた導火線♪


いーっますぐに♪


燃やしてーっよ真っ赤な♪


志保&P「「デザイアァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」」


静香「志保ォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」


ジョボボボボボボボボボボボ!!!!!!


そうだ、負けない!


信念が有る限り!!


「うおぉぉぉおおおおおおおおお!!!」


おれの足は一歩、また一歩と壁際へ、『洋式トイレ』の個室へと近づく。


そこがおれの目指す頂点。


常人では立ち入れぬ極地。


この一瞬の輝きを!


パワーをTNTNに集めろッ!!


――放て



「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


ビュルビュルビュゥゥゥゥウウウウウ!


静香「もうやだぁぁぁぁああああああ!!」


志保「目を背けてはいけないわ、あの人の放つ輝きを!」


静香「目を覆いたいのよ!!手を離して!!」


そして…


そして、おれのケツは洋式トイレの便器に触れた。


その時のションベンは見事に『三角』…いや、普通にトイレに入ってた。


辿り着いた果て、生涯を掛けて目指そうとした究極の場所。


これで、おれは何も思い残すものはない…


「やった…」


――…………


…相棒も元に戻っちまったか。

                  ステージ
「…おれは忘れないからな、今日のこの『戦い』を」


静香「トラウマよぉぉぉぉおおおお!
!!!」




おしり


実験で書きました

↓書いたもの
P「あんぱん」
百合子「765事務所探偵倶楽部第一話!」美奈子「もっと食べたい」
【ミリマス】ぷっぷかにゃんにゃん
【ミリマス】ヌードルシホンヌ
【ミリマス】茶柱ドリル
「横山奈緒と徳川まつり」

タイトルはまともそうなのに・・・
乙でした

>>5
北沢志保(14) Vi
http://i.imgur.com/PD51uPh.jpg
http://i.imgur.com/Uk5rGnt.jpg

最上静香(14) Vo
http://i.imgur.com/WZWOCbC.jpg
http://i.imgur.com/VGFoe4A.jpg

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom