勇者「こないだこの世界に飛ばされてきた芸人とやらがやってた」
勇者「≪細かすぎて伝わらないモノマネ≫というものがこの世界でも大流行!」
魔王「ならいっそ大会でも開いてみるか、と誰かがいったら本当にやることになってしまった」
勇者「今回は6組の参加者が登場するらしいが、ワクワクしてきたよ」
魔王「ああ、楽しみだな」
勇者「それじゃ、最初の方、どうぞ!」
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デデデデデデデデデン!
村娘「え~……≪たまには違うことを言いたくなった村人≫」
村娘「ここは○○の村です」
村娘「ここは○○の村です」
村娘「ここは……○○の村です」
ガシャン!!!
ハハハハハハ… アハハハハハ…
勇者「ちょっと迷ってたね」
魔王「迷ってたな」
勇者「でも、ちゃんと『○○の村です』をいったのは偉いと思う」
魔王「プロ根性だな」
魔王「ああいう人はたまにいるのか?」
勇者「うん、冒険の時感じる時はあった。あ、今この人違うこと言おうとしたなって」
魔王「あるのか~」
勇者「そりゃいつも同じこといってりゃ、違うこと言いたくなるって」
勇者「じゃあ、続いての方、どうぞ!」
デデデデデデデデデン!
騎士「≪演習の時の騎士団長≫」
騎士「ではこれより、竜神の型を行う! しっかりついてくるように!」
騎士「始めぇーっ!」
騎士「イェアーッ!」ブンッ
騎士「イヤァァァーアァァァッ!!」ブオンッ
騎士「イィアァァァァァッ!!!」ブオンッ
騎士「あ、ごめん、間違えた」
ガシャン!!!
ハハハハハハ… アハハハハハ…
勇者「間違えちゃったかー」
魔王「でもちゃんと間違いを認めるのは偉いと思う」
魔王「普通ならごまかしちゃうだろうし、なかなかできることではないぞ」
勇者「うん、だからこそ騎士団長まで出世できたんだろうな」
魔王「自分の間違いを素直に認めるってのは、上に立つ者に必須のスキルだよ」
魔王「ワシも見習わないと……」
勇者「続いての方、どうぞ!」
デデデデデデデデデデン!
スライム「え~……≪魔王様に作戦を進言するも、採用されなかった時の側近様≫」
ゴブリン「……」
スライム「魔王様」
ゴブリン「なんだ?」
スライム「勇者パーティーはついに悪魔の塔をも攻略した模様です」
ゴブリン「ふむ」
スライム「ここはゴーレム軍団とゴースト軍団で挟みうちにするというのはいかがでしょう?」
スライム「名づけてゴーゴー作戦!」
ゴブリン「いや、そんな手で勇者を倒せるとは思えん。却下する」
スライム「はっ、かしこまりました!」
スライム「……チッ」
ガシャン!!!
ハハハハハハハ…! アハハハハハハハ…!
勇者「ハハハ……」
魔王「ガハハハ……」
魔王「そうなんだよ、舌打ちすんだよアイツ。聞こえてないとでも思ってんのかね」
勇者「案外聞こえるようにやってんじゃない? 怒られないギリギリのボリュームで」
魔王「今度、アイツとはじっくり話し合う必要がありそうだな」
ハハハハハ…
勇者「では続いての方、どうぞ!」
デデデデデデデデデン!
オーク「≪オレに追い詰められた時の女騎士≫」
オーク「くっ、殺せ!」
ガシャン!!!
アハハハハハハ…! ハッハッハッハッハ…!
勇者「アハハハハ……!」
魔王「ガハハハハ……!」
勇者「いやぁ~、もはや伝統芸だな」
魔王「うむ、歴史の重みを感じる」
勇者「シンプルイズベストだね」
魔王「まぁ、細かすぎて伝わらないモノマネって趣旨とはちょっとズレてるけどな」
勇者「伝わりまくってるよね」
勇者「では続いての方!」
デデデデデデデデデン!
スケルトン「え~……≪火を吐いたけどちょっと熱かったドラゴン≫」
スケルトン「ゴォォォォォッ!」
スケルトン「ゴォォォォォォォォッ!」
スケルトン「……アチッ」
ガシャン!!!
ハハハハハハ… アハハハハハ…
勇者「そりゃ熱いよな。いつも思ってたもん」
魔王「うん、熱い」
魔王「ワシも火は吐けるが、加減間違えるとヤケドしたり口内炎になるからな」
勇者「ハハハ、なるんだ~」
アノー…
勇者「……え、なに? スケルトンが落ちた拍子に砕けた?」
勇者「だから落下するのはやめとけっていったのに。無茶しやがって」
魔王「まあ、組み立てれば元に戻るから心配あるまい」
勇者「じゃあラストの方、どうぞ!」
デデデデデデデデデン!
戦士「≪ちょっとピンチな時の勇者≫」
戦士「ちっ……やるな! みんな、これぐらいでくじけるな!」
戦士「続きまして、≪かなりピンチな時の勇者≫」
戦士「ぐっ! みんな、諦めるな! 諦めなければ、絶対にチャンスはやってくる!」
戦士「続きまして、≪ものすごくピンチな時の勇者≫」
戦士「ぐあっ……くっ……ううっ……! ぐ、ぐぐっ……!」
戦士「カエリテェ……」
ガシャン!!!
アハハハハハハ…! ハハハハハハ…!
魔王「ガハハハハハハハハ……!」
勇者「ふふふっ、ふふっ……!」
魔王「弱音出ちゃったな」
勇者「アイツもよく見てるな~」
魔王「ワシと戦ってる時もボソボソなんかつぶやいてたけど、こういう感じだった?」
勇者「うん、こんな感じだった。帰りてぇ~って感じだった」
魔王「まぁ、勇者だって人間だ。弱音吐く時だってあるだろう」
勇者「うんうん、しょうがない」
勇者「これで全部終わったか。いやぁ~、面白かった!」
魔王「うむ、どれもよくできてた」
勇者「個人的にはどれが一番好きだった?」
魔王「騎士団長かな。ワシもあれは見習わなければならん。お前は?」
勇者「う~ん、悩むな。あえて選ぶなら側近のやつが一番好きかな」
魔王「側近とは、本当に話し合わねばならんな」
ハハハ…
勇者「じゃあ最後に、俺たちもやるか!」
魔王「そうだな!」
デデデデデデデデデン!
魔王「え~……≪ワシにさらわれてた時の姫≫」
魔王「魔王!」
魔王「ちょっと魔王!」
魔王「あたしを拉致しといて、新聞ぐらいないの? え、ある?」
魔王「こんなのやだ! あたしが読みたいのはね……スポーツ新聞!」
ガシャン!!!
アハハハハハ… ハハハハハ…
デデデデデデデデデン!
勇者「え~……≪俺と出会ったばかりの頃の姫≫」
勇者「勇者様……わたくし、あなたを愛しております」
勇者「わたくし、あなたのためならこの命を捧げられます!」ウルウル…
勇者「続きまして、≪俺と結ばれた後の姫≫」
勇者「勇者ぁ~……あたしお腹すいちゃった~」
勇者「ちょっと軽くつまめるもん作ってくんない?」
勇者「早く!!!」
ガシャン!!!
アハハハハハハ…! ハハハハハハ…!
魔王「お互い、あの姫には苦労させられてるようだな」
勇者「ああ、もう完全に尻に敷かれてるよ」
魔王「ちなみに、軽くつまめるものって何作るの?」
勇者「サンドイッチ作るよ。玉子サンドとか」
ハハハハハハ… ハハハハハ…
勇者「結婚は人生の墓場っていうけど、マジだねぇ~」
魔王「うんうん、ワシも姫をさらった時はワガママすぎて扱いに困ったもんだ」
勇者「女って怖いよなぁ」
魔王「うん、怖い怖い」
シーン…
勇者「ん?」
魔王「なんで笑い声がなくなったんだ? みんなどうした?」
姫「二人とも……何やってんの?」ゴゴゴゴゴ…
勇者「ヒッ!?」
魔王「ゲェ!?」
姫「細かすぎて伝わらないモノマネか……ずいぶん楽しいことしてたようね」
勇者「いや、違う! 違うんだ!」
魔王「これはただのお遊び企画で……」
姫「じゃああたしも一つ披露しようかしら」
姫「え~……≪勇者と魔王をボコボコにする姫≫」パキポキ…
勇者&魔王「いやぁぁぁ! 鋭すぎる殺気が伝わりまくってくるぅぅぅぅぅぅ!!!」
―おわり―
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