私の先輩 (3)

駅の近くに住む先輩は、よく一番遅いバスに乗る。そんな先輩を冷たい目で見ながら携帯に目を落とす。息切れの音とともに先輩が乗ってきた。
「おはよう、千景ちゃん。」
笑顔で挨拶してくる。私の気も知らずに。
「ゆなさん、髪結んでないんですか?」
天然パーマの髪に触れて言う。
「あー、今日ね、結ぶの忘れちゃたの。」
めんどくさそうにカバンからゴムを取り出す。毛量の多い長い髪は簡単にはまとっまってくれない。
「私結びましょうか?」
「ほんと?ありがとう!」
ゴムを渡してうれしそうに微笑んだ。髪を結いながら首筋を見下ろした。
(エロいな)
なんて口が滑っても言えない。私はただゆなさんと先輩後輩の仲でいたい。ただそれだけなんだけど、、、



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私の部活はオーケストラ部だ。ゆなさんとチェロを弾いている。細身な割に馬鹿でかい音を出す私に音の出し方を間違っていると何度も指摘した。特にチェロは人気が高く、そんなに音を出さなくてもよかった。しかし私は洋子さんがいたとき洋子さんが大きい音を出していて安心したし、逆に洋子さんがいないと不安で仕方なかった。そして彼女の存在がどれだけ大きかったことか知ることになる。そんな大きな存在になりたい。だから、、、
「千景さんってどうしてそんなに大きい音出るんですか?私、千景さんいないと不安になるんです。」
あるひ後輩が言ってきた言葉だ。私は正直うまくいったな、と思った。そしてもっと音を出して自信を失わせたい、私の存在にきずいてほしい。段々とそう思うようになっていった。

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