八幡「俺の居場所」【俺ガイルSS】 (130)

俺ガイルSS書きました!長編です!

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立ちましたか?初めてなのでいまいちやり方が・・・

[ココナッツベガ・チームハウス]


ハヅキ「突然なんだけどエロなぞなぞでもしようと思ってねぇ」


リョウコ「はい、解散ー!」


アコ「お疲れ様なのだー」


イミナ「おう、お疲れー」


マリ「じゃ、帰るとするかね」


ハヅキ「話ぐらい聞いてくれたっていいじゃないか」


アコ「話を聞いたぐらいで状況が好転すると思うのだ?」


ハヅキ「なかなか手厳しいねぇ」


ハヅキ「まぁ聞いてもらえればわかるさ」


リョウコ「禅問答じゃないですか」


イミナ「もうほっといて帰ろう」


ハヅキ「実は真面目な話でね」


マリ「勝手に語り出してるけど」


リョウコ「というよりエロなぞなぞがどうなれば真面目な話になるんですか」

ありがとうございます!完結してるので、ゆっくり投下していきますね

八幡「俺の居場所」


―比企谷家―

小町「お兄ちゃん、ご飯置いとくね・・・」

八幡「・・・」

お兄ちゃんが部屋に引きこもってから1週間が過ぎた。トイレやお風呂以外は部屋を出ない。それも誰にも気づかれないように。小町と会話もしてくれない。ご飯は小町が扉の前から離れたら、部屋に持って入って食べてる。でも、ほとんど食べていなくて、また扉の前に置いてある。
 
お兄ちゃんがこんなことになった原因は、周りの人たちからの情報で知っている。でも、部屋から出なくなってしまったのは、小町のせいだ。小町があんなこと言わなければ。

小町「小町リビングに降りるから、ご飯食べてね」

八幡「・・・」

ごめんね、お兄ちゃん。小町のこと嫌いだよね。でも、嫌われたままでもいいから、返事をしてほしいよ。

~♪♪

小町「はい!小町ですよー」

結衣「やっはろー、小町ちゃん!ヒッキーどう?」

小町「兄のために、毎日ありがとうございます。兄もきっと感謝してると思います」

結衣「それはどうかな?今のヒッキーにとっては邪魔なだけかも。メールも電話も無視だし」

小町「小町も声はかけるんですけど、返事してくれなくて。ご飯は食べてくれるんですけど」

結衣「やっぱり今日も小町ちゃんでも、だめだったんだね。あのシスコンのヒッキーが小町ちゃんを無視するなら、あたしなんかじゃ無理だよねー・・・」

小町「そんなことありませんよ!今の兄は小町に対してとても怒っていると思いますし・・・。それに誰が相手とか関係なく、人と関わりたくないみたいですから」

結衣「それならあたしのほうが・・・。あ、小町ちゃん、今日は行けなかったけど、明日の放課後も家に行ってもいいかな?」

小町「もちろんです!よかったら晩御飯も食べていってください!両親は仕事で遅くなるので、ひとりで食べるのも寂しいですから」

結衣「ほんとに!?ありがとう!楽しみにしてるね!」

小町「こちらこそ、結衣さんが来てくれるの楽しみです!・・・雪乃さんはどうですか?」

結衣「んーと、ゆきのんも気にしてるんだけど、今は会わないって」

小町「そうですか・・・」

結衣「で、でもね!ゆきのんは心配してないわけじゃないんだよ!その、なんて言ったらいいか分からないけど・・・」

小町「大丈夫ですよ、結衣さん。雪乃さんが言いたいことは小町も分かります。兄を信じてくれているということですもんね」

結衣「そうそう!ゆきのんも素直じゃないけど、ヒッキーは私たちにとって大事だからさ」

小町「ありがとうございます。その気持ちだけで嬉しいです」

結衣「うん。小町ちゃんも自分を責めすぎないようにね」

小町「はい。ありがとうございます」

結衣「それじゃあ明日ね!小町ちゃんのご飯楽しみにしてるね!」

小町「はい!また明日です!」

結衣さんは小町を元気づかせようと明るく話してくれたけど、空元気なのは丸わかりだった。
お兄ちゃんはちゃんとご飯食べたかな。心配してても何もできないし、今日は寝よう。

小町「カー君、小町と一緒に寝よう」

足元にいたカー君を抱っこして部屋に連れていく。明日は久しぶりに誰かと一緒にご飯食べれるし、ちょっと豪勢にしよう。

明日はお兄ちゃんと話せれば良いな。

―結衣の部屋―

小町ちゃんとの電話を終えたあたしは、携帯のメールボックスを確認する。いくつかメールは来てたけど、ヒッキーからのはない。分かってはいたけど、残念な気持ちで携帯の画面を閉じた。

結衣「ヒッキー、ごめんなさい」
 
これまで何度も口にしてきた言葉を、また呟く。明日は顔を見て言えたらいいな。そんなことを考えながら、もう一人の、ヒッキーを大事に思っている人に電話する。

雪乃「はい、もしもし」

結衣「ゆきのん、やっはろー」

雪乃「こんばんは、由比ヶ浜さん。元気がないわね。また、あの引きこもり谷くんのことを心配してるのかしら?」

結衣「そうだよ。ヒッキーのことが心配だよ。ゆきのん、明日暇かな?一緒にヒッキーに会いに行かない?会ってくれるか分からないけど・・・」

雪乃「ごめんなさい、残念ながら忙しいくて。だから彼のところにも行けないわ」

結衣「ゆきのん。それ本当なの?」

雪乃「ほ、本当のことよ!それに、学校でも言ったけど今の比企谷くんとは会えないわ。というより、どんな顔して会えっていうのよ」

結衣「ゆきのんが悪いんじゃないよ。ゆきのんはいつも通りの感じだったし。あの時、ヒッキーを守ってあげられなかったあたしのせいだよ。だから、ちゃんと謝りたい」

雪乃「由比ヶ浜さんは悪くないわ。私が弱ってる比企谷くんにあんなこと言わなければ。謝りたい、その気持ちはあるわ。でも・・・。やっぱり私は行けないわ。悪いけれど、一人で行ってくれるかしら?」

結衣「許してもらえないと思ってるんだね。分かったよ、ゆきのん。明日は一人で行ってくるよ。家に帰ったら様子を教えるね」

雪乃「別に比企谷くんの様子なんてどうでも良いのだけれど・・・いえ、教えてちょうだい」

結衣「うん。じゃあ、ゆきのん。また明日ね」

雪乃「ええ、また明日」

ゆきのんも自分を責めてる。小町ちゃんも。もちろんあたしも。
ううん、それだけじゃない。今までヒッキーと関わって、変わってきたみんなが。とりあえず、明日会いに行こう。そしてちゃんと謝ろう。

結衣「ヒッキー、おやすみ。また明日ね」

―雪乃の部屋―

由比ヶ浜さんからの誘いに嘘をついてまで断ってしまった。本当なら私が一番に会いに行って謝らなければいけないというのに。私は弱い。本当に嫌になる。由比ヶ浜さんは前に進もうというのに。

雪乃「比企谷くん。ごめんなさい」

誰もいない自分の部屋でそう呟いてみる。けれど、何も変わらないことは当然よね。こんなことで自分が救われるなんて思ってない。でも、弱い私にはどうすることもできない。

私は自分を責めながら、悔いながら、そして彼への謝罪を感じながら眠りについた。

行間狭すぎて最初めっちゃ見にくいですね・・・

―学校―


朝。あたしは通学路や廊下でヒッキーに会わないかキョロキョロしながら歩く。でも、残念ながら会えなかった。


教室の扉の前で心配そうな顔を直してから、扉を開ける。


結衣「やっはろー、みんな!」


三浦「おはよー、結衣」


海老名「はろはろー、結衣!」


葉山「やあ、結衣。残念だけど、彼は今日も来てないよ」


結衣「そっか。ありがと」


戸部「ヒキタニくんのこと探しすぎっしょ!」


三浦「ていうか、結衣は心配しすぎ。あいつの妹からご飯食べてるとか聞いてるんでしょ?」


結衣「それは聞いてるけど・・・。もしヒッキーが学校に来たら、一番に謝りたいし」


葉山「結衣は優しいな」


結衣「あたしは優しくなんてないよ!もしそうなら、こんなことになってない!」


葉山「結衣・・・」


結衣「あっ。ごめんね。思ったより大きい声が出ちゃった」


葉山「いや、大丈夫だよ。謝りたいのは僕らも同じさ。ね、優美子?」


三浦「まぁそうだけどさ。それは同意する。でも、あーしはいつまでも切り替えられないことに腹立つの!もう一週間過ぎたし!土日で切り替えて来いっつの。それに心配なんてしてないし」


戸部「とか言いながらさ、月曜日の授業でヒキタニくんの点呼取らなかった数学の先生に、キレたのは優美子だべ?」


三浦「あれは別に・・・。心配してるわけじゃなくて、居ないことが普通っておかしいと思っただけだし!」


戸部「『ちょっとさ!比企谷を呼ばないのは、なんでなわけ!?人数の確認もできないなら点呼なんてやめれば?』って。チョーかっこ良かったべ!」


三浦「戸部マジうるさいから」


葉山「ま、まぁ優美子。気持ちは分かるけどね。彼は確かに普段から目立たないけど、居ないものとして扱われるのはおかしいからね」


結衣「みんなありがとう。きっとヒッキーも喜ぶよ」


三浦「結衣はもっとあいつを信じてやんな。立ち直るって」


結衣「そうだね!ありがとう」


葉山「ふふ。あ、そろそろ授業が始まるね」


三浦「ん。あー、だりー」


結衣「がんばろうね」


なんだかんだ言いつつ、みんなも心配してくれてる。それに後悔も。ヒッキーに謝りたいと思ってる。もし今日会えたら、それも伝えよう。
あたしはそんなことを考えながら、授業へ意識を移した。

―奉仕部―

平塚「やあ、雪ノ下。1人か?」


そんなことをいいながら、私たちの顧問である平塚先生は部室へ入ってきた。私は本から目線をあげ、応対する。


雪乃「先生。ノックしてくださいといつも言ってるじゃないですか」


平塚「すまんすまん。由比ヶ浜はどうした?」


雪乃「由比ヶ浜さんは比企谷君の様子を見に行きました」


平塚「そうか。君は行かなくてもいいのか?」


雪乃「部室に誰もいないのは避けなければいけませんから。依頼人が来るかもしれませんので」


平塚「良い心がけではあるがな。それが君の本心ならばな」


雪乃「嘘をついているとでも言いたげですね」


平塚「まあな。強制はせんよ。好きにするといい。ただ後悔をしないようにな」


雪乃「そのことについてはもう遅いですよ、先生。それに私は虚言を言いません」


平塚「いつでも比企谷が帰ってこれる場所を開けているというわけか」


雪乃「!?っご想像にお任せします」


平塚「ふふ。まあいい」


雪乃「それでなんですか?教師が勤務時間中にさぼるというのは好ましくないと思うのですが?」


平塚「おいおい。これでも私は顧問だぞ。立派な職務中だよ」


雪乃「そうでしたね。それでどうしましたか?」


平塚「いや、なに。これから比企谷の家に行くから、希望するなら乗せていこうと思ってな」


雪乃「それでしたら結構です。私は今、忙しいので」


平塚「読書しているだけにしかみえんが。まぁそれならいい。私は行くとしよう」


雪乃「ええ。お気をつけて」

平塚「なぁ雪ノ下。私は君たちを見ていて、仲もよくなってきていたし安心をしていたんだ。君と比企谷の共に捻くれた部分が、由比ヶ浜を通して上手く相乗効果を生み出しているとな」


雪乃「私の捻くれた部分というのは同意しかねますが、言いたいことは分かります」


平塚「今まで数々あった比企谷のやり方は称賛できるものでないにしろ、一定の実績を残してきた」


雪乃「はい。そうだと思います。それで?」


平塚「比企谷は自分が傷つきながらも、みんなを良い方向へと動かしてきた。それも大きく変化させて。自分はどうなってもいい、とか思いながらな」


雪乃「そうですね。確かに彼の周りは変わりました」


平塚「そのおかげで、本人が気づかない内に居場所ができた。家以外の場所にな。だが、それに本人が気づかなければ意味がない。大切なものは認識しないと守れない」

雪乃「先生は何が言いたいのですか」

平塚「勘の鋭い君ならすでに分かっているだろう。居場所というのは簡単には裏切らず、いつでも迎え入れてくれる。そしてその場所というものは元気を与えてくれる。その場所に居たいとな」


雪乃「なんのことだか分かりません」


平塚「今はそれでもいいさ。だが、一番長く近くにいたのは君だ。私は先生としても、一人の人間としても、君のことを信じているよ」


雪乃「はぁ。期待に応えられないかもしれませんね」


平塚「雪ノ下なら大丈夫さ。では私は行くよ」


雪乃「はい。お気をつけて」

―川崎家―


大志「姉ちゃん、お兄さんは今日も休みだったんだね。それ捨てるの?」


弟の大志が中身の入ったままのお弁当を指さしながら話す


沙希「さすがに痛むからね。お腹すいたなら、晩御飯もうすぐだから我慢しな」


大志「うん。それは大丈夫だけど。心配だね、姉ちゃん」


沙希「まあね」


大志「お兄さんが登校したら食べてもらおうとお弁当を作り出して3日だけど・・・。家に届けてくれば?」


沙希「いや、今は人に会いたくないみたいだし、押し付けるのも迷惑だからね」


大志「比企谷さんもずっと元気ないし、お兄さんは全く・・・」


沙希「あいつは今まで頑張りすぎたのさ。そして、それを気づいてあげられなかった。そんなときに、あの出来事が起きたから限界を超えたんだよ」


大志「まあそうかもしれないけど。これから姉ちゃんどうするの?」


沙希「別にどうもしないよ。あの時なんにもできなかったあたしにはね。ただ信じて待ってるさ。絶対大丈夫だからね」


大志「凄い信頼だね。犯人捜しとかしないの?」


沙希「だれかするかもしれないけど、私はしないよ。まぁ殴ってやりたい気持ちはあるけどね。それに比企谷がああなった直接の原因はそれじゃないからね」


大志「そっか」


沙希「ほら、ご飯を作るからテーブル片づけといで」


大志「はーい」


夕食を作りながら、明日のお弁当について考える。あいつの好きなものを沢山作ろう。私には何もできないけど、がんばって登校したらご褒美がないとね。


私は信じてる、比企谷を。それにあいつが作った居場所を。だから、今は勝負の時だよ。負けるんじゃないよ、比企谷。

だれか、みていますか?

とりあえず続けますね

―比企谷家―


小町「はーい」


結衣「小町ちゃん。やっはろー!」


小町「やっはろーです!結衣さん」


約束どおり、放課後に結衣さんが来てくれた。小町はとても嬉しいです。


小町「さぁどうぞ!あがってください」


結衣「おじゃまします」


小町「とりあえずお兄ちゃんの部屋の前に行きますか?」


結衣「そうだね」


小町「では、行きましょう」


今日も小町には返事してくれなかったけど、結衣さんならどうかな?お兄ちゃん。

―八幡の部屋の前―


結衣「ヒッキー、あたしだよ!」


やっぱり返事がない。毎回そうだけど、本当に辛いよ。ううん、あきらめちゃだめだ。


結衣「ヒッキー、今日は学校でね!・・・」


なんでもいい、ヒッキーが返事したくなるかもしれないから、あたしは話し続ける。起きてるかも分からないけど、ヒッキーに届いてることを信じる。そうするしか、方法がないから。


―リビングルームー


あの後、数十分は扉越しに話をしたけど、やっぱり返事はなかった。途中で先生も来たから、あたしは一旦ヒッキーに話すのをやめて、小町ちゃんと先生と話をする。


平塚「今日も君ら二人でもだめだったか」


結衣「はい・・・」


平塚「そんなに落ち込むな、由比ヶ浜。君は自分ができることを精いっぱいやってるじゃないか」


小町「そうですよ!小町は本当に感謝しています。小町が原因なのに、助けてもらって」


平塚「小町くんもそんなに自分を責めるんじゃないよ。君も頑張っているじゃないか」


小町「小町は妹ですから、当たり前ですよ。むしろ・・・こんなことになってしまって・・・」


結衣「小町ちゃん泣かないで!大丈夫だよ。ヒッキーは小町ちゃんを責めたりしないよ!」


小町「うぐっ、んんっ。すいません、お恥ずかしいところを」


平塚「気にするな。それで、今日私が来たのは様子見ももちろんだが、比企谷についての現状報告というのを書かなくてはならなくてな。そのために、今までのことをもう一度整理させてほしい」


小町「分かりました。学校でのことは結衣さん、お願いしますね」


結衣「うん、きっかけは先週の月曜日です」

~回想・教室~


三浦「体育、超だるかったし。そのあと、すぐ数学とか無理」


葉山「確かにちょっとしんどいね。彼もすでに寝てるみたいだし」


三浦「彼?ああ、ヒキオか。あいつ数学捨てたとはいえ、始まる前から熟睡モードとか」


結衣「あはは・・・。まだ起きてるとは思うけど、ヒッキー本当に数学になるといつも寝るよね。点呼の後からずっと」


三浦「結衣もよく寝てるじゃん?」


結衣「え、そんなことないよ!?たまーにだよ!」


三浦「どうだか」


ヒッキーについて、みんなと話している間にチャイムが鳴り、先生が入ってきた。数学の先生、眼鏡かけたおじいさん先生なんだけど、ちょっと高圧的であたしは苦手。


先生「よし、席につけー。点呼する」


女子A「あ、先生。ちょっと」


先生「ん?なんだ?」


普段あまり目立つ方ではない女の子が先生に近づいていく。名前なんだっけ?そのまま2。3会話をし、その子が座った


先生「あー、椅子に置いておいたひざ掛けがどこかに行ったらしい。ちょっと探してあげてくれ。オレンジ色だそうだ。一番後ろの席の者は、みんなのロッカーを適当に探してやれ」


えー、男子もいるのに勝手にロッカー見られるの嫌だなあ。ほんとデリカシーないんだから!優美子も同じように思ったらしく、舌打ちをしていた。


三浦「なんであーしのロッカーを勝手に見られるわけ?マジ、あの先生腹立つ」


優美子は結構大きめの声で言ってる。聞こえてないかな?怒られるよ・・・。

 
どうやら先生には聞こえてなかったみたい。良かった。そんなことを思ってたら、一番後ろの席でみんなのロッカーを探してた男子が声を上げた。


男子A「それっぽいものありましたけど・・・」


女子A「あ、それ!」


先生「見つかったか。どこにあった?」


男子A「えっと、比企谷のロッカーの中から・・・」

その瞬間慰める声とか、野次みたいなのとか、ええっなんで?とかいろいろ混ざり合ってざわざわする。あたしはびっくりしてヒッキーを見る。え、こんな空気の中、ヒッキー寝てる?


先生「おい、比企谷!起きろ!」


八幡「んっ?あ、本当に寝てた。すんません先生、点呼でしたか?」


先生「それよりも大事なことだ。お前、ひざ掛け持ってるか?」


八幡「何のことですか?持ってませんけど?」


先生「拾ってもないか?」


八幡「ええ、知らないですけど。え、てか、この空気はなんだ?」


ヒッキーは目が覚めたのか、一瞬周りに目をやると、ほとんどの生徒が自分に注目していること。そして女の子が怪訝な表情をしているのを確認したらしい


先生「今、お前のロッカーから女子Aのひざ掛けが出てきてな。お前のじゃないんだろ?」


八幡「え、なんで!?は、違いますけど」


先生「はぁ。あのな。お前は高校生だから気持ち理解してやるが・・・。そういうことは、今の時代ネットとか使って解消しろよ」


その瞬間、さらに教室がざわついた。女子の悲鳴、男子の感嘆の声、そして罵詈雑言


戸部「ヒキタニくん、マジ男だべ!」


三浦「ヒキオ、あんた・・・」


葉山「おいおい、比企谷・・・」


まるで犯人確定のような扱い。死ねとかキモイとか散々な声が聞こえる。


八幡「いや、ちょっと待ってくれよ!知らねえって!俺じゃねえよ!」


先生「この状況だ。素直に謝罪は難しいだろう。ちょっと生徒指導室に来い」


八幡「違うって!」


先生「いいから、来い!他は自習しとれ」


先生の、ほかを許さないような一喝のせいで、教室は静かになった。そしてヒッキーも仕方なくといった様子で立って、先生に続いた。

平塚「ふむ。状況証拠と思い込みを利用されたな。かわいそうに。だが、比企谷がそのまま認めるとは思わないが。もちろん、自分の意見を言ったんだろ?」


結衣「おそらくそうだと思いますが・・・。たまたま保健室の帰りに生徒指導室の様子を見た、いろはちゃんの話では、先生が怒鳴り散らした後、追い出すように廊下に出させられていたとか」


平塚「私がその場に居ればなぁ。生活指導は私の役目なのだが、生憎出張でな」


結衣「いろはちゃんは声をかけようとしたらしいですけど、ヒッキー泣いてたみたいで・・・。走ってどこかに行ったって」


平塚「あいつの天敵ともいえる、話を聞かずに決めつける相手・・・か。それで?」


結衣「教室には帰ってきませんでした。授業後もみんなざわざわしてましたが、私は授業が終わった後、すぐヒッキーを探しに行きました。でも、居なかったので、あきらめて奉仕部へ向かいました」


小町「お兄ちゃんはどこにいたのでしょうか?」


結衣「分からないけど、ヒッキーがいつもご飯食べてるところがいくつかあって、そのうちのどれかかな?入れ違ったりしたのかもしれないし・・・」


平塚「その可能性は高いな。でも、そのあと奉仕部には来たんだろう?」


結衣「はい。あたしがヒッキーの荷物を持って部室に行ったので、一度教室を覗いてから来たんだと思います。あたしは先にゆきのんに話してて・・・」

―回想・奉仕部―


結衣「やっはろー・・・。ゆきのん」


雪乃「こんにちは、由比ヶ浜さん。どうしたの?すごく暗いじゃない」


結衣「えっとね。・・・。~ってことがあって、ヒッキー大丈夫かな?」


雪乃「そんなことがあったのね。でも、彼のことだから、いつも通りの捻くれた理論で逆に言いくるめてるんじゃない?ヘタレの比企谷くんが本当にやったとは思えないし」


結衣「ヘタレって。まぁあたしもヒッキーがやった訳じゃないとは信じてるけどさ」


雪乃「彼がやったというよりも、誰かの策略で加害者にされたという方が現実的だわ。特に文化祭では悪目立ちしてしまったわけだし」


結衣「そうだね。そうなると、やっぱり、さがみんかな?」


雪乃「第一重要参考人としてはそうね。でも、今の話を聞くだけでは根拠がなさすぎるわ」


結衣「確かにね。あっヒッキー来たかな?」


廊下の足音が止まり、扉を開ける音がする


八幡「・・・よう。鞄ありがとうな」


結衣「あ、ううん。勝手にごめんね?ヒッキー大丈夫?」


八幡「・・・まあな」


雪乃「こんにちは、変態ガヤくん。それで、取り調べは自供したから終わったのかしら?」


八幡「っ。雪ノ下も俺が犯人だと思うのかよ」


雪乃「あなたのように腐った目をしていれば、犯人だとしても不思議はないわ」


結衣「ゆきのん、ちょっと・・・」


八幡「チッそうかよ・・・」


結衣「ヒッキー!?どこ行くの!?」


八幡「俺はどうせ犯人だからな。教室では誰も俺を擁護してくれる奴は居なかったし、犯人は居ない方が良いだろ。ほっといてくれ!」


雪乃「え、待ちなさい、比企谷くん!待ちな・・・」


結衣「行っちゃった・・・。ゆきのん!どうしよう!ヒッキー怒って行っちゃったよ!」


雪乃「ええ、今のは言い過ぎたわ。謝らないといけないわね・・・」


結衣「あたしも教室でのこと謝らないと・・・。追いかけよう!」


雪乃「待って。きっと今の彼は平常心ではないわ。だから明日、比企谷くんが部室に来た時にでも謝るわ」


結衣「その方が良いかな?そうかもね・・・。でも、来てくれるかな?」


雪乃「きっと大丈夫よ。彼は疑われたり、悪意にさらされたりするのは初めてじゃないから。きっと1日経てば、怒りも収まるだろうし」


結衣「そうだと良いけど・・・うう、ごめんね、ヒッキー」

小町「それでいつもより早く帰宅したんですね」


結衣「そうだね。うう、ヒッキー・・・」


平塚「由比ヶ浜泣くな。泣いても変わらんじゃないか。今はこらえるんだ」


結衣「は、はい・・・」


平塚「それで家に帰ってきたんだな。学校でのことは以上か?」


結衣「そうですね。そのあと、いろはちゃんが部室に来たので、それまでの話をして、代わりに生徒指導室の話を聞きました。いろはちゃんは何が何でも追いかけるべきだったって悔やんでました。それがあの日あったことです」


平塚「そうか。比企谷も災難だったな。それで、帰ってきた比企谷とは何があったんだい、小町くん?」


小町「はい。これは偶然でしかないのですが、お兄ちゃんがそんなに傷ついて帰ってきたとは知らず・・・」

―回想・比企谷家―


小町「あっれー、おかしいなぁ、。小町のパンツがない。お気に入りの奴なのにー」


八幡「・・・ただいま」


小町「お兄ちゃん、小町のパンツ知らない?」


八幡「いや・・・」


小町「お兄ちゃん?いくら小町が可愛くて、小町のことが好きでも、妹のパンツを盗んだりしちゃだめだよ?」


八幡「・・・小町は俺が盗んだと思っているのか?」


小町「まあね!小町可愛いからね!なーんて・・・」


八幡「チッそうかよ!結局はみんな、普段から腹の底で疑う相手は俺なのかよ!」


小町「えっ?お兄ちゃん?」


八幡「もういい・・・。やはり昔から俺は一人なんだな。俺の居場所なんてどこにもなかったんだからよ」


小町「お兄ちゃん!?ちょっと待って・・・」

小町「そのまま、自分の部屋に行ってしまって・・・。それから呼びかけても返事もしてくれません」


平塚「なるほど。普段ならともかく、タイミングが悪すぎたな・・・」


小町「知らなかったとはいえ、壊れかけて帰ってきたお兄ちゃんに最低のことをしてしまいました。それさえしなければ、家の中だけは居場所を守れたのに。夜に結衣さんから電話をしてもらって、学校でのことを知りました。結局、猫のカーくんがおもちゃにしているだけでしたし」


平塚「いつものじゃれあいがこんなことになってしまうとはな。比企谷の食事はどうしてる?」


小町「部屋の前に置いています。でも、少ししか食べてくれません」


平塚「そうか。ご両親はどう言っておられるのだ?」


小町「元々、いつも仕事で学校に行っていないことも気づいていませんでした。気付いたのは学校を休んで3日目ですね。学校から母に電話があったようで、その日に小町が両親に言いました。話を聞いたお父さんが始めはドアを壊してでも引っ張り出すって言ってたんですけど、小町がお願いして止めてもらいました」


平塚「お父上の気持ちも分からんではないが・・・」


小町「とりあえず無理やりするのは、1週間待ってもらう約束をしています」


結衣「あと2日しかないんだね」


小町「はい・・・。無理やりにお兄ちゃんを部屋から出しても、お兄ちゃんの心はより傷つくだけだと思うのですが」


平塚「しかし、話してみないと分からないってのが、ご両親の考えなのだな」


小町「そうです。そうなる前に、どうにかしたいです」


結衣「うん。でもどうすればいいんだろう・・・」


平塚「今の比企谷は全てに絶望しているだろう。元々、人を信用するのは裏切られるのが怖かったからだ。そして時間をかけてやっと信用できると感
じていた居場所がやはり勘違いだった。さらに、最後の支えだといえる小町くんからも・・・。これは相当厄介だな」


小町「教室の様子はどうなんですか?お兄ちゃん目立たないし、すでに普段どおりですか?」


結衣「え、えと、ほとんどの人はそんな感じかな。でも、優美子や隼人くんたちは自分たちの会話でヒッキーを話題にして、なかったことというか風化?させないようにしてるよ。彩ちゃんと沙希は時々、あたしに様子を聞きに来るし、いろはちゃんも部室にきて、話をするかな」


結衣「ゆきのんは部室に毎日いて、いつヒッキーが来ても良いようにしてる。ここに来ないのは、なにを言えばいいかわからないって。謝って済む話じゃないからって、すっごく責任を感じてる」


平塚「我々、教職員も比企谷を疑っている者がほとんどだ。当時の状況を伝えてきたのは数学教諭しかいないのでな。あの先生は自分の都合の良いように解釈をしているよ。私は学生に事情を聞こうと思ったが、女生徒の傷を抉って何になる、学校から不埒な奴が居なくなったのだから良いじゃないか、だと。あの老害め!」


小町「平塚先生・・・」


平塚「おっとすまない。つい感情的になってしまった。だが、こういう事情で学校も動かない。私は比企谷を信じてはいるが、今の状況で迂闊に強引な行動をするのは難しくてな。私の立場などはどうでもいいが、女生徒の傷をという部分は正しいのでな。本当にすまない」


小町「いえ、先生が悪いわけではないですから・・・」


結衣「うーん、あと2日でヒッキーが家の中だけでも出てこれるようにか・・・」


平塚「難題だな。こんな時、比企谷に相談できたらなどと思ってしまう辺り、あいつには本当に助けられていたのだと実感するよ」


結衣「本当にそうですね。ヒッキー・・・」


小町「そんなに大したものではありませんから・・・。温めてきますね」


結衣「うん!ありがとう!」

順番ミスりました。もう一回やりますね

小町「そのまま、自分の部屋に行ってしまって・・・。それから呼びかけても返事もしてくれません」


平塚「なるほど。普段ならともかく、タイミングが悪すぎたな・・・」


小町「知らなかったとはいえ、壊れかけて帰ってきたお兄ちゃんに最低のことをしてしまいました。それさえしなければ、家の中だけは居場所を守れたのに。夜に結衣さんから電話をしてもらって、学校でのことを知りました。結局、猫のカーくんがおもちゃにしているだけでしたし」


平塚「いつものじゃれあいがこんなことになってしまうとはな。比企谷の食事はどうしてる?」


小町「部屋の前に置いています。でも、少ししか食べてくれません」


平塚「そうか。ご両親はどう言っておられるのだ?」


小町「元々、いつも仕事で学校に行っていないことも気づいていませんでした。気付いたのは学校を休んで3日目ですね。学校から母に電話があったようで、その日に小町が両親に言いました。話を聞いたお父さんが始めはドアを壊してでも引っ張り出すって言ってたんですけど、小町がお願いして止めてもらいました」


平塚「お父上の気持ちも分からんではないが・・・」


小町「とりあえず無理やりするのは、1週間待ってもらう約束をしています」


結衣「あと2日しかないんだね」


小町「はい・・・。無理やりにお兄ちゃんを部屋から出しても、お兄ちゃんの心はより傷つくだけだと思うのですが」


平塚「しかし、話してみないと分からないってのが、ご両親の考えなのだな」


小町「そうです。そうなる前に、どうにかしたいです」


結衣「うん。でもどうすればいいんだろう・・・」


平塚「今の比企谷は全てに絶望しているだろう。元々、人を信用するのは裏切られるのが怖かったからだ。そして時間をかけてやっと信用できると感じていた居場所がやはり勘違いだった。さらに、最後の支えだといえる小町くんからも・・・。これは相当厄介だな」


小町「教室の様子はどうなんですか?お兄ちゃん目立たないし、すでに普段どおりですか?」


結衣「え、えと、ほとんどの人はそんな感じかな。でも、優美子や隼人くんたちは自分たちの会話でヒッキーを話題にして、なかったことというか風化?させないようにしてるよ。彩ちゃんと沙希は時々、あたしに様子を聞きに来るし、いろはちゃんも部室にきて、話をするかな」


結衣「ゆきのんは部室に毎日いて、いつヒッキーが来ても良いようにしてる。ここに来ないのは、なにを言えばいいかわからないって。謝って済む話じゃないからって、すっごく責任を感じてる」


平塚「我々、教職員も比企谷を疑っている者がほとんどだ。当時の状況を伝えてきたのは数学教諭しかいないのでな。あの先生は自分の都合の良いように解釈をしているよ。私は学生に事情を聞こうと思ったが、女生徒の傷を抉って何になる、学校から不埒な奴が居なくなったのだから良いじゃないか、だと。あの老害め!」


小町「平塚先生・・・」


平塚「おっとすまない。つい感情的になってしまった。だが、こういう事情で学校も動かない。私は比企谷を信じてはいるが、今の状況で迂闊に強引な行動をするのは難しくてな。私の立場などはどうでもいいが、女生徒の傷をという部分は正しいのでな。本当にすまない」


小町「いえ、先生が悪いわけではないですから・・・」


結衣「うーん、あと2日でヒッキーが家の中だけでも出てこれるようにか・・・」


平塚「難題だな。こんな時、比企谷に相談できたらなどと思ってしまう辺り、あいつには本当に助けられていたのだと実感するよ」


結衣「本当にそうですね。ヒッキー・・・」


平塚「おっと、こんな時間だし、そろそろ私は帰らせてもらうよ。二人ともすまないが、よろしく頼む。私にできることがあれば、なんでも言ってくれ」


小町「はい、ありがとうございます」


平塚「私は無力だがな・・・。では、ありがとう。ご両親にも宜しく」


小町「はい、お気をつけて。・・・結衣さん、私たちも食事にしましょうか」


結衣「そ、そうだね。実は楽しみにしてたんだ!」


小町「そんなに大したものではありませんから・・・。温めてきますね」


結衣「うん!ありがとう!」

―台所―


平塚先生が帰った後、小町は結衣さんとご飯を食べるために、台所に来た。今日はお鍋なので、温め始める。先に一人前を別に用意しておく。お兄ちゃんに熱々を届けるために。


結衣「小町ちゃん、何か手伝えることはある?」


小町「そうですね・・・。あ、じゃあお兄ちゃんに届けてもらえますか?声かけて、部屋の前に置いてもらえれば良いので」


結衣「うん、分かった!調理するのはちょっと不安だったんだよね。それなら任せて!」


ああ、そういえば昔、結衣さんのクッキーでお兄ちゃんが・・・。調理手伝ってもらわなくて助かったかも・・・。


結衣「じゃあ、行ってくるね!」


小町「はい!階段に気を付けてくださいね!」

―八幡の部屋の前―


なんとかこぼさずに持ってこれた。今日2回目の挨拶をする。返事してくれるかな?


結衣「ヒッキー!やっはろー!今日はお鍋だよ、熱々だよ!」


少し待ったが、返事はない。まあある程度予想はできたことだ。


結衣「お鍋置いたからね!冷めないうちに食べてね!」


そう返事のない扉の向こうに声を掛け、下に降りようとする。


その時、声が聞こえた・・・


八幡「・・・由比ヶ浜か?」


結衣「ヒッキー!!そうだよ!あたしだよ!」

やっと声が聞こえた。やっと。1週間ぐらいとはいえ、とても久しぶりに感じる。でも、次に聞こえたのは聞きたくない言葉だった。


八幡「今までありがとう。だが、もう来なくていい。そっとしていてくれ」


結衣「なんで、なんでそんな悲しいこというの!?あ、私が悪かったから?ヒッキーを助けられなかったから?」


私は涙を堪えながら叫ぶ。


結衣「それは、本当にごめんなさい。あ、あたしが嫌ならもう来ないよ。でも小町ちゃんには話してあげて?心配してるから!今日だって、ヒッキーのためにお鍋作ってくれたんだよ!」


八幡「小町にも伝えてくれ、今までありがとうってな。それから、飯も、もう用意しなくていいって」


結衣「何言ってるの!?人に会いたくないのは分かるよ!でも、食べなきゃ死んじゃうじゃん!」


八幡「ああ。そのつもりだ」


その時あたしは自分が考えていた以上にヒッキーの傷が深かったことを知った。


八幡「前から俺は、居ても居なくてもいい人間だとは思っていたし、そういう人間であろうとした。人間関係を希薄にし、人に頼らず、頼られずな」


八幡「でも、それは間違いだってことが今回分かったよ。俺は居るだけで人の迷惑になる人間で、存在することが罪なんだと」


八幡「だから決めた。罪は罰しなければならない。悪いものは排除しなければならない。それが正常な世界のためになると。だから、死ぬことにしたんだ。世界のためにな」


結衣「難しいこと言われても分かんないよ・・・」


八幡「別に理解できなくても良い」


結衣「そんなの、勝手すぎるよ」


八幡「そんなこと知るか。俺の居場所はどこにもなかったんだ」


結衣「そんなことないよ!それに、このまま顔を見ずに死ぬのなんてやめてよ!」


八幡「顔を見たら、また勘違いしてしまうかも知れねえだろ。だからもう嫌だ」


結衣「そんな・・・。ヒッキーはどうやって死ぬ気なの?」


八幡「餓死する。この世界の邪魔者が消えていく様を身をもって知り、ゆっくりと死んでいく。最後の晩餐はもういらない。」


結衣「ヒッキー・・・」


八幡「あ、それから、無理やり入ってくるなら、その瞬間に首を切ると伝えてくれ。できればしたくない。最後ぐらいは俺の願い通りゆっくりと死なせてほしい」


結衣「そんな、ヒッキー!死ぬなんて言わないでよ!」


八幡「話はもう終わりだ。小町に鍋を作ってくれてありがとうと伝えてくれ」


結衣「ヒッキー!本気なの?」


八幡「・・・」


それからヒッキーは返事をしてくれなかった。あまりにも遅いので、小町ちゃんが様子を見に来てくれ、今までのことを泣きながら話した。聞いてるうちに小町ちゃんも泣き出して、扉を叩いたりしていたけど、反応はなかった。

―小町の部屋―


結衣さんが気になってお兄ちゃんの部屋の前に行ったら、号泣する結衣さんが居た。そこで何があったのか嗚咽しながら話す結衣さんから聞いた。お兄ちゃんが死のうとしていることを。


どうにかしないとという気持ちより、悲しさを先に感じた。そのまま、お兄ちゃんを呼び続けたけど反応はなく、食欲もなくなったので、申し訳ないけれど結衣さんには帰ってもらった。


結衣さんはなんとか泣くのをやめ、私を心配しながら帰っていった。


小町はお兄ちゃんのことを、昔から最近までのことをずっと考えて、そのうちに泣きつかれて寝てしまった。

―結衣の部屋―


結衣「小町ちゃん、ヒッキー・・・」


さっきまでのことが衝撃過ぎて、頭がぼーっとする。お母さんには心配されたけど、大丈夫とだけ伝えて部屋に入ってきた。


これからどうしよう。ヒッキーが死ぬのは絶対嫌だ。でも、あたしに何ができるのだろうか。1人じゃ何もできない。こんな時はいつもヒッキーに相談してた気がする。


結衣「とりあえず、先生に報告しよう・・・」


あたしは先生に電話する。


平塚「おう、由比ヶ浜か。家に帰ったのか?」


結衣「先生・・・。ヒッキーが死んじゃう・・・」


平塚「どういうことだ、由比ヶ浜」


結衣「さっきヒッキーと話して・・・~~」


平塚「あいつが脅かしでそんなこと言うとは考えられんな。本気のようだ」


結衣「そうなんです。居場所がないから、居る方が迷惑ならって・・・」


平塚「どうにかしなければな。幸い、餓死を望んでいるなら、時間はまだあるということだ。それに、一か八か無理やり入ってみることも考えられる」


結衣「でも、ヒッキーはその時は首を切るって・・・」


平塚「ああ。だから、本当に最後の手段だな」


結衣「先生・・・あたしはどうすればいいですか?何も考えられなくて・・・」


平塚「由比ヶ浜。1人で抱え込まなくていい。そうだな、明日部室に彼を本気で助けたいと思う者を集めてくれ。1人で悩むよりは何か解決策が浮かぶかもしれん」


結衣「本気で助けたいと思う者・・・」


平塚「そうだ。周囲の空気を読むことに君は長けているだろう。本当ならクラス全員でというのが理想だが、建前で動いているものをまとめる時間もないのでな」


結衣「分かりました・・・」


平塚「うむ。私は職員会議を開くよ。比企谷の命が関わっていることが分かれば、頭の固い連中も動かざるおえんだろうからな。必要があれば、校長を殴ってでも学校を動かしてやる。私の首なんか軽いものだ。それで比企谷を救うことに繋がるのならかまわん」


この先生は本当に優しいな。ヒッキーを見つけたのが平塚先生で本当に良かった。


平塚「いいか、由比ヶ浜は責任を背負い込みすぎるなよ。君がおかしくなっては意味がないからな」


結衣「先生、ありがとうございます。精いっぱい頑張ってみます」


平塚「ああ。集中はできんだろうが、授業は受けるんだぞ。それでは明日な」


結衣「はい。おそくにありがとうございました」


電話を終えたあたしは、明日のことを考える。ヒッキーを本気で助けようと思う人、ヒッキーの居場所になれる人。それを考えるのは、難しいような簡単なような。


ほとんど寝れなかったけど、朝を迎えた。

ちょっと飯食いに行ってきます。コメント等あれば、やる気出ますのでお願いします

ただいまです。でもだれも見ていないですね・・・。まぁ続けますね

―学校―


あたしは誰に声を掛けるべきか、ほとんど寝ずにしっかりと考えた。1人でも取りこぼしてはいけない、全員に声をかける必要があると考えたからだ。


絶対全員集める。そんな風にしっかりと心構えをして教室に入った。


結衣「やっはろー、みんな」


三浦「おはよ、結衣。ってあんた目真っ赤だし!寝不足?」


結衣「うんちょっとね」


海老名「結衣、比企谷くん関連でなにかあったの?」


戸部「今日はきょろきょろしてなかったべ?」


葉山「どうしたんだい?僕らができることがあれば、教えてくれるかい?」


結衣「うん。ヒッキーのことなんだけど、大事な話があるの。放課後、奉仕部に来てくれないかな?」


葉山「かなり重要みたいだね。分かった、部活の方は何とかしておくよ」


戸部「行くしかないっしょ!」


海老名「そうだね。絶対行くよ」


三浦「結衣がそこまで言うのは珍しいし。あーしも行くよ」


結衣「みんな、ありがとう!」


良かった。みんな来てくれるって!

あと、このクラスで声をかけるのは2人かな。


結衣「彩ちゃん!沙希!話があるの!」


戸塚「由比ヶ浜さん、おはよう!どうしたの?八幡のこと?」


沙希「ん。何?」


ちょうど、二人が教室に入ってきたところで声をかけた


結衣「ヒッキーのことで大事な話があるの。だから、放課後に奉仕部に来てくれないかな?」


戸塚「大丈夫だよ!今日は部活もないし、八幡のことなら尚更、断る理由がないしね」


沙希「あたしは、別に比企谷なんて・・・」


結衣「沙希お願い!重要なの!」


沙希「近いって。わ、分かったよ。行くから。」


結衣「二人ともありがとう!じゃあ待ってるからね!」


良かった。あと1人。絶対集めなきゃ。

―生徒会室―


結衣「いろはちゃん!お昼にごめんね!今大丈夫?」


いろは「由比ヶ浜先輩?ええ、大丈夫ですけど。珍しいですね、どうされたんですか?」


結衣「えっとね、ヒッキーのことで大事な話が合って、放課後に奉仕部に来てほしいんだ!」


いろは「先輩のことですか?なら、絶対行きますよ!仕事なんか、副会長に任せれば良いですから!」


結衣「それはどうかと思うけど・・・。でも今日はそれでもいいから来て!」


いろは「はい!約束です!」


これで全員集まったかな?誰か一人忘れているような・・・。

―奉仕部―


結衣「みんな来てくれてありがとう!」


放課後になって、奉仕部にみんなが集まってくれた。小町ちゃんにも事前にメールしたので、こっちに来てくれている。


雪乃「この部屋に人がこんなにいるなんて初めてだわ・・・」


戸塚「さすが八幡だね!」


三浦「結衣。早く話すし」


結衣「それじゃあ、聞いてもらいたいんだけど。ん?」


急にドアが開いた。一瞬、平塚先生かなと思ったけど、そうじゃなかった。


材木座「八幡―!原稿みてー!って、この人数はなんじゃあ!?」


沙希「何こいつ・・・」


結衣「あ、中二!ごめん、忘れてた!」


なんか忘れてる疑惑は中二だった!全員集めなくちゃと思っていたのに、あたしってバカだなぁ。


材木座「ええ、え?我には何が何やら」


結衣「いいから、よく聞いてて!」


材木座「は、はい!」


これで全員揃った。気を取り直して、昨日までのことを全員に話す・・・

葉山「そんなことになっていたとは・・・」


戸塚「八幡。死ぬなんて思っちゃだめだよ・・・」


いろは「先輩!なんでそんなの選ぶんですか!」


小町「うっ、ひっく、うわぁぁぁん、お兄ちゃあん!!」


沙希「小町、こっちおいで。よしよし。比企谷のやつ・・・」


雪乃「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


三浦「雪ノ下、泣きすぎだし!まだ死んでねえっつの」


戸部「まだ、どうにかできるべ!」


海老名「そ、そうだよ。だから、結衣も泣かないで・・・」


結衣「うん・・・。でも、あたしのせいで・・・」


材木座「八幡―!!!!!」


話し終えると、みんなそれぞれが色んな感情になっていた。あたしは話しながらも涙が止まらなくて。これからが大事なのに。


平塚「やぁ、みんな。大丈夫・・・ではなさそうだな」


結衣「先生・・・」


平塚「遅れてすまない。昨日の話を伝え終わったと見えるが、これで全員か?」


結衣「はい」


平塚「うむ。なかなか良い人選だ、由比ヶ浜。さすがだな」


三浦「ちょっと、先生。そんなことどうでもいいって」


平塚「おっと、すまない。いや、嬉しくてな。比企谷を思ってくれる者がこんなにいる、私から見ても、あいつのおかげで変化したと思うものが全員集まってくれていたからな」


三浦「あーしは別に・・・


平塚「三浦、別に恥ずかしがることじゃない。ここにいるものは全員、比企谷を救いたいと思っているはずだからな。そうなんだろう、由比ヶ浜?」


結衣「はい。きっとそうだと思います」


葉山「間違いないよ、結衣。声をかけてくれてありがとう。これまで僕らは彼に助けてもらってばかりだった。今度は僕たちの番だよ、みんな」


みんなが隼人君に同調する

ただ、一人を除いて。


雪乃「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


平塚「雪ノ下!泣いてたって仕方ないんだ!その言葉を本人に直接言わなければ意味ないじゃないか。そうだろう?」


雪乃「ですがっ!私は、今回だけでなく、うぅ、いつも、ひどい言葉を・・・ひっく」


平塚「だったら、なおのことだ。比企谷と面と向かって、それから謝るんだ。そして、それをするために今は泣き止め。」


雪乃「ひっく、・・・はい」


平塚「よし。それじゃあ、どうすれば比企谷が生きる希望を持てるか。死ぬという考えから変われるか、話し合おうじゃないか」


やっとみんな、少しだけ前向きになって話し始めた。さすが平塚先生だなぁ。でも、そんな簡単には誰も解決策なんて見つけられなかった。

三浦「やっぱ分かんねーし!」


葉山「ま、まぁ優美子。あきらめるわけには行かないからさ」


いろは「でも、実際にどうしましょうか・・・。先輩は頑固ですし、一度決めたら誰かの説得であきらめさせるのは難しいです」


戸部「犯人探して、ごめんなさいで済む話じゃないんだよなぁ」


海老名「それなら簡単なんだけどね・・・」


戸塚「それをしたって、八幡は喜ばないだろうし・・・」


小町「お兄ちゃんに必要なのは、居場所の実感なんです。こんな風に考えてくれる人がこんなにいるっていう」


沙希「実感ねぇ」


戸塚「八幡をこの場に連れてこれればいいんだけどね」


材木座「我も同感であるが、それはできんしなぁ」


結衣「平塚先生。絶食して、本当に死んじゃうまでには、どれくらいの時間あるんですか?」


平塚「はっきりとは知らないが、水なしで1週間強。5日ぐらいで後遺症が残ったりするはずだ」


結衣「今日が2日目、でもその前もしっかりとは食べてないから早まるかも」


平塚「そうだな。できるだけ急がねばならんが・・・、だが、残念ながらそろそろ下校の時間だ」


戸部「そんな、命かかってるのに守ってる場合じゃないべ!」


沙希「そうだよ。早く何か考えないと・・・」


平塚「私も気持ちは同じだが、こればっかりはな。すまないが、また明日にしよう。教員の立場としても、大人の立場としても、これ以上は君たちの帰り道が心配だからな」


いろは「仕方ありませんね。また明日やりましょう。」


小町「みなさん、兄のためにありがとうございます」


沙希「小町、それは言いっこなしだよ」


葉山「そうさ。元はといえば、僕らの責任だからね」


結衣「うん、むしろ小町ちゃんもごめんね・・・」


小町「いえ、小町は大丈夫ですが」


平塚「みんな、それでは気をつけてな」


結衣「はい。先生さようなら」


みんなが重い腰を上げて、各々あいさつをする。

平塚「おい、雪ノ下。君も今日はもう帰るんだ」


雪乃「・・ける、・・所・・で・・」


結衣「ゆきのん?」


雪乃「・・ん・・やって」


結衣「ゆきのん!帰るよ?」


雪乃「・・・あ、ええ」


平塚「大丈夫か?雪ノ下?」


雪乃「ええ。大丈夫です」


平塚「君が倒れないようにな」


雪乃「はい。大丈夫です」


結衣「あたしが送っていきます」


平塚「ああ、頼むよ。ではな」


結衣「ゆきのん、行こ?」


雪乃「ええ。行きましょう」


こうしてあたしたちは、学校を後にした。

―比企谷家―


小町「お兄ちゃん、本当に食べるの止めちゃったんだね・・・」


朝ごはんが置いたままの状態で部屋の前にあった。


小町「今日ね、みんながお兄ちゃんのために話し合ってくれたんだよ。お兄ちゃん、全然ボッチじゃないよ」


八幡「・・・」


小町「お兄ちゃん、会いたいよう・・・」


小町がどれだけ話しかけてもやっぱり返事をしてくれない。もしかして、もう死んでしまったんじゃないかと不安になる。

部屋に入りたいけど、小町じゃ鍵を壊せないし・・・。無理やり入っても解決にはならないね。


小町「小町、お兄ちゃんのことが大好きだよ・・・」


辛すぎる。餓死を望んでいて、扉をあけると首を切るっているのは、両親には話せていない。きっと、心配しすぎて仕事に影響すると思ったのと、小町の責任だから自分で解決したいと思ったからだ。でも、約束の1週間までには、言わなきゃ。明後日だから、明日の夜には言わないとね・・・。

明日までに良い作戦を思いつくように頑張ろう。どうせ眠れないだろうし。


小町「カーくん、おいで」


寂しさを紛らわせるためにカーくんを抱いておこう。小町の長い夜。


ー川崎家―


沙希「大志。ごめん、ちょっと疲れてるから、ご飯作ってくれる?」


大志「う、うん。大丈夫だよ姉ちゃん。その、あんまり無理しないでね」


沙希「ああ。ちょっと横になるだけだから」


そういって、あたしは自分の部屋に入った。

あいつが死のうとする?まるで実感がない。夢みたいだ。いや、夢ならどれだけ良いか。あたしには何ができるんだろう。あいつにはたくさんしてもらったのに。何も返せてない。死なれたら、ずっとこんな気持ちを抱いたまま生きていかなきゃならないのかい。それこそ迷惑だよ。

なんとかしないと・・・ね。

―雪ノ下家―


雪乃「・・・だから・・・して・・・うん」


部屋で何か浮かばないか一生懸命考える。由比ヶ浜さんにかなり心配されたけど、考えていただけ。絶対に私が彼を救うわ。このまま死なれたのでは、後悔しか残らないもの。


陽乃「ひゃっはろー雪乃ちゃんー!」


最悪だわ。こんな忙しい時に・・・。


雪乃「姉さん。今すぐ帰って。私は今余裕がないの!1秒も構ってる時間はないわ!」


陽乃「どうしたの?珍しく本気だね?ついに比企谷くんに告白する気にでもなった?」


雪乃「そんな軽いものじゃないわ」


陽乃「じゃあどうしたの?」


雪乃「比企谷くんが自殺しそうなのよ!」


陽乃「・・・え?どういうこと?」


雪乃「だから・・・」


私は姉さんに懇切丁寧に最初から説明した。そんな時間はないはずなのに。でも今は、きっと苦しみを分かち合ってくれる人を増やしたかったのかもしれない。

陽乃「それはかなり深刻だね」


雪乃「これで分かったでしょ?姉さんに構ってる時間はないわ!」


陽乃「まぁ気持ちは分かったけど、のけ者にされるのも寂しいなぁ」


雪乃「じゃあなにか考えがあるの?」


陽乃「んーと、私も考えてみるけど・・・難しいねぇ」


雪乃「そうよ。だから困ってるのよ」


陽乃「まぁまぁ。比企谷くんが死んだら困るのは私も同じだからさ!考えておくよ!」


雪乃「全く。もう、いいわ。他に用事がないなら、帰ってちょうだい」


陽乃「そうだね。用事ができたし、今日は帰るよ!またね、雪乃ちゃん!」


陽乃「あ、そうだ。最後にこれだけは言っておくね!比企谷くんの居場所ってこんなに大勢の人に囲まれた場所だったんだね!それを頑張って気づかせてあげてね!じゃねー!」


まったく何なのかしら。邪魔しに来たようにしか思えないのだけど。まあいいわ。今は姉さんよりも重要なことを考えないと・・・。それにしても姉さんが言った通り、彼の周りってこんなに人がたくさんいたのね。それに気づかないままなのは死ぬよりも不幸かもしれないわね。


雪乃「比企谷くん。頑張るのよ・・・。あなただけが居なくなるなんて嫌よ・・・」

―翌日・奉仕部―


小町は結局寝れずに。他の皆さんもそれぞれ憔悴の表情を浮かべて、また次集まってくれましたが・・・


小町「何も良い考えが浮かびませんね・・・」


三浦「もう、一か八か扉壊すしかないんじゃない?」


沙希「ダメな方だったら、比企谷を私たちが殺すことになるんだけど?」


三浦「あ?どうせ今のままだって同じじゃん!可能性はまだあるっしょ!」


沙希「あんた、目の前で血まみれで死んでいくのを見たいっていうわけ?」


三浦「そんなこと言ってないし!」


葉山「まぁまぁ二人とも。どっちの気持ちも共感できるし、現実的にはタイムリミットも迫ってくるわけだしね」


沙希「それはそうだけど・・・あたしは目の前でそんなの見てられないよ・・・」


三浦「あーしだって同じだし・・・」


ここにいる全員が、自分たちの無力感に打ちひしがれていました。


平塚「やあ、みんな」


いろは「平塚先生・・・私たちどうすれば先輩を助けられるんでしょうか?」


平塚「一色。残念だが、その答えは私も持ち合わせていないよ」


葉山「学校側はどう動かれるのですか?」


平塚「数学教諭への尋問、生徒へのアンケートは確定した。あとは比企谷へカウンセラーを向かわせるとかも言っていたが、結局のところは策無しだ。我々にとっても初めてのケースだからな」


結衣「誰も、ヒッキーを止められないんですね・・・」


平塚「かもしれないな。だが、まだあきらめる段階ではないだろう」


結衣「そうですけど・・・」


雪乃「なにか、なにかあるはずよ・・・」


だれも有効なアイデアは浮かばない。その日は結局何も進まないまま解散になりました。

―比企谷家―


小町「・・・という感じなの。お父さんお母さん」


父「なるほど・・・。そんなに悪化していたのか・・・」


母「あの子が死ぬだなんて・・・」


父「今、後悔しても仕方ないからな・・・。だが、私たちだってどうしてやれるかが分からん・・・」


小町「小町たちも考えているんだけどね・・・」


父「約束というのは置いとくとしても、やはり明日扉を壊そう。このままでは、結局衰弱してしまうからな」


母「今回だけは、あの子のしたいことを容認することはできないわ。望みがあるのなら、やらなければ・・・」


小町「うん。そうだね・・・。明日、またみんなで集まるから、進展しなかったらそれしかないね」


父「他の皆さんにも伝えてくれ。そして感謝もな」


母「ずっと一人だと思ってたけど、八幡の周りには沢山の人が居てくれたのね」


小町「全部お兄ちゃんが自分で作った居場所だよ。本当にすごいよね」


父「もし・・・、もし、どうにもならなかったとしても、私はあの子を誇りに思うよ」


母「ええ。本当に」


お兄ちゃん。明日、会いに行くよ。お願いだから、元気な姿でいてね・・・

―翌日・比企谷家―


私たちは結局なんの解決策も浮かばなかった。最後まで誰もあきらめてはいなかったけれど、おそらく私たちには無理なのだろう。小町さんからご両親との話し合いの結果を聞いた時、もはや反論することはできなかった。


ただ、ご両親は、自分たちだけで行うと言ったらしいけれど、全員がそれを望まなかった。


父「皆さん、息子がご迷惑をかけて申し訳ありません。本当に感謝しております」


平塚「いえ、お父様。ここにいる者は、全員が自分のせいかもしれないと責任を感じています」


結衣「ヒッキーのお父さんお母さん。本当にごめんなさい!」


由比ヶ浜さんの声が掛け声となり、全員が自然に頭を下げる。


父「皆さん。謝る必要はありませんよ。私は息子のことを心配してくれる人がこんなにいることに、感謝しています」


結衣「でも・・・」


父「それに私に謝る必要はありません。そうしたいのであれば、息子を救った後に直接してください」


結衣「はい・・・」


みんな、神妙な面持ちでこの場にいる。最悪の事態も考えて。小町さんはすでに泣きそうになっている。


小町お兄ちゃん・・・ひっく。絶対助けるからね・・・」


父「では、行きましょうか」


気を引き締める。私は最後までしっかりと見届けるわ。それが加害者ともいえる私の義務でもあるのだから。


陽乃「ちょっと待ったー!」


階段を上がろうとしたとき、急に玄関から姉さんが現れた。


雪乃「姉さん!?どうしたの急に!」


陽乃「みんなー、ひゃっはろー」


葉山「陽乃さん。空気を読んでください・・・」


陽乃「あ、ごめんね!」


姉さんの急な登場に、みんながあっけにとられる。


そんなこともつゆ知らず、比企谷くんのご両親に自己紹介を終えた姉さんは、衝撃の一言を発した。


陽乃「今回の比企谷くん救出作戦、私にまっかせて!」


平塚「陽乃・・・。本気か?これだけの人間が一生懸命考えても何も浮かばなかったんだぞ?」


陽乃「静ちゃん。私はいつも本気だよ?」


三浦「ちょっとあんた、なにか考えがあるわけ?」


陽乃「えーと、三浦さんだね。うん、考えてきたよ!」


戸塚「どうやって八幡を助けるんですか?」


陽乃「君が戸塚くんかぁ。確かにかわいいね!」


雪乃「姉さん、ふざけないで!」


陽乃「あはは、ごめんごめん。でも、説明は後かな」


沙希「どういうつもり?」


陽乃「比企谷くんを死なせずに、栄養も取らせれば良いんだよね?川崎さん?」


沙希「そりゃそうだけど。それが浮かばないから、一か八かやることになったんだけど?」


陽乃「それができるんだなー」


海老名「あの、どうやって?」


結衣「とりあえず、任せてくれるか決めてよ!」


結衣「絶対ヒッキーが助かるのなら・・・」


小町「陽乃さん。信じて良いんですね?」


陽乃「ガハマちゃん、小町ちゃん。大丈夫」


小町「それなら・・・」


雪乃「ちょっと待って。どういう方法なのかも聞かずに任せてもいいの!?」


戸部「そうだべ?教えてもらわないと」


材木座「そうだそうだ!」


陽乃「んー、半分は雪乃ちゃんと同じ強行策だよ」


雪乃「あと半分は?」


陽乃「まあ、お楽しみかな?」


葉山「そんな、これには比企谷の命がかかっているんですよ?」


陽乃「んもう。だからー、任せれば命の保証はするって。でも、君たちがやるべきなのはその後だよ!」


雪乃「その後とはなにかしら?」


陽乃「前も言ったでしょ!比企谷くんが生きたいと思うようにするってこと。じゃないと、堂々巡りになるからね。でも、考え着くまでの時間は稼いであげる」


雪乃「よく分からないけど・・・。でも、やることは確かにそうね」


陽乃「それで?任せてくれるの?くれないの?」


雪乃「小町さん・・・」


小町「お父さん、お母さん。小町、任せようと思うよ」


父「小町は、この陽乃さんを信じるのか?」


小町「うん。きっと大丈夫だから」


父「わかった。では、陽乃さんご迷惑おかけしますが、お願いします」


陽乃「いえいえ、ありがとうございます。息子さんの命については安心してください」


葉山「でも、なぜですか?陽乃さんには理由がないのでは・・・」


陽乃「ううん、普段から追い込んでたのは私もだからね!だから、理由はあるんだよ!」


姉さんはそう言うと、準備するからと外に出ていった。全く。いつも自分勝手。でも、不思議と安心を感じる自分もいる。


姉さん、失敗したら絶対に許さないのだから。だから、絶対に助けてあげてね。

―???-


ここはどこだ・・・。俺の部屋ではない。見覚えもない。ただ、真っ白な天井に壁。寝ているのはベッドか?

っ!?手も足も拘束されている。口もなんか変だ。なんだよ、これ。


陽乃「ひゃっはろー、比企谷くん。起きた?」


八幡「陽乃さんですか。いったいどういうことですか?」


部屋のスピーカーみたいなものから声が聞こえる。何となく周りに意識を向けると、病室のようだということが分かった。


陽乃「あっれー?命の恩人に対するには、冷たいなー」


八幡「誰も助けてくれなんて思ってませんよ」


陽乃「君は本当に捻くれてるなー。でもね、雪乃ちゃんやみんなを本気で心配させた罪は重いよー」


八幡「知りませんよ、そんなの。それとも、罰として死なせてくれるんですか?」


陽乃「逆だよー。君が望む、死ぬということを禁止させてもらうからね」


八幡「確かに、今の拘束された状態では難しいですが・・・」


陽乃「ちなみに、栄養は点滴で送ってるし、舌を噛み切れないように、口の中にも器具入ってるからね」


八幡「じゃあ、生かさず殺さずっていうのが罪への償いですか?」


陽乃「んー、ちょっと違うけど、今の君に説明しても仕方ないから、教えない」


八幡「そうですか」


陽乃「ま、死のうとするのはあきらめなさい。お姉さんが相手ではもう無理だよ」


八幡「はぁ。勝手にしてくれ」


陽乃「うん。勝手にさせてもらうね!」


それを最後に声は聞こえなくなった。


最悪だ。俺の望むことが何も実現しない。もはや、あきらめにも似た感情でこの現状を受け止めた。

―病室―


あれから何日過ぎたのだろうか。3日?一週間?一カ月?時間の感覚がないのでよく分からない。その間俺は、寝て起きるだけ。起きてる間は色々なことを考えた。なぜ死にたいのか。居場所。関わった人達。小町。なぜこんな状態で生きなければならないのか。など、永遠とも思える時間あったから、たくさんのことを考えた。


そんなある日、久しぶりに声が聞こえた。


陽乃「ひゃっはろー。調子はどうかな?」


八幡「最悪ですよ」


陽乃「数値上はなにも問題ないみたいだよ!」


八幡「はぁ。そうですか」


陽乃「ねぇ、比企谷くん。そっち行っても良いかな?」


八幡「はい?今更なんですか。勝手にしてくださいよ」


陽乃「お姉さんだって、君の望むことを少しでも叶えたいと思ってるんだよ?だから、君がまだ会いたくないって言うなら、会わないよ」


八幡「はぁ。別に来てくれて構いませんよ。話すのは変わりませんし」


陽乃「そっか!じゃあ行くね!」


俺はこの時すでに、変わっていたのかもしれない。あれだけ人に会いたくなかったのに、簡単に許してしまった。長い時間本当に一人で居たから、人を欲していたのかもしれない。

陽乃「久しぶり!やっと会えたね!」


八幡「そうっすね」


陽乃「久しぶりに会うのがお姉さんで嬉しい?」


八幡「正直誰でもいいですけど、知らない人よりは良かったですね」


比企谷くんと面と向かって久々に話す。久しぶりだからという若干の緊張、また会えた嬉しさ。雪乃ちゃんたちを困らせたことへの不満。色々あるけれど、私はこれから彼にとって非常に大切な、人生を戻す行動に出る。


一呼吸おいて話し始める。緊張を顔に出さないようにしながら。


陽乃「比企谷くん。今すぐにでも死にたい?」


八幡「突然ですね。そうですね、今すぐとは思いませんね」


陽乃「それはなぜ?」


八幡「長い時間色々考えて、このままではなく、もう一度会いたい奴らがいるとは感じました」


陽乃「へぇ?それは誰なのかな?」


八幡「そうですね。まず平塚先生。俺はあの人に沢山世話になりました。あの人がいなければ、俺の高校生活は本当に何も残らないものだったでしょう」


八幡「次にトップカースト集団。いわゆる葉山グループですね。あいつらは見てて面白い。俺とは全く違う生き方をしている。次生まれ変わったら、あっち側も経験したいなぁと思います。この人生では勘弁ですがね」


八幡「次に川なんとか、いや、川崎です。あいつはボッチなのに強い。でも内面は優しい。ある意味ボッチとしては一つの理想像かも知れません。あまりしっかりと話したことはありませんが、最後なら話してみたいですね」


八幡「それから戸塚。あいつは天使です。こんな姿見せたくはないですが、もう一度会いたい。てか、あいつに連れて行ってほしいですね。あと、おまけに材木座。一応、仲間ですから」


八幡「一色もですね。俺にできた唯一の後輩だし、生徒会長にした責任を果たさないことを謝らないといけませんね」


八幡「あとは家族。特に小町ですね。俺は小町に助けられてばかりだった。感謝してもしきれないですよ。最後にはせめて、兄として何かしたい」


八幡「最後はもちろん、奉仕部ですね。あの二人が居なかったら、俺は・・・。いつもやかましいけど、近くにいると安心できる由比ヶ浜。そして、毒舌は少し答えますが、俺の憧れだった、気高き氷の女王雪ノ下。あいつらには本当に感謝しています。俺みたいなのと長い間付き合ってくれて」


八幡「これで全員ですかね」


陽乃「私は?なんてね」


八幡「今会ってるから言わなかっただけですよ。陽乃さんにも感謝していますよ。何考えてるか分かりませんけど」


陽乃「ふふ。案外、私は分かりやすいんだけどなぁ。今考えてるのはね・・・」


八幡「ええ」


陽乃「さっき会いたい人の話をしていた時の君の眼。すごく活力に溢れてたよってこと」


八幡「そうっすか。でも、もう会わせる顔もありませんよ。ただ、願わくは過去に戻って。そう、解が出る前に戻りたいですね」


陽乃「ふーん?ま、今日はこれくらいにしとこうか。用事もあるし、また明日来るね」


八幡「ええ。待ってます」


陽乃「待ってますね・・・か。うん、じゃーねー」


今日はお終い。でも、思ってる以上に順調でほっとした。よし、もう一仕事だ。


―奉仕部―


姉さんには本当に驚かされる。まさかあんな方法を取るなんて。雪ノ下家の力を使ったとか言っていたけど、無色透明の睡眠ガスを比企谷君が気づかないように部屋に充満させて、眠ったところを入るなんて。そのあと、知り合いの病院で隔離してるともいうし、本当にやることが規格外ね。


あれから2週間。私たちなりに、比企谷君の精神を立ち直らせるための方法を考え、完成した。そして、そろそろ姉さんに連絡を入れようと思ったときに、逆に集まってほしいと連絡があった。


陽乃「ひゃっはろー!みんな、お待たせ~!」


雪乃「自分からこれだけの人数を呼んでおいて、遅れるなんて・・・。もう全員いるわよ?」


陽乃「ごめんごめん。」


結衣「それで、何かあったんですか?急に集まってほしいなんて。もしかしてヒッキーが!?」


みんなが騒然となった。


陽乃「違う違う。その逆だよ!」


葉山「逆とは?」


陽乃「まあ、まずはこれを聞いてよ!」


そこで姉さんはICレコーダーを取り出し、再生させる。しばらくの沈黙の後、懐かしいとも思える声が聞こえてきた。


小町「お兄ちゃんの声・・・!え・・・?」


そこから聞こえてきたのは、私たちにとって、とても嬉しいものだった。


雪乃「比企谷くん・・・」


会いたい。やり直したいって・・・。あんなに酷いことを言ってた私に、そんなことを言ってくれるなんて。

みんなそれぞれ、自分に対してのメッセージを噛みしめる。


平塚「比企谷よ。感謝は共にラーメンを食うことで返してくれれば良い」


三浦「隼人のグループって纏めんなよ。まあでも、許してやるし」


海老名「ふふ。そんなこと言わずに、はやはちやってくれれば良いのに」


戸部「ヒキタニくん!一緒に遊びに行くべ!」


葉山「来世なんていうなよ。俺たちはいつでも待ってるさ」


沙希「理想なんて・・・。帰っておいでよ比企谷。お弁当作って待ってるからさ」


戸塚「天使って、恥ずかしいよ八幡。・・・でも少し元気になったみたいだね!」


材木座「八幡―!!!え、でも、おまけ?」


いろは「先輩!そうですよ・・・。謝らなくていいから、ちゃんと責任とってくださいよ・・・」


小町「お兄ちゃん!ふふ。お兄ちゃんは小町が居ないとだめだもんね!」


結衣「ヒッキー!安心するんだ!えへへっ」


雪乃「ごめんなさい比企谷くん。次会えたら、素直に優しくするわ」


みんな、これまでの暗い顔が嘘のように元気になる。


陽乃「でさ、そろそろ迎えに行っても良い頃だと思うんだけど、これから行く?」


もちろん、全員一致で行くことに決めた。みんなで、迎えに行くのよ。だから、もう少し待っててね。

―病室―


陽乃さんと話した次の日、病室は人でいっぱいになっていた。


八幡「お前ら・・・どうしたんだよ、こんなに大勢で」


雪乃「みんなであなたを迎えに来たのよ」


結衣「ね、ヒッキー。一緒に帰ろ?」


八幡「いや、でも・・・。これだけ心配させて、もう会わせる顔がねえよ」


小町「お兄ちゃん。小町、お兄ちゃんがいないと寂しすぎるよ・・・」


いろは「先輩、生徒会長にした責任は絶対とってもらいますから!」


戸塚「八幡!僕と一緒に授業受けるの嫌かな?」


沙希「その、比企谷がいないのは困るっていいうか・・・その・・・」


戸部「もうあきらめるべ!」


海老名「それとも、この部屋ではやはち希望かな?」


三浦「海老名、擬態しろし。いや、あのさ、大丈夫だし・・・」


葉山「うん。みんな、君のことを待ってるんだよ」


材木座「はちまーん!」


八幡「お前ら・・・」


陽乃「みんな待ってるってさ!それとも、それも勘違いだって言う気かな?」


八幡「いや、その・・・」


雪乃「ねえ、比企谷くん。見てほしいものがあるの」


そういうと雪ノ下は何かを取り出した。


八幡「なんだ?写真か・・・」


映っていたのは、ここにいる全員がいる集合写真を奉仕部で撮影したものだ。だが、中央に映る雪ノ下の隣にいる由比ヶ浜、その反対側が不自然に空いていた。

雪乃「私たちはどうすれば、あなたに自分の居場所があると伝わるか考えてたの。その結果がこれよ」


結衣「ヒッキーが帰ってきたら、もう一度写真撮ろうってことだよ!」


八幡「なんだよそれ・・・」


普段は写真なんて別に写りたかない。でも、この写真に写っていないことはすごく嫌で、心から俺も入りたいと思った。


陽乃「比企谷くん。君の居場所、あったね」


八幡「ええ、そうみたいですね・・・」


そう言いながら、俺の眼からは涙が溢れてきた。いつもより腐っていた眼をまるで浄化するように止まらない


雪乃「あとね、みんなから伝えたいことがあるのよ」


八幡「なんだ?」


全員「「ごめんなさい」」


八幡「え?」


なぜ謝られるのか意味が分からない。


葉山「僕たちはあの日、雰囲気に流されてしまった。よく思い返せば、なんの根拠もなかったのに」


葉山がそう口火を切ると、三浦、海老名、戸部、戸塚、川崎も頭を下げる


いろは「あの、私はいつも先輩に頼ってばかりなのに、先輩が大変な時に何もできませんでした」


小町「小町は弱ってるお兄ちゃんに、さらに攻撃をしちゃって」


結衣「今回もだけど、いつもキモイとか言っちゃって、それも追い込んだ原因だよね」


雪乃「私はいつもあなたに酷いことを言ってしまったわ」


みんなそれぞれ謝ってくる。いや違うだろ。謝らなければいけないのは・・・

八幡「いや、俺の方こそ、こんなに迷惑をかけてごめん」


平塚「よし」


今まで入口の方で静かに見ていた先生が声をかける


平塚「これで解決だな!だから、比企谷。帰ってこい!君が帰ってくる場所はあるからな」


八幡「先生・・・」


雪乃「あの、でも解決って、学校は大丈夫なのでしょうか?比企谷くんは結構休んでしまいましたし、出席日数とかは・・・」


平塚「なに、気にするな!学校での調査で、全てが明らかになった。比企谷のロッカーに入っていたひざ掛けは持ち主である女生徒が自分のロッカーに入れたのを忘れていた、そして一つ上のロッカーである比企谷のところに入れてしまったとのことだ。それに彼女が痴漢だとか言ったわけじゃない。ただ、数学教諭が怖くて、言い出せなかったのだそうだ」


平塚「比企谷がこうなったのは、この件の発端である数学教諭の責任となった。指導に問題ありということで、懲戒免職で退職したよ。そして、教育委員会の決定で、この件の比企谷の出席日数はカウントしないことになった。まぁ、授業は進んでしまったが、君なら取り返せるだろう」


平塚「真実を知った生徒たちも、悪ふざけが過ぎたと反省しているし、なんの不安もないぞ」


陽乃「だってさ。比企谷くん。君はこれでもまだ死にたい?」


八幡「はは、もう理由がなくなりましたよ。まさに誤解が解けてしまったようですね」


陽乃「そうだね。というより、元に戻るだけだよ。本当の答えを出すのは今からじゃないかな?」


八幡「そうですね」


雪乃「比企谷くん。あなたの居場所に戻りましょう?はやく帰ってきてくれるのを、私はいつでも奉仕部で待ってるから」


八幡「ああ、すぐ戻るよ。奉仕部に」


こうして、俺の居場所はできた。いや、できていたことにこの時気がついた。謝罪や感謝の言葉は沢山ある。だが、今やるべきことは一つ。


俺の居場所に戻ろう。


―完―

終了です。今回はラブコメ要素がなさすぎることと、キャラを出しすぎましたね。次回はもっと軽いラブコメやります!あ、コメント頂ければ嬉しいです!

俺は話作り込まれてたし、結構面白いと思ったが…。つまらん人はなぜつまらん?

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年03月14日 (水) 16:42:20   ID: jPPekuo9

終盤のご都合主義の偽善者祭りが気持ち悪い

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