キャンディアイランドのすこぶる毒にも薬にもならないおしゃべり (15)


・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです
・概ねアニメ寄りの世界線ですが、その他のコンテンツの要素や独自の解釈を含むことがあります



-----旅館-----

ガラガラ
智絵里「えと……この部屋で合ってる、よね?」

杏「うん、合ってる合ってる」

かな子「うわぁ、素敵な和室だね!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1508840320

智絵里「見て、かな子ちゃん! ここから海が見えるよっ」

かな子「ほんとだ! オーシャンビュー、ってやつだね」

智絵里「夕焼けが水面に反射して、すごく綺麗……まるで絵を見てるみたい」

かな子「今が夏だったら、明日の撮影が終わった後、泳ぎにいけたのにね」

杏「さすがにもう、海水浴って時期じゃないしねー」グデー

かな子「だね……って、杏ちゃん、もう浴衣に着替えてる!?」

智絵里「い、いつの間に……」

杏「ふふふ、これからは私のことを、"早着替えの杏"と呼んでくれてもいいんだよ?」ドヤァ

智絵里「早着替えはともかく、着てた服はちゃんと畳まないと……」

杏「ちぇー」タタミタタミ

かな子「今回は泊りがけのロケだけど、こんなにいい温泉旅館に泊まれるなら、少し得した気分だよね」

智絵里「ですねっ。なんだか修学旅行みたいで、わくわくしますっ」

杏「聞いた? 晩ごはん、カニが出るんだって」

かな子「そうなんだ! カニかぁ……食べるの久しぶりかも」

杏「杏も、一昨日コンビニのカニカマを食べて以来だよ」

智絵里「ぜ、全然久しぶりじゃない……」

かな子「そもそもカニですらないよね?」

杏「カニって入ってるんだから、実質カニってことでいいんじゃない?」

かな子「でも、鯛焼きは鯛だけど、鯛じゃないでしょ?」

杏「鯛かぁ……お魚もいいよねぇ。お刺身とか」

智絵里「あ、アンキモじゃなくていいの?」

杏「んー、まぁ、どっちかっていうと……ハンバーグが食べたい」

かな子「台無しだぁ」

智絵里「ふふっ。美味しいよね、ハンバーグ」

杏「なんでもいいから、杏はご飯までゴロゴロしてるよー」グデー

かな子「うーん、今からだと、一時間くらいはかかるのかな?」

智絵里「そうだね……それまで、どうしようか」

かな子「マカロンでも食べる?」

杏「食事前だって言ってるのに」

かな子「そう? 美味しいのになぁ」

かな子「あとは一応、学校の宿題は持ってきてあるけど……」

杏「うぇー? こんなとこまで来て勉強ー? かな子ちゃん、真面目すぎだよぉ」

杏「ほら、一緒にゴロゴロしよう? 畳、気持ちいいよー?」

かな子「で、でも……」

智絵里「確かに、普段畳の上に寝転がる機会って、ほとんど無いよね……」

智絵里「……えいっ」コロン

杏「お、智絵里ちゃん、いらっしゃーい」

智絵里「……ほんとだ、気持ちいい……なんだか懐かしい感じ」ホワホワ

かな子「ち、智絵里ちゃんが、なんだかほわほわしてる……」

杏「ふふふ……よし。だらだら仲間の智絵里ちゃんには、この、杏がさっきまで着てた『働いたら負け』シャツを贈呈しよう」バーン

智絵里「ふぇっ!? そ、それはその、わ、私には着こなすの難しい、かな……?」

杏「そう? しょうがないなぁ」ポイ

かな子「あぁ、もう……せっかく畳んだのに……」タタミタタミ

杏「畳だけに?」

智絵里「う、うまいっ! 座布団一枚、どうぞ」ポフ

杏「ありがと。座布団って有能だよね。座るだけじゃなくて、敷き布団にも掛け布団にも枕にもなるしさ」

かな子「確かに……抱き枕にもなるよね」

智絵里「そういえば、座る布団って書いて、座布団、だもんね」

杏「杏、このまま全身座布団にくるまれて余生を過ごしたいよ」

智絵里「ミノムシさんみたいな感じ、かな?」

杏「あー、うん。そんな感じそんな感じ」

杏「……いや、待って。やっぱり冬場はコタツに引っ越しで」

かな子「あはは……でも、それは杏ちゃんに同意しちゃうな」

かな子「寒い冬の日は、ついコタツにこもって、ぼーっとしちゃうよね」

智絵里「ずっとテレビを見ていたりして……途中でお風呂とかで離れるのが、億劫になったりして」

杏「コタツはもれなく全ての人類をだらだらに落とし込める、最強の装置だからね」

智絵里「……でも、プロデューサーさんだったら、コタツに入っててもお仕事やってそうだよね」

かな子「あー……」

杏「あのワーカーホリックはなぁ……」

かな子「いつ休んでるんだろうって、心配になるよね……」

智絵里「それも、全部私たちのお仕事のために……うぅ、ありがたいというか、ちょっぴり申し訳無いというか……」

杏「……ま、プロデューサーもオトナなんだし、うまいこと休んでるんじゃない? ……たぶん」

かな子「うーん……そうだと、いいけど……」

智絵里「あ、あのっ」

かな子「智絵里ちゃん、どうかした?」

智絵里「えと、もし二人が良かったら、なんだけど」

智絵里「プロデューサーさんに日頃の感謝を込めて、三人で何かプレゼントを贈るのとか、どうかな……? できれば、何か癒しグッズ、みたいなの」

かな子「……うん! いいと思う! 私たち、いつもプロデューサーさんにお世話になってばかりだもん。たまには恩返し、しなきゃね!」フンス

かな子「杏ちゃんはどう?」

杏「んー……。どうせプロデューサーのことだから、『ステージでの笑顔が一番のプレゼントだから、気を遣わなくていい』みたいなこと、言われそうだけど……」

杏「……ま、いいんじゃない? 二人がやりたいなら、杏も付き合うよ」

智絵里「よかった……二人とも、ありがとう……!」

杏「やれやれ。こんなに優しい担当アイドルを持って、うちのプロデューサーは果報者だよね」

かな子「じゃあ、どんなものをプレゼントすれば、喜んでもらえるかなぁ?」

智絵里「癒し、癒し……アロマグッズ、とか?」

杏「いやー、あのプロデューサーにそれは、些か女子力が過ぎるんじゃない?」

かな子「あっ。それこそ、コタツなんてどう? 一人用の小さいの、あるよね?」

智絵里「かな子ちゃん、いいかも……! 心も身体も、温まってもらえそう」

杏「むしろそれなら、全員用に大きいコタツ欲しいんだけど。事務所にでーんって置いてさ」

かな子「そんなのあったら、杏ちゃん、ますますだらだらしちゃうでしょ?」

杏「しちゃうねぇ」

智絵里「わ、私も、こたつむりになっちゃいそうです……」

杏「あれなんてどうよ? 人をダメにするソファ」

かな子「ひ、人をダメに……?」

智絵里「私、聞いたことある……すごく柔らかい、おっきなビーズクッションみたいなのだよね?」

杏「そうそう。あれはヤバいよ……? 杏のうさぎソファにも勝るとも劣らない、最高の座り心地だよ……」ウットリ

かな子「そうなんだ……私も一度試してみたいな」

杏「今度一緒にインテリアショップに行こうよ。もう一日中でも寝てられるよ」

かな子「えぇっ、店頭で寝ちゃうのは、たぶん迷惑だよ……」

智絵里「……でも、プロデューサーさんがもしダメになっちゃったら、お仕事が立ち行かなくなるんじゃ……」

杏「働かなくてよくなるなら、杏的にはむしろ大歓迎なんだけど」

かな子「あはは……それだと、印税生活もできなくなっちゃうけど、いいの?」

杏「あー……うーん、それはちょっと……いやでも、やっぱり働くのは……」

智絵里「……すごく悩んでるね」

かな子「今日一日の中で、一番真剣な顔してるね」

杏「何さー。まるで杏がいつも不真面目みたいな言い方して」

かな子「ご、ごめんね!? そんなつもりじゃなくて……」

杏「杏はいつも真面目にだらだらしてるだけだよ」ドヤァ

かな子「え、えぇー……」

智絵里「さすが、どこにいても杏ちゃんは杏ちゃんだね」クスクス

杏「……っていうかさ。杏、ひとつ気付いたんだけど」

かな子「どうしたの?」

杏「杏達、今こうやって温泉旅館に来てるわけでしょ?」

杏「プロデューサーにゆっくりしてもらうって言うんなら、今がまさに絶好のチャンスじゃないの?」

智絵里「い、言われてみれば……!」

かな子「確かに……!」

智絵里「かな子ちゃん、かな子ちゃん。ここに、露天風呂のパンフレットがあるよっ」

かな子「えぇと……効能が、冷え性に腰痛、肩凝り……それに、疲労回復にストレス解消、だって!」

杏「おー、いいじゃん。至れり尽くせりだね」

かな子「それじゃあ、夕食が終わったら、プロデューサーさんと一緒に温泉に行こう!」

智絵里「えっ」

杏「きっと目を離すとすぐに、部屋に戻って仕事始めちゃうだろうから、ちゃんと捕まえとかないとダメだよ」

智絵里「あ、あわわ///」プシュー

かな子「そうだね……って、あれ、智絵里ちゃん?」

智絵里「あ、あのあの……私、さすがに、一緒は恥ずかしいというか、その……」ワタワタ

杏「……智絵里ちゃん。たぶんかな子ちゃんが言ってるのは、お風呂場まで一緒に向かおうってことで、何も一緒に混浴しようって話じゃないと思うよ」

かな子「も、もちろん! 連れて行ってあげようって、それだけだよ!?」カァァ

智絵里「で、ですよね! ですよね!」カァァ

智絵里「ふぅ……な、なんだか変な汗かいちゃいました……」パタパタ

杏「まぁ、汗は温泉で流せるし」




~~♪

かな子「……あれ、誰か着信鳴ってない?」

智絵里「あっ、私……卯月ちゃんからだ」ピッ

智絵里「もしもし……あの、智絵里ですっ」

卯月『あっ、お疲れさまですっ! もう、旅館には着きましたか?』

智絵里「はいっ。えと、もうすぐ夕食で、それが終わったらみんなでプロデューサーさんとお風呂に入ろうって話をしてたところで……」

卯月『……え、えぇぇっ!? ぷ、プロデューサーさんと……!? 皆さん、その、意外と……だ、大胆、なんですねっ』

智絵里「……あっ。あぁぁ! ち、違うんです誤解ですっ」ワタワタ

杏「何この早すぎるデジャヴ」



おわり


以上、お付き合いありがとうございました。

気が付けば、デレマスSSを書き始めてから丸一年が経っていました。
毎度拙作ではありますが、ほんの少しでも皆様の暇潰しに貢献できているなら幸いです。


前回
キャンディアイランドのほぼ毒にも薬にもならないおしゃべり

も、よろしければどうぞ。

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