フレデリカ「バレンタインごっこ」 (22)
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フレデリカ「ふんふんふふーん、復刻」
杏「やめて」
文香「1年後まで、ごきげんよう」
杏「安易に傷を抉るのやめない?」
肇「何か、嫌な思い出でもあるんですか?」
杏「自分のキャラの限定引けないってしんどいよね」
文香「…後1年ほどで…」
フレデリカ「ねーねーフィーバータイムだよー走ろ?」
杏「こっちでも引けなかったからなぁ…」
文香「お向いのゲームでも、報酬が水瀬さんだからかボーダーが上がってきていますね…」
肇「ゲームマネーカード、買い足しにいきますか?」
文香「もう…手持ちが図書券しか…」
杏「それはいつもの事じゃん」
杏「それはいいや、あとついでに勝手に杏の家に上がりこんでるのも許そう」
文香「肇さんが…ピッキングを覚えたので…」
肇「えへへ…」
杏「えへへじゃないよ、せめてちゃんとしたピッキングしよ?なんかドアノブがひん曲がってたから」
フレデリカ「えっとねー、今度バレンタインにアタシ達スリーエフ全員が出演するドラマの話しよっかなーって」
杏「世にも奇妙なストーリーでしょ?なんでバレンタインにやるんだろうね?」
肇「先日ラジオで世にも奇妙な前説ごっこの話をしたら、思ったより反響があったそうなので」
文香「みなさん、素敵な語り部になれそうでしたね」
杏「バレンタインにやる必要がないよね」
フレデリカ「バレンタインの1ヶ月後、コーヒーはどうやって頼む?」
杏「ホワイトで…いや、それミルクじゃん」
肇「丁度ミルクオレですね!杏ちゃんそうやって注文して下さいね?」
杏「あー、肇ちゃんが仕掛けてくる側かぁ」
杏「…で、その大荷物はなに?」
フレデリカ「肇ちゃんと文香ちゃんに運んで貰ったんだー」
杏「まぁ物理担当だからね」
フレデリカ「パワー持ちは違うねー」
文香「それは、杏さんでは…うぅうぅ…」
杏「傷を抉らない、自滅してるよ」
肇「ですよね、物理と言えば文香さんですし」
文香「…フィジックス、フィロソフィー、F」
フレデリカ「わぁお帰ってきた!」
杏「…で、だからその大荷物はなんなの?入り口に置きっぱで邪魔になるんだけど。ちゃんと持って帰れよー」
フレデリカ「えっとねー、みんなでチョコ作る練習しよっかなーって」
肇「バレンタインも二週間後に控えてますし、今から学んでおけば失敗しないかと」
杏「なんで杏の家なのさ、事務所でいいじゃん」
文香「…杏さんの家で集まりたかったから…それでは、ダメでしょうか?」
杏「…そーゆー杏が照れそうな事言えば許されるって思ってるでしょ?」
フレデリカ「ふふーん、杏ちゃん顔赤いよー?」
杏「赤くないし」
フレデリカ「じゃー蒼!」
杏「それ体調悪いやつじゃんいや体調悪いわ帰れ」
杏「って事は、調理器具とかも持ってきてるの?」
フレデリカ「え?買ってきたのチョコだけだよー?」
文香「器具は、杏さんのを借りようと…」
杏「そんなもの、うちにはないよ。ってゆーかチョコだけでそんなに大荷物なんだね」
肇「一応、失敗しても大丈夫なように、と…流石に買いすぎて重かったですが」
フレデリカ「ほら、丁度音ゲーの方のイベントもお菓子作りだからねー」
杏「あースタミナ消費しないと」
肇「杏ちゃんは元からスタミナありませんよね?」
文香「まさか…これからランニングをして、スタミナ作りを?」
フレデリカ「なんで殊勝な心がけ!ママ嬉しい!」
肇「応援しますよ、杏ちゃん」
杏「杏なにも言ってないよ」
杏「一応聞くけどさ、渡す相手いるの?」
フレデリカ「もっちろーん!事務所のみんなにねー」
文香「も、もちろんです…想い人がいないなんて、そんな悲しいバレンタインは迎えません」
肇「…パワー持ちは迎えられなかったのに」
杏「やめろ、杏にも刺さる」
フレデリカ「で、肇ちゃんは相手いるのー?」
肇「特に…一応、普段ツッコミ役として頑張ってくれている朋さんには」
杏「おい、杏は?」
肇「もちろん、ユニットの全員にもですよ」
フレデリカ「悲しいバレンタインだねー」
杏「まぁアイドルだしね」
肇「ところで、杏ちゃんはどうするんですか?」
杏「え、私は特に予定なかったかな。貰えれば満足だよ」
文香「…まぁ、そうなりますよね」
フレデリカ「うーん、まぁ今は何も考えずに楽しも?」
杏「始まる時点で終わってるからね…」
肇「…?」
文香「そう言えば…バレンタイン、私とあるドラマに出演するのですが…」
杏「あ、この流れ知ってる嫌だよ」
文香「学園ドラマモノで…私が、想い人にチョコを渡そうとするのですが…」
肇「あ、演技の練習の流れですか?」
文香「残念ながら…渡そうと屋上で待っている間に、相手が事故で亡くなってしまうんです…」
杏「酷い流れとネタバレ」
文香「なんで私は…こういう役ばかり…」
肇「時間遡行すれば解決するのに」
杏「普通のドラマでそんなことしないよ」
フレデリカ「やり直しても助けられなかったお話あるもんねー」
茄子「呼びました?」
杏「呼んでないよ」
茄子「失礼しましたー」
フレデリカ「じゃーせっかくだし、屋上って設定にしてやる?」
杏「だから杏はやらないって」
文香「来て欲しい、けれど来ないで欲しい。二律背反の想い」
フレデリカ「手作りのチョコ、何度も書き直したラブレター」
肇「今の関係が壊れてしまうのがこわい、けれど今の関係を続けるのが辛い」
文香「放課後のチャイム、それと同時に開かれる屋上の扉」
フレデリカ「少し息が荒くて肩で息をして、でも笑ってる相手」
肇「屋上…茜色に染まる校舎…ロマンチックですね!」
フレデリカ「さぁ杏ちゃん、はりきってどーぞ!」
杏「聞けよ」
杏「…来て、くれたんだ」
杏「まぁ呼吸整えたら?息荒いよ」
杏「いやー、たまには屋上でのんびりするのもいいね」
杏「ほら、結構街並み綺麗じゃない?夕暮れの商店街とか、電信柱とか」
杏「…杏はさ、まどろっこしいのは嫌いだし」
杏「何度も同じ事言うのって好きじゃないんだよねー」
杏「頑張るってめんどーだし、失敗続きだとやる気なくなるじゃん?」
杏「…そっか、まぁ君がそう決めたなら何も言わないけどさ」
杏「だから。一回しか言うつもりはないから、ちゃんと聞いてね」
杏「…何度も言わせてみせる、なんて…せめて聞いてから言って欲しかったかな」
杏「…うるさい、夕焼けのせいだし。赤くなってないし。泣きそうになってもないし」
杏「…はい、チョコと手紙。読んでも読まなくてもいいよ」
杏「ほら、こんな面倒くさい杏だけど、さ」
杏「…好きです、付き合って下さい」
杏「んあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
文香「ふむ…赤く染まる頬を夕焼けのせいにしましたか。それでいて泣きそうになっているところもポイントが高いですね」
フレデリカ「杏ちゃんカワイイ!15Fポイント!」
肇「流石ですね、杏ちゃん。良かったですよ」
文香「流れから察するに、もう一人ライバルがいた様ですね…」
肇「これは次の私のハードルが上がりますね」
フレデリカ「ファイトー肇ちゃん!」
杏「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
肇「杏ちゃん、うるさいです」
杏「ウィッス」
肇「来て、くれたんですね」
肇「見てください、綺麗な夕焼け…素敵ですね」
肇「そんな屋上で、誰もいない屋上で二人きり…とてもロマンチックだと思いませんか?」
肇「…ぷくー、貴方には分かりませんか。でも、いいですよ」
肇「これから一緒に、教えてあげますから」
肇「この想いは独りよがりじゃない、って」
肇「私の想いは貴方によって形作られた、って」
肇「証明してみせます。想いを、言葉を、形にします」
肇「はい、手作りのチョコ。貴方に届けます」
肇「私の想いを添えて…想いを込めて、精一杯作りました」
肇「…受け取ってくれますか?」
肇「そして、貴方さえ良ければ…私が望むのは…」
肇「来年も、再来年も」
肇「また貴方に、届けたいな、って。受け取って欲しいな、って」
肇「…チョコだけじゃ、足りませんか?それでしたら…」
肇「直接届けます。私の言葉を貴方の口に、甘い初めての気持ちとともに」
肇「…目を、閉じて下さい」
フレデリカ「おぉう、攻めたねー」
文香「言葉とキスの二段構え…良いですね」
杏「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
肇「杏ちゃん」
杏「うん、よかったよ。恥ずかしくて見てられないくらい」
肇「このくらいしないと、伝わらない想いもありますから」
フレデリカ「で、想いのこもったチョコは作れそう?」
肇「そもそも相手がいませんけどねーあははー」
杏「肇ちゃんが壊れた」
フレデリカ「じゃーまずチョコ作る練習しよっか」
杏「おい」
文香「次は、フレデリカさんのターンですよ」
フレデリカ「サレンダーは?」
杏「許さん、ダメ」
フレデリカ「ごー、よーん、とろわぁー!どぅー!あー!」
キーンコーンカーンコーン
フレデリカ「わぁお、ギリギリ滑り込みセーフ!」
フレデリカ「時間ぴったり、人間時計って呼んであげよっか?」
フレデリカ「えへへー、どう?夕焼けを背景に立ってるフレちゃん、絵になるでしょー?」
フレデリカ「まるで魔女みたい?じゃーウィッチだからウォッチと相性抜群だねー」
フレデリカ「じゃーそんなフレちゃんから、魔女らしくチョコをプレゼント!」
フレデリカ「グツグツ煮込んだ特性のチョコだよ?怪しいものは入ってないけど」
フレデリカ「あ、でもねー。色んなものが入ってるよ?」
フレデリカ「お砂糖とかねー、カカオとかねー、あとは…」
フレデリカ「君への気持ちと、アタシの想いと」
フレデリカ「あとは魔女らしく、魔法をかけちゃった」
フレデリカ「このチョコを食べた人は、もうフレちゃんのチョコしか食べられなくなっちゃうんだー」
フレデリカ「…ねぇ、君は」
フレデリカ「食べて、くれる?」
杏「あ゛あ
肇「うるさい」
フレデリカ「どーお?きゅんとした?」
文香「良いですね…少し不安が混ざっているのがナイスです」
杏「まぁ夕焼けの屋上ってだけでもうあれだよね、あれ」
肇「杏ちゃん、人間って素晴らしいものを見ると語彙力が貧弱になるそうですよ」
杏「シチュエーションを上手く活かしてたね、チャイムを使ったのは良い判断だよ。ギリギリってところにフレデリカちゃんの不安が上手く演出されてたかな」
フレデリカ「じーざす」
文香「さて…では、そろそろ食事にしましょうか」
肇「文香さんはやらないんですか?」
文香「結構です、私は元から上手いので」
杏「今までの流れなんだったの?」
フレデリカ「お昼、何食べるー?」
文香「もちろん…」
文香「焼肉です」ドンッ!
杏「どっからその大量の肉取り出した」
肇「…持ってきた大荷物、チョコだと思ったら…」
杏「全部肉だったのか、なんで文香ちゃんに買い物を任せた」
フレデリカ「あれー?じゃあチョコ作りは?」
文香「……ま、まぁそれは後日で」
杏「時間返せあと帰れ」
ご存知ですか?2/14は宮本フレデリカさんの誕生日ですよ
もちろん、バレンタイン&誕生日と言う二重構造も良いと思います
きっと2/14はフレデリカのssで溢れかえる事でしょう、楽しみにしております
それと、前回の前説ごっこのうち2つはきちんと怪談ごっことして書こうと思います
お付き合い、ありがとうございました
杏の話も終わりました…長々とお待たせしてすみませんでした
杏「気付いた日から、つまりごっこと呼ぶ日から」
杏「気付いた日から、つまりごっこと呼ぶ日から」 - SSまとめ速報
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