【グラブル】 忌子の守り人 (24)

グラン「だああっ!!」ザシュウッ!!


フェリ「やっ!たあっ!」スパァン!!


魔物「ギイイッ!!」


グラン「クソッ、数が多いな…!僕は東を片付けるから、フェリは西を!!」


フェリ「よし、わかった!」ダッ


魔物「グガアアッ!!」バッ


ルリア「きゃっ!こ、こっちからも魔物が…!」


オイゲン「俺に任せな!ディー・アルテ・カノーネェッ!」ドゴオン


魔物「キャゥウンッ!!」


ルリア「あ、ありがとうございます…!」


オイゲン「まだまだ向かってくるぞ、気ィ引きしめろ!」


ルリア「はいっ!!」


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ーーーーーーーーーーーーーーーーー
フェリ「うへー…疲れたぞ…」グデ-


村長「いやはや、何とお礼を言ったらいいのか…!魔物が居なくなって、やっと我々も安心して生活できるというものです。」


グラン「いえいえ、この位慣れてますから。」


村長「こんな辺鄙な村ではありますが、今日のところはここでゆっくりしていって下され。夜には、村の皆で宴会を開きましょう。」


オイゲン「おおっ?そいつァ嬉しいなぁ!」ホクホク 


村長「ほほ、喜んでいただけて幸いです。」

村長「…ところでなのですが、騎空士の皆様に、少しお伝えしなければいけない事が…」


ルリア「はい、どうしたんですか?」


村長「我々の村から2里ほど北に行った山の奥に、小さな洞穴があるのですが…そこには決して立ち入らぬよう、お願い致します。」


グラン「…?そこに一体、何が?」


村長「…いえ、特に何があると言うわけでも無いのですが。あそこは落盤が多くて、無闇に入ると事故に巻き込まれる危険がありますので。」


グラン「ふーん…そうなんですか。分かりました、そちらには近づかないよう皆に伝えておきます。」


村長「恐れ入ります。それでは、宴会までの間、ご自由にくつろいでいて下され。」


ルリア「はーい!ねっ、グラン!あっちに牧場がありますよ?行ってみましょう!!」グイグイ


グラン「うわあっ、ち、ちょっと引っ張らないでって!」


フェリ「わ、私も!私も行くぞ!」ダダッ


オイゲン「あっ、おい!待て!!」


オイゲン「はぁ…魔物討伐の後は、ガキのお守りかよ…?」ダッ


村長「…」

ーー夜ーー
村長「それでは、皆の者…村を救ってくれた恩人達に、乾杯!」


「「「カンパーイ!!」」」


オイゲン「んぐっ、んっ…ぷはぁっ!!っかー!!一仕事終えた後の酒は、やっぱたまんねえなあ!?」ゴキュゴキュ


フェリ「んー、このパスタ美味しいな!もう一杯…」


ルリア「ぐもももももももももも!!!」シュババババ


フェリ「なっ、ルリア!?一人で全部食べたらダメだぞ!」アワアワ


村長「ほほ、まだまだたくさんあるから思う存分食べて下され。」


ルリア「ほんちょうはん、ほのおりょうり、れんぶふっごくおいひいれふ!!」シュババババ


村長「は、はは…元気なお方だ…」


グラン「す、すいません…」


バァン!!


グラン「…っ!?何だ…?」


チンピラA「おいおい、この村にきくうし様(笑)が来たって言うから見に来たけどヨォ。まさかこんなガキと老いぼれだったとはなあ!」


チンピラB「ギャハハハハ!!笑っちまうぜ!!」


村長「…!き、貴様らは…!」


若者「…ようジジィ。宴会に、オレ達を誘うのを忘れてるぜ?」


村長「…貴様らのような輩を、村の恩人の前に出す訳が無かろう!!とっとと出て行け!」


グラン「…」

若者「よぉ、きくうしサマ。俺達、ちょっと君達に頼みがあって来たんだけどよ…」ツカツカ


フェリ「…物を頼みに来る態度じゃ無いな。すまないが、今日の所はお引き取り願いたい。」


チンピラA「アァ!?てめえ、兄貴に向かって何て口の利き方を…」


若者「よせ…。団長サンよォ、オレ達はこの村のいわゆる用心棒、って奴だ。その古株のオレ達を差し置いて、お前達が仕事をかっさらってくのは筋が違えだろ?お?」


村長「貴様らが用心棒…?笑わせるな!!貴様らは、村人から用心棒代、と言う名のみかじめ料をせしめ、払わなかった者達を襲っているだけだろうが!!」


若者「チッ…!テメェとは話してねえんだよ、ジジイ!!」バキィ!!


村長「ぐうっ!?」ドサッ


グラン「!!そ、村長!!」


村長「うっ、うう…大丈夫、だ…」


若者「…おいガキ、表に出ろ。どっちがこの村を守るにふさわしいか、勝負しようじゃねえか」


グラン「…よし、わかった…」スッ


ルリア「グラン!だっ、ダメです!!」


グラン「大丈夫だよ…少し、お灸を据えてやるだけだ。」


若者「…オイテメェ、ナメた口叩いてんじゃねえぞ…!」ガシッ


グラン「…触るな」キッ!!


若者「っ!?」バッ


グラン「表に出るぞ…三人まとめて相手してやる。」スタスタ


チンピラA「なっ…こいつ…!」


若者(…な、何だってんだ、今のは…!)

ーーー酒場の前ーーー


グラン「…さぁ、やろうか。」


若者「…」


チンピラA「…畜生、ナメやがって…だらあああっ!!」バッ


チンピラB「こっちも行くぜ!!はあっ!」


グラン「…」ガキィン!!


チンピラA「…なっ!?こ、こいつ…俺達の攻撃を、片手で止めやがった…」


グラン「だあっ!」バキイッ!!


チンピラA・B「ぐああっ!!」ズササササ


オイゲン「いよっしゃあ!!屁でもねえぜ!!」


チンピラB「す、すいません…兄貴…」ボロッ


若者(…やっ、やっぱり…あいつ、とんでもねえ力を持ってやがる…!)


グラン「…君も、やるのか?」


若者「……っ」


グラン「…そうだ。それが賢い選択だよ。」クルッ


若者「…う…」


若者「…うあああああああっ!!!」ダダダッ

ルリア「グラン、後ろ!!」


若者「だあああああっ!!」ブンッ


グラン「…この…馬鹿野郎!!」バキィ!!


若者「ぐあああっ!!」ズサササ


グラン「まだ分からないのか…君達は、僕には勝てない!」


若者「う、うるせぇ…!」ヨロッ


若者「オレはな…誰にも負けるわけにはいかねえんだよ!!テメエらみてえな、お遊びで騎空士やってる奴らとは違えんだッ!!」ダッ


グラン「…!」ピキッ


若者「死にやがれェッ!!」ビュン


グラン「…」ガシッ


若者「…っ!!」


グラン「…僕たちは、いつだって本気だ…」ミシミシ


若者「がっ、はあっ…!」


チンピラA「兄貴ィっ!!」」


グラン「君らのような奴等に、僕らの生き方を…バカにされてたまるかァッ!!」ドゴオオン!!


若者「うがあああっ!!」


グラン「…終わりだ。」スタスタ


チンピラB「あっ、兄貴…!大丈夫か…!?」


若者「ぐ、ううっ…ちくしょう…ちぐしょう…っ!」ボロボロ


若者「うあああああああああああっ!!」


グラン「…」スタスタ

フェリ「…グ、グラン…」


グラン「…ごめん…少し、熱りすぎた…でも、怪我はしていないハズだ。」


ザワザワ


……やあねぇ、やっぱりあそこの家系は……


グラン「…?」


……あぁ…やっぱり忌子の家族なんて、ロクな奴じゃねえな……


グラン(…忌子…?)


村長「ああっ、騎空士様…!申し訳ありません、ウチの村のバカが、こんな目に合わせてしまって…!お怪我はありませんか?」


グラン「…ああ、いえ…それよりあの人達の手当てを…」


村長「いえ、あんな奴等に治療など必要ありませぬ!ささ、早く宿の方へ…」


グラン「…」チラッ


若者「うっ、うう…!」ボロボロ


グラン(…一体どうして彼は、あそこまで僕に勝つ事に必死だったんだ…?)

失礼しました、熱りと出てしまいました

○熱くなり

ーー村の宿屋ーー
村長「こちらが宿になります…先程の無礼、重ねてお詫び申し上げます。」フカブカ


オイゲン「いや何!あの位の年のやつぁ、血の気の多い奴が多いモンよ!オレも若え頃ァ、あんな感じだったなあ…」


フェリ「…おっさんの『昔は悪かったアピール』は嫌われるぞ…」ジト-


オイゲン「い、いやいや!そんなつもりはねえよ!」


グラン「…」


ルリア「…どうしました?グラン」ヒョコッ


グラン「…あの、村長さん。少し、伺いたいことがあるのですが…」


村長「はい。私に答えられることであれば、何でもお答えしましょう。」







グラン「えーと…『忌子』って、何の事ですか?」

村長「…」


グラン「…?村長?」


村長「…申し訳ない、私には何の話か分かりませぬ。何処かで聞き間違えでもしたのでは?」


グラン「…は、はぁ…」


村長「それでは、夜も更けてまいりましたので、私はこれにて失礼致します。…皆様、良い夢を。」バタン


オイゲン「…何だぁ?そそくさと出てっちまって…」


フェリ「うーむ…確かに私も怪しいと思う…」


ルリア「ね、ねえ、グラン…?忌子って何の話ですか?私、そういう話ダメなんですけど…」プルプル 


グラン「いや…さっきの酒場で、誰かが話してたんだ。『やっぱり忌子の家族なんて、ロクなモンじゃない」って。」


フェリ「忌子…何かの比喩なのか?」


グラン「わからない…でも、もしかしたらこれ、相当ヤバい話なのかも…?」


ルリア「ひぃっ!や、やめてくださいよ!お化けとか心霊とか、私信じませんから!!」


オイゲン「いまお前の真横に、お化けそのものが立ってるんだがなぁ…」


フェリ「…え、えへへ」ピ-ス


ルリア「…そ、そういえば…」

若者「ぐっ、ううっ…」ヨロヨロ


チンピラA「兄貴…もうちょっとで家だ、頑張って下せえ!」


若者「…くそっ…痛ッ…!」ズキッ


チンピラB「あーあー!兄貴ボロボロなんだから、無理しちゃダメですって!」


若者「うう、すまねえ…」


チンピラB「…ほら、着きましたよ。ただいまー。」ガチャッ


??「あっ、にいちゃん達お帰り!!ご飯作ってあるよ!」


チンピラA「おっ、ありがとよ…でも今日は、兄貴の治療が先だ…」


若者「…すまねぇ、妹…!」


妹「…!に、にいちゃんボロボロ…!何があったの!?」


チンピラA「…いや、魔物の討伐が予想以上に手こずってよ…」


妹「そうなの!?と、とりあえずお薬持ってくるから、待ってて!」


若者「…」

妹「これでよし…っと。見た目の割には、大した事なさそうで良かったね!」


若者「…」


若者(あんだけ派手にぶん投げられて、軽い打ち身と捻挫だけ…)


若者(クソッ…あの野郎、あれでも俺に手加減してたってのかよ…!)ギリィッ


妹「…どうしたの、にいちゃん?顔、怖いよ…」


若者「…!い、いや。ありがとな、妹。」ナデナデ


妹「へへ…///」


チンピラB「さ、妹ちゃん!!オレらハラ減っちまったよ、飯にしようや飯に!!」


妹「ふふ、それじゃあみんなでご飯にしよっか!」


チンピラA・B「ヒャッハー!!」


若者「…」


若者(俺は…何としても、妹を…。そして、こんな俺を支えてくれるAとBを裏切る訳にはいかねえんだ…!)ギリィッ!!


妹「…」


妹(にいちゃん…)

ここらでねりゅ

拙いssだが読んでくれると嬉しいぞ

チンピラA「ふいー…もう食えねえ…」シ-シ-


チンピラB「ありがとな、妹ちゃん」


妹「いえいえ、気にしないで!」


チンピラA「俺たちは明日も早いから、これでお暇するよ。兄貴も、体をゆっくり休めてくださいね。」


若者「…ああ。」


チンピラB「じゃあな、兄貴!妹ちゃん!」バタン


妹「…ねえ、にいちゃん。」


若者「…何だ?」


妹「また…村の人たちと喧嘩したでしょ。」


若者「…っ」


妹「にいちゃんのこと、見てればわかるよ…。…なんでいつも、無理ばっかりするの?」


若者「…妹は、何も気にする必要はない。」


妹「何言ってるの!!こんなにボロボロになって帰ってきて…!いつか死んじゃったら、どうするの!?」


若者「…」


妹「…とにかく、明日は家で安静にしててね。…お願いだから。」


若者「…ああ…」

ーーーー翌日ーーーー
妹「すぅ…すぅ…」


チュンチュン…


妹「んっ、うう…あれ、朝か…。にいちゃん、おは、よ…」


妹「…にいちゃん…?」


ーーーー宿屋ーーーー
グラン「うーん…結局昨日のことは、何も分からずじまいか…。」モグモグ


オイゲン「まあ…あんまり首突っ込まねえ方が、賢明だと思うぜ?」


グラン「うーん、そうは言ってもなぁ…」


バァン!!


フェリ「ん?誰か来…っ!?」


若者「…よぉ…昨日のお礼をしに来たぜ。」ゴゴゴ


グラン「…」

オイゲン「兄ちゃんよぉ…お前、ちぃとしつこいんじゃねえの?」


若者「…俺は、何を犠牲にしてでも勝たなきゃならねえ。負けたまま終わるなんて、あっちゃいけねえんだ。」


グラン「…何故、君はそこまで勝ち負けにこだわる?」


若者「…お前には、関係ない。」


グラン「…」


若者「表に出ろ。…もう一勝負だ。」


グラン(…彼が何を背負っているのか…それは、分からない。)


グラン(でも、少なくとも彼の覚悟は…本物、みたいだ。)スッ


ルリア「…グラン…」


グラン「分かった。決着をつけよう。」

ーーーー酒場の外ーーーー
グラン「さぁ…やろうか」チャキ


若者「…行くぞッ!!だああああっ!!」ブンッ


グラン「はあっ!!」ガキン!!


若者「まだまだあっ!!」ガンガンガン


グラン「はぁっ!!やっ、たあっ!!」キキキン!!


フェリ「…!あいつ、この前と全然動きが違う!」


オイゲン「…いや、長くは持たねえ。」


オイゲン「あれは短期決戦を狙って、スタミナを気にせず切りかかってるだけだ。…パンクすんのも時間の問題だな。」


若者「だりゃあああっ!!」ガガガガ


グラン「…どうした、キレが悪くなってきてるよ!!」ガギイン


若者「…へっ、やっぱりテメエは、こんなもんで倒れるような奴じゃねえよな。」ハァハァ


グラン「…?」


若者「なら、俺も…。使わしてもらうぜ、奥の手をなぁ!!」カアッ!!


グラン「なっ!?魔力が溢れ出して…!?」


若者「行くぜッ!!オーバーロード!!」ギュオン!!


グラン(!?み、見えなーー)


若者「遅ェ!!」バキイ!!


グラン「があっ!?」


ルリア「…っ、グラン!」ガタッ

グラン(クソッ…!こんな力が彼の、どこから…?)スクッ


若者「…オメェは強え。真正面から戦ったんじゃあ、相手にならねえこと位分かってる。」ゴゴゴゴ


若者「だから…自分の魔力を『前借り』した。」


グラン「…お前は、どこまで無茶をする気だ…!!」


オイゲン「おい兄ちゃん…魔力ってのは元々、使用者の生命力…いわば、魂に直結した力だ…。」ギリッ


ルリア「…オイゲン、さん…」


オイゲン「それを限界を超えて一気に使う、ってことがどういうことか分かってんのか!?テメェ!!」


若者「…んなこたあ、俺が一番分かってんだよ!!」ギュン


グラン「ぐうっ!?」ギィン!!

若者「…俺はこの道を…どんなに辛くても、進み続けるって決めたんだよッ!」ブォンブォン


グラン「違う!!そんなのは、正しい道じゃない!!」


若者「…!テメェに…何が分かんだよ!!」ドコオ!!


グラン「があああっ!!」ドガシャア


フェリ「団長!!」バッ


グラン「…やめ、ろ…来るな…!」ヨロッ


フェリ「…っ…」


若者「…なあ、団長さんよ…俺には一人、妹がいるんだ…」ツカツカ


グラン「…」


若者「純粋で、俺の家族なんかには勿体無い位いい奴だよ…それなのに…!」


若者「村の奴らは、妹が生まれた時…背中にある大きなあざを見て言いやがったんだ…!!『呪われた子』…忌子だ、ってよ…!!」ボロボロ


グラン「…!忌子、だって…!?」

若者「そうだ…それ以来、俺達の生活は変わった…」


若者「父ちゃんは、『オレの子が忌子だなんて信じない』っつって、どっかに消えちまった。」


若者「元々病弱だった母ちゃんは、妹が生まれてから村から薬がもらえなくなって…死んじまった。」


若者「…残った俺と妹に、ロクな仕事なんて出来る訳がねぇ。毎日その日食うもんにも困ってたよ。」


若者「…そんな時に、唯一俺達を味方してくれたのが…あのチンピラ二人なんだ。」


ルリア「…そんな、事が…」


若者「アイツらは村で唯一、俺らに普通に接してくれた。それどころか、俺のことを兄貴分だと呼んで…信頼してくれてるんだ。」


若者「…そんなあいつらに恩返しするため!!そして、妹を守るために!!俺は、誰よりも強くいなきゃならねえんだよ!!」

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