【モバマス】違和感の理由 (10)

この日、俺はこの芸能事務所に所属することになった。

タレントとしてではなく、アイドルのプロデューサーとしてだ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1508051751

元々俺は別の事務所でプロデューサーをやっていたが、今の事務所の社長と仲良くなり、成り行きでこの事務所に所属することになった。

アイドル達に挨拶をし、この事務所のやり方を学ぶ。

そして次の日から本格的にプロデュースをすることになった。

彼女達は皆素直で、こっちの言うこともすぐに理解してくれる。

相手に迷惑をかけず、仕事もきっちりこなす。ほとんど手がかからないと言ってもいいくらいだ。

プロデューサーとの距離も絶妙で、お互いに干渉もしない。

だが、一つ気になることがある。

ほんの少し、違和感があったのだ。

こっちとの話をするときや引き受ける時、何か機械的で、たまに人形と話しているんじゃないかと思ってしまうくらいだ。

距離感もそう、何故か避けているかのようだった。

最初のうちは、新しいプロデューサーだから慣れてないんだろうと思っていた。

だが、それは1ヶ月半も続いている。そろそろ慣れてもいい頃だと言うのに。

ある日、喫煙所も兼ねた休憩所で、その違和感について考えていた。

彼女達の態度は、事務所の方針なのだろうか?それとも、何かあったからなのか、と。

事務所の方針であれば、俺にもそう教育するだろうし隠す意味もない。

そう考えるとやっぱり何かあったんだろうか。

普段なら、余計なトラブルを避けるために割り切るのだが、今回は何故か気になってしまう。だが、今いきなり聞いたって聞けはしないだろう。

そう考えていると、黄緑の制服を着た女性が現れる。

千川ちひろ。俺にこの事務所のことを教えてくれた人だ。

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