森久保乃々「さよならアンドロメダ」 (24)

*注意*
・駄文
・地の文(小説風辺り手移入型)
・完全妄想
・稚拙な言葉遊び
・アイドル一人につきPが一人の世界観

上記を含みます。苦手な方はご注意下さい。
fullまで待てなかった。仕掛け文のつもり。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507831138



ヴィィーン…ヴィィーン…


端末の短いバイブレーションに森久保乃々はすうっと目を開けた。新曲ライブイベントの
疲れがどっと押し寄せたのか、シートベルトと座席のゆりかごに揺られて夢の中にいたらしい。

暗闇を窓の外から射し込む光が断続的にオレンジ、赤、青…蒼と、柔らかなクリーム色
の膝掛けを彩っていく。トレードマークのロールヘア───勿論、髪を下ろした様も実に可
愛らしい───を静かに揺らしながら、寝ぼけ眼で光のキャンバスを追っていた。



ヴィィーン…ヴィィーン…


再び端末の振動に意識を引き戻されると、膝を静かに寄せ、慣れた手つきで端末を開く。


-─-[アンドロメダのトーク(3)]-─-

凛『乃々、イベントお疲れさま』
凛『亜季も今日は色々と助けて貰ったね』

亜季『お疲れ様であります!』
亜季『いやいや、あれは乃々殿の機転のお陰で…』

凛『連絡さえ取れれば…』
凛『あのトンネル電波が入らないからね…まったく』

微睡んだ頭の中に今日の記憶が断片的に甦ってくる。道中のトンネル内での交通障害、凛さん未到着、連絡なし、開始時刻、困惑の声。

スタッフさんの話によると、そんな中で森久保が突然ステージに飛び出し、それを追った亜季さんと息の合ったトークを繰り広げて凛さん到着まで場を大いに盛り上げた…らしい。森久保はただ必死で、詳細な記憶無いんですけど…。

しばらくアレコレと言葉が交わされる間にも窓から射す光の条数は段々と減って、キャンバスは暗闇に染まっていった。不意に膝を抱き抱えながら端末から目を離すと辺りはしんと静まり返っていた。その一瞬は心細さを覚えるのに十分な時間だった。

慣れていた筈なのに。独りになった夜、再び慣れようと誓った筈なのに。沈黙の中で端末の光が消えて独り闇
に溶けていく感覚。永遠に続くかと思われた時間━━そこから引き戻したのは、やはり振動と光だった。


凛『…それにしても乃々が打ち上げに来れなくて残念だよ』

亜季『まあ、乃々殿と乃々P殿にとって今日は大事な日ですから。』

凛『そうだね…。乃々、何かあったら連絡するんだよ。』

亜季『この大和亜季。乃々殿がお呼びとあらば、例え宇宙の果てでも駆けつけましょう!』

凛『私達は何時でも見守っているからね』

引き寄せた膝掛けを胸元でぎゅっと握りしめ「はい」と返事をする。二人に貰ったヴィンテージ物の可愛らしい腕時計が窓からの蒼白い光をゆっくりと反射して煌めいた。

その光を辿って顔を上げると正面に大きなトンネルが顔を覗かせる。凛さんを遅らせた原因。修復工事は…終わったみたいですね…。

覚悟を決め、腕時計の時刻を正確に合わせてから亜季さんがしていたように━━曰く、伝統らしい
━━親指を立てて呟いた。

あいるびーばっくぼですけど…。

…あぅぅ、やっぱり今のは無しで…








あの日以来初めて、蒼白い光を放つ巨大なトンネルの入り口に差し掛かった。入り口は三重の鈍重なリングで構成されており、果てしなくも着実に、ゆっくりと互い違いに回り続けている。

この星の海のトンネルを約25.3時間、文字通り何もせずに身を任せ、ひたすら揺られると目的地━━地球に着くのだ。

凛さんに選んでもらった紫苑の花束を傍らにそっと置くと、端末のホログラムが写し出すあまりに若すぎた男性があの頃と変わらない笑顔で笑いかけてくれた気がした。




プロデューサーさん。今、会いに行きますからね…。


森久保乃々はそう呟くと、静かに宇宙船の自動管制装置を切った。


━━━━BGM:『さよならアンドロメダ』

楽曲視聴:https://www.youtube.com/watch?v=3g1-u8qPxkU

約10時間後にhtml化依頼を出します

>>1
訂正:小説風辺り手→語り手

19迄で完結です。
叙述トリックを用いて思うがままに妄想してみました。「あっ、そういう」と思っていただければ幸いです。

さよならアンドロメダが収録される、
THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS MASTER SEASONS AUTUMN!は10/18(水)発売です!

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