【モバマスss】墜ちゆく (20)

初めまして、こちらでは初めて投稿させていただきます。
二作目です。

モバマスの佐久間まゆの二次創作です。
グロではないですが血の表現があります。
また前にこのssはpixivの方で挙げさせて頂いてます。

墜ちゆく
https://touch.pixiv.net/novel/show.php?id=8635805&mode=text#1

拙い文章かも知れませんがお付き合い頂けると幸いです。
あとスマホ入力です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507563293

「プロデューサーさん♪ライブ、どうでした?」

「あぁ、とても良かったよ。まゆも、他のみんなも」

ライブが終わってすぐに、俺の担当アイドルの一人の佐久間まゆがこちらへ駆け足でやってくる。
それに続くようにほかのアイドル達もやってきた。

「ありがと、プロデューサー、次のライブも成功させてみせるよ!」

そんな頼もしい言葉残していき楽屋に戻っていく4人、そして一人残ったまゆの瞳の奥に陰りが浮ぶ、そっと顔をなるべく俺の耳に近ずけるようにして囁いた。

「今日も、“ごほうび”・・・くださいね♪」

「・・・あぁ」

そう頷くことしか出来なかった俺を、以前より少し楽しそうに妖しい笑みで見つめた後、去っていくまゆの後ろ姿を、ただ眺めることしか出来なかった。

最初の頃、まゆには「危なっかしさ」を感じていた。
他のアイドルともあまりうまくいっていない、というよりまゆ自身が仲良くしようとしていないような感じで、握手会でもまゆが見ているものはファンではなく俺だった。
そして何より、俺を見る時に浮かぶ、瞳の陰が気になった。このままでは良くない、まゆのプロデューサーとして俺がしてやれることはなにかを考えていた。
しかし、そう簡単に解決策などが浮かぶはずもなく毎日空いた時間はほとんどその事でいっぱいだった。


俺が具体的な何かを見つける事が出来ずに仕事をしていくうちに、まゆがだんだんと変わっていった。
CDなどを出したりしていくにつれて、ほかのアイドルの子達とも仲良く話す姿をよく目にするようになった。今もレッスンの休憩中に楽しそうに話をしている。レッスンが終わり、俺がいることに気づいたまゆがこちらへと歩いてきた。

「プロデューサーさん♪見ていてくれたんですね」

「あぁ、お疲れさま、レッスン方はどうだ?」

「はい、順調ですよ♪それに、まゆが苦手な振り付けの所を、レッスンの後にメンバーの子が教えてくれたりするんです」

「そうか、メンバーのみんなとも最近上手くいってるみたいで安心したよ」

「・・・そうですね、最初の頃のまゆはプロデューサーさんしか見えてませんでした。だけど最近は周りも見えるようになってきたんです、メンバーの子もみんな優しいですし、みんなもまゆを受け入れてくれました」

少し嬉しそうに話すまゆを見て、まゆの成長を嬉しく思い、そして何も力になれなかった自分を情けなく思った。

しかし、悔やむのは後でいい、今日はいい知らせもあるしそちらが先だ。

「そうだ、まゆ、いい知らせがあるから他のみんなを呼んできてくれないか?」

「・・・?わかりました」

まゆがみんなを呼んできた。
そして俺はとびきりの知らせを教えてやる。

「実は今日はいい知らせがある!なんと・・・お前達の初ライブが決定した!」

みんなが十人十色の反応を見せるが、喜んでいるのが分かり、俺も自分自身の事のように嬉しかった。それに悩んでいたまゆの事が解決した事もあり余計に気分が高揚していた。

だから気付かなかったのかもしれない、まゆの笑顔の中に陰りがあることを。

初ライブの前日、リハーサルも終わり、最後のチェックをスタッフの方々と軽くしたあと楽屋に行くとまゆが1人で残っていた。

「どうしたんだまゆ?他のみんなはもう帰っただろ?」

「いえ、少しプロデューサーさんとお話がしたくて・・・」

まゆが少し不安そうな顔で答える。

「ん?どうしたんだ?なにか相談があるなら聞くぞ」

「・・・ありがとうございます、その、これからまゆの部屋に、来て、貰えますか・・・?」

あまりいい事ではない、だがまゆの不安でいっぱいの表情を見て、まゆのプロデューサーとして放っておくわけにはいかない、俺はゆっくりと頷いた。

まゆの部屋に着くまでは他愛のない話をして
いた。その間はいつもと変わった様子はなく
少し安心していた。

部屋につくとまゆに案内され向かい合うよう
に腰を下ろす。
なぜかテーブルの上にあるカッターが不思議
と目に入った。

「それでまゆ、話ってなんだ?」

最初から話の核心へと突っ込む。

「お話というより、まゆの“お願い”を・・・聞い
てくれますか?」

「ん?あぁ、俺に出来ることであればなんで
も聞くぞ?」

まゆの瞳が陰る。本能的に頭の中で警報が鳴
る。だがこの先を聞かずにはいられない、な
によりその瞳から目を離すことが出来ない。

「プロデューサーさんの、血を、飲ませても
らえませんか・・・?」

・・・・・・思考が追いつかない、一瞬何を言われ
たのか理解できない。
黙っている俺にまゆが言葉を紡ぐ。

「まゆは不安なんです・・・最近は周りも見える
ようになって、グループのみんなもいい子達
だってわかります。ただ、だからこそ不安な
んです。まゆの“一番”はプロデューサーさん
です、そこだけは変わりません、そして、み
んないい子達だから、プロデューサーさん
が・・・プロデューサーさんがまゆより他の子の
事を大事だと考えると思うと、不安で不安で
仕方ないんです・・・」

そんなことはありえない、みんな俺の担当ア
イドルだ。誰かに差をつけるなんてありえな
い。
だが“そういう”次元の話ではない事は俺にも
理解できた。
一度息を吸ったまゆがまた言葉を紡ぐ。

「だから・・・まゆに確かなカタチをくださ
い・・・まゆを・・・安心させてください」

これは、良くない、そんなことは分かってい
た。
ただ、あの時、最初の頃のまゆに、プロデュ
ーサーとして何もしてあげられなかった俺
が、今ならまゆのために、まゆのプロデュー
サーとして支えることが出来る。
そんな歪な思考が頭の中で埋め尽くされる。半分は無意識だった。
だが、もう半分は自分の歪なエゴによる返事
を俺は返してしまった。

「あぁ・・・いいよ、まゆ。まゆがそれで安心で
きるなら、俺は、まゆのプロデューサーだか
ら」

まゆが今までと表情と一転して、花のように
微笑む。瞳には影を残したまま。

「ありがとうございます、プロデューサーさ
ん・・・♪」

そして、丁度テーブル上にあったカッターで腕を切ろうとした俺をまゆが止める。

「待ってください、まゆが傷が残らない、あまり痛くない切り方を知ってるのでまゆがやりますね・・・痛かったら言ってくださいね?」

まゆに腕を預ける。まゆが優しくカッターで腕に傷をつけた、さっき言われたようにあまり痛くない。腕から血が溢れてくる。それをみて恍惚とした表情を浮かべているまゆが問うてくる。

「・・・いいですかぁ♪プロデューサーさん」

「あぁ・・・いいよまゆ」

その言葉を合図にまゆは腕から血を吸い始める。恍惚した表情とは裏腹に瞳には影があり、その歪さを美しいと思ってしまった事と、している行為に激しい背徳感を覚え、頭の中は混乱していて、ろくな思考も出来ていない。

しばらくするとまゆが口を離していきなりまゆ自身の腕をカッターで切りつける。とっさになにをしているんだと言おうとした俺にまゆが微笑みながら話す。

「大丈夫ですよ、プロデューサーさん、さっきも言ったようにちゃんと傷にならない切り方を知っていますから。明日はライブですし、傷が残ったら大変ですからね」

その言葉を聞き、安心すると同時にモヤがかかったような頭で生じた疑問を口にする。

「どうしてまゆも腕を切ったんだ?」

まゆが妖しく笑う。腕を俺の顔へと近づけて囁く。

「プロデューサーさんも、まゆの血を舐めたくないですかぁ?」

無意識に俺は頷いていた。何故だがは分からない。まゆが望んでると思ったからだろうか?なら、プロデューサーとしてまゆの期待に答えなくてはいけない・・・。自分の体が自分のモノでないような感覚に陥る。
そして、まゆの血を舐めた瞬間に、頭が真っ白になる。そこには、お互いに血をただ舐めあっている二人がいた。



その後の事はよく覚えていない。
一つ確かなことは、次の日のライブ当日、完璧なパフォーマンスを見せるグループのみんなと、中でも特に輝いているまゆの姿があった。

それからまゆはライブの前日、最近はライブのあとの“ごほうび”としてこの行為をねだってくる。

今日もいつものように、まゆの部屋に二人で向かっている。まゆと話しながら歩いていると、ふと最近疑問に思うことが1つ。今日ねだった後もそうだが、最近行為の途中でまゆが妖しく笑う時がある。行為の途中の時は決まって俺の顔を見ながらだ。
思い当たる理由もないのでまゆに聞いてみる。

「そういえば最近“アレ”をしてる最中に俺を見て笑ってる時があるけどどうしたんだ?」

「・・・もしかして気づいてないんですか?」

まゆにそんなふうに返され、余計に謎は深まる。

「え?何にだ?」

まゆは一瞬考える仕草をして答える。

「うーん、それじゃあプロデューサーさん♪後で教えてあげますね♪」

俺はなんだかよくわからないまま、まゆの部屋へと向かった。

いつものようにお互いに腕から血を舐めあう。しばらくすると、ふとあの妖しい笑みをまゆが浮かべて口を離す。

「プロデューサーさん、気づいてますか?最近行為をしてる時、“笑って”ますよ・・・♪」

・・・・・・?そんな訳はない、俺はこの行為をまゆのプロデューサーとして、まゆのためにしているのだから、笑うわけがない。それに笑っている自覚もないからだ。

「ホントか?自分じゃ笑ってる自覚がないし、まゆの勘違いじゃないか?」

まゆは微笑みながら少し間を開けて答える。

「・・・そうですね、まゆの勘違いかも知れません、変なこといってごめんなさいプロデューサーさん」

「いや、別に怒ってたり気にしているわけじゃないからいいんだよ」

そして2人はまたお互いの傷口から血を舐め合う。この行為ももう何回目だろうか。そんな ことを考える、“コレ”が良いことではないのは最初から分かっている。まゆの依存癖を助長しているのではないかなどと考えもする。だが、まゆを安心させられるのは俺だけだから、まゆのプロデューサーとして、まゆの助けにならないといけないから。だが、ここで少しこの思考に引っ掛かりを覚える、なにかおかしい、自分は何か矛盾を──しかし、ここでいつものように頭の中が真っ白になっていく、うまく考えが纏まらない、ただ、自分はまゆのプロデューサーだ、まゆを安心させるために必要なら、それをするのは当然なはずだ。まゆは俺がいないとダメだから──そんなことを考えていると、ふと、まゆがまた妖しく笑った気がした。




─fin─

以上です。お付き合い頂きありがございました。
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