【ガルパン】みほ「いどばた作戦です!」 (42)

井戸端会議:かつて長屋の女たちが共同井戸に集まり、水くみや洗濯などをしながら世間話や噂話に興じたさまをからかって言った言葉。

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【動物です!】


麻子「ケーキうまい」モムモム

華「ラーメンが実に美味です」チュルチュル

優花里「西住殿~ドリンクバーとってきましたぁ」

みほ「ありがとー」

沙織「……うーん」

優花里「どうしたんです武部殿。考え事ですか?」

沙織「うん、ちょっとね。みんなを動物に例えたら何かなって考えてたの」

みほ「動物ですか」

麻子「なんでまた」

沙織「暇だったからよ」

沙織「麻子とゆかりんはもう決まってるんだけど、みぽりんと華がね」

麻子「わたしたちはなんだ」

沙織「麻子は猫だよ。ゆかりんは犬」

麻子「にゃー」

優花里「わんわん」

みほ「優花里さんは犬の中でも柴犬っぽいですね」

優花里「うーん、喜んでいいのかわかりません」

みほ「大丈夫。褒めたつもりだから」

沙織「みぽりんと一緒にいるときめっちゃ尻尾振ってるの見えるもんね」

優花里「否定はしませんが…」

華「その髪を思いきりモフモフしたくなるときがあります。花も生けられそうですし」

優花里「やらないでくださいね?確かにヘアブラシがよく絡まりますが」

みほ「優花里さんがパンチパーマじゃなくてよかったよ」

優花里「正直あれは黒歴史化してる感じなので」

沙織「うーん、みぽりんと華は何に似てるだろ…」

優花里「武部殿はアレですねぇ」ジー

沙織「なになに?」

優花里「ホルスタイン」

沙織「おっぱいだけ見て決めたでしょ」

みほ「あー納得です」

沙織「納得しないで」

華「サイズだけならより上手の方がおります。ノンナさんとか。でも沙織さんの醸し出す雰囲気といいますか母性はメス牛にそっくりですしね」

沙織「詳しく説明しないで!というか言い方!」

麻子「沙織の母乳を売れば戦車一台くらいは買えるかもしれない」

沙織「おっかない想像しないで!」

みほ「いつぞやのカバさんチームみたいにのぼりを立ててみましょうか。『武部沙織の乳で買った戦車』とか」

沙織「いやああああああ!」

優花里「五十鈴殿はなんでしょう…名前通り花でしょうか」

華「動物ではないですね」

麻子「そうだが、五十鈴さんは花が一番しっくりくるのも事実だぞ」

沙織「うん、じゃなかったらちょうちょとかも似合うかな。昆虫だけど」

みほ「植物と節足動物の二者択一になっちゃいましたね」

華「できれば動物を…」

沙織「花を食べる動物っているの?」

麻子「キリンとかは食べるって聞いたことがある」

みほ「背も高いしキリンでいいですか?」

華「えぇと……」

優花里「蜜食動物って分類らしいですね。他にはコウモリやトカゲなどがいるみたいです」スマホカチカチ

華「……ちょうちょで」

沙織「昆虫だ」

華「困りました。嬉しくないです」

沙織「あとはみぽりんだけだけど…うーん…」

優花里(あ…ホルスタインでいいんですね)

華「初めてお会いしたときは小動物のような儚い雰囲気だなと感じましたが」

麻子「戦車道試合のときの活躍ぷりを知っているとどうにも小動物を感じないな」

優花里「普段はかわいらしいんですけどねぇ」

みほ「なんか恥ずかしい…」

沙織「普段はかわいい姿をしてるけど、戦うときには牙を剥く動物ってなにか知ってる?」

優花里「えーと…」

麻子「スカンクとかどうだ」

みほ「ちょっと」

華「スカンクのおならは直で嗅ぐと気絶するほどの激臭だそうですよ」

みほ「華さん」

沙織「じゃあみぽりんはスカンクね」

みほ「えー…」

優花里「西住殿のおならなら酸素の代わりに吸えますよ!」

みほ「なに言いだすの優花里さん!」

麻子「犬って自分のうんこ嗅いだりするよな」

華「お忘れかもしれませんが、ここはファミレスですよ」

優花里「わんわん!」

みほ「やだもー…」

沙織「それわたしのセリフ!わたし自身は一度も言ってないらしいけどわたしのセリフ!」


【動物です!終わり】

【無人島です!】


優花里「もしも、ですけど」

みほ「どうしたの?」

優花里「無人島に行くとするじゃないですか」

麻子「行かん」

華「行きませんよ」

みほ「行きたくないです」

沙織「最後まで聞いてあげなよ…」

優花里「沙織殿は優しいですぅ」

麻子「あれだろ、無人島に一つだけ持っていけるとしたら何を持っていくかって話」

優花里「それです」

みほ「その話題、結局『ナイフ』か『ライター』のどっちかだよねってなって終わるし」

麻子「携帯電話という裏技もあるな」

華「おとなしくサバイバルする義理はありませんしね」

優花里「サバイバルいいじゃないですかぁ!野生に帰って猪とか狩るんですよ!」

みほ「狩っても捌けなきゃ腐乱死体が出来上がるだけだよ…」

華「猪肉はどのような味わいなのでしょうね」

麻子「おばあに食べさせてもらったことがあるが、世間で言われるほど臭みは無かったな。野性味というのか、それが強くてなかなかうまかった」

華「ああ…!素晴らしいです!ぜひとも一度お肉を賞味したい…!」

優花里「五十鈴殿、今まさにハンバーグ食べてるじゃないですか」

沙織「こう言ったらなんだけど、華の家ってお金持ちだし食べようと思えば食べられるんじゃないの?」

華「…以前新三郎に『まぐろが食べたい気分です』とこぼしたことがありまして」

沙織「うん」

華「そしたら漁港で丸ごと一匹買ってきやがりまして」

沙織「え」

沙織「スケールが違います…」

華「なんとか食べきりましたが…それからしばらくは見るのも嫌でしたね。まぐろ」

麻子「あー…『お嬢!猪狩ってきやした!』とか言われたら嫌だな」

みほ「というか食べきったんだ…」

華「丸一日かかってしまいました」

優花里「たった一日で食べたんですか…」

華「それに、独り暮らしを始めてからはリーズナブルに過ごすことを心掛けておりますので」

麻子「そのハンバーグは三皿目のように見えるんだが」

華「はい。それがなにか?」

麻子「…いや、なんでもない」

華「自分で買うなら安いもの、奢りのときは高いものです」

優花里「なんか腹黒いこと言ってます」

沙織「華の恋人になる人は大変だろうなー」

みほ「うかつに奢れないよ」

華「恋人の条件は…毎日お腹いっぱい食べさせてくれる人ですかね」

麻子「五十鈴さんが言うとかぐや姫の難題より難しく感じる」

優花里「ところで、無人島に持っていく物の話ですが」

麻子「まだやるのかそれ」

優花里「わたしは当然、戦車を持っていきます!」

沙織「言うと思ったよ」

優花里「猪だろうとクマだろうと砲撃一発で内臓ごとグッチャグチャのミンチ肉ですよ! ヒャッホォォォウ!最高だぜぇぇぇ!」

華「わたくしハンバーグ食べてるのですが」

沙織「砲弾と燃料も戦車の一部でいいの?」

みほ「ダメじゃないかな」

麻子「じゃあただの鉄の箱だな」

みほ「雨風はしのげるね」

沙織「その代わり足をのばして眠れないし」

麻子「長時間使っていたら錆の臭いがこびりつきそうだ」

優花里「ボロクソですぅ」

優花里「燃料も砲弾も戦車の一部ですよぉ!」

みほ「でも使ってたら無くなるよね」

優花里「ご心配なく!向こう百年はもつ量を持ち込みますので!」

沙織「戦車だけズルくない?」

みほ「うっかり引火したら未曽有の大爆発だね」

麻子「派手な狼煙だな」

沙織「救助の船が来る頃にはこんがり焼肉になってそうだけど」

華「だからハンバーグ食べてるんだっての」


【無人島です!終わり】

【彼氏です!】


沙織「彼氏欲しいよおおおおぉぉぉ……」

麻子「また始まった」

華「また始まりましたね」

優花里「また始まりました」

みほ「このケーキおいしい」

優花里「新作だそうですよ。期間限定ですが」

華「おいしいのですから常にメニューに置いてほしいものですね」

麻子「期間限定だから三割増しでおいしく感じるってのもあるかもしれない。メニューに置いたら置いたであんまり注文されなくて結局クビにするってパターンもあるらしいな」

みほ「あー…なんとなく気持ちはわかるかも。これおいしいけど、コンスタントに食べられるかっていうと微妙なところかな」

沙織「真面目に聞いてよぉ」

みほ「真面目に聞いてって言われても…学園艦じゃ恋人つくるの難しいよね」

沙織「えっ」

みほ「いやだって、女子校の学園艦は同年代の男のひといないよね…?」

沙織「あっ」

華「気づかなかったのですか」

沙織「盲点だったよ…」

麻子「阿保だな」

優花里「一応わたしの母校である小学校中学校は共学でしたが」

沙織「わたしショタコンじゃないよ!」

優花里「年上もよりどりみどりですよ」

沙織「美人巨乳ハリウッド級現役女子高生と付き合おうとする大人は十中八九ろくでもないからやだ!」

華「わがままですね」

麻子「あとド厚かましいな」

沙織「なによぉ」

みほ「…前々から疑問だったんだけど、学園艦に住んでる人ってどういう素性の人なんだろう」

麻子「女子校の学園艦に住もうとする人か。あんまり心中を想像したくないな」

優花里「今わたしの親がディスられたような気がします」

華「一応教育施設ですよね学園艦は」

沙織「暮らすのに不自由しない程度にはお店もあるし」

みほ「だから人が集まる…ということでしょうか」

麻子「女子校の学園艦に」

優花里「やめてくださいよ」

みほ「なんだかよくわからない…」

華「そのうちわかるんじゃないですか?早ければ12月9日あたりに」

沙織「いやに具体的だね…」

優花里「今度親に聞いてみます。なんで学園艦に住むことになったのか」

沙織「じゃあさじゃあさ、ついでに二人の馴れ初めも聞いてみてよ!」

優花里「うちのですか?」

沙織「うん!」

華「沙織さんはそもそも恋が好きなんですよ。だから人の恋路に目が無いんです」

麻子「恋に恋してるってやつか」

沙織「うっさい」

みほ「まあ、わたしも興味あるかな」

優花里「え、そうなんですか西住殿」

麻子「サンダース戦前の打ち合わせのときご両親に会ったが、母上はすごい美人だったな」

優花里「な、なんだかむずがゆいであります…」

麻子「だが父上は引退したヤの人みたいだった」

優花里「ちょっと」

みほ「いや…正直、今時パンチパーマっていうのは…」

優花里「わたしの親をディスるのが流行ってるのですか」

優花里「そういえば、西住殿のお父上はどのようなお方なのでしょうか」

沙織「そういえば全然知らない」

みほ「んー、普通のお父さんって感じかな」

麻子「そうなのか、なんか意外だ」

沙織「許嫁だったとか?」

みほ「ううん。多分恋愛結婚だと思う」

優花里「そうだったんですか…あの鉄仮面な家元殿が恋愛結婚…」

華「だとしたらすごくラブラブですね」

みほ「え?」

華「みほさんとお姉様は年子ですし」

沙織「あー」

みほ「…ちょっと待って」

麻子「西住さんの誕生日からザックリ逆算するとクリスマスに種をまいた可能性があるな」

みほ「やめてやめて!想像したくない!」

優花里「主砲の一撃で白旗が上がったわけですね」

みほ「ああああああ!」

沙織「あはは、そういえば華は…あっ」

麻子「ん?どうした沙織」

沙織「……そろそろ親の話やめない?」

優花里「え?……あっ」

みほ「う……」

華「……そうですね」

麻子「?……! いや、いいから。わたしにはおばあがいるし、もう昔のことだし気にしてない」

麻子「……それに、みんなと、ついでにそど子もいてくれる」

沙織「麻子……」ナデナデ

麻子「なぜ撫でる」

みほ「……」ナデナデ

麻子「や”め”ろ”」

優花里「……」ナデナデ

華「……」ナデナデ

麻子「おおおおおい」


【彼氏です!終わり】

【歯医者です!】


みほ「……」ガクガクガクガク

沙織「大丈夫だよみぽりん。ほら、力抜いて…?」

華「痛いのは最初だけですよ。そのうち楽になりますから…ね?」


麻子「会話だけ聞いてるとすごいいかがわしいそれに聞こえるんだが」

優花里「西住殿にも怖いものがあったんですねえ」

みほ「……怖いもなにも、歯医者さんが好きなひとってこの世にいるの?」

優花里「まあ好きではないですけど、それは電信柱やビート版が好きか?ってのと同じで単にどうでもいいというか」

麻子「天井の染みを数えてれば勝手に終わるんだから楽なものだ」

みほ「麻子さんこそその発言は危ないよ…」

華「歯医者が好きな方もまあいらっしゃるんじゃないですか?沙織さんみたいな方とか」

沙織「どういう意味よ」

華「婚活パーティとかでモテそうですし。お給料もいいでしょうから」

沙織「誰が婚活おばさんだ」

みほ「それに私…今まで歯医者さんにかかったことがなくて」

優花里「そうなんですか」

沙織「未体験なら、そりゃあ怖いよね」

麻子「だからってあんこうチーム全員を連れ立って来るほどか」

華「待合室を占拠しちゃってますね」

みほ「だって怖いんだもん…心細いんだもん…」

麻子「だもんとか言い出した」

優花里「かわいらしいです」

沙織「彼氏ほしいんだもん」

麻子「……」

華「……」

優花里「……」

みほ「……」

沙織「ノーコメントはやめて」

麻子「口から言っても安心できるもんじゃないとは思うが、ちゃんと麻酔は打ってくれるし、そんなに痛くないし大丈夫だぞ」

みほ「信じられないよ…お姉ちゃんすごく泣いてたし」

沙織「まほさん?」

みほ「小さいころだけどね。お姉ちゃんが虫歯になって、私も付き添いで行ったんだ」

みほ「治療終わったらギャン泣きで出てきて…『いたかった』『はいしゃはあくまだ』『みほ、ぜったいにはいしゃにはいくなよ』ってすごい鬼気迫る泣き顔で言われて」

華「今の姿からは想像つきませんね」

優花里「姉上殿が歯医者の待合室で震えてるの想像してしまいます。あの無表情のままで」

沙織「…ンフッ」

みほ「笑い事じゃないよ…」

優花里「いや、やっぱり無表情って言い方はしっくりこないですね。表情は動かないけれど愛嬌があります」

麻子「まほっとしてるというか」

華「みほさんはみほっとしてますね。今は少々まほっとしてますが」

みほ「流行らないし流行らせないよその表現」

みほ「それに麻酔も嫌だし…」

沙織「なんでよ」

みほ「その…おしっこ出てくる穴に管突っ込まれたりするんでしょ?」

麻子「それは全身麻酔だ」

優花里「お嬢様だからか変に世間知らずですね」

華「まったくです」

沙織「華もお嬢様枠だからね」

麻子「普通に歯茎に注射で麻酔打つんだよ。口の中だけ感覚無くなるから平気」

みほ「…………」

沙織「どしたの?みぽりん」

みほ「…………注射もやだ」

優花里「えー…」

みほ「せめて注射無しで歯だけ治療してもらうってできないかな?」

華「そんなことしたら死んでしまいますよ。昨日だって冷たいお茶飲んで『痛いィイイイイ!』ってのたうち回ったじゃないですか」

沙織「人体でドリルぶち込んで平気な場所なんて本来は無いんだよ?だから麻酔を打つの」

みほ「やだぁ…そんなことを世の中の人はしてるの?もしかしてみんなマゾヒストなの?ドMなの?」

優花里「わけわからない理屈が飛び出しました」

麻子「末期だ」

沙織「まあ『ドリルで歯を削ればいいじゃん』って最初に考えた人、誰かは知らないけどサイコ入ってるよね」

みほ「そうです。みんな狂ってるんです」

沙織「そこまでは言ってないよみぽりん」

みほ「気の紛れる話して…もっと歯医者さんのこと忘れられるような…」

優花里「じゃあマゾヒストの話でもします?」

麻子「確かに話題には上ったがそれかよ」

華「いじめられて喜ぶなんて、わたくしには理解しがたい世界です」

優花里「でも、SかMかーってのは結構世の中に浸透してますね。わからないものです」

沙織「華は絶対Sだよね」

華「そうでしょうか」

みほ「確かに。鞭とか似合いそう。肌にピッタリくっついたレザーの服とかも」

優花里「笑顔のまま鞭をふるいそうですぅ」

麻子「チャイナドレスとかも似合う。這いつくばった奴隷を踏んづけたり」

華「皆さんのわたくしへのイメージがわかりました。わたくしも皆さんのイメージを少々改めました」

麻子「ああ、そういえばマゾヒストに関する話をネットで読んだな」

みほ「どんなのですか?」

麻子「Mはいじめられることが快楽だと多くの人は思っているが、厳密には愛する人が自分をいじめることで喜んでいるという事実に快楽を覚えるそうだ」

沙織「まずは愛ってこと?」

華「ドMの方でも、好きでない人にいきなりぶん殴られたら警察を呼ぶよね。という話でしょうか」

麻子「まあそうだな。何事もそうだとは思うが、愛ありきの性癖だそうだ」

優花里「……西住殿!」

みほ「はい」

優花里「わたしをいじめてください!」

みほ「はい?」

麻子「なんとなく想像つくが理由言ってみろ」

優花里「西住殿を愛しているので、いじめられたら気持ちいいはずです!」フンス

沙織「なにいってんの」

麻子「オナニー手伝ってくださいって言ってるのとあんまり変わらないぞそれ」

華「……変態」

優花里「おおう」ビクッ

みほ「華さん、やっぱりSだと思う」

優花里「まあ、それはさておき試しにちょっとでいいので痛めつけてみてください!さあ!」

みほ「ええー…じゃあ、腕出して?」

優花里「はい!」スッ

沙織「しっぺでもするの」

みほ「えーと、ここをこうして…」クイックイッ

優花里「ああ、西住殿が手を握ってくれてますぅ」

麻子「なんか嫌な予感がするが」

みほ「そんで、よいしょ」グリィ

優花里「痛あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」

華麻子沙織「!?」ビクッ

みほ「こんなもんでどうかな優花里さん」グイグイ

優花里「ギブ!ギブです西住殿!勘弁してください!タップタップ!」バンバン

みほ「ん」ヒョイッ

優花里「げふっ」ドサッ

華「……あの、今のは」

みほ「西住流拘束術」

沙織「こわっ」

麻子「西住さんもたいがいSだと思うぞ…」

みほ「そうかな」

沙織「ノーマルの人はあんなパーツが三個ほどイカレそうな技使わないよ…」

華「すごい悲鳴でしたね。受付の方がすごい訝し気にこちらを見つめているのですが」

みほ「そうかな」

麻子「そうです」

受付「西住さーん」

みほ「え?はーい」

華「お説教でしょうか…」ヒソヒソ

沙織「あれだけ騒ぎを起こしたからね…」ヒソヒソ

優花里「」チーン

麻子「秋山さん、生きてるか秋山さん」

みほ「あの、騒いじゃってごめんなさい…」

受付「え?いや、治療の準備が整いましたので、中へお入りください」

みほ「え」

沙織「……そういえば歯医者に来てるんだった」

麻子「まあ、なんだ。頑張れ」

華「応援してます」

優花里「」チーン

みほ「………行ってきます…」トボトボ

ガチャ バタン

……………………

優花里「うぅん…ここは?」

沙織「あ、起きた」

華「みほさんに関節キメられて寝てたんですよ」

麻子「西住さんは今虫歯の治療中だ」

優花里「そうでした…大丈夫ですかね西住殿…」

麻子「平気だろ。戦場に行ったわけじゃなく歯の治療に行っただけなんだから」

沙織「みぽりん的には戦場だろうけど」

華「痛かったら手をあげてくださーいってされて、正直に手をあげて無視されるのは戦場における騙し討ちを感じますね」

麻子「それ痛いからやめてあげるって意味じゃなくて神経まで削ってしまってないかを患者の反応で確認してるだけらしいぞ」

沙織「へぇ、色々知ってるね麻子は」

麻子「それほどでもない」

優花里「……あの、これ」スマホミセ

沙織「なんか豆知識でも見つけた?」

優花里「いえ、なんとなくこの歯医者をネットで検索してみたんですが…」

華「はい」

優花里「その、グーグルでの場所評価が10件くらい投稿されてて、全部星1つ評価でした…レビューもボロクソ…」

沙織「え」


治療室「みぎゃあああああああ!!!」


一同「…………」

華「南無阿弥陀仏…」


【歯医者です!終わり】

【西住流です!】

『みほのマンションにて』

沙織「んぎぎぎぎぎぎ!」ンググググ

麻子「すごい顔になってるぞ」

みほ「大丈夫?沙織さん」

沙織「ビ、ビンの蓋が堅くて…」ハァハァ

みほ「ほんとだ、かなり堅くなってる」パキックルクルクル

みほ「はい、開いたよ」

沙織「うわー…あんなに苦労したのに一撃で突破された…」

華「結構力持ちですよねみほさん」

みほ「うん。水没した戦車のハッチくらいなら開けられるよ」

麻子(あの事件を聞いたとき、んなアホなとは思っていたが…)

優花里(黒森峰戦で河にハマったときの連続ジャンプはアスリート並みでしたしね…)

優花里「やっぱり戦車道の訓練の賜物なんですかね?」

みほ「そうかも。特にわたしのベースになってる西住流は力を鍛える訓練が多かったから」

沙織(ドクトリンも強い戦車で正面突破という脳筋だしね…)

みほ「ドクトリンも強い戦車で正面突破という脳筋ですしね」

麻子「あ、やっぱり自分でもそう思ってたのか」

華「力強いともいえますね」

みほ「でも遊びが無くて融通が利かないよ」

沙織「発言に遠慮がなくなってきたね」

みほ「勝てば官軍です。だから聖グロに勝たないと…」

優花里「負け越しですもんね。いただいたティーセットは使ってるんですか?」

みほ「ううん。なんか良い物みたいだから使うのがもったいなくて…」

麻子「もらったお土産ダメにするおばちゃんか」

優花里「あのぅ…よろしければその…西住流の訓練について興味がありまして、教えてはいただけないでしょうか…ヤッパリダメデスカネ」

みほ「え?いいよ?」

優花里「本当ですか!?」

麻子「いいのか?あんまり思い出したくないこともあるんじゃないのか」

みほ「大丈夫。過去をちゃんと見つめることも大切なことのはずだから」

沙織「偉いねみぽりん」

みほ「えへへ…」


みほ「それじゃあ3分でわかる西住流の訓練!」

優花里「おお!」

みほ「座学!」

優花里「え」

沙織「座学?」

みほ「そう、座学。わたしが小学校に上がってから、同時並行で戦車の訓練も始まったんだけど、最初にやらされたのは座学だったな」

華「そうなんですか。失礼を申すようで恐縮なのですが、しほさんは『習うより慣れろよ。適当に100キロくらい走ってきなさいサノバビッチ』と戦車に押し込んでしまいそうなイメージが」

麻子(SonじゃなくてDaughterだしビッチってそれ自分に言ってないか)

みほ「まあそうかもだけど、カーボンがあるとはいえやっぱり危ない競技だから最初は知識を詰め込むスタイルなの」

優花里「なるほど」

みほ「最初はとにかく『カーボンは安心安全。疑ってはなりません』ってひたすら書き取りさせられたなあ」

優花里「一気にきな臭くなりました」

みほ「後は布陣や戦術を全パターン暗記させられたり」

沙織「うわー大変そう。どのくらいあったの?それ」

みほ「三万パターンくらいかな」

沙織「」 優花里「」 華「」 麻子「」

みほ「あと全戦車のスペックを丸暗記して…それと燃料とか砲弾とかのスペックも。ついでにって運動力学も叩き込まれたっけ」

華「……みほさん!」ギュッ!

みほ「ふえ!」

華「ごめんなさい。なんだか抱きしめたくなって」

沙織「あ、わたしも…」ギュゥ

優花里「西住殿ぉ~」ギュウウ

麻子「……」ギュウウウ

みほ「うああ、暑いです…」

優花里「取り乱してしまいました」

みほ「いえ…なんか、ありがとう」

華「それで…勉強だけではなく、戦車の訓練もその後なさったんですよね?」

みほ「はい、小学校の高学年になってからは学校以外の時間、毎日六時間ほど戦車の訓練をしてたかなあ。あとは基礎体力作りに、砲弾を十個ほど背負って山登りしたり」

麻子「亀仙流かよ」

沙織「厳しいんだね…」

みほ「実際厳しかったなあ。門下生のひとも大半は長続きせず辞めていっちゃって…」

優花里「はえぇ…」

みほ「中学生の頃ナイフだけ持たされて山に放り出されたりしたっけ。猪食べたかったなあ」

優花里「えっ」

みほ「なんとか狩れたんだけど、捌き方がわからなくて…」

沙織「いやいやいや、なんとか狩れたもなにも、ナイフ一本で女の子が猪を狩るって…」

みほ「2メートルくらいはあったのに、もったいなかったなあ…」

麻子「でけえな」

沙織「それで、その後どうしたの?」

みほ「うん、すっかり腐乱死体になっちゃった猪を埋めてあげて、そのあと一週間くらい何事もなく山籠もりして降りたよ」

華「何事もなく山籠もりってすごい言葉ですね」

みほ「帰ったらお母さんが『よ、よくぞ西住流の試練に耐えましたねみほ…』って、ちょいと引き気味に」

優花里「引き気味」

みほ「わたしが本当に危ないときのために、凄腕のスナイパーとか傭兵部隊のゲリラ兵とかを大量に雇って潜伏させてたんだって」

麻子「親バカなのかバカ親なのかわからんな」

優花里「その人たちから西住殿が猪を自力で仕留めたって報告されたのでしょうか」

華「そもそも、そんな大猪が現れたなんて特A級の緊急事態では」

沙織「え、じゃあみぽりんはスナイパーの人らが引き金を引くより早く猪を仕留めたってことにならない?」

みほ「なんとなく頸動脈の位置がわかったので」

沙織「こわいこわいこわい」

麻子「そんな珍妙な才能もっていたのに、猪は捌けなかったのか…」

みほ「対象が死んでしまったから勘が働かなかったのかも」

沙織「そんなの女の子が持っていいスキルじゃないよ。戦闘マシーンの狂戦士がようやく身に着けられるパッシブだよ」

みほ「それに、なんかいきもの捌くのって抵抗があって」

優花里「魚捌けない系女子ですか西住殿は」

華「みほさんがわからなくなりそうです…」

みほ「他にもハイキング中に出てきた熊と喧嘩した話とか、壊れた戦車を引きずって持ち帰った話とか、家に現れたテロリストどもを片っ端から」

優花里「あ、大丈夫ですありがとうございます」

みほ「うん」

沙織「あー、それよりさ、料理の続きしようよみぽりん」

みほ「そうですね。ビンの蓋も開いたことですし」

沙織「よーし、じゃあ華はお皿用意してー。麻子は野菜洗って。ゆかりんは悪いけどお醤油の量がギリギリだから急いで買いにいってもらえるかな」

華優花里麻子「了解(です)」

沙織「それじゃあ、みぽりんはこのお魚捌いてくれる?」

みほ「え、はい…」ソーッ

沙織「…みぽりん?」

みほ「…うわっ、ヌルってしたよ!」

沙織「魚捌けない系女子かみぽりんは」


【西住流です!終わり】


みほ「こうして駄弁るのも楽しいよね」

優花里「次はカメさんチームとか、ウサギさんチームとも一緒に話してみたいです」


みほ「いどばた作戦です!」
終わり

読んでいただきありがとうございます。こういう日常が舞台裏であったらいいなと思い書きました
続き、書き溜まったらまた立てたいですね
アンツィオメインとかも書きたい

誤字ってた
>>10沙織「スケールが違います…」→優花里「スケールが違います…」

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