希「園田海未 偽大和撫子裁判」 (55)
フミコ「只今より、園田海未 偽大和撫子裁判を開廷します。検事、及び原告団入廷して下さい」
検事 東條希
ガチャ
希「…」
原告団
高坂穂乃果 星空凛 矢澤にこ
穂乃果「…」
凛「…」
にこ「…」
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フミコ「次に被告、園田海未入廷しなさい」
ガチャ
海未「…」
凛「来たにゃ」
穂乃果「流石は海未ちゃん、堂々としてるね」
海未「騒ぐ必要などありませんから」
にこ「そうやって余裕で居られるのも今の内よ」
フミコ「検事、訴状をお読み下さい」
希「はい。え~被告、園田海未は日舞の家元園田流に生まれその容姿、品格から大和撫子と呼ばれていますが数々の天然行動及び無茶な体育会系発言をしており疑わしいのが実態です。よって、ここに園田海未 偽大和撫子裁判を申請致します」
海未「一つよろしいですか?」
希「はい?」
海未「私は大和撫子などと自ら名乗った事は一度もありません。ですので、偽大和撫子と言われましても。それに先ほどの訴状の内容も言われのない事実です」
希「ですから、それをここではっきりさせます」
フミコ「静粛に!分かりました。検事、証拠を提出して下さい」
希「はい。今回も各方面から証拠及び証言を集めています」
海未「証言…そうですか」
希「彼女も加入しているμ’sでは度々合宿が実施されています」
海未「…」
希「その合宿で彼女は事件を起こしています」
海未「事件とはまた随分と大袈裟な事をいいますね」
希「これには証人がいます」
フミコ「証人、証人台へ」
凛「はい」
穂乃果「凛ちゃんファイト」
にこ「頑張るのよ」
凛「…」
希「どうしました?緊張していますか?」
凛「あの日の事を思い出すと…」
希「大丈夫ですか?喋れますか」
凛「はい…頑張ります。あの日は合宿先で凛と希ちゃんで海未ちゃんの作詞を手伝っていたんです」
希「被告の作詞の手伝いですか?」
凛「はい。海未ちゃんがスランプに陥ったんでお手伝いをしようって。あっ、で合宿先は山だったんですけど」
にこ「あの子説明するのが下手ね」
穂乃果「まあ、その為に希ちゃんがいるんだろうけどね」
凛「えっと…確かに作詞のお手伝いのはずだったんです。なのに気がついたら険しい山を登っていたんです。もう殆ど崖でした」
穂乃果「うわ~大変そう。穂乃果達なんて殆どお昼寝してたのに」
にこ「それはそれで問題よ」
希「作詞をしていたはずなのに気が付いたら登山を?それはおかしいですね」
凛「あれは絶対に登山が楽しくって作詞を忘れてました」
希「なるほど。被告、これはどう言う事でしょうか?」
海未「忘れてなどいません」
希「忘れていなかった?」
凛「絶対忘れてたにゃ」
海未「山を制覇し成し遂げたと言う達成感が作詞に繋がるとあの時も言ったでしょう」
凛「嘘だよ。しかも海未ちゃんその場に野宿しようとか言うんだよ。どう考えてもおかしいよ」
海未「おかしくありません。暗くなってきたら一旦中断するのは登山の常識。無理に登って怪我でもしたらどうするのですか?」
凛「だったら最初から登らなきゃ良かったんだよ。そもそも凛は軽装だったんだよ?」
にこ「凛がまともな事言ってる」
穂乃果「よっぽど嫌だったんたろうね」
海未「それに関しては私も少々配慮に欠けました。そこは素直に謝罪しますが…そもそもあなた達は山で合宿すると言っているに軽装で来る方にも問題があると思います」
凛「とにかく凛が言いたいのは海未ちゃんは時々変なスイッチが入って急に無茶な事をするのをやめて欲しいって事にゃ。凛達は軍隊じゃないんだよ?アイドルなんだよ?」
希「え~その件についてはまだまだ証拠があります」
希「こちらの資料をご覧ください」
海未「なんです?」
穂乃果「あっ…あれは…」
にこ「伝説の…」
希「これは被告が考えたμ’sの夏合宿の練習メニューです」
海未「何か問題でも?」
凛「問題しかないにゃ…」
穂乃果「なんで気がつかないのかな…?」
希「ランニング10キロ、遠泳10キロ、腕立て、腹筋20セット。とても常識的とは思えません」
海未「そうですか?確かにキツイとは思いますが合宿なのですよ?いつも通りやっていては意味がないでしょう?」
にこ「あれはどう考えても異常だったわよね?」
穂乃果「そうだねぇ。それに気づいてない海未ちゃんが一番怖いよね?」
凛「あれは練習なんかじゃないよ。あれこそ軍隊の…訓練にゃ。練習じゃなくて訓練」
海未「凛…」
凛「な、何?なんと言われようと今日凛は戦うよ」
海未「そうですか」
希「被告?何か反論はありますか?」
海未「いいえ。特には…」
希「そうですか」
穂乃果「おお!海未ちゃん余裕だね」
にこ「手強い相手ね」
希「では、次の証言に移りたいと思います」
海未「まだ、あるのですか?」
希「こちらの映像をご覧ください」
海未「映像?」
海未『……』
穂乃果「海未ちゃんだ…」
凛「弓道の練習してる所かな?」
海未『……』キョロキョロ
穂乃果「あっ、穂乃果この映像見た事あるかも」
凛「そうなの?」
海未『ウフッ』ニコッ
海未「なっ…」
穂乃果「可愛く見える笑顔の練習をしてるんだね」
にこ「へ~いいじゃない。アイドルなんだし」
海未「プライバシーの侵害です!!」
凛「あっ、動揺したにゃ」
希「これは被告が隠れて可愛い笑顔の練習をしている所を隠し撮りした映像です」
海未「な、なんなのですか?」
希「この様に被告は誰も居ない空間になると一人の世界に入り込んでしまう傾向にあります」
海未「な、なななにを言ってるのです」
凛「さっきまでの冷静さが嘘のようだね」
希「この件に関しましても証人を呼んでいます」
穂乃果「はい」
希「証人台へ」
穂乃果「え~海未ちゃんとは幼馴染なんです。だから、私の家に来る事も多いんですけど…」
海未「ほ、穂乃果…何を言うつもりなのですか…」
穂乃果「海未ちゃんは私の部屋で私が居ない時に誰も見てないと思って変な事をしてる時が多々あります」
海未「う、嘘です」
穂乃果「嘘じゃないよ。花陽ちゃんにだって目撃されてるじゃん」
海未「そ、それは…」
穂乃果「って言うか隣の雪穂の部屋まで聞こえてるし」
海未「え?」
希「被告は一体どんな事をしてるのでしょう?」
穂乃果「そうですね。最近だと一人でアイドルになりきったりですね」
希「なるほど。被告は多少妄想癖があると言う事ですね?」
海未「嘘です。第一証拠がありません」
希「そうですか?」
海未「そうです。さっきの映像だって証拠になるとは」
希「さらに証人を呼んでいます」
ガチャ
亜里沙「こんにちは」
花陽「あ、あの…」
海未「花陽…それに…なぜ、亜里沙まで…」
にこ「花陽はともかく…亜里沙ちゃん?」
凛「なんでだろうね?」
花陽「私は何をすればいいの?って言うか…な、何をしてるのかな?」
亜里沙「私も何も聞いてないですけど…」
希「これから、二人に質問をします」
花陽「質問?」
希「あなた達は高坂家へ行った事はありますね?」
花陽「え?は、はい」
亜里沙「私も雪穂の部屋に遊びに行った事があります」
希「え~では高坂家で園田海未さんの奇行を目撃した事はありますか?例えば一人でアイドルになりきっていたりとか」
花陽「え、そ、それは…」
海未「花陽、答えなくていいです」
花陽「え?」
希「花陽ちゃん、大事な事です」
花陽「ど、どうすれば…」
凛「かよちんのあの反応が答えだよね?」
にこ「そうね。ついでに言うと海未の言動もね」
亜里沙「私は目撃した事ないですよ?」
海未「亜里沙…」
希「目撃した事はないのですね?」
亜里沙「はい。でも、雪穂の部屋に遊びに行った時海未さんがの歌声とライブのMCの練習をしているのが聞こえて来た事はあります」
海未「え?あ、亜里沙?」
穂乃果「ほらね?」
希「なるほど。先ほど、穂乃果ちゃんが言っていた事と一致しますね」
亜里沙「海未さんは凄いって思いました。プライベートでもアイドルの練習をしてるなんて凄い」
にこ「亜里沙ちゃんも天然なのね」
凛「雪穂ちゃんじゃなくてかよちんと亜里沙ちゃんを呼んだ辺り流石希ちゃんにゃ」
海未「ち、違います。そんな事は」
希「そんな事はないと?二人が嘘を付いていると言うのですね?」
海未「それは…」
希「では、被告?ラブアローシュートとは何でしょう?」
海未「そ、それは…」
にこ「何?ラブ…アロ?」
凛「シュート?」
希「あなたの決め台詞ですよ?」
海未「ち、違うんです」
にこ「いいじゃない。それでこそアイドル」
凛「にっこにっこに~よりもいいもんね」
にこ「いや、そこまでじゃないわ」
海未「待って下さい。だいたいこれは裁判なのでしょう?」
希「はい」
海未「検事と原告団と裁判長が居て何故私を弁護する者が居ないのですか?」
穂乃果「確かに…」
凛「敵しかいないもんね」
花陽「それって…もしかして私も含まれてるのかな?」
海未「裁判長!弁護士を呼んでもよろしいでしょうか?」
フミコ「えっと…許可します」
希「それで?誰を呼ぶんかな?」
海未「真姫を…」
凛「真姫ちゃんは今日はお家の用事があるって言ってたにゃ」
海未「え?じゃあ…絵里…絵里とことりを呼びます」
~10分後~
ガチャ
絵里「海未、助けに来たわ」
ことり「ふふっ」
亜里沙「お姉ちゃん!?」
海未「絵里、ことり待ってましたよ」
絵里「なるほど。向こうは前のメンバーに加えて花陽に…亜里沙?亜里沙までいるじゃない」
花陽「わ、私はそう言うんじゃなくて…」
絵里「まあ、おおよそ見当はつくわ」
海未「流石は絵里。頼りになります」
絵里「それで?私は海未の何を弁護すればいいの?」
海未「え?ああ…私には…多少…妄想癖が…無理です。希が代わりに説明してください」
~説明中~
絵里「なるほど。だいたい話は理解したわ」
ことり「海未ちゃん任せてね」
海未「お願いします、二人とも」
フミコ「それでは再開して下さい」
希「え~それでは被告?もう一度聞きます。あなたは一人の時妄想炸裂させた奇行を繰り返している。高坂さん、そうですよね?」
穂乃果「はい。何度も目撃しています」
海未「そ、それは…」
絵里「異議あり」
穂乃果「お~なんか本当の裁判みたい」
凛「凛も異議ありって言いたいにゃ~」
絵里「それはあくまでも穂乃果の言い分であって証拠だってないのでしょう?」
穂乃果「え?いや…その…でも、亜里沙ちゃんだって雪穂の部屋まで聞こえて来た事あったもんね?」
亜里沙「え?は、はい」
絵里「亜里沙?声を聞いただけなんでしょう?」
亜里沙「うん」
絵里「実際に見たわけじゃないのよね?」
亜里沙「うん。そうだよ」
絵里「本当に海未の声だったの?本当に海未は変な事を言ってた?テレビや動画の音だったって可能性は0かしら?」
亜里沙「それは…わからない」
絵里「そうでしょう?海未が妄想を炸裂させていたなんて証拠にはならないわよね?」
穂乃果「で、でも花陽ちゃんは実際に…」
希「そうです。花陽ちゃんは実際に見たんですよね?」
花陽「えっと…」
絵里「花陽?あなたは本当に見たの?」
花陽「その…」
絵里「よく思い出して?海未にとっては大事な事なの。あなたは見間違いをしたのかもしれない。例えば海未が伸びをしている所を変な事をしたと勘違いしたとか…ね?もう一度だけ言うけど海未にとっては大事な事なのよ?」
花陽「そ、そうかもしれないです…」
絵里「そうでしょう?裁判長!このように証拠としては不十分です」
にこ「うわっ、卑怯よ」
凛「誘導尋問だにゃ!」
希「なるほど。では、先ほどうやむやになってしまった質問をもう一度聞きたいと思います」
絵里「え?」
希「あなたの決め台詞。ラブアローシュートとはなんですか?」
海未「それは…」
絵里「何?ラブアローシュート?」
海未「言わないで下さい」
絵里「え?海未?」
希「皆んなのハート撃ち抜くゾォ」
海未「聞こえない。私は何も聞こえません」
絵里「さ、裁判長!検事は裁判とは関係のない事を言って被告人を動揺させようとしています」
フミコ「そうなのですか?」
希「いいえ。これは被告人が一人の時に実際に言っていた具体的な言葉です」
絵里「しょ、証拠がありません」
希「ではなぜ、被告人は耳を塞いで恥ずかしがっているのでしょう?関係のない事なら恥ずかしがらなくてもいいはずですが?」
海未「私は知りません。私は知りません。私は知りません」
絵里「そ、それは…う、海未?」
海未「知りません」
絵里「ちょっと、海未ってば。ラブアローシュートって…」
海未「やめて下さい。それは言わないで」
絵里「ええ?ど、どうすれば…」
希「この様に被告の態度を見れば一目瞭然です」
海未「私は知りません」
希「あなたの決め台詞です」
海未「くっ…」
絵里「海未しっかりして。あなたがそんなだと…」
ことり「意義ありです」
海未「こ、ことりぃ」
凛「あっ、ことりちゃんが動き出したにゃ」
にこ「ことりははっきり言って未知数ね」
ことり「希ちゃんが言っていた事は全て、海未ちゃんを追い詰める材料にはなりません」
海未「ことり…頼もしいです。今、私にはあなたが神様に見えます」
ことり「希ちゃんが言っていた事は全部…」
希「全部?」
ことり「全部、海未ちゃんの魅力的な部分です」
海未「え?」
絵里「ことり?」
希「と言いますと?」
ことり「隠れて笑顔の練習してる所もアイドルになりきっている所もすっごく可愛いしラブアローシュートを撃ってるところを見た事あるんですけど私もハートを撃ち抜かれちゃいました」
海未「あの…」
ことり「私が作ってきたアップルパイを海未ちゃん以外の人にあげるって言った時ちょっと拗ねたりトランプで勝てなくて我儘言っちゃったりする所も凄く可愛い海未ちゃんの魅力だと思います」
ことり「それから…」
絵里「ことり…もう喋らないであげて?今ならまだ傷は浅くて済むから」
海未「既に…深いです…」
ことり「あれ?海未ちゃん?…海未ちゃーん」
凛「ことりちゃんが一番活躍したね?」
にこ「そうね…ことりって実は一番敵に回したくないかもね…敵のつもりはないんでしょうけど」
希「え~それでは次の証言に移りたいと思います」
ことり「…」
絵里「…」
穂乃果「絵里ちゃんとことりちゃん席に座らせられちゃったね」
凛「そうだね。絵里ちゃん凄く暇そうだにゃ」
にこ「むしろ絵里は頑張ったと思うけど…」
希「え~今まで被告の行き過ぎた体育会系発言、妄想を炸裂させた奇行の数々をあげてきました」
海未「き、奇行の数々…」
穂乃果「やっぱりそこが引っかかるんだ」
にこ「そりゃそうでしょ」
希「が、それに加え被告は天然ボケの傾向があり」
海未「ありません。天然と言うのはことりや穂乃果の事でしょう」
穂乃果「ひどっ。違うよ」
にこ「いや、あながち間違いじゃないわよ」
凛「そうすると二年生って全員天然なんだね」
希「傾向があり数々の迷言を残しております」
海未「残してません。言いがかりです」
希「では、被告の迷言をフリップにまとめて来たのでご覧下さい」
海未「そんな事まで…」
にこ「まあ、さっきまでのも全部天然から来る行動だけどね」
凛「むしろ天然裁判だよね」
希「まずはこれ」
“海未は私ですが?“
穂乃果「あ~言うよね。って言うか海に行く度に毎回言ってるよね…」
にこ「今まで何度やってきたのかしら?」
希「説明するまでもないとは思いますが、こちらの迷言は海水浴に行った際に海、つまりSeaの事なのですがそれを自分の名前を呼ばれたと勘違いをした時の迷言です」
海未「これは…」
希「会話の前後をちゃんと理解していれば自分が呼ばれたのではないと分かるはずですが?」
海未「あ、あなた達は名前が海未じゃないからどれだけ紛らわしいか分からないのです」
希「凛ちゃんに質問をします」
凛「え?凛に?」
希「凛ちゃんは夜空に浮かぶ星空の事を誰かが口にした時に自分の事を言われたと勘違いした事はありますか?」
凛「ん~ないかなぁ」
海未「そ、それは…凛は普段名字で呼ばれていないですし…」
凛「名字で呼ばれる事だってあるよ?」
希「ことりちゃんも似た様な経験はありますか?」
ことり「動物のことりと間違えてって事?ないかなぁ…」
希「だそうですが?」
海未「し、しかしですね…」
絵里「待って」
海未「絵里!」
絵里「凛とことりの二人に今聞いただけでしょう?そんなのあてにならないわ」
希「何故?」
絵里「何故って…例えば海未が天然発言をした時と同じ様なシュチュエーションに遭遇した人100人に聞いたとかなら証拠になるかも知れないけど二人に聞いただけじゃ統計学上証拠にはなりえないわ」
希「でも、今えりちも海未が天然発言をした時って言ったし…えりちも海未ちゃんの発言が天然だって思ってるって事やろ?」
絵里「え?」
海未「絵里…」
穂乃果「うわぁ、海未ちゃんさっきから味方にやられてばっかだね」
にこ「統計学とかよく知りもしない事を使おうとするから墓穴を掘るのよ」
希「では、続いて」
海未「まだあるのですか?」
希「まとめたって言ったやん」
にこ「海未って人の話を聞いてる様で聞いてないわね」
凛「多分忘れちゃうんだよ。焦ってるから」
希「こちらです。」
“終わりましたか?“
凛「え?何これ?」
穂乃果「迷言なの?にこちゃん知ってる?」
にこ「知らない」
海未「私だって身に覚えがありません」
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