男「そうか。奇遇だな。俺もだ」
後輩「そんなこと言わないでくださいよぅ。飲みに行きましょーよぅ。飲ぉーみぃーにぃー」グイグイ
男「引っ張るな。まず月末になると奢らせる前提で俺のとこにくるのもうこれで何ヵ月連続だ」
後輩「えぇと……一年は経ってますかね?」
男「ちなみに今月は何で破産したんだ?」
後輩「やるまいと思っていたのに……ついに……テンバイヤーに手を出してしまいました」
男「…………何を買ったんだ?」
後輩「ニンテンドースイッチを……」
男「自業自得だ。慈悲はない」
後輩「そんなぁ!」
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後輩「なんだかんだ言いながら言いながら連れてきてくれるのが先輩のいいとこなんですよねぇ。あっ私ハイボールください」
男「連れてこないと毎日俺のとこ来るだろお前。半ば無理矢理だよ。俺は杏露酒のソーダ割で」
後輩「先輩はいつもかわいらしいお酒を飲みますねぇ」
男「甘いお酒が好きなんだよ」
後輩「そんなんだとモテませんよ?」
男「モテるために自分の好みを変えるやつにろくなやつはいないんだよ。趣味しかり、酒の好みしかりな」
後輩「名言いただきましたー」
男「恥ずかしいからやめろ」
後輩「最近、親がうるさいんですよ」
男「実家暮らしだっけ? 一人暮らしじゃなかった?」
後輩「一人暮らしなんですけど、過保護気味なのでよく電話がかかってきます。そのぶんお米なんかをよく送ってくれるので助かる面もあるんですけどね」
男「なるほど。続けてくれ」
後輩「そろそろ結婚相手は見つかったかー、だのなんだのいっつもいわれるんですよねー。私はまだ20前半だから焦らなくて大丈夫だーって言ってるんですけど」
男「あー……でもうちにずっと勤めるなら新人くらいしか出会いないしなぁ。このままずるずる独身を引きずるのはありえるぞ。俺みたいにな」
後輩「うぅ……。確かに先輩みたいになるのは嫌ですね」
男「俺はその言われかたが嫌だわ。婚カツサイトとか結婚相談所とか登録してみたらどうだ?」
後輩「え? 嫌ですよ。結婚相談所とかって結婚相手が死ぬほど見つからない人の行くところじゃないですか」
男「そういう発言は己を鑑みてからしような」
後輩「うぅー。先輩は結婚、どうするんですか?」
男「んー。あんま考えてないけど。今は仕事のことだけで手一杯ってのもあるかもな」
後輩「同年代とか結婚しはじめません? 私でもたまに噂で同級生のそういう噂聞きますよ」
男「あぁ……まぁ、聞くな。それなりに」
後輩「なんというか、こう、心に効きません?」
男「あぁ……まぁ、効くな。それなりに」
後輩「でも結婚はしないんですか。……あっすみません。できないんでしたね」
男「お前を嫁にしてやろうか」
後輩「あっ。すみません。やめてください。ほんと無理ですそういうの。次言ったら焼き鳥の串を目に刺さない自信がないのでやめてくださいほんと」
男「お前を焼き鳥にしてやろうか」
後輩「ふぁー。ご馳走様です。先輩様々です」
男「いつまで続くんだろうな、この飲み会は」
後輩「来月もよろしくお願いしますね、先輩」
男「後輩は来月といわず今月から金銭のやりくりをどうにかしてくれ」
後輩「んー。善処します。来月はPS4に気になるゲームが出るんですけど私、PS4持ってないんですよねぇ」
男「来月PS4買ってたら売り飛ばした金で飲むからな」
後輩「先輩の鬼畜っ! 外道っ!」
男「でもまぁ、後輩はあんまり飲まないのが毎月の財布の救いだよ」
後輩「うーん。私、お酒自体はそんなに好きでもないんですよねぇ。弱いってわけじゃないんですけど、美味しく感じないというか、ジュースでよくない?ってなるというか」
男「あぁ、そういうやつはそこそこいるよなぁ。お酒は付き合いのために飲むものだー、とか思ってるやつ」
後輩「なので、そういうことなのですよ」
男「…………?」
後輩「ふぁー……。私、眠たくなってきちゃいました。先輩の家に泊まってもいいですか?」
男「終電まだあるだろ、帰れ」
後輩「終電あってもタクシーで帰らせるくせにぃ」
男「そもそもここからは俺の家の方が遠いの知ってるだろ」
後輩「やだなぁ、ただの冗談じゃないですかぁ」
男「こういうのは茶番って言うんだぜ」
後輩「我々には茶飯事ですね」
……みたいな後輩がいてほしい人生だった(続かない)。
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