サターニャ「お菓子で世界征服をしてやるわっ!」 (185)


サターニャ「またラフィエルに弄られたっ! またガヴリールに勝負で負けたぁ~っ!!」

サターニャ「おのれ、天使どもめ! そのうち絶対にギャフンと言わせてやるんだからっっ!」

ヴィーネ「もう、サターニャったら……大人しく、諦めたら?」

サターニャ「ヴィネット~っ!! 何か良い案ないの? 助けてよ~!!」

ヴィーネ「はいはい、ヨシヨシ……」ナデナデ

サターニャ「慰めてないで助けなさいよ~っ!!」

ヴィーネ「う~ん、そう言われてもねぇ……」

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ヴィーネ「ラフィの弱点はカエル、ガヴの弱点は甘酒、あとお金」

ヴィーネ「それで、なんとかならないの?」

サターニャ「そういうのじゃなくて、私の実力でなんとかしたいのよ~っ!!」

ヴィーネ「ワガママね……なら腕相撲で良いんじゃないの?」

サターニャ「だから、そういうのはなんか公平とは違うじゃないのっ?!」

ヴィーネ「う~ん……じゃあ魔界通販は?」

サターニャ「あんなの当てにならないのはあんたも知ってるでしょっ!?」

ヴィーネ「……サターニャ、もう諦めたら?」

サターニャ「ヴィネットぉ~~っ!!」


サターニャ「ねえ、あんたはガヴリールを手懐けているじゃない?」

サターニャ「どうやってあのグータラ天使を服従させたのよ?」

ヴィーネ「いや、服従って……単に身の回りの世話を時々しているだけよ?」

ヴィーネ「放っておくとゴミの山に埋もれちゃうんだもん、あの部屋……」

サターニャ「それだけじゃないでしょ? なんかもっとこう、決定的な何かがあるはずよっ!」

ヴィーネ「宿題を見せてあげていることかな?……あっ、胃袋を掴んでいることかもっ!」

ヴィーネ「あの子、不衛生で金欠だから……まともに御飯を食べてないことが多いのよ!」

サターニャ「……!! それだわ、ヴィネットっ!!」


サターニャ「美味しいものを食べさせて、あの駄天使の胃袋を掌握してやればいいんだわっ!」

ヴィーネ「それは効果的だとは思うけど……ねえ、サターニャって何か作れるの?」

サターニャ「フフン、私は胡桃沢洋菓子店の娘よ? お菓子作りなら誰にも負けないわっ!!」

ヴィーネ「サターニャの実家って、洋菓子店だもんね……お菓子作りならご両親から教わってるのかしら?」

サターニャ「お父様とお母様に直々に仕込まれているわっ! 将来は洋菓子店を引き継げるようにってね!!」

ヴィーネ「……サターニャって味音痴だけど、大丈夫なのかしら??」

サターニャ「ヴィネット~~っ!? お菓子作りだけは、ホントに大丈夫なんだってばぁ~っ!!」

──翌日


サターニャ「というわけで、お菓子を作って来たわっ!」ドンッ

ヴィーネ「見た目は……うん、まぁ大丈夫そうね」

サターニャ「ちょ、ヴィネットぉ~っ!? なんでそんなに警戒してるのよっ!?」

ヴィーネ「そういえば、クリスマス会でもサターニャのデコレーションしたケーキは綺麗だったわね……」

サターニャ「美味しいからっ!! ほんとに美味しいから食べてみてよっ!!」

ヴィーネ「頂くわ……私も金欠で、お菓子とかはあまり食べてないのよね……」

ヴィーネ「では、少し失礼して……」パクッ

もぐもぐっ!!

ヴィーネ「……お、おおお美味しいじゃないっ!?」パアア


ヴィーネ「美味しいっ! すっごく美味しいわっ!!!」モグモグ

サターニャ「まだまだたくさんあるわよ~?」

ヴィーネ「サターニャ……」

サターニャ「何かしら?」

ヴィーネ「美味しいっ♡」

サターニャ「ふふ、満足がいくまでい~っぱい食べなさいっ♪」

ヴィーネ「ああ、サターニャのお菓子で頬が緩んじゃうよ~っ!!」モグモグパクパク

サターニャ「なーはっはっは!! 早速、ヴィネットの胃袋を攻略しちゃったかしらっ?!」ドヤァ

ヴィーネ「すっごく美味しいよぉ~っ!!」モグモグ

……


ヴィーネ「思えば、スイーツとかは日頃ほとんど食べてなかったのよね私」

ヴィーネ「だからこれはスイーツ欠乏症の所にあんなお菓子を食べたからであって」

ヴィーネ「だから、決してサターニャのお菓子であんな表情をしていたわけじゃなくて……ね?」

サターニャ「あっ、まだお菓子あるわよ? 食べるかしら?」

ヴィーネ「サターニャぁ~~♡」ニヘラッ

サターニャ「もう、あんたそんなにお菓子で喜ぶぐらい、生活を切り詰めていたの??」

サターニャ「言ってくれれば、お菓子ぐらいなら私がいつでも作って来てあげるわよ?」

ヴィーネ「ほんとっ!? やったぁ~!!」

サターニャ「お菓子であんたが潤うのなら、それくらい安いものよ……」

ヴィーネ「えへへ、サターニャぁ~♡♡」


サターニャ「それで、問題はあのガヴリールの方よね……」

サターニャ「私のこのお菓子で、白旗を上げてくれるかしら?」

ヴィーネ「あっ、それは大丈夫だと思うわ」

ヴィーネ「ガヴは私以上に金欠だし、食べるのも困ってるぐらいだし、正直……チョロいと思うわよ?」

サターニャ「ゲームに課金し過ぎなのよね、あいつの生活は……」

ヴィーネ「ガヴを手懐けるなら、お菓子はきっと効果抜群よっ!!」

サターニャ「そう……よしっ! じゃあ早速あいつの所に行ってくるわ!!」

ガヴリール「私が、何だって……?」ヒョイ

サターニャ「あわわっ……!!」ビクッ


サターニャ「が、ガヴリールっ……!! 今日こそ、あんたを絶対にギャフンと言わせてやるわっ!!」

ガヴリール「なんだなんだぁ~? また、無駄な努力でもして来たのか?」

ガヴリール「まったく、しょうがねえ奴だなぁ……やめとけよ、お前じゃ私に勝てないんだからさ」

サターニャ「ガヴリール~っ!! これを、見なさいっ!!」スイッ

ガヴリール「んっ? これは……なんだ、お菓子か??」

サターニャ「これをあんたに食べさせてあげるわっ! 有り難く頂きなさいよねっ!?」

ガヴリール「いや、要らねーから」

サターニャ「な、なんでよーーっ!?」ガ-ン


ガヴリール「大方、お前のことだ……どうせ、中に変なものでも混ざっているんだろ?」

ガヴリール「そんな怪しいモン、誰が食うかよっ!」

ヴィーネ「大丈夫よ? ガヴ、変なものなんて何も混ざっていないから!!」

ガヴリール「えっ、ヴィーネ……もしかして、食べたのかコレ?」

ヴィーネ「うん、とっても美味しかったわ♡」

ガヴリール「…………、まじかよ……」

サターニャ「さあさあ、どうするのガヴリールぅ? 目の前にあるのは、とーっても美味しいスイーツよ~?」

サターニャ「あんた、金欠で……普段ロクなものを食べてないんだってねぇ~?」ニヤニヤ

ガヴリール「ぐっ……!!」


ガヴリール「いや、有り得ないだろ……なんで、お前が急に私にお菓子なんて差し出すんだよっ!?」

ガヴリール「絶対に裏がある……どう考えても、これは怪しすぎるだろっ!!……」ブツブツ

サターニャ「ガヴリール……」

サターニャ「ねえ、あんた……最後に美味しいお菓子を食べたのはいつになるの?」

ガヴリール「はっ? そんなの覚えてねーよ、そんな贅沢なもんを食える金なんてあるかよ……」

サターニャ「ガヴリール……」

サターニャ「ねえ、ほんとに。何も意地悪はしないから、食べてちょうだい?」

サターニャ「見返りも何も求めてない、ただ……あんたに美味しいお菓子を食べてほしいだけよ?」

ガヴリール「……ほんとに、か?」

サターニャ「本当よっ!!!」


ヴィーネ「ガヴ、大丈夫よ? 私も食べたんだから、ね?」

ガヴリール「そうか? いや、まぁそれなら……うん、わかったよ?」

ガヴリール「一つ、貰うぞ?」ヒョイッ

サターニャ「どうぞ~っ!」

ガヴリール「どれどれ?……ぱくっ!!」

もぐもぐっ♪


ガヴリール「……っ!! う、ううう美味ぇええーっっ!?」

ガヴリール「な、なんだこれっ!? なんだ……この美味さはっ!?」モグモグ

サターニャ「まだまだあるわよ~♪」

ガヴリール「もっと、もっといっぱい食べさせてくれぇ~っっ!!」モグモグパクパクッ!

サターニャ「ふふっ……なーはっはっは!! ガヴリール、お腹いっぱいになるまで食べてもいいのよ~?」ドヤァ!

……


ガヴリール「いや、べつに私はサターニャに負けてなんかいないぞ?」

ガヴリール「だって、お腹が減ってたから目の前のお菓子を食べた……ただそれだけの事じゃん?」

ガヴリール「なんで、私が……サターニャのお菓子に屈服したみたいな事になってんのさ?」

サターニャ「ガヴリール? ほらほら、まだお菓子あるわよ~♪ 食べる?」

ガヴリール「わ~いっ♪ 食べるぅ~♡」

サターニャ「明日以降も、よかったら作って来てあげようかしらね~?」ニコッ

ガヴリール「ほんとかっ!? お願い、サターニャぁ~♡♡」



ヴィーネ「ガヴも、すっかり堕ちてしまったわね……」

サターニャ「ガヴリールも私の配下になったわ!! 遂に、やったわ~♪」ウキウキッ


ラフィエル「ふふふ、皆さん何やら楽しい事をしていますねぇ~?」ヒョコッ

サターニャ「ら、ラフィエルっ!? また今日も現れたわね、この悪魔ぁ~っ!!」

ラフィエル「悪魔だなんて酷い……私は天使ですよ~♪」

サターニャ「どこがよっ!? まあいいわ……今日こそはあんたが私の手によって弄られる番よっ!」

ラフィエル「今回はやけに強気ですね、サターニャさんっ♪ ふむふむ……」チラッ

ヴィーネ「お菓子~っ♡」

ガヴリール「サターニャぁ~♡」


ラフィエル「なるほど……サターニャさん、着眼点は良かったですね?」

サターニャ「な、なによっっ?!」


ラフィエル「ガヴちゃんも、ヴィーネさんも……贅沢とは無縁の生活をしています」

ラフィエル「甘いお菓子で釣るのは、さぞかし効果的だったでしょうね?」クスッ

サターニャ「あんたは……違うっていうの?」

ラフィエル「私はお嬢様ですよ~? 甘いものなんて食べ慣れていま~す♪」

ラフィエル「そこの二人と同じようにお菓子で陥落できると思ったら大間違いで~す♪」エッヘン

ガヴリール「おいこら、ラフィ……サターニャのお菓子は本当に美味しいぞ? 食ってから言え!」

ヴィーネ「そうよ、食べてから言いなさいよっ!! サターニャのお菓子は、本当に美味しいんだからっ!!」

サターニャ「フ、フンッ!! そうよ、まずは……一口食べてみることねっ!?」ドキドキ

ラフィエル「サターニャさーん? 狼狽えてるのが、伝わってきてますよ~♪♪」


ラフィエル「ふむふむ、確かにこの見た目は……高級スイーツにも見劣らない完成度の高いお菓子ですねぇ?」

ラフィエル「サターニャさんがこれを作ったとは、とっても驚きですね~っ♪♪」

サターニャ「いいから、はやく食べなさいよ!?」

ラフィエル「はいは~い、では頂きますよ~?」パクッ

もぐもぐっ♪


ラフィエル「えっ!? おおおお美味しいぃ~っっ?!!」モグモグッ!

ラフィエル「な、なんですかコレっ!? なんなんですか、コレは~っ!?!」ヒョイパクヒョイパクッ

サターニャ「……よ、よしっ! 勝った、勝ってやったわッッッ!!」

サターニャ「なーはっはっは!! ラフィエル、あんたも私のお菓子には敵わなかったようね~?」ドヤァアッ!!

ラフィエル「もっと、もっと食べさせてくださいぃ~っっ!!」

サターニャ「はい、どうぞ~っ♪ い~っぱい、食べても良いんだからねっ!!」ニッコニコ


・・・・・・


サターニャ「はい、あんた達、整列よっ!」

ガヴヴィネラフィ「「は~いっ!!」」

サターニャ「よし、座って良しッッ!!」


──悪魔的会議、開始~ッッ!!


サターニャ「では、まずラフィエルからね~?」

サターニャ「あんたは……私にちょっかいを出すのを、止めなさいっ!!」

ラフィエル「そ、そんなぁ~っ!!」ガ-ン!

ラフィエル「サターニャさんを毎日いっぱいたくさん導かないと、私は死んじゃうんですーっ!!」

サターニャ「どんな病気よっ!? 止めなさいったら止めなさいっ!!」

ラフィエル「イヤですイヤですぅ~!! サターニャさんを毎日たくさん弄り倒したいんですぅ~っ!!」エ-ン

サターニャ「あんたは……明日からお菓子抜きね?」

ラフィエル「はっ……すみません、止めますっ!!」ビシッ!


サターニャ「まったく、もう……弄るんじゃなくて、普通に遊ぶっていうんなら良いんだからね?」

ラフィエル「ほ、ほんとですか~!? サターニャさぁ~~んっ♡♡」パアアッ

ガヴリール「ラフィのやつ、すっかりサターニャのやつに堕とされてやがるな……」

サターニャ「次は、ガヴリールよっ!!」

ガヴリール「ったく、一体何なんだよ……?」

サターニャ「あんたは、私にもっと構いなさいよっっ!!」

サターニャ「いっつもいつも素っ気ない態度で、さ……勝負だって、まともに受けてもくれないし、さ」グスッ

ガヴリール「…………、善処する」

サターニャ「お菓子……抜きね?」

ガヴリール「すみませんっ!! どうかそれだけはっ!! サターニャ様ぁ~っ!!!」


サターニャ「べつに……無茶な事を言ったりなんかしないからね?」

サターニャ「ただもうちょっと、私に優しくしてほしいなーって」

ガヴリール「……ったく、わかったよ!!」

ガヴリール「私だって、本当はお前に勝負だなんだって挑まれるの、嫌じゃないんだぞ……?」

サターニャ「ガヴリール、それほんとっ……?」パアアッ

ガヴリール「あー、もうっ!! これ以上は言わせんな、くっそ恥ずかしい~///」カアァ

ヴィーネ「あのガヴが、とうとうデレ初めた……」

サターニャ「えっへへ~っ/// ……じゃあ、次はヴィネットねっ!!」

ヴィーネ「私は、特にサターニャにしてあげられることなんて無いわよ?」

ヴィーネ「だって私、普段からサターニャの味方でサターニャに優しいじゃないのっ?」


サターニャ「宿題……毎日、見せなさいっ!!」

ヴィーネ「えっ?!」

サターニャ「宿題を、毎日私に見せるのよっ! ヴィネットぉ~っ!!」ドヤァ!

ヴィーネ「え、えええぇ~っ!?」

ヴィーネ「そそ、それは駄目よ? だって宿題は、自分でやる物なんだからっ!!」アセアセ

サターニャ「ふふ……お菓子、抜きね?」ドヤァ!

ヴィーネ「ぐぐっ……でも、ダメぇーっ!!」

ヴィーネ「きっと、そんな事しても……グスッ!……サターニャの為に……グスッ……ならない……んだからぁっ!!」ウエ-ン

サターニャ「あわわわっ……ちょ、泣かないでよヴィネットっ!?」アセアセ

サターニャ「ごめんっ!! 私が……間違ってたっ!! だから、泣き止んでよヴィネットぉ~~っ!!」アセアセ

……


ヴィーネ「分からない所があったら、ちゃんと教えてあげるから、ね?」

サターニャ「うん……ありがとう、ヴィネット」グスッ

ヴィーネ「もう、なんでいつの間にかサターニャが泣いているのよ~?」ナデナデ

サターニャ「ねえ、お願い……変えても良い?」

ヴィーネ「ふふ、何かしら……?」

サターニャ「これからも、私と仲良くしてくれる? ヴィネットぉ……」ウルウル

ヴィーネ「ふふ、当たり前じゃないっ♪ これからも……よろしくね、サターニャっ♪」



ガヴリール「微笑ましい光景だな~!」モグモグ

ラフィエル「お二人とも、とっても仲がよろしいですよね~♪」モグモグ


ガヴリール「んっ? あ~あ、ついにお菓子も底を付いちゃったか……」

ラフィエル「随分と、たくさん作ってきていましたね~♪」

サターニャ「えっ!? 嘘っ、あれだけ沢山作ってきてたのにっ!?」

ヴィーネ「一体、どれだけたくさんの量を作ってきてたのよ……」

サターニャ「今日学校にいる生徒たち全員に配るつもりで作ってきてたのよ~っ!!」

ガヴリール「お前、まさか……学校中をお菓子漬けにするつもりなの?」

ラフィエル「でもあのお菓子なら、それも可能なのかもしれませんねっ♪」ニコッ

ヴィーネ「毎日、大量に作ることが出来たのならね……」

サターニャ「ふん、まあいいわ……最も大事なこの3人は、ちゃ~んと攻略が出来たんだからねっ?」


サターニャ「あんた達、ちょっと私の前に集まりなさいよ~?」

ガヴリール「んん~? なんなんだよ、もう……」

ラフィエル「はいはーい、サターニャさんっ! 一体なんですかぁ~♪」

ヴィーネ「ふふっ、もうすっかり元気になっちゃって!」

サターニャ「えっへへ~!!……えいっ♪」


ぎゅうううっ……!!


ガヴリール「ちょっ、サターニャぁ……///」

ラフィエル「ああ、サターニャさぁ~ん……♡」スリスリ

ヴィーネ「ちょ、ちょっとっ!? サターニャぁ……///」モジモジ


サターニャ「あんた達は……これから私の、お菓子で世界征服計画のメンバーよっ!!」ドンッ!


ガヴリール「はっ? お菓子で世界征服?? なんなんだよ、そりゃ……」

ラフィエル「なにやら面白そうですね~♪」

ヴィーネ「もうっ、どこまで本気なのよ、サターニャったら♪」

サターニャ「ふふん、まずは役割を発表するわねっ!!」

サターニャ「ラフィエルは、経営面をお願いね?」ビシッ

ラフィエル「はいっ、ドーンとお任せください~!!」

サターニャ「具体的には、材料の仕入れ、作るお菓子の数調整、管理……私たちのスケジュール調整などねっ!」

ラフィエル「…………」

ラフィエル「サターニャさん……」

サターニャ「んっ? なにかしら??」

ラフィエル「本当に……これ、本気なのですか?」

サターニャ「ふふん、当たり前じゃないのっ!!」ドヤァ


ラフィエル「そうですか、ならば……分かりましたっ!!」

ラフィエル「私、白羽=ラフィエル=エインズワースは、この生涯をサターニャさんのために捧げましょうっ!」

ガヴリール「ちょ、お前っ!? ……大袈裟すぎだろ~っ!!」

ラフィエル「これは、決して大袈裟ではありませんよ? ガヴちゃん……」

ラフィエル「あのお菓子なら、十二分に経営として成り立ちます」

ラフィエル「白羽家の下界での事業拡大計画の中でも、これ程の具体的な見通しがあるものはありません」

ラフィエル「むしろ、これは……私の方からサターニャさんにお願いしたいくらいなんですよっ♪」

サターニャ「ふふん、よく分かってるじゃないの、ラフィエルっ!!」

ヴィーネ「ちょっとみんな、一体どこまで本気なのよ……」


サターニャ「ねぇ、ヴィネットは……何か将来の目標とかあるのかしら?」

ヴィーネ「えっ? 立派な悪魔になりたい、とか……かな?」

サターニャ「……私に、付いてきなさいよ。ヴィネット」

サターニャ「お菓子で世界を征服する……それって、とっても悪魔的だと思わない??」

ヴィーネ「お菓子で、みんなを笑顔にして支配する、か……確かにピッタリなのかもしれないわね、私には」

ヴィーネ「わかったわ、サターニャ……私も、サターニャに付いて行くっ!!」

サターニャ「ヴィネットは、厨房を担当よっ! 私のお菓子作りのサポートね~っ♪」

ヴィーネ「うん、了解っ!! よろしくね、サターニャっ♪♪」


ガヴリール「おーい? お前ら、少し目を醒ませ~……」

ガヴリール「いつもの、サターニャのごっこ遊びだぞ? これ~」

サターニャ「ガヴリール、あんたは将来の夢とかあるの?」

ガヴリール「は? 将来の夢?? そんなの……あるわけないだろ?」

ガヴリール「まぁ強いて言うなら、大金持ちになりたいとか、かな?」ハハッ

サターニャ「ねぇ……儲けた分は、ちゃんと分配するわ」

サターニャ「今ここに、優秀な人材も揃っている……あんたも、こっちに来なさいよ?」

ガヴリール「ハッ、やだねっ!! おまえの戯れ言なんかに付き合ってられっかよっ!」

サターニャ「ねえ……ガヴリールぅ~~!!」ギュウウッ

ガヴリール「ちょっ!?……サターニャぁ~~///」


サターニャ「具体的に……どうやって将来、お金持ちになるつもりなのよ?」

ガヴリール「そんなの、ノープランに決まってんだろ……」

サターニャ「じゃあ、いいじゃないのっ!! この波に、乗りなさいよ~っ!!」

ガヴリール「あーもうっ、分かった分かったからっ!! 私も、協力してやるからさ~っ!///」

サターニャ「あんたは、売り子担当ねっ! 接客は任せたわよ~♪」

ガヴリール「ったく、ほんとしょうがねえな、お前は……」

ラフィエル「ふふっ、ガヴちゃんも最初から満更でもないくせに~♪」

ヴィーネ「話は纏まったようね、なんだかすっごく楽しみになってきたわっ!!」ウキウキ


サターニャ「さて、ではまずは……学校の制圧から始めるわよっ!!」ドンッ!

サターニャ「どこか、良い拠点はないかしら~?」

ガヴリール「それならアテがあるぞ? あそこなら、うってつけだな……」

サターニャ「どこよ?」

ガヴリール「……調理部、だな」

ラフィエル「調理部ですか、良さ気ですね~♪」

ヴィーネ「そこならお菓子を作るための様々な調理器具も揃っているわね……」

ヴィーネ「拠点に出来たのなら、いっぱいお菓子を作る事も可能になるわよ?」

サターニャ「よし、ならば決まりねっ!! まず第一の目標は、調理部の制圧よっっ!!」ドヤッ


ガヴリール「サターニャ……」

サターニャ「ん? 何かしら??」

ガヴリール「調理部のメンバー……特に、上野と田中の二人は非常にノリがいい」

ガヴリール「きっとお前の計画にも大はしゃぎで喜んで協力をしてくれるはずだ」

ガヴリール「だけど、ノリで協力してくれるか、お前の味に惚れて協力してくれるかは別問題だ……」

サターニャ「なるほど……その場のノリではなく、ちゃんと味の方で納得をさせろって事ね?」

ガヴリール「……あの二人は、ふざけてるように見えて、料理の腕だけは本物だ」

ガヴリール「油断、するなよ?」

サターニャ「なーはっはっはっ!! 任せなさいよ~!!」

サターニャ「もちろんっ!! 私のお菓子でちゃーんとメロメロにしてやるんだからねっ♪」


ヴィーネ「ねえ、あの委員長の方も中々に手強いと思うわよ?」

ヴィーネ「学校の秩序を体現しているかのような性格だから……サターニャの、この計画に賛同してくれるかどうか」

ラフィエル「最悪、上野さんと田中さんを味方に付けて……2対1での調理部の明け渡しは可能だとは思います、が」

ラフィエル「あの人を味方に引き込めれば、今後の学校制圧で大きく有利に出れる事は間違いありませんね!」

ガヴリール「そうだな……委員長は、今後のためにも絶対にこっち側へ引き込みたい」

ガヴリール「出来るか? サターニャ」

サターニャ「ちょっ、委員長は良い人じゃないのよ~っ!? 損得抜きで、もちろん味方に引き込むわっ!!」

サターニャ「まあ、学校のルールがどうとかなんて……私のお菓子の前では些細な事だってことは味合わせてやるけどねっ?」フフンッ

──翌日……


田中「へぇー、つまり? この調理部を、制圧しに来た……と」

上野「ほほう、いい度胸ですねぇ~……」メガネクイッ!

サターニャ「ふっふっふっ!! この大悪魔、サタニキア=マクドウェル様が直々に来てやったわっっ!!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ  ! !



ヴィーネ「ちょっ……!? 何なのよ、この空気はっ!?」

委員長「あっ、気にしないでいいわよ? いつもの、あの二人の悪ノリだから」

ラフィエル「委員長さん、お菓子の方はどうですか~♪」

委員長「美味しいわね、絶品と言ってもいいくらいだわっ!」

ガヴリール「そのお菓子、あのサターニャが作ったんだぞ、意外だろ~?」


ラフィエル「それでですね~? そのお菓子を毎日ご提供しますので、代わりにこの調理部を使わせて欲しいのですよっ♪」

委員長「私は別に構わないわよ? あの二人が良いって言うのなら、ね……」

ヴィーネ「あとね、作ったお菓子を学校中のみんなにも配りたいのっ!!」

ガヴリール「それで学校中のみんなからお金を徴収して、ウハウハになりたいの~っ!!」

ヴィーネ「ガヴっ!? あんた、ちょっと黙っててっ!!」

委員長「……販売に関しては、学校側が許可をすれば問題はないわよ?」

委員長「学食にもスイーツのメニューは無いし……ちょうど良いんじゃないかしら?」

ラフィエル「おおっ、委員長さん!! 話がとっても分かりますね~♪」

ガヴリール「ったく、誰だよ? 委員長はガチガチの堅物だとか言っていた奴は……」

ヴィーネ「わ、私はそこまでは言ってないわよっ?」アセアセ


委員長「そうね……」

委員長「私が、ここまで素直にこんな事を言うのは……このお菓子が本当に美味しいと思ったからよ?」

委員長「言い方を変えるわ、このお菓子を学校のみんなにも食べて貰いたいっていうのなら……私も喜んで協力をするわっ!!」

ガヴヴィネラフィ「「…………っ!!」」

ガヴリール「まじかよっ……サターニャのやつ、本当にお菓子で人の心を動かしやがったっ!!!」

ヴィーネ「やった……っ! サターニャのお菓子が、委員長の心にも届いたんだわっ!!」

ラフィエル「流石です……本当に、凄いですよ、サターニャさんっ!!」グスッ

委員長「あなた達も、同じでしょ……?」

委員長「このお菓子に、心を奪われた仲間同士……違うかしら?」

ガヴリール「ははっ、そう言えばそうだったな!!」

ラフィエル「いやいや、私は最初からサターニャさんの仲間ですよ~っ!!」

ヴィーネ「私もっ!! 私だって、サターニャの最初っから味方なんだから~っ!!」

…………
……


田中「ハァハァ……や、やりますね! 胡桃沢さん……」

上野「くっ……まさか、これ程のポテンシャルを秘めていたとは……っ!!」

サターニャ「クックックッ!! さぁ、大人しく調理部を引き渡しなさいっ!!」ドヤァ

田中「フフッ……まだまだァーっ!!」ドンッ!

上野「我々は、既にあなたの弱点を調べ尽くしているのですよっ!!」

サターニャ「弱点? フッ……何かしらね、それは?」

田中上野「「それは……この、特製のメロンパンだああーっ!!」」

ドドンッ!!!


サターニャ「メ、メロンパン……っ!?」ジュルリ

田中「我々が作ったこの特製メロンパンは、そこらのメロンパンとは段違いの美味さを誇るっ!!」ドヤァ

上野「我々の作り上げたこのメロンパンを食したければ、大人しく投降して敗けを認めなさいっ!!」ドヤァ

サターニャ「くっ……こ、この二人ッッ!! なんという悪魔的行為なのーーッ!!!」ジュルリッ


サターニャ「くッ……こ、ここは一つ!! 取引で、私と手を打たないかしらっ?!」

田中「ほほう? 面白い、とりあえず聞いてみようか……」

上野「我々と、取引……とな?」メガネクイッ!

サターニャ「私が作ったこのお菓子を、毎日あなた達にも食べさせてあげるわっ!!」

サターニャ「だから……お願いっ!! そのメロンパンを、代わりに……頂戴ッッ!!」

田中「ふむ……? まぁ、いいだろう」スッ

上野「私たちの方からも、提案があるわっ!!」

サターニャ「……? 何かしら……?」パクバク

田中「お菓子で世界征服、と言ったか……?」

上野「その計画に、私たちも参加させなさいっ!!」

サターニャ「……!!! なるほど、私たちが組めば鬼に金棒……というわけね?」ニタァ

田中「そういう事だ……既に、世界は我々の手中にあると言ってもいいっ!!」

上野「ふふっ……そういう事よ、これからも、どうか宜しくね? 胡桃沢さんっ♪」


ガヴリール「あっちの方も、どうやら話が纏まったみたいだな……」

ヴィーネ「結局、どっちが勝ったのかしら? あれは」

ラフィエル「まあまあ、あれはあれで良いと思いますよ~♪」

委員長「あの二人が、他の人の料理の腕を称えるなんて滅多に無いことよ?……胸を張っていいわ!」

ガヴリール「よし、これで拠点も確保したし……学校でお菓子を沢山作る事も現実的になったなっ!」

ヴィーネ「人材も増えたわっ! 上野さんに田中さん、私や委員長も含めればお菓子はいっぱい作れるっ!!」

ラフィエル「無償で配っちゃうのも良いですが、やはりここはちゃんと販売という形を取りたいですね~♪」

委員長「ここまできたなら、もう一蓮托生よ? 私も出来る限りの協力をするわ!!」


サターニャ「フッフッフッ……どうやら委員長も、もう既に私の配下になっているようね~?」

田中「委員長ぉ~っ! 凄いよ胡桃沢さんのお菓子作りっ!! まじで、天下取れるわコレ!!」

上野「世界征服ってのもあながち夢じゃないかも!! 経営の上手い人がいれば、間違いなく世の中に出回るわよこれっ!」

ラフィエル「ふふっ♪ もちろん、私が責任を持ってこのお菓子を世界中の人々に広めちゃいますよ~?」

委員長「世界征服って……えっ? もしかして本気なの、その話??」

ガヴリール「学校での販売だけの話かと思ったか? 委員長…… 残念だが、私達の目標はもっと大きいぞ~?」

ヴィーネ「ねえねえっ!! 委員長も、このまま私達の夢に乗っ掛かりましょうよっ♪」

委員長「え、えぇ~? ちょっと、まさか私の未来が今ここで決まっちゃうの……?」

委員長「まあ、べつにその……良いんだけど、ね?」

サターニャ「……!! やったぁっ!! 委員長、これからも宜しくね~?」

委員長「もう、胡桃沢さんったらっ! ……あなたには、クラス内でもいつも振り回されっぱなしよ……」


ガヴリール「よし、このままどんどん行くぞっ! 次の目標の方はどうするよ?」

ラフィエル「先生方への説得……でしょうかね~?」

サターニャ「もしかして、あのグラサン? あのグラサンを、落とせればいいわけねっっ!!」

委員長「先生方へは、私がまず先に話を通しておくわ……」

委員長「もっとも、その後きちんと説得できるかどうかは……胡桃沢さん次第、だけどね?」

田中「おおっ、あのグラサンが相手っすか……強敵っすね~!!」

上野「でも胡桃沢さんのお菓子なら、たとえあのグラサンでも……きっと勝てますよねっ!?」

ヴィーネ「ねえ、サターニャ……その、大丈夫なの?」

ヴィーネ「べつにグラサンじゃなくても、他の先生方を言い包めてもいいのよ?」

サターニャ「……甘いわね、ヴィネット!!」

サターニャ「私たちの夢は、世界征服よ? ここでグラサンごときに負けてられないわっ!!」


ガヴリール「そうだな……どの道、あのグラサンは先に倒しておく必要があるぞ?」

ラフィエル「あの先生に睨まれたら、生きている心地がしませんからね~……」

田中「まぁ、この学校で派手な事をするのならあのグラサンは避けて通れない道ですからね……」

上野「結局、叩きのめしておくしか他に方法はありませんよっ!!」

委員長「先生方を説得するという観点で見ても、あのグラサンを落とすというのは非常に効果的だわ……」

委員長「あのグラサンさえ落ちれば、きっと他の先生方も道連れ的に落ちていくはずよ?」

ヴィーネ「そうなればもう、誰も逆らう者はいない……そのまま販売許可は貰ったも同然、ってわけか」

サターニャ「目標は決まったわねっ! 次の標的は……あのグラサンよっ!!」ドンッ!


現在の勢力図

大悪魔:サターニャ(総帥)

幹部:ラフィエル(経営)
   ヴィーネ(製造)
   ガヴリール(販売)

配下:上野(厨房担当)
   田中(厨房担当)
   まち子(厨房兼その他全般)

拠点:学校敷地内、調理部室

次点の目標……グラサンを説得する



ラフィエル「ふふっ、今の所はまだこんな感じですね~♪」

ラフィエル「でもこれから、どんどんこの勢力図を伸ばして行きますよ~?」ニコニコ

──翌日


グラサン「来たか、胡桃沢……まあ座れ」

サターニャ「グラサン……フフンッ! わざわざ時間を取らせて、悪かったわねぇ~?」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ  ! !


グラサン「茶でも、出そうか……?」

サターニャ「なら私は、お菓子でも出そうかしらね……?」

グラサン「……お菓子か、まあ頂こう」

グラサン「胡桃沢……何やら、話があるんだってな?」

サターニャ「そうよ? 私はあんたに、どうしても言っておかなくちゃいけない事があるわっっ!!」


グラサン「なんだ……? 言ってみろ」

サターニャ「あんたは、私の進路希望について……あの時、散々バカにしてくれたわよねっ?」

サターニャ「大悪魔は無理だとか、世界征服なんて夢を見るな、だとか……」

サターニャ「だけど、お生憎さまねっ!! 私はあんたにどれだけ否定されたところで、自分の突き進む道を止めたりなんかしないっ!!」

グラサン「…………」

サターニャ「私は将来、絶対に大悪魔になるっ!! あんたが無理だとか何だとか言おうが、それは変わらないっ!!」

サターニャ「世界征服だって、誰が何と言おうと、絶対に成し遂げてやるっっ!!」

グラサン「…………」

サターニャ「それが私という悪魔の、生き方だからよっ!! ねえ、聞いてるのっ!? グラサンっっ!!」

グラサン「…………胡桃沢。このお菓子は、お前が作ったのか?」


サターニャ「そうよっ!! 私の、自信作なんだからねっ!!」フンスッ

グラサン「…………そうか」

グラサン「胡桃沢、少しいいか?」

サターニャ「な、何よっっ……!?」

グラサン「私はな、べつにお前のような夢を持つ生徒は嫌いじゃあない」

グラサン「だけどな……現実には、その夢を叶えられる奴なんて、殆どいないんだよ……」

サターニャ「…………」

グラサン「だから私は、教師としてここで、生徒達の夢に対して厳しく接してきた」

グラサン「中には、私の発した言葉で夢を追うのを諦めた奴もそれなりにいるだろう……」

グラサン「お前は……違うというのか?」


サターニャ「ふふん、そんなの当たり前じゃないっ!! 絶対に、私は夢を追い掛け続けるんだからねーっ♪」

グラサン「もしその夢が叶わないと悟った時は、どうする……?」

サターニャ「その時はその時よっ!! 最初から諦めるくらいなら、当たって砕けた方が遥かにマシだわっっ!!」

グラサン「…………」

サターニャ「それに……私の夢はもう一人じゃないの、みんなも一緒にいるんだからっ!!」

サターニャ「心が挫けそうになっても……皆が、一緒いれば大丈夫よっ!」

グラサン「…………そうか」

グラサン「お菓子……美味しかったぞ? 胡桃沢」

グラサン「販売の許可だったか、あれは私の方から通しておこう」

サターニャ「……っ!! グラサンっっ!!」


グラサン「胡桃沢……」

グラサン「大抵の生徒はな、私のこの顔を見て……怯えて物を言わなくなるんだ……」

サターニャ「…………」

グラサン「だけど、お前は違うっ! 私を前にしても決して怯まず、自分の意見を真っ直ぐに言う事が出来る……!!」

グラサン「お前は、私が見て来た生徒の中でも、自分の気持ちに一番真剣な奴だよ……」

サターニャ「……!! グラサン、ありがとうっ!!」

グラサン「胡桃沢、がんばれ」

グラサン「お前の夢が叶うことを、私も応援しよう!!」

サターニャ「グラサーンっ!! またお菓子、持ってきてあげるからねーっ♪♪」

グラサン「ははっ……ほんと元気な奴だよ、お前は」

……


サターニャ「グラサンの許可を取ってきたわっ!!」ドヤッ

田中「ま、マジですかっ!? あの怪物の許可を~っ?!」

委員長「さっき月乃瀬さんと確認しに行ったんだけど、なんだか今すぐにでも販売を開始して良いそうよ?」

ヴィーネ「渋々とか、屈服してとか、そういう感じじゃなかったわね……むしろ、応援してくれてる感じだった」

ガヴリール「一体、どんな口車を使ったんだよお前……」

委員長「ねえ、何故かすごく好感的だったんだけど……ほんとに、あのグラサン相手に一体どんな言い包め方したのよ?」

ラフィエル「流石ですね、サターニャさんっ♪ 本当にもう、一生付いて行きますよ私はっ!!」

上野「もしかして、胡桃沢さんって……めっちゃ大物だったりする?!」


サターニャ「フフンッ、これで後はもう……学校中をお菓子漬けにするのみねっ!!」ドンッ!

ヴィーネ「さっそく、明日からにでも販売しましょうよっ!!」

ガヴリール「私が売り子をしてやるんだ、初動から全力で売れると思っとけよ? お前ら」

田中「天真さんがウエイトレスをするなら、それだけでも売れそうだね~っ♪」

委員長「作る量や値段などは、よくよく考えて調整しないといけないわよ?」

ラフィエル「赤字は有り得ません……大丈夫です、私が全て責任を持って管理しますからっ!!」

ラフィエル「正直に言うと、ボッタクリでも売れそうではあるんですが……まぁここは良心価格で行きましょうっ♪」

上野「もちろん私達も作るのは手伝うから、胡桃沢さんが指示を出してねっ?」

サターニャ「任せなさいよ、あんたたちっ!! い~っぱい働いてもらうんだからねっ!!」


ラフィエル「この販売は、私達の夢の第一歩です!」

ヴィーネ「まさかこんなに早く形になるなんてね……っ!」

ガヴリール「夢は世界征服だからなっ! まずはこの学校の生徒たちをお菓子で骨抜きにしてやるんだっ!!」

委員長「私も、朝からお菓子作りに向かうわっ!! 材料の方は明日の朝には調達できてるのよね?」

上野「この調理部の前で販売すれば、作り立てを提供できますね~っ!」

田中「軌道に乗れば、学食の方にもメニューとして置かせてもらいましょうよっ!」

ヴィーネ「私、ポスターを作ってくるわねっ! お菓子、販売中ですよって!!」

ラフィエル「ふふ、材料の確保が有りますので、私はそろそろ行きますねっ!」

ガヴリール「私もあのメイド服持って来なきゃ、明日は身嗜みもちゃんとしなきゃっ!!」

サターニャ「あんた達、待ちなさいよっ!! ……円陣、組むわよ?」


ガヴリール「円陣って……ははっ、まったく、お前らしいな!」

ヴィーネ「もう、サターニャったら……こういうのが大好きなんだからっ♪」

ラフィエル「はいはーいっ! 円陣しましょう、皆さん揃って揃ってっ!! 一緒にやりましょう~♪」

委員長「ちょ、私こういうのは恥ずかしいんだけど~……///」

上野「委員長、恥ずかしがってちゃダメだよ~♪」

田中「ちゃんと声出して、心を一つにしなきゃ意味ないんだからね~?」

サターニャ「みんな、いいかしら? 明日からのお菓子販売、気合いを入れて行くわよ~?」

「「えい、えい、オーーーッ!!!」」


ヴィーネ「あははー、やっぱりちょっと恥ずかしいかも~♪」

ガヴリール「よし、明日から頑張るぞっっ!!」

サターニャ「みんな、今日は解散っ!! 明日から、よろしくね~っ!!」

──翌日


ガヴリール「いやいや、よく考えたら私……ノリノリ過ぎじゃねぇ? お菓子、ほんとに売れるのかよ……」

ガヴリール「まあいいか、授業始まる前に調理部でも覗きに行ってみるかな」


……ガラガラッ!!


サターニャ「この生地、作ってくれる?」

上野田中「はいっ!!」

ヴィーネ「ここはこの飾り付けで、良いかしらね?」

ラフィエル「調理器具の数はこれくらいで足りるはず……」ブツブツ

委員長「食べた後のゴミ散らかしを防ぐためには、廊下にゴミ箱の数を増やして……」ブツブツ

ガヴリール「……なんか、めっちゃ凄い事になってるんですけど」

ガヴリール「お前ら、いくらなんでも朝早過ぎだろ……」


ヴィーネ「あっ、ガヴっ♪ おはようっ!!」

ガヴリール「おはよう、ヴィーネ……入り口のポスターやらデコやらは、お前の仕業か?」

ヴィーネ「えへへっ♪……ちゃんとお店の形にしなきゃ~って!!」

ガヴリール「昨日には無かったこの大型調理器具の数々……これはラフィの仕業か?」

ラフィエル「ガヴちゃ~ん♪ 冷蔵庫の数はこれくらいで足りると思いますか~?」

ガヴリール「いやいや、初期投資にお金掛け過ぎだろ……売れなかったら大赤字じゃねーか!!」

上野田中「天真さん、おっはよ~~っ♪」

ガヴリール「おはよう、愉快な二人組……お前らも、早いなっ!」

サターニャ「ガヴリール、おはようっ!!」

ガヴリール「サターニャっ!! お前は…… 一体、いつから此処に居た?」


委員長「私が一番乗りかと思ってたんだけど、胡桃沢さんが朝から既に居たのよね……」

ラフィエル「私は夜中、一旦ここへ材料の持ち運びのためにやって来たのですが……」

ラフィエル「サターニャさん、その時にもお会いしましたよね? まさか、あの時から一度も帰っていないんですか??」

サターニャ「フフン、お菓子は下ごしらえが必要なものもあるのよ? 早起きは当然ね~っ!!」

ガヴリール「……何時、だ?」

サターニャ「えっ?」

ガヴリール「何時から居たんだよ、お前……」

サターニャ「0時ねっ!! どう、悪魔的な時間でしょう?」ドヤァ

ガヴリール「……このバカっ!! 初日からそんな無理して、身体壊したらどうすんだよっ!!」


サターニャ「大丈夫よっ? 私は、身体の丈夫さだけが取り柄なんだからねっ!!」

ガヴリール「却下だ……保健室に行って仮眠を取って来いっ!!」

ガヴリール「いいか、無茶はするなよ! 今日は目を瞑るが、明日からは授業もちゃんと受けろ!!」

ガヴリール「それが出来なきゃ、私はこの計画には……絶対に反対なんだからなっ!!」

サターニャ「が、ガヴリール……? うん、わかった!! そう……するね?」

サターニャ「ごめん、みんな……私、ちょっと休んでくるっ!!」

上野「大丈夫ですよ、後は任せてくださ~い♪」

田中「出来る限りの事は、私達の方で済ましておきますからね~っ!!」

……パタン!!


ガヴリール「ったく、ほんとしょうがねえなアイツは……」

ヴィーネ「ガヴ、ありがとね?」

ラフィエル「私たちも休むように言っていたのですが……何を言っても、ただ大丈夫の一点張りでして」

ガヴリール「いや、お前らも無理はすんなよ? 倒れたら、意味が無いんだからな……」

委員長「販売は今日だけじゃないわ……初日から飛ばし過ぎてても、バテるだけよ?」

田中「これからもずっと続けていくんだから、自分のペースは守らないといけませんねっ!」

上野「私達でフォローし合えば、無茶なんかしなくても大丈夫ですよっ♪」

ガヴリール「やれやれ……何かあったら、私もみんなのフォローに回ってやるんだからな?」


委員長「そういえば……」

ガヴリール「んっ? どうした委員長?」

委員長「いえ、本当は……今いる私たちの中で、一番凄いのは天真さんなのかもしれないって」

ラフィエル「ガヴちゃんはとっても凄いですよ~? 本気を出されたら、私では絶対に敵いませんからっ♪」

ヴィーネ「ガヴは普段やる気無さすぎなだけで、本当はすっごく優秀なのよね……」

田中「入学式から暫くの間の天真さんは、どこかのお嬢様みたいでしたもんねっ!!」

上野「あの頃の天真さんは、完璧な無敵美少女って感じでしたよ~!!」

ガヴリール「おい、止めろっ!! 私を持ち上げたところで、何にもならんぞっ!!?」


ヴィーネ「あの頃のガヴは、ほんと何処に行っちゃったのかしら……?」

委員長「そうね、あの頃の天真さんは……今となっては有り得ない幻なのよね」

ガヴリール「いやいやっ、私を退化したみたいに言うなよっ!? 私は、あの頃よりも進化をしているんだぞっ!?」

ガヴリール「あの時の自分では出来なかった事も、今の私だからこそ可能に変えれる事もあるんだ!!」

ラフィエル「ほうほう? ……それは一体、何なんですかね~? ガヴちゃん」

ガヴリール「お前ら…… これを見ろッッ!!」

上野「これは……ホームページ?」

田中「えっ……? これ、まさか天真さんが作ったのっ!?」


ガヴリール「そうだ、お前たち……そして、あのサターニャもっ!! 私の役割を盛大に勘違いしているッ!!」

ガヴリール「私の真の役割は売り子ではなく、このネット戦略なんだよ!!」

ガヴリール「世界征服する上で最も重要な事は何か? それはズバリ言う、ネット戦略だッ!!」

ガヴリール「ネットを無視して世界征服なんて有り得ないと断言するね、私はッ!!」

田中上野「おおー……」

委員長「確かに、一理ある……いえ、これは真実と言っても良いくらいだわ……」

ヴィーネ「ガヴ、あなたまさか……誰にも言わず、一人でこれを作り上げてたのっ!?」

ラフィエル「これは……一本、取られましたね」

ラフィエル「もしかしたらこの経営計画で、一番重要なのはガヴちゃんなのかもしれません……」


ガヴリール「ふんっ……お前ら、今に見とけよ~?」

ガヴリール「私がネットで広めまくって、このお菓子の宣伝をしまくってやるんだからなっ!!」

ガヴリール「すぐに学校内で留まらない規模で、このお菓子は飛ぶように売れるようになる!!」

ガヴリール「世界征服なんて遠い夢だと思ったら大間違いだからな? すぐに、間近に感じさせてやるよ!」

田中「うわ~っ、めっちゃ頼もしいっっ!!」

上野「天真さんが、なんだかとてつもなくスゴい人に見えてきたっ!!」

ヴィーネ「ちょっ、ガヴ……あんたってば、ほんとツンデレよね~っ!!」

ラフィエル「ガヴちゃーん!! やっぱりガヴちゃんは、凄いですよっ! 一生尊敬しちゃいますよ~っ♪♪」

──昼休み


サターニャ「みんな~、心配掛けたわねっ!!」

ヴィーネ「あっ、サターニャっ♪ どう、体調の方は平気かしら?」

ラフィエル「寝不足で倒れても困りますからね~♪」

ガヴリール「主役のお前が居ないと、こっちの方が困るんだ……無茶はすんなよ」

サターニャ「ふっふっふ……もう平気よっ!! ごめんね、やっぱりちょっと無理をしてたみたいで」

サターニャ「でも、もう全然大丈夫っ!! 早く、お昼ご飯食べましょうっ♪」

ガヴリール「大丈夫なら良いんだ……うん、ならこの後、お昼の販売を開始しようか」

ヴィーネ「ポスターを見てくれてる人は結構いたわっ! きっと、買いに来てくれる人はいるはずよっ♪」

ラフィエル「一口でも食べて貰えれば、きっと良さは伝わってくれるはずですよ~♪」


上野「胡桃沢さ~んっ!! 調理部の前、めっちゃ人集りが出来てますよー!!」

サターニャ「えっ? ちょっ、まだ昼休みは始まったばかりなのよっ!?」

ヴィーネ「私たちも、まだお昼ご飯食べてる最中なのにっ?!」

田中「なんだか、あの匂いに釣られちゃった人が沢山いるみたいなんです~っ!!」

委員長「朝から良い匂いのせいで、待ち切れないって人が結構いるみたいよ……」

ガヴリール「これは……こうしちゃいられないな!! 早く昼飯を食べ切るぞっ!!」

ラフィエル「ガヴちゃん、焦っちゃダメですよ♪ そんなに焦ると、喉に詰まっちゃいますよ~?」

サターニャ「ご馳走様っ! 私、先に行くわねっ!!」

ヴィーネ「ちょっ、サターニャ!? もぐもぐっ!! ご馳走様っ!!」

ラフィエル「ふふっ、私も行きますね~♪」

ガヴリール「お前ら!? えっ、おいっラフィ~!? ちょ、みんな飯食うの早過ぎだろーっ!!」

ガヤガヤ……ッ!!


ラフィエル「わぁ、凄い人の数ですっ……これは予想外ですね~」

ヴィーネ「昼休みはお菓子のストックが間に合うわっ!! でも、このままだと放課後の分が全然足りない……っ!!」

サターニャ「焦っちゃダメよ、ヴィネット……放課後の分はその時、作れた分だけ販売すればいいわ」

田中「外では天真さんが手際良く販売してくれていますが……一人で、あの人数は……」

上野「外よりも中ですよっ!! この売れ捌きようは、いくら作っても足りませんっ!!」

ラフィエル「ガヴちゃんは大丈夫です、この昼休みは乗り切れますっ!!」

ラフィエル「問題は……やはり、放課後ですかね……」

…………
……


ガヴリール「よ、よしっ!! なんとか乗り切れたな……」

委員長「お疲れ様、天真さん……」

ガヴリール「委員長の方こそ……よくあの人集りをあんなに綺麗に誘導できたな!」

委員長「学校の風紀を乱すわけにはいかないからね……先生に、目を付けられるのは嫌よ?」

ガヴリール「ははっ……やっぱり委員長が居てくれて良かった!」

委員長「問題は、放課後よ……きっとこれ以上の人集りが殺到するわ」

ガヴリール「やっぱり、か……だよな?」

委員長「一度買った多くの人が、一口食べてからもう一度列に並び直していたわ……」

ガヴリール「いきなりリピーターかよ……まあ、そりゃそうだよな~サターニャのお菓子、美味しいもん」

委員長「ふふっ……新規オープンの店で、新規客よりもリピーター殺到の心配だなんて、贅沢な悩みよ?」

ガヴリール「そりゃそうなんだけど……でもお菓子、たぶん足りないんだろなぁ……」


ヴィーネ「新規客、それに加えておそらくリピーターもやって来る……ねえ、放課後はどうするつもりなの?」

ヴィーネ「どう考えても、このままだとお菓子の量が足りないわっ!!」

ラフィエル「はい、大丈夫ですよっ♪ ちゃんと対策はありますからっ!」

サターニャ「値上げは……反対よ? そんな方法で、買ってくれる人たちを絞りたくはないわっ!!」

ラフィエル「サターニャさん、もっとシンプルな方法ですよ~? ただ、一人一個の限定販売にすればいいんですよっ♪」

田中「一人一個? まあ、確かに……シンプルだけど、それが妥当な対策ですね!」

上野「今あるお菓子と、放課後から私たちが作れる分……全校生徒の数を考えても、一人一個限定なら間に合う、か」


ラフィエル「一人一個限定なら、ガヴちゃん側も数が固定されてて多少は販売がしやすくなると思いますからね!」

ラフィエル「とりあえず今日の所はそれで凌ぎましょうっ! あとは皆さんが今日、夜の10時頃までお菓子作りをしてくれれば……」

ヴィーネ「夜10時、か……まぁそれがギリギリのラインかな? お菓子のストックを作れるまでは、仕方ないかも」

サターニャ「わ、私は徹夜してもいいんだけど……」

ガヴリール「おいこら、サターニャ……駄目だぞ? 私との約束は守れよ?」ヒョコッ

サターニャ「が、ガヴリールっ!! ……んもうっ!! 分かってるわよ~っ?」

ラフィエル「みなさ~ん!! もちろん、これは強制なんかではありませんよ~?」

ラフィエル「お菓子が足りなければ、また個数を制限しての販売にすればいいんですからね!」

田中「私は大丈夫ですよ、むしろもっと遅くても良いくらいですっ!!」

上野「私も、私もっ!」

委員長「あんた達ねぇ……やる気があるのは構わないんだけど、やっぱり夜10時が高校生としての限界よ?」

委員長「その時間までには、ちゃんと帰りなさいよね?」


ラフィエル「こうなってくると、当面の課題は……人材の確保、ですかね~?」

ガヴリール「なら、タプリスをこっち側に引き入れようか?」

ガヴリール「あいつはポンコツだけど、居ないよりはまあマシだろう」

ヴィーネ「ちょっ、タプちゃんをそんな風に悪く言わないでよ~!?」

サターニャ「クックック……次の標的は、あの後輩マフラーってわけねっ!!」ドヤァ

委員長「ねえ、みんな……とりあえず午後の授業をちゃんと受けましょう? サボりは良くないわ」

田中「放課後には、また戦いが控えてますからね……」

上野「そうですね、気持ちは逸りますが……授業は、ちゃんと受けましょう!」

──放課後……


委員長「お一人、一個限定でお願いしま~すっ!!」

ガヴリール「有難うございましたー! はい、次っ! 有難うございましたー! はい、次っっ!」

グラサン「一つ、頼む……」

ガヴリール「グラサンじゃん!! はい、どうぞ~!」

グラサン「天真……お前も最近、活き活きとしているな?」

ガヴリール「おうっ! 先生も、また買いに来てくださいねっ!!」

\もっと売ってくださ~い/


ガヴリール「ダメだダメだ駄目ッ!! 今日は一人一個だ、足りなきゃ明日も買いに来いっっ!!」

ラフィエル「これは……券売機が必要ですかね~?」

コンコンッ……!!


タプリス「こ、こんにちわ~……あ、あの~っ! お手伝いに来たのですがっ!」

ヴィーネ「あら、タプちゃんじゃないっ! よく来てくれたわね~♪」

田中「あなたが千咲さんね、話は聞いてるわっ! 私が田中で、こっちは上野よっ♪」

上野「千咲さん、よろしくね~♪ 今、人手が足りなくて困ってるのよっ!」

サターニャ「あら? ふっふっふ……わざわざあなたの方からココにやって来てくれるなんてっ!!」

サターニャ「もちろん、あなたも私の配下になりに来たのよね~?」ニヤッ

タプリス「わ、私は白羽先輩に言われて、ココにいる天真先輩を助けに来たんです~っ!!」

タプリス「断じて、あなたの配下に成りに来たわけじゃありませんよっ!?」


ヴィーネ「でもタプちゃん……ここに居るみんなは、全員サターニャの配下なのよ?」

タプリス「えっ……? いやいや~、何を言っているんですか月乃瀬先輩っ!! 冗談は止めてくださいよぉ~♪」

田中「千咲さん……ここにあるお菓子は、み~んな胡桃沢さんが主体になって作っているものなのよ?」

上野「この今やってる販売計画だって、胡桃沢さんが全部中心になって、纏め上げたものなのよ?」

タプリス「えっ? えっ? いや、あの……みなさん、冗談ですよね?!」

サターニャ「もちろん、あのガヴリールだって、私の配下よ~っ!!」ドヤァ

タプリス「えっ? ええええ~っ!?」ガーン

タプリス「嘘ですよね? 嘘だと言ってください、月乃瀬先輩~~っ!!」

ヴィーネ「うーん、嘘じゃないのよねぇ、これが……」


サターニャ「フッフッフッ……さあ、どうするの? あなたも、私の配下になってみる?」ドヤァ

タプリス「ぐっ……わ、私は天真先輩が困ってるって言うからここに来たのに~っ!!」

ヴィーネ「タプちゃん、とりあえずお菓子でも食べて落ち着いたらどうかしら?」

タプリス「こ、このお菓子はっ!? いま学校中で話題になっている、数量限定のお菓子じゃないですかっ!!」

田中「今日の放課後は、一人一個で販売制限をさせて頂いているこのお菓子、ですが……」

上野「我々の組織に下ると言うのならば……特別に、いくら食べても構いませんよねぇ?」

サターニャ「クックック……まあそういう事よ、私の配下になると言うのならば、特別にいくら食べても良いわねっ!!」

タプリス「ぐぐっ……つまり、その一個はべつに普通に食べてもいいって事ですよね?」

タプリス「要は、その一個だけで我慢をすればいいだけの話じゃないですか~っ!!」

タプリス「こんな、お菓子ぃ……えっ? お、おおお美味しい~っ!? な、なんですかコレぇー!!?」パアア


サターニャ「なーはっはっはっ!! どうかしら~? 私たちの作ったお菓子、美味しいでしょ~♪」

タプリス「ぐぐっ……お、お金は払いますからもう一個っ!!」

田中「うーん、それは……ちょっとダメですよね~?」ニタァ

上野「配下以外の人に、これ以上のお菓子は食べさせられませんよねぇ~?」ニヤニヤ

ヴィーネ「もう、みんな意地悪しないのっ!! ほらタプちゃん、もっとお菓子食べてもいいわよ~?」

ヴィーネ「それと、配下と言っても……ただ一緒に、お菓子を作る仲間ってだけなんだからねっ♪」

サターニャ「ちょっ……ヴィネットぉ~~!?」

タプリス「なーんだ、ビックリしました……なら、私も皆さんのそのお菓子作りの仲間に入れさせてくださいっ!!」

タプリス「それと……胡桃沢先輩、本当にお菓子、すごく美味しいですよっ!! 私もこのお菓子のためなら、喜んで協力をしますねっ♪」

──タプリスが、仲間に加わった……!!


タプリス「今いる外の人たちは、このお菓子が一個しか食べられないんですよね……」

ヴィーネ「そうよ? だから明日には、もっと食べて貰えるように、いっぱい作らなきゃいけないわね!」

サターニャ「でも無理はしない事よ? 睡眠時間を削ったり、学業をサボってまでは論外なんだからねっ!」

上野「あはは、天真さんに言われちゃってますからね~!」

田中「そういえば、白羽さんは何処に?」

タプリス「白羽先輩は、材料の買い出しに行くとか言ってましたよ?」

タプリス「他にも要るものが沢山あるとか、なんだとか……」

ヴィーネ「ラフィに任せとけば、物資の心配はいらないわ! 私たちは、お菓子作りに専念しましょ?」

サターニャ「私が必要だと思った物も、いっぱい頼んでしまったからね……ラフィエルの方も、きっと大変よ?」

…………
……


ガヴリール「おーい、お前ら~……おっ、タプリスもちゃんと手伝っているな~!!」

タプリス「天真先輩っ!! 外はもういいのですか? 私が来た時には、凄まじい人だかりでしたけど……」

委員長「そろそろ下校時刻だからね……切り上げて来たわよ?」

ヴィーネ「……ってことはお菓子、今日の分はなんとか乗り切ったってことねっ!」

サターニャ「よし、これで今から作る分が明日のストックになるのねっ!! まだまだいっぱい作るわよ~♪」

田中「一人一個だとして、逆算すると……うわ、ほぼ全校生徒が買いにきたんじゃないですかね~?」

上野「外の販売も大変だったでしょ、二人ともお疲れ様っすねっ!!」

ガヴリール「ああ、それな……グラサンが生徒たちの列を纏めるのを手伝ってくれたんだ」

委員長「さすがに私だけじゃ誘導し切れなかったから、ほんと助かったわ……」


サターニャ「グラサンがっ? へぇ~、アイツも気が利くじゃない!!」

サターニャ「それに、ガヴリール……あんたの方も、さすがね?」

ガヴリール「一人10秒、1分6人、1時間で360人……まっ、私の手に掛かればこんなもんだな!!」

ガヴリール「ただ、今日は一人一個という制限だったから……それで手早く販売しやすかっただけだぞ?」

委員長「さすがに毎日コレだと厳しいわよ? 先生も、毎日手伝ってくれるわけじゃないんだし」

田中「明日からは個数制限、無しですよね? お釣りとかでも結構手間取っちゃうでしょうね……」

サターニャ「外の販売に、人数を割いた方がいいのかしら? 今のままだとガヴリールの負担が大きいわね……」

ヴィーネ「中は中で大変だけど……タプちゃんも来てくれたんだし、なんとかなるわよ?」

タプリス「わ、私はテキパキ動くのは苦手で……人の誘導とかも、あまり自信がないんですけど……」アセアセ

上野「私も、そういうのはちょっと……誰が外に行くべきか、悩みますねこれは」


ラフィエル「はいはーい、みなさ~んっ!! お疲れ様で~す♪」

上野「白羽さん……ちょっ!? その山のような荷物は、一体なんなんですか~!?」

委員長「えっ、もしかしてコレ……まさか、券売機なのかしら?!」

ラフィエル「これがあれば、販売がスムーズになりますよ~♪」

ガヴリール「ラフィ……よし、でかしたっ!! これで私の方も随分、楽になるぞっ!!」

ラフィエル「あと、食堂の方にも話を通しまして、お菓子を置いてもらえる事になりました~♪」

田中「おおっ!? これで買ってくれる人をあっち側にも分散出来ますねっ!」

ヴィーネ「えっ……ってことは食堂のおばちゃん達も、もう私たちの協力者ってことなの? 凄いわ!!」

タプリス「問題がどんどん解決していく……白羽先輩、さすがですっ!!」

サターニャ「ラフィエル……あんた、今日仕事し過ぎでしょっ! ほんと有能だわね、あんたっ!」


委員長「販売時の混雑が緩和されるのなら、誘導の方ももう必要なさそうね……私もこっちのお菓子作りを手伝うわ!!」

ガヴリール「私も売り子以外の時間は手伝うんだからな? どんどん作り上げるぞっ!!」

ラフィエル「もちろん、私も仕入れ以外の時間はお手伝いしますよ~! じゃんじゃん作っていきましょうねっ♪」

サターニャ「これと、良し……やった、全部揃ってるっ! これならバリエーションも増やせるわっ!!」

田中「一時はどうなるかと思いましたが……これならお菓子のストックの方が貯まりそうですねっ!」

ヴィーネ「よく考えたら、今日は早朝から作った分だけでやり繰りをしていたんだもんね、私たち!」

上野「こうやって放課後にじっくりお菓子を作り貯めていたら、明日以降は焦らなくても大丈夫ですよっ♪」

タプリス「あ、あの~……下校時刻がもう過ぎているんですけど、皆さんはまだ帰らないんですか?」

ヴィーネ「用事があるのなら帰っても大丈夫よ? ここでの無理強いは、誰もしていないだから、ね?」

委員長「ちなみに、ちゃんと学校の許可は取ってあるわよ?」


タプリス「い、いえ……もちろんっ! 私だって皆さんが帰るまでお付き合いしますよ~っ!!」

ガヴリール「よし、タプリス!! お前は私たちが作ったこのお菓子をどんどん包装していくんだっ!」

ラフィエル「外が真っ暗になったら、休憩して夜御飯にしましょう♪ 皆さんは何が食べたいですかね~?」

ヴィーネ「あっ、それなら晩御飯は私が作るわよ? お菓子だけじゃなく、ちゃんとした物も食べないとねっ!」

田中「ここは調理部ですからね、お菓子以外の材料もちゃんとありますよ~♪」

上野「冷蔵庫の中の野菜は腐る前に使い切ってくださいね? まあ月乃瀬さんなら、心配は要りませんけど……」

委員長「今見たら、なんかお菓子や晩御飯の材料以外にも、パンだとかアイスだとか色々と増えているんだけど……」

サターニャ「いつの間にか部屋に敷き布団なんかもあるわね……もう、此処を私物化する気満々でしょあんたっ!」

ラフィエル「ふふっ、学校側の許可はちゃんと取ってま~す♪」

……わいわいっ!!


田中「こうして振り返ってみると、もうこの学校の制圧は完了しているような気がしてきますよね……」

上野「確かに、今日の状況を見てるとそれも過言ではない気がしますよね~♪」

委員長「既に全校生徒が、胡桃沢さんのお菓子中毒になっていると言ってもいいくらいだわ……」

ガヴリール「今日の状況を間近で見てた私が言うが、それは間違いないな……」

ガヴリール「お前は……たった1日で、この学校を制圧しちまったんだよ!」

サターニャ「ふふん、当然よ? なんせ夢は世界征服なんだからねっ!!」

ヴィーネ「この先、この学校自体を拠点にしてしまうのもいいかもしれないわね~!」

ラフィエル「ふふっ、生徒たちを全員お菓子作りの作業員にさせて……それもまた、素敵な事ですよね~♪」

委員長「あなた達の考える事は恐ろしいわ……でも、実際にそれも可能なのかもしれない」

ガヴリール「お菓子作りに協力しなければお菓子抜き、だ……どうだ、簡単だろう?」ニヤッ

上野「あ、悪魔がいるっ!! ここに悪魔がいますよぉ~っ!?」

タプリス「あはは……でもその手で、みなさん胡桃沢先輩の手に落ちたんですよね?」


サターニャ「ふふ、みんなっ! 私のお菓子の魔翌力は、それだけじゃないわよ~?」

サターニャ「私は洋菓子店の娘で、小さい頃からこのお菓子を食べ続けてきてるわけだけど……」

サターニャ「どう? 私のスタイルは?」クルッ


委員長「えっ? ま、まさか……」

ガヴリール「おいおい、サターニャ……まさか、それは流石に冗談だよな?」

ラフィエル「サターニャさんって、そういえば……スタイル、凄く良いですよね?」

ヴィーネ「確かに、小さい頃からお菓子を食べ続けてきたら……もっとこう、太っててもいいはずよね??」

田中「えっ、なんすかそのチート……」

上野「もしかして、これって胡桃沢さんの無双話だったりするんですか……!?」

タプリス「チートは良くないですよ、胡桃沢先輩っっ!!」


サターニャ「ふふんっ♪ 私のこのスタイルの良さが、何よりもの証拠よっ!!」

サターニャ「ちなみにお父様も、お母様も、弟も……家族の中で太っている人は一人もいないわっ!!」

委員長「嘘っ……!? 洋菓子店の家なのにっ!?」

ガヴリール「母親も、弟も、かよ……家族が全員とか、お前ん家のそのお菓子は一体どうなってんだよ!?」

ヴィーネ「今ここに、サターニャ家の恐るべき事実を思い知ったわ……」

ヴィーネ「確かに、サターニャの家族は洋菓子店なのに、誰も太っていないっ!!」

ラフィエル「サターニャさんって、肌のツヤも良いですし……その、凄く健康的ですよね??」

田中「もしかしてこのお菓子、デメリットが無いのですか~!?」

上野「正直、食べ過ぎによる弊害を懸念していたのですが……これは」

タプリス「もはや『悪魔が作る夢のお菓子』と言ったところですね、これ……」


ヴィーネ「あははっ……『悪魔が作る夢のお菓子』で世界征服~っ!! すごく良いじゃないっ♪」

ラフィエル「ふふっ、学校以外の支店もそろそろ考えた方が良さげですね~♪」

ガヴリール「それなら良い場所があるぞ、マスターの喫茶店に置いてもらおうっ!」

サターニャ「あそこの喫茶店ねっ! あのマスターなら、話せば引き受けてくれそうだわ!!」

上野「うわー、さっそく学校以外の場所にも進出開始ですかっ!!」

委員長「あなたたち、学校以外の場所についても既にアテがあるのね……恐れ入ったわ!」

田中「学校外となると、もう本格的に経営ですよこれはっ!!」

タプリス「あわわっ……私、いつの間にか凄い事に巻き込まれちゃってますっ!」

ガヴリール「あのマスターも、きっと店が繁盛して喜ぶだろうなぁ……いつもは閑古鳥が鳴いている状態だし」


ラフィエル「私は、あのマスターの作る珈琲は本物だと思うんですよね~」

ラフィエル「お菓子と珈琲……この組み合わせは、きっと強力な武器になりますよ~♪」

ヴィーネ「きっかけさえあれば、あのマスターの淹れる珈琲だって世間的に広まるかもしれないわね!」

田中「その珈琲がもし好評なら、こちら側にも仕入れましょうよっ!」

上野「これは、鬼に金棒な予感がしますね……っ!!」

サターニャ「ふふん、珈琲に合うお菓子をチョイスして、送り付けてやるわっ!!」

サターニャ「あのマスターも、私のこのお菓子で骨抜きにしてやるんだからね~っ♪」

委員長「そこの喫茶店と、話が上手く纏まれば……遂にこのお菓子も世間一般に出回るのよね」

タプリス「な、なんだかワクワクしてきちゃいましたよ、私っ!!」

ガヴリール「フン、あのマスターにも私という人材を雇えた事を、感謝させてやるんだからなっ!!」


ヴィーネ「問題は、私たちが1日で作れるお菓子の量よね……足りるのかしら?」

上野「学校の生徒と、喫茶店で売る分……今の私たちで、ギリギリで賄える範囲ですかね?」

委員長「こうやって毎日、私たちが放課後にお菓子作りしてて……それでなんとか間に合う範囲かしら?」

ガヴリール「いずれは世界征服をするんだぞ? もっと大量に生産する目処を早く立てておいた方がいい」

ラフィエル「ふふっ、学校の生徒たちに協力してもらって大量生産をする……それの構想と、方法ですよね?」

ラフィエル「大丈夫です、私がその大量生産を可能にしてみせますっ!!」

サターニャ「あんた、ほんと頼もしいわね~……そっちの構想は、任せたわよっ?」

田中「うわー、なんかもう学校中が白羽さんの手によって改造されてゆく未来が見えてきますよ……」

タプリス「なんだか、どんどん話が具体的に広がっていってて恐ろしいですーっ!!」


ラフィエル「でもとりあえず、明日の第一目標は喫茶店の攻略ですよ~? まずは順番に行きましょうっ!!」

田中「そうですね、まずは支店を確保して、外での販売を実際に可能にしてからにしましょうよ」

上野「現在の規模なら、私たちでまだ間に合う範囲ですからねっ!」

ガヴリール「まぁ交渉の方は私に任せとけばいいんだけどな……どうせ、明日はバイトに行くついでなんだし」

ヴィーネ「券売機になったのなら、接客の方は私でもこなせると思うわっ! ガヴ、明日は早めに切り上げてもいいわよ?」

ガヴリール「放課後直後のピークだけは私がちゃんとこなしてやるよ……バイトなんて、その後でも間に合うからなっ!」

サターニャ「ガヴリール、あんたには喫茶店支部での代表を任せるわねっ! そっちをメインにしても構わないのよ~?」

ガヴリール「はっ? やだよ、喫茶店支部での代表はまあ引き受けるが……私は普段はここで、お前の近くにいるんだからなっ!」

委員長「天真さんって、もしかしてかなりのツンデレなのかしら……?」

タプリス「あわわっ、天真先輩が……なんだか、ただ照れ隠ししているだけのように見えます~っ!?」


ガヴリール「あー、もう~っ!! とにかくお前ら、明日の交渉は私に任せとけって!」

ガヴリール「ただお菓子見せて、それで納得させるだけだ……人数なんて、べつに要らないんだからな?」

ラフィエル「ふふっ、ならばここはガヴちゃんに任せておきましょうかっ♪」

サターニャ「お菓子は私が包んでおくわ、食べさせたら絶対に納得いかせるものをねっ!!」

タプリス「天真先輩が、喫茶店での支部代表になるんですよね? 頑張ってくださ~い!!」

ガヴリール「あのなぁ……支部代表と言っても、バイト以外での普段の接客なんて、全部あのマスターに任せるんだからな?」

田中「私たちも、いずれは何処かの支部代表になったりするんですかね~?」

サターニャ「あんた達も、規模が大きくなれば、いつか何処かを任せる時が来るかもしれないわねっ!!」

上野「どちらにせよ、大量生産ラインを敷けば胡桃沢さん一人に全ての作業を見てもらうのは大変になりますからね……」

委員長「私たちの方でも、ある程度のノウハウは各自で身に付けておいた方がいいかもしれないわね……」

ヴィーネ「サターニャに定期的に出来上がったお菓子をチェックして貰えれば、きっと大丈夫よっ♪」


ラフィエル「みなさ~ん、そろそろ今日の所は切り上げましょうっ!!」

田中「いやいや、何を言ってるんですか~……って、嘘ぉっ!? もうこんな時間っ!?」

上野「皆さんと会話をしていたら、時間が経つのがあっという間ですね……」

委員長「夜10時って、最初は長丁場だと思っていたんだけど……全然そんな事は無かったわね」

ヴィーネ「お菓子の方は……うん、かなりの数が出来上がっているっ!!」

ガヴリール「よし、これなら明日は一人3個でも問題ないなっ!」

ラフィエル「3個……そうですね、まだ上限無しは、ちょっと早いですからね~」

タプリス「1日3個なら、それなりに満足はしてくれるんじゃないですか??」

委員長「個人なら、ね……家族にも食べさせたいって人は、沢山いるはずよ?」

田中「ああ、そっかぁ……やっぱり、まだまだいっぱい作る必要があるんだっ!」

サターニャ「とりあえず、学校の生徒たちを手篭めに出来る分があれば今の所はそれで充分よ~?」


ヴィーネ「みんな、今日の所はもう帰りましょう? これ以上はさすがに遅くなりすぎるわっ!」

上野「まぁ1日3個で、今は良しとしましょうかね……」

ガヴリール「いずれは大量生産の方を、ラフィが仕組み作り上げて敷いてくれるんだろう?」

ラフィエル「はい、もちろんですっ!! 任せてくださ~いっ♪」

委員長「もう夜遅いんだから、みんな夜道には気を付けて帰るのよ?」

サターニャ「みんな、今日はありがとねっ!! 明日からも……よろしくお願いしますっ!!」

田中「ははっ、今更そんなの畏まらなくてもいいじゃないですか~♪」

上野「私たち、もうすでに運命共同体みたいなものですもんねっ♪」

タプリス「わ、私もっ! もうこうなったら皆さんの歩んでいく場所にトコトン付いて行きますよ~っ!?」

「「あははっ……明日も、皆んなよろしく~っ!!」」

…………
……


現在の勢力図一覧

大悪魔:サターニャ(総帥)

幹部:ラフィエル(経営全般)
   ヴィーネ(製造、???担当)
   ガヴリール(販売、ネット部門)

配下:上野(厨房担当)
   田中(厨房担当)
   まち子(厨房兼その他、風紀関連)
   タプリス(雑用)

協力者:グラサン、及び先生方
    食堂のおばちゃん達

制圧箇所:学校全体、及びその生徒達

拠点:学校敷地内、調理部室

次点の目標……マスターの喫茶店を支部に収める


ヴィーネ「ラフィとガヴの活躍が著しいわね……さすが、幹部と言った所かしら?」

ヴィーネ「このまま勢力が拡大すれば……いずれ、私の真の役割を明かす事もあるかもしれないわねっ♪」

──翌日


ガヴリール「マスター、ちょっとイイっすか?」

マスター「んっ、なんだい天真君? おや、その手に持っている包みは……」

ガヴリール「ええーと、ですね……このお菓子を、ここで販売して欲しいんスよ!」

マスター「このお菓子を……? いや、急にそう言われても困るんだが、このお菓子は何なのかな?」

ガヴリール「これは今、私たちが学校で作っているお菓子です……これで、この世界を征服してやるつもりッス!」

マスター「世界を……征服って? ははっ、そりゃイイねっ!! こう見えても、私も昔はブイブイと言わせてたんだよね~♪」

マスター「でもね天真君、喫茶店の経営は遊びじゃないんだよ……悪いけど、学生が作った物は置けないな~」

ガヴリール「食ってから言ってください、マスター……絶対に、納得しますんで」

マスター「ははっ……まあ天真君たちがせっかく作ってきてくれたみたいだし、ちょっと頂いてみようかな?」

ガヴリール「どうぞ……ちなみに、世界征服というのは冗談ではなく、マジですので」


マスター「ふむふむ、なるほど……これは形、見た目共に素晴らしい出来映えだっ!! とても学生が作ったとは思えないな~!」

ガヴリール「あのサターニャが直々に作ったお菓子なんですから、当たり前です」

マスター「んっ? あのいつも天真君をからかいに来る、元気な子か……」

マスター「どれどれ……ははっ、この見栄えなら、味さえ良ければ本当に販売を検討してもいいかもしれないな~!」

ガヴリール「早く食べてくださいよ、マスター……焦らしても、何も出ませんよ?」

ガヴリール「あと、私はお願いをしているつもりはありませんから……『販売させてやってもいい』というつもりですよ」

マスター「ははっ……もぐもぐっ! えっ?……お、おおお美味しい~っ!!?」

マスター「て、天真君っ!! 君の持ってきたこのお菓子は、一体……な、なんなのかな~っ!??」

ガヴリール「だから私達が作ってるお菓子ですって……あと、もうそのリアクションの結果は既に見えてましたよ」


ガヴリール「ちゃっちゃと話を進めましょう……このお菓子を、ここで300円で販売して欲しいんです」

マスター「さ、300円っ!? いやいや、このお菓子ならその倍……いや、千円を超えてても売れるはずだよっ!?」

ガヴリール「学校では200円で販売をしています……これでも、1.5倍の値段設定ですよ?」

ガヴリール「これ以上の値上げに関しては、サターニャが直々のNOサインを下しているので絶対に行えません」

マスター「なんと、勿体ないっ!!……ちなみに、仕入れの数に関しては?」

ガヴリール「1日、100個のみですね……充分かに見えますが、実際には全然足りないと思いますよ?」

マスター「1日100個……お客様一人、一個限定でご提供すれば、なんとか……」

ガヴリール「100人なんてあっと言う間です……時間を分けて、小出しにした方がいいと思いますね」

ガヴリール「私の学校では、販売1日目にして既に全員がこのお菓子の中毒に陥りましたから」


マスター「天真君……もう少し、提供してもらうことは出来ないかな? 100個と言わずに」

ガヴリール「私の学校では今、一人3個上限での販売をしています……今の所、そちらの方で手が一杯なんですよね」

ガヴリール「まあ、いずれ大量生産をするつもりですから、その時には千個でも一万個でも提供しますよ?」

マスター「分かった……今は、その100個で話題を呼び込めば良いんだね?」

ガヴリール「そういう事です、話が分かりますねっ、マスター!! ……この100個は、話題拡散のための100個です」

ガヴリール「本格的な販売をするのは、もう少し待っててくださいね?」

マスター「ははっ、本来なら100個でも充分凄いというのに……これが、ただの準備段階に過ぎないとはね」


ガヴリール「ああ……それとマスター、ここの珈琲を友達がすごく高く評価しているんですよね」

ガヴリール「出来れば、豆とかを持ち帰りたいのですけど……」

マスター「……!! それは嬉しいね~♪ では持ち帰り用の珈琲を用意するよっ!」

マスター「ただ、本格的なのは……ここにある専用の機械で、私が淹れた物でないと味が引き出せないんだ」

ガヴリール「なるほど……本格的な珈琲を飲みたければ、ここに直接来るしかないと?」

ガヴリール「まぁ、それも一興と言えば一興……かな?」

マスター「もちろん、持ち帰り用でもそれなりの味は保証するよ?」

マスター「それで気に入ってもらえたのなら、是非とも此処へ足を運んでくれるように伝えてほしいっ!!」

ガヴリール「分かりました、そう伝えておきます……お菓子の方は、早速明日からにでも持ってきますね?」

…………
……


ガヴリール「と、言うわけだなっ!」

ヴィーネ「あんた、説明を随分と端折ったわね……」

田中「つまり? 本格的な珈琲は向こうの方でしか飲めない、と……少し残念だな~」

委員長「仕方ないんじゃないの? こうやって、持ち帰り用の珈琲を頂けただけでも感謝しないと」

上野「販売の方は快諾してくれたんですよね? 当初の目的は、ちゃんと果たせてますよっ!!」

タプリス「このお菓子が、この学校以外の場所でも売られる事になるんですね……なんだか凄いですっ!!」

サターニャ「フフン、遂に学校以外にも私の支部が出来たってわけねっ!! でかしたわ、ガヴリール!」

ガヴリール「私はべつに、何もしてないよ……全部、お前の用意したお菓子のおかげだからな?」

ラフィエル「ですが、そのマスターさん……大丈夫なんですかね?」


田中「大丈夫って、どういう事ですか?」

ラフィエル「お菓子を、たった100個のみの量だけで販売する……どう考えても、これはお客さんの求める数には応えられません」

委員長「ああ、お菓子関連のトラブル……つまり、暴動はいつ起きてもおかしくないってわけね?」

ラフィエル「それだけでなく、この先も……世界征服の支部になるという事についてですよ」

タプリス「確かに、勝手に巻き込んでしまいましたけど……あわわ、大丈夫なんですかね~?!」

ガヴリール「おーい、お前ら……あのマスターなら心配要らないぞ~?」

サターニャ「……? どういう事よ、ガヴリール?」

ヴィーネ「そうよ、もし何かがあったら……私たちが何とかしてあげないと!!」

ガヴリール「あのマスターはな……昔はそっち系で、『永久不滅の仏顔』とまで言われている凄まじい人なんだ」

ガヴリール「荒事なんて、私達なんかよりもよっぽど手慣れているんだよ……」

上野「えっ!? そんな凄い人が……どうして喫茶店の経営なんかを?」


ヴィーネ「たしか……珈琲に取り憑かれて、珈琲に目覚めてしまった! とか言ってたわよね」

サターニャ「へぇー、さすがねっ!! 私はあのマスター、絶対に只者じゃないと睨んでいたのよね~♪」

上野「そんな人なら、まさに世界征服の支部としてこれ以上のない適任ですよねっ!!」

委員長「あなた達の人脈って、一体どうなっているのよ……」

ガヴリール「今でこそ一見、温厚そうな顔をしているが、あの人の過去はマジで恐ろしいからな?」

ガヴリール「ちなみに、世界征服には大喜びで乗り気だぞ……なんだか、昔の血が騒ぐんだとさ」

ラフィエル「ちゃんとリスクを分かっている上で、快諾してくれているみたいですね……安心しましたっ♪」

田中「ですが、お菓子販売に関するトラブルは……きっとこれからもどんどん出て来ますよね?」

タプリス「あわわっ、揉め事とかは私、苦手ですよ~っ!!」


ラフィエル「それに関しては……ヴィーネさん、お任せしてもいいでしょうか?」

ヴィーネ「最初からそのつもりよ……私は、悪魔なんだからね?」

委員長「えっ? ちょ、ちょっと、どういう事よ!?」

ガヴリール「あのな、天使の私たちには立場上、絶対に出来ない事もあるんだ……これは悪魔の仕事なんだよ」

田中「えっ、いやっ? 天使だとか悪魔だとか……ああ、例え話ですよね、ははっ!」

サターニャ「大丈夫なの? ヴィネット……私はそんな事、あんたに強制したりなんかしないわよ?」

ヴィーネ「世の中は綺麗事だけじゃないのよ? サターニャ……大丈夫、私が皆を守ってあげるわ!」

ヴィーネ「それが悪魔としての、本来の私の存在意義なんだから、ね?」

上野「いやいや、悪魔だとか……何を言っているんですかね~?」

タプリス「あ、あの~……あまり天使だとか悪魔だとかは大っぴらに言わない方がいいと思うんですけど」


ラフィエル「この先、トラブルは必ず付き纏ってきます……いざという時には、それを物理的に片付けてしまっても構いません!」

ガヴリール「もし何か面倒な後始末になったなら、その時には私たちも手伝ってやるからな? 相手の記憶とか色々アレしてやるよ」

タプリス「せ、先輩方~っ!! そういう事は、言っちゃ駄目ですよ~っ!?」

サターニャ「ちょっ、あんた達っ!! 面倒事なんて最初から出さない方針で行きましょうよ!!」

ヴィーネ「サターニャって、ほんと純真よね~……私は、ようやく悪魔らしくなれる機会を得たのよ?」

ヴィーネ「大丈夫! 揉め事が起きた、もしもの場合の話よ……もちろん、何も起きないのが一番なんだからね?」

委員長「……あまり深くは聞かないけれど、つまり任せてもいいって事よね?」

田中「もしもの時の心配も、無用だと思ってていいんですかね……?」

上野「あの、ごめん私……今の会話、めっちゃ気になるんですけど~??」


ガヴリール「いずれちゃんと話す時が来るさ……私たちの目標が、このまま達成すればな」

ラフィエル「ガヴちゃん、それって……やっぱりっ!!」

タプリス「もしかして……て、天界も視野に入ってるって事なんですかっ? この征服計画は~っ!!」

ヴィーネ「そうね……こんな世界、私たちで全部乗っ取っちゃって、ルールなんて根こそぎ取っ払いましょっ♪」

サターニャ「なーはっはっは!! よく分かってるじゃないの、ガヴリールっ!!」

サターニャ「そうよ、私の夢は大悪魔……もちろん、天界なんかも私のこの手で支配下に収めちゃうんだからね~っ♪」


田中「て、天界って……なんか聞いちゃいけないワードを聞いちゃったような……」

委員長「いずれはちゃんと話してくれるんでしょ? それまで、待ちましょうよ……」

上野「何やら話せないルールがあって、要はその大元を制圧しちゃうまでの辛抱って事なんですよね!! ……なるほどっ!!」

タプリス「上野先輩、ちょっと理解が早すぎませんかね? ……その眼鏡は、伊達じゃないって事ですか」


ガヴリール「ところで、今日の……そっちの方の成果はどうなんだよ?」

ラフィエル「多少は残りましたが、大多数はしっかり売れてましたね~♪」

ガヴリール「そうか、順調だな……んっ? ちょっと待て、多少売れ残ってしまったのか??」

委員長「学生は、皆んなお金を持っているわけではないのよねぇ」

田中「このお菓子が200円というのは、破格すぎる良心的な値段設定です、しかしそれでも……」

ヴィーネ「本当は3個買いたいのに、1個や2個しか買えないって人がチラホラいたわっ!」

上野「毎日3個、600円……これは、学生にはちょっと厳しいのかもしれませんねぇ」

タプリス「これが毎日続くとなれば、いずれはほとんどの人がお金が無くなり、買えなくなってしまうんじゃないでしょうか……」

サターニャ「飽きたのなら、ともかく……お金が無くて買ってもらえなくなるってのは少し悲しいわね」


ラフィエル「はいは~い、これは逆にチャンスですよ~? 皆さんっ!!」

ラフィエル「お菓子の無料配布、それと賃金もお渡しする条件で、さっそくお菓子作りの募集を掛けておきました~!」

サターニャ「相変わらず仕事が早いわねっ、あんた! 人材の確保を合理的に行うとは……やるわねっ!!」

上野「ああ、金欠の生徒が出れば、お賃金を出してそのまま雇っちゃえばいいのか……なるほど」

委員長「さすがね、わざわざお菓子抜きだとか言って脅す必要……そんなの、全くいらなかったじゃないの!」

田中「凄い合理的に人を集められますね~……いやはや、恐ろしいシステムですよこれはっ!!」

タプリス「これでお金の無い人も、ちゃんと働けばお菓子を食べられるってわけですね……安心しましたぁ~♪」

ヴィーネ「餌付けによる奴隷化と、大して変わらない気もするけど……まぁそれはそれで♪」

ガヴリール「やるじゃん、ラフィ! これなら、直ぐにでも大量生産が開始出来そうだなっ!!」


ラフィエル「もう明日には大量生産を開始しますよ~? 設備も、今日の内に整えておきましたっ♪」

田中「ちょ、早っ!? 募集でいきなりそれだけの人が集まったんですかっ?」

委員長「もちろん、学校の許可は取ってあるのよね? さすがに賃金が絡むとなると……」

ヴィーネ「ねえ、初期設備にお金いっぱい掛かってるみたいだけど……それって、ラフィ自身が出しているの?」

サターニャ「脅して強制ではなく、募集で自主的に……私の理想の形態ねっ!! 良くやったわ、ラフィエルっ♪」

ラフィエル「ふふっ、人は沢山集まりましたし、もちろん賃金関係も学校を通して各種方面に許可を取ってありますよ?」

ラフィエル「設備投資は……私の懐からですが、これは初期投資ですっ!! 直ぐに回収できると思ってますよ~♪」

ガヴリール「この募集に、まだ参加していない奴も……時間が経てば経つほど財布の持ち金がどんどん底を付いていく」

ガヴリール「いずれは、ほとんどの生徒がこのお菓子作りに自ら志願しに来るんだろうなぁ~」

タプリス「お、恐ろしい……よく考えたら、合法的な学校乗っ取りじゃないですかコレぇーっ!?」


ラフィエル「明日は各製造ラインに向けて、皆さんで手分けして担当してくださいねっ♪」

田中「おおっ!? 遂に、私たちも配下から班長に格上げというわけですねっ!!」

上野「大丈夫です、大体のノウハウは習得していますから!!」

委員長「そうね……胡桃沢さんが定期的にお菓子のチェックをしに来てくれたら、問題はないと思うわ!」

サターニャ「はい、あんた達~……このお菓子製造において、一番大事なことは何だと思うかしら?」

ヴィーネ「出来上がったお菓子の質じゃないの? 班長毎に、一つ一つのチェックは怠らない方がいいわ!」

ガヴリール「サボる奴がいないかのチェックじゃねーの? 手抜きする奴とか出てくるだろ~」

タプリス「あ、あとは……ええーと? 製造のスピードとか、ですよね……っ!?」

サターニャ「良い回答の数々だわ……だけど、残念ながらどれも不正解ねっ!」


田中「えぇ~っ?! 他に、何かありましたっけ??」

委員長「もちろん、作業中の事故の防止よね…… え? 嘘、これも違うのっ?!」

ラフィエル「むむっ、これは難問ですね……サターニャさん、ヒントくださ~い!!」

サターニャ「ヒント? 仕方ないわね~……そうね、今ここにいる私達の顔がヒントよっ♪」

上野「えっ、私たちの顔って……これ、なぞなぞとかじゃないですよね??」

ヴィーネ「なるほど、そういう事ね……私、分かっちゃったかも!!」

ガヴリール「ああ、そうか……タプリスは班長に向かないもんな?」

タプリス「ちょ、天真先輩~~っ!? 確かに、私が未熟なのは否めませんけど……」

サターニャ「あんたは、出来上がったお菓子の計数や保管……あと、人手が足りてない所を手伝いに行けばいいわ!」


ラフィエル「それで……そろそろ、お答えの方を聞かせて頂けませんかね~?」

上野「悪魔的な何かである、と……そこまでは、推測が出来たのですが……」

サターニャ「あっ、あんた……非常に鋭い推測をして来るわねっ!? でも正解は、作っている人達が笑顔であることよっ♪」

委員長「笑顔?? まあ確かに、それも重要な事ではあると思うんだけれど……」

ガヴリール「おいおい、そんな事より製造のスピードとか事故防止とかの方が大事じゃねえの?」

サターニャ「もちろん、事故防止も大事よ?……けれど、スピードに関してはそこまで強く問わないわ!」

ヴィーネ「そもそも、作っている人達の表情が笑顔でなければ、このお菓子の味は完成しない……そうよね? サターニャ」

田中「えっ? いや、それは単に気持ちの問題じゃないですか……えっ、ほんとに~っ!?」

タプリス「胡桃沢先輩が、そう言うのならば……もしかしたら、本当にそうなのかもしれませんね」


ラフィエル「……あははっ♪ さっすがサターニャさんです~!! 私、ちょっと感心してしまいましたよっ♪」

サターニャ「職場のモットーは『作業員全員の笑顔』……これは私からの、みんなに守って欲しいお願いよ!」

委員長「まぁ、胡桃沢さんが直々にそういうのなら……私たちもそれを守りましょうか」

田中「見るべきは生徒たちの作業している時の表情ですね……分かりましたっ!!」

ガヴリール「う~ん、まあジメジメした雰囲気よりも、皆んな笑顔で作業している方が断然良いのは確かだしな」

上野「嫌々ながら作業されて作られたお菓子よりも、笑顔で作られたお菓子の方が美味しい気もしますよね!」

ヴィーネ「きっと作業効率、サボり防止、それに事故の低下にもこれは繋がってくるはずよ?」

タプリス「わ、私もっ!! どうせなら、皆さんが笑顔で作業している中で働きたいですぅ~っ!!」


ラフィエル「それに働いている場所の環境が良ければ、それの評判が広まって、きっと良い印象を持ってくれるはずですよっ♪」

田中「それを聞き付けて、そこで働こうという人もまた増えていくわけですね!」

委員長「先生方の印象も良くなるはずよ……よく考えたら、すごく重要な事じゃない!」

ヴィーネ「きっとこのお菓子、そのもののイメージアップにも繋がるわっ!」

ガヴリール「もしかしたらこの学校、そのもののイメージアップにも繋がるんじゃねーの?」

タプリス「良い事尽くめですね……胡桃沢先輩っ、あなたはやっばり凄い人ですよっ!!」

上野「班長と聞いて、少し身構えていたのですが……今はもう、なんだか凄く楽しみになってきましたよっ!」

サターニャ「事故の防止、作業の効率化ももちろん大事なことよ? あんた達、任せたわね!!」

…………
……


タプリス「それにしても、このお菓子は一体……どこまで売れるのでしょうか?」

田中「すごく美味しいのは確かですが……毎日毎日、この勢いが続きますかね~?」

サターニャ「もちろん、続くわよ~? 私を誰だと思っているのかしら?」ドンッ!

ラフィエル「サターニャさん、それは……もしかして、新作ですかっ!?」

ガヴリール「おい、ちょっ……それ、食べさせろっっ! 売る前に、まず私たちが食べるんだからなっ!!」

ヴィーネ「ちょっとぉ! 私にも、私にもそれを食べさせてよ~っ!!」

サターニャ「みんな、平等に配るわよ~? もちろん、量はたくさん作ってみたわっ♪」

上野「ははっ、これは勢いなど……当分の間は止まりそうにも無いですね?」

委員長「私たち、もうすっかり胡桃沢さんに餌付けされちゃってるのよね~」クスッ


ラフィエル「そろそろ、今日もお開きですかね~……」

田中「いやいや、何を言って……って、えっ!? いつの間にかもうこんな時間~っ!?」

ヴィーネ「なんか、昨日もこんなやり取りを見たわね……」

上野「ほんと、皆さんといると時間が経つのが早いんですよね~!!」

タプリス「今日も楽しいお時間でした……私、最近とっても充実してるような気がしますっ!!」

サターニャ「明日は大量生産開始、明後日には……大量のお菓子販売を開始出来るわねっ!!」

ガヴリール「マスターの所には、私が朝一番で約束のお菓子100個を届けておこう」

ガヴリール「明後日に届ける数は……1000個? 2000個? まあ、明日の出来高次第だな!」

サターニャ「初日よ? スピードはゆっくりでもいいから、焦らず作ってくれたらそれでいいわっ♪」


委員長「一般の生徒達には、夜7時までには帰ってもらわなくちゃいけないわ……でも、私たちはそのあと10時までねっ!!」

田中「ああ、そうか……班長をしている間は、皆さんとお喋りがあまり出来ないんですよね……」

ヴィーネ「大量生産がうまく出来たのなら、私たちがそんなに夜遅くまで残らなくても良いんじゃないの??」

ラフィエル「ヴィーネさんは残らないんですか? 私は、もちろん残りますけどっ♪」

ヴィーネ「いや、私ももちろん残るわよっ? ただ、みんなはどうなのかな~って……」

上野「私も、もちろん残りますよ~? お菓子だって、このまま作り続けるんですからねっ♪」

ガヴリール「私もまあ、残るぞ? ……ただ、私の場合は他にやる事が出来るからお菓子作りの方はパスだな」

サターニャ「みんな、いい加減に帰るわよ~? 明日の事は、また明日話し合いましょ!」

タプリス「あわわっ……踏ん切りを付けないと、このまま皆さんといつまでも駄弁ってしまいますよ~っ!?」

「「あはは……じゃあみんな、明日もよろしくね~!!」」

…………
……

今までの経過一覧


0日目……サターニャ、天使2名に弄られてしまい、ヴィネットに泣き付く

1日目……ヴィネット、ガヴリール、ラフィエル、いつもの3名をお菓子にて服従させる

2日目……調理部室を占拠。まち子、田中、上野の3名を配下に収める

3日目……グラサンを説得し、味方に付ける。学校内での販売許可を得る

4日目……学校内での販売を開始し、生徒たちを餌付けする。タプリスが仲間に加わる

5日目……喫茶店のマスターを説得し、仲間に加える。喫茶店が世界征服の支部になる

6日目……一般生徒を動員しての大量生産を開始、予定


ガヴリール「凄まじいスピードで世界がサターニャに侵されていっているな……」

ガヴリール「もはや世界征服も間近なのかもしれん! 最後の強敵は……私でも勝てないあの天使、だな」

──翌日


ガヴリール「どうぞ、マスター……約束のお菓子、100個です」

マスター「ありがとう、天真君っ! お代は3万円でいいかい?」

ガヴリール「それだとマスターの儲けが無いじゃないですか……今回は初回サービスです、お代は要りませんよ」

マスター「いや、私は人が来てくれたついでにコーヒーが売れてくれたら、それでいいから……」

ガヴリール「ちゃんと次からお代も貰いますよ、1個200円でお願いしますね?」

マスター「いや、ちょっと待って!? 200円だと私の方がぼろぼろ儲け出ちゃう、それは良くないよっ!!」

ガヴリール「いいんですよ、マスター……その儲けは取っておいてください」

ガヴリール「それとマスター、今日から大量生産を開始しますので、明日にはもっと提起できると思いますよ?」

マスター「えっ? あれ、大量生産はもっと先の話だと思っていたんだけど……」

ガヴリール「私の友達……あのラフィの奴が、ものすごくやり手なんですよね……」


ガヴリール「確認しますけど、マスターは1000個買えるとしたら買いますか?」

マスター「もちろん、喜んで買うよ? 2000個でも3000個でも、あるだけ買おうっ!!」

ガヴリール「それを聞いて安心しました……大丈夫です、このお菓子の魔翌力は折り紙付きですから!」

ガヴリール「良ければネット上でも宣伝をしようと思うのですが……構わないですか?」

マスター「天真君のやりたいようにしてくれて構わないよ? 私の方は、お菓子をどんどん売り捌いていくからねっ!」

ガヴリール「さすがマスター……私たちと一緒に、世界征服をする気満々ですね?」

ガヴリール「この先、もし何かトラブルに巻き込まれて……それがマスターの手に負えない時の場合は、ここに連絡をしてください」

マスター「天真君……この、連絡先は?」

ガヴリール「私の友達の、連絡先です……大丈夫です! 人間では、いくら束になった所で彼女には敵いませんから」


マスター「ははっ、『人間では敵わない』か……頼もしい限りだっ! まあ、大抵の事は私の方でなんとかしてみせるけどね?」

マスター「天真君の友達……あの子たちは、本当に凄いんだねっ! もちろん、天真君も含めて!!」

ガヴリール「……お菓子の生産の規模は、順次、大きくなっていく予定です」

ガヴリール「マスターも、売り上げの資金が貯まったら……第二店舗、第三店舗などを視野に入れておいてくださいね?」

マスター「ええっ!? ま、まさか私のこの喫茶店が、チェーン店化するのっ?!」

ガヴリール「この店だけでは売り捌くのが大変になると思いまして……もちろん、マスターの裁量にそれはお任せしますよ?」

マスター「う、うーん……急に言われてもピンと来ないんだけど……分かった、店舗拡大は視野に入れておこうっ!」

ガヴリール「まずはこのお菓子を実際に売ってみて、手応えを感じてみてください……それからでも構いませんから」

マスター「まあそうだね、まずはこのお菓子を売ってみて……お客さんの反応を実際に見てみる事にするよっ!」

…………
……


ラフィエル「製造ラインは人員、200名……これからもどんどん増える見通しです」

委員長「今は上野さん、田中さん、月乃瀬さん、私の4人で手分けしてる状態ね」

田中「天真さんは、販売ですね……朝は喫茶店への品納め、昼も販売して、明日は学校外の人にも売るんだとか」

上野「白羽さんは材料の仕入れ、チェック……他にも人員の手配やら新しい設備やらで多忙ですね」

タプリス「わ、私は作られていくお菓子を纏めたり、皆さんの連絡係りになったりで……意外と忙しいです~っ!!」

サターニャ「あんた達、だらしないわね……他の誰でもない、この私が後ろに構えてるんだから、ドーンと居座ってなさいよ?」

ヴィーネ「サターニャは、相変わらず元気よねぇ……」


ガヴリール「おーい、そっちの調子の方はどうだ~? 今は、お互いに休憩時間だな」

田中「今の所、問題はありません……白羽さんが最初から全部、手配してくれていますからね」

上野「ただ、人を纏めるのって意外と大変なんだな~って思ってみたり……」

ラフィエル「くれぐれも事故には気を付けてくださいね? 一応、考えうる事故には一通りの対策を打ってますけど」

委員長「マニュアルとかあるせいで初日なのにスムーズに生産されていくわ……もう、凄いとしか言えないわよ!」

サターニャ「私から見て足りない所は、私が調整して変えていってるからね?」

サターニャ「出来上がるお菓子も私が見る限り、問題はないわ……あなた達のおかげよっ♪」

ヴィーネ「この調子なら、もしかして1万個のラインにも届くんじゃないかしら?」

タプリス「わわっ、凄い規模ですねっ!!」


ガヴリール「まだまだ、足りないぞ~? 全世界には、人類が一体何人いると思ってんだ」

ガヴリール「作れば作るだけ売れる……10万個でも100万個でも、可能な限り作り上げればいいさ!」

田中「すでに多額のお金が動いていますが……この学校内だけで、経済規模が億を超える日も来るかもしれませんね!」

委員長「設備投資にお金が掛かってるから、プラスになるのはまだまだ先なんでしょ?」

上野「むしろ、まだ新たに設備が増設されていってますからね……白羽さんの財力が恐いですっ!!」

ヴィーネ「ラフィは……あら、もう行っちゃてるわね……そろそろ休憩も終わりね!」

委員長「そうね……みんな、持ち場に戻ってこの後も頑張りましょうっ!!」

田中「胡桃沢さんも……あれ、もう行っちゃてるし!?」

上野「千咲さんもかぁ、みんな早いですねっ! 私たちも行きましょうか」

…………
……


「下界が最近、なにか妙な動きを見せているな……」

「あの妹の事だ、きっと何か絡んでいるのだろう」

「お姉ちゃんは、悪い事には加担なんかしないはずだよ、大丈夫だよゼルエルお姉ちゃんっ!」

「私の所にも、ラフィエルお嬢様の方から最近、妙な連絡を受け取りましてですね……」

「何でも、お菓子を売る準備をしていてください……という内容でありましたっ!!」

「お菓子……? よく分からないな、直接あの妹の様子を見てくるか」

「下界に行くの~? なら、お土産を買ってきて欲しいなぁー!!」

「千里眼ではなく、この眼で直に確認しておきたいからな……お土産は、何が良いんだい?」

「なんか、美味しいお菓子が欲しいっ!!」

「そ、そうか……分かったよ、ハニエル」

──その夜


ガヴリール「もしも~し? どうですかマスター?」

マスター『天真君、すごい反響だよっ!! もっと売ってくれってお客さんに何度も頼まれてさ~っ!』

ガヴリール「なら、コーヒー10杯頼めば売るとかでも良いんじゃないですか~? お菓子の値段以外にはノータッチですよ私ら」

マスター『えっ?! ……いやいや、そんなズルい事なんてしないからねっ?!』

ガヴリール「マスターも律儀ッスよね……私なら、これを機会にもっと色んな手段を模索しますケド……」

サターニャ「ちょっと、ガヴリールぅ!? あんた、なんて会話をしているのよ~っ!!」

マスター『て、天真君っ!? その、お友達の怒ってる声が聞こえてくるんだけど……謝った方がいいんじゃないかな~?』

ガヴリール「大丈夫っすよ、マスター……それより、明日は3000個でどうですかね?」

マスター『えっ、そんなにっ!? もちろんオッケーだよ! 良かった、生産の方が上手くいったんだね!!』

ガヴリール「じゃあ、そういう事で……あっ、マスターの方から車で学校に受け取りに来てくださいね?」

マスター『分かった、それじゃあ明日の朝に受け取りに行くから、よろしくね~!!』


ガヴリール「ふぅ~……これだけ量があると、受け渡しの方も大変だなぁ」

サターニャ「ちょっと、ガヴリールぅ~!? さっきのやり取りは一体何なのよ~っ!!」

ラフィエル「3000個じゃなく、5000個とかでも良かったのでは?」

ヴィーネ「お菓子は1万個以上あるわ……学校で上限無しの販売をしたとしても、まだ余るんじゃないの?」

ガヴリール「ああ、それな……私の方でも各方面に販売をしてやろうかと思って」

田中「もしかして……ネット販売ですか!?」

上野「遂に、始動するのですねっ!! 天真さんの本領っ!!」

委員長「それが軌道に乗れば、そっちがメインの販売ルートになるかもしれないのよね?」

タプリス「ネット関連なら、私でもお手伝い出来ると思いますよ、天真先輩~っ♪」


サターニャ「えっ!? ちょっと何よそれ、ネット販売?? 私、そんなの全く聞いてないんだけど……」

田中「あれ、胡桃沢さんは聞いてなかったんですか??」

ヴィーネ「もしかしてガヴ……あんた、まさかずっと言っていなかったの!?」

委員長「私たち、てっきり胡桃沢さんも既に聞き知っているのかと思っていたんだけど……」

ガヴリール「なんだよもう、私がネットを通じて世界中に販売してやるってだけだ……ほら、今ちゃんと言ったぞ?」

上野「天真さん、もしかして……照れ隠ししています?」ニヤニヤ

サターニャ「あんた、いつの間にそんな事を……ネットを通じれば、この街以外にも広めやすいってわけね?」

タプリス「買った人の声や評価もネットの中になら残りますからね、それらがやがてどんどん大きな波になっていきますよ~っ!!」

ラフィエル「ガヴちゃんがこの方法を取ってくれたおかげで、世界掌握が一気に目の前に見えてきましたねっ♪」


ガヴリール「お菓子は、一個300円での販売……だけど、送料や手数料などはもちろん向こう持ちだからな?」

上野「このお菓子一個のために、お菓子そのものの値段よりも高い送料を払うって人が現れそうですね……」

田中「どこか遠い国の人が、凄く高い送料を払ってでもこのお菓子を手に入れようとするかもしれませんねっ♪」

委員長「お菓子以外の値段が、少し見えちゃうわけか……なんだかちょっと楽しみだわね!」

ガヴリール「まあ送料さえちゃんと払ってくれれば、辺境だろうが僻地だろうが平等に送り届けてやるんだからな」

ヴィーネ「そこまでの価値を、見出してくれるかどうかね……このお菓子の人気が分かっちゃうわ!」

サターニャ「送料は、仕方ないわね……でも、お菓子そのものの値上げは反対なんだからね?」

タプリス「胡桃沢先輩、その辺はいつも徹底していますよね……譲れないポイントなんですか?」

ラフィエル「ふふ、いいじゃないですかっ♪ この値段を変えないっていうのは、きっと凄い効果を生み出しますよ?」


委員長「なるほど……つまりこの街に直接やって来れば、送料なんかを払わずともお菓子をそのままの安価で食べられる、ってわけね?」

田中「もしかしてこのお菓子が、この街の名物になるかもしれないって事ですかっ!」

ヴィーネ「このお菓子目当てで、この街に世界各地から色んな人が押し寄せるかもしれない……良いわねっ♪」

タプリス「そうなると、この街にある施設なども売り上げが上がっちゃいますよね? あわわ、凄い話ですぅ~!!」

上野「この街自体から感謝される日も遠くはないかも……そうすると、今度はこの街自体の乗っ取り開始ですよね?」ニヤッ

ラフィエル「雪だるま式に規模が増えて行きますね~♪ 次の制圧目標は、この街そのものと行きましょうか!」

サターニャ「なーはっはっは! もちろん、いずれはこの国そのものが私の支配下に収まるんだからねっ♪」

ガヴリール「お前ら夢膨らまし過ぎだろ……まずはこのネット販売をちゃんと軌道に乗せてからだな……」

ヴィーネ「でも、ガヴがそれをちゃんと叶えてくれるんでしょ? 何も心配していないわよっ♪」

タプリス「このネット販売の効果は、きっと凄いことになります! 天真先輩なら、間違いないです~!!」


ラフィエル「本当に、ガヴちゃんが居てくれて良かったですよ……これで懸念材料の一つはほぼ潰せますからね」

田中「懸念材料? 何ですか、それは?」

サターニャ「んっ? ラフィエル、何か心配事でもあるのかしら? この販売計画に」

ガヴリール「転売……だよな? 任せとけよ、ネットで転売しようとしてる奴がいたら私が潰してやるからなっ!」

委員長「ああ、そういう事ね? このお菓子は300円で買える……けど、実際にはもっとずっと高い価値がこのお菓子にはある」

上野「確かに、転売しようとする輩が現れてもおかしくはない……天真さんが、それを潰してくれるんですか!?」

ガヴリール「任せとけ、私はそういうのは気に食わないからな! オークションからフリマまで、全部チェックしてやるよっ!」

ラフィエル「転売は、やったら潰される……その事実を着々と積み重ねていけば、いずれは誰も転売しなくなりますよっ♪」

ガヴリール「ネット上で潰せるものは私が潰しておくが……物理的な手段は、ヴィーネとタプリスに任せるぞ!」

ヴィーネ「分かったわ! タプちゃんと組んで、私たちは転売屋を片っ端から始末していけば良いのね?」

タプリス「あわわ、も、もしかして……神足通ですかっ? 私にも役割が来るなんて~っ!!」


サターニャ「『始末屋ヴィネット』って、わけか……カッコ良いけど、あんまり無茶しちゃ駄目なんだからね?」

ヴィーネ「サターニャ、ありがとね? 私はあなたのためなら、ようやく悪魔らしくなれる気がするわ!」

ラフィエル「タプちゃんとヴィーネさんのコンビは良いですね~! 狙われたら世界中で誰も逃げられませんよっ♪」

ガヴリール「転売屋を見掛けたら、私の方にも通報するようにホームページ上に告知しておくからな?」

ガヴリール「もし、それでも転売するような輩がいたら……物理的な手段も含めて、徹底的に潰して行くぞっ!!」

委員長「はぁ……まーたあなた達、謎の会話をしているわねぇ?」

田中「委員長、もう気にしたら負けですって! あの人達に任せておきましょうよ~!!」

上野「推測するに、月乃瀬さんは実は人間じゃない……と、言った所ですかね~?」

タプリス「相変わらず鋭い眼鏡ですね、さすが……眼鏡を掛けているだけはありますねっ!!」


サターニャ「それで、ネットでの売れ行きは……実際、今の所どうなのよ?」

ガヴリール「まだ初日だぞ? まあ予約開始の告知はしていたからな……それなりの予約は、既に入っているぞ!」

ラフィエル「評判が一気に広まるのは、おそらく実際に食べて貰った明日以降ですよね?」

タプリス「ネットで一度評判が広まれば、あとはどんどん勝手に色んな場所に知れ渡っていきますよ~!!」

ガヴリール「明日からの予約は抽選方式にするつもりだ……もちろん、複数アカウントなんて私は拒否してやるからな!」

田中「ネット関連となると、天真さんが本当に頼もしいですね~っ!!」

委員長「複数アカウントは潰す、か……さすがね!! 私もそれは潰すべきだと思っているわ」

上野「なにやら平等に抽選されそうですね……天真さんに任せておけば、その辺は安心のようですっ!」

ヴィーネ「ガヴのスキルが、まさかこんな所で役立つなんてね……これも、駄天のおかげなのかしら?」

ガヴリール「駄天も考えようだろ? んっ……おい、サターニャ! ちょっと来てくれっ!!」


サターニャ「なによ、何か問題でもあったの?」

ガヴリール「問題、大アリだな……例のアレが向こうの方からやって来たっ!!」

ヴィーネ「例のアレって……んっ? これって、ガヴのお姉さんからじゃないのっ!!」

タプリス「天真先輩のお姉さんって……も、もしかして神の腕と呼ばれている、あの人ですか~っ!?」

田中「何々? もしかして、また私たちが会話に混ぜれない系の話が始まるのかな?」

委員長「なんか切羽詰まってるみたいだし、大人しく黙ってていましょうよ……」

上野「フフッ……会話の端々から聞こえてくるワードで、この状況を推測すれば済む話ですよっ!!」

ラフィエル「上野さんが恐いです……しかし、それを気にしていられる状況でもありませんね、これは」

ガヴリール「お前ら真面目に聞けっ!! 明日、姉さんが此処にやって来るぞっ……!!」


田中「天真さんの、お姉さんが? でもそれが一体……何の問題があるんです??」

ヴィーネ「問題大アリよっ!! もしかしたら、ガヴが向こうに連れ戻されちゃうかもしれないのよ!!」

タプリス「下手したらこの計画、そのものをストップされちゃうかもしれないですぅ~っ!!」

委員長「計画、ストップって……天真さんのお姉さんって、権力者か何かなの?」

ラフィエル「天界の、実質トップですね……あの人が何か言えば、それは鶴の一声です、私たちではどうしようもありません!」

サターニャ「ふふん、要は私のお菓子で黙らせればいいんでしょ? なんなら、犬も待機させておく?」

ガヴリール「サターニャ……ここはお前に任せるしかないっ!! あの人に勝てるのは、この中でお前しかいないんだっ!!」

ガヴリール「頼む……私では勝てないんだ……私を、あの人の呪縛から解放させてくれっ!!」

上野「あの天真さんが、絶対に勝てない相手って……どうやら状況は、かなり深刻そうですね」


サターニャ「大丈夫っ!! 任せなさいよ~、ガヴリールっ♪ 私が、ちゃーんと撃退してあげるんだからねっ!!」

サターニャ「いずれは私が倒さなくちゃいけないと思っていた相手よ? 向こうからやって来てくれるってのなら、むしろ好都合だわっ!!」

ヴィーネ「サターニャ、本当に大丈夫なの? あの人は、今までの相手とは格が違う……ッ!」

ラフィエル「もしこの世界征服計画、そのものを許さないつもりで来ていたら……いくらサターニャさんでも厳しいかもしれません!」

ガヴリール「姉さんは、この可愛い妹の私がキャピキャピして、精一杯のおもてなしをしてても全く動じなかった薄情な奴だ」

ガヴリール「仮にお前のお菓子で精一杯のおもてなしをしたとしても、冷酷なあの無表情畜生にそれが通じるかどうか……!!」

サターニャ「あなた達、心配症ね~? 私の夢は、大悪魔になることなのよっ!」

サターニャ「大悪魔とは、何か……? いるじゃないの……この人を倒せれば、大悪魔を名乗れるっていう、とっても分かりやすい標的がっ!!」

タプリス「た、確かに……神の腕と呼ばれているあの人を、もしも屈服させる事が出来たのなら……それは間違なく大悪魔の仕業ですよっ!!」

ラフィエル「そうですね……方法はどうあれ、あの人に真っ向からの勝負を挑み……」

ラフィエル「もし、それを正面から堂々と退ける事が出来たのなら……それはもう、大悪魔以外の何者でもありませんよっ!!」

ガヴリール「任せて、いいのか? サターニャ……」

サターニャ「当ったり前じゃないっ♪ 明日、私は大悪魔になるわ……祝杯の準備でもしてなさいっ!!」


田中「ははっ……なんか、凄い会話をしているね~」

委員長「そのお姉さんを屈服させる事が出来れば、胡桃沢さんの夢は叶い、天真さんも束縛から解放されるという事なのかしら??」

ラフィエル「上手くいけば、私たちの秘密も喋っていいかもしれません……あの人が、もしも味方に付いたとすれば、ですが」

ヴィーネ「もしかしたらこの世界だけじゃなく、天界も私たちのお菓子の販売場所に出来るかもしれないわねっ!」

タプリス「まさしく勝てれば天国、負ければ地獄……ってやつですね」

ガヴリール「負けて、もし最悪の場合は、本当に堕天して魔界へ行こう……胡桃沢洋菓子店で働くわ、私」

サターニャ「ちょっ、負けないんだからっ!! 私のお菓子で、ちゃーんと骨抜きにしてやるんだからねっ?」

ヴィーネ「私もサターニャの実家で働かせてもらおうかしら? 何があっても、ずっとサターニャに付いていくんだからねっ!」

ラフィエル「はいはーいっ! もちろん、私も堕天してサターニャさんにずっと付いていきますからね~っ♪」

上野「うわっ、胡桃沢さん……この3人にめっちゃモテモテっすねっ!!」


ガヴリール「いや、べつに私は……この世界で姉さんに監視させられるよりも、ただ魔界の方が気楽ってだけだぞ?」

ヴィーネ「私ね、あの時は黙ってたけれど……本当は、最初から将来の夢はお菓子屋さんになる事だったのよ?」

ラフィエル「一生付いていくと誓いを立てましたよね? もちろん、それはこの計画がどうなろうとも変わりはありませんよっ♪」

サターニャ「ちょっと、あんた達~っ!! ちゃんと勝つんだから、そんな心配は要らないんだからね~っ!?」

上野「胡桃沢さん、思いっきり顔が綻んでいますよ? 素直に喜んだらどうですかね?」

田中「羨ましいですねぇ……この計画の有無を抜きにしても、みなさんはちゃんと心で繋がり合っているんですねっ!!」

タプリス「わ、私も天真先輩が行くというのならっ! で、でも堕天はちょっと……ううぅ~っ!!」

委員長「なんか……明日は大変みたいだし、今日の所はこれで解散にしときましょうか?」


ラフィエル「そうですね、時間もそろそろ頃合いですし……今日はこれでお開きとしますか」

ヴィーネ「決戦は明日ねっ! いざとなれば不意打ちで、私が背中から槍を突き刺してやるんだからっ!!」

ガヴリール「やめとけ、ヴィーネ……物理的な手段は、あの人に対して得策じゃない」

サターニャ「私を信じなさいっ!! 正々堂々、真っ向から屈服させてやるんだから、余計な手出しは無用よっ?」

タプリス「でも本当に最悪の場合は、みなさんで魔界に逃げ込むつもりなんですよね……? 私、そんなの嫌ですよ~」

ガヴリール「あの姉さんがどんな腹積もりでやって来るか、だな……まあたぶん、今生の別れなんて事にはならないと思うが」

委員長「言葉での説得なら、私たちにも出来るわよね? 場合によっては全力で徹底的に言葉責めしてやるわよっ!!」

上野「天使が人間に手出ししてしまうと問題がある、とか言ってませんでしたっけ? 場合によってはそれを逆利用して……ふふふっ!」

田中「そもそも天真さんは我々調理部のものなんですよ~? 絶対に、渡させたりなんかしないんですからねっ!!」


ガヴリール「みんな……明日、姉さんがどんなつもりで此処へやって来るのか、その真意の程は全く分からない」

ガヴリール「だけど、とりあえずはサターニャに任せてみないか?」

ヴィーネ「サターニャを信じろって事ね……もちろん、先頭バッターはサターニャに譲るわよっ♪」

ラフィエル「私たちが動くのは万が一、サターニャさんが負けてしまった時……ですよね! その時は……ふふふっ♪」

タプリス「わ、私も天真先輩が、もしも連れて行かれるような事があれば……ネットでゼルエルさんの悪口を、書きまくってやるです~っ!!」

サターニャ「あんた達、いい加減に帰るわよ~? 私に任せて、明日もいつも通りお菓子作り……しっかり頼むわねっ!」

委員長「そうね、お菓子作りの方を手抜くわけにはいかないわ……明日も、まずはお菓子作りに専念しましょ?」

上野「ここで手を抜くと、相手の思惑通りですからね……1ミリ足りとも、相手の思う壺に嵌ってはいけませんっ!」

田中「なんだかんだでもうお時間ですよね……明日に向けて、今日の所は解散しますか!」


「「明日は決戦……絶対、みんなでこの場所を守り切るぞ~っ!!」」

…………
……


胡桃沢=サタニキア=マクドウェル


誕生日8月15日
身長157cm体重46kg
スリーサイズB85(D)/W58/H84

魔界の洋菓子店の娘
舞天高校の1年B組11番

握力200kgオーバー
反復横跳びでは残像を見せる程の運動神経
私服のお洒落のセンス抜群
ケーキのデコレーションの技量はプロ級

稼ぎが良いのかお金をそこそこ持っている
かなり良いマンションに住んでいる
しかし、魔界通販には散財している模様

悪魔の真の姿になると角と羽が生える
武器は大鎌、その威力は未知数
転移魔方陣などが使える

進路希望で書いた内容

第一希望……大悪魔、当然よね!
第二希望……世界征服、これもいいわね
第三希望……大とうりょう、やってあげてもいいわよ!

好きな物はメロンパン
辛い物も好き好む

家族構成
お父様、お母様、弟
使い魔のアレキサンダー


サターニャ「これらはテストにも出るから、よ~く覚えておくようにっ!」

サターニャ「このお話は、私が大悪魔になるまでの一週間を記録したものよっ♪」

──翌日……


ガヴリール「ではマスター、明日もよろしくお願いしますね!」

マスター「ははっ、こちらこそ……お菓子がこれだけあれば助かるよ!」

マスター「じゃあまた明日、受け取りに来るからねっ!」



ガヴリール「……ふぅ」

ゼルエル「忙しそうだな、ガヴリール」

ガヴリール「わわっ、姉さん……!? 急に現れないでよ、ビックリするなぁもう」

ゼルエル「ん? 今日、会いに来ることは昨日の内に伝えといたはずだが……」

ガヴリール「こんな朝からなんて聞いてないよ……この時間に来られても困るわっ!」


ゼルエル「それで、最近の身の回りの方はどうなんだ? ガヴリール……」

ガヴリール「姉さん……どんなつもりで此処へやって来たのか知らないけれど、話は放課後、みんなが集まってからにしてくれる?」

ゼルエル「元よりそのつもりだ、今日は学校の様子を1日見ようと思って朝から来たのだからな」

ガヴリール「さいですか……まあ、そういう事なら今日は学校観察を1日楽しんできてくれたらいいよ」

ガヴリール「姉さんの天使力なら、一般生徒たちに姿を見られないでも済むんでしょ?」

ゼルエル「…………なにか意外だな、もっとこう、お前は私の事を警戒してくるのかと思っていたのだが……」

ガヴリール「……姉さんの事は警戒しているよ、でも私は友達を信じることにしたんだ」

ガヴリール「だからべつに慌てもしないし、放課後まで待ってくれるっていうならそれでいいと思っている」

ゼルエル「…………」


ガヴリール「だけど、まぁ……一応、私の方からも牽制はしておこうかな?」

ガヴリール「もし、このお菓子作りを中止にするつもりなら、さっきのマスターとの契約も全て白紙になってしまう」

ガヴリール「あのマスターの所には、既にこのお菓子を楽しみにしてくれているお客さんが大勢、待ち構えている」

ゼルエル「…………」

ガヴリール「それだけじゃない、学校の生徒、ネットの予約待ちの人々……多くの人たちが、このお菓子を待ち望んでいる」

ガヴリール「今後の見通しも含めて、それぞれが大きく動いている……もしも中止にするつもりなら、姉さんがそれらの責任の全てを取ってよね?」

ゼルエル「……いや、私は様子を見に来ただけだ。中止にするとか、そういうつもりは今の所は無いぞ?」

ガヴリール「なんだ、つまりはこれからそれらを見て、どうするかを実際に決めるつもりなのか……まぁそれを聞いて、少しは安心したよ」


ゼルエル「ガヴリール……」

ガヴリール「なんだよ、姉さん?」

ゼルエル「私はこの計画を知った時、お前がもっと私利私欲に満ちた顔をしているのかと思っていたんだ」

ガヴリール「…………」

ゼルエル「だけど今のお前は、前よりもずっと眼が輝き、活き活きとした表情をしているな……」

ガヴリール「……そうかもな、ここ最近の生活には正直、生き甲斐を感じているよ」

ガヴリール「下界に来てから……いや、それ以前でも、こんな気持ちになれた事は今迄に一度も無かった」

ゼルエル「どうやら、良い友達に巡り会えたみたいだな、ガヴリール……」

ガヴリール「……学校の様子を見に来たっていうなら、じっくりその眼で視察していくといいよ」

ゼルエル「ああ、そうするよ……また後で会おう! ガヴリール」

…………
……

とてとてっ……


お菓子、新作出るんだってさー
楽しみだねっ、早くお昼にならないかな~?

ゼルエル「…………」


お菓子作りの募集行ってみたんだけどさー
楽しかったぜっ、お前もやってみないか~?

ゼルエル「…………」


今日はいっぱい買っても大丈夫なんだって!
やったー! お母さんにも食べて欲かったんだよねっ♪


ゼルエル「…………」

ゼルエル「…………活気に満ちているな、この学校は」


上野「んっ? 何ですかね~、あの着物を着た人は……」

委員長「あ、あの~……すみません、学校関係者の方ですか??」


ゼルエル「……っ!? 君たち、まさか私の姿が見えているのかっ……?!」

田中「姿が見えているとか……一体、何の事を言っているんですかね??」

委員長「えっ? いや、ちょっと待ってっ……!? 周り人、本当にこの人の姿が見えていない?!」

上野「……っ!! なるほど……あなた、天真さんのお姉さんですかね?」

ゼルエル「……鋭いな、確かに私はあの愚妹の姉だ。なるほど、そういう事か……」

ゼルエル「君たちは、認識の根底に……ガヴリールが人間じゃないという知恵を持っているな?」


委員長「えっ!? やっぱり天真さんって人間じゃないの? すっご~いっ!!」

田中「おおっ、噂の天使ってやつですかね? さすが、天真さんですね~っ!!」

上野「ふふっ、やはり彼女は只者では無かったみたいですね!!」

ゼルエル「……んっ? いや、あの……直接聞いたわけじゃ、ないのか……??」

委員長「直接は何も聞いてないわね、ただ私たちがそうなんじゃないかと勝手に推測をしていただけよ?」

田中「お姉さんの言葉でようやく確信が持てましたっ! ありがとう、お姉さんっ!!」

ゼルエル「……えっ? ええっ??」

上野「ふっふっふ……墓穴を掘りましたね? お姉さんっ!!」

ゼルエル「な、なんだと……!?」


ゼルエル「クッ……!!」

田中「おーっと、動かないでくださいよ~? お姉さんっ!!」

上野「あなたの今からやろうとしている事は、分かっていますっ!!」

委員長「ズバリ、『記憶を消去する』……ですよね?」

ゼルエル「えっ……? いやいやっ!? いきなり、そんな理不尽な事をするつもりなど全くないのだが……」

田中「我々は今日、記憶を消されるかもしれないという想定の下で動いていますっ!!」

上野「最初から消されるかもしれないという危惧があれば、出来うる対策などいくらでもありますっ!!」

委員長「記憶消去に関しては予めあらゆる手を打っています……まずは、私たちの話を聞いてもらいましょうかっ!」

ゼルエル「えっ? えっ……? 何なのこの人たち、こわい……」


田中「目的は何ですか? 天真さんは、渡しませんよっ!!」

上野「お菓子生産の中止ですかっ? そういうのは、ちゃんと人間界の裁判所を通して話をしてくれませんかね~?」

委員長「ここは学校です、あなたが誰であれ、まずはこの学校のルールに従ってもらいますよっ!!」

ゼルエル「ちょ、ちょっと待って……っ! まずは、君たち落ち着いて……落ち着いて、話し合おう……」

ゼルエル「私は様子を見に来ただけだ……今の所、何かをどうこうするつもりなどは全く無い……」

田中「……そうなんですか? なんだか、少し拍子抜けですね」

上野「これはプランBですね、まずは情報を引き出すのが得策のようです……」

委員長「みんな、油断しちゃ駄目よっ!? ……絶対に、隙を見せちゃいけないわっ!!」


ゼルエル「あ、あの~……その、だな……私の方からも、君たちに質問をしてもいいかな?」

田中「答えられるものなら答えましょうか」

上野「もちろん、場合によっては黙秘権を行使しますっ!!」

委員長「自分に有利になろうとする情報を引き出そうとしたって、そうはいかないんですからねっ!!」

ゼルエル「え、えーとだな……君たちは、私の妹が人間じゃないと知って、一体どうするつもりなんだ……?」

田中「…………ん?」

上野「……どうする、って何がですか??」

委員長「……その質問は、目的語が曖昧じゃないのかしら?」

ゼルエル「……えっ? い、いや、例えば騒ぎ立てる、だとか……??」


田中「……?? 天真さんが、それを望みますかね?」

上野「……分かったっ!! 翼をモフモフしたいとか、そういう事じゃないでしょうか!」

委員長「天真さん、翼とかあるのかしら?? 確かに、翼があるのならモフモフさせてほしいわね……」

ゼルエル「……いやいや、そういう事ではないのだが……まあ君たちが、善良な心の持ち主であることはよく分かったよ」

ゼルエル「安心してほしい、私は妹を連れ去っていくつもりはないし、君たちの記憶を消したりするつもりもない」

田中「ほんとですかっ? 今の言葉で言質を取りましたよっ!!」

上野「テープレコーダーに録音させてもらいましたっ!! 念の為、このデータは他所にも転送しておきますっ!!」

委員長「お菓子生産についてはまだ保留中という事かしら? 油断は最後まで出来ないわねっ!!」

ゼルエル「……何、この子たち、ほんとこわい……」


ゼルエル「そもそも人間が、みんな君たちのような人達ばかりだったとすれば……我々も、正体を隠す必要はなかったのだよ」

ゼルエル「妹は、本当に良き人間たちに巡り会えたようだ……どうか、これからも仲良くしてやってほしい」

田中「……なんか、普通の妹想いのお姉さんに見えますね」

上野「……とりあえず、警戒レベルはCまで落としておきましょうか」

委員長「天真さんの宿敵だと聞いていたのだけど……そうでもないのかしら??」

ゼルエル「酷い言われ様だな……私はただ、妹が心配になって、この騒動の様子を見に来ただけだ」

ゼルエル「最初はこのお菓子に麻薬に似た成分が混じっていて、食べた者を禁断症状に陥らせているのではないかと思っていたのだが……」


田中「失礼な、そんな危なっかしい成分なんて入れていませんよっ!!」

上野「私たちもお菓子作りに携わっていますが、もちろんそんな怪しげな材料などは使っていませんよ!?」

委員長「あなたの眼には、この学校の生徒たちが麻薬の禁断症状に陥っているように見えるのかしら??」

ゼルエル「……見えないな、もっと虚ろな表情でお菓子に群がる、ゾンビのような状態も想定していたのだが……」

ゼルエル「全然違っていた、皆それぞれが活力に満ち、幸せそうな表情をしているっ!」

田中「ふむ……意外に、話が通じ合えそうな感じがしますね? とりあえず安心はしましたよ」

上野「では……詳しいお話は、私たちが揃う放課後の夜になってからにしましょうかね?」

委員長「学校の様子を伺うというのなら、他の生徒たちの迷惑にならないようにお願いしますね?」

ゼルエル「ああ、そうするよ……君たちも、それぞれが今日の勉学に励むといい……夜になってから、また詳しい話などをしよう!」

──昼休み


ガヴリール「はい、有難うございましたー! 次っ!! はい、有難うございましたー! はい、次っっ!」



ゼルエル「…………」

ゼルエル「良い表情をしているのだな、ガヴリールは……」

ヴィーネ「ふふっ……ガヴは、ああやって朝も昼も放課後も、いつも販売に勤しんでいるのよ?」

ゼルエル「……っ!! き、君はっ……悪魔の子か!!」

タプリス「こんにちわ~、ゼルエルさんっ!!」

ゼルエル「君は、たしか妹の後輩の……そうか、二人とも、私とお話をしに来たのかな……?」

……スチャッ!!


ヴィーネ「フフフッ……ゼルエルさん、、……ガヴは……渡しませんよ……?」

タプリス「今ここで、派手な力を使うわけにはいきませんよねぇ……? 天真先輩は、私の物ですッ!!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ  ! !


ゼルエル「えっ……? いやいやっ!? ちょっ……ええええぇーっっ??!」

ゼルエル「二人とも、ちょっと待ってーっ!? お願いだから、少し落ち着いてっ!?」

ゼルエル「私は此処に様子を見に来ただけだっ! 妹を連れ去るつもりなどはないっ! だから、その殺気を出すのは止めてっ?!」

ヴィーネ「…………、どう思う? タプちゃん」

タプリス「言葉だけでなら、何とでも言えますからね~……」


ヴィーネ「ゼルエルさん……今、私たちはこうして天使と悪魔同士でもお互いに仲良くやっています……」

ヴィーネ「ですが、もしあなたが今回、この私たちの仲を引き裂くつもりのようでしたら……」

ヴィーネ「私は魔界でこの事を取り上げて、あなたの行動について大きく問題があるとの声を上げるつもりですッ!!」

ゼルエル「な、なんだと……? いや、いやいやっ!! ていうか、ちょっと待って……!?」

タプリス「もし今後、魔界と天界の仲が険悪になったとすれば……その原因の根幹はあなたという事になりますねッッ!!」

ゼルエル「いやいや!? 頼むから、ちょっと待ってっ!? 私、妹が心配で様子を見に来ただけだからっ!!」

ヴィーネ「…………、どう思う? タプちゃん」

タプリス「もちろん、ネットでゼルエルさんの悪口を言い触らす準備も出来てますよ……?」

ゼルエル「頼むから……お願いだから、二人とも私の話を聞いてよっ……」グスッ


ヴィーネ「……つまり、ガヴを連れて行くつもりはないし、お菓子についても……今の所は、問題はないと?」

ゼルエル「ああ、そうだ……もしかしたら、販売時にお菓子を巡って様々な暴動が起きているかもしれないと思っていたのだが……」

ゼルエル「見ている限り、どうやらそれも問題はなさそうだ」

タプリス「お菓子の販売に関しては、マナーや規律などを徹底していますからね……」

タプリス「それに、何かトラブルが起きれば私たちがすぐ駆け付ける手筈にもなっていますっ!」

ヴィーネ「トラブルの処理は悪魔の仕事ですからね……もちろん、出来る限りのトラブルは事前に起こさない方針ですっ!」

ゼルエル「君たちは、本当に優秀なんだな……そういう事なら、私の方からも何も言うことは無いよ」

ゼルエル「放課後の夜に、また会おう……その時に、また詳しい話などを聞かせてもらうよ!」

ヴィーネ「…………、どう思う? タプちゃん」

タプリス「何か、呆気なさ過ぎますね……しかし、様子見でも……とりあえずは良いんじゃないでしょうか?」

──放課後


「すみません、それ取ってくださーいっ!」
「生地出来ましたっ! 加工お願いしま~すっ!」

……わいわいっ!!


ゼルエル「…………」

ゼルエル「……成る程、ここのお菓子はこうやって生産されてゆくのだな」

ラフィエル「視察の方はどうですか~? ゼルエルさんっ♪」

ゼルエル「……ラフィエルか、お前がこの生産体制を敷いたのだな?」

ラフィエル「はいっ! 私が中心となってこのシステムを作っていま~す♪」

ゼルエル「そうか、見事なものだな……まだ若いというのに、お前は人を動かしたりするのが本当に上手いよ」


ラフィエル「……? ゼルエルさん、何か少し……顔がやつれていませんか?」

ゼルエル「ああ、ちょっとな……出会う人達が何故か皆、私に攻撃的な人たちばかりでな……さすがに、少し参ったよ」

ラフィエル「そうですか……それは大変でしたね~」

ゼルエル「ああ……全くだ……」

ラフィエル「…………」

ゼルエル「ここで、働いてる人達は……皆、良い笑顔をしているのだな……」

ラフィエル「ええ、これは募集を通しての自主的な労働です、強制で働かせている生徒などは一人もいません」

ゼルエル「そうか……私は最初、生徒を働かせていると聞いて、それがどのようなものであるのか少し怪しんでいたのだが……」

ゼルエル「どうやら要らぬ心配だったようだ、これならむしろ労働の喜びを分け与えているとも言える」


ラフィエル「これらは全て、サターニャさんの方針なんですよ?」

ゼルエル「サターニャ? ああ、あの悪魔の子か……」

ラフィエル「お話は、もう少し待っていてくださいね? この生産が終わった後、夜に皆んなで集いますのでその時に……」

ゼルエル「ああ、分かった……待たせてもらうよ」

ゼルエル「そうか、あの悪魔の子がこれら全てを纏め上げていたんだな……」


ガタンゴトンッ! ガタガタ……


ゼルエル「…………、それにしても凄い設備の数々だ、よくこれだけの器具等を用意出来たものだな……」

ラフィエル「ふふっ、先行投資というやつですよ、これはっ♪」

ラフィエル「でも、少しだけ心配ですよね……ゼルエルさんが、これらの設備費用等をちゃんと支払えるのでしょうか?」

ゼルエル「いやいや、私にはとてもとても…………」

ゼルエル「……? いや、ちょっと待て……一体、何の話をしているんだ??」

ラフィエル「このお菓子作りを中止にするつもりでしたら、もちろんゼルエルさんにこれら諸費用等の全てを請求するというお話ですよっ♪」

ゼルエル「ら、ラフィエル……!? くそっ……結局、お前もかーーっ!!!」


ラフィエル「請求はごく当然ですよ~? 中止にしたら、この設備費用等はどうするんだって話ですからねっ♪」

ゼルエル「いや、ちょっと待てラフィエル……私は、べつにそんなつもりは……」

ラフィエル「これは白羽家の事業の一部としても、今後最大の規模になる程の見通しでした」

ラフィエル「それらを潰すとなれば……ゼルエルさんは、白羽家と今後、全面抗争をするおつもりなんですよね……」

ゼルエル「いやいやっ!? ていうか、私とお前は……ガヴリールを通して昔からの顔見知りだろう? なぜそんな事を言うんだっ!?」

ラフィエル「悲しいですよね……ゼルエルさんが、そんなおつもりだったなんて……」

ゼルエル「くそっ……そういえばこいつはこんな性格だったな!! 一番警戒すべき相手なのに、顔見知りというだけで安心してしまってた!」

ラフィエル「もちろん、ゼルエルさんのこれからの意向次第で、何もかもが全て決まっちゃうんですよ~?」

ゼルエル「なぁ……これって脅迫とかいうやつじゃないのか? 脅迫罪とかいうやつに、該当するんじゃないのか……?」

ラフィエル「脅迫も何も、私はただ当然の主張をしているだけですよ~? そうなった場合の損失の請求は、当たり前の話ですし」

ラフィエル「だいたい、それを言ったらゼルエルさんなんて、存在そのものが脅迫罪じゃないですか~♪」

ゼルエル「なんという酷い言われ様だ……私が、一体何をしたって言うんだ? ただ妹の様子が心配で見に来ただけだというのに……」

ラフィエル「まあ私の方からはこの程度にして置いて……後は、サターニャさんにトドメをお任せしましょうかね~♪」

ゼルエル「うぅ、もうやだぁ~……お家に帰りたいよぅ……」グスッ

──その夜


「「「「…………」」」」ジロッ!


ゼルエル「…………っ」ビクッ


ガヴリール「あの、ね、姉さんっ? 一体、何があったの? なんか顔色がめっちゃ良くないんだけど……」

ゼルエル「……が、ガヴリールぅ~っ!! 頼む、お姉ちゃんを助けておくれ~!!」シクシク

ガヴリール「な、何があったのか知らないけど、なんか大変だったみたいだね……」

ガヴリール「あっ、そうそう。そういえば一つ、言い忘れてたんだけど……」

ゼルエル「うんうん、なんだい? ガヴリール」

ガヴリール「姉さん、今日の姉さんの返答次第で……私、家族の縁を切らせてもらうからね?」

ゼルエル「が、ガヴリールぅ~っ!? な、な、なんでぇ~~!?」ガビーン


サターニャ「こら、ガヴリールっ!! あんた、なんて酷いことを言っているのよ~?」

ゼルエル「お前が……ここのボス、か……」

サターニャ「こんばんわ、ガヴリールのお姉さん! 今日はよく来てくれたわね?」

ゼルエル「あ、ああ……突然の訪問で申し訳ない……」

サターニャ「なんか色々あったみたいだけど……大丈夫、気楽にしてくれてていいわっ!」

ゼルエル「そ、そうか? すまない……ありがとう……」

ゼルエル「正直、どんな処遇を受けるのかと思っていたのだが……もしかして、君は話が分かり合えるのだろうか?」

サターニャ「遠い所から遥々やって来てくれたんだもの! 訪れた客人に対して持て成すのは当然のことよ?」

サターニャ「それにしても……まったくっ!!」

サターニャ「あんた達ねぇ……私に任せておきなさいって、昨日の時点で言ってたでしょ~?」


田中「いやいや、私たちはただお姉さんと軽くお話をしていただけですよ~?」

上野「まぁ挨拶は大事ですからね~……世間話くらいは、流れ的に当然じゃないでしょうかねぇ?」

委員長「学校に来ている以上は、学校のルールくらいは説明しておかなくちゃいけないわ
っ!」

ヴィーネ「べつに、まだ何もしてないわよ~? 何かをするのは……ふふっ、これからなんだからっ♪」

タプリス「拡散準備、複数IDによる自演準備、全てスタンバイOKです~っ!!」

ラフィエル「知っていますかね~? 世の中で一番強いのは、権力なんかではなく……ズバリ、お金なんですよね~っ♪」

ガヴリール「はぁ、なんか最近怠いし、そろそろ堕天すっかな~……」


ゼルエル「ひ、ひぃ……っ!」ビクビクッ!

サターニャ「あんた達、止めなさいよ~? なんか、すっごく恐がってるじゃないのっ!!」


サターニャ「まったく、もうっ……! 周りの目は気にしなくていいからね? ガヴリールのお姉さん」

ゼルエル「うぅ……すまない、君だけが、私にとっての唯一の良心のようだ……」

サターニャ「周りに構わず、話してくれていいわ……今日の用件は何なのかしら?」

ゼルエル「あ、ああ……正直に話そう、私はこのお菓子の騒動に気付き、それで此処の様子を見に来たんだ……」

サターニャ「ふーん、それで……その学校の様子は、どうだったかしら?」

ゼルエル「最初は、様々な懸念を色々と抱いて此処に来ていた……しかし、今日の一日でそれら全てが杞憂だと分かったよ!」

ゼルエル「何一つ問題は無い……むしろ、これらは賞賛に値するっ!! これらの全てを纏め上げているのが、まさか君だったとはな……」

サターニャ「ふふんっ、当然よねっ! 私の作るお菓子に、何か問題があったら困るんだからね~♪」

サターニャ「でも……そうね、これは決して私一人だけの力じゃないのよ? みんなの協力があってこそ、実現したお菓子作りなんだからねっ♪」

ゼルエル「そうか、なるほどな……どうやら君は、本当に優れた器を持っているようだ……」

ゼルエル「人の上に立つという、その大きな優れた器を……」


サターニャ「ふふっ……お姉さんっ♪ どうもありがとねっ!!」

サターニャ「私の作ったお菓子……お姉さんも食べてみるかしら?」

ゼルエル「ああ、頂こうかな……」

サターニャ「……どうぞっ!! このお菓子はね……あなたに『参った!』と言わせるために、私が直々に作った物なのよ?」

ゼルエル「ははっ、なるほどな……それは手強いっ!! どうやら、心して食さなければならないようだ」

ゼルエル「そうか……このお菓子が、全ての発端で、始まりなのだな……」


ぱくっ……


ゼルエル「…………」

ゼルエル「……そういう事か、ようやく私にも真実が分かった気がするよ」

ガヴリール「えっ、何々? 一体、何が分かったの!? 姉さんっ……!!」


ゼルエル「このお菓子は……食べた人を幸せにする、なにかそういう力を感じる……」

ゼルエル「私が今まで食してきた物の中でも、このような……心が暖かくなっていくようなお菓子は、生まれて初めてだっ!!」

サターニャ「ふふーんっ♪ これらのお菓子は、私の元気をお裾分けしてあげるように作ってあるんだから、当然よっ!」ドヤァ

ゼルエル「そうか……皆が、このお菓子に夢中になるわけだな……」

ゼルエル「ただ美味しいというだけなら、仏頂面を通せたかもしれんが……ははっ、これは全く持ってどうしようもないなっ!」

ゼルエル「私の完敗だよ……このお菓子は、掛け値なしに素晴らしい!!」

サターニャ「ふふっ、良かったらお代わりも食べるかしら? もっといっぱい食べてもいいんだからね~♪」

ゼルエル「ああ、ならそうさせて貰うよ……私にも、この騒動の『本当の理由』が今ようやく理解できた……」

……おお~っ!!


田中「さ、流石ですね……胡桃沢さんっ!!」

上野「どうやら、私たちの小細工など最初から必要なかったみたいですね……」

委員長「えっ? ていうか、このお菓子って……胡桃沢さんの元気が貰えるように作ってあったの?!」

ヴィーネ「サターニャのお菓子の前では、神の腕でもまったく敵わなかったみたいねっ♪」

タプリス「凄すぎますよ、胡桃沢先輩っ……!!」

ラフィエル「いや、これは本当に大悪魔ですよ……だってこんなの、どこの誰も逆らえないじゃないですかっ!!」

ガヴリール「まぁ分かり切っていた結果だけどな……サターニャのお菓子は、美味しいんだからなっ!」

サターニャ「あんた達っ! まだ話は途中なんだからちょっと静かにしてなさいよ~っ!!」


ゼルエル「話は途中か、ははっ……!!」

ゼルエル「そうだな……お菓子作りの協力だろうか? 私の方でも手伝える事なら、喜んで協力をしようと思うが……」

サターニャ「いや、それよりも……それ以前の話よ?」

ゼルエル「……? ああ、そう言えば天界でお菓子販売をするつもりらしいな、既にマルティエルが準備をしているぞっ!!」

ゼルエル「それに関しては、そもそも私の許可とか関係なく……べつに自由に販売をしても良いんだぞ? 私も特に邪魔をしたりなんかしない」

サターニャ「違うのよ……もっとこう、根本的で基本的なお話よ?」

ゼルエル「……?? ああ、つまり人間に正体をバラす事に関してか……それについては、流石に私一人ではその責任を持ち切れないな」

ゼルエル「ただ、そこの三人……あと君たちが大丈夫と判断した者に関しては、全てを話しても構わないと思っているぞ?」

サターニャ「あー、もうっ!! そうじゃないのよ……それよりも、もっと前提的な事なのよ~っ!!」

ゼルエル「……?? すまない、一体何の事なのかが見当付かない……君が言っているのは、何の話だろうか?」


サターニャ「お姉さん……ズバリ、私の配下になりなさいっ!!」

ゼルエル「配下……えっ、えぇっ?! いや、ちょっと待って配下って……ちょっ、もしかしてあの配下ァ~?!」

サターニャ「ならないのかしら?」

ゼルエル「いやいやっ!! さすがにそれはちょっと……もちろん君の事は、高く評価しているつもりだが……」

サターニャ「配下になるのなら、毎日私のお菓子を送り届けてあげるわっ♪」

ゼルエル「それは……非常に魅力的な条件だな、しかし配下というわけには……」

サターニャ「ちなみに、ならないというのなら……当然、お菓子抜きねっ!! お姉さんには今後、販売もさせないように私が手を回すわ~♪」

ゼルエル「なっ、なんだとっ……!? まさか貴様、悪魔かっ!? いや……そういえば悪魔だったな……クソッ、この悪魔がっっ!!」

サターニャ「ここで配下になると言うなら、望むだけのお菓子を毎日好きなだけ送り続けてあげる……」

サターニャ「でも配下にならないと言うのなら、もう二度と私のお菓子を口にする事は出来ないわね……さあ、好きな方を選びなさいっ♪」

ゼルエル「くっ……!! な、なんなんだ? この、理不尽極まる二択はっ……!!」


ゼルエル「クソッ……落ち着け、冷静に考えれば、たかがお菓子じゃないかっ!!」

サターニャ「お菓子、美味しいわよね~♪ このお菓子が、永遠に食べられなくなっても……お姉さんは本当にいいのかしら~?」

ゼルエル「二度と、食べられなくなる? このお菓子が、もしかして……一生?? いやしかし、それでも……」

サターニャ「何を迷ってる必要があるのかしらね~? あっ、新作のお菓子があるんだけど、どうかしらっ♪」

ゼルエル「し、新作のお菓子だと……? も、もしかしてお菓子は、新作がどんどん追加されていく、のか……?」

サターニャ「焦れったいわね~……ほら、匂いだけ嗅がせてあげるわっ! もちろん、ただ匂いだけね~っ♪」

ゼルエル「くっ……分かった!! お前の配下になる事を誓おう!! だから……そのお菓子を食べさせてくれ~っ!!」

サターニャ「ふふっ……よ~く出来ましたっ♪ さあ、好きなだけお菓子を食べてもいいわよ~?」ドヤァ!


ヴィーネ「だ、大悪魔だわ……ほんとに」

上野「う~ん、どっからどう見てもこれは大悪魔ですねっ、はい!」

委員長「この人……天界のトップなのよね? その方が、胡桃沢さんの配下にっ?!」

ラフィエル「名実共に……大悪魔ですね、これは……」

ガヴリール「姉さんがサターニャの配下か、ははっ、そりゃいいなっ!!」

田中「えっ? もしかして、これって天界とやらを支配しちゃったも同然……??」

タプリス「間違いなく、大悪魔ですね……誰が見ても、そう答えるんじゃないでしょうか」

サターニャ「なーはっはっは! 私のお菓子は、天下一品よ~っ♪」

ゼルエル「うぅ……だって、美味しいんだもん……こんなの、卑怯だよぅ……!!」モグモグ


ヴィーネ「まあまあ、ゼルエルさんっ♪ 配下と言っても、みんなで一緒にお菓子を作りましょうってだけですからっ!!」

ラフィエル「これで天界の方で販売する支部は、私のお屋敷と天真家のお家と……ふっふっふっ♪」

タプリス「このまま、天使たちを全員お菓子漬けにするつもりですね……もうっ、こうなったらやるだけやっちゃえです~っ!!」

ガヴリール「あっ、私このままサターニャに一生付いてくから、よろしく~♪」

上野「ところで、天使って翼とかあるんですかね? モフモフしたいんですけど……」

委員長「あっ、そうよっ!! 天真さん、翼があるならモフモフさせなさいよ~っ!!」

田中「この調理部室を、天使と人間の交易場所にしちゃうってのも悪くないんじゃないでしょうかね~?」

ゼルエル「お土産、貰ってもいいか? そろそろ、私は帰るとするよ……」

サターニャ「今日は遥々ありがとね、お姉さんっ!! 家族のみんなにも、お菓子を食べさせてあげるといいわっ♪」

……わいわいっ!!


ゼルエル「ここは、皆の笑顔が絶えないんだな……」

サターニャ「お姉さんも、もうメンバーの一員なのよ? これからも、どうかよろしくねっ♪」

ゼルエル「ははっ、そういえばそうだったなっ! そうか、私も既にこの中の一員なのだな……」

サターニャ「そうそう、もっと笑っていなさいよ~? お姉さんは、笑顔になる回数が少なすぎるのよっ!!」

ゼルエル「笑顔が、少ない……?? 確かに、私はあまり大きく笑ったりする事は無いのかもしれないが……」

サターニャ「それじゃ、ダメよ~? 自分が笑顔になれないで、他の人を幸せにさせる事なんて絶対に出来ないんだからねっ!!」

ゼルエル「……成る程、それは言われてみれば確かにそうなのかもしれん……」

サターニャ「お姉さんがもっと楽しく笑っていれば……他の天使たちも、きっと今よりももっと笑顔になれるはずなんだからっ♪」

ゼルエル「……そうか、そうなのかもしれないな……君には、本当に驚かされてばかりだ」

ゼルエル「では、今度来る時にはもう少し笑顔になれるように精進しておこう……今日は本当に世話になった!!」

サターニャ「ばいばい、お姉さん……暇があったら、またいつでも来ていいんだからねっ♪」

…………


田中「……行っちゃった、か」

委員長「結局、妹想いの良いお姉さんってだけだったみたいね……」

ガヴリール「よし、これで私も晴れて自由の身だ! なんせ姉さんは、もうサターニャには逆らえないんだからな~っ♪」

ヴィーネ「もうっ、またそんな事言って……でもそうね、ガヴが連れて行かれなくて良かったわ!」

ラフィエル「これで天界はもう私たちの手に落ちたも同然です……世界征服は、すでに秒読み段階に入ってますよ皆さんっ!!」

上野「目に見える障害は、もはや何も無いですからね~……あとは、ただひたすら売り捌くのみですねっ!!」

タプリス「皆さんに付いてきて良かったです~……今までに無い充足感を感じてますよ、私っ!!」

サターニャ「はいは~い、みんなっ!! とりあえず、今日の成果の方を聞かせてもらっても良いかしら~?」


上野「今日の生産数の程は約三万個……昨日のおよそ3倍ですねっ!」

ラフィエル「人員は300人……どうやら様子見をしていた生徒たちも、実際の職場の雰囲気を見て参加しに来てくれたようですっ♪」

委員長「これまでの生活の都合上、今すぐには働けないって生徒もいるわ……それも含めると、実際には既に学校の生徒達の大半が参加予定よ?」

タプリス「まあ部活などに本気で取り組んでいる生徒もいますから、全員が全員ってわけにもいきませんよね……」

ヴィーネ「そういう人たちには、これからも頑張って貰わないと……お菓子を差し入れて、応援してあげてもいいんじゃないかしら?」

ガヴリール「マスターの所はえらく大盛況らしいぞ? 店が朝から晩までずっとお祭り状態だと言っていたな!」

ガヴリール「ネット販売は、一人5個制限で今のところ倍率10倍だな……お菓子全然足りないぞ、もっと生産しなきゃダメだろこれ」

田中「天界の方にもお菓子を送り届けなくちゃいけませんよね? すでに、生徒だけじゃ追い付けない規模になってますよ~!」

サターニャ「うんうん、みんなそれぞれが順調のようねっ♪ 今日もいっぱい頑張ってくれて、ありがとうっ!!」

サターニャ「そして……どうやらこの街そのものを挙げての生産体制に入らなきゃいけない時が来たようね?」ニヤッ


上野「お、おぉ~……! 遂に、この街自体の乗っ取りを開始するんですねっ!!」

委員長「まあ学校の方については、もう乗っ取りが完了していると言ってもいい状態だもんね……」

ラフィエル「一般人を雇うとなると、色々と面倒な部分があるんですよね~……お偉い方達の説得、お任せしてもいいですか?」

サターニャ「ふふんっ、次のターゲットはこの街の偉い人達ってわけねっ!! 今までの相手に比べたら楽勝だわ~♪」

ヴィーネ「サターニャの手に掛かれば、法律も何も関係ない、何もかもがサターニャの思い通りになってしまうわね……」

タプリス「恐るべき、大悪魔です……街を乗っ取るという行為が、まるで簡単な事のように思えてきます~っ!!」

ガヴリール「もう早く、この国自体を乗っ取っちまえよ……こんな世の中、サターニャに支配されちまった方が断然マシだっての!」

田中「天真さんは、相変わらずですよね~……って、なんでダーツの準備なんかしてるんですか!?」

ガヴリール「よっ、ほっ! っと……ああ、抽選の様子を実況配信だ、再生数も稼げて一石二鳥だろ~?」


ヴィーネ「ちょっ……あんた、そんな適当な抽選の仕方でいいわけっ?!」

ガヴリール「適当とは何だ、ちゃんと公平な抽選だろ~? ちなみに、明日はビンゴ大会をやるつもりだぞっ!!」

委員長「ふむふむ、ちゃんと再生数も稼げているみたいね……まあ、目に見えない抽選よりかはこっちの方が良いんじゃないかしら?」

サターニャ「まったく、あんたはしょうがないんだから……その再生数で稼いだ分は、あんたが取っといて良いわよっ!」

タプリス「ちょっと、大変ですよっ!! このお菓子の偽物が、ネットで出品されてますよ~っ!!」

ヴィーネ「……!! もしかして、ようやく私の出番なのかしら? でも、まずは警告からよね……ふふっ♪」

タプリス「出品者の住所を特定しました、天使を舐めてもらっちゃ困りますね~……警告で止まらない場合は、やっぱり突撃ですかね~?」

田中「こっちはこっちで何やら盛り上がってますね~……月乃瀬さんは、これから忙しくなるかもしれませんねっ!」

上野「う~ん、偽物とかはあまり良い気分がしませんねぇ……悪質な場合は、やっちゃっても構わないんじゃないでしょうか?」

ラフィエル「ふふっ、どうやらヴィーネさんの初出動みたいですねっ♪ お手柔らかに頼みますよ~?」


タプリス「あっ、こいつ警告を無視してのうのうと出品作業を続けてやがるです~っ!! もう完全にクロですよっ、月乃瀬先輩っ!!」

ガヴリール「んっ? ああ、そいつは前々からいる悪質な詐欺師だぞ……遠慮なくやっちまえよ? その方が世の中の為になるからさ」

ヴィーネ「ふふっ、久々に悪魔の血が騒ぐわね……それじゃ、お仕置きに向かうとしましょうかっ♪ タプちゃんっ!!」

タプリス「はいっ!!」

……シュンッ!!


田中「おお、消えた~……なるほど、見事な瞬間移動ですね~!!」

上野「いきなり現れていきなり脅される、か……相手の方も、少しお気の毒ですね~」

委員長「こういう科学で証明できない事柄だと、騒ぎようもないわね……状況を説明した所で、頭がおかしいと思われるだけだわっ!」

ラフィエル「第一、騒がれたとしても困るのは後ろめたい事がある相手の方ですからね~……詐欺師の方に、容赦は要りませんよっ♪」

サターニャ「本当はヴィネットに、私としてはこんな事あまりやってほしくはないんだけどね……これも、仕方の無い事なのかしら?」


ラフィエル「皆さ~ん、そろそろ今日の所もお開きですね……最後に、聞きたい事はあるでしょうか?」

田中「はいは~いっ!! お菓子の正体が、胡桃沢さんの元気が貰える仕様だってのは本当ですか~?」

サターニャ「本当よっ!! 私の元気をお裾分けしてあげるように、作ってあるんだからね~♪」

委員長「それが本当なら、あのお姉さんの言う通り……みんなが、このお菓子に夢中になるのも分かる気がするわね」

ガヴリール「まさか、お前の元気が貰える仕様だったとはなぁ……そりゃ美味いわけだよ、食べた奴が笑顔になるのも分かる気がする」

上野「はいは~いっ!! もっともっと、とんでもない爆弾発言をしてもいいですかぁ~?」

サターニャ「もうっ、何なのよ~? この大悪魔、胡桃沢=サタニキア=マクドウェル様が、特別に何でも答えてあげるわ~っ♪」

上野「ニヤッ……ふっふっふ、では遠慮なく~っ!! ズバリッ、胡桃沢さんの本命は三人の内の誰なんですかね~?」

ラフィ&ガヴ「「…………っ!??」」

……シュタッ!!


ヴィーネ「ちょっと、あんた達~っ!! 私抜きで何勝手にそんな話をしているのよっ!!」

上野「あっ、お帰りなさいっ!! 早かったですね~♪」

ラフィエル「成果の方はどうでしたか? ヴィーネさん」

タプリス「恐かったですよ~、月乃瀬先輩っ!! 相手をビビらせて、二度と偽物を出品させないように誓わせていましたね~……」

ヴィーネ「落とし前として、PCもぶっ壊しておいたわ……それよりも、さっきの話は何なのよ~っ!!」

ガヴリール「う~ん……あ~、やっぱりさ? ここは冷静に客観的に判断した場合、ヒロイン的な立場は私になるんじゃないのか?」

ラフィエル「なんだかんだで、一番貢献しているのは私じゃありません? 私を選ぶのが、妥当な判断ですよ~♪」

ヴィーネ「最初からずっと味方をしているのは私なのよっ? 汚れ仕事をしてしまって癒しが必要だわ、慰めてよサターニャぁっ!!」

田中「も、モテモテっすね~……胡桃沢さんっ!!」

委員長「ほんと、羨ましい限りだわ……どの娘を選んでも、この上ない大当たりねっ!!」

サターニャ「まったく、あんた達はしょうがないんだから~……ほら、あの時みたいに、みんな私の前に集まりなさいよっ?」


ガヴリール「え~、またあれするのかよ……全くしょうがねえな、ほら長くやれよ? いっぱい、長~くだぞ?」

ラフィエル「サターニャさん、これは毎日やってもらわないとダメですよ~? これからは、毎日ですからねっ?」

ヴィーネ「ほら、早くっ!! 早く、ぎゅーってしてよ、サターニャぁっ!!」

サターニャ「はいはい、まったくもう……あんた達は、ほんと可愛いんだから~っ♪」

ギュウウウッ……!!


ガヴリール「あぁ、サターニャぁ……サターニャぁ~////」ギュウゥッ!

ラフィエル「うふふ~……サターニャさぁんっ♡」スリスリ

ヴィーネ「えへへっ……サターニャの匂いがする~っ♪」クンカクンカ


委員長「あ、あんた達っ……少しは自重しなさいよ~っ!!」

田中「うわ~、三人とも恍惚な表情をしていますね~っ!!」

上野「私たちが見ているって事、みなさん忘れていませんかね……?」

タプリス「て、天真先輩っ!! ハグがしたいなら、私ならいつでもぎゅーってしてもいいんですよ~っ!?」


サターニャ「ねぇ……あんた達さぁ、今日の事で、何か大事なこと忘れてない?」

ガヴリール「なんだよ、大事なこと……? もうこのまま離さないぞ、サターニャぁ////」ギューッ

ラフィエル「このまま添い遂げるのは誰かって話ですよね? サターニャさぁんっ♡」スリスリ

ヴィーネ「もっといっぱいこうしていましょうよっ! サターニャぁ~っ♪」クンカクンカ


ガヴリール「このまま……一緒にベッドの中に入ろ? サターニャぁ////」

タプリス「て、天真先輩っ!! 目を覚ましてくださいぃ~っ!?」

ラフィエル「結婚をしましょう……サターニャさんっ!! 私を、あなたのお嫁さんにしてくださいっ!!」

委員長「し、白羽さんっ!? あなた、気が早過ぎるわよっ!?」

ヴィーネ「キスなら良いよね……? 私と、ファーストキスをしましょう、サターニャぁ////」

田中「つ、月乃瀬さんっ、自重してくださいっ!? みんな、見ていますから~っ!!」

上野「ここ部室ですよっ!? みなさん、少し落ち着いてくださいぃ~っ!?」


サターニャ「もうっ、あんた達っ!! そろそろ帰る時間が迫ってるのよ~? ヴィネット、いいわよ私とファーストキスをしましょうっ!!」

サターニャ「ガヴリール、あとで二人で一緒にベッドの中に入りましょうっ!! ラフィエル、あなたと結婚もしてあげるわっ!!」

ヴィーネ「や、やったっ!! サターニャとファーストキスが出来るっ……夢みたい!!」

ガヴリール「ほ、本当か? 本当に私と一緒に、べッドの中に……サターニャぁ~////」

ラフィエル「やりましたっ!! サターニャさんのお嫁さんですよ、私っ!!」

サターニャ「ねぇ、あんた達、今日一番大事なイベント忘れてるでしょ? そろそろ思い出してよ~っ!!」

田中「イベント……? 何か、今日の内にやり忘れた事とかありましたっけ??」

委員長「思えば、今日は本当にたくさんの事があったわよね……でも、それも全て終わったんじゃないのかしら?」

上野「ん~、もしかして私の眼鏡の度数の話でしょうか? それとも眼鏡を外したら美少女になるとか、そういうアレですかね~?」

タプリス「私の正体が、マフラーが本体だとか、そんなオチは用意してないですよ~っ!!」

サターニャ「もうっ、昨日の内にちゃんと言ってたのに~っ!! あんた達、私が大悪魔になった事の祝杯をあげるわよっ!!」


ガヴリール「んっ? ああ、確かに……昨日の内にそんな事言っていたな~」

ヴィーネ「そうね、ちゃんと祝杯を挙げなきゃいけないわっ!! サターニャの長年の夢が叶ったんだからねっ♪」

ラフィエル「はいは~いっ!! 祝杯の準備をしますよ、みんなで乾杯をしましょうっ♪」

委員長「もう帰る時間なんだけど……まぁ明日はお休みだし、今日くらいは多少なら騒ぎ倒してもいいかしらね?」

上野「実は1日目のお話が日曜日、今日が土曜日のお話であるというのがこの一週間の正体だったりしますっ!!」

タプリス「そんな、曜日感覚……一応はあったんですね、おそらく誰一人もそんなの気にしてなかったと思いますけど」

田中「1日目の日曜日の伏線少なすぎ……と思ったけれど、胡桃沢さんが作ってきてたお菓子の量が一応のヒントですかね~?」

サターニャ「私があの時作ってきてたお菓子の量は、日曜日に活動している生徒の数の分であって、決して全校生徒の分ではないわ……」

サターニャ「って、そんな事はどうでもいいのよ~っ!! 曜日とか、本当にかなりどうでもいいから、はやく祝杯を挙げるわよっ!?」


ラフィエル「は~い、では皆さんっ! ここにいる偉大なサターニャさんを讃えて、乾杯を挙げましょうっ♪ せ~のっ!!」

「「大悪魔っ、おめでとう~っ♪」」


サターニャ「ふふっ、みんなありがとうっ!! 私は天界のトップ、神の腕をも配下に収めた大悪魔よ~っ♪」

ガヴリール「いや、お前は本当にすごいよ……あの姉さんを、あんなにも簡単に屈服させられたんだからな!」

ヴィーネ「ねえ、結婚ってもちろん私ともしてくれるんだよね? 私もサターニャのお嫁さんにしてよ~っ!!」

ラフィエル「私が先ですよ~? もうこのまま一生、私はサターニャさんのモノなんですからね~っ♪」

委員長「圧倒的な胡桃沢さんのハーレムね……悪魔なら、三重婚とかも出来るのかしら?」

上野「出来る出来ないじゃなく、やっちゃうのが胡桃沢さんじゃないですかね~?」

タプリス「うぅ~、こうなったら私も胡桃沢先輩の愛人に収まるべきでしょうか……それが、まだ得策な気もします~っ!!」

田中「あっ、それ良いですね~っ!! 私たちも全員、胡桃沢さんのお嫁さんにしてくださいよ~♪」

サターニャ「なーはっはっは!! この世界はみんなみんな、私のモノよ~っ♪♪」ドヤァ!



その後、世界は無事サターニャの手によって支配された

天界の神様はサターニャに忠誠を誓い、全世界の全権を委ねた
魔界の王様はサターニャに全ての権力を譲り、次期王様として任命した
全世界の女性は全てサターニャに惚れ、全員がお嫁さんとなった

世界中の国々はサターニャに全て乗っ取られ、人類はサターニャによって統一された
世界のあちこちにメロンパンを製造することも義務付けられた
名誉ある人物にはサタニキアメダルが贈呈され、これは最大の賞賛となった

そして今日も世界はサターニャの沢山のお菓子に満ち溢れ、
なーはっはっは!という笑い声が聞こえてくる……


サターニャ「このお話はこれで終わりよ、最後まで読んでくれた方ありがとうっ!」

サターニャ「またいつかどこかで、お会いしましょうっ!! それじゃ、まったね~っ♪」


おしまいっ☆

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