P「……」
奈緒「……」
P「……」
奈緒「……」
P「……失礼しましたー」
奈緒「ちょっ! 待って! 待ってって! Pさん! 今のは違うんだって!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1505483975
P「まあ、うん、その……かわいかったぞ!」
奈緒「あ、ありがと……って、だから違うんだって!」
P「何が違うんだよ……」
奈緒「えーと、だから、だな……い、今のは、練習というか」
P「練習? そんな仕事、予定にないが……」
奈緒「し、仕事じゃなくて」
P「仕事じゃなく? ってことは……趣味?」
奈緒「しゅっ……み、と言えば、趣味……かも」
P「そうか。いい趣味だと思うぞ」
奈緒「その言い方、なんかむかつくな……趣味って言っても、アニメの方な。比奈さんトコで久しぶりに見て、それで」
P「やりたくなった、ってことか。……いや、やりたくなるか?」
奈緒「なったんだからしょうがないだろ。こんな感じだったよなー、とか、あと……」
P「あと?」
奈緒「あっ。……い、言いたくない」
P「どうしても?」
奈緒「……わ、笑わないなら」
P「笑わない」
奈緒「じゃ、じゃあ、言うぞ? その……か、かわいいかな、って」
P「かわいい! かわいいぞ! 奈緒! 最高! かわいい!」
奈緒「だーっ! うーるーさーいーっ! だから言いたくなかったんだよー!」
P「『だから』って……つまり、俺が奈緒のことをかわいいと言うとわかっていた、ということか。うん、いい傾向だと思うぞ!」
奈緒「あー、もー! そういうのいいからー!」
P「そういうところもかわいい」
奈緒「だーかーらー! ……そ、それで、あのアニメを見て思ったんだけど、やっぱり楽器っていいよなーって」
P「話題の変え方が強引過ぎる」
奈緒「楽器っていいよなーって!」
P「はい」
奈緒「でも、実際やろうってなると難しそうだよな」
P「奈緒は……さっきのだと、ベースか?」
奈緒「ベース……ベースもかっこいいよなー。なんか、かっこいい」
P「かっこいいしか言ってないな」
奈緒「うるさい。で、ベースだけど、CDの時に凛も持ってたよな? アレもやっぱり似合ってたもんなー。ちょっと似てるし」
P「似てるとしても髪の長さくらいだろ……。あと、ウチにはもう未央がいるからな」
奈緒「未央も『萌え萌えきゅん』を……いや、未央なら普通にやりそうだな」
P「凛はやらないだろうな」
奈緒「うん。あたしもそう思う。ベースはなんか弾けてもおかしくなさそうだけど」
P「ちょこちょこ練習してるっぽいから弾けるかもな」
奈緒「練習してるの?」
P「撮影の時に『今は』フリだけみたいなこと言ってたからな。凛ならどうすると思う?」
奈緒「あー……凛なら練習してそう。というかしてる。うん、してるな、絶対」
P「だろ? 俺もよくは知らないが……また聞いてみてもいいかもしれない」
奈緒「でも、凛に教わるのはなー」
P「そりゃまたどうして? 普段のレッスンとかだと教え合ったりしてるだろ?」
奈緒「それはそうなんだけど……ほら、一応年上だし」
P「そんなこと気にしてるのか……」
奈緒「頼りっきりってのもさぁ……色々とお世話になってることもあるし」
P「頼りっきりってことはないと思うけどな。凛も奈緒に頼っていることは多いと思うよ」
奈緒「そうかー? 凛に頼られたことなんか全然ないと思うけど……」
P「それは奈緒が気付いていないだけだよ。俺だって奈緒にめちゃくちゃ頼ってるし」
奈緒「それは知ってる」
P「……そこは否定するところじゃないか? 格好がつかないんだが」
奈緒「いやー、だってPさん、結構あたしに頼ってくるし。情けないところもいっぱい見たからなー」
P「……否定できない」
奈緒「そのぶん、あたしもPさんのことは頼りにしてるけどね」
P「な、奈緒……俺も奈緒のこと、頼りにしてるぞ!」
奈緒「う、うん。……まっすぐ来られると、照れるな」
P「恥じらいの太眉乙女だしな!」
奈緒「な! ……その呼び方、Pさんにはあんまりされたくないんだけど」
P「奈緒って呼んでほしいって?」
奈緒「うん」
P「……このやり取り、なんかいいな」
奈緒「は?」
P「いや、そんな冷たい返ししないで……ほら、アニメとかマンガとかでもあるだろ? こういう感じの」
奈緒「こういう感じ……名前で読んでほしい、みたいなやつか?」
P「それそれ。ヒロインが主人公によく言う感じの」
奈緒「あー、確かに――って、だ、誰がヒロインだ!」
P「いや、ときめいたよ。名前で呼んでほしいって言われるの、嬉しいな……うん。これはかなりの萌えシチュエーションだ」
奈緒「も、萌えって……そ、そもそも、あたしは『うん』としか言ってないだろ? だから、そのシチュエーションとはちょっと違うんじゃないか?」
P「じゃあ『名前で呼んで』って言ってくれ」
奈緒「ああ、わかっ――どうしてそうなるんだよ!」
P「ダメか」
奈緒「ダメ。……もー、Pさんって、なんであたしのことをいじるかな」
P「……そこまで嫌なんだったら、もうしないよ」
奈緒「……そこまでじゃないけど」
P「ってことは、嫌は嫌、か?」
奈緒「……じゃない」
P「え?」
奈緒「……嫌じゃないって言ったんだよ。Pさんは、あたしが本当に嫌がるようなこと、しないだろ。確かに、恥ずかしいことには恥ずかしいけど……」
P「奈緒……」
奈緒「だから、Pさんはいつも通りでいてくれ。そっちの方が……あたしも、嬉しいし」
P「……」
奈緒「な、何か言えよ」
P「……奈緒、ありがとう」
奈緒「ど、どういたしまして」
P「それで早速お願いなんだが、俺が入ってきた時にやってた『萌え萌えきゅん』、今度はきちんとメイド服着てやってみないか? 大丈夫。衣装は俺が用意する。撮影機材もだ。最高の『萌え萌えきゅん』、期待してるぞ!」
奈緒「Pさんのバカ! そんなのやるか!」
P「え……でも、嫌じゃないって」
奈緒「限度がある! ……いや、まあ、これはどっちかって言うと、大丈夫な方だけど」
P「大丈夫なのか! よし!」
奈緒「いや! そういう意味じゃなく……あーっ、もーっ! 誰か助けてー!」
終
――
奈緒「萌え萌えきゅんっ♪」
P「最高」
カメラ「カシャ」
ドア「ガチャ」
加蓮「……」
P「あ」
奈緒「……か、加蓮、えっと、これは、だな」
スマホ「カシャ」
加蓮「あ、もしもし凛? めちゃくちゃかわいい写真が撮れたんだけど――」
奈緒「待てえええええええええええええ!」
終
終わりです。ありがとうございました。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません