アーロン「シャーーーハッハッハッハッ!!」臨也「……」 (36)

俺は人間が好きだ。 心から愛してる。

ここ、ゴザの町は沢山の人間で溢れている。 まるで天国にいるようだ。

……そう、やつらが来るまでは。

アーロン「シャーーーハッハッハッハッ!!」

臨也「……」












シャハハハ!!~魚人編~

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臨也(あれが魚人か……見てるだけで不快だね)

アーロン「いいか!! 大人10万、ガキ5万だぞ!!」

アーロン「払えねぇやつは殺してやる!!!」

臨也(……俺の視界に入らないでほしいね)

臨也「……はい、これで満足かい」

アーロン「シャハハハ、ちゃんと持ってるじゃないか」

アーロン「……よし、全員からもらったな。 撤収だ」

誠二「姉さん……」

波江「大丈夫よ誠二、心配はいらないわ」

波江「……見てなさい半魚人、誠二に手を出したら許さないわ」

アーロン「……」ピタッ

はっちゃん「ニュ?」

クロオビ「どうしたアーロンさん」

アーロン「……今おれの事を半魚人と言ったのは誰だ」

波江「私よ」

アーロン「……下等種族の人間がおれ達魚人を馬鹿にするとは……頭でも撃ったのか?」

波江「下等種族はどっちかしらね」

ガシッ!!

波江「!!!」

誠二「姉さん!!!」

アーロン「……これは見せしめだ」

波江「あっ……がっ……」

誠二「ま、待ってくれ!! 姉さんを離してくれ!!!」

アーロン「シャーーーハッハッハッハッ!!」

ザシュッ!!

アーロン「……?」

臨也「……」

アーロン「ぐあっ……!!」

チュウ「野郎!! アーロンさんを刺した!!」

波江「あ、あんた……?」

臨也「……」

アーロン「か、下等な……」

アーロン「下等な人間がおれに何をしたああああああああああああああ!!!」

はっちゃん「お、おい!! 暴れるぞ!!」

はっちゃん「落ち着くんだアーロンさん!!!」

アーロン「うおおおおおおおおおお!!!!」

誠二「!! 家を持ち上げた……!!」

アーロン「ああああああああ!!」ブン!!

臨也「……」ヒョイ

ドカシャアアアアン!!!

アーロン「ふー……ふー……」

チュウ「アーロンさん、気持ちは分かるが殺しては金が……」

アーロン「……」

クロオビ「ここは一旦アーロンパークに戻ろう」

クロオビ「そしてグランドラインで手に入れた……この首の今後の使い道も考えよう」

アーロン「……ああ」

誠二(首……?)

誠二「……!!!」

スタスタ……

臨也「……」

ゲンゾウ「……臨也」

臨也「! ゲンさん」

ゲンゾウ「……何故あの魚人を刺した」

臨也「何故って……」

臨也「人じゃないから……それ以外に理由がいる?」

ゲンゾウ「お前があの行動に出たのも気持ちは分かる……だがその結果、暴動を招いた」

ゲンゾウ「幸い怪我人はいなかったが……下手をすれば死者が出てたかもしれないんだぞ」

ゲンゾウ「あそこは穏便に話し合いで解決すべきだったのではないか……?」

臨也「……話し合いで解決しないから人じゃないんじゃないか」

誠二「……」

臨也「! 誠二くん、君のお姉さんは無事かい?」

誠二「はい、姉さんを助けてくれてありがとうございました」

臨也「……? 俺は君のお姉さんを助けてあいつを刺したわけじゃないよ」

誠二「!! まさか……魚人だから……」

臨也「そうさ、魚人だから……化物だから刺したんだ」

臨也「あいつらは人の形をした化物だよ」

臨也「いや……あの形を人っていう方が人に失礼だろうね」

臨也「俺は人間を平等に愛するんだ。 波江さんを助けたら波江さんを特別扱いしてることになるだろ?」

誠二「……もし姉さんの首を絞めてた人が魚人じゃなかったら?」

臨也「……」

臨也「……さぁね」

「くそ……あの魚人をなんとか追い払えねえのか」

「怖いよママ……」

「なんでこんなことに……」

「ナミ……ノジコ……大丈夫よ」

臨也「……」

臨也「凄いね……さっきまで明るかった町が一瞬で暗くなったよ」

臨也「それに恐怖に怯える人……反乱を考える人……脱出を試みる人……」

臨也「多種多様な感情……やっぱり人間は最高だよ!!」

誠二「姉さん、大丈夫?」

波江「ええ、大丈夫よ……誠二、心配かけてごめんなさい」

誠二「いや、いいんだよ」

誠二「……」

誠二(あの魚人が持っていた首……)

誠二「……」

波江「……誠二?」

次の日









波江「誠二!! 誠二!! 誠二!!!」

波江「どこにいるの!! 誠二!!!」

臨也「どうしたんだい波江さん」

波江「誠二が!! 誠二がいないの!!!!」

波江「朝起きたら……どこにも!!!!」

波江「まさか……あの魚人達が……」

臨也「……どうだろうね」

波江「殺してやる……あいつら、一人残らず殺してやる!!!」ダッ

臨也「……」

アーロンパーク

波江「アーロン!!!」

アーロン「ん? お前は確か……」

波江「返して!! 私の誠二を返して!!!」

アーロン「誠二……?」

チュウ「アーロンさん、昨日ここにやってきたガキだ」

アーロン「ああ、あの……」

波江「やっぱり……やっぱりここに誠二がいるのね!!!」

波江「早く返しなさい!! 誠二を……私の誠二を!!!」

誠二「……俺は帰らないよ」

波江「誠二!!!?」

アーロン「シャハハハ……勘違いするなよ」

アーロン「おれ達はこいつを連れ去ってねぇ……こいつから来たんだ」

波江「嘘よ……そんなの嘘よ!!!」

誠二「本当だよ、姉さん」

波江「!!!!」

誠二「俺は……彼女に魅入られてしまったんだ」

波江「彼女……?」

アーロン「……この首だ」

波江「!!!」

誠二「姉さん、綺麗な首だと思わないかい?」

波江「誠二……」

アーロン「おれ達がこの首を持っている限りこいつはずっとここにいるというわけだ!!」

波江「じゃあ……その首を返しなさい!!!」

ガシッ!!!

波江「!!!」

アーロン「下等種族の分際で……おれに命令するんじゃねえ!!」

アーロン「シャハハハハハハハハ!!!」

波江(畜生……!! 畜生……!!)

誠二「……なんて綺麗な首なんだ」












波江「……」

波江「誠二……」

波江「どうして……どうしてなの誠二……」

波江「……」

波江「これも全部あいつが……」

波江「アーロン!! アーロン!!」

波江「アーロン!!! アーロン!!! アーロン!!!」

波江「……はぁ……はぁ……」

臨也「……」

波江「……何よ」

波江「どうせ私を……笑いに来たんでしょう?」

波江「それで……やっぱり人間は最高だねとか言うんでしょう?」

波江「ねぇ……そうなんでしょう!!?」

臨也「……」

波江「……臨也」

波江「……助けて」

臨也「波江さん、勘違いしないでくれよ」

波江「……?」

臨也「俺がこれからやることは……君の為じゃない……」

臨也「……俺の為さ」

スタスタ……

波江「……」

はっちゃん「ニュー!! アーロンさん!! お客さんだ!!」

アーロン「……またあの女か」

はっちゃん「いや、それがちげえんだ!!」

アーロン「……まあいい、通せ」













臨也「どうも、ノコギリのアーロン」

アーロン「てめぇは……!!」

臨也「ちょっとあんた達と交渉をしたくてね」

アーロン「交渉……?」

臨也「そう、そこにいる誠二くんを返してもらうよ」

誠二「……俺は帰らない、彼女がここにいる限りは」

アーロン「シャハハハ……うちには測量士がいなくてな」

アーロン「こいつにでもやらせようと思ってたところだ」

臨也「ふうん……そうか」

臨也「ねえ誠二くん」

サッ

臨也「この首……どう思う?」

誠二「……!!」

アーロン「なんだぁ? その首は?」

臨也「誠二くん、俺が持ってるこの首と君が惚れているその首……」

臨也「……どっちが美しい?」

誠二「……」

誠二「……そっちの……首……」

アーロン「!!!」

臨也「ははは、やっぱりそうだろう? こっちの首が綺麗だろう?」

誠二「……はい」スタスタ

臨也「誠二くん、この首欲しいかい?」

誠二「はい」

臨也「じゃあアーロン一味を抜けてくれ。 いいかな」

誠二「分かりました」

クロオビ「てめぇまさか……抜けるのか?」

チュウ「自分勝手が過ぎるんじゃねえか……? チュッ」

アーロン「ほっておけ」

はっちゃん「ニュ? アーロンさん?」

アーロン「あんなガキのことなんざどうでもいい」

アーロン「そいつよりも……」

アーロン「おれは今……てめぇをぶち殺したくてたまらねぇ」

臨也「……へぇ」

アーロン「このガキを返す代わりにてめぇを殺す……」

アーロン「交渉の内容はそうだろう?」

臨也「いや……違うね」

臨也「誠二くんを返してもらうだけじゃなく、あんた達にもここを出て行って欲しいっていうのが交渉の内容だよ」

はっちゃん「ニューーーー!!? ふざけてるのかお前!!!」

アーロン「……余程死にたいらしいな」

臨也「そもそもあんた達はどうしてゴザの町にやってきたんだい?」

臨也「それは東の海の人達に見せしめとしてここを選んだのかもしれないけど……」

臨也「もっとほかにいい場所があるはずだよ」

アーロン「……何が言いたい」

臨也「あんた達は密かに怯えているんだ、東の海の海賊達に」

臨也「だからこうやって一般人しかいないごく普通の村を選んだんじゃないのかな、弱い者いじめってやつだね」

アーロン「!!!!」ブチッ

臨也「おっと、感に触ったようだね」

臨也「つい事実を言ってしまったよ」

アーロン「……」ブン!!

臨也「!!!」ヒョイ

チュウ「!! あいつ……アーロンさんの攻撃を躱した……」

臨也「こんなところより海軍支部や強いやつがゴロゴロといる所を占領した方が俺はいいと思うけどな」

臨也「その方が俺ら一般人は恐怖に怯えるんじゃない?『俺達を助けてくれる海軍の人達が……』って」

臨也「現時点ではまだ『海軍の人達が助けに来てくれる』って希望があるんだよ」

臨也「その希望さえなくさないと俺はいけないと思うな」

アーロン「ああいいさ、すぐにぶち殺してやる」

アーロン「東の海にある海軍支部のやつらを全て殺してやる!!!」

臨也「おっと、俺は海軍支部は例えで出しただけだよ」

アーロン「……なに?」

臨也「……海上レストランバラティエって知ってるかな」

アーロン「なんだそれは」

臨也「そこにはしょっちゅう海賊が食糧を奪おうとやって来るんだけど一度も奪われた事はないんだ」

臨也「……『戦うコック』のお陰でね」

アーロン「戦うコック?」

クロオビ「聞いたことがある……海賊をも凌ぐ強さを持つやつらがいると……」

アーロン「……ほう」

臨也「そこを襲ったらどうかな」

アーロン「シャハハ……そうするか」

アーロン「……お前を殺してからな!!」

臨也「!!!」

ガシッ

アーロン「!!!」

チュウ「な、なんだ?」

クロオビ「アーロンさんの動きが……急に止まった?」

アーロン「なんだ……この手は?」

はっちゃん「にゅ? 手なんてどこにもないぞ?」

アーロン「……? 気のせいか……?」

アーロン「けど一体誰がおれの動きを……」

チュウ「それよりもアーロンさん……さっきのやつ、いつの間にか逃げたぞ。 追いかけるか?」

アーロン「……いや、後にしよう」

アーロン「それよりも……出航の準備をしろ」

クロオビ「!!! まさか……」

アーロン「ああ……海上レストランバラティエに行く」

アーロン「シャハハハ……今に見てろ、あのフードのガキ」

アーロン「コックを一人残らず殺して……あいつの青ざめた顔を拝もうじゃないか」

アーロン「シャハハハ……」

アーロン「シャーハッハッハッハッハッ!!!!」









臨也「……」

臨也「一人残らず、か」

臨也「俺は一人で充分なんだけどね」

誠二「姉さん」

波江「誠二!! 戻ってきたのね!!」

ギュウ

誠二「!!!」

波江「よかった……誠二が無事で……本当によかった……」

波江「もう……どこにも行かないでね、誠二」

誠二「……分かったよ姉さん」

波江「……所でその首は?」

誠二「僕の愛する人さ」

波江「!!!?」

誠二「臨也さんからもらったんだ」

誠二「姉さんも綺麗だと思わないかい?」

誠二「まるで……花のように綺麗な首だ」

ブワッ

誠二「……!?」

波江「首が……消えた?」

誠二「嘘だ……そんなはずがない!!」

誠二「どこだ!! どこに行ったんだ!! 僕の愛する首は!!」

波江「待って!! 落ち着きなさい誠二!!」

誠二「臨也さんが……きっとあの人が何か仕組んだんだ!!」

誠二「あの人は僕の彼女をどこへやったんだ!!」

波江「待ちなさい誠二!!!」








臨也「……」

臨也「……ふふふ」

臨也「あまりにも想定内すぎて笑いが出ちゃったよ」

臨也「愛する人がいなくなったらどんな行動を起こすかと思ったら……」

臨也「誠二くん、俺を探しにどっか行っちゃった」

臨也「あーあ。 もっと予想外の事してくれないとなー」

??「……いつまで貴方の独り言に付き合えばいいのかしら」

臨也「……おっと、そうだったね」

臨也「……とりあえず、協力に感謝するよ」

臨也「……ニコ・ロビン」

ロビン「……」

臨也「あなたがあの時にアーロンの動きを止めてなかったら俺は危なかったからね」

ロビン「……あなたを死なせるわけにはいかないから」

臨也「はは、分かってくれて嬉しいよ」

臨也「けどま、あなたがハナハナの実の能力者で本当によかったよ」

臨也「あなたが俺の手に頭を咲かせることで誠二くんにデュラハンの首だと思わせることができた」

臨也「俺は人間観察ができるしあなたもアレを見る事ができる。 ウィンウィンだね」

ロビン「……早く教えてもらえるかしら?」

臨也「そうだね、俺も知りたいんだ。 昔の人間の事を」

臨也「それじゃあ案内するよ」

臨也「……ポーネグリフの場所までね」

パティ「おい見ろ!! あの船!!」

カルネ「おいまさか……アーロン一味か!!?」

アーロン「下等な人間ども!! 今からこのレストランはおれ達アーロン一味の物だ!!」

ゼフ「……だそうだ」

ゼフ「どうするチビナス」

静雄「……」

静雄「海賊っつーことは……容赦なくやっていいんすね?」

終わり

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