静雄「ああ!? 何わけのわかんねえこと言ってやがる!!」
静雄「そうやってまた話逸して逃げようとしてんじゃねえ!!」ブン!!
臨也「俺は本当のことを言っただけさ」ヒョイ
ドガシャアン!!
臨也「その自販機が投げられて衝撃を受けて中からワドルディが出るかもしれないからさ……俺はそれを避けたいと思ってたんだ」
静雄「だいたいこれはワドルディとかわけのわかんねえもんじゃなくてちゃんとジュースが入っ……」
ワドルディ「……」
静雄「……んだこれ」
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臨也「そいつがワドルディだよ、シズちゃん」
静雄「……てめえ、また変なこと企みやがって……」
臨也「おいおい、なんでもかんでも俺に押しつけないでくれよ。 俺は無関係さ」
ワドルディ「……」ゴロゴロ
臨也「……どうやら俺の嫌な予感は的中したみたいだね」
ワドルディ「……」テクテク
臨也「……不快極まりないよ」
ワドルディ「……」ジー
静雄「……?」
臨也「ワドルディは金を入れた本人についていくようになる。 雑用でもなんでもこなすみたいだよ」
臨也「どうやらシズちゃんを金を入れた本人だと思いこんでるみたいだね」
ワドルディ「……」ジー
静雄「……」ジー
臨也「同族の君にはぴったりじゃないかな? じゃあね」ダッ
静雄「なっ……おい!! 待ちやがれ!!」
臨也「……ふう」
臨也「……」チラッ
女「ワドルディちゃん可愛いーー!!///」
臨也「……」チラッ
男「ワドルディ、あそこのコンビニで買ってきてくれ」
ワドルディ「……」コクリ
臨也(……池袋(ここ)も住み心地がだいぶ悪くなったな)
臨也(全く……何が好きであんなやつを……)
ワドルディ「……」ジー
臨也「!!!」
臨也(シズちゃんが投げた自販機から出てきたワドルディは二体……)
臨也(まさか……その内の一体は俺を……)
ワドルディ「……」ジー
臨也「……」スタスタ
ワドルディ「……」スタスタ
臨也「……」シャキン!!
ワドルディ「!!!」
臨也「これは命令だ……俺には二度とついてくるな」
臨也「俺の元を去ってくれないかな」
ワドルディ「……」
臨也「……流石化物、微動だにしないね。 君からはなんの感情も感じない」
ワドルディ「……」ダッ
臨也(帰ったか……)
トム「……ったくよぉ、仕事の途中ですぐどっか行きやがって」
静雄「……すんません」
ワドルディ「……」
トム「……そんで見つけたかと思えばそいつ買ってるしよ」
静雄「……トムさん、こいつなんなんスか?」
トム「なんだよ、ワドルディ知らねえのか?」
静雄「……はい」
トム「雑用のロボット……いや、ロボットじゃねえな……ぬいぐるみか? ……うーん……まあその……雑用くんだ」
トム「家事も育児もなんでもやってくれるんだとよ」
静雄「……」
ワドルディ「……」テクテク
トム「お前まさかなんも知らないでワドルディ買ったのか?」
静雄「……これ、誰が売ってるんすか?」
トム「誰だっけなぁ……なんかすげえペンギンっぽいやつと……カタツムリみてーなやつだったなー。 名前は確か……」
臨也「ただいま」
ワドルディ「……」
波江「あら、思ってたより美味いわね」
ワドルディ「……」ピョンピョン
臨也「……波江さん、それは?」
波江「見て分からないの? ワドルディよ」
ワドルディ「……」
臨也「……冗談はよしてくれよ」
波江「ちょうどワドルディが欲しかったところだったのよ」
臨也「是非聞かせてほしいね、誠二くんにしか心を開かない君が彼を欲しがった理由を」
波江「ありとあらゆる雑用をこいつにやらせるつもりよ」
波江「あんたの分の料理を作るのも疲れちゃったしね」
波江「……それだけじゃないわ、これからはこの子を使って誠二の監視をさせるの」
臨也「……まあいいさ、そこまで飼いたいって言うんだったら俺の視界に入らないようにさせてね」
臨也「そのうち、この子がいる空間に苦痛を感じる筈さ」
波江「そう……」
ワドルディ「……」キュッキュッ
波江「……あら、もう掃除してくれてるの。 私の部下より気がきくじゃない」
トム「……そろそろさぁ、返してくれないですかねぇ?」
男「も、もう少し!! もう少し待ってくれ!!」
ワドルディ「……」ジャキン!!
男「や、槍!?」
トム「……返せますね?」
男「はい!! 返せます!! 今すぐに!!」
静雄「……すげーなお前」
トム「休憩すっか」
静雄「うす」
ワドルディ「……」ジー
静雄「……お前はなににすんだ?」
ワドルディ「!!」
静雄「自販機、手が届かねえだろ? 俺が買ってやるよ」
ワドルディ「……」ピョンピョン
静雄「……これか?」
ワドルディ「……」コクリ
ピッ
静雄「ほらよ」
ワドルディ「……」ペコリ
静雄「おう」
デデデ「エスカルゴン!! 売上はどうなってるゾイ!?」
エスカルゴン「なかなかでゲス!!」
デデデ「なかなか!? そりゃ最高ゾイ!!」
ワドルディ「……」
デデデ「うおっ!? なんでお前がここにいるゾイ!?」
エスカルゴン「ワドルディは全員自販機の中でスタンバイしているはずでゲス!!」
ワドルディ「……」
エスカルゴン「ワドルドゥ隊長、こいつはなんと言ってるでゲスか?」
ワドルディ「『ご主人に俺の元を去れって言われたから帰ってきた』と言ってます」
エスカルゴン「な、なにぃ!!?」
デデデ「……いや!! これはチャンスゾイ!!」
エスカルゴン「陛下……?」
デデデ「自販機に『返品をする場合は300万デデンを支払わなければならない』と書いてあったことにするゾイ!!」
エスカルゴン「よし!! ワドルディ!! 捨てたやつの家を教えるでゲス!!」
ワドルディ「……」
ワドルドゥ「……家に行ってないみたいです」
デデデ「なにぃ!? こんの役立たずがぁ!!」
ワドルディ「……」
ワドルドゥ「……ま、待ってください陛下!! 彼が今、ご主人の外見を教えてくれました!! もしかしたらあの男かもしれません!!」
エスカルゴン「誰のことでゲスか!?」
ワドルドゥ「恐らく……その男は新宿や池袋では相当有名かと」
デデデ「有名人かゾイ!?」
次の日
トム「おい、あいつはまだこねえのか」
静雄「……そうみたいっスね」
ドドドドド
静雄「……ん?」
デデデ「情報屋に突撃ゾーーーイ!!!」
エスカルゴン「ワドルディ1580体!! 早く行くでゲス!!!」
ワドルディ「……」ドドドドド
トム「な、なんだありゃあ!?」
静雄「……トムさん、もしかしたら俺んところのやつも……」
トム「あ、ああ……そうかもしれねえな」
トム「……待てよ、あの群れん中にいたペンギンみたいなやつって……」
静雄「……?」
波江「おかしいわね……ワドルディ、どこに行ったのかしら」
臨也「……」カタカタカタカタ
甘楽『最近変な軟体生物みたいなのが流行ってるじゃないですかー』
甘楽『あれって物凄く気持ち悪くありません?』
セットン『そうですか? 私は可愛いと思いますけど』
セットン『うちも一匹飼ってますし』
田中太郎『僕も飼ってはいないですけど』
田中太郎『可愛いとは思いますね』
甘楽『えーーー? そんなに可愛いですかーーーー?』
セットン『そういえば今日、朝起きたらいなくなってたんですよね』
田中太郎『そういえば……』
田中太郎『ワドルディを飼ってる友達も、今日の朝に出て行ったって言ってました』
田中太郎『いろんな家に住んでるワドルディが一堂に会してるって目撃情報があるんですけど……』
臨也「……!」
ドカン!!
波江「な、何!?」
デデデ「お邪魔虫!!」
臨也「……へえ、よくここが分かったね」
デデデ「ワドルディ達の情報網をなめたらいかんゾイ!!!」
エスカルゴン「折原臨也!! お前はワドルディを返品したでゲス!!」
デデデ「300万デデンよこすゾイ!!」
波江「な、何よこのペンギン……」
臨也「……」
ワドルディ「……」ゾロゾロゾロゾロ
波江「すごい数だわ……気味が悪い」
デデデ「早く払わないとワドルディの波に飲まれることになるゾイ!!!」
臨也「……確認したいことがある」
エスカルゴン「なんでゲスか?」
臨也「……あんた達は人間かい?」
デデデ「違うゾイ!!」
臨也「……そうか、だったら心おきなく……」
デデデ「……?」
グシャ!!
ワドルディ「!!!?」
デデデ「なっ……」
エスカルゴン「ワドルディに何するでゲスか!!」
臨也「この光景は……俺が想像してる死後の世界に似ている」
臨也「こいつらは人間の心を持たない!!」
臨也「金で雇われ!! ご主人の命令に従うだけの人生!!」
臨也「心を持たないただの操り人形さ!!」
臨也「そんなやつらが!! 人間と一緒に平然と暮らしてることが!! 浸透していることが!! 同じ地面を歩いてることが!! 家族になってることが!!」
臨也「俺は心底許せないんだ!!」
グシャ!!
デデデ「ワドルディを踏み続けてるあの狂った男は何者ゾイ!?」
エスカルゴン「陛下に狂ってると言われるということは相当でゲスな……」
臨也「あんたらさぁ……早く出てってくれないかなぁ」
デデデ「じゃあさっさと300万デデンよこすゾイ!!!」
波江「デデンってどこの国の単位よ……」
ジャキン!!
デデデ「ひぃっ!!」
エスカルゴン「陛下!!!」
臨也「……その目だよ」
デデデ「ワ、ワシの目に何かついてるかゾイ?」
臨也「その人間を見下すような……自分は特別な存在であるかのような目……」
臨也「……化物特有の目だよ」
臨也「……俺にその目を向けないでくれるかな?」
デデデ「もう何を言ってるかわけが分からんゾイ!! こうなったらワシ一人でお前をぶちのめすゾイ!!」
臨也「!」
ガシッ
デデデ「な、なにするゾイ!! 離すゾイ!!」
静雄「……離さねえよ」
トム「いやーやっと追いついたー。 離すなよ静雄、いつ暴走するか分からねえからな」
静雄「うす」
デデデ「この金髪、なんて力ゾイ!! 全く動かんゾイ!!!」
トム「おたくさぁ、魔獣のレンタル料払ってないんだって? ちゃんと返してもらわなきゃあ困るよ」
エスカルゴン「まさか……取り立て屋でゲスか!?」
トム「ご名答。 さ、こんなところで油売ってないで別のところで話し合いしましょうや」
デデデ「や、やめるゾイ!! 大王の特権で借金を帳消しにするゾイ!!!」
ジャキン!!
ワドルディ「……」
デデデ「うおおっ!? お前、上司に槍を向けるのかゾイ!?」
静雄「お前まさか……俺のか?」
ワドルディ「……」コクリ
静雄「……へえ」
トム「失礼しましたー」
ワドルディ「……」ゾロゾロ
臨也「……」
静雄「……」ギロッ
臨也「……?」
静雄「……池袋にはくるんじゃねえぞ」
臨也「……俺次第さ」
波江「やっと出て行ったみたいね」
ワドルディ「……」
波江「……あら、まだ一人いたの」
臨也「!」
波江「……うちで飼ってる子かしら?」
ワドルディ「……」
臨也「……君もあいつらと一緒に帰りな」
波江「ちょ、ちょっと!!」
ワドルディ「……」ペコリ
臨也「……」
ワドルディ「……」タッタッタッ
波江「……短い間だったけどありがとうございましたとでも言いたかったのかしら」
臨也「……さあね」
臨也「……やっぱり化物は化物といるのが一番ってことかな」
波江「?」
臨也「シズちゃんだよ……同類だからか、すっかりワドルディと打ち解けてる」
波江「じゃあ……ワドルディを飼ってる人達は全員化物ってことかしら?」
臨也「違うよ、化物を愛する人間なんていくらでもいるさ」
臨也「……俺の知ってるやつにもね」
臨也「……まあ要するに、俺はワドルディとの共同生活はごめんだってことだよ」
波江「ところであんた、300万デデンよこせって言われたけど何したのよ」
臨也「ワドルディを返品しただけさ……けどそれは初のケースだったみたいだね」
波江「?」
臨也「公式サイトにも自販機にも返品するにはお金が必要なんてどこにも書いてなかったんだ」
臨也「だからそれをいいことに俺からお金を巻き上げるって作戦にうつったんだね」
波江「そう……」
臨也「全く……化物の癖に下手に頭を使おうとしないでほしいね」
波江「けど……あの子も帰ったってことはまた雑用がいなくなっちゃったわね」
臨也「引き続き頼むよ、波江さん」
波江「……そうだわ」
臨也「?」
波江「……スカーフィとかならいいかもしれないわね」
臨也「……勘弁してくれよ」
〜終わり〜
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