乃々「心の声が聞こえるんですけど……」 (43)
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クラリス「教会生まれのCさん」
クラリス「教会生まれのCさん」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1501868659/)
寺生まれのPさんとか、茄子さんとか、聖ちゃんとか、こずえちゃんとか出ます
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1504313285
モバP「よし、集まったか」
茄子「はい、集まりましたー♪」
聖「えっと……お仕事のお話ですか……?」
モバP「ああ」
モバP「次の仕事は茄子、聖、こずえの三人でやってもらう」
こずえ「こずえもー……?」
モバP「ああ。こずえもだ」
こずえ「おー……」
茄子「ふふ、よろしくお願いしますねー♪」
聖「よろしくお願いします……ふふ、楽しみ……」
モバP「で、仕事の内容なんだが」
聖「……あ、そうだった」
茄子「どんなお仕事なんですか?」
モバP「ああ。テレビの仕事でな」
聖「もしかして、歌の……?」
モバP「ああいや、普通のバラエティ番組だ」
聖「……そうですか」
こずえ「歌いたかったのー……?」
聖「……はい」
モバP「だが、歌を披露できる可能性はある」
聖「!」
茄子「番組の企画で……ってことですか?」
モバP「そういうことだ」
モバP「……この番組は2組に別れて、あるトークテーマについて議論してもらうものだ」
モバP「一定時間議論した後、どちらの意見により賛同できたかを決め」
モバP「その勝者は宣伝をすることができる」
茄子「テレビ番組って感じですねー」
モバP「テレビ番組だからな」
聖「私たちの宣伝……あ、この前のCD……!」
モバP「ああ」
モバP「だから、歌うことはないが、歌は披露できるかもしれない」
茄子「なるほどー」
聖「歌えないのは残念ですけど……でも、歌を聞いてくれるかもしれないなら……」
こずえ「……ひじりー」
こずえ「こずえがおねがいかなえるよー……?」
聖「……あ、ううん、それは大丈夫……」
こずえ「ふーん……」
こずえ「みんなおねがいかなえないのー……」
こずえ「こずえはできるのにー……なんでー……?」
茄子「んー……」
聖「えっと……」
モバP「……みんな自力で叶えたいからだろうな」
こずえ「そうなのー……?」
モバP「ああ、きっとな」
モバP「自力じゃなくても……変な力で叶って欲しくないんだろう」
茄子「対価も要求されるかもしれませんしね」
モバP「……それはさすがにちひろだけだろうがな」
こずえ「んー……?」
こずえ「よくわかんないのー……」
モバP「……まあ、そのうちわかるさ」
モバP「で……聖。今度、歌の仕事とってくるから、もう少し待っててくれ」
聖「あ、はいっ……!」
こずえ「……へんなのー」
茄子「……ところで、プロデューサーさん」
茄子「2組に別れるって言ってましたけど……私たちがバラバラになるってことですか?」
モバP「いや、3人で1チームだ」
茄子「ふふ、よかった♪」
聖「……じゃあ、もう1チームは別の……?」
モバP「ああ」
モバP「相手は、岡崎泰葉、白坂小梅」
モバP「……それと、森久保乃々だ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
泰葉「こんにちはー」ガチャ
小梅「こ、こんにちは……!」
聖「あ、泰葉さん……小梅ちゃん……!」
小梅「ふふ……この前ぶりだね」
聖「うん、この前ぶり……」
泰葉「聖ちゃん、この前はMV見せてくれてありがとね」
泰葉「とっても素敵でした」
聖「わ……ありがとう……!」
茄子「……このお二人が聖ちゃんのお友達なんですか?」
聖「あ……うん、そうなの」
聖「えっと……小梅ちゃんと」
小梅「小梅です……えへ」
聖「先輩の――」
泰葉「その紹介はやめてってば!」
聖「――冗談です……ふふ」
泰葉「もう……」
泰葉「……岡崎泰葉です。よろしくお願いします」
茄子「よろしくお願いしますー♪」
茄子「私は鷹富士茄子でー……」
こずえ「……んー? こずえー?」
こずえ「こずえはねー、こずえなのー……」
こずえ「よろしくー」
小梅「うん、よろしく……」
小梅「……あっ、あとあの子も……」
茄子「あの子?」
小梅「うん……私のトモダチ……」
小梅「……今、茄子さんの後ろにいるの」
茄子「後ろ……」クルッ
茄子「……んー、透明人間さん?」
聖「ううん……幽霊なんだって……」
茄子「あー、幽霊ですかー♪」
茄子「ふふ、よろしくお願いします……えっと、手はこの辺でしょうか?」
こずえ「もっとみぎー……」
茄子「もっと右……じゃあ、この辺?」
こずえ「いきすぎー……」
茄子「えーっと……じゃあ、この辺でしょうか……?」
こずえ「そこだよー……」
茄子「ここですか……ふふっ、よろしくお願いしますねー♪」
茄子「こずえちゃんも案内ありがとうございました」
こずえ「えへー……」
小梅「……ほんとに驚かないんだね、聖ちゃんの事務所の人たちって」
小梅「ちょっと物足りないかも……」
聖「……特にあの二人は驚かない二人だから……」
聖「あれ……そういえばもう一人いるんじゃ……?」
泰葉「おっと、そうでしたね」
泰葉「乃々ちゃーん?」
泰葉「……あれ?」
小梅「……またいなくなっちゃった?」
泰葉「……みたいです」
泰葉「途中まではちゃんとついてきてたんですけど……」
小梅「じゃ、じゃあ……あの子に――」
泰葉「――また乃々ちゃんが気絶しちゃうからダメ」
小梅「えー……」
泰葉「……私が探してくるから少し待ってて」
小梅「わかった……」
聖「……本当に恥ずかしがりやさんなんだね」
小梅「うん……人前がすっごく苦手なんだって……」
茄子「なのにアイドルなんですねー」
小梅「う、うん……」
小梅「……その……私が言うのもなんだけど……」
小梅「私たちと一緒にいるのは楽しいんだって……えへへ」
聖「そうなんだ……」
茄子「いい仲間なんですね♪」
小梅「うん……!」
泰葉「見つけて来ましたー」
小梅「あ、お帰り泰葉さん……と乃々ちゃん」
??「ひぃぃ……ひっぱらないでほしいんですけどぉぉ……」
泰葉「だってこうしないと逃げちゃうでしょ?」
??「あうぅ……」
泰葉「ほら、ご挨拶」
??「……うぅ」
??「えっと……も、もりくぼ……」
乃々「森久保乃々です……はい」
茄子「乃々ちゃんですね、よろしくお願いします♪」
茄子「私は鷹富士茄子ですよー♪」
乃々「茄子さん……」チラッ
乃々「……ひぃぃ」
茄子「?」
聖「えっと、私は望月聖です……」
乃々「聖さん……」チラッ
乃々「……あ……まだ普通……」
乃々「…………ひぃ……気づかないほうがよかった……」
聖「?」
こずえ「こずえだよー……」
乃々「こずえさ――」
乃々「――ひぃぃぃぃ!!」ガシッ
泰葉「きゃっ、乃々ちゃんどうしたの!?」
乃々「な、なんなんですかあの人……!?」
泰葉「あの人って……?」
こずえ「こずえはこずえだよー……?」
乃々「ひぃぃ……近寄らないで欲しいんですけど……!」
乃々「怖いんですけど……!」
こずえ「んー……?」
茄子「……乃々ちゃん、どうしたんでしょう?」
聖「さぁ……?」
小梅「ど、どうしたの……乃々ちゃん……?」
泰葉「えっと、とりあえず落ち着いて、ね?」
乃々「た、助けてください泰葉さん……!」
泰葉「え、えぇ……えーっと……」
小梅「あ、もしかして……心を……?」
聖「……?」
泰葉「ああ、あるほど……そうかもしれませんね」
泰葉「……あの、お二人とも」
茄子「なんでしょう?」
泰葉「その子って……その、危険だったりしますか……?」
茄子「いえ、今はもう大丈夫ですよー?」
泰葉「今はもう……」
聖「そうですね……もう危険はないと思うけど……」
泰葉「……と、とにかく大丈夫みたいですよ?」
乃々「……ほんとですか? もりくぼいぢめませんか……?」
茄子「本当ですよー♪」
茄子「ねー、こずえちゃん?」
こずえ「ののがのぞんでないならー、しないよー……?」
乃々「そ、そうですか……」
乃々「し、信じても大丈夫ですか……?」
こずえ「こずえはー……のぞむことをかなえるのー」
乃々「……」チラッ
乃々「……ひぃぃ……本当かわかんないんですけどぉ……」
こずえ「……?」
聖「えっと……?」
茄子「あんまり状況がつかめないんですけど……」
小梅「あ……」
小梅「えっと、あのね……」
小梅「……乃々ちゃんってね……心が見えるの」
聖「心が……!?」
小梅「う、うん……ね、乃々ちゃん……?」
乃々「あうぅ……ばらされちゃったんですけど……」
乃々「でも……はい、そんな感じです……」
乃々「その……目が合うと……心が見えるんです……」
乃々「ついでに、今考えてることもなんとなくわかるんです……はい」
乃々「声で聞こえて……」
茄子「目が合うと……」
乃々「ひぃぃ……こっち見ないで……」
茄子「あら?」
小梅「……ねぇ、乃々ちゃん」
小梅「みんなの心はどんなのだったの……?」
乃々「え……あぅ……」
乃々「い、言っていいんですか……?」
茄子「面白そうなので、ぜひ♪」
乃々「えぇ……」
乃々「……お二方も?」
こずえ「おねがいならいいよー……?」
聖「そんな変なことを考えているわけでもありませんし……」
乃々「そうですか……」
乃々「……」
乃々「もりくぼの見る心は……今だけの心情じゃなくて……」
乃々「その人の経験や思想から作られたものです……」
乃々「だから……その、全部見えちゃって……話したくない過去とかも見えちゃうので……」
乃々「そんなのですけど……本当にそれでもいいんですか……?」
茄子「かまいませんよー♪」
乃々「えぇ……即答……」
茄子「別に隠すようなことでもありませんしね」
乃々「……」
乃々「……お二人も?」
聖「まあ……」
こずえ「おねがいでしょー……?」
乃々「……」
乃々「やっぱり怖いんですけどこの人たち……」
乃々「……こほん。それでは、まずは聖さんから……」
聖「……」ゴクリ
乃々「聖さんの心は……音符に包まれていました……」
聖「音符に……」
乃々「真ん中に小さな聖さんが一生懸命歌っていて……」
乃々「歌が好きなんだろうな……って、すぐわかりました」
茄子「ふふ、聖ちゃんらしいですね♪」
聖「う、うん……でも、ちょっと恥ずかしいかも……ふふ」
乃々「でも……」
聖「……?」
乃々「……」
乃々「……端っこの方、見えづらいところに……」
乃々「倒れてる人影があったように……見えましたけど……」
聖「!」
茄子「それって……公園での……?」
聖「……きっと」
乃々「じゃあ、あれは本当に倒れてる人だったんですね……」
聖「うん……私には見えないけど、そうだと思う」
乃々「ひぃぃ……」
聖(……だって、芳乃お姉ちゃんと約束したから……)
聖(私のせいで死んでしまった人たちのためにも……強く、生きなきゃ……って)
聖(だから……きっと、心にも)
乃々「……それが、ちょっと怖かったけど……でも、3人の中では一番マシでした……」
聖「一番マシ……」
乃々「基本的には暖かかったので……」
乃々「そこだけ見ないようにすれば普通の心でした……はい」
聖「……そうなんだ」
茄子「じゃあ、次は私のをいいですかー?」
乃々「茄子さんの心は……」
乃々「……笑顔で溢れてました」
茄子「あら、素敵ですね♪」
乃々「……そうですね……素敵なことなのに……」
乃々「とても怖かったです……」
茄子「あら」
泰葉「……どうしてですか?」
乃々「……どこを見ても笑顔しかなかったからです」
乃々「まるでおもちゃ箱みたいに、さまざまなものが詰まっていたんですけど……そのどれもが笑顔でした」
乃々「本来は笑うべきものでないものも……みんな笑顔でした」
乃々「楽しそうに、笑っていたんです、なにもかも……なにもかもが……」
乃々「それが、とっても怖かったんですけど……」
茄子「へぇ……私の心って今そんな感じなんですねー……」
茄子「まあ、毎日が楽しくて面白いですしー♪」
聖「茄子さん……どんなことでも楽しめますからね……」
茄子「だって、どんなことでも楽しいですし♪」
小梅「……この前の心霊番組でも……茄子さん、ずっと笑顔だったね……」
茄子「わぁ、見ていてくれたんですねー」
小梅「心霊番組は好きだから……」
小梅「……でも、あの番組は一番茄子さんにゾクゾクした……♪」
茄子「ふふ、褒めてくれてありがとうございますー♪」
泰葉「……褒めてるんでしょうか、これ」
乃々「やっぱり怖い人なんですけど……」
乃々「えっと……じゃあ、最後にこずえさんですけど……」
こずえ「ふわぁ……?」
乃々「その……変なことを言うんですけど……」
乃々「こずえさんの心を見たら……もりくぼがいました……」
小梅「乃々ちゃんが?」
乃々「はい……」
乃々「ぽつんと大きな鏡があって……そこ以外には何もなくって……」
乃々「鏡にはもりくぼが映っていて……」
乃々「もりくぼがもりくぼを見つめて……もりくぼがもりくぼに見つめられて……」
乃々「そんなこと初めてで本当に怖くて、怖くて……」
乃々「もりくぼは、誰の……何の心を見てるんだろうってなって……」
乃々「もしかして、人じゃないナニカなんじゃないかってなって……」
乃々「だから……助けてください泰葉さん……って感じでした……はい」
小梅「そうだったんだ……」
聖「……茄子さん、それって……こずえちゃんの性質が……」
茄子「……そうですね、鏡だからだと思います」
泰葉「……どういうことですか?」
茄子「えっとですね、こずえちゃんって神様なんですよ」
小梅「……神様?」
茄子「はい♪」
聖「……こずえちゃんは……人の心を覗き込んでその願いを叶える神様なので……」
聖「だから、乃々ちゃんの姿が映っていたんだと思います……」
乃々「神様……ほ、本当に人じゃなかったんですね……」
こずえ「そうだよー……こずえはねー、ひとじゃなくてー」
こずえ「かみさまなのー……」
泰葉「嘘じゃないんですよね……?」
こずえ「ほんとだよー……?」
こずえ「やすはのねがい……かなえるー……?」
泰葉「えっ……」
泰葉「……ほ、本当に叶えてくれるんですか?」
こずえ「おねがいどおりにー……」
泰葉「……」
泰葉「……まあ、別にすごい力を使って叶えたいお願いがあるわけじゃないですし……今はいいです」
小梅「そうだよね……今の泰葉さんの悩みって、ちょっとふと――」
泰葉「――ちょっと小梅ちゃん! 何で知ってるの!?」
小梅「この前ボソッと……最近お菓子食べ過ぎたかもって言ってたから……」
泰葉「えっ、何で小梅ちゃんが知って……あっ、もしかして……!」
小梅「うん、あの子が教えてくれたの……ふふ」
泰葉「そうだった……今度から言葉にしないようにしなきゃ……もう……」
聖「……小梅ちゃん」
聖「泰葉さんはどんなことが悩みなの……?」
小梅「あ、えっとね――」
泰葉「――言わないで!」
小梅「だって……ごめんね」
聖「残念……」
こずえ「んー……おねがいかなえないんだねー……」
こずえ「へんなのー……」
泰葉「……」
小梅「でもそっか……神様なんだ……」
小梅「私……神様なんて始めてみたかも……」
乃々「誰だって初めてだと思いますけど……」
乃々「神様ってみんなこんな心なんですか……?」
聖「さぁ……」
茄子「私たちは見えませんからねー」
乃々「あ……そうでした……」
茄子「でも、こずえちゃんとちひろさんだったら違いそうですけどねー」
聖「確かに……」
泰葉「……ちひろさんという方も神様なんですか?」
聖「あ、うん……」
乃々「どうしてそんな神様の知り合いがいっぱいいるんですか……」
聖「まあ……いろいろあって……」
乃々「いろいろ……」
茄子「……それにしてもすごい能力ですね、乃々ちゃん」
茄子「どうやって身につけたんですか?」
乃々「どうやって……と、いっても……もりくぼにもよくわかりませんけど……」
乃々「その……気がついたら見えるようになってたので……」
茄子「あら、そうだったんですか?」
乃々「はい……確か、今月の最初くらいに……」
泰葉「私たちが相談されたんですよね、小梅ちゃん」
小梅「うん……心が見えるようになったんですけど……って」
小梅「急にそんなこと言われたからびっくりしちゃって……」
小梅「……乃々ちゃん、これからは電波な感じになるのかな……って」
乃々「辛らつなんですけど……」
小梅「でも、話を聞いてくうちに本当なんだ……ってなったの」
茄子「なるほどー……」
小梅「何か、気になることでもあった……?」
茄子「いえ、単純に気になったので……」
茄子「もし私にもできるなら身につけてみたいなーって思いますし」
茄子「まあお話を聞く限り無理みたいですけど」
茄子「んー、残念です」
こずえ「おねがい、かなえるよー……?」
茄子「いえ、大丈夫です」
こずえ「そっかー……」
こずえ「……つまんないのー」
茄子「ふふっ、そのうち違うお願いをこずえちゃんには頼みますねー♪」
聖「……」
聖「……あの、乃々ちゃん」
乃々「ひぃ……今度は何ですか……?」
聖「ここ最近、殺人事件に巻き込まれたりとか……あった……?」
乃々「えぇ……なんですかその質問……」
乃々「そんなのありませんけど……もし巻き込まれたら……もりくぼ怖くて外に出れませんし……」
聖「そっか……」
聖「……もしかして、変な妖怪とか霊とかの仕業かなって思ったんだけど……」
茄子「……あー、確かにそうかもしれませんね」
聖「でも、何の影響もないなら違うのかな……?」
こずえ「あってるよー……」
聖「こずえちゃん?」
こずえ「のののなかはねー……ののだけじゃなかったのー……」
乃々「!」
こずえ「こずえはかがみだからー……みえるよー」
聖「あ、やっぱりそうなんだ……!」
乃々「も、もりくぼの中……なにがいるんですか!?」
こずえ「なにかいるのー……」
乃々「えぇ……こ、こわいんですけど……!」
泰葉「だ、大丈夫なんですか、それ!?」
茄子「私たちにはわからないので……プロデューサーさんを呼ばないとですね」
泰葉「あ、そっか……みなさんのプロデューサーさんって」
小梅「寺生まれだから……」
聖「うん……きっと、プロデューサーさんならわかると思うし……」
聖「悪い霊とかだったら、除霊もしてくれると思う……」
聖「だから……心配しなくても大丈夫だよ、乃々さん」
乃々「あ……そ、そうですか……」
乃々「ほっ……」
茄子「でも、そうなると心を見る力はなくなっちゃうかもですね」
乃々「!」
小梅「そうなの……?」
茄子「はい……きっとその何かが原因で手に入れたものだと思いますから」
茄子「除霊したら……ちょっとした副産物は残るかもしれませんけど、それでも今よりはずっと効力が薄くなっちゃいます」
乃々「……」
乃々「……じゃ、じゃあ……除霊は待って欲しいんですけど」
泰葉「乃々ちゃん……?」
乃々「えっと……も、もりくぼの中に何かがいても……それが変なことをしているわけではありませんし……」
乃々「ないんですよね……?」
聖「……今まで乃々さんに変なことがなかったなら……きっと、まだ……」
聖「あ……こずえちゃんから見たら、どう……?」
こずえ「んー……えっとねー……」
こずえ「なにかはー……ののにちからをあげてるだけー……」
聖「あ、そうなんだ……」
乃々「それなら……このまま無くしたくはないんですけど……」
乃々「それに……心が読めると便利ですし……無くしたくないんですけど……」
泰葉「……」
乃々「もりくぼ……怖がりで、弱虫だから……」
乃々「これがないと……死んじゃう……」
乃々「……何考えてるかわかってるのは……何も知らないよりぜんぜんマシで……」
乃々「だから……えっと、この力を無くしたくないんですけど……」
小梅「乃々ちゃん……」
聖「……でも、もしかしたら、今後変なことになるかもしれないし……」
聖「一回……プロデューサーさんに見てもらおう……?」
乃々「……」
「そろそろ準備お願いしまーす」
泰葉「あ、はいっ!」
泰葉「……そっか、もうこんな時間ですしたか」
茄子「じゃあ、続きは収録後で、ですね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「それでは議論していただきましょう!」
「本日のテーマは『宇宙人はいるか』です……それでは、スタート!」
泰葉「いるわけないじゃないですか」
茄子「あら、即答」
茄子「でも、宇宙ってとっても広いんですよ?」
茄子「きっとどこかにいると思います」
聖「それに……いっぱい目撃したって人もいますし……写真だってありますし……」
聖「同じようにいっぱい目撃されて、写真もある幽霊だっているんだから……宇宙人だって……」
小梅「あ、確かに……」
泰葉「小梅ちゃん!」
小梅「ふふ……冗談……」
乃々「……もしも本当にいるなら、コソコソしないで堂々とくればいいと思うんですけど……」
乃々「もりくぼと違って……」
聖「……」
こずえ「じゃあ、よぶー……?」
泰葉「えっ?」
聖「えっ……」
こずえ「こずえがー……いまここによぶよー……?」
茄子「……いえ、大丈夫です」
茄子「何が起こるかもわかりませんし……」
こずえ「そっかー……」
乃々「……し、信憑性が増したんですけど……」
小梅「うん……」
泰葉「……よ」
泰葉「呼べないってことは、やっぱりいないってことですね!」
乃々「おぉ……この状態から反攻したんですけど……」
小梅「泰葉さん……強い……」
泰葉「お二人も手伝ってください!」
茄子「……やっぱり呼んでもらいましょうか」
こずえ「いいよー……?」
聖「ダメですっ!」
聖「えっと……で、でも、泰葉さんだって宇宙の全部を見たわけじゃないんだから……」
聖「もしかしたら、どこかにいるかもしれませんし……」
小梅「そ、そんなことないよ……!」
小梅「泰葉さんは宇宙の全部を見たんだから……!」
泰葉「変な属性つけないで!?」
聖「えっ……そうなんですか……?」
茄子「何か面白そうな星とかありましたかー?」
泰葉「信じないでくださいっ!」
乃々「ふふ……」
乃々「……」
乃々「えっ……!?」
小梅「……ん、どうしたの、乃々ちゃん?
乃々「な、なんで……誰も、見てないのに……!?」
泰葉「乃々ちゃん……?」
乃々「ひっ……!?」
乃々「ひぃぃっ、ど、どうして……なんで……!?」
乃々「やっ……き、聞きたくないんですけど……!?」
乃々「こないで……ひ、ひぃぃっ!」ダッ
泰葉「乃々ちゃんっ!」
泰葉「……追いかけましょう、小梅ちゃんっ!」
小梅「う、うん……!」
茄子「……あら? あっちの様子がおかしいですね」
聖「乃々さん……どうしたんだろう……?」
こずえ「んー……」
こずえ「ちからをあたえてるねー……」
聖「力を……?」
こずえ「うんー……なにかがー、ちからをー、いっぱいー……」
聖「……心を読む力を……?」
こずえ「そうだよー……」
茄子「……あっ、乃々ちゃんたち走ってっちゃいました!」
聖「えっ……あ……」
聖「……お、追いかけましょうっ!」
茄子「はいっ!」
聖「……こずえちゃんも、一緒に!」
こずえ「ふわぁ……?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
泰葉「乃々ちゃんっ!」
乃々「ひぃぃ……やめて……来ないでほしいんですけど……!」
小梅「どうしたの、乃々ちゃん……!」
乃々「うぅ……二人は信じてたのに……どうして……!」
泰葉「信じてたのに……って、どういうこと……?」
乃々「あうぅ……もうやだぁ……聞きたくないんですけどぉ……!」
乃々「なんで……見てないのに……なんでですかぁ……」
乃々「来ないでぇ……!」ダッ
小梅「……乃々ちゃん」
泰葉「……」
聖「はぁ……はぁ……お、追いついた……」
聖「ど、どうしたの……乃々ちゃん……?」
小梅「わかんない……急に乃々ちゃんが怯えだして……」
小梅「走ってっちゃって……追いかけてたんだけど……」
泰葉「もう来ないで……って、本当に強く拒絶してされちゃって……」
泰葉「……」
泰葉「二人を信じてたのに……って、どういう意味なんだろう……」
小梅「……」
茄子「……こずえちゃんは何かが力をいっぱい与えているって言ってました」
小梅「……そうなの?」
こずえ「そうなのー……たくさんー……」
茄子「……なので、乃々ちゃんもそれが原因で錯乱してしまってるのかもしれません」
茄子「……とりあえず、追いかけましょう」
泰葉「……」
小梅「……追いかけていいのかな」
聖「うん……追いかけなきゃ」
聖「きっと、乃々さんも苦しんでると思うから……」
小梅「……」
聖「三人とも……あんなに仲がよかったから……そんな簡単に拒絶はしないと思うから……」
小梅「……そうだよね」
茄子「心配しなくても大丈夫です、私がいますから不幸なことにはなりませんよ♪」
泰葉「すごい自信ですね……」
茄子「ふふっ♪」
茄子「さあ、いきましょう?」
小梅「う……うん……!」
茄子「と、言ったものの……どこから探しましょう」
泰葉「……そうですね、見失っちゃいましたし」
小梅「あ、それなら私に……」
小梅「……ううん、私たちに任せて」
小梅「――うん……うん……」
小梅「あ、本当……! ありがとう……!」
小梅「乃々ちゃんいたって……!」
聖「本当……!?」
小梅「うん……えっと……、こっち……!」
茄子「……小梅ちゃんには友達がいっぱいいるんですね♪」
小梅「うん……」
小梅「今も……心配だからって、ついてきてくれる子が何人も……」
泰葉「そ、そうなんだ……」
茄子「それじゃあまたあとで握手しなきゃですねー」
こずえ「またあんないするー……?」
茄子「ふふ、そのときはお願いしますね」
こずえ「んー……おねがいがかなえるねー……」
聖「……ねぇ、小梅ちゃん、ちなみにどの部屋なの……?」
聖「プロデューサーさんにも、伝えなきゃ……」
小梅「あ……えっとね……」
小梅「……私たちの控え室にいるみたい」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
小梅「この中にいるはず……」
泰葉「……」
泰葉「……乃々ちゃん」ガチャ
乃々「ひぃぃ……!」
乃々「こ、来ないでって言ったのに……なんでですか……!」
小梅「だって……乃々ちゃんは私たちの仲間だから……」
乃々「……!」
泰葉「……どうしたの、乃々ちゃん?」
泰葉「何が――」
乃々「来ないで欲しいんですけど……っ!」
泰葉「!」ビクッ
小梅「……」
乃々「……」
聖「あの……ののさん……」
聖「さっき……こずえちゃんが、力をたくさん与えられてたって言ってて……」
聖「……ののさん、さっきより何か変わったことあるんですか……?」
乃々「……」
乃々「……変わりました」
乃々「目を見てなくても、心の声が聞こえるようになりました」
小梅「!」
乃々「目を閉じても、そばにいる人の心の声が全部聞こえるんです」
乃々「そのどれもが、もりくぼの悪口でした……」
乃々「みんな、みんなもりくぼを馬鹿にするんです……」
乃々「……みなさんも」
乃々「……小梅さんと泰葉さんさえも」
小梅「!」
泰葉「!」
泰葉「そんなこと私たちは考えてないよ!」
乃々「でもっ……! でも聞こえるんですけど……!」
乃々「お二人の声で、もりくぼを……もりくぼを……っ!」
乃々「役立たずとか……いないほうがいいとかいっぱい……いっぱい聞こえてっ……!」
乃々「うぅ……っ!」
小梅「そんな役立たずなんて……私たち、ぜんぜん思ってないのに……!」
乃々「でもっ、聞こえてっ……本当に、いっぱいっ……!」
乃々「もりくぼっ、わかってます、こんなだから、そう思われても仕方ないって、でも……でもっ……」
乃々「お二方にそう思われてたっていうのはほんとに、つらくって、苦しくって……!」
乃々「あんなに、いっぱい、やさしかったのにっ、でも、そう思っててずっと思ってて……」
乃々「いちばん、つらかった……小梅さんに、泰葉さんにそう思われてるのが……」
乃々「もりくぼがいないとダメだって、いっぱい言ってくれたのに……!」
乃々「信じてたのに……!」
乃々「うぅ……うぅ……っ!」
泰葉「そっ、そんなの何かの間違いですっ!」
乃々「間違いじゃないんですけど……!」
乃々「だって、今だって……みんな、もりくぼを……うぅ……!」
乃々「もりくぼっ、心の声が聞こえるから……だからっ、全部本当で……!」
泰葉「本当にっ! そんなこと考えてませんっ!」
乃々「もうそんな嘘はいいんですけど……!」
泰葉「!」
小梅「……信じて、乃々ちゃん」
小梅「私たちは、乃々ちゃんのこと本当に大切な仲間だって思ってるの……」
乃々「……もりくぼだって、信じたいです」
乃々「でも、聞こえます……心の声が聞こえるんです……」
乃々「ずっと嘘のままがよかった……本当のことなんて知らなければよかった……」
乃々「それだったら……こんな……こんな……」
乃々「うぅ……」
小梅「……」
乃々「来ないでください……もりくぼなんてほっといてください……!」
乃々「独りにしてください……!」
乃々「じゃないと、もりくぼ……つらくって、くるしくって……」
乃々「死んじゃう……」
小梅「乃々ちゃん……」
茄子「……」
茄子「……いったん離れましょう」
小梅「でも……」
茄子「きっと、原因は乃々ちゃんの中にいる何かです」
茄子「でも、私たちにはそれを剥がす術が――」
こずえ「――ねー……ののー……?」
乃々「!」ビクッ
茄子「……こずえちゃん?」
乃々「な、なんですか……はやくいなくなってください……」
こずえ「おねがい……かなえるよー……?」
乃々「な、なにを言ってるんですか……?」
こずえ「のののー……おねがいをかなえるのー……?」
乃々「……あ」
乃々「そっか……こずえさんはかみさまで……」
乃々「……」
乃々「……じゃあ、もりくぼのおねがい、かなえてくれますか……?」
こずえ「んー……」
乃々「……おねがいです」
乃々「もりくぼの、耳を……」
乃々「……いえ、もりくぼに音が届かないようにしてください……」
泰葉「えっ!?」
小梅「乃々ちゃん……!?」
乃々「……そしたら、もう何も聞こえません」
乃々「もりくぼを傷つけるものは何もありません……」
乃々「……それに」
乃々「心の声が聞こえなければ、もりくぼは……」
乃々「……」
乃々「……また、皆さんのこと、信じれるかもしれませんから……」
小梅「……」
乃々「だから……おねがいです」
乃々「音を無くしてください……」
泰葉「でっ、でもそんなことしたら!」
泰葉「乃々ちゃん、もう二度と何も聞こえなくなっちゃうんだよ!?」
乃々「何もかも聞こえるより……ぜんぜんマシですけど……」
乃々「今のままだと、もりくぼ、ほんとに死んじゃいます……」
乃々「だから……こずえさん……」
こずえ「……」
こずえ「……ちがうのー」
乃々「えっ……!?」
こずえ「のののー……おねがいはそうじゃないよー……?」
乃々「な、何を言ってるんですか……こずえさん……!?」
乃々「もりくぼ本当にそうなってほしくて……」
こずえ「こずえはねー……かがみなのー……」
こずえ「だからねー……のののー……ほんとうのおねがい、かなえるよー……」
乃々「本当の……お願い……」
こずえ「んー……」
聖「ま、待ってこずえちゃん!」
聖「本当のお願いって……?」
こずえ「それはねー……」
こずえ「もとどおりー……」
聖「元通り……?」
乃々「……」
こずえ「そうだよー……」
こずえ「だからー……ののをー……」
こずえ「もとどおりにー……」
泰葉「元通りにって……乃々ちゃんをどうするの……!?」
こずえ「もとどおりにするのー……?」
こずえ「ののー……おねがいかなえるー……?」
のの「……」
のの「……」コクリ
こずえ「んー……」
小梅「!」
小梅「こずえちゃんの手から光が……!」
小梅「これもみんなのプロデューサーさんと同じ……?」
茄子「いえ……たぶん違うと思いますけど……」
乃々「な、なんですかこれ……あたりが見えないんですけど……!?」
茄子「……乃々ちゃんの体を包んじゃいましたね」
こずえ「じっとしてー……しろよー……」
乃々「じっとって言われても――」
乃々「ひぃぃ……――」
泰葉「乃々ちゃん……!?」
泰葉「み、見えなくなっちゃったんですけど……大丈夫なんですか、これ!?」
聖「……大丈夫なの?」
こずえ「こずえはー……おねがいをかなえてるだけー……」
こずえ「もとどおりにしてるのー……」
こずえ「のぞんでたからー……かなえてるのー……」
聖「……」
小梅「元通りにって……どういうことだろう?」
茄子「……私たちは心が読めませんから、わかりませんけど」
茄子「きっと――」
こずえ「――おわりー……」
小梅「……あ、光も消えて……」
乃々「――」
乃々「――あれ、ここは……?」
泰葉「乃々ちゃん!」
乃々「あ、泰葉さん……それにみなさんも」
乃々「……あうぅ……みんなでじっと見られるのはやめてほしいんですけど……」
泰葉「そんなことより!」
泰葉「大丈夫、乃々ちゃん!?」
乃々「あうぅ……そんなにがっつり肩つかまないでほしいんですけど……」
乃々「そもそも、大丈夫って何がですか……?」
泰葉「えっ……?」
小梅「……心の声、聞こえないの……?」
乃々「え……いえ、聞こえますけど……」
乃々「たとえば……」
乃々「……」
乃々「……小梅さんが……うぅ」
乃々「も、もりくぼのことを……」
乃々「大切な仲間だって思ってるって……考えてるのもわかりますけど……」
小梅「!」
乃々「あうぅ……は、恥ずかしい……」
乃々「なんで、こんなタイミングでそんなこと考えてるんですか……」
泰葉「……こんなタイミング?」
乃々「はい……」
乃々「……いえ、確かに収録前なら思ってもおかしくないのかもしれませんけど……」
乃々「でも……は、恥ずかしいんですけど……」
聖「……これってもしかして」
茄子「ちょっと前の乃々ちゃんに戻ったって事でしょうか……?」
乃々「な、なんですかそれ……?」
小梅「……あのね、さっき乃々ちゃんは――」
モバP「――すまん、遅くなった! 大丈夫か!?」
茄子「あら、プロデューサー……ちょうどいいタイミングでしたね」
モバP「?」
泰葉「そうですね……お二人に、何があったかを話します――」
>>31 ちょっと訂正
泰葉「乃々ちゃん!」
乃々「あ、泰葉さん……それにみなさんも」
乃々「……あうぅ……みんなでじっと見られるのはやめてほしいんですけど……」
泰葉「そんなことより!」
泰葉「大丈夫、乃々ちゃん!?」
乃々「あうぅ……そんなにがっつり肩つかまないでほしいんですけど……」
乃々「そもそも、大丈夫って何がですか……?」
泰葉「えっ……?」
小梅「……心の声、聞こえないの……?」
乃々「え……いえ、聞こえますけど……」
乃々「たとえば……」
乃々「……」
乃々「……小梅さんが……うぅ」
乃々「も、もりくぼのことを……」
乃々「大切な仲間だって思ってるって……考えてるのもわかりますけど……」
小梅「!」
乃々「あうぅ……は、恥ずかしい……」
乃々「なんで、こんなタイミングでそんなこと考えてるんですか……」
泰葉「……こんなタイミング?」
乃々「はい……」
乃々「……いえ、確かに収録前なら思ってもおかしくないのかもしれませんけど……」
乃々「でも……は、恥ずかしいんですけど……」
聖「……これってもしかして」
茄子「ちょっと前の乃々ちゃんに戻ったって事ですよね……?」
茄子「元通りって、やっぱりそういう……」
乃々「な、なんですかそれ……?」
小梅「……あのね、さっき乃々ちゃんは――」
モバP「――すまん、遅くなった! 大丈夫か!?」
茄子「あら、プロデューサー……ちょうどいいタイミングでしたね」
モバP「?」
泰葉「そうですね……お二人に、さっきまで何があったかを話します――」
モバP「――なるほど、乃々の中にいた妖怪が暴走していたのか」
茄子「そうみたいです」
茄子「それで、乃々ちゃんは何もしなくても他人の心の声が常に聞こえるようになっちゃったみたいで」
モバP「……それは大変だっただろうな」
乃々「正直にわかに信じがたいですし……」
乃々「そもそも覚えてないので、なんとも……」
小梅「……でも、辛そうだったよ、乃々ちゃん」
モバP「そうだろうな」
モバP「何せ、その妖怪は聞こえる声を全て悪口に変えていたんだろうから」
泰葉「そうなんですか……!?」
モバP「ああ」
モバP「……その妖怪は、はじめは心を読む力だけを与えるんだ」
モバP「そして、時間かけて、読んだ心は正しいものである……と宿主に認識させる」
モバP「完全に力を信じきった後、その妖怪は動き出すんだ」
モバP「力を暴走させ……かつ、届く声にフィルタをかけるんだ」
モバP「宿主が傷つくように言葉声を変えるんだ」
モバP「褒めるような言葉でさえも、けなすような言葉に変えてな」
モバP「宿主は届く言葉が全て真実だと信じきっている……それまでが全て正しかったからな」
モバP「そうして弱った心を捕食するのがこの妖怪だ」
乃々「えぇ……そんな危ないのなんですか」
モバP「今はまだ大きな影響はないがな」
モバP「……」
モバP「……いや、待てよ」
モバP「さっき暴走してたって言ったよな?」
モバP「じゃあどうしてまた潜伏しているんだ……?」
聖「……きっと、こずえちゃんが……」
モバP「こずえが?」
こずえ「おねがいをかなえたのー……」
モバP「誰の……いや、乃々のか」
こずえ「そうだよー……」
乃々「もりくぼの願い……」
乃々「……あの、もりくぼはどんなことを願っていたんですか……?」
こずえ「もとどおりー……」
乃々「……元通り?」
茄子「さっき、こずえちゃんが光を発して、乃々ちゃんを包みました」
茄子「そうしたら……収録前の乃々ちゃんになっていたんです」
茄子「今までの反応を見る限り、記憶も含めてなにもかもが収録前の……」
モバP「……それで元通りってことか」
こずえ「うん……」
こずえ「おねがいだったからー……」
モバP「そうか……ありがとな、こずえ」
こずえ「えへー……」
乃々「……と、突拍子もない話すぎて……やっぱり信じがたいんですけど」
小梅「でも、本当だよ……? ほら、時間も……」
乃々「あ、本当……」
乃々「じゃあ、もりくぼはどうして……そんな……」
泰葉「……」
モバP「……さて、それじゃあまた暴走しないうちにさっさと除霊を――」
泰葉「――あっ、ちょっとだけ待ってください!」
モバP「ん?」
泰葉「今は……私たちの心の声、そのまま届いているんですよね」
モバP「ああ」
泰葉「それなら……ちょっとだけ、時間をください」
モバP「?」
小梅「あ、うん……私も欲しい……」
小梅「ダメ……?」
モバP「……」
聖「……あの、プロデューサーさん。私からも」
茄子「そうですね、少しだけ時間を」
茄子「みなさんが、ハッピーに終わるためにも」
モバP「……ああ、わかった」
小梅「!」
モバP「ただ、暴走しそうになったらすぐに除霊するからな」
泰葉「あ、ありがとうございますっ!」
泰葉「それじゃあ……こほん」
泰葉「……乃々ちゃん」
乃々「あ、はい……」
泰葉「……あのね」
泰葉「私……ううん、私たちは、乃々ちゃんのことを本当に大切な仲間だと思ってるの」
泰葉「かけがえのない……大切な……」
乃々「……」
泰葉「ね、小梅ちゃん」
小梅「うん……」
小梅「乃々ちゃんがいなきゃダメだし……」
小梅「乃々ちゃんがいなきゃ嫌……」
乃々「……あの、どうしたんですか、急に」
乃々「その……もりくぼ、恥ずかしくって、破裂しそうなんですけど……」
泰葉「……さっきまで、乃々ちゃんはね」
泰葉「私たちが『乃々ちゃんなんていなくなってしまえばいい』って考えているように聞こえてたんだって」
乃々「!」
泰葉「それで、その時はずっとそれを信じてて……私たちを信じたかったって、とっても辛そうにしてた」
乃々(……だからもりくぼは、元通りを願ったんですね)
乃々(お二人を信じれなくなったら、もりくぼは……)
小梅「だからね……ズルかもしれないけど……でも、聞いて欲しかったの」
小梅「私たちは心の底から、乃々ちゃんが大切な仲間だと思ってることを……知って欲しかったの」
小梅「心が読めなくなっちゃう前に……どうしても伝えたかったの」
小梅「乃々ちゃんがそのときのことを覚えていなくても、どうしても伝えたかったの……」
小梅「私も……」
泰葉「私もね」
乃々「……そうですか」
乃々「……」
乃々「……」
乃々「あの……」
乃々「……」
乃々「……あ、ありがとうございます……」
乃々「すっごくうれしい……うれしすぎて、顔が見れないんですけど……」
小梅「……伝わった?」
乃々「バッチリと……」
泰葉「……よかった」
泰葉「……もう大丈夫です。ありがとうございました」
モバP「いえいえ」
モバP「それじゃあ……除霊するぞ」
乃々「あ、はい……」
モバP「破ぁ!!!」
乃々「!」
モバP「……ふぅ」
茄子「大丈夫でしたか?」
モバP「ああ」
モバP「……乃々の中にいた奴は、妖怪としての力がそんなに強いわけじゃないからな」
聖「そうなんだ……」
乃々「……」
泰葉「……乃々ちゃん、大丈夫?」
乃々「あ、はい……」
乃々「……今ので終わりなんですか?」
モバP「ああ。もういない」
乃々「そうですか……もっといろいろやるのかと……」
小梅「……ねぇ、乃々ちゃん」
小梅「私が何考えてるかわかる……?」
乃々「……」
乃々「……わかりますけど」
小梅「えっ……!?」
聖「プロデューサーさん……?」
モバP「いや、確かに成功したはずなんだが……」
茄子「副産物が残ったんでしょうか……?」
乃々「ああ、いえ、そんな大げさにしないでください……」
乃々「別に、今までみたいに声が聞こえたり……」
乃々「……」チラッ
乃々「……心が見えたりするわけじゃなくて」
乃々「ただ……その……」
乃々「……た、大切な仲間だから……わかる、みたいな感じですから……」
小梅「乃々ちゃん……!」
乃々「……小梅さん、泰葉さん……」
乃々「もりくぼを心配してくれて、ありがとうございました……」
乃々「お二人が今……喜んでいるのが伝わって、もりくぼも……とても嬉しいです」
小梅「わぁ……本当に伝わってるんだね……♪」
乃々「……だって、その、お二人は……」
乃々「……」
乃々「……やっぱり、恥ずかしいから言いません」
泰葉「……大丈夫」
泰葉「私たちにも、乃々ちゃんの心は伝わってるよ?」
小梅「うん……バッチリと……♪」
乃々「あうぅ……それはそれで恥ずかしいんですけど……」
小梅「ふふ……これからも一緒にがんばろうね……?」
乃々「は、はい……」
乃々「……でも、心が読めないのは……やっぱり不安なので……」
乃々「今まで以上にもりくぼを守ってください……」
泰葉「うん。任せて、乃々ちゃん」
茄子「……ふふっ、一見落着ですね♪」
茄子「みんな幸せに終わりましたねー♪」
こずえ「ねー……」
モバP「……じゃあ、落ち着いたら収録しなおしだな」
聖「あ、そっか……忘れてた……」
茄子「んー……じゃ、始まるまでの間に、宇宙人についてもうちょっと考えましょうか」
聖「うん……歌声、届けたいから……」
こずえ「やっぱりよぶー……?」
聖「いえ、それは……」
乃々「……」
乃々(もりくぼはそのときのことをぜんぜん覚えてませんけど……もしも、元通りになってなかったら)
乃々(もしも、今日みなさんに会えなかったら……もりくぼはどうなっていたんでしょう)
乃々(小梅さんも泰葉さんも信じれず、ずっと独りで……つぶれちゃって……」
乃々(そんなことになったら、もりくぼは……)
乃々(……)
乃々(……寺生まれってすごいし)
乃々(寺生まれのいる事務所ってすごい)
乃々(はじめてもりくぼはそう思ったんですけど……)
おしまい
心が読めるくぼとか、神様こずえちゃんとか、茄子聖こずえの心とか、書きたかったのを混ぜました
ちょっと前の番外編で出したネタはこれで全部回収
誤字脱字、コレジャナイ感はすいません。読んでくださった方ありがとうございました。
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