【ミリマス】パステル色の (10)
R-18で書こうと思ってたものでしたがなんかうまくいかなかったのでここに供養します
エロ要素は全くありません
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ある日、一本の仕事の依頼の電話が事務所に来た。
「はい…え、このみさん、ですか?えっと…それは本人に聞いてみないと…あの?もしもし?」
電話は、用件だけを早口で告げて、プツンと切れてしまった。
「プロデューサー、どうしたの?」
「このみさん、仕事の依頼が来たんですけど、ファッションカタログの、モデルになってくれないかとのことなんですが」
「あら、いいじゃない。で、どこからの仕事なの?」
ファッションの仕事と聞いて、馬場このみは乗り気になって聞いてきた。
143cmの身長、卵のようなすべすべ肌、幼い顔立ちは、24歳というより、その半分以下の年齢と言われても何の違和感もない。
そのため、こういう仕事とは無縁だと思っていたところでの仕事の依頼は、このみのやる気を掻き立てた。
「はい、○×△というところなんですが…聞いたことあります?」
プロデューサーが首をかしげる。
このみも心当たりがないか、自身の記憶を確かめてみるが、見たことも聞いたことも無いブランドだった。
「うーん…なんか怪しい…でも、アイドルになったばかりで仕事の依頼が来たんだから、この機会を逃す訳にはいかないわね」
「そうですか、じゃあさっきのところに折り返し連絡しときます」
「ふふふっ、私のアダルティでセクシーな魅力を、世界に発揮するチャンスね」
このとき、この仕事がこのみにとってどうなるのかを、二人はまだ知らなかった。
「えっと…スタジオは…ここですね」
このみは、カーナビの地図で示された場所にたどり着いた。
「そうみたいね」
依頼を受けたブランドについて調べてみたが、ネットには見つからず、結局謎のままであった。
しかし、もしこれが新規のブランドで、765プロの名前を売りに出すことができたら、他のシアター組にも仕事の依頼が来るかもしれない。
そう考え、他の仕事をおして、この日はプロデューサーも同伴してきたのだった。
スタジオに入ると、セットを組んでいる途中のようだった。
「おはようございます。765プロから参りました、Pです」
「おはようございます。同じく765プロ所属の、馬場このみです。本日はよろしくお願いします。」
挨拶をすると、カメラマンと打ち合わせをしていた、若い女性がこちらに来た。
「おはようございます。」
電話で聞きた声だった。
「先日は急いでいましたもので、急なオファーですみません。えっと、このみちゃんだよね?挨拶できてえらいね、今日はよろしくね!」
「こ、このみ…ちゃん…」
このみの顔がひきつった。
「今回の撮影は、まだ公に発表はされてないんですけど、なんと、大手会社のXXと、有名なファッションデザイナーの協力で新たなキッズブランドを立ち上げることに、なったんですよ!コンセプトは、キュートに、そしてカラフルに!」
このみは、呆然としてその担当者の話を聞いていた。
「まだ公にするわけにもいかない企画で、オーディションとかもできなくて…そんなときに、765プロさんのアイドルに適役な子がいて!」
なんとなく事情を察したプロデューサーは、おかしくて笑いをこらえるのに必死だった。
「じゃあこのみちゃん、控え室に、かわいい服があるから、お姉さんと一緒に着替えにいこっか」
「か、かわいい…」
そう言って、二人は控え室に向かっていった。
二人が着替えている間、セットが組まれているのを、プロデューサーは見ていた。
学習机、教科書、ベッド、パステルカラーに統一された内装、そして…赤いランドセル。
「…これは…」
「お待たせしましたー!」
着替えが終わり、二人がスタジオに戻ってきた。
着替え後のこのみを見て、プロデューサーは吹き出しそうになった。
パステルブルーの布地にラメの入った文字が印刷された、首もとが開いたシャツ。
首もとに覗かせてる白のキャミソールの紐。
フリルのついたピンクのミニスカートに、ニーハイソックス。
三つ編みだった髪は、ツインテールになっていて、誰から見てもせいぜい小学校高学年くらいの容姿だった。
ハイテンションな女性担当者と、顔を真っ赤にしてスカートの裾をぎゅっと握って震えていた。
「やっぱり、これ以上ないってくらいに似合ってますね!」
「は、はは…」
「うぅ…」
笑うしかないプロデューサーと、恥ずかしさやらなんやらで俯いて震えるしかないこのみであった。
「それじゃあ、撮影お願いします」
女性がカメラマンのところへ向かう。
「大丈夫ですか?」
プロデューサーが、こっそりとこのみに尋ねる。
「恥ずかしいけど…やるしかない、わね…」
観念したかのように、このみは撮影に臨んだ。
「はい、笑って~」
カメラのシャッター音が鳴る。
撮影中に何か愚痴を言うこともなく、カメラマンの指示にしたがっているのは、プロ意識からなのか、大人だからなのか。
「いや~このみちゃん、似合ってますね~」
「ええ、まあ…」
「そういえば最近の子って、おませさんが多いんですかね?なんか大人っぽい下着を…」
女性の担当者は、そこまでで言うのをやめた。
そのあと、何回か着替えては撮影を繰り返し、担当者が写真を選び、プロデューサーがNGショットが無いかをチェックして撮影は終わった。
「お、お疲れさまでした~…」
体力的にも、精神的にも疲れたようで、気のない挨拶だった。
「お疲れさま、このみちゃん。どう?気に入ったのがあったら、持っていってもいいよ?」
「うぅ…私は…私は…」
すかさず、プロデューサーのフォローが入る。
「えっと、このみさん、疲れてるみたいなので、とりあえずこの辺で…」
「そうですか…じゃあ、これ持っててくださいね」
そう言って、半ば強引に、撮影で使った衣装を紙袋に入れて渡された。
帰りの車中、このみはほっぺたを膨らませて不機嫌そうにしていた。
「24歳なのに…セクシーでアダルティーなレディなのに…」
「ま、まぁこのみさん、機嫌悪くしないでください。今回の撮影で結構気に入って貰えたし、撮影で使った衣装も、なん着かいただけたんですから。」
「プロデューサー、まさか私に、またその衣装を着ろということかしら?」
まさに、子供のような拗ねかただった。
プロデューサーは、後部座席からの恨み辛みを、劇場につくまで聞かなければならなかった。
撮影から数週間して、カタログのサンプルが送られてきた。
「このみさん、見ますか?」
プロデューサーが、このみにカタログを差し出す。
「見ないわよ!」
「でも、アイドルになってから宣材以外の、初めての写真の仕事ですよ。ちょっとくらいは見てもいいんじゃないですか?」
そう言うと、このみは渋々とカタログを手にとった。
カタログを開くと、このみの生き生きとした写真が、カタログに載っていた。
このみ本人にとっては、不本意な仕事ではあったが、アイドルとしての一歩を踏み出せたと、プロデューサーは確信していた。
このみ自身も、カタログを見ているうちにそう感じたらしく、穏やかな表情で言った。
「はぁ、こういうのを見せられるとねえ、悔しいけど…次はアダルティな仕事を頼むわよ、プロデューサー!」
「勿論ですよ、次こそは…」
また、事務所の電話が鳴った。
「すみません、はい、765プロです。…え、このみさんに?…ちょっと待ってください…」
保留ボタンを押して、プロデューサーはため息をついた。
「どうしたの?プロデューサー」
「今度は別のキッズブランドのところから、このみさんにオファーが…」
「そんな…」
このみの望むような仕事が来るのは、どうやらまだまだ先になりそうだった。
そして、カタログのこのみの紹介が、24歳が14歳になっていることを気づくのも…
お わ り
エロシチュが思い浮かばなかったのが悔しい
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