【けものフレンズ】 かみひこーきてき (48)




あのきょだいセルリアンとの戦いから、すうしゅうかん!

アライさんたちは今日も大忙しなのだ!

ヒトと会うため、海のむこうに行きたいかばんさんのため……


バスの“曲がってないアレ(タイヤ)”を、急いで探すのだぁ!



………
…………
………………




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1503728036




キコキコキコキコ……

アライ&フェネック「わっせ!わっせ!わっせー!」


アライ「……うぅ~」

アライ「ピッカピカなのが全然、見つからないのだぁ~!」

フェネック「まんまるいの、なーいねーぇ」

アライ「このままでは……このままでは……」


アライ「“ぱーてぃー”の日に間に合わないのだぁ!」






フェネック「そーかもねーぇ」

フェネック「でもアラーイさーん、焦ったってどうにもなんないよー」

フェネック「それに今日はもう空が暗くなっちゃったからさぁ、そろそろ皆のところに帰ろうよー」

フェネック「明日はきっと、見つかるさー」

アライ「ぐぬぬ~……」


アライ「アライさんは……今日も手ぶらなのだ……」


……
…………
………………





――ゆうえんち


アライ「うぅ……」

フェネック「アラーイさーん、元気だしなよー」

アライ「アレがないと……かばんさんは海のむこうで困ってしまうのだ……」

アライ「だから……はやく見つけなきゃだめなのだぁ……」

フェネック「そうだねーぇ」

フェネック「でもアレって一体、どこにあるんだろうねー」

アライさん「見当もつかないのだ……」



キャッ キャッ


フェネック「……んー?」






コツメ「きゃははっ、たーのしー!」

プレーリー「ふむふむ、こうでありますな!?」

サーバル「そうそう、そうだよ!」

かばん「皆さん、とても上手ですっ」


サーバル「あーっ、そこにいるのはアライグマとフェネックじゃない!」

かばん「あ、こんばんは~」

フェネック「おーおー、噂をすればーなんとやらー」

アライ「ま、まずいのだ!かばんさんの前でこの話題はしーっなのだ!」

かばん「?」






アライ「こ、こんばんはなのだっ」

フェネック「こばんはー」

サーバル「こんばんは!」

フェネック「ふたりともー、ここでみんなと何してるのさー」

かばん「えへへ、実は……」


かばん「みんなでコレ、作ってたんですっ」

フェネック「これってー……」

アライ「あ、あれなのだ!セルリアンと戦ったとき、サーバルが投げたあれなのだ!」

サーバル「そう!」






かばん「ちょうどさっき、博士さんに聞いたんですけど……」

かばん「これは“紙”でできてるから、“かみひこーき”って言うそうなんです」

アライ「かみひこー……き……」

アライ「……!」

サーバル「実は私もあの時、かばんちゃんが前に見せてくれたものを真似して作ったんだよ!すごいでしょー!」

アライ「かみひこーき……!」

フェネック「……?」






フェネック「かばんさーん、それの作り方……アライさんにも教えてあげてよー」

アライ「ふぇ!?」

かばん「いいですよ!アライさん、こっちにどうぞ」

アライ「ほ……ほんとにいいのかぁっ?」

かばん「もちろん!」


アライ「やるのだー!かみひこーき、作るのだぁ!」

サーバル「さっ、フェネックも一緒に!」

フェネック「ありがとー」






アライ「できたのだ!」

アライ「アライさんが一番、遠くまで飛ばしてみせるのだぁ!」

プレーリー「負けないのであります!プレーリー式かみひこーきで必ず勝つのであります!」

コツメ「しょうぶだー!たーのしー!」



アライ「ふぇ~っ、真下に向かって飛んじゃったのだぁ!」

プレーリー「ぶわーっ!私の頭に!頭に落ちたのでありますうぅぅヴぇーへーへぇぇッ!!」

コツメ「わーい!バラバラになっちゃったぞー!」

サーバル「ふにゃあ!色んな飛び方をするんだね!すっごーい!」

かばん「え、えーと……」


かばん「ここはこうで、もっとこう……」

フェネック「あははー」






アライ「もう一度、作り直すのだぁ!」

フェネック(アライさん、元気になってよかったよー)


……
…………
………………





アライ「もともと飛ばなかったものを、飛べるように作りかえてしまうなんて」

アライ「やっぱりかばんさんは凄いのだ!」

フェネック「そうだねーぇ」


アライ「……フッフッフ~」

フェネック「?」


アライ「実は、アライさんはさっき……あの“かみひこーき”を見て」

アライ「とても良いことを思いついてしまったのだ!」

フェネック「思いついたー?」






アライ「フェネック、もう曲がってないアレは探さなくていいのだ!」

フェネック「んー?」

フェネック「それはいったい、どういうことさー」


アライ「今すぐ博士たちに、火山への“とざんきょか”をもらいに行くのだー!」

フェネック「……」



フェネック「アラーイさーん、まってよー」


……
…………
………………





博士「だめなのですっ」

助手「だめなのです」

アライ「えぇ~っ!?」

フェネック「えー」


博士「あの山は神聖な場所なのです」

博士「おいそれと入山を許可するわけにはいかないのです」

助手「するわけにはいかないのです」

助手「相応の理由がない限りは」

アライ「り、理由なら……ちゃんとあるのだ!あの山には……」


アライ「あの山の頂上には……!」







アライ「“おおきなかみひこーき”がつきささっているのだぁ!」



博士「……」

助手「……」

フェネック「ほー」







博士「実に馬鹿馬鹿しいのです」

助手「ちゃんと食べているのですか?」

アライ「ア、アライさんは本当に見たのだぁ!」


アライ「かばんさんを追いかけて山に入ったあのとき!」

アライ「火口の近くに、かみひこーきの形に良く似たおおきなモノが、確かにあったのだ
!」

フェネック(んー……そういえば……)

アライ「あれはきっと、昔のヒト……かばんさんのご先祖さまたちが作った“かみひこーき”に違いないのだぁ!」

博士「はぁ……」

助手「はぁ……」





博士「よーく思い出してみやがれです、それはきっと雲か何かを見間違えたに決まっているです」

助手「決まっているのです」


アライ「し……信じてほしいのだ!」

アライ「もし“おおきなかみひこーき”に乗ることができれば……空を飛ぶことができれば!」

アライ「陸地を走らなくても、海に浮かなくてもいいのだ!バスよりもすごいのだ!」

アライ「そしたらきっと、かばんさんも大喜びしてくれるに違……」

博士「……」

助手「……」

アライ「うっ……」






博士「そもそものこと、空を飛ぶという行為は我々“トリ”と呼ばれる種の特権なのです」

博士「いくらヒトが“かみひこーき”を飛ばすことはできても、トリの助けを得ないで空を飛ぶことはできないのです」

助手「できないのです」

助手「いくらヒトでも、お前らや我々のようにできないことはあって然るべきなのですよ」

アライ「う~!」


フェネック「アライさーん、だめだよー諦めよー?」

アライ「で、でも……!」

助手「そうです、諦めるのです」

博士「そんなことを考えている暇があったら、とっととまんまるなモノを探してくるのですよ」


アライ「ぐ……ぐぬぬ~……!」

フェネック「……」






信じてもらえなかったのだ……

博士たちはきっと、かばんさんやアライさんたちが空を飛ぶのが悔しいだけなのだ!

アライさんはただ、かばんさんに喜んでほしいだけなのに……


もうこうなったら、アライさんの実力で……!

ゼッタイに博士たちのハナをあかしてみせるのだぁ!


……
…………
………………


きょうはここまでです

ありがとうございます

おつ
ただ紙飛行機って単語は1話でかばんちゃんが言ってたような?

>>21
すっごーい!どうして分かったのー!?


……第一話を見返す作業が足りなかったようです

ほんとすみません勘弁してくださいなんでもしますから

>>7





かばん「これ、“かみひこーき”っていうんですけど……」

かばん「もともとは、昔のヒトが遊びのために作ったものだったらしいんです」

サーバル「さっき博士たちがそう教えてくれたんだ!ね、かばんちゃん!」

かばん「うんっ」

サーバル「名前も、“かみ”って言うものでできた“ひこーき”だから“かみひこーき”なんだって!」

フェネック「ほー」

サーバル「あれ……かみ?ひこーき?なんだろ、全然分かんないや!」

アライ「かみひこー……き……」

アライ「……!」

サーバル「実は私もあの時、かばんちゃんが前に見せてくれたものを真似して作ったんだよ!すごいでしょー!」

アライ「かみひこーき……!」

フェネック「……?」



>>7の内容を、上記レスにすげ替えて頂けると幸いです

大変失礼いたしました




――翌朝、サンドスターの火山


アライ「わっせ!わっせ!」

フェネック「……アラーイさーん」

フェネック「やっぱり、博士たちに無断で山に登るのはマズかったんじゃないかなー」

アライ「うぅ~……で、でも!」

アライ「みんなホンモノの“かみひこーき”を目にすれば、きっと信じてくれるのだ!ほめてくれるのだ!」


アライ「それに、フェネックもこうしてついて来てくれたのだ!」

アライ「怖いモノなんて、何もないのだぁ!」

フェネック「……」

フェネック「こうなったら、とことんつきあうよー」






アライ「つ、ついたのだぁ……!」

フェネック「ほーほー」


http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira144040.jpg


フェネック「すごいよアラーイさーん、そういえばあったよこんなのー」

アライ「はーっはっはぁ~!」






アライ「さっそく、これを持って山を降りるのだ~!」

フェネック「はいよー」



……
…………
………………



アライ「重すぎてびくともしないのだぁ……」

フェネック「だめみたいだねーぇ」

アライ「一旦、ジャパリまんを食べながら休むのだ……」

フェネック「さんせー」






アライ「もぐもくっ、もぐもくっ」

アライ「うぅ……アライさんの作った“かみひこーき”はもっと軽かったのだ……」

フェネック「……」



フェネック「……これってさー、もしかして」

フェネック「“かみ”じゃないんじゃないのー?」

アライ「な、なに~!?」






ペタペタ

コンコンッ


フェネック「なんか冷たいしー、明らかに重いしさー」

アライ「ってことは、これは“かみひこーき”じゃないのかぁ!?」

アライ「飛べないのかぁ!?」

フェネック「それはわからないよー、“かみひこーきてきなもの”ってところだねー」

フェネック「でもー……このままじゃ持って降りられたとしても、飛ばし方がわからないよー」

アライ「ぬぐぐ……」






フェネック「それに、どうしてこんなものが山の頂上にあるのかなー」

アライ「そ、それは……」

アライ「き、きっと……山登りを面倒くさがったかばんさんのご先祖さまが、楽をしようとしたのだ!」

フェネック「あーその線、アリかもー」

アライ「……」


アライ「と、とにかく!ここまで来て考え事をしても仕方がないのだ!」

アライ「ジャパリまんを食べ終わったら、早速うんぱんを再開……」

アライ「る……の……」

フェネック「……アライさーん?」





アライ「大変なのだー!アライさんの食べかけのジャパリまんが、どこかに消えてしまったのだー!」

フェネック「あちゃー」


アライ「きっと落として、どこかに転がって行ってしまったのだ!」

アライ「フェネックもいっしょに探すのだぁ!」

フェネック「あーいよー」


……
…………
………………





フェネック「ジャパリまーんジャパリまーんっ」

フェネック「どーこだーいじゃぱりまーん」



「フェ、フェネックぅ~!」



フェネック「お、これはアライさんの声だねぃ」






フェネック「アラーイさーん、見つかったー?」

アライ「そ、それどころではないのだ……!」

アライ「“かみひこーきてきなもの”のお腹の下に、こんなものが落ちていたのだ!」

フェネック「んー?」

フェネック「おー、なんだか大きなジャパリまんだねー」


“250lb-Low-Drag General-Purpose bomb”


アライ「見たこともない、不思議な模様もついているのだ!」


コンコン!


アライ「固いのだ……」

フェネック「ジャパリまんじゃないみたいだーねー」







アライ「でも……これはきっと、この“かみひこーきてきなもの”が運んできたに違いないのだ!」

アライ「かばんさんのご先祖さまが作った、“おたから”なのだ!」

フェネック「すごいよアライさーん、大発見だよー」

アライ「ふっふ~ん!」


グググ……


アライ「すごく重いのだ……でも、この重さならなんとか転がして持って帰れそうなのだ!」

アライ「“おたから”を見れば、博士やみんなも“かみひこーきてきなもの”があることを信じてくれるはずなのだ!」

フェネック「おー」






フェネック「じゃーさ、この“かみひこーきてきなもの”はひとまず置いていこーよー」

フェネック「みんなに事情を説明してー、別の日にみんなの力で運ぶのさー」

アライ「それがいいのだ!」

アライ「困難は群れで分け合うのだー!」






ゴロゴロゴロ……

アライ&フェネック「わっせ……わっせ……」


アライ「それじゃ、今から山を降りるのだ!」

フェネック「はいよー、頑張ってい……っ」

アライ「……?」


アライ「フェネック?どうしたのだ?」

フェネック「……アライさーん、今から降りるのはマズいみたいだよー」

フェネック「下、見てー」






セルリアン赤「グォボ……グォボ……」

セルリアン青「グチョ……グチョ……」


ゴワ…… ゴワ……


アライ「せっ、セルリアンなのだ……」

アライ「た、たくさんいるのだ……!?」

フェネック「登山道、どうやらふさがれちゃったみたいだよー」






アライさん「フェネックぅ……ど、どうしようなのだっ」

フェネック「うーん、あっちには気付かれていないみたいだしー」

フェネック「ここでやり過ごすしかないかなー」

アライ「わ……わかったのだ……」


パッ

ゴロ……ゴロ……

ゴロゴロゴロッ


フェネック「あー」

アライ「ふえぇ~っ!?」






アライ「お、おたからが……」


ゴロゴロゴロゴロゴロ……ッ!


アライ「転がり落ちて行ってしまったのだ!手を離しちゃったのだぁ~!」

フェネック「アライさーん、大声だしちゃだめだよー」


青セルリアン「……ギョロッ」

赤セルリアン「……ギョロッ」


アライ「き、気付かれてしまったのだぁ~!」

フェネック「だから言ったじゃーんかー」

アライ「ご、ごめんなさいなのだぁ!」






グチョッ グチョッ


アライ「ひわわ……向かってきたのだぁ……」

フェネック「……」



ゴロゴロゴロ……ッ

グチョッ グチョッ



アライ「フェネックぅ……!」

フェネック「アライさーん……」



ゴロゴ――ガッ










ピカッ







たくさんのセルリアンが山を登ってきて、もうだめだって思ったのだ

フェネックもきっと、そう思ったのだ


でも、でも


アライさんが目にしたそれは、セルリアンよりずっとこわくて

たすかったはずなのに、なぜかとてもこわくて








登ってきたセルリアンたちのそばにあった岩に、おたからがぶつかって

いきなりふくらんで、ぴかってなって


どんって、おおきなおおきな音がなって

体を強くおされたような、へんな感じにつつまれて



気がついたら、たくさんのセルリアンはいなくなっていて



かわりに、たくさんの火がそのまわりに広がっていたのだ








アライさんは、かばんさんのご先祖さまが作ったものなら

きっとみんなのためになると思ったのだ

みんなのところに、持っておりようとしたのだ



こんなものが――みんなのいるところで、こうなってしまっていたら?



かばんさんのご先祖さまはなんで――こんなものを作っちゃったのだ?




……
…………
………………



きょうはここまでです

ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom