アライさんを狩るおはなし (70)

また新しく作りました。

キャラクターの設定をまず最初に...

~僕~

20代。
元軍人。
怪我の後遺症が職務に影響し数年で引退。
今は死んだ親から受け継いだ広大な土地がある。
株で儲けた金や、保険金があるので、生活には困っていない。
親しい友人に、武器製造業を営んでいる男がいる。
趣味は野菜、果物を育てること。

となります。
あとあとで追加していくものもあるのでよろしくお願いします。



趣味で育てているオレンジの実が今まで見たこともない変な食われ方をされている。
人間が美味しいと感じる部分だけを食い荒らし、残りが捨てられているのだ。
それと足跡。
人間に近いものだ。
それが自分の土地に何か新しい生き物が入って来たという信号だということは、この土地に20年以上暮らしている僕にはわかる。

~~~~次の日~~~~

まただ。
またオレンジが食い荒らされている。
食後のデザートにしようと思ったのにがっかりだ。
絶対に正体を見つけてやる。

トラバサミがあったので、それの近くにベーコンを置き、かかるのを待つことにした。
これで正体がわかればいいのだが...。

~~~~また次の日~~~~

昨日と同じ時間帯に、罠を仕掛けた地点へやって来た。
なんだか変な声が聞こえる。
近づいてみると、トラバサミにかかっていたのは最近テレビでよく見かけるアライさんだった。

「あ、人なのだ!良かったのだ!これを開けてアライさんを解放するのだ!とても痛いのだ!チビたちが待っているのだー!」

子供がいるようである。
しかしトラバサミに足を食われているのになんだこの頑丈さは。
クマ用のものではないとはいえ、人間が食らってもかなり痛いだろう。
僕は人間の言葉を使うこのアライさんという生き物に強い好奇心を覚えた。
トラバサミを外し、通りがかった親切な人を装って、持っていたタオルで手当てをしてあげよう。

「はい。手当てできた。ところで、アライさんの子どもたちはどこにいるの?案内してほしいな」

「わかったのだ!かわいいアライさんのチビたちに会わせてあげるのだ!命の恩人にお礼をするのだ!」

トラバサミを仕掛けたのは僕なのに、呑気なものだ。
それに自分の子どもをかわいいとは...。
ずいぶん自信があるようだ。

「アライさんおなか減ってない?これあげるよ」

そう言って、万が一のための食料、偉大なポテトチップス様の袋を開け、数枚あげた。
お礼を言い、アライさんはムシャムシャと食べ始めた。

これは好意でではない。
アライさんは食欲に忠実フレンズだと聞いた。
せっかく面白いものがかかったのに、怪しまれてここで逃がしては勿体無い。
要するに餌付けだ。
美味しければ、子供にもあげようとするだろう。
僕はアライさんに案内してもらい、子供達の元へ行くことにした。


「アライさんはよその土地から来たのだ」

アライさんが話しかけて来た。

「よそ?」

「そうなのだ。他の土地はアライさんがいっぱいいるから食べ物がとても少ないのだ。だからここまで遠出して来たのだ。
途中でチビが1人真っ黒い空を飛んでいる奴に連れていかれてしまったのだ。でもアライさんはチビたちを養わなければいけないのだ。だからここへ来たのだ。ここはまだ他のアライさんはいないのだ。あ、ここは右なのだ」

真っ黒い空を飛んでいる奴とは恐らくカラスのことだろう。
僕はここで気になったことを質問してみる。

「アライさんはさ、この辺りに来て何日くらい経つの?」

アライさんは指を折り、数えている。

「お日様が沈むのを4回みたのだ!」

4日か。

「じゃあさ、この辺りに来てからこう、丸くてオレンジ色の果物を食べなかったかい?」

「食べたのだ!甘酸っぱくて美味しかったのだ!チビたちも喜んでいたのだ!」

こいつか。
薄々こいつではないかと思っていたが、やっぱりか。
まあまあ愛嬌があるから普通に食べ物をやろうと思っていたが、やめた。
ここまでだと僕がオレンジを取られただけで怒る童話の悪役みたいだが、違う。
確かにこいつとその子どもたちは僕の土地にあるオレンジを食べただけかもしれない。
人が育てているものと自生しているもの、それらが区別がつくなら文句は言わない。
だが、現にこうして僕が育てたオレンジを勝手に食っている。
また、他のアライさんまで来たらどうだろう。
あいつらはまた別の場所で食料を探し、いづれは家の前の家庭菜園を荒らし、納屋や物置に住む奴らも出るだろう。
だからと言って、駆除屋に依頼するのも勿体無い。
幸運なことに、ここは隣の家から距離がかなりある。
銃を使っても聞こえないだろう。

僕はこいつらを駆除することに決めた。

「アライさんも大変なんだね。じゃあアライさん、着いたらアライさんの子どもたちにたくさん食べ物をあげるよ」

「本当なのだ?やったのだ!」

たくさんと言ったが、ポテトチップスしかない。
食料以外で持っているのは、友人からもらったPSG-1と、予備の弾丸、改造してあるネイルガンだ。
アライさんはこれらを凶器だと分かっている素ぶりはない。

「着いたのだ!」

アライさんが指差したのは、親父が生きている頃に伐採した巨木の名残、切り株だった。
よく見ると、下の方に穴が空いている。
その穴は自然にできた穴ではなく、削ったような、齧ったような跡がある。

「チビたち!アライさんが帰って来たのだ!」

アライさんがそう言うと、穴の中からぞろぞろと小さいアライさんが3匹出て来た。
これからこいつらをアライちゃんと呼ぼう。

「ママぁ、ごはんは?」
「そこのヒトはだれなのだ?」
「おなかすいたのだー」

「チビたち、安心するのだ!このヒトさんはやさしいのだ!安心するのだ!」

どうやら信用してくれているようだ。
早速取り掛かろう。

「ところで、たべものはどこなのだ?」

「はい、これだよ。食べていいよ」

僕はポテトチップスの袋を逆さにした。
中からは香ばしいポテトチップスが落ちてくる。
人間の食べ物を初めて見たのか、最初は戸惑っていたが、1匹のアライちゃんが食べると、みんな同じように食べ始めた。

「おいしいのだ!」
「ヒトさんはいいものをもっているのだ!」
「のだー」

アライさんの方は別の場所で食べさせる。
子供を視界へ入れないためだ。

僕はアライちゃんたちの後ろへ忍び寄り、ネイルガンを構える。
そして引き金を引いた。
ダダダダダダスッ!

「のだ?あ...痛いのだぁぁぁぁ!」
「やぁぁぁぁ!」
「......お...あ...」

我ながら見事な早撃ち、そして命中率。
それぞれの尻尾と手に撃ち込み、動けなくする。
さすが改造してあるだけあって、威力は高いな。
......ってあれ?1匹頭に当たってビクビクと痙攣している。
...失敗は誰にでもあるよね。

死んじゃったか?
まあ別にいいや1匹減っても。

「!!! チビ! 何んてことするのだ!チビたちから離れるのだ!」

ポテトチップスを美味しそうに食べていた呑気なアライさんもようやく僕を敵と認識したらしい。

「たぁ~~!」

飛びかかって来たアライさん。
僕はアライさんの攻撃をかわし、拳を腹に叩き込んだ。
アライさん自身の突進の勢いも加わり、かなりのダメージのはずだろう。
アライさんは吹き飛び、木に激突した。

「ごほっ!がはっ!あ、あぁ...いたいのだ...」

蹲り、腹を抱え、かばうような格好をしている。
子供のことより、まずは自分のことのようだ。

「う、あ...。いたいのだぁ...」
「にげるの...だぁ...」
「......」

どうやら1匹は死んだようだ。
他の2匹は自分のことで手一杯なのだろう、姉妹が1匹殺されたことに気づいていない。
僕から距離を取ろうとするのだが、地面に釘で固定されているため身動きが取れない。
土を爪でえぐるようにして前へ進もうとしても、やはりダメなようだ。

「うあ!はなすのだ!」

僕は釘を抜き取り、アライちゃん1匹の首根っこを掴んだ。
アライちゃんの体が宙に浮く。
そして、アライちゃんの尻尾を木に固定した。
アライさんの手がギリギリ届くかぐらいの位置だ。
アライちゃんの体重で抜けないよう、入念に3本撃っておく。

「のだぁぁぁぁぁぁ!やめて!おろしてほしいのだぁぁ!」

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