加蓮「花火大会中止って……」李衣菜「あれ?」 (21)

【モバマス・デレステSS】です


――――プロダクション、エントランス

加蓮「そんなぁ……折角楽しみにしてたのに……」

李衣菜「お疲れ様、加蓮ちゃん!」ポスッ

加蓮「わっ!? ……なんだ李衣菜か、何か用?」

李衣菜「えっ? あ、いや、用があるってほどでもないけど、姿を見かけたから声かけてみようかなって思って」

加蓮「あっそ……なら丁度いいか。李衣菜、暇なら少し愚痴聞いてくれない?」

李衣菜「へ? またなにかあったの?」

加蓮「あったもなにも現在進行系で――」

――ピカッ!!

――DOOOOM!!

加蓮「ひゃ!? ……もう! この天気のせいで最悪なんてもんじゃないの!」

李衣菜「あぁ……もしかして、さっきからスマホ眺めて哀しそうな感じだったのって」

加蓮「この雷とか大雨のせいで楽しみにしてた花火大会が中止になったんだから! ……ほんとどうして……ひどい……」ションボリ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1503168287

※北条加蓮
http://i.imgur.com/SqNGUtF.jpg

※多田李衣菜
http://i.imgur.com/3K29Rfy.jpg


李衣菜「こればっかりはね……でも、加蓮ちゃんがそんなに落ち込むってことは、花火、誰かと一緒に見るつもりだった?」

加蓮「うん、奈緒と一緒に……夏休みの間はお互い忙しいから、スケジュールがなかなか上手く合わなくて」

李衣菜「そのスケジュールの合間でなんとか一緒に行けそうな花火大会が、今日のだったってことかぁ」

加蓮「そういうこと。だから本当に楽しみにしてたのに……どうして大雨なんか降っちゃうの……」クスン

李衣菜「お昼頃はすごく晴れてた感じがしたのにね……」

加蓮「はぁ……もうやだ……せっかく奈緒と一緒に楽しく過ごせると思ってたのに……そばにいるのは李衣菜だし……」

李衣菜「な、なんかごめん」ショボーン

加蓮「……うそうそ、最後のは冗談だって。ごめんね、愚痴聞いてもらっちゃって。ちょっとは気が紛れた」

李衣菜「そっか、なら良かった。私なんにもしてない気がするけど」

加蓮「そんなことないから♪ それより李衣菜はなんでここに? もしかして、どこかに急いでたの?」

李衣菜「え? あ、ううん、私はレッスン終わって帰ろうとしてたとこ」

加蓮「あれ? 李衣菜今日レッスンの日だったっけ……」

李衣菜「トレーナーさんに頼んでボーカルレッスンの日を少し増やして貰ったんだ。まだまだロックになりたいし!」

加蓮「李衣菜ってもう十分歌は上手いと思うけどなぁ」


李衣菜「いやいや。この前のライブの時もなつきちがすっごくって……負けてられないって気持ちになったから」

加蓮「へぇ……やっぱりライバルには勝ちたいってこと?」

李衣菜「……うーん、そう言われると違うって気もするし、そうとも言うような……上手く言葉にしづらいな……」

加蓮「なるほど、ロックだから?」

李衣菜「そうそう! それにいつかMasque:Radeの皆でまた揃った時に、加蓮ちゃん達に負けないパフォーマンスもしたいしね!」

加蓮「へぇ……つまり私かまゆの代わりにセンターを狙ってるってこと?」

李衣菜「いやいやいや、そういうことじゃなくて! もっとこう、皆上手いから、私ももっとロックになって……うー」

加蓮「ふふっ! もう、そんなに真面目に答えなくてもいいって。李衣菜の言いたいこと、ちゃんと分かってるから」

李衣菜「そ、そう?」

加蓮「そうそう。でもほんと、またMasque:Rade全員揃って歌いたいよね……」

李衣菜「うん! いつか必ず実現させなきゃ! 頑張るぞーっ!!」グッ

加蓮「アンタこれ以上頑張る気? 無理しないでよ? ……まぁそれで、今日レッスン終わったから帰るとこって言ってたよね」

李衣菜「そうだけど?」


加蓮「……この天気の中帰る気なの?」チラッ

――ピカッ!

――DOOOOM!! KATADOOOOOOM!!

李衣菜「や、やっぱり無謀かな……?」

加蓮「当たり前でしょ。雹が降り始めたとこもあるらしいし、しばらくは屋根のあるとこで大人しくしてた方がいいって」

李衣菜「傘があるからイケるかなーって思ったんだけど……」

加蓮「そんなに濡れたいなら止めないけど、風邪引くんじゃない?」

李衣菜「加蓮ちゃんにそういう心配されちゃうんじゃ、やめておいたほうがいいかぁ」

加蓮「……心配なんかしてないし」プイッ

李衣菜「はいはい。でもどうしよう……しばらく暇を潰すならギター持ってきたら良かったかなー……」

加蓮「へぇー、ちゃんとそっちの練習もしてるんだ」

李衣菜「と、当然だって! ロックなアイドルなんだから!」


加蓮「はいはい。それで、他にはなにか持ってきてないの?」

李衣菜「あとはー」カバンゴソゴソ

加蓮(……私もどうしよう。奈緒とは花火大会の現地で会うことになってたから、スマホくらいしか暇を潰せそうなのないし……後は)

李衣菜「あっ」

加蓮「ん? なにかあったの?」

李衣菜「…………学校の宿題が残ってた」

加蓮「……そういえば、そんなのもあったか」

李衣菜「加蓮ちゃんは宿題ってどうしてる……?」

加蓮「一応、仕事の合間にも出来るように、プリントとかはカバンに……」

李衣菜「つまりまだ残ってると」

加蓮「……雨止むまで、プロダクションのカフェで一緒にやろっか」

李衣菜「賛成!」


――――2時間後、プロダクション、敷地内カフェ

加蓮「……これはこの公式を使って……よし、解けたっ。ふぅ……なんだかいつもよりも捗っちゃった。李衣菜、そっちはどう?」

李衣菜「……」カリカリ

加蓮「おーい李衣菜ー?」

李衣菜「…………」カリカリ

加蓮(すっごい集中してる……やっぱ李衣菜の真剣な顔はヤバイなぁ……うん、邪魔しないであげとこ)

李衣菜「……」カリカリ

加蓮(……でも、どの科目の宿題してるかだけ覗いてみよっかな。李衣菜がこんなに真面目になるなんて、一体どの)チラッ

『夢が叶うとき、あなたが隣に……』

加蓮「うん……?」

李衣菜「……うーん。やっぱり辞典がないといい言葉がなかなか思いつかな――うわぁ!?」ガタッ

加蓮「あ、ごめん驚かせる気はなかったんだけど……ていうか李衣菜なにやってたの?」

李衣菜「え!? あ、これ!? ア、アハハハ、な、なんでも、ナンデモナイヨー」アセアセ


加蓮「いや、なんでもあるって。少しだけしか見えなかったけど、それもしかして歌詞だったりする……?」

李衣菜「うぐっ……そう、いつか出す新曲の詩をちょっと考えてて……」

加蓮「それは楽しみ……って宿題はどうしたの宿題」

李衣菜「やってたんだけど、加蓮ちゃんが集中してる時にちょっと休憩しようかなーって思って歌詞を考え始めたらつい……」

加蓮「……はぁ、ヤバイと思った私がバカだったかなぁ」

李衣菜「え、なにが?」

加蓮「なにも! まったく、李衣菜はちゃんと勉強もしなよ? みくとかにたまに心配されてるんでしょ?」

李衣菜「そうだけど……で、でもほら、勉強中に勉強以外のことをすると、妙に良い結果になったりすることがあるから」

加蓮「あー……って、納得しちゃだめだから私。李衣菜と同じになっちゃう」フルフル

李衣菜「ひどい」

加蓮「ひどくなーい。はぁ、まったく李衣菜のせいで集中途切れちゃった、もう宿題やる気起きないや……」

李衣菜「えぇ……あ、でも、だったらほら! 天気のほうもいつの間にか大分マシになってるよっ!」

加蓮「……ほんとだ、雷も鳴ってないし、雨もそんなに強くない」

李衣菜「良かったー、これで帰れるっ!」


加蓮「そうだね。それじゃ李衣菜、帰るなら気をつけて」

李衣菜「……あれ? 加蓮ちゃんは?」

加蓮「実は私、傘持ってなくて……もう少し待ってみるつもり」

李衣菜「へ? なんで傘持ってないの? 折り畳み傘くらいなら……」

加蓮「それが、最近はずっと奈緒の傘に入れてもらってて、私が傘持ってなくてもなんとかなってたから、持ってくるの忘れて……」

李衣菜「あちゃー……でも、これ以上待つと流石に大分遅い時間になるから、家族の人も心配しない……?」

加蓮「大丈夫だって。そんなにもう子供でもないんだし、遅くなっても一人で帰れるから」

李衣菜「……もぉ」ゴソゴソ

加蓮「……? 李衣菜、なにして」

李衣菜「はい加蓮ちゃん、これ」スッ

加蓮「なにこれ?」

李衣菜「私の折り畳み傘。貸してあげるから、それ使って帰って」

加蓮「え……なら李衣菜はどうするの?」


李衣菜「私はほら、これくらいの雨なら濡れて帰るのもロックかなーって考えたら、傘なんて必要ない気がしてきて」

加蓮「はぁ? そういう見え透いたのやめて。さっきから言ってるけど、待ってればどうせ雨も止むし、そうしたら帰るってば」

李衣菜「でも加蓮ちゃん、今日楽しみにしてた花火大会中止になったんでしょ? だったらせめて早く家に帰ってのんびりしたほうが」

加蓮「……こんな時でも他人の心配しない。私に傘貸して雨の中濡れて帰って、それで李衣菜が風邪引いたら私どうすればいいの?」

李衣菜「大丈夫だって。ほら私、ロックだし!」

加蓮「どんな理屈なの本当にまったく……ふふっ……うん、じゃあ、この折り畳み傘で一緒に帰る?」

李衣菜「え? でも、どうやって」

加蓮「さっき私が言ってたこと覚えてない?」

李衣菜「ええっと、待ってれば雨が止むし……?」

加蓮「その前その前。ほら、奈緒の傘に入れてもらってて、とか言ってたでしょ」

李衣菜「そういえば確かに……えっ」

加蓮「そ。どうせ私と李衣菜、駅までは一緒なんだし、相合傘で帰れるって、ね♪」ニコッ

李衣菜「……ええー!?」


――――10分後、プロダクション最寄り駅までの道路

李衣菜「け、結構狭いねやっぱり……」

加蓮「本来一人で使う傘に二人入ってるわけだからね。というか李衣菜、もうちょっとこっちに引っ付いたら?」

李衣菜「で、でもこれ以上私が入ると加蓮ちゃんが濡れちゃうし……」

加蓮「けど、このままだと李衣菜の右側がずぶ濡れじゃない? 相合傘なんてお互いが多少濡れるくらいで良いんだから、ほら!」グイッ

李衣菜「わわっ! ……加蓮ちゃん、ほんと慣れてるね……」

加蓮「奈緒と散々やってるしね。むしろ李衣菜はしないの?」

李衣菜「だって皆、普通雨の日はちゃんと傘持ってきてるから……」

加蓮「なら一回はみくや他の誰かともやってみたらいいんじゃない? 結構楽しいよ♪」

李衣菜「うーん……機会があったらね。それにしても、もう本当にさっきまで雷が鳴ってたのが嘘みたいだ」

加蓮「これなら花火大会も出来た気がするんだけど、雹も降ってたんじゃしょうがないのかなぁ……」ションボリ

李衣菜「でもこの季節に雹って凄いよね。実際見たらうっひょーってなっちゃうかも……あ」

加蓮「それはない……ん?」ジーッ

李衣菜「……うぅ///」


加蓮「李衣菜、今のまさかダジャレ――」

李衣菜「ち、ちがっ! 言ってから気づいただけでそんなつもりは全然なかったよ! ほんとだからっ!?」カァァ///

加蓮「あーやーしーいー♪」ニコニコ

李衣菜「違うんだってばーっ///」

加蓮「ふふっ、そういうことにしてあげる。あー、でも惜しかったなあ、さっきの録音しておけば良かった、面白かったのに」クスクス

李衣菜「録音って……でも、それで加蓮ちゃんが元気になるなら、ありなのかな……?」

加蓮「え!? あ、いや、そこまでは別にいいから」

李衣菜「で、でもほらやっぱり奈緒ちゃんと花火見れなかったの悲しかったんでしょ? 私のダジャレで気分がよくなるなら――」

加蓮「だからいいって! そもそも、こうして李衣菜と喋ってるだけでもちゃんと気分良くなってるからっ!」

李衣菜「……ほんと?」

加蓮「嘘付いたって意味がないし……」

李衣菜「そっか……じゃあ私も嬉しい!」ニパッ

加蓮「…………はぁ、もうほんとに李衣菜は……ふふっ♪」


~~~♪ ~~~♪

李衣菜「あれ?」

加蓮「奈緒から電話だ……李衣菜ちょっとごめん」

李衣菜「気にしないで。ほら、電話するなら濡れないように傘の中央に入ってよっ!」ササッ

加蓮「そういうことしなくていいって言ってるのに……でもありがとっ」ピッ

加蓮「もしもし奈緒? ……うん……そうだね……ほんと奈緒と一緒に花火見たかった……うん」

李衣菜(……そういえば、みくちゃんやなつきちも今どうしてるかなぁ。さっきの雨で酷い目にあってないといいけど)

加蓮「……え? そうなの!? ほんとっ! なんだ、だったらもっと早く連絡してよー♪」

李衣菜(なにか加蓮ちゃん嬉しそうだ)

加蓮「うん。それで今そっちにいるのは、凛と……へぇ、みくもいるんだ?」

李衣菜「へ? みくちゃん?」


加蓮「うん、そう……分かった。なら今そっちに向かってるからすぐ合流する、待っててね奈緒。寂しくても泣かないでよ?」

李衣菜(なんだろう……?)

加蓮「はいはい怒らない♪ あ、あとみくにサプライズゲストを連れて行くからお楽しみにって伝えておいて、それじゃ♪」ピッ

李衣菜「加蓮ちゃん、奈緒ちゃんはなにを?」

加蓮「聞いてよ! 実は外回りに行ってたプロデューサーさんが、帰りがけに車で奈緒とか拾ってたらしくて」

李衣菜「プロデューサーさんが?」

加蓮「そう! それで奈緒が花火大会に行けなくなったことを愚痴ったら、代わりにご飯に連れてってくれることになったんだって♪」

李衣菜「……ってことは!」

加蓮「李衣菜も分かった? そ、今丁度プロデューサーさん達が駅の近くにいるから、一緒にご飯にしないかって連絡だった訳!」

李衣菜「イエーイやったー! へへっ、まさかの展開だね加蓮ちゃん!」


加蓮「ほんとっ! 花火を見れなかったのは残念だけど……でも、これはこれで」

李衣菜「うん、嬉しいっ! ……って、あれ、うっかり私も喜んじゃったけど、これって加蓮ちゃんだけ誘われたんじゃ……?」

加蓮「ちゃんとサプライズゲストを連れてくって伝えたから大丈夫。むしろ李衣菜もいないと面白くないし♪」

李衣菜「そうなの?」キョトン

加蓮「そうなの。……ふふっ、みくの反応が今から楽しみ――うんっ、待ちきれないし、李衣菜、急ごっ!」タタッ

李衣菜「あっ! 加蓮ちゃん待って! 走ると濡れちゃうってーっ!」タタッ

――結局、走ったことで雨に濡れることになった加蓮と李衣菜であったが、
それでも無事に奈緒達と合流し、まさか李衣菜が来ると思っていなかったみくの
盛大なリアクションを楽しんだ後、皆で楽しそうにレストランに向かうのであった。

〈終〉

花火大会が悪天候で中止になってしまったので
でもこれはこれで面白いものが見れたりするから困る
読んでくださった方ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom