モバP「時々、事務所のアイドルが怖くなる時がありまして……」 (131)


ちひろ「はあ、なにかやらかしたりしたんですか?」

P「いや、別にそういうわけではないんですけど……」

P「なんというか、こう、たまに距離があるような感覚に陥るときがあるんですよ」

ちひろ「気のせいだと思いますけどねー。仕事でもみんな、プロデューサーさんにべったりじゃないですか」

P「う~ん、やっぱり気のせいなんですかね?」

ちひろ「春から赴任してきて心配になってるだけですよ、きっと」

P「仕事には慣れたんですけどねー、まだまだ前任のプロデューサーほど懐かれてないんですかね」

P「――あっ、やばい。そろそろ仕事の時間なので、これで失礼します」ペコリ


ガチャ 


ちひろ「……」

ちひろ「……前任、ね」



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みりあ「あっ、プロデューサーだーっ」ガシッ

P「お! みりあ、今日も元気がいいな。学校終わったのか?」

みりあ「うん! プロデューサーは今からお仕事?」

P「ああ。今日はまゆの撮影が入ってるんだ」

みりあ「そうなんだー、いいなあ。みりあも写真撮ってもらいたいなあ」

P「そうだなあ。そういえば最近、子ども向けの雑誌に載せる女の子を紹介してほしいってお得意さんから言われてたっけ」

みりあ「わあーっ、それみりあも選ばれるかな?」

P「一応、俺から薦めとくよ。まあもともと、みりあにやってもらおうと思ってたんだがな」

みりあ「わーい! ……あ、そういえばこれからレッスンあるんだった!」

P「おー、急がないとトレーナーさんに怒られるぞ」

みりあ「うん、それじゃあねーっ!」


タッタッタ


P「……」

P「やっぱり、気にしすぎだったのかな……?」


まゆ「プロデューサーさん、おそいですよぉ」

P「悪い悪い、スタッフさんに挨拶してたら少し遅くなった」

まゆ「うふっ。それよりも衣装どうですか? かわいいですか?」

P「よく似合ってるよ。さすが読モやっていただけに見栄えが良いな」

まゆ「ありがとうございます。この胸元のリボン、衣装合わせの時にお願いしてつけてもらったんですよ」

P「そうなのか? うーん。でも、全体のバランスを見るとリボンはなくてもいいような気がするけど――」

まゆ「……」

P「ん? どうかしたか?」

まゆ「うふふ、いえなんでもありませんよ」


サツエイハイリマース


まゆ「それじゃあ、行ってきますね」

P「あ、ああ」

P(……今、心なしかまゆに睨まれた気がしたような)


P「……」

「オッケー、まゆちゃん。次は別の角度でいってみようか」

まゆ「分かりましたぁ」

P(さっきのは一体何だったんだろうか)

P(もしかしてリボンをいらないって言ったのがマズかったのかな)

P(……だとしたら、後でまゆに謝っておかないとな)



まゆ「プロデューサーさん、どうかしましたか?」

P「……あれ、もう休憩の時間か。はい、コレ飲み物買っておいたから」

まゆ「ありがとうございます。隣、失礼しますね」ポスリ

P「撮影、順調そうだな。特に何か言われることもないし」

まゆ「うふっ、プロデューサーさんのおかげですよ」

P「……なあ、まゆ。さっきのことなんだけどさ」


まゆ「さっき、ですか?」

P「ああ。ほら、撮影前にリボン取った方が良いんじゃないかって言ったじゃないか」

まゆ「……ああ、そうでしたね」

P「やっぱり、俺が間違ってみたいだな。スタッフからも可愛いって好評だし、あはは、女の子の衣装についてもっと勉強しないとダメみたいだ」

まゆ「……」

P「気を悪くしたのなら謝るよ。ごめんな」

まゆ「……いえ、いいですよ。ちゃんと謝ってくれるなら」

P(やっぱり、気にしてたのか。謝っておいてよかったな……)


まゆ「――あの人なら、たぶん謝ってくれなかったでしょうから」


P「あの人?」

まゆ「うふっ、なんでもありませんよ。それじゃあ、撮影に戻りますね」

P「ああ分かった……」

P(……あの人って誰のことだろ? まあ、帰りの車で話を聞いてみるか)




P「撮影お疲れ様。スタッフさんも予定よりも早く終わって喜んでたよ」

まゆ「そうですか、ありがとうございます」

P「下で車出してくるから、そこで少し待っておいてくれ」

まゆ「……あの」

P「ん? どうかしたか?」

まゆ「私、今日はこの後用事があるんです」

P「でも、もう結構時間も遅いけど……途中まで送っていこうか?」

まゆ「いえ、だいじょうぶですよ。幸子ちゃんとご飯を食べに行くだけなので」

P(……それなら邪魔するのも逆に悪いか)

P「分かったよ。それじゃ、今日はここで」

まゆ「はい、お疲れ様でした」ペコリ


テクテクテク


P「……」

P「……結局、聞きそびれちゃったな」


みりあ「あっ、プロデューサーだー!」

莉嘉「つかまえたーっ!」ガシッ

P「わわっ、お前ら。もうレッスン終わったのか?」

みりあ「うんっ、ばっちりだったよー」

莉嘉「プロデューサーはお仕事終わったの?」

P「ああ。さっきまでまゆと一緒だったんだけどな、用事があるって言ってそのまま帰ってったよ」

P「そうだ。二人とも今から帰るんだろ? 家まで送っていこうか」

みりあ「えっ、いいのいいのー?」

莉嘉「えへへ、Pくんやっさし~」

P「ほらほら、そうやってしがみついてちゃ車出せないだろ」


「「はーい!」」




みりあ「それでねー、莉嘉ちゃんがトレーナーさんに怒られてねー」

莉嘉「わわっ、みりあちゃん。それはナシナシ、言わないでっ!」

P「あはは、ふたりともしっかりレッスンやってるみたいだな」

みりあ「うんっ、プロデューサーはお仕事ちゃんとできた?」

P「ああ、まあこれでも少しは板についてきたからな。ばっちりだったよ」

みりあ「えへへ、それじゃあみりあがイイ子イイ子してあげるっ!」ナデナデ

莉嘉「あ、それじゃアタシも!」ナデナデ

P「お、おいおい。今、運転中だっての!」


「「なでなで~」」


P(……こりゃ、たまらんな)


P「ん、じゃ気をつけてな」

莉嘉「うんっ、ばいばーい☆」


バタン ブロロロロロロ


P「みりあの家まではもう少しかかるから、疲れてるなら寝ててもいいぞ」

みりあ「んー、いいよ。みりあ起きてるからー」

P「そっか、ならいいけど」


ブロロロロロロ


みりあ「……」

P「……」

P(……なんでさっきから黙ってこっち見てるんだろ)

P(……話しかけた方がいいのか?)


P「……みりあは、アイドル活動はもう慣れたか?」

みりあ「うんっ、すっごく楽しいよー」

P「そっか。さっきはああ言ったけどさ、俺はまだまだ大変だよ」

みりあ「そーなの?」

P「ああ。覚えることもたくさんあるしな、ちひろさんにいつも怒られてばっかりだ」

P(アイドル達との関係も、もっとどうにかしていきたいしな……)

P「みりあ達も俺なんかが春からやって来てびっくりしただろ」

みりあ「……」

P「プロデュースする人間が途中で交代するんだもんな」

P「なあ、前任のプロデューサーってどんな人だったんだ? 結構できる人だったりしたのか?」


みりあ「しらない」



P「……別にどんなことでもいいんだぞ?」

みりあ「ううん。私、ほんとに何も知らないよ」

P「そ、そっか。ならいいんだけど……」

P(やけに強く否定するもんだから思わず引いてしまったけど――)

P(たしか……みりあも前任の人からプロデュースされてたはずだったよな……?)

みりあ「どうかしたの?」

P「いや、何でもないよ」

P(でも、みりあが俺に嘘をつくはずもないし……ほんとに何も知らないだけなのかもな)

P(あんまり深く考えないようにしよう……)


みりあ「送ってくれてありがとう、プロデューサー!」

P「ああ。今日はもう遅いから早めに寝るんだぞ」

みりあ「うんっ、ばいばーい」


ガチャ ブロロロロ


P「……ふう。ようやく今日の仕事も終わりか」

P「結局、最後の方は空気が重たくてうまく話せなかったな……」

P(それにしても、前任の人の話をした途端、みりあの態度が変わったような気がしたけど……)

P「俺の思い違いじゃなかったら、あれはやっぱり何かを隠していたりしたのか……?」

P「だけど、前任の人のことなんて、そんな隠すほどのことなんだろうか?」

P(考えてみれば、春から仕事に手いっぱいで、前任の人のこと何も知らないんだよな)

P(前から興味はあったけど――そうだな。いい機会だし、少し調べてみようか)

P「よーし、明日は少し早めに事務所に行くとするか」




幸子「フフーン、プロデューサー今日は朝早いんですね!」

P「おお、幸子。いつもこんな時間から事務所にいるのか?」

幸子「そんなの当たり前ですよ。なんてったってボクは特別カワイイですからね」

P「いや、その言い分はよく分からないぞ」

幸子「朝からボクのカワイイ顔を見たいという人が、さぞたくさんいることでしょうからね。そのためにもボクは早起きしてるんですよ!」

P「うーん。幸子は、頭がいいのやら悪いのやら……」

幸子「失礼な! 完璧なボクに欠点なんてあるわけないでしょう」

P「まあ、そういうことにしといてやるよ」ナデナデ

幸子「ふ、フフーン。まあ、まずまずの撫で具合ですね。そのまま続けていいですよ」

P(ちょろい)


幸子「それにしても、プロデューサーさん。今朝は何か用事でもあるんですか?」

P「んー。まあ、ちょっとな」

P(たとえ相手が幸子だとしても、昨日のことはあんまり話さない方がいいだろう)

幸子「うーん、なにやら怪しいですね……」チラッ

P「そんなことより、昨日の夜はまゆとご飯行ったんだよな? どんなお店に行ったんだ?」

P(俺は金欠で昨夜はカップラーメンしか食べてないけど……アイドルは普段何を食べてるんだろ)

幸子「へ? まゆさんですか?」

P「ん? ああ。昨日、仕事が終わってから二人でご飯に行ったんだろ?」


幸子「……ボク、行ってないですよ。そもそも、お誘いすら受けてないですし……」

P「……は?」

一旦ここまでになります。たぶん、予想以上に長くなりそうですが最後までおつきあいください…


P「いや、俺はたしかにまゆからそう聞いたんだけど……」

幸子「うーん。たしかにそれはおかしいですねえ」

P「……」

P(まゆが嘘をついたのか? ……でも、なんのために?)

幸子「もしかしたら、まゆさんの手違いで連絡できなかっただけかもしれませんね」

P「……手違い」

幸子「ボクを誘おうとして、ついうっかり操作を誤ってしまったんですかねえ。やれやれ……」

P「……ああ。もしかすると、そうかもしれないな」

P(いや、本当にまゆがそんなミスをするのか……? あれが俺の誘いを断るために言ったのだとしたら……)


幸子「どうかしましたか?」

P「……いや、なんでもないよ」

P(昨日から、みりあとまゆのことがあって頭が混乱してるだけだろう)

P(多感な時期なんだ。二人とも、俺なんかじゃ分からない事情があるんだろうさ)

幸子「具合が悪そうに見えますが……」

P(……幸子にも、俺に何か隠していることがあるんだろうか)

P「なあ、幸子」

幸子「なんでしょうか?」キョトン

P「……」

P「……いや、やっぱいいや」

P(考えすぎ、だよな)


幸子「そろそろレッスンの準備があるので、これで失礼しますね」ペコリ

P「ああ、頑張ってこいよ」

幸子「……その」

P「ん? どうかしたか?」

幸子「ボクに力になれることがあったら、なんでも言ってくださいね」

P「……」

幸子「そ、それだけですっ! 失礼しますっ!」


タッタッタ


P「……」

P「……やっぱり俺の思い違いなのかなあ」


P「おっと――それより、皆が来る前に調べ物を済ませてしまわないとな」

P「名簿は、机の後ろに置いてる棚の中だっけか」

P「えーっと、確かこの辺りに……」


ガサゴソ


P(昨年度の事務所の名簿を見たら、きっと名前くらいは分かるだろ)

P(その名前を使って、社内専用HPから検索をかければ――恐らく何かがつかめるはずだ)


ガサゴソ


P「……おかしいな、昨年度から二年分の名簿が抜けてるぞ?」

P(整理したときに間違って捨てられたのか? ……新しいバックナンバーを?)


P「……やっぱり、何かがおかしい」

P(結局、探しても名簿どころか書類のひとつも見つからなかった)

P(ここまで見当たらないとなると、もはや作為的に情報が漏れないようにしている気さえする)

P(だけど、そこまでして隠そうとする必要なんてあるのか?)

P(……俺がやってくる前の事務所で、一体なにがあったんだろうか)

P(それに、ちょうど二年分の情報が抜け落ちていた。これが意味するのは――)


みく「Pチャン、そんなところでなにしてるのー?」

P「わわっ! って、なんだみくか……驚かさないでくれよ……」


みく「なんだとは、失礼にゃ!」

P「悪い悪い。いや、別に深い意味はないんだ」

P「みくの方こそ、朝早いんだな。仕事への情熱が感じられるなっ!」グッ

みく「えへへ、ほんと~? みくはプロ意識が違うからねっ」

みく「――って、そうやってはぐらかそうとしても無駄にゃ! ほんとは何をしてたのー?」

P「あはは、なんでもないよ。ただの書類整理だよ」

みく「書類整理?」

P「ああ、春から全然片付けられてなかったからなー」


みく「……ほんとに?」


P「え?」

みく「Pチャン、月末に大掃除するからって響子チャンに片付けてって言われても全然やらなかったよね」

みく「なのに、わざわざ朝の時間を使って書類整理してたの?」

P「……ああ、ちょっと気になってな」

みく「ふーん、そうなんだ」

P「……」

P(……どうしてそこまで食いついてくるんだろう)

P(ここはあえて、みくに聞いてみた方がいいんじゃないか?)


P「なあ、みく」

みく「んー、どうしたのー?」

P(……みく達がなにかを隠していて、それを俺に知られないようとしていることは恐らく確かだ)

P(――だが、落ち着け。ここで俺が素直に聞いたところで本当にみくは真実を教えてくれるのか?)

P(そこまでして隠し通したいことだ。前任のプロデューサーの話題はむしろ避けた方が良いだろう)

P(……だとすれば、どうすれば情報を引き出せるだろうか)


みく「Pチャン?」

P「ああ、いや悪い。すこし考え事をしてた」

P(……手順を間違えたら、なんて考えるのも怖いな)


みく「で、みくに何かききたいことでもあるの?」

P「……ああ。最近、みんなが隠しごとをしてるみたいに思えてな。みくは、なにか知らないか」

みく「隠しごとって、なにそれ?」

P「俺も詳しいことは知らない。だけど、様子がおかしかったりすることが立て続けにあったんだよ」

みく「ふーん。それ、誰かわかる?」

P「まゆと――あとはみりあだな」

みく「……やっぱり、そっち組の子かぁ」

P「……?」

P(組? なんのことだ?)


P「組って、いったい何を言ってるんだ?」

みく「ううん、それはこっちのはなし」

みく「それよりもね。そのふたりは気を付けた方がいいと思うにゃ」

P「気を付けるって言っても……」

みく「んー、正確にはそのふたりを含める子たちなんだけど」

みく「って、いけないいけない。ちょっと話しすぎちゃった」

P「……」


P(みくは一体どこまで知ってるんだ……?)
 
P(それに、二人を含めるって事務所内では話はどれくらい広がってるんだよ)

P(俺の想像以上に事態は根深いところまできているのか……?)



P(それにしても、分からないことが多すぎる……)

P(前任のプロデューサーがこの謎のすべてに絡んでいるのは間違いないだろうが)

P(みくの言う"組"という言葉。態度のおかしいアイドルたち)

P(それと……不自然に隠された情報、か)

P(あまりにも出来すぎた話だ。……これは、きっと偶然なんかじゃない)

P(まるで探偵にでもなった気分だ……なんてな)


みく「Pチャンの聞きたいことはそれだけ?」

P「……ああ、それだけだ」


P(今、不用意にみくから情報を引き出すのは難しいはずだ)

P(今後の俺たちの関係にも、もしかすると響くかもしれない。そうなれば本末転倒だ)

P(……少しずつでいい。真実を知るために、ひとりひとりに聞いていけば。いずれは……)


みく「……」

P「……みく?」

みく「……Pチャンは」

P「……?」

みく「……Pチャンはたぶん今、どうしても知りたいことがあるんだよね」


P「……」

みく「みくは、知らないままでいた方がいいとおもうよ」

みく「きっと、後悔することになるから……」

P「みく……」

みく「ごめんね」

みく「みくはPチャンの味方にも、みんなの味方にもなれないの」

みく「だから、言えるのはここまで」

みく「……ちゃんと、言ったからね」


ガチャ  バタン


P「……」

P「……はあ、何やってんだ俺は」


P「もう、やめにしよう……」

P「そもそも俺がこれだけ必死になって知る必要もないことだ」

P「そうだ……これはもう過去のことなんだから」

P(誰しも詮索されたくない思い出ってのはあるものだ)

P(それが前任のプロデューサーであったとしても、俺がそれを知る権利はない)

P(だったら、そんなの忘れてしまえばいい)

P(彼女たちの守りたいものを壊すことはないんだから)


P(……少し前のように、何もなかったことにすれば――――あるいは)


ちひろ「プロデューサーさん、おはようございます」

P「あ、ちひろさん。おはようございます」カタカタ

ちひろ「ふふっ、すごいやる気ですね」

P「やっぱりまだまだ新人ですからね。気合入れて頑張りますよ!」

ちひろ「それじゃ、私からはエナドリを差し入れですっ」コトッ

P「お! それでは遠慮なく……」ゴクゴク

ちひろ「無理せずがんばってくださいね。あ、私は書類の提出があるのでこれで……」

P「あはは、ほどほどにしますよ~」


ガチャ  バタン


P「……」カタカタ

P(……やる気、ね)

P「……………よし、飯にするか」


ガチャ


響子「あっ、プロデューサーさんおはようございますっ」ペコリ

P「おー、響子。おはよう」モグモグ

響子「わわ、お食事中だったんですね。すみません!」

P「ん、いいよ。それよりどうかしたか?」

響子「あ、いえ。プロデューサーさんではなくってですね……」

P「ん? べつに軽い用事なら手伝うぞ」

響子「……うーん」キョロキョロ

P「誰か探してるのか?」


響子「みくちゃん知りませんか?」


P「……みく?」

響子「はい、知りませんか?」

P「ああ。朝にすこし話したけど……」

響子「……その後は、どこに行きましたか」

P「スケジュール帳をチェックするから少し待ってくれ」ペラッ

P「……ふーむ、そうだなあ」

響子「…………」

P「……」


P(……響子はどうしてわざわざ俺のとこまで訪ねてきたんだろうか)

P(連絡を入れたのにみくが返事を返さなかったのか? ……しかし、それはなんでだ?)

P(響子はみくを探しているとだけ言っていた。ただ、その用件は俺に伝えようとしていない)

P(――もしも。もしも、みくが今朝俺に何かを言ったこと響子が知っているとすれば、それはつまり……)


響子「プロデューサーさん?」

P「ああ……悪い。みくの予定は書かれてなかったよ」

響子「そう、ですか」

P「もしかするとレッスン場に行ってるかもしれないな、見てきたらどうだ?」

響子「いえ、大丈夫です。ちょっと伝えたいことがあっただけなので」

P「伝えたいこと?」

響子「……はい。とっても大事なことだったので」

P「……」

響子「それじゃあ私はこれで失礼します」ペコリ

P「……ああ」


ガチャ バタン


P「伝えたいこと、か」

P「……」カタカタ

P(……ダメだ。また勝手に頭が考えようとしてる)

P(だが、あのタイミングで響子がみくを探しているなんて……何があったんだろうか)

P(伝えたいこと、って一体何なんだよ)

P(大したことではないと思いたい。それなのに、頭ではぐるぐると昨日からの違和感がループしてやがる)


P「……くそっ、何なんだよ」

P(――この事務所にいると、無意識のうちに気持ち悪さがずっと付きまとってくる)

P(だが俺にはその気持ち悪さの原因が分からない)

P(俺は、それを知りたいんだろうか。……たとえ、それを知ることでみんなとの関係が悪くなったとしても?)

P(それが俺の本心なのか……?)


P「……」カタカタ

P「……」チラッ

P「……もうこんな時間か」

P(考え事をしてるうちに、外も真っ暗だ)


P「…………はあ」ガタリ

P(――結局、考えても答えが出るわけもないんだよな)

P「仕事もおわらないし、今日は散々だな……」




プルルルルルルル


P「……ん? こんな遅くに電話?」


P(しかも外線から……仕事の案件か?)

ガチャ

P「はい、お電話ありがとうございます。こちら346プロダクションの――」



ザーザーザーザー



P「……? もしもし?」

P(……なんだ? 電話の向こうから変な音が響いているような気が……)

P「あの、すみません。電波の状況が悪いようなのですが――」



ザーザーザーザー



P(……いたずら電話か? だったら、もうこのまま切るか……)

P「あとで折り返してお電話させていただきます。……それでは失礼します」スッ


「……もしもし」


P(今の……女の声?)

P「失礼いたしました、お電話ありがとうございます」


「……こんな時間に突然お電話してすみません。今、お時間よろしいでしょうか?」


P「……?」

P(やっぱりいたずら電話か? それにしても気味が悪いな……)


P「あの、まずはお名前を――」


「……失礼しました。私は、○○という写真週刊誌で記者をしている者なのですが」


P(週刊誌の記者? しかも、かなり大手の会社じゃないか……)

P(もしかすると、うちのアイドル達のゴシップ記事を掴んだとかだろうか……)

P(だとしたら……マズいな)


P「我が社のアイドルがなにか……?」


「……ああ。いえ、そういった用件ではなくてですね」


P「……?」


「――そちらのプロダクションに所属していたプロデューサーが昨年度に亡くなった件について、お話を聞かせていただけないかと思いまして」


P「……亡くなった?」

「ええ、ご存じありませんか?」

P「……いえ、そういった話はまったく」

「……そうですか」

P「あの……。そのお話、もうすこし詳しく聞かせていただけませんか」

「……」

P「……もしもし?」

「……ああ。ええ、聞こえています」

P「亡くなったというのは、どういう意味ですか? 何があったんですか」

「……こちらの資料には、事故死と書かれています」

P「事故死?」

「……深夜に乗用車にはねられ、そのまま搬送先の病院で亡くなったそうです」


P「ひき逃げ、だったんですか?」

「……いえ、運転手の証言によると突然歩道側から飛び出してきたと」

P「……そうですか」


「――ただ、不審な点がいくつかありまして」


P「……?」

「……事故の直前、何らかの薬物を服用していた可能性があることが分かっています」

P「薬物、ですか?」

「はい。睡眠導入剤に近い成分が含まれていたことから、被害者は昏睡状態にあったのではないかと」

P「昏睡状態……」


「それから、もう一点――事故があった現場には目撃者が誰もいなかったんですよ」

P「……? どういう意味ですか」

「……そのままの言葉で受け取ってください。事故の通りには歩行者も監視カメラもなかったんです」

「おかしいと思いませんか。深夜だったとは言え、まるでそのタイミングを狙ったかのような状況だったわけですから」

P「……たしかに、少し不可解ですね」

P(電話主が言うようにあまりに出来すぎた状況だと、俺もそう思う)

P(まるで、この事故の裏に何かが隠されているかのような――そんな気味の悪さがじっとりと纏わりついている予感がする……)


P「あの、すいません。まだ頭の整理が追い付いていないんですが……」

P「あなたの口ぶりからすると――そのプロデューサーの死因が他殺であったと言いたいように聞こえるのですが……」

「……ええ。その通りです」

P「……やはり、そうなんですね」


「もっと言えば、私は346プロダクション内にこの事件の関係者が紛れ込んでいるのではないかと考えています」


P「……プロダクション内に?」

「……ええ。どんなことでも結構です。この件に関して、何か心当たりはありませんか?」

P「……心当たり、ですか」


P(――ない、と断言することは俺には出来ない)

P(今まで感じていたアイドル達の不審な言動、態度)

P(信じたくはない。だが、もしも……もしも彼女たちがこの事件と関わっているとしたら)

P(だとしたら、俺はどうするって言うんだ……?)


P「……心当たりは、なさそうです」


P(そうだ、今の俺にそんなことが出来るはずもない)

P(……俺はまだ心の中で、彼女たちのことを最後まで信じていたいと思っている)

P(――たとえ、それが真実から目を背ける結末であったとしても……)



「……そうですか」

P「お力になれなくて、すいません」

「……いえ、お気になさらずに」

P「……」


「ああ……そういえば。先ほど聞きそびれましたが」

P「……?」

「……あなたは被害者の後任に就いたプロデューサーの方ですね?」

P「ええ、その通りですが……それが何か?」

「……ふふ。もしかすると、あなたも気を付けた方がいいかもしれませんよ」

P「それは、どういうことですか?」

「……後日、そちらの事務所宛てに封筒を一通送ります」

P「あの、さっきの返事は――」

「……それでは」



ガチャ

ツーツーツーツー


P「……切れてる」


P「たしか……封筒が送られてくるって言ってたか」

P(……その中身が何かまでは教えられなかったが)

P(だが、あの言い方からすると事故に関する内容を知ることができるんだろうか?)


P「…………はあ」ガタリ


P(……前任のプロデューサーは、亡くなっていたのか)

P(あれだけ知りたかったことだったのに、それを聞いて余計に頭がこんがらがってきたな……)

P(電話主は、他殺だと言っていたが……それもまだ断言できない)

P(どうして事故が起きたのか、そしてどうして前任が死んでしまったのか、俺はまだ何も知らないままだ)

P(……それに、本当に、彼女達との間に何かがあったって言うのか?)


P「……」

P(そもそも、あの電話も疑わしいもんだ)

P(突然かけてきたあの女の言うことをどこまで信じられたもんか……)

P(ただ、気がかりだとすれば……)


『……ふふ。あなたも、もしかすると気を付けた方がいいかもしれませんよ』


P(あれは、いったい何を言いたかったんだろうか)

P(……まるで、俺の身に何かが降りかかるとでも言いたいような口ぶりだったが)


P「結局、分からないことばかりだな……」

P「はあ……あんまりこればかり考えていても、意味がないよな」

P「……今日は、もう帰るか」


P(ったく、あの電話のせいで今日は日をまたぎそうだ)

P(ノイズばっかりで声を聞こえづらかったし、心なしか耳鳴りもさっきからやまないしなあ)

P(……ん? 声?)


P「……待てよ」


P「――そういえばあの声、どこかで聞いた覚えがあるような……?」






P「……」

ちひろ「プロデューサーさん、どうかされました?」

P「えっ、ああ。いえ、なんでもないですよ。ははは」

ちひろ「そうですか? 何か考え込んでいたような気がしたので……」

P「んー。ちょっと、気が抜けてるんですかね。給湯室でコーヒーいれてきます」

ちひろ「あっ、それくらいなら私がやりますよ!」

P「いや、大丈夫ですよ。気分転換に歩いてきます」



ガチャ  バタン


P「……」

P(結局、昨日は色々と考えていたせいであんまり寝れなかったな)

P(仕事にも影響してるし、はやいとこ頭を切り替えないと――)


「……だってさ……でも……」

「そう……たぶんあれは……」


P「……ん?」

P(向こうから誰かの声がするけど……給湯室で話しているのか?)


P「……?」チラッ


加蓮「……だから、今度の20日が集会になったんだね」

凛「うん。響子が伝達役だったって未央から聞いた」

加蓮「まあ、そっちの件はみくちゃんが悪いんだけどさ~」

凛「加蓮の言いたいことも分かるよ。……やっぱり、ちょっと気が滅入るよね」

加蓮「……うん。ほら、前の集会のときもアタシ気分悪くなっちゃったし……」

凛「でも、みんなで決めたことだから……」

加蓮「それは、分かってる……つもり」

凛「だったらいいけど……万一、加蓮が集会の対象にでもなったら――」

加蓮「やめてよ。縁起でもない……」


P(……集会? あいつら、何の話をしてるんだ?)


加蓮「今度のも、いつもと同じ時間から?」

凛「そうみたい。夜の9時からレッスン場でだって」

加蓮「……そっか。うん、わかった」

凛「私は仕事で行けないかもしれないけど、大丈夫?」

加蓮「……何かあったら奈緒に頼るよ」

凛「……そうだね」


P(何かの集まりがあるみたいだが……いったい何の話をしてるんだ?)

P(くそ、よく聞こえないな……)


ガタッ



凛「……誰?」

加蓮「なに、どうかしたの?」

凛「うん。今、入り口の方から音がしたから」

加蓮「……やめてよ、そういうの」

凛「ちょっと見てくる」

加蓮「……うん、わかった」



スタスタスタ


凛「……」

加蓮「……凛? どうだった?」

凛「ごめん、気のせいだったみたい」

加蓮「そっか、なら良かったね」




P(……まずいな)

P(凛が急にきたもんだから、とっさに近くにあったロッカーの中に隠れてしまったけど……)

P(これじゃあ、普通に話しかけた方がよかったかもしれないな……)

P(……とにかく、ふたりがどこかに行くまでここで黙っているしかないか)

P(ロッカーの隙間から姿が見えてしまわないように気を付けないと……)


加蓮「もしもさっきの話がプロデューサーに聞かれてたらマズいよね」

凛「うん。下手したら集会に呼ばれるかも」

加蓮「前から思ってたけどあっちの派閥の子たちはさ、みんなちょっとやり方が過激だよね……」

加蓮「すこし前に、美波ちゃんが色々と言いにいったらしいんだけどさ」

凛「どうなったの?」

加蓮「ぜんぜん相手にしてもらえなかったって。中立派の意見は聞き入れないの一点張り」



P(……派閥、そういえばそんな話をみくも言ってたな)

P(アイドル達の中には、何かのグループがあるってことなんだろうが……)


加蓮「正直なところ、私たちもどっちつかずだもんねー」

凛「加蓮はどっちに肩入れもしないの?」

加蓮「どっちかと言われたらそりゃ中立派の方にいくと思うけど……」

凛「私は、もしかするとあっちに行くかもしれない」

加蓮「……もしかして、卯月ちゃん?」

凛「うん、やっぱり心配だからさ」

加蓮「あれから結構経つけど、卯月ちゃんもあっちにいたからね……」

凛「今も夜は電話するんだけどさ。電話越しにね、いつもすすり泣く声が聞こえるんだ」

凛「……助けて、って私の名前を呼んでくるんだよ。それも死んでしまいそうな声でさ……」


ガチャ


まゆ「……ふたりとも、こんなところで何してるんですかぁ?」

加蓮「ま、まゆちゃん」

凛「べつに、なにもしてないよ。まゆの方こそどうしたの?」

まゆ「……まゆはプロデューサーさんのために、お茶を淹れにきただけですよ」

まゆ「そういえば、プロデューサーさんを見かけませんでしたか?」

加蓮「プロデューサー? ううん、知らないけど……」

まゆ「……おかしいですねぇ。さっきお部屋に伺ったんですけど、不在だったんですよ」

凛「仕事か会議にでも行ったんじゃない?」

まゆ「だったら、いいんですけどねぇ」



P(……)

えらく亀更新ですが気長に待っていてもらえたらうれしいです…


凛「それよりさ、今度の集会はまゆは参加するの?」

加蓮「ちょっと、凛。やめときなって……」

凛「別にいいでしょ? まゆだって私たちと同じ仲間なんだしさ」

まゆ「……ええ、まゆも参加しますよ」

凛「だったら……今度の集会はどんなことをするのか、教えてよ」

加蓮「凛っ……」

まゆ「……ふふ。加蓮ちゃんも気になりますか?」

加蓮「そんなの、別に……」


まゆ「でも、まゆも詳しいことは知らないんですよ」

凛「……本当に?」

まゆ「ええ……本当です」

加蓮「そのへんで、もういいでしょ。ほら凛もそろそろ行かないと……」

凛「……うん、そうだね。それじゃ私たち、この後用事があるから」

加蓮「またね、まゆちゃん」


ガチャ バタン


まゆ「……ええ。また会いましょうね」ニコリ





P「……」

ちひろ「気分転換、あんまりできませんでしたか」

P「えっ。今、何かおかしかったですか?」

ちひろ「外から戻って来られてから、余計に元気がなくなってますよ」

P「……ああ。すいません、考えることが多くって」

ちひろ「だから、コーヒー淹れてくるのも忘れてきたんですか?」

P「あっ……」

ちひろ「ふふ、仕方ないですね。私が代わりに行ってきますよ」ガタリ

P「ありがとうございます……」

ちひろ「いえいえ――ああ、そういえばさっき封筒が送られて来てましたよ

P「封筒、ですか」

ちひろ「ええ。そこの机の上に置いてますから、確認しておいてくださいね」



ガチャ バタン



P「……」


P「封筒か……」チラッ

P(差出人は不明ということから察すると、この前の電話主のものなんだろうか……?)

P(あの話が本当なら、これで死んでしまった前任のことを知れるんだろうが、)

P(……さっきの給湯室でのことを思い出すと、今はあまり見る気にはなれないな)

P(それにしても凛たちの言っていた集会……あれは一体何を意味するんだろうか?)

P(20日の9時にレッスン場、か……)


P「まあいい。これは家に帰ってから見ることにしよう……」スッ

P(たまってる仕事もおわらさないとな、今日も残業になりそうだ……)


―自宅―


P「……ふう、疲れた。結局こんな時間になっちまったな」グッタリ

P「……そうだ、封筒を見るんだったか」


ガサゴソ

P「……これか」

P(ここに事故に関する手がかりが書かれてあるはずなのは間違いない)

P「……」

P(……だが、俺は本当にこれを見るべきなんだろうか)

P(みくの忠告を無視して、あの電話の主の言いなりになって……)

P(それが本当に正しいことなのか……?)




ピンポーン


書き始めから二年たっててびっくりしました、ぼちぼち続きをかいていきます…


ピンポーン


P「誰だよ、もうこんな遅いのに……」



ピンポーン ピンポーン ピンポーン



P(くそっ、鳴りやむ気配もないし、帰ってもらうしかないな)

P(……セールスだったら嫌だし、ドアを開ける前にのぞき穴から見てみるか)

P「どれどれ――」チラリ


響子「……」  ピンポーン ピンポーン

P「き、響子……? なんでここに?」

P(アイドルに俺の自宅がばれてるわけもないのに……だが、このまま放置するのもマズいな)


ガチャ


P「どうしたんだ響子、こんな時間に」

響子「あっ、プロデューサーさんもう帰ってたんですね」

P「……ああ、さっき帰ったところだよ。というか、どうして俺の家に来たんだ?」

響子「プロデューサーさんのために、お料理を作ろうと思いまして!」

P「……料理だって?」

響子「はい! ほら、来るまえに材料も買ってきてますから」

P「……ああ、気持ちはうれしいけど」

P(そのためだけに、こんな遅くに家に来たっていうのか? たった一人で……?)


響子「それじゃあお邪魔しますね♪」ガチャ

P「なっ、こら、響子!」

響子「わあ~、これがプロデューサーさんのお部屋ですかあ。意外ときれいにされてるんですね」

P(素直に感動してる場合じゃないだろ……)

P「なあ響子、こんなところを誰かに見つかったらただじゃ済まないんだぞ。分かってるのか?」

響子「はい、わかってますよ。私も、そのつもりで来てますから」

P「そのつもりでって言われてもな……」

P(未成年を家にあげたなんて知られたら、俺も響子もどうなるか……)

P(――それに、今はあの封筒の中身も気になってるっていうのに……)


響子「プロデューサーさんは、なにが好きですか?」

P「……まあ、好き嫌いは特にしないかな。響子の作るものだったらなんでも食べるよ」

P(とりあえず帰る気になってくれるまで話を合わせるか……)

P「……それにしても響子はエプロン姿で台所に立ってると、すごくしっくりくるな」

響子「えへへ、そんなに褒められると照れちゃいますよ」

P「今度の撮影は、こういう衣装もわるくないな。カメラさんには俺から伝えておくよ」

響子「あ、それなら私、お料理番組にも出演してみたいです!」

P「なるほど、料理番組かー。たしかに、そういう仕事も今後は入れていってもいいなあ」


P(……ってなんで、仕事のはなしをしてるんだ俺は。これが、職業病ってやつか……)



響子「それじゃあ準備もできたので、作り始めますね」トントン

P「なあ響子。ちなみに、なんの料理を作るつもりでいたんだ?」

響子「そうですねー。今日はいいお肉が手に入ったので、ハンバーグを作ろうと思って」

P「おー、ハンバーグかあ」

響子「ふふっ、たくさん食べてくださいね」





響子「お待たせしました~」

P「……」

響子「どうかしましたか、プロデューサーさん?」

P「いや、なんでもないよ。おいしそうだなと思って」

響子「えへへ、本当ですか? たくさん作ったのでたっぷり食べてくださいね」

P「ああ」パクリ

P「ん、いい味だな」

響子「……」

P「どうした?」


響子「……あの、よかったら、私が食べさせてあげましょうか?」



P「え?」

響子「プロデューサーさんが嫌じゃなかったら、ですけど」

P「いや、それはさすがに」

P(こんな状況がそもそもマズいっていうのに……)

響子「ほら、お口あけてください」

P「き、響子……」

響子「あーん」

P「……む」パクリ

響子「どうですか?」

P「……ああ、美味しいよ」

P(すぐ目の前に、スプーンを持った響子がいるのが不思議な気持ちになるな……)


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