P「困った」
P「妖精界から派遣されて人間としての生活を始めてからかなり経つのにまだ魔法少女をスカウトできていない」
P「俺も人間始めてからあの時計の針が12時を指した瞬間にえーっと…24になってしまう」
P「このままでは駄目妖精の烙印を押されて妖精界に強制送還…」
P「ボーナスカットの上に食事のデザートまで抜きにされてしまう…」
P「いやいやいや」
P「それは困る!それは困るぞ俺!早く誰かに魔法少女になってもらってこの地球を救ってもらわねば!」
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P「でも魔界から妖魔が攻めて来ていて世界がまじやばいなんてこんな話を信じてくれる今時の子がいるわけない…」
P「そう長年思い続けている内にこんなにも時間が経ってしまった」
P「どこかに」
紗南「じゃあそれあたしがやってあげよっか」
P「なんて言ってくれる子がいないものか…」
P「どしぇー!!」
紗南「うわびっくりしたぁ」
P「いつからそこに!?というか聞かれてた?」
紗南「ばっちり聞かせてもらっちゃったよ」
P「これで俺も妄想に囚われた闇の住人として生きていかねばならなくなったのか」
紗南「そんな風に誤魔化さないでよPさん」
P「んぁ?」
紗南「あたしゲーマーアイドルを名乗っているじゃない?」
P「うん」
紗南「だからその妖魔っていうのを楽してレベルアップしてさ」
P「うん」
紗南「勇者に転職して世界を救うのアリの大アリでしょ!」
P「うん!」
紗南「やった!じゃあさっそく契約しよ!魔法を使うための人外との契約は王道だよね」
P「紗南がゲーマーアイドルでよかったと今日以上に思った日はない!あ、でも」
紗南「何かな」
P「あくまでもこれからなるのは魔法少女で魔法使いでも賢者でも勇者でもないことは注意な」
紗南「はーい…」
P「ちょっとテンション下がってない?」
紗南「そんなことないよ!そんなことよりほら契約!あ、でもお互いの心臓と心臓を交換みたいな痛そうなのはなしね」
P「待って?痛いじゃなくて痛そうってそれ痛くないの?」
紗南「魔法の力が働いて痛くないんじゃないかな?でも絵面がグロから駄目です」
P「そんな契約方法は俺的にもNGだよ」
紗南「じゃあどんな感じなの?」
P「どこかに魔法陣を書かないといけないんだが事務所はちひろさん的にNGだからな」
紗南「そうだね」
P「…外かー」
紗南「というかPさん、あたしがこの時間まで事務所残ってたことに何の疑問も持たないんだね」
P「そうだ!もう12時じゃん!というか俺が寮に送るはずだったんだ…」
紗南「Pさん遅いなってずっと待ってたのに見に来たらブツブツ言ってて心配したんだよ?そしたらこんなことになってさ」
P「うぅ…すまない」
紗南「というか外も時間的に大丈夫なのかな?」
P「見つかったら俺も紗南も問題ありだな…」
紗南「じゃあこんな時こそ魔法の力だよね!レムオルとかバニシュみたいな!」
P「透明化か…使えないこともないが…」
紗南「ないが?」
P「元の姿に戻らないと使えない」
紗南「元のって妖精の姿!?見たい見たい!」
P「そうなると俺は小さく愛らしいとてもチャーミングな姿になりはするのだがこのスーツ問題が発生する」
紗南「あー、脱げちゃうっていうか着れないというか」
P「契約後事務所に戻ってくればいいだけなんだけどな」
紗南「誰かに見られた時点で事件発生だね」
P「屋上使うか」
紗南「それいいかも!」
P「屋上じゃ何があってもおかしくはないからな」
紗南「魔法陣も後で消せばいいもんね。むしろ残ってたら特定の子が喜ぶかも?」
P「しかしこの事務所の屋上だ。本当に何が起きるかわからない」
紗南「覚悟を決めないとね…」
事務所の屋上
紗南「これなんて書いてあるの?」
P「私は地球と契約して魔界の勢力から世界を守りますって」
紗南「へー。契約はPさんとするものじゃないんだね」
P「妖精は普段動けないガイア、もとい地球の代わりに魔法少女を探してるいわば代理人なんだ」
紗南「ん?ガイア?」
P「地球の意思みたいなものだよ」
紗南「契約の時は妖精の姿に戻らなくていいんだ」
P「魔法陣に呪文を書いただろ?紗南がそこに立つだけでいい」
紗南「魔法少女になるとメリットもあるけどデメリットもあったりするからちょっと不安になってきちゃったんだけど…大丈夫だよね?」
P「デメリットといえるデメリットはないしやめようと思えば契約解除は俺がまた魔法陣を書けばいいんだけど…そうはなってほしくない!」
紗南「あはは、Pさんは素直だなあ」
P「この後紗南を待っている運命は戦いだ」
紗南「ごくり」
P「辛くなったりピンチになったりすることもある。まあそれがデメリットかもな」
紗南「…そう言われちゃうと不安、まだ消えないや。あたしに魔法かけてよPさん」
P「それならピンチになったらその時は俺が紗南を守るよ」
紗南「頼れる相棒を失ってパワーアップフラグ…まあ、アリなんだろうけど」
P「だから、守る戦いをすればいいんだ。俺が言ったみたいにな」
紗南「ふふ、そうだね。じゃあ」
P「ありがとう、紗南」
P「これで契約完了」
紗南「魔法陣が光っただけですごく簡単に済んだけど魔法陣めちゃくちゃ光ったけど!?」
P「うん…」
紗南「見られてない!?誰にも見られてない!?」
P「わからない…」
紗南「あっ」
P「感じたのか?」
紗南「うん…今すごく嫌な感じがした。つまり近くに、いるんだよね」
P「ああ、その感じ方、確実に妖魔だ。でもすごいな…すぐに気配を感じ取るなんて」
紗南「あたしをスカウトしてよかったでしょ?」
P「つくづくそう思う。でも今から起きることはゲームとは一味もふた味も違うからな。まずは変身だ」
紗南「じゃああっち向いててねPさん」
P「え?何で?」
紗南「そりゃ恥ずかしいからでしょ。だって魔法少女の変身と言ったら一回服が消えて再構築されるんだよ?」
P「そういうものなの?知らなかったそんなの…」
紗南「そうなの!それで変身の呪文は?」
P「それは別に自分で考えていいんだよ。でもそれが紗南の魔法力の基礎になる」
紗南「え、え?どういうこと?」
P「変身の魔法が魔法少女が一番最初に使う魔法だからな」
紗南「うん」
P「他の魔法を使う時は変身の呪文を頭に付けるんだ。例えば炎を起こすんだったらエンチャントファイアだの自分で考えた火の呪文を後ろにつければいい」
紗南「なんか緩いんだね。でも自分で考えるっていきなり言われるとかなり難しいかも…」
P「ちなみに最初に考えた変身の呪文が紗南の魔法力を決定する」
紗南「おぉ、ゲームの基礎ステータスみたいになってきたかも」
紗南「でも火の呪文とか言ったけどそういうのに決まりはないの?」
P「決まりはないな。でもちゃんと覚えておけるのじゃないと忘れて思い出さない限りその呪文は二度と使えないぞ」
紗南「うーん、コマンドでも出ればなぁ」
P「そういうのもできないことはない」
紗南「え?」
P「魔法は要はイメージなんだ」
紗南「イメージ?」
P「火の呪文だってメラをイメージして使えばその呪文はメラになるし」
紗南「ファイラをイメージすれば新しい呪文を作れるってこと?」
P「あぁ。だからコマンド入力画面を呼び出す魔法をイメージすればそういう魔法も使えてしまう」
紗南「じゃあそれさえあればあたし無敵じゃん!」
P「しかぁし!」
紗南「あ、コマンドも覚えてないと駄目ってこと?」
P「そういうこと」
紗南「うーん、そっか。じゃあ覚えやすい呪文考えないと駄目だね。変身もできなくなっちゃうよ」
P「あまりにも呪文が簡単過ぎると魔法力が生まれないから要注意だ」
紗南「げげっ!ショートカットなし!?」
P「長すぎても駄目!」
紗南「最初はやっぱりバランス型ジョブってことかー。っと、ここでチュートリアルは終わりかな?」
P「妖魔もまだ進行開始段階のはず…弱っちい奴だろうけど油断するなよ!」
紗南「わかってるよ。あたしの初陣見ててねPさん!」
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